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【発明の名称】電気錠装置
【特許権者】
【識別番号】512249261
【氏名又は名称】有光 磐明
【住所又は居所】大阪府大阪市都島区綱島町14−8−715
【代理人】
【識別番号】100126310
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 慎太郎
【発明者】
【氏名】有光 磐明
【住所又は居所】大阪府大阪市都島区網島町14−8−715
【要約】
【課題】使用者にて解除操作がし易く、かつ特定のキーが汚れたり傷ついたりするのを防止して暗証番号が使用者以外の者に解読されるのを防ぐことができる電気錠装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一つの電気錠2と、所定の数字列を入力して解錠操作を行う操作部3と、操作部3にて入力された入力数字列に基づいて使用者が認証された場合に電気錠2を解錠制御する認証制御部4とを備えてなる電気錠装置1において、認証制御部4は、操作部3にて入力された任意の桁数の入力数字列から、予め設定された識別子の後に連続する所定桁数の抽出数字列を抽出する抽出部41と、抽出部41にて抽出された抽出数字列の各桁数字を、予め設定された所定の演算方法にしたがって演算して入力番号を決定する演算部42と、演算部42にて決定された入力番号と予め設定された暗証番号とを照合して使用者を認証する認証部43とを具備してなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの電気錠と、所定の数字列を入力して解錠操作を行う操作部と、前記操作部にて入力された入力数字列に基づいて使用者が認証された場合に前記電気錠を解錠制御する認証制御部とを備えてなる電気錠装置において、
前記認証制御部は、
前記操作部にて入力された任意の桁数の入力数字列から、予め設定された識別子の後に連続する所定桁数の抽出数字列を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段にて抽出された抽出数字列の各桁数字を、予め設定された所定の演算方法にしたがって演算して入力番号を決定する演算手段と、
前記演算手段にて決定された入力番号と予め設定された暗証番号とを照合して使用者を認証する認証手段と、
を具備してなることを特徴とする電気錠装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、入力数字列に識別子と一致する複数の数字列が検索された場合には、入力数字列のうち最初に入力された識別子の後に連続される数字列を抽出数字列として抽出する請求項1に記載の電気錠装置。
【請求項3】
前記入力数字列は、識別子と抽出数字列の前方及び/又は後方に連続して入力されるダミー数字列を含む請求項1又は請求項2に記載の電気錠装置。
【請求項4】
前記認証制御部は、ユーザ情報として暗証番号と、識別子と、桁数と、演算方法と、を記憶する記憶手段を具備してなり、前記記憶手段は、前記認証手段にて使用者が認証される識別子と抽出数字列の組み合わせが生じる場合にユーザ情報を設定可能とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電気錠装置。
【請求項5】
前記操作部は、解錠操作ごとにランダムな桁数の数字列入力を指示する指示手段を有してなる請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電気錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気錠装置の技術に関し、より詳細には、少なくとも一つの電気錠と、所定の数字列を入力して解錠操作を行う操作部と、前記操作部にて入力された入力数字列に基づいて使用者が認証された場合に前記電気錠を解錠制御する認証制御部とを備えてなる電気錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、少なくとも一つの電気錠と、所定の数字列を入力して解錠操作を行う操作部と、前記操作部にて入力された入力数字列に基づいて使用者が認証された場合に前記電気錠を解錠制御する認証制御部とを備えてなる電気錠装置の構成が公知である。かかる電気錠装置においては、解錠操作時にテンキー等を有する操作部にて所定の数字列(暗証番号)が入力されるが、かかる数字列の入力の際には全てのキーが均一に押下される機会が少なく、また特定のキーが繰り返し使用されるため、他のキーよりも汚れや傷が目立って暗証番号が使用者以外の者に解読されてしまう恐れがあった。また、解錠操作時の腕の動きからキー入力が推認されて暗証番号が解読されてしまう恐れもあった。
【0003】
従来の電気錠装置としては、上述した操作部のキー構成に関するものとして、例えば、特許文献1又は特許文献2に開示されるように、操作部において入力キーに1対1で割り当てられる文字(数字)を表示する液晶表示部を備え、解錠操作ごとに液晶表示部に表示される文字(数字)の配置を複数の配置パターンで変更するようにした構成が提案されている。また、上述した認証制御部における暗証番号の認証方法に関するものとして、例えば、特許文献3又は特許文献4に開示されるように、操作部にて暗証番号の他にダミー数字列や識別子からなる入力数字列が入力されると、識別子に基づいて入力数字列からダミー数字列を排除して暗証番号のみを抽出する認証方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−126913号公報
【特許文献2】特開平9−88389号公報
【特許文献3】特開2007−87313号公報
【特許文献4】特開2002−229959号公報
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1又は特許文献2に開示される従来の電気錠装置の構成では、解錠操作の度に文字(数字)の配列が変更されるため、所定の数字列(暗証番号)を繰り返し入力しても、特定のキーが汚れたり傷ついたりするのを防止できるが、使用者において所望の文字(数字)を探し出すのが煩わしく、数字列の入力に時間がかかってしまうという問題があった。また、操作部のキー構成が複雑になり、簡易な物理キー(テンキー)を備えた電気錠装置には適用することができないという問題があった。
【0006】
一方、上述した特許文献3又は特許文献4に開示される認証方法では、かかる認証方法を電気錠装置に採用することで、解錠操作時には暗証番号とダミー数字列とが入力されるため、腕の動きから暗証番号が推認されるのを防ぐことが期待できるが、解錠操作時には暗証番号に相当するキーが繰り返し使用されるため、結局は上述したような特定のキーが他のキーよりも汚れや傷が目立ってしまうという問題は解消されない。特に、かかる認証方法を玄関ドア等の特定の使用者専用の電気錠装置に採用した場合には、解錠操作の度に同じ暗証番号が繰り返し入力されるため、かかる問題が顕著であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明では、電気錠装置に関し、前記従来の課題を解決するもので、使用者にて解除操作がし易く、かつ特定のキーが汚れたり傷ついたりするのを防止して暗証番号が使用者以外の者に解読されるのを防ぐことができる電気錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
すなわち、請求項1においては、少なくとも一つの電気錠と、所定の数字列を入力して解錠操作を行う操作部と、前記操作部にて入力された入力数字列に基づいて使用者が認証された場合に前記電気錠を解錠制御する認証制御部とを備えてなる電気錠装置において、前記認証制御部は、前記操作部にて入力された任意の桁数の入力数字列から、予め設定された識別子の後に連続する所定桁数の抽出数字列を抽出する抽出手段と、前記抽出手段にて抽出された抽出数字列の各桁数字を、予め設定された所定の演算方法にしたがって演算して入力番号を決定する演算手段と、前記演算手段にて決定された入力番号と予め設定された暗証番号とを照合して使用者を認証する認証手段と、を具備してなるものである。
【0010】
請求項2においては、前記抽出手段は、入力数字列に識別子と一致する複数の数字列が検索された場合には、入力数字列のうち最初に入力された識別子の後に連続される数字列を抽出数字列として抽出するものである。
【0011】
請求項3においては、前記入力数字列は、識別子と抽出数字列の前方及び/又は後方に連続して入力されるダミー数字列を含むものである。
【0012】
請求項4においては、前記認証制御部は、ユーザ情報として暗証番号と、識別子と、桁数と、演算方法と、を記憶する記憶手段を具備してなり、前記記憶手段は、前記認証手段にて使用者が認証される識別子と抽出数字列の組み合わせが生じる場合にユーザ情報を設定可能とするものである。
【0013】
請求項5においては、前記操作部は、解錠操作ごとにランダムな桁数の数字列入力を指示する指示手段を有してなるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、使用者にて解除操作がし易く、かつ特定のキーが汚れたり傷ついたりするのを防止して暗証番号が使用者以外の者に解読されるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例に係る電気錠装置の全体的な構成を示した機能ブロック図である。
【図2】操作部の正面図である。
【図3】記憶部へのユーザ情報の設定方法を示したフローチャートである。
【図4】ユーザ情報と認証パターンの一例を示した図である。
【図5】解錠操作時の電気錠装置の動作を示したフローチャートである。
【図6】入力数字列の構成を示した図である。
【図7】入力数字列の入力例及び認証制御部での抽出・演算結果を示した図である。
【図8】別実施例の操作部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、発明を実施するための形態を説明する。
【0017】
まず、本実施例の電気錠装置1の全体構成について、以下に概説する。
図1及び図2に示すように、本実施例の電気錠装置1は、一つの電気錠2と、所定の数字列を入力して解錠操作を行う操作部3と、操作部3にて入力された入力数字列に基づいて使用者が認証された場合に電気錠1を解錠制御する認証制御部4等とで構成されている。電気錠2は、玄関ドア等の施錠対象物の屋内側に設置され、解施錠を行うシリンダ(図略)やシリンダを動作させるアクチュエータ(図略)等とで構成され、後述するように認証制御部4から送信される解錠信号に基づいて解錠制御される。
【0018】
操作部3は、玄関ドア等の施錠対象物の屋外側に設置され、使用者にて入力操作される複数の物理キーを備えたテンキー部30と、効果音や文字・画像等を出力する出力部31等とが設けられている。テンキー部30は、「0」〜「9」の数字、「C」のアルファベット、及び「E」のアルファベットが表示された複数の物理キーがマトリックス状に配置されて構成されている。本実施例の電気錠装置1では、通常時(解錠操作モード)において、「C」の物理キーが入力された数字列を消去する「消去ボタン」として使用され、「E」の物理キーが数字列の入力決定や電子錠2の解錠を指令する「決定ボタン」として使用される。
【0019】
本実施例の電気錠装置1では、解錠操作モードにおいて、使用者にてテンキー部30の各物理キーが押下されることで所定の数字が順次入力され、全ての数字の入力後に「E」の物理キーが押下されることで入力数字列が入力決定される。使用者が解錠操作する場合に入力される入力数字列には、後述する識別子及び抽出数字列が含まれる他、この識別子と抽出数字列の前方及び/又は後方に連続して入力されるダミー数字列が含まれる(図6参照)。入力数字列にダミー数字列の含有、入力位置及び桁数は使用者の任意であり、解錠操作ごとに任意の桁数の入力数字列を入力することができる。
【0020】
認証制御部4は、各種演算処理プログラムや制御プログラムの命令を実行するCPU、該プログラムを記憶するROM、該プログラムを展開するRAM、該プログラム及び各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記憶媒体)等とで構成されており、操作部3にて入力された入力数字列に基づいて使用者を認証し、使用者が認証された場合に電気錠2を解錠制御するものである。本実施例の認証制御部4は、予め使用者によって設定される暗証番号等を記憶する記憶手段としての記憶部40と、操作部3のテンキー部30にて入力された任意の桁数の入力数字列から、予め設定された識別子の後に連続する所定桁数の抽出数字列を抽出する抽出手段としての抽出部41と、抽出部41にて抽出された抽出数字列の各桁数字を、予め設定された所定の演算方法にしたがって演算して入力番号を決定する演算手段としての演算部42と、演算部42にて決定された入力番号と予め設定された暗証番号とを照合して使用者を認証する認証手段としての認証部43と、電子錠2に解錠信号を送信して解錠を指令する指令手段としての指令部44等とで構成されている。
【0021】
記憶部40は、使用者によって予め設定されるユーザ情報として「暗証番号」の他、「識別子」、「桁数」及び「演算方法」が記憶される。
【0022】
「暗証番号」は、後述する演算部42にて決定された入力番号と照合される番号であり、使用者にて「0」〜「9」の数字を組み合わせた任意の桁数の数字が設定される。暗証番号としては、数字が大きすぎる(桁数が増える)と解錠操作時の入力数字列の入力が複雑になり、また、数字が小さすぎると認証部43での認証パターンが少なくなるので好ましくない。そのため、暗証番号としては、1桁でかつ大きな数字(「7」〜「9」)又は2桁の数字を設定するのが好ましい。
【0023】
「識別子」は、抽出部41にて入力数字列から数字列を抽出するための番号であり、使用者にて任意の桁数の番号が設定される。識別子としては、入力数字列の入力操作を容易にするために1桁又は2桁の「0」〜「9」の数字を設定するのが好ましい。
【0024】
「桁数」とは、抽出部41にて入力数字列から抽出する数字列の桁数であり、使用者にて2桁以上の桁数が設定される。桁数としては、桁数が4桁以上となると認証パターンが少なくなるので、入力数字列の入力操作を容易にするために2桁又は3桁を設定するのが好ましい。
【0025】
「演算方法」とは、演算部42にて抽出番号の各桁数字を用いてどのように演算するかを決定するものであり、加算、減算、積算、除算の四則演算のうち何れかの方法が設定される。
【0026】
抽出部41は、操作部3のテンキー部30にて入力された入力数字列を取得すると、入力数字列から記憶部40に記憶された識別子と一致する数字列があるかどうかを検索する。入力数字列に識別子と一致する数字列が検索された場合には、識別子の後に連続され、かつ記憶部40に記憶された桁数に相当する所定桁数の数字列を抽出数字列として抽出する。このとき、入力数字列に識別子と一致する複数の数字列が検索された場合には、入力数字列のうち最初に入力された識別子の後に連続される数字列を抽出数字列として抽出する。
【0027】
演算部42は、抽出部41にて抽出された抽出数字列の各桁数字を、記憶部40に記憶された演算方法にしたがって演算して入力番号を決定する。入力番号の決定方法としては、記憶部40に記憶された演算方法が加算の場合には各桁数字を加算演算して決定し、減算の場合には各桁数字のうち大きい桁数字から小さい桁数字を順次減算演算して決定し、積算の場合には各桁数字を積算演算して決定し、除算の場合には各桁数字のうち大きい桁数字から小さい桁数字を除算演算して決定する。
【0028】
認証部43は、演算部42にて決定された入力番号と予め設定された暗証番号とが一致するか否かを判断し、入力番号と暗証番号とが一致した場合には使用者を認証し、指令部44にて電子錠2に解錠信号を送信して解錠を指令する。一方、入力番号と暗証番号とが一致しない場合には使用者が認証されず、出力部31にて効果音が出力されて使用者に認証エラーが通知される。
【0029】
ここで、図3及び図4を参照しながら、記憶部40へのユーザ情報の設定方法について以下に説明する。
【0030】
まず、図3に示すように、記憶部40へユーザ情報を設定する際には、操作部3のテンキー部30にて所定の数字列が押下されるか又は電気錠2の図示せぬ切り替えボタンが操作されるか等により、管理者モードに変更される(S100)。管理者モードに切り替えられると、出力部31にて効果音が出力されてモードの切り替えが通知され、最初に暗証番号の設定(S110)が入力可能となる。その後順次、暗証番号の設定(S110)→識別子の設定(S120)→桁数の設定(S130)→演算方法の設定(S140)が切り替えられてそれぞれが入力可能となる。
【0031】
暗証番号の設定(S110)は、使用者にて希望する番号に相当するテンキー部30の所定の物理キーが押下された後、「E」の物理キーが押下されることで入力決定される(S111)。暗証番号として2桁以上の数字を設定する場合にはテンキー部30の所定の物理キーが順次押下される。暗証番号が正しく入力決定されれば、出力部31にて効果音が出力されて入力決定許可が通知される。一方、物理キーを押下しなかった場合や、複数桁数以上(本実施例では3桁以上)の暗証番号を設定しようとした場合等には、出力部31にて効果音が出力されて入力決定エラーが通知され、使用者にて暗証番号が再入力される(S111)。
【0032】
識別子の設定(S120)は、使用者にて希望する番号に相当するテンキー部30の所定の物理キーが押下された後、「E」の物理キーが押下されることで入力決定される(S121)。識別子として2桁以上の数字を設定する場合にはテンキー部30の所定の物理キーが順次押下される。識別子が正しく入力決定されれば、出力部31にて効果音が出力されて入力決定許可が通知される。一方、物理キーを押下しなかった場合や、複数桁数以上(本実施例では3桁以上)の識別子を設定しようとした場合等には、出力部31にて効果音が出力されて入力決定エラーが通知され、使用者にて識別子が再入力される(S121)。
【0033】
桁数の設定(S130)は、使用者にて希望する桁数に相当するテンキー部30の所定の物理キーが押下された後、「E」の物理キーが押下されることで入力決定される(S131)。桁数として2桁以外を設定する場合にはテンキー部30の所定の物理キーが押下される。桁数が正しく入力決定されれば、出力部31にて効果音が出力されて入力決定許可が通知される。一方、物理キーを押下しなかった場合や、所定桁数以外(本実施例では1桁又は4桁以上)の桁数を設定しようとした場合等には、出力部31にて効果音が出力されて入力決定エラーが通知され、使用者にて桁数が再入力される(S131)。
【0034】
演算方法の設定(S140)は、使用者にて希望する演算方法に相当するテンキー部30の所定の物理キーが押下された後、「E」の物理キーが押下されることで入力決定される(S141)。本実施例では、演算方法として加算を設定する場合にはテンキー部30の「1」の物理キーが押下され、以下減算では「2」の物理キー、積算では「3」の物理キー及び除算では「4」の物理キーがそれぞれ押下される。演算方法が正しく入力決定されれば、出力部31にて効果音が出力されて入力決定許可が通知される。一方、物理キーを押下しなかった場合や、所定の物理キー(本実施例では「1」〜「4」の物理キー)以外が押下された場合には、出力部31にて効果音が出力されて入力決定エラーが通知され、使用者にて演算方法が再入力される(S151)。
【0035】
そして、演算方法が入力決定された後に再度「E」の物理キーが押下されることで、記憶部40へユーザ情報が設定(記憶)される(S150)。このとき、各ユーザ情報が正しく入力されている場合、すなわち、認証部43にて使用者が認証される識別子と抽出数字列の組み合わせ(以下、認証パターン)が生じる場合には(S151)、記憶部40へユーザ情報が記憶されるとともに、出力部31にて効果音が出力されて設定可能が通知され、管理者モードが終了して解錠操作モードへ切り替えられる(S160)。一方、各ユーザ情報が正しく入力されていない場合、すなわち、認証パターンが生じない場合には(S151)、出力部31にて効果音が出力されて設定エラーが通知され、使用者にて最初(暗証番号の設定(S110))から再入力される。
【0036】
例えば、図4に示すように、ユーザ情報として暗証番号「7」、識別子「4」、桁数「2」、演算方法「加算」をそれぞれ設定した場合の認証パターンとしては、「407」、「416」、「425」、「434」、「443」、「452」、「461」、「470」となる。すなわち、かかる場合には、使用者にて入力された入力数字列の中に上述した認証パターンが含まれている場合に、使用者が認証されて電気錠2が解錠される。
【0037】
次に、図5乃至図7を参照しながら、本実施例の電気錠装置1の解錠操作時の動作について以下に説明する。
【0038】
まず、図5及び図6に示すように、操作部3のテンキー部30にて所定の入力数字列が入力されると(S200)、認証制御部4では、抽出部41にて入力数字列が取得され(S210)、抽出部41にてかかる入力数字列から識別子と一致する数字列が入力文数字列の入力順に検索される(S211)。入力数字列に識別子と一致する数字列(本実施例では「4」)が検索された場合には、識別子の後に連続され、かつ記憶部40に記憶された桁数に相当する所定桁数の数字列が抽出数字列として抽出される(S212)。一方、入力数字列に識別子と一致する数字列が検索されない場合には、使用者が認証されず、出力部31にて効果音を出力して使用者に認証エラーが通知される(S250)。
【0039】
抽出部41にて抽出数字列が抽出されると(S212)、演算部42にて抽出数字列の各桁数字が、憶部40に記憶された演算方法にしたがって演算されて入力番号が決定される(S220)。このとき、演算部42による演算の結果、入力番号が負の整数になる場合(減算演算)や、ゼロになる場合(積算演算)や、整数にならない場合(除算演算)などには、出力部31にて効果音を出力して使用者に認証エラーが通知される(S250)。
【0040】
そして、認証部43にて演算部42で決定された入力番号と予め設定された暗証番号とが一致するか否かが判断され、入力番号と暗証番号とが一致する場合には使用者を認証し(S230)、出力部31にて効果音を出力して使用者に認証完了が通知されるとともに、指令部44にて電子錠2に解錠信号が送信されて解錠される(S240)。一方、入力番号と暗証番号とが一致しない場合には使用者が認証されず(S230)、出力部31にて効果音を出力して使用者に認証エラーが通知される(S250)。
【0041】
例えば、図7に示すように、ユーザ情報として記憶部40に暗証番号「7」、識別子「4」、桁数「2」、演算方法「加算」がそれぞれ設定されている場合に(図4参照)、操作部3のテンキー部30にて9桁の入力数字列「123425678」が入力された場合には、抽出部41にて識別子「4」と一致する数字列が検索され、数字列「4」に連続し、かつ2桁数の数字列「25」が抽出数字列として抽出される。このとき、数字列「123」及び数字列「678」がダミー数字列として排除される。次いで、演算部43にて、抽出数字列「25」の各桁数字「2」と「5」が加算されて、入力番号「7」が決定される。そして、認証部43にて入力番号と暗証番号「7」とが照合された結果、両者が一致すると判断されて使用者が認証され、電気錠2が解錠される。
【0042】
同様に9桁の入力数字列「123434678」が入力された場合には、最初に入力された識別子「4」の後に連続される数字列「34」が抽出数字列として抽出され、数字列「123」及び数字列「678」がダミー数字列として排除される。そして、抽出数字列「34」の各桁数字「3」と「4」が加算されて入力番号「7」が決定され、入力番号と暗証番号「7」とが照合された結果両者が一致すると判断されて、使用者が認証されて電気錠2が解錠される。
【0043】
一方、同様に9桁の入力数字列「123456789」が入力された場合には、識別子「4」の後に連続される数字列「56」が抽出数字列として抽出され、数字列「123」及び数字列「78」がダミー数字列として排除される。そして、抽出数字列「56」の各桁数字「5」と「6」が加算されて入力番号「11」が決定され、入力番号と暗証番号「7」とが照合された結果両者が一致しないため、使用者が認証されず電気錠2は解錠されない。
【0044】
さらに、同様に9桁の入力文字列「123556789」が入力された場合には、識別子「4」と一致する数字列が検索されないため、使用者が認証されず電気錠2は解錠されない。
【0045】
以上のように、本実施例の電気施錠装置1は、少なくとも一つの電気錠2と、所定の数字列を入力して解錠操作を行う操作部3と、操作部3にて入力された入力数字列に基づいて使用者が認証された場合に電気錠2を解錠制御する認証制御部4とを備えてなる電気錠装置1において、認証制御部4は、操作部3にて入力された任意の桁数の入力数字列から、予め設定された識別子の後に連続する所定桁数の抽出数字列を抽出する抽出部41と、抽出部41にて抽出された抽出数字列の各桁数字を、予め設定された所定の演算方法にしたがって演算して入力番号を決定する演算部42と、演算部42にて決定された入力番号と予め設定された暗証番号とを照合して使用者を認証する認証部43とを具備してなるため、使用者にて解除操作がし易く、かつ特定のキーが汚れたり傷ついたりするのを防止して暗証番号が使用者以外の者に解読されるのを防ぐことができるのである。
【0046】
すなわち、本実施例の電気錠装置1では、認証制御装置4にて解錠操作時に入力された入力数字列から、予め設定された識別子の後に連続する所定桁数の抽出数字列を抽出し、抽出数字列の各桁数字を、予め設定された所定の演算方法にしたがって演算して入力番号を決定し、入力番号と予め設定された暗証番号とを照合して使用者を認証するように構成されるため、入力された暗証番号に基づいて直接認証(照合)するのではなく、入力された抽出数字列の各桁数字を所定の演算方法にて演算処理した入力番号に基づいて認証(照合)するため、使用者においては認証部43にて認証可能な識別子と抽出数字列の複数の組み合わせ(認証パターン)が入力可能となる。
【0047】
そのため、本実施例の電気錠装置1では、従来の電気錠装置のように暗証番号が3桁か4桁の数字列で固定される場合と比べて、使用者を認証可能な入力数字列にバリエーションがあるため、解錠操作時に特定のキーを繰り返し使用するのを避けて、特定のキーが汚れたり傷ついたりするのを防止することができ、ひいては暗証番号が使用者以外の者に解読されるのを効果的に防ぐことができる。また、簡易で覚えやすいなユーザ情報(暗証番号、識別子、桁数、演算方法)を設定しておけばよいので負担にならず、解錠操作も容易である。
【0048】
特に、本実施例の抽出部41は、入力数字列に識別子と一致する複数の数字列が検索された場合には、入力数字列のうち最初に入力された識別子の後に連続される数字列を抽出数字列として抽出するため、使用者において最初の識別子に連続して抽出数字列を入力するだけで、抽出部41にてそれ以降に入力された入力数字列に識別子と同じ数字列が含まれる場合であっても抽出数字列を確実に抽出することができ、解錠操作が容易になる。
【0049】
また、本実施例の電気錠装置1では、入力数字列が識別子と抽出数字列の前方及び/又は後方に連続して入力されるダミー数字列を含むため、解錠操作時に腕の動きから暗証番号が推認されるのを防止できる。
【0050】
また、本実施例の認証制御部4は、ユーザ情報として暗証番号と、識別子と、桁数と、演算方法と、を記憶する記憶部40を具備してなり、記憶部40は、認証部43にて使用者が認証される識別子と抽出数字列の組み合わせが生じる場合にユーザ情報を設定可能とするため、予め記憶部40に使用者が認証される識別子と抽出数字列の組み合わせを確認して設定しておくことができ、使用者が認証されずに電気錠2を解錠できなくなる事態を防止することができる。
【0051】
なお、電気錠装置1の構成としては、上述した実施例に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0052】
すなわち、上述した実施例の電気錠装置1において、操作部3の構成(図2参照)としては、かかる構成に限定されず、テンキー部30の形状や構成又は物理キーの組み合わせや配列等は適宜設計変更することができる。例えば、必要に応じて「戻るボタン」に相当する物理キーや、「モード切替ボタン」に相当する物理キー等が設けられてもよい。また、物理キーより構成されるだけでなくタッチパネルとして構成されてもよい。
【0053】
特に、図8に示す実施例のように、操作部3において、解錠操作ごとにランダムな桁数の数字列入力を指示する指示手段としての指示部32が設けられてもよい。指示部32は、所定の文字を液晶表示可能なように構成されており、解錠操作ごとに例えば6桁〜9桁程度の数字列の入力を指示する文字がランダムに表示される。かかる実施例の構成においては、認証制御部4では入力数字列が指示部32にて指示される桁数と一致しない場合には認証エラーとされる。このように、操作部3にて解錠操作ごとにランダムな桁数の数字列入力を指示する指示部32を有することで、解錠操作ごとに入力可能な入力数字列が変更・指示されるため、第三者による不正な解錠操作を効果的に防止することができる。
【0054】
また、上述した実施例の認証制御部4の構成(図1参照)としては、かかる構成に限定されず、例えば、認証制御部4を別途通信ネットワークと接続可能として、通信ネットワークを介して別体として構成された記憶部40と接続されるように構成されてもよい。
【0055】
また、上述した実施例の記憶部40へのユーザ情報の設定方法(図3参照)としては、かかる方法に限定されず、例えば、ユーザ情報の設定順序や入力決定エラーの通知方法などは適宜変更して構成することができる。特に、ユーザ情報は、定期的に変更することが好ましいので、認証制御部4において、所定回数や日時が経過すると、使用者にユーザ情報の変更を促すような通知をするように構成されてもよい。
【0056】
また、上述した実施例の解錠操作時の電気錠装置1の動作(図5参照)としては、かかる方法に限定されず、例えば、認証エラーの回数をカウントして、認証エラーが所定回数以上連続すると警告音等にて通知するように構成されたり、数字列を入力する前に別途使用者ごとに付与されたIDを入力するか又はカードリーダ等により読み取るようにして、一つの操作部3にて複数の電子錠2・2・・・を個別に解錠制御するように構成されたりしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 電気錠装置
2 電気錠
3 操作部
4 認証制御部
30 テンキー部
31 出力部
40 記憶部(記憶手段)
41 抽出部(抽出手段)
42 演算部(演算手段)
43 認証部(認証手段)
44 指令部(指令手段)
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例に係る電気錠装置の全体的な構成を示した機能ブロック図である。
【図2】操作部の正面図である。
【図3】記憶部へのユーザ情報の設定方法を示したフローチャートである。
【図4】ユーザ情報と認証パターンの一例を示した図である。
【図5】解錠操作時の電気錠装置の動作を示したフローチャートである。
【図6】入力数字列の構成を示した図である。
【図7】入力数字列の入力例及び認証制御部での抽出・演算結果を示した図である。
【図8】別実施例の操作部の正面図である。
【図1】
電気錠装置 図1
【図2】
電気錠装置 図2
【図3】
電気錠装置 図3
【図4】
電気錠装置 図4
【図5】
電気錠装置 図5 
【図6】
電気錠装置 図6 
【図7】
電気錠装置 図7 
【図8】
電気錠装置 図8 
メッセージ
簡単で強固なパスワード
 これからのクラウド時代には、強固なパスワード認証が必要です。
 数字やアルファベットや記号を並べるだけでは、盗み見や不正アクセスによるパスワード流出による情報の漏えいは大丈夫ですか?
 設備を備えられる場合は顔証・眼彩・指紋等で強い認証ができますが、わざわざ設備を備えなくても、既存の装置がそのまま使え、他人に見られても解り難く、その都度、桁数が違い、他人が見ても入力できないパスワードです。小学校1年生でも解り易く、楽しんで使えるので「こども預金」や若者相手の預金の暗証番号には向いていると思います。将来を見越して、この人たちを取り込んでおくのも一方策だと思います。又、自宅から振り込みするネットバンキングやネット支払にも便利です。
 ボタン式電気錠でも使用できます。

       例
暗しょう番号を入力してください。
 2407314  (7桁)

確認のためもう一度入力してください。
 57842598 (8桁ですが上と同一の暗証番号)

預金通帳とキャシュカードを盗んだ者が、貯金引き出しのためATMの前に立ちます。
 暗証番号を入力してください。
○ ○ ○ ○ ○ ○   (6桁です)
3回入力間違いをすると、警報ブザーが鳴り、警備員が駆け付けます。あなたが泥棒ならどうしますか?
The Easy and Solid Password

Recently, the importance of setting a solid password has been increasing. Just ordering random numbers or alphabet will not be a perfect solution when someone invades your computer. Setting an authentication system of face, eyes, and fingerprint can be a good solution; however, many people cannot afford to set this kind of expensive system. The password I introduce is something that others cannot decipher easily, and the number of digits will change each time others see it. The password system itself is easy to understand even for first grade elementary students. So, it can be introduced to children or young people as a good way of their deposit protection. The password can be used for online banking or online payment. It can also be used for an auto lock system.
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