閉じる
土木・建設
 
【考案の名称】仮設足場
【実用新案権者】
【識別番号】523109574
【氏名又は名称】宮本 和俊
【住所又は居所】岡山県倉敷市西田394-17
【代理人】
【識別番号】100187104
【弁理士】
【氏名又は名称】乾 智彦
【考案者】
【氏名】宮本 和俊
【住所又は居所】岡山県倉敷市西田394-17
【要約】 (修正有)
【課題】極力簡便な構造で、出入り通路を妨げることなく、しかも、出入り口を自重で閉鎖できるようにした扉体を備えた、仮設足場を提供する。
【解決手段】仮設足場は、複数の柱状部材と該柱状部材間を連絡する梁部と前記柱状部材間に架け渡す通路床部材とで囲んで作業空間を画成し、該作業空間への出入口に、出入口開口面を備え、開口面に沿って緩衝伸縮ロッドを介して緩衝的に遮蔽する扉体を備える。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
建築構造物の周囲に仮設され、複数の柱状部材と該柱状部材間を連絡する梁部と前記柱状部材間に架け渡す通路床部材とで囲む作業空間を画成してなる仮設足場において、
前記作業空間への出入口開口面を、開口面に沿って緩衝伸縮ロッドを介して緩衝的に遮蔽する扉体を備えた、ことを特徴とする仮設足場。
【請求項2】
前記扉体は、前記出入口開口面の一端部側に立設される第1の支柱パイプと、該第1の支柱パイプに屈曲可能に連結した第1の梁パイプ及び第2の梁パイプと、該第1の梁パイプ及び第2梁パイプに屈曲可能に連結して第1の梁パイプ及び第2梁パイプを介して前記第1支柱パイプに折り重なるように連結した第2の支柱パイプとを備え、
前記第1支柱パイプの基端側と前記第2梁パイプとを、前記緩衝伸縮ロッドを介して連結する構成とした、ことを特徴とする請求項1に記載の仮設足場。
【請求項3】
前記緩衝伸縮ロッドは、作動流体を収容したオイルダンパである、ことを特徴とする請求項1または2に記載の仮設足場。

詳細な説明
閉じる
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は極力簡便な構造で、出入り通路を妨げることなく、しかも、出入り口を自重で閉鎖できる扉体を備えた、仮設足場に関する。
【背景技術】
【0002】
建築構造物の新築工事や修繕工事時に、仮設される仮設足場は、工事に携わる工事関係者が能率的、且つ安全に工事を進める上で必要な設備である。
仮設足場は、工事関係者の作業空間を区画するために、管体等を、ジョイント器具を用いて建築構造物の外壁に添うように組み上げられる。そしてこのような仮設足場には、作業空間内に外から入る入口に扉体が設けられ、工事関係者以外の部外者が無断で出入りしないようにしている。
【0003】
仮設足場の入口に設けられる扉体として、片開き扉で開放位置と閉鎖位置とに固定可能で、片手操作可能な仮設足場用簡易扉装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
上記仮設足場用簡易扉装置においては、扉本体に設けたピン部材を、支持杵に設けた支承体の係止孔に選択的に挿入することで、扉本体を、出入口部を閉ざす閉位置と出入口部を開放する開位置とに固定するようにしたので、片手で扉本体を持ち上げて回動させ、ピン部材が係止される係止孔を変更させることにより、扉本体の開閉を容易に行うことができるばかりでなく、扉本体を開放位置でも停止固定させることができる。
【0005】
また、扉体として、引戸式またはスライドバー式構成のものが提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
上記構成によれば、通路幅を比較的狭い寸法に設定した仮設足場においても、昇降用の側面開口部を十分に開放することができ、しかも、通路と昇降手段との間で移動する作業者が比較的容易に開閉操作することができ、加えて手摺としても十分な強度を有するとしている。
【0007】
また、作業者が手を自由に使えないような状態であっても、体の一部を押し当てて手摺部材を跳ね上げて手摺開口部を開放させ、次いで作業者が手摺材から体を離すことで、手摺材が斜め上方に跳ね上がった状態から、自重によって手摺開口部側へと元の閉鎖状態に復帰する構成の開閉式手摺が開示されている(特許文献3参照)。
【0008】
さらに、仮設足場用扉において、扉本体の自動閉動しやすくし、且つ外部からも容易に取り外すことができない構成の仮設足場用扉が提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】 特開2007−63747号公報
【特許文献2】 実用新案登録第3171964号公報
【特許文献3】 特開2014−9562号公報
【特許文献4】 特開2019−39293号公報
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1では、扉本体を仮設足場の出入り口を閉ざす閉位置と出入り口を開放する開位置とに固定する構造であり、仮設足場の出入り口内の作業空間内の通路内に出入りする際に、作業員は必ず扉本体の固定操作をしなければならない。
【0011】
特許文献2の扉体として、引戸式またはスライドバー式構成のものでは、通路幅を比較的狭い寸法に設定した仮設足場においては、昇降用の側面開口部を十分に開放することができるとしても、作業員が側面開口部から通路内に入った際には、作業員は必ず扉体の閉めのスライド操作が必要となる。
【0012】
特許文献3の開閉式手摺では、手摺開口部から通路内へいわば内開き構造のもので、作業者が開閉式手摺を押し込みながら通路内に入り、開閉式手摺が跳ね上がった状態から、開閉式手摺から離れることで、開閉式手摺が自重により元の手摺開口部を閉鎖状態とするものであり、逆に通路内から外へでるときは、開閉式手摺を跳ね上げ操作して通り道を確保することになる。したがって作業者は、開閉式手摺が自重により降りて通り道をふさぐ前に手摺開口部を通過して外に出る必要がある。
【0013】
特許文献4の仮設足場用扉では、扉本体を扉本体の上下を取付枠で挟んで保持する構成とし、扉クローザにより、自動閉動可能な開き戸の構造のものである。かかる構成では、パネル状の扉本体と扉クローザと、堅牢である反面、部品点数が多く、構造の複雑化は避けられない。
本考案は、以上のような課題を改善するために提案されたものであって、極力簡便な構造で、出入り通路を妨げることなく、しかも、出入り口を通過後自重で閉鎖できる扉体を備えた、仮設足場を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を改善するために請求項1にかかる本考案では、建築構造物の周囲に仮設され、複数の柱状部材と柱状部材間を連絡する梁部と柱状部材間に架け渡す通路床部材とで囲む作業空間を画成してなる仮設足場において、作業空間への出入口開口面を、開口面に沿って緩衝伸縮ロッドを介して緩衝的に遮蔽する扉体を備えた、ことを特徴とする。
【0015】
これにより、作業者が作業空間から出入口を介して外に出る際に、遮蔽状態にある扉体を手で出入口を開放するように操作する。
出入口を通過する際に扉体から手を離すと、扉体は緩衝伸縮ロッドの緩衝作用下に、出入口開口面を、開口面に沿って自重により遮蔽することができる。このため、扉体の閉め忘れのおそれはない。
請求項2にかかる本考案では、扉体は、出入口開口面の一端部側に立設せる第1の支柱パイプと、第1支柱パイプに屈曲可能に連結した第1、第2の梁パイプと、第1、第2梁パイプに屈曲可能に連結して第1、第2梁パイプを介して第1支柱パイプに折り重なるように連結した第2の支柱パイプとを備え、第1支柱パイプの基端側と第2梁パイプとを、緩衝伸縮ロッドを介して連結する構成とした、ことを特徴とする。
【0016】
これにより、扉体は、第1、2支柱パイプと第1、第2梁パイプとで展開状態で出入口開口面を遮蔽することができる。
作業者が作業空間から出入口を介して外に出る際、第1梁パイプを持ち上げることで、第1、第2梁パイプが第1支柱パイプに対して上方に跳ね上がるように屈曲していく。このとき、第1支柱パイプの基端側と第2梁パイプ間に連結した緩衝伸縮ロッドの作動抵抗下に緩衝伸縮ロッドが伸長し、第2支柱パイプが第1支柱パイプに折り重なるように第1支柱パイプに折り畳まれた状態になり、出入口開口が開放され、通過可能となる。
出入口開口を通過し、扉体から手を離すと、扉体は緩衝伸縮ロッドの緩衝作用下に、第1、2支柱パイプと第1、第2梁パイプとが自重により、出入口開口面に沿って緩衝的に展開状態となり、出入口開口を遮蔽することができるので、扉体の閉め忘れのおそれはない。
【0017】
さらに請求項3にかかる考案では、緩衝伸縮ロッドは、作動流体を収容したオイルダンパである、ことを特徴とする。
【0018】
これにより、ロッドが軸方向に外力が及ばされると、作動流体の流体圧により、ロッドは軸方向に緩衝的に応動し、伸縮作動する。
【考案の効果】
【0019】
本考案によれば、極力簡便な構造で、出入口開口面に沿って自重で緩衝的に閉鎖できるので、出入り通路を妨げることなく、閉め忘れというおそれもない扉体を備えた、仮設足場を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本考案にかかる仮設足場の第1実施形態を示す概略側面図である。
【図2】図1に示す仮設足場に設けられる扉体の展開状態を示した構成説明図である。
【図3】図1に示す扉体を折り畳んだ状態と、緩衝伸縮ロッドのロッド伸長状態を示した全体説明図である。
【考案を実施するための形態】
【0021】
以下、本考案にかかる実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置などは特に特定的な記載がない限り、この考案の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0022】
(実施形態)
図1に、本考案にかかる仮設足場1の一例を示す。仮設足場1は工事関係者の作業空間を区画するために、組立管体(後述)等を、ジョイント器具(図示要略)を用いて建築構造物(図示省略)の外壁に添うように組み上げられる。
この仮設足場1は、複数の柱状部材2とこれら柱状部材2間を連絡する梁部3と柱状部材2間に架け渡す通路床部材4とで囲む作業空間Wsを画成している。なお、仮設足場1は対象の建築構造物に応じて複数段組み上げられるもので、図1では、一部(一段部)を省略的に図示している。
かかる仮設足場1には、作業空間wsへの出入り口として出入口開口部1eが設けられ、作業者は地上からタラップ5を昇って出入口開口部1eから作業空間Ws内に入るようになっている。
そして出入口開口部1eには、開口部1eを遮蔽する扉体10が設けられている。
【0023】
扉体10は、長短単管パイプの組み合わせで構成されている(図2参照)。
扉体10は、仮設足場1の出入口開口部1eの一端部側の柱状部材2にクランプ具Cを介して結合した第1の支柱パイプ11と、第1支柱パイプ11に屈曲可能に連結した第1、第2の梁パイプ12、13と、第1、第2梁パイプ12、13に屈曲可能に連結して第1、第2梁パイプ12、13を介して第1支柱パイプ11に折り重なるように連結した第2の支柱パイプ14とを備えている。
【0024】
第1支柱パイプ11は、柱状部材2の高さと略同一の寸法を有し、第1支柱パイプ11上端部には、第1梁パイプ12を、第1支柱パイプ11に対し一直線状の位置から略水平状に屈曲自在に連結している。
【0025】
第1、第2梁パイプ12、13は、同一寸法とし、第2梁パイプ13は、第1支柱パイプ11の中間点に屈曲自在に連結している。
【0026】
第2支柱パイプ14は、上端部14tを所定寸法直角状に湾曲させ、この上端部14tを含む第2支柱パイプ14の高さ寸法が第1支柱パイプ11と略同一としている。かかる第2支柱パイプ14の上端部14tには、第1梁パイプ12を屈曲自在に連結し、第2支柱パイプ14の中間点には、第2梁パイプ13を屈曲自在に連結している。
第2支柱パイプ14上部の上端部14tは、第2支柱パイプ14を第1、第2梁パイプ12、13と共に第1支柱パイプ11側に互いに略平行状態に折り畳み可能とする間隔を確保している。
なお、第2支柱パイプ14の上端部14tは、扉体10を操作する際の握り部として、作業者が手動で扉体10を操作しやすくするようにしている。
そして第1支柱パイプ11の基端側と第2梁パイプ13とは、緩衝伸縮ロッド15を介して連結する構成としている。
【0027】
次に緩衝伸縮ロッド15について説明する。
緩衝伸縮ロッド15は、作動流体を収容したオイルダンパ15である。
オイルダンパ15は、図3に示すように、外筒15aと外筒15aに突没可能に配置した作動外筒15bと、作動外筒15b内に且つ外筒15a内底部に固定して同軸状に収容した内筒15cと、内筒15cに作動流体を収容してピストン(図示省略)を介し、軸方向に作動する作動ロッド15dとを備えている。そして作動ロッド15d先端は、作動外筒15bに軸止めされ、作動外筒15b先端に結合ロッド15eが設けられている。
結合ロッド15eには長穴Lhが設けられ、長穴Lhを介して結合ロッド15eが、第1支柱パイプ11の基端側に設けた突起部11vの連結ピン11pを遊動可能に連結している。
【0028】
本考案にかかる仮設足場1は以上のように構成されるものであり、その作用を説明する。
仮設足場1は対象の建築構造物に応じて建築構造物の外壁に添うように、組立管体等を、ジョイント器具を用いて組み上げられるが、複数の柱状部材2とこれら柱状部材2間を連絡する梁部3と柱状部材2間に架け渡す通路床部材4とで囲む作業空間Wsが画成される。
作業空間wsへの出入口開口部1eには、扉体10が、第1、2支柱パイプ11、14と第1、第2梁パイプ12、13とで展開状態で遮蔽されている。
【0029】
作業者が出入口開口部1eを介して作業空間Ws内に出入りする際、第2支柱パイプ14の上端部14tを握り、持ち上げることで、第1、第2梁パイプ12,13が追随して連動し、第1支柱パイプ11に対して上方に跳ね上がるように屈曲していく。
このとき、第1支柱パイプ11の基端側と第2梁パイプ13間に連結したオイルダンパ15に、軸方向に引張力がかかる。
するとオイルダンパ15は、作動外筒15b内の内筒15cに収容した作動流体の流動圧に抗して作動ロッド15dを通じて作動外筒15bが外筒15aから軸方向に引き出され、作動外筒15b先端の結合ロッド15eの長穴Lhを、第1支柱パイプ11の基端側の突起部11vの連結ピン11pが遊動しつつ、作動外筒15b先端の結合ロッド15eが伸長する。
第2支柱パイプ14は、第1、第2梁パイプ12、13と共に第1支柱パイプ11側に互いに略平行状態にもたらされ、第2支柱パイプ14が第1支柱パイプ11に折り重なるように第1支柱パイプ11に折り畳まれた状態になり、出入口開口が開放され、通過可能となる(図1、図3参照)。
【0030】
作業者が出入口開口部1eを通過し、扉体10から手を離すと、扉体10はオイルダンパ15の作動外筒15b先端の結合ロッド15eが軸方向に緩衝作用下に、第1、2支柱パイプ11、14と第1、第2梁パイプ12、13とが自重により、出入口開口部1eを開口面に沿って緩衝的に展開状態となり、出入口開口部1eを遮蔽することができるので、扉体の閉め忘れのおそれはない。
【0031】
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上、本考案の仮設足場1における扉体10は、長短単管パイプの組み合わせで構成されているが、勿論、長短単管パイプの組み合わせに限らず、出入口開口部を開口面に沿って緩衝機構によって回動可能に支持されたパネル体によっても実施可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 仮設足場
1c 開口部
2 柱状部材
3 梁部
4 通路床部材
5 タラップ
10 扉体
11 第1支柱パイプ
11v 突起部
11p 連結ピン
12 第1梁パイプ
13 第2梁パイプ
14 第2支柱パイプ
15 緩衝伸縮ロッド(オイルダンパ)
15a 外筒
15b 作動外筒
15c 内筒
15d 作動ロッド
15e 結合ロッド
Ws 作業空間
Lh 長穴
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
ページtop へ