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【発明の名称】太陽光発電装置
【特許権者】
【識別番号】595021684
【氏名又は名称】伊藤 喜平
【住所又は居所】京都府長岡京市奥海印寺谷田10−15
【代理人】
【識別番号】100080126
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 惇逸
【発明者】
【氏名】伊藤 喜平
【住所又は居所】京都府長岡京市奥海印寺谷田10−15
【要約】
【課題】
集熱管が全周にわたって均等に加熱されるようにすることにより、該集熱管内部を通過する気流が効率的に加熱されるようにした太陽光発電装置を提供する。
【解決手段】
断熱性外筒21と、前記外筒21内部に回転自在に支持された集熱管22と、前記集熱管22をその内部を通過する気流により回転させる集熱管駆動手段23と、太陽光を前記集熱管22側壁に照射させる太陽光照射手段24と、前記集熱管22の排気口221と接続されたタービン発電手段3と、前記集熱管22の吸気口222と空間部51において接続された温水タンク5と、前記タービン発電手段3の排水口32から前記温水タンク5に配設されたドレン管6と、前記温水タンク5の貯水部52中に配設され、空気取入口71を外部に開口すると共に空気排出口72を前記温水タンク5の空間部51に開口した吸気管7と、前記温水タンク5の貯水部52を加熱する補助加熱手段8とから構成される。
【選択図】図1
太陽光発電装置 選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
竪方向に設置された断熱性外筒(21)と、前記外筒(21)内部に受け台(25a、25b)を介して回転自在に支持された集熱管(22)と、前記集熱管(22)をその内部を通過する気流により回転させる集熱管駆動手段(23)と、太陽光を前記集熱管(22)側壁に、前記外筒(21)側壁に穿設された開口部(241)を介して照射可能に設けられた太陽光照射手段(24)と、前記外筒(21)の上方に設置されると共に前記集熱管(22)の排気口(221)と気流取入口(31)において連通可能に接続されたタービン発電手段(3)と、前記外筒(21)の下方に設置されると共に前記集熱管(22)の吸気口(222)と空間部(51)において連通可能に接続された温水タンク(5)と、前記タービン発電手段(3)の排水口(32)から前記温水タンク(5)にその空間部(51)からの気流の逆流不能に配設されたドレン管(6)と、前記温水タンク(5)の貯水部(52)中に配設され、空気取入口(71)を外部に開口すると共に空気排出口(72)を前記温水タンク(5)の空間部(51)に開口した吸気管(7)と、前記温水タンク(5)の貯水部(52)を加熱する補助加熱手段(8)とからなる太陽光発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽光発電装置において、前記集熱管駆動手段(23)が、前記外筒(21)の前記受け台(25a、25b)に、前記集熱管(22)と一体的に回転自在に支持された回転軸(231)と、前記回転軸(231)に、前記集熱管(22)内部を通過する気流による回転力の発生可能に設けられた羽根部材(232・・232)とからなる太陽光発電装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の太陽光発電装置において、前記太陽光照射手段(24)が、集光レンズ装置(242)を前記集熱管(22)側壁への太陽光の照射可能に前記外筒(21)側壁に穿設された開口部(241)に設けてなる太陽光発電装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の太陽光発電装置において、前記外筒(21)、集熱管(22)、集熱管駆動手段(23)及び太陽光照射手段(24)からなる組合せ部材が、太陽光加熱ユニット(2)として部品化された太陽光発電装置。
【請求項5】
請求項4に記載の太陽光発電装置において、複数の前記太陽光加熱ユニット(2、2)を、相対する外筒(21)が直列に接続されると共に相対する集熱管(22)が連通可能に且つ個別に回転自在に直列に接続されるように連設してなる太陽光加熱ユニット連結体(20、20)と、前記太陽光加熱ユニット連結体(20、20)における最上の外筒(21)の上方に設置されると共に最上の集熱管(22)の排気口(221)と気流取入口(31)において接続されたタービン発電手段(3)と、前記太陽光加熱ユニット連結体(20、20)における最下の外筒(21)の下方に設置されると共に最下の集熱管(22)の吸気口(222)と空間部(51)において連通可能に接続された温水タンク(5)と、前記タービン発電手段(3)の排水口(32)から前記温水タンク(5)にその空間部(51)からの気流の逆流不能に配設されたドレン管(6)と、前記温水タンク(5)の貯水部(52)中に配設され、空気取入口(71)を外部に開口すると共に空気排出口(72)を前記温水タンク(5)の空間部(51)に開口した吸気管(7)と、前記温水タンク(5)の貯水部(52)を加熱する補助加熱手段(8)とからなる太陽光発電装置。
【請求項6】
請求項5に記載の太陽光発電装置において、前記太陽光加熱ユニットが、階層化された建築物(1)の各階層(12)に対応して竪方向に直列に複数連設されることにより、太陽光加熱ユニット連結体(20、20)を構成した太陽光発電装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の太陽光発電装置において、温水供給手段(4)が併設されると共に前記温水供給手段(4)の給湯口(41)が前記ドレン管(6)又は前記温水タンク(5)に流量の調節可能に接続された太陽光発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光の熱エネルギーから電気エネルギーを効果的に取り出すようにした太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記太陽光発電装置として、気流と接触可能に配設された集熱管を太陽光により太陽光照射手段を介して加熱すると共に加熱された前記集熱管により前記気流を加熱し、生じた熱気流によりタービン発電手段を作動させるようにしたものが公知であり(特許文献1〜3)、その中には、前記集熱管に対する太陽光の照射位置を変動させ得るようにしたものも知られている(特許文献2)。
【0003】
しかしながら、前記先行技術では、前記集熱管が全周にわたって均等に加熱される構造ではないため、該集熱管内部を通過する気流が効率的に加熱されないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−46520号公報
【特許文献2】特開2008−25516号公報
【特許文献3】国際公開第2010/119739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、先行技術の前記問題点に鑑み、集熱管を、その内部に気流を通過させつつ太陽光により太陽光照射手段を介して加熱すると共に加熱された前記集熱管により前記気流を加熱し、生じた熱気流によりタービン発電手段を作動させるようにした太陽光発電装置において、前記集熱管が全周にわたって均等に加熱されるようにすることにより、該集熱管内部を通過する気流が効率的に加熱されるようにした太陽光発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するべく、本発明に係る太陽光発電装置は、請求項1に記載のように、竪方向に設置された断熱性外筒と、前記外筒内部に受け台を介して回転自在に支持された集熱管と、前記集熱管をその内部を通過する気流により回転させる集熱管駆動手段と、太陽光を前記集熱管側壁に、前記外筒側壁に穿設された開口部を介して照射可能に設けられた太陽光照射手段と、前記外筒の上方に設置されると共に前記集熱管の排気口と気流取入口において連通可能に接続されたタービン発電手段と、前記外筒の下方に設置されると共に前記集熱管の吸気口と空間部において連通可能に接続された温水タンクと、前記タービン発電手段の排水口から前記温水タンクにその空間部からの気流の逆流不能に配設されたドレン管と、前記温水タンクの貯水部中に配設され、空気取入口を外部に開口すると共に空気排出口を前記温水タンクの空間部に開口した吸気管と、前記温水タンクの貯水部を加熱する補助加熱手段とからなるものである。
【0007】
前記太陽光発電装置は、例えば、専用に設けられた設置台に設置され、既設の建築物その他の構造物に必要に応じて所要の設置台を介して外付けされ、或いは構造物の新築に際して予め用意されたスペースに、前記構造物の新築と同時に又は事後に、必要に応じて所要の設置台を介して設置されてもよい。
【0008】
前記構成において、温水タンクの貯水部が補助加熱手段により予め加熱され、煙突効果により外部の空気が吸気管を介して吸い込まれ、温水タンクの温熱水で加熱されつつ空間部に放出され、温水タンクの空間部に発生した蒸気と混合されて集熱管に下端部の吸気口から流入し、該集熱管内部を上昇気流として通過する。前記のように集熱管内部を上昇しつつ通過する蒸気混合の上昇気流は、集熱管駆動手段により集熱管を回転させつつ上端部の排気口から排出されると共にタービン発電手段にその気流取入口から流入し、該タービン発電手段を回転作動させると共に発電させる。前記タービン発電手段を通過した前記の上昇気流中の空気分は排気口から外部に放出される一方、凝縮した温熱水は該タービン発電手段の排水口から排出されると共にドレン管を介して又は直接的に温水タンクに回収され、既述のような循環使用に供される。
【0009】
なお、前記集熱管に、その内部を通過する蒸気混合の上昇気流の一部が前記外筒と集熱管との間を迂回して通過し得る穴又はスリットが穿設されていてもよい。
【0010】
前記温水タンクでは、特に太陽光発電装置の運転開始時に、必要に応じて、前記温水タンクの空間部への蒸気の発生と、吸気管を介して導入されると共に前記空間部に放出される空気の加熱のために、温水タンクの貯水部が補助加熱手段により加熱されるが、太陽光発電装置の運転の経過に伴って前記ドレン管から温水タンク内部への温熱水の帰還が継続することにより、温水タンクの貯水部水温は、前記補助加熱手段による加熱なしに、或いは弱い加熱のみで高温に維持されることになる。なお、別系統からの温熱水が前記温水タンクに補給されてもよく、その場合は、前記補助加熱手段の稼働は不要とされてもよい。前記温水タンクの貯水部水位は、前記温水タンクの空間部への蒸気の発生と、吸気管を介して導入されると共に前記空間部に放出される空気の加熱の安定した確保のために、常時、所定範囲内に保持されることが好ましく、従って前記温水タンクには必要に応じて水又は温熱水が補給されると共に過剰の温熱水は前記温水タンクから溢流させられ、そのように溢流し排出された温熱水は必要に応じて他の用途に供されてもよい。
【0011】
一方、太陽光照射手段によって外筒側壁の開口部から内部の集熱管側壁に照射された太陽光は、前記外筒内部で回転する前記集熱管の側壁を全周にわたって均等に加熱し、それによって、集熱管内部を上昇しつつ通過する蒸気混合気流が効果的に加熱されると共にその上昇が促進されることになる。
【0012】
前記外筒は、例えば、内周の耐熱性構造材とそれを覆う外周の断熱材からなるものであってもよく、またその断面形状に制限はない。前記集熱管は、熱伝導性に優れた、例えば銅板や鋼板等が使用される。また、前記タービン発電手段は、蒸気混合気流の運動エネルギーから得られる回転力を電力に変換するものであればよく、例えば公知の風力原動機や風力発電機等を好適に使用できる。
【0013】
前記構成の太陽光発電装置における前記集熱管駆動手段は、例えば、請求項2に記載のように、前記外筒の前記受け台に、前記集熱管と一体的に回転自在に支持された回転軸と、前記回転軸に、前記集熱管内部を通過する気流による回転力の発生可能に設けられた羽根部材とからなるものであってもよい。前記羽根部材は、例えば翼形状のものや螺旋形状のものであってもよい。前記集熱管の回転は、該集熱管が太陽光照射手段により全周にわたって太陽光で均等に加熱されることを目的とするものであり、緩慢な回転で足りる。
【0014】
前記構成では、既述のように前記集熱管内部を上昇しつつ通過する蒸気混合の上昇気流により、前記回転軸上の羽根部材が該回転軸と一体に回転させられると同時に前記集熱管が前記回転軸を中心に回転させられる。
【0015】
なお、前記集熱管駆動手段の別態様として、前記受け台に前記羽根部材付きの回転軸を設ける前記構成に代えて、回転自在に支持された前記集熱管の内壁に羽根部材を、該集熱管内部を通過する気流による回転力の発生可能に設けてもよい。
【0016】
前記構成の太陽光発電装置における前記太陽光照射手段は、請求項3に記載のように、集光レンズ装置を、前記集熱管側壁への太陽光の照射可能に、前記外筒側壁に穿設された開口部に設けてなるものであってもよい。前記集光レンズ装置としては、例えば、単一又は複数の凸円形レンズや凸円柱レンズ等の凸レンズ及び必要に応じてそれらに所要のプリズム、鏡体、レンズ等を含む光学システムを組み合わせたものが好適に使用可能である。前記太陽光照射手段は、必要に応じて、公知の太陽光自動追尾機能を有していてもよい。
【0017】
なお、前記太陽光照射手段とは別態様の太陽光照射手段としては、例えば、前記外筒側壁に穿設された開口部に、前記のような集光レンズ装置と共に、或いはそれに代えて別の集光レンズ装置を設けてもよく、その一例として、前記集熱管の外側周囲にそれを囲繞する円筒状或いは多角筒状等の配置で、前記集熱管側壁への太陽光の照射可能に複数の凸円形レンズや凸円柱レンズ等からなる凸レンズ群を前記集熱管と一体的に回転可能に前記受け台に設置してもよい。
【0018】
前記別態様の太陽光照射手段の構成では、前記外筒側壁の前記開口部又は該開口部に設けられた既述集光レンズ装置を介して入射した太陽光は、前記集熱管と一体的に回転する前記凸レンズ群を介して前記集熱管側壁に照射されると共に該集熱管側壁を全周にわたって均等に加熱することになる。
【0019】
既述構成の太陽光発電装置では、請求項4に記載のように、前記外筒、集熱管、集熱管駆動手段及び太陽光照射手段からなる組合せ部材が、太陽光加熱ユニットとして部品化されていてもよい。
【0020】
前記のように太陽光発電装置の主要部材が太陽光加熱ユニットとして部品化されたものでは、例えば前記太陽光加熱ユニットを別のものと入れ替えることや前記太陽光加熱ユニットを直列及び/又は並列に複数配設すること等が容易に可能である。
【0021】
前記太陽光加熱ユニットを直列に複数連設してなる太陽光発電装置として、例えば、請求項5に記載のように、請求項4に記載の前記太陽光発電装置において、複数の前記太陽光加熱ユニットを、相対する外筒が直列に接続されると共に相対する集熱管が連通可能に且つ個別に回転自在に直列に接続されるように連設してなる太陽光加熱ユニット連結体と、前記太陽光加熱ユニット連結体における最上の外筒の上方に設置されると共に最上の集熱管の排気口と気流取入口において接続されたタービン発電手段と、前記太陽光加熱ユニット連結体における最下の外筒の下方に設置されると共に最下の集熱管の吸気口と空間部において連通可能に接続された温水タンクと、前記タービン発電手段の排水口から前記温水タンクにその空間部からの気流の逆流不能に配設されたドレン管と、前記温水タンクの貯水部中に配設され、空気取入口を外部に開口すると共に空気排出口を前記温水タンクの空間部に開口した吸気管と、前記温水タンクの貯水部を加熱する補助加熱手段とからなるものであってもよい。
【0022】
なお、前記太陽光加熱ユニットを構成する組合せ部材として、前記外筒、集熱管、集熱管駆動手段及び太陽光照射手段に、さらにドレン管を含めることも可能であるが、その場合、前記太陽光加熱ユニットを複数連設して太陽光加熱ユニット連結体を構築するに際して、相対するドレン管も連通可能に接続されると共に、最上のドレン管が前記タービン発電手段の排水口に接続され、且つ最下のドレン管が前記温水タンクに接続されるように構成すればよい。
【0023】
前記太陽光発電装置が複数階に階層化された建築物等の構造物に設置される場合、例えば、請求項6に記載のように、前記太陽光加熱ユニットが、階層化された建築物の各階層に対応して竪方向に直列に複数連設されることにより、太陽光加熱ユニット連結体を構成してもよい。前記の場合、例えば、建築物等の構造物の階層に沿って昇降移動可能に設けられた昇降装置(例えば本発明者の発明に係る特許第5745679号明細書に記載の昇降装置)を利用して、各階層に対応した前記太陽光加熱ユニットの設置、入れ替え及び保守点検等を安全且つ効果的に行うことができる。
【0024】
前記太陽光発電装置においては、請求項7に記載のように、温水供給手段が併設されると共に前記温水供給手段の給湯口が前記ドレン管又は前記温水タンクに流量の調節可能に接続されていてもよい。なお、前記温水供給手段として、例えば公知の太陽熱温水器等を好適に使用できる。
【0025】
前記構成では、前記温水供給手段による前記温水タンクへの温熱水の補給及び温水タンクの貯水部の加熱が可能になる。なお、前記温水タンクと温水供給手段との間で温熱水が循環されてもよい。
【発明の効果】
【0026】
請求項1に係る発明によれば、集熱管をその内部に気流を通過させつつ太陽光照射手段により加熱すると共に加熱された前記集熱管により前記気流を加熱し、生じた熱気流によりタービン発電手段を作動させるようにした再生可能エネルギーの有効利用に資する太陽光発電装置において、前記温水タンクの空間部に生じた蒸気混合の気流を煙突効果により前記管路内部に通過させて前記タービン発電手段をより強力に作動させると共に作動後の前記蒸気混合の気流中の温熱水を温水タンクに帰還させ、また前記集熱管を前記気流により回転させて太陽光により全周にわたって均等に加熱させると共にそれによって該集熱管内部を通過する蒸気混合気流を効率的に加熱することができる。
【0027】
請求項2に係る発明によれば、集熱管内部を上昇しつつ通過する蒸気混合気流により、前記集熱管を効果的に回転させることができる。
【0028】
請求項3に係る発明によれば、前記外筒側壁に穿設された開口部に設けられた集光レンズ装置により、前記集熱管をその回転状態下に効果的に加熱することができる。
【0029】
請求項4に係る発明によれば、所要構成部材を組み合わせると共に太陽光加熱ユニットとして部品化することにより、前記太陽光加熱ユニットを別のものと入れ替えることや前記太陽光加熱ユニットを直列及び/又は並列に組み合わせて複数配設すること等が容易に可能となる。
【0030】
請求項5に係る発明によれば、複数の太陽光加熱ユニットからなる太陽光加熱ユニット連結体を用いて太陽光発電装置を効率的に構築することができる。
【0031】
請求項6に係る発明によれば、階層化された建築物の階層ごとに、それに対応する太陽光加熱ユニットの設置、入れ替え、保守点検等を効率的に行うことができる。
【0032】
また、請求項7に係る発明によれば、太陽光発電装置に温水供給手段を併用することにより、前記温水タンクへの温熱水の補給及び温水タンクの貯水部の加熱を可能にすると共に、前記補助加熱手段の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る太陽光発電装置の全体構成を示す縦断面図であり、集光レンズ装置の一部の正面図を含んでいる。
【図2】図2は、図1に示す太陽光加熱ユニットの中央部の拡大横断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施例2に係る太陽光発電装置の全体構成を示す縦断面図であり、右側の太陽光加熱ユニット連結体の正面図を含んでいる。
【図4】図4は、本発明の実施例3に係る太陽光発電装置であって、複数階層からなる建築物に本発明に係る太陽光加熱ユニット連結体を設置する場合の模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施例を、以下に図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0035】
図1〜2に示す実施例1に係る太陽光発電装置において、建築物1の壁面に、太陽光加熱ユニット2が所要設置台11を介して着脱可能に竪方向に設置され、前記建築物1の屋上に風力発電機からなるタービン発電手段3及び太陽熱温水器からなる温水供給手段4が各々設置され、さらに前記建築物1の地下に温水タンク5が設置されている。
【0036】
前記太陽光加熱ユニット2は、外筒21、集熱管22、集熱管駆動手段23及び太陽光照射手段24の組合せ部材からなり、このようなユニット化は、前記組合せ部材を恰も一体の部品のようにして例えば交換、修理、組み換え、増設等を容易に可能にしている。
【0037】
前記外筒21は、内周の耐熱性構造材とそれを覆う外周の断熱材からなり、該外筒21の上下開口部に通気自在な車輪形状の受け台25a、25bが架設されている。前記集熱管22は、熱伝導性に優れた鋼板からなり、前記外筒21内部において、前記上下の各受け台25a、25bに転がり軸受26a、26bを介して回転自在に支持されている。
【0038】
前記集熱管駆動手段23は、回転軸231が、前記集熱管22の中央において、前記上下の各受け台25a、25bにコイルばね27a、27b及び球面軸受28a、28bを介して回転自在に支持されると共に前記回転軸231に、その中間部分及び前記コイルばね27a、27bの収納部分において、羽根部材232・・232が前記集熱管22内壁と架橋するように設けられてなり、前記羽根部材232・・232及び回転軸231は前記集熱管22と一体的に回転可能とされている。なお、前記羽根部材232・・232が前記集熱管22内壁と架橋される代わりに、或いはそれと共に、回転軸231が前記集熱管22内壁と通気自在下に別部材により連結されてもよい。
【0039】
前記受け台25a、25bは、通気自在下に前記回転軸231及び前記集熱管22を回転自在に支持するものである限り、その形状、構造に限定はなく、また前記羽根部材232・・232もまた、前記集熱管22内部を通過する気流により回転するものである限り、その形状、構造に限定はない。
【0040】
また、前記太陽光照射手段24は、前記外筒21の前方側壁に竪方向に穿設された長穴状の開口部241に集光レンズ装置242が設けられてなり、前記集光レンズ装置242は、前記外筒21側壁の開口部241にその封止可能に装着された湾曲透明板2421とその外側に対向して配置された竪方向の凸円柱レンズ2422から構成され、内側面には反射材2423が形成されている。前記湾曲透明板2421と凸円柱レンズ2422との空隙は、必要に応じて真空であってもよい。なお、前記集光レンズ装置242における前記凸円柱レンズ2422に代えて、例えば前記凸円柱レンズの変形体や凸円形レンズが多数配列されたもの等であってもよい。
【0041】
前記太陽光加熱ユニット2における前記集熱管22の排気口221が、上方の受け台25aを介して前記タービン発電手段3の気流取入口31に連通可能に接続され、前記集熱管22の吸気口222は、下方の受け台25bを介して前記温水タンク5にその空間部51と連通可能に接続されている。
【0042】
前記タービン発電手段3の排水口32が、ドレン管6を介して前記温水タンク5に連通可能に接続され、該ドレン管6の排出口61は前記温水タンク5にその貯水部52中に開口するように配設されている。また、前記温水供給手段4の給湯口41が、前記ドレン管6に流量の調節可能に接続されている。前記温水タンク5には溢流管53が設けられ、貯水部52水位は、常時、所定範囲内に保持されている。
【0043】
前記温水タンク5の貯水部52中には吸気管7が、その内部を通過する気流の加熱可能に配設され、前記吸気管7の空気取入口71が外部に開口すると共に空気排出口72が前記温水タンク5の空間部51に開口している。また、前記温水タンク5には、その貯水部52を加熱するための公知の温度調節付き液体加熱用ヒータからなる補助加熱手段8が設けられている。
【0044】
前記構成において、前記温水タンク5の貯水部52が前記補助加熱手段8により予め加熱され、煙突効果により外部の空気が、矢印で示すように前記吸気管7にその空気取入口71から吸い込まれ、前記温水タンク5の貯水部52で吸気管7を介して加熱されつつその空気排出口72から空間部51に放出され、前記温水タンク5の空間部51に発生した蒸気と混合されて前記集熱管22に下端部の吸気口222から流入し、上昇気流UDとして矢印で示すように前記集熱管22内部を通過する。前記集熱管22内部を上昇しつつ通過する蒸気混合の上昇気流UDは、前記集熱管駆動手段23における前記羽根部材232・・232及び回転軸231を回転させると共にそれによって前記集熱管22を回転させつつ上端部の排気口221から排出され、前記タービン発電手段3にその気流取入口31から流入すると共に該タービン発電手段3を回転作動させ、発電させる。前記タービン発電手段3を通過した前記上昇気流UD中の空気分が矢印で示すように排気口33から外部に放出される一方、凝縮した温熱水は、矢印で示すように該タービン発電手段3の排水口32から排出されると共にドレン管6を介して前記温水タンク5に帰還し回収され、既述のような循環使用に供される。なお、前記温水タンク5には、必要に応じて、前記温水供給手段4から前記ドレン管6を介して温熱水が供給される。
【0045】
一方、太陽光が、前記太陽光照射手段24における前記集光レンズ装置242の凸円柱レンズ2422によって矢印で示すように集光されつつ、外筒21側壁の開口部241から内部の集熱管22側壁に照射され、前記外筒21内部で回転する前記集熱管22の側壁を全周にわたって均等に加熱し、それによって、集熱管22内部を上昇しつつ通過する蒸気混合の前記上昇気流UDが効果的に加熱される。
【0046】
前記太陽光加熱ユニット2を構成する組合せ部材として、前記外筒21、集熱管22、集熱管駆動手段23及び太陽光照射手段24に、さらにドレン管6を含めることも可能である。
【実施例2】
【0047】
図3に示す実施例2に係る太陽光発電装置は、実施例1において、1基の前記太陽光加熱ユニット2が竪方向に設けられる代わりに、2基の前記太陽光加熱ユニット2、2を竪方向に連設してなる2体の太陽光加熱ユニット連結体20、20がドレン管6を挟んで並列に設置されてなり、その他の構成は、実施例1の場合と基本的に同様である。なお、前記太陽光加熱ユニット連結体として、必要に応じて、2基を超える太陽光加熱ユニット2・・2が竪方向に連設されていてもよく、また2基以上の太陽光加熱ユニット2・・2からなる前記太陽光加熱ユニット連結体20・・20が2体を超えて並列に設置されてもよい。
【0048】
各太陽光加熱ユニット連結体20、20と前記タービン発電手段3及び前記温水タンク5の各接続に際しては、各太陽光加熱ユニット連結体20、20における最上の太陽光加熱ユニット2の集熱管22の排気口221が、最上の受け台25aを介して前記タービン発電手段3の気流取入口31に連通可能に接続されると共に、最下の太陽光加熱ユニット2の集熱管22の吸気口222が、最下の受け台25bを介して前記温水タンク5の空間部51に連通可能に接続されている。
【0049】
また、各太陽光加熱ユニット連結体20、20における上下の太陽光加熱ユニット2、2の連結に際しては、相対する外筒21、21が、互いに凹凸嵌合させた、上方の太陽光加熱ユニット2の受け台25bと下方の太陽光加熱ユニット2の受け台25aを介して、ボルト、ネジ等からなる固定具(図示省略)により接続固定され、それによって相対する集熱管22、22が、各受け台25a、25bを介して連通可能に且つ個別に回転自在に接続されている。
【実施例3】
【0050】
図4に示す実施例3に係る太陽光発電装置は、複数階に階層化された高層集合住宅等の建築物1に設置され、その場合、前記太陽光加熱ユニット2・・2が前記建築物1の各階層12・・12に対応して竪方向に直列に設置台(図示省略)を介して複数連設され、或いはそのように竪方向に直列に複数連設されたものがさらに並列に設置され、それによって各階層12・・12に対応した太陽光加熱ユニット2・・2からなる太陽光加熱ユニット連結体20・・20が構成されている。なお、前記太陽光加熱ユニット連結体20・・20における各太陽光加熱ユニット2・・2の設置、入れ替え及び保守点検等に際しては、例えば特許第5745679号明細書に記載の昇降ユニットに前後方向進退移動可能に設けられた荷台支持体を好適に利用することができる。例えば、前記太陽光加熱ユニット2・・2の保守点検等の場合は、対象となる各階層12・・12の両側に設けられた前記荷台支持体の少なくとも一方を利用し、例えばこれにロープやゴンドラ等を掛ける等して効果的に行うことが可能であり、また前記太陽光加熱ユニット2・・2の設置、入れ替え等の場合は、前記両側の荷台支持体に荷台を架橋し、例えば該荷台に設置、入れ替え用の太陽光加熱ユニット等を載置し、昇降移動させる等して安全且つ効果的に行うことが可能であり、また前記荷台を利用して前記保守点検等を行うことも当然可能である。
【0051】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神と特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形、組合せ等による前記以外の多くの広範な実施態様が実施可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る太陽光発電装置を例えば高層集合住宅その他の建築物に付設することにより、再生可能エネルギーの有効利用による該建築物の省エネルギーを実現することができる。
【符号の説明】
【0053】
UD 上昇気流
1 建築物
11 設置台
12 階層
2 太陽光加熱ユニット
20 太陽光加熱ユニット連結体
21 外筒
22 集熱管
221 排気口
222 吸気口
23 集熱管駆動手段
231 回転軸
232 羽根部材
24 太陽光照射手段
241 開口部
242 集光レンズ装置
2421 湾曲透明板
2422 凸円柱レンズ
2423 反射材
25a、25b 受け台
26a、26b 転がり軸受
27a、27b コイルばね
28a、28b 球面軸受
3 タービン発電手段
31 気流取入口
32 排水口
33 排気口
4 温水供給手段
41 給湯口
5 温水タンク
51 空間部
52 貯水部
53 溢流管
6 ドレン管
61 排出口
7 吸気管
71 空気取入口
72 空気排出口
8 補助加熱手段
【図1】
太陽光発電装置 図1
【図2】
太陽光発電装置 図2
【図3】
太陽光発電装置 図3
【図4】
太陽光発電装置 図4
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