閉じる
家庭用品U
 
【発明の名称】害虫用捕獲具、及びこの害虫用捕獲具を備えた吸引装置
【出願人】
【識別番号】507133256
【氏名又は名称】高野 誠
【住所又は居所】岡山県新見市金谷434番地1
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100129104
【氏名又は名称】舩曵 崇章
【発明者】
【氏名】高野 誠
【住所又は居所】岡山県新見市金谷434番地1
【要約】
【課題】
害虫を吸引する際などに悪臭が拡がりにくく、気持ちよく作業できる害虫用捕獲具を提供する。
【解決手段】
吸引装置に接続するための装置接続口21を一端側に有し、害虫を吸引するための害虫吸引口22を他端側に有する筒状本体2と、筒状本体2の内部空間を装置接続口21側と害虫吸引口22側とに仕切るように、筒状本体2の内部に装着する消臭フィルタ3と、消臭フィルタ3よりも害虫吸引口22側の位置で筒状本体2の内部に設ける害虫返し部材4と、を備えてなる害虫用捕獲具1とした。このとき、消臭フィルタ3よりも装置接続口21側の位置で筒状本体2の内部に装着する芳香手段5を備えてなる害虫用捕獲具1とすることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引装置に接続するための装置接続口を一端側に有し、害虫を吸引するための害虫吸引口を他端側に有する筒状本体と、
該筒状本体の内部空間を装置接続口側と害虫吸引口側とに仕切るように、筒状本体の内部に装着する消臭フィルタと、
該消臭フィルタよりも害虫吸引口側の位置で前記筒状本体の内部に設ける害虫返し部材と、
を備えてなる害虫用捕獲具。
【請求項2】
吸引される害虫は、亀虫である、
請求項1記載の害虫用捕獲具。
【請求項3】
筒状本体は、芳香性を有するものである、
請求項1又は請求項2記載の害虫用捕獲具。
【請求項4】
消臭フィルタよりも装置接続口側の位置で筒状本体の内部に装着する芳香手段を備えてなる、
請求項1〜3いずれか記載の害虫用捕獲具。
【請求項5】
害虫吸引口に着脱自在に蓋着する蓋体を備えてなる、
請求項1〜4いずれか記載の害虫用捕獲具。
【請求項6】
可燃材料を用いることで焼却可能に構成されてなる、
請求項1〜5いずれか記載の害虫用捕獲具。
【請求項7】
消臭フィルタは、
使用されている消臭材に活性炭を含んでなる、
請求項1〜6いずれか記載の害虫用捕獲具。
【請求項8】
害虫吸引口に着脱自在に装着され、害虫吸引口まで害虫を吸入するための吸入アタッチメントを備えてなり、
前記吸入アタッチメントは、
その先端に害虫吸入口を有し、
前記害虫吸入口は、
その開口面積が害虫吸引口の開口面積よりも小さなものである、
請求項1〜7いずれか記載の害虫用捕獲具。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか記載の害虫用捕獲具を備えてなる吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、吸引装置の吸引力を利用して亀虫等の害虫を捕獲するための害虫用捕獲具、及びこの害虫用捕獲具を備えた吸引装置に関する。
【背景技術】
近年、住宅等の建物は気密性が高くなり、また、換気等の際であっても、窓には網戸が取り付けられていることから、室内に害虫が入り込みにくい構造となっている。しかし、それでも尚、亀虫やゴキブリ等の害虫が室内に入り込むことがある。このような場合、例えば、殺虫剤を吹きかけたり丸めた新聞紙で叩いたりして殺生することがあったが、気持ちのよいものではなかった。特に、亀虫等の悪臭を放つ害虫に対して上記処置を行う場合、精神的なストレスを受けやすく、多数の害虫を処置せざるを得ないとき、人によっては気が滅入ってしまうこともあった。
また、飲食店等にはゴキブリ等の害虫が入り込んだり繁殖したりしやすいが、殺虫剤を吹きかけたり新聞紙で叩いたりすることは衛生上好ましくない。
一方、農業の分野においては、農作物に悪影響を与える害虫を駆除する必要がある。例えば、果樹カメムシ は、その吸汁によってミカン、ナシ及びビワ等のあらゆる果樹に悪影響を与える害虫であり、近年では1996年に全国的に大発生し、果樹栽培において大きな問題となった。このような場合にも、主に、殺虫剤(農薬)を散布して害虫を殺生しているが、無農薬野菜に対する消費者の関心の高さなどを考慮すると、農薬の散布は避けたいところである。また、園芸や林業の分野においても害虫駆除の要請が高い。
そこで、殺虫剤を吹きかけたり丸めた新聞紙で叩いたりせずに害虫を捕獲するため、電気掃除機等の吸引装置を活用して害虫を吸引する技術が、下記特許文献1に開示されている。
特許文献1には、「害虫の吸引捕捉のための第1の開口端部と電気掃除機ホースへの接続のための第2の開口端部とを具えた実質的に筒状の本体を有し、該第2の開口端部は開口に向けて収斂した形状であり、本体内周面には第2の開口端部に向けて大きく収斂する端部を具えた栓筒体の周縁が取り付けられており、該栓筒体は少なくとも収斂する端部が弾性材料から形成されており、栓筒体と第2の開口端部との間において有孔盤が周縁を本体内周面に固定されて溜室を画定していることを特徴とする害虫用捕獲具。」が開示されている。
そして、これによって「溜室内に捕捉された害虫が絶対に外に出ることができないので、捕獲が確実となる。」と記載されている。
【特許文献1】
特開2003−235427号公報(特許請求の範囲、発明の効果)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1に開示された害虫用捕獲具は、捕獲された害虫が外に出にくくなるという効果があるものの、害虫に由来する悪臭が装置外部に放出されるため、作業時などに気分が悪くなることがあった。
即ち、亀虫等の強烈な悪臭を放つ害虫を吸引した場合には、害虫が放った悪臭成分が空気と共に掃除機の排気口から排出されて外部に撒き散らかされていたのである。また、吸引捕獲した害虫を処分する際には、作業性を考慮すると、害虫用捕獲具を掃除機の吸引ホース等から取り外すことが好ましい。しかし、害虫用捕獲具の内部と吸引ホースの内部それぞれに蓄積された多量の悪臭成分が、害虫用捕獲具を掃除機の吸引ホースから取り外した瞬間に開放され、一気に外部に拡がっていたのである。この取り外し作業は手作業で行うことになるため、作業者の顔に近い位置で悪臭成分が拡がることになり、大変不快な思いをすることがあった。
このような課題を解決し、害虫を吸引する際や、掃除機から取り外す際に悪臭が拡がりにくい害虫用捕獲具が切望されていた。
本発明は、上記課題を解決するものであり、害虫を吸引する際や、吸引装置から取り外す際に悪臭が拡がりにくい、吸引装置の吸引力を利用した害虫用捕獲具等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、吸引装置に接続するための装置接続口を一端側に有し、害虫を吸引するための害虫吸引口を他端側に有する筒状本体と、筒状本体の内部空間を装置接続口側と害虫吸引口側とに仕切るように、筒状本体の内部に装着する消臭フィルタと、消臭フィルタよりも害虫吸引口側の位置で筒状本体の内部に設ける害虫返し部材と、を備えてなる害虫用捕獲具とした。害虫返し部材は、害虫用捕獲具の内部に捕獲された害虫が害虫吸引口から逃げ出すことを抑制するためのものである。
この害虫用捕獲具を用いれば、筒状本体の内部空間を装置接続口側と害虫吸引口側とに仕切るように筒状本体の内部に装着する消臭フィルタを備えているので、害虫を吸引する際に、吸引装置の排気口から悪臭が拡がりにくく、また、害虫用捕獲具を吸引装置から取り外す際にも、装置接続口から悪臭が拡がりにくい。即ち、吸引された害虫が悪臭成分を放っても、この成分を含んだ空気が吸引装置によって生じる吸引気流に従って消臭フィルタを透過する際に、悪臭成分が消臭フィルタに吸着されるのである。消臭フィルタよりも吸引装置側は、悪臭成分が吸着されたクリーンな空気で満たされていることになり、このため、捕獲された害虫の入った害虫用捕獲具を吸引装置から取り外す際にも、悪臭が拡がりにくい。
また、害虫返し部材を設けたことにより、害虫用捕獲具の内部に吸引された害虫は、消臭フィルタと害虫返し部材の間の空間に閉じ込められることになり、自力では、ここから外部に逃げることができないのである。さらに、害虫返し部材には、害虫の悪臭成分が害虫吸引口から外部に洩れにくくするという作用もある。
吸引される害虫は亀虫である、害虫用捕獲具とすることが好ましい。即ち、害虫用捕獲具は、亀虫を捕獲する用途に使用されるのである。
亀虫は外部から刺激を受けると、腹面にある臭腺から強い悪臭成分を含んだ分泌液を放出する。上記害虫用捕獲具を用いれば、このような強烈な悪臭を放つ亀虫を捕獲する際でも悪臭が拡がりにくく、安心して捕獲することができるのである。
筒状本体は、芳香性を有するものである、害虫用捕獲具とすることも好ましい。
上記害虫用捕獲具を用いれば、筒状本体の表面から心地良い香が発散され、気持ちよく作業することができる。また、悪臭成分が吸着されたクリーンな空気に対して、心地良い香が付与されることになる。これによって、より気持ちよく作業することができるのである。
消臭フィルタよりも装置接続口側の位置で筒状本体の内部に装着する芳香手段を備えてなる、害虫用捕獲具とすることも好ましい。
上記害虫用捕獲具を用いれば、悪臭成分が吸着されて清浄化されたクリーンな空気に対して、吸引装置によって生じる吸引気流に従い、芳香手段によって心地良い香が確実に付与されることになる。これによって、より気持ちよく作業することができる。放出された芳香成分は、空気と共に吸引装置の排気口から排出され、辺り一面に心地良い香が拡がる。また、捕獲された害虫の入った害虫用捕獲具を吸引装置から取り外す際にも、心地良い香が拡がるため、不快な思いをしないのである。
害虫吸引口に着脱自在に蓋着する蓋体を備えてなる、害虫用捕獲具とすることも好ましい。
上記害虫用捕獲具を用いれば、害虫を捕獲した後で害虫吸引口に蓋をすることができ、害虫吸引口からも害虫の悪臭成分が外部に洩れにくくなる。害虫を捕獲した状態のままで害虫用捕獲具を保管しておく際でも、害虫吸引口に蓋をしておけば、悪臭成分が外部に洩れにくい。また、捕獲された害虫が害虫吸引口から外部に逃げることを、確実に防止することもできるのである。
可燃材料を用いることで焼却可能に構成されてなる、害虫用捕獲具とすることも好ましい。
上記害虫用捕獲具を用いれば、捕獲された害虫を害虫用捕獲具から取り出すことなく、害虫用捕獲具と共に可燃ゴミとして処分することができ、衛生的で手軽に、かつ安心して作業をすることができるのである。
消臭フィルタは、使用されている消臭材に活性炭を含んでなる、害虫用捕獲具とすることも好ましい。
上記害虫用捕獲具を用いれば、筒状本体の内部に装着する消臭フィルタが、吸着性に優れた活性炭を含んでいることで、より一層、害虫の吸引時や吸引装置から取り外す際に悪臭が拡がりにくくなるのである。
害虫吸引口に着脱自在に装着され、害虫吸引口まで害虫を吸入するための吸入アタッチメントを備えてなり、吸入アタッチメントは、その先端に害虫吸入口を有し、害虫吸入口は、その開口面積が害虫吸引口の開口面積よりも小さなものである、害虫用捕獲具とすることも好ましい。
上記害虫用捕獲具を用いれば、害虫吸入口の開口面積が害虫吸引口の開口面積よりも小さなものであるため、害虫を吸引後、吸引装置による吸引を停止した場合でも、害虫吸入口から外部に悪臭が拡がりにくくなる。また、吸引装置として、吸引力の弱い小型ハンディータイプの吸引装置を用いた場合であっても、吸引力が強くなり、迅速に害虫を吸引できるのである。吸入アタッチメントは、ゴム材料を用いて成形すると家具等を傷付けることがなく、好ましい。
前記課題は、吸引装置に接続するための装置接続口を一端側に有し、害虫を吸引するための害虫吸引口を他端側に有する筒状本体と、筒状本体の内部空間を装置接続口側と害虫吸引口側とに仕切るように、筒状本体の内部に装着する消臭フィルタと、を備えてなる害虫用捕獲具とすることでも解決される。また、前記課題は、上記いずれかの害虫用捕獲具を備えてなる吸引装置としても解決される。
【発明の効果】
本発明により、害虫の吸引時や吸引装置から取り外す際に悪臭が拡がりにくい、吸引装置の吸引力を利用した害虫用捕獲具、及びこの害虫用捕獲具を備えた吸引装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、図を用いて、本発明の実施形態を例示説明する。図1〜図6は害虫用捕獲具を説明するための図であり、図7〜図9は害虫用捕獲具の別例を説明するための図である。まず、図1〜図6を用いて、害虫用捕獲具を例示説明する。
[害虫用捕獲具]
図1は、害虫用捕獲具の分解斜視図であり、図2は同一部分解斜視図であり、図3は害虫用捕獲具の使用状態を示す斜視図である。また、図4は害虫を捕獲した害虫用捕獲具に蓋体を蓋着する様子を示す斜視図であり、図5は蓋体を蓋着した図4の害虫用捕獲具を取り外す様子を示す斜視図であり、図6は図5の害虫用捕獲具を処分する様子を示す斜視図である。なお、図2において筒状本体の一部を破断させた状態で示してある。また、図4及び図5において、害虫用捕獲具の内部に捕獲されている亀虫を実線で表示してある。
本実施形態の害虫用捕獲具は、図1に示すように、筒状本体2、消臭フィルタ3および害虫返し部材4に加えて、芳香手段5と吸入アタッチメント6を備え、さらに、吸入アタッチメント6を取り外して装着(蓋着)される蓋体7(図4参照)を備えている。なお、これら各要素の具体的な構成等は以下の説明や各図面によって限定されるものではない。
筒状本体2は、図1に示すように、左右両端が開口した円筒状である。また、筒状本体2は芳香性を有する。本実施形態では、芳香性を備えた材料で筒状本体2を構成した。具体的には、芳香性を備えた厚紙で筒状本体2を構成してある。芳香性を備えた厚紙は、例えば、厚紙を液状香料に浸漬後、乾燥させることで得ることができる。
一方、筒状本体2の左右両端の開口部は、一端側に吸引装置が接続され、他端側から筒状本体2の内部に害虫が吸引される。本実施形態では、向かって右側の開口部が吸引装置を接続する装置接続口21、向かって左側の開口部が害虫を吸引するための害虫吸引口22とした。装置接続口21には、吸引装置が着脱自在に接続される(詳細は後述する)。
本実施形態では円筒状の筒状本体2を使用したが、これに限定されず、例えば、四角筒状や六角筒状等の多角筒状のものや、楕円筒状のものを使用してもよい。また、例えば、左右の開口部のどちらかに向かって拡がったテーパー状のものや、左右の開口部の少なくとも一方が拡径したラッパ状のもの等も筒状本体として使用できる。
また、芳香性を備えた厚紙で筒状本体2を構成したが、これに限定されず、例えば、香料又は香料入りのマイクロカプセルを練りこんだ樹脂材料で構成してもよい。
消臭フィルタ3は、その内部を透過した空気から悪臭成分を吸着して、透過した空気を清浄化するためのものである。本実施形態における消臭フィルタ3は、図1に示すように、横にした円柱状であり、縦断面(円形状)の大きさは、筒状本体2の内部空間の縦断面(円形状)の大きさとほぼ等しい。また、消臭フィルタ3は、円柱状の通気性ケース31と、この通気性ケース31の中に充填された消臭材32とで構成されている。円柱状の通気性ケース31は、円形状の左右両面板が通気性のあるメッシュ等の有孔板で構成されている。
消臭フィルタ3に使用される消臭材32は、消臭効果がある材料であれば特に限定されないが、ガスマスク等にも使用されている活性炭を用いることが好ましい。例えば、ヤシガラ活性炭等の植物質活性炭のほか、石炭質活性炭や石油質活性炭を用いることができる。いわゆる、竹炭、木チップ炭、備長炭を用いてもよい。本実施形態では、吸着性に特に優れたヤシガラ活性炭を用いている。
消臭フィルタ3は、図2に示すように、筒状本体2の内部に圧入されて、その内部空間を装置接続口21側と害虫吸引口22側とに仕切るように装着される。このとき、消臭フィルタ3の円筒状外周面と筒状本体2の内周面とを接着することが好ましい。また、仕切られた両内部空間のうち、害虫吸引口22側の空間が大きくなるように、装置接続口21側寄りに消臭フィルタ3を装着することも好ましい。これにより、多くの害虫を内部に捕獲できる。
なお、消臭フィルタ3の形状(即ち、通気性ケース31の形状)は、円柱状に限定されず、筒状本体2の縦断面形状に応じて、四角筒や六角筒等の多角筒状のものや、楕円筒状のものが使用できる。
害虫返し部材4は、害虫用捕獲具1の内部に捕獲された害虫が害虫吸引口22から逃げ出すことを抑制するためのものである。本実施形態における害虫返し部材4は、図1に示すように、害虫吸引口22に嵌合する薄いリング部41と、このリング部41の左縁(一方の縁)全周に取り付けられたリブ部42と、リング部材41の右縁(他方の縁)全周から延びる返し部43とからなり、返し部43は、放射状の分割片431によって円錐状に形成されている。そして、害虫返し部材4は、害虫吸引口22に嵌合して筒状本体2の内部に設けられる。害虫返し部材4は、害虫が外部から筒状本体2の内部に吸引される方向の移動を許可し、筒状本体2の内部から外部に逃げ出す方向の移動を許可しないように、返し部43の先端が装置接続口21側(消臭フィルタ3側)を向いた状態で、筒状本体2の内部に設けられる。
なお、本実施形態では、害虫返し部材4を害虫吸引口22に嵌合したが、これに限定されず、リブ部42を設けていない構成の害虫返し部材を、害虫吸引口22より奧側すなわち消臭フィルタ3寄りの位置で、筒状本体2の内部に設けてもよい。
また、本実施形態では上記特定構成の害虫返し部材4を使用したが、害虫用捕獲具1の内部に捕獲された害虫が害虫吸引口22側から逃げ出すことを抑制する作用を有するものであればこれに限定されず、このような作用を有する種々の出願時公知技術等を用いることができる。例えば、常時はバネによって付勢され閉じており、吸引時には吸引力によってバネの付勢力に抗して開く開閉弁を筒状本体2の内部所定位置に設けたり、常時は閉じており、吸引時には吸引力によって開くゴム製の板状開閉弁を筒状本体2の内部所定位置に設けたりしてもよい。そのほか、害虫返し部材として、装置接続口21方向に向かって縮径するテーパー状の筒体を、筒状本体2の内部所定位置に設けてもよい。
芳香手段5は、その内部を透過した空気に芳香成分を放出して心地良い香を付与するためのものである。本実施形態における芳香手段5は、図1に示すように、消臭フィルタ3と同様に、横にした円柱状であり、縦断面(円形状)の大きさは、筒状本体2の内部空間の縦断面(円形状)の大きさとほぼ等しい。芳香手段5は、円柱状の通気性ケース51と、この通気性ケース51の中に充填された芳香剤52とで構成されている。円柱状の通気性ケース51は、円形状の左右両面板が通気性のあるメッシュ等の有孔板で構成されている。
使用される芳香剤52は、特に限定されず、例えば動物性香料や植物性香料等の天然香料や、炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、ラクトン又はオキシド類およびエステル類等の合成香料を用いることができる。本実施形態では、細かく刻んだ紙辺に植物性香料を吹きかけたものを芳香剤52として用いた。
芳香手段5は、図2に示すように、筒状本体2の内部に圧入されて、消臭フィルタ3よりも装置接続口21側の位置で筒状本体2の内部に装着される。詳しくは、芳香手段5は、筒状本体2、消臭フィルタ3及び装置接続口21で画成された空間を、消臭フィルタ3側と装置接続口21側とに仕切るように装着される。このとき、芳香手段5の円筒状外周面と筒状本体2の内周面とを接着することが好ましい。また、芳香手段5は装置接続口21近傍に装着することが好ましい。
なお、芳香手段5の形状(即ち、通気性ケース51の形状)は、円柱状に限定されず、筒状本体2の縦断面形状に応じて、各種形状のものが使用できる。
吸入アタッチメント6は、害虫吸引口22まで害虫を吸入するためのものである。本実施形態における吸入アタッチメント6は、図1に示すように、害虫吸引口22を覆うような形状のキャップ部61と、このキャップ部61の中央部から延設された吸入ノズル62とからなる。そして、吸入ノズル62は、その略中央部から折れ曲がり、その先端には害虫吸入口620が設けてある。そして、害虫吸入口620の開口面積は害虫吸引口22の開口面積よりも小さなものとなっている。
この吸入アタッチメント6は、図2及び図3に示すように、キャップ部61を、害虫返し部材4が設けられた筒状本体2の害虫吸引口(22)側の端部を覆うように外嵌することで、害虫吸引口22に着脱自在に装着される。
吸入アタッチメント6が吸入ノズル62を備えていることによって、狭所に隠れている害虫を吸引しやすい。また、吸入ノズル62が折れ曲がっていることによって首振りが自在である。
蓋体7は、害虫吸引口22に蓋をするためのものであり、図4に示すように、害虫吸引口22を覆うような形状のキャップ状であり、害虫返し部材4が設けられた筒状本体2の害虫吸引口22側の端部を覆うように外嵌して、害虫吸引口22に着脱自在に蓋着される。蓋体7は、吸入アタッチメント6を取り外した状態で害虫吸引口22に蓋着される。
ここで、筒状本体2、消臭フィルタ3、害虫返し部材4、芳香手段5および蓋体7は、可燃材料で構成することが好ましい。これによって、後述するように、捕獲された害虫を取り出すことなく、害虫用捕獲具1と共に可燃ゴミとして処分することができる。ここで、筒状本体2、消臭フィルタ3、害虫返し部材4、芳香手段5および蓋体7を、燃焼時に有害物質を生じない可燃材料で構成することがより好ましい。例えば、筒状本体2、消臭フィルタ3の通気性ケース31、害虫返し部材4、芳香手段5の通気性ケース51および蓋体7の全てを、厚手の丈夫な紙を用いて構成し、また、消臭材32は活性炭を用い、さらに、芳香剤52は細かく刻んだ紙辺に植物性香料を吹きかけたものを用いることができる。これによって、可燃ゴミとして焼却処分する際に、有害ガス等の有害物質を生じない。
上記構成からなる害虫用捕獲具1を用いて、害虫を捕獲等する手順を説明する。
まず、害虫用捕獲具1を吸引装置に接続する。具体的には、害虫用捕獲具1の装置接続口21を吸引装置の吸引ホースに接続する。例えば、図3に示すように、吸引装置である掃除機9の吸引ホース91の先端に設けてある拡径部92に、害虫用捕獲具1を装置接続口(21)側から挿入すればよい。
次に、掃除機9のスイッチを入れて吸引を開始し、害虫吸入口(620)を害虫である亀虫100に向けると、亀虫100が害虫吸入口(620)から吸入され、害虫吸引口(22)を通り、開口している害虫返し部材(4)を通過する。このとき、害虫返し部材(4)は、吸引力によって分割辺(431)のそれぞれが花弁状に起立し、返し部(43)の先端部が開口して、ここを害虫が通過するのである。害虫返し部材(4)を通過した害虫は、図4に示すように、害虫用捕獲具1の内部まで吸引される。吸引された亀虫100は、消臭フィルタ3に遮られて、掃除機9の吸引ホース91に吸い込まれなくなる。また、亀虫100は、掃除機9のスイッチが入っている状態では、消臭フィルタ3付近に吸い寄せられる力が働いて、動きが規制されることになる。
この状態からさらに、吸入アタッチメント6を取り外した後、代わりに、害虫吸引口22に蓋体7を蓋着する。これによって、亀虫100が発散する悪臭成分が害虫吸引口22から外部に洩れにくくなる。ここで、掃除機9のスイッチは、吸入アタッチメント6を取り外す前、吸入アタッチメント6を取り外した後で且つ蓋体7の蓋着前、または蓋体7の蓋着後に切ることができる。掃除機9のスイッチが入っている状態では、亀虫100の悪臭成分は消臭フィルタ3に吸着され、害虫吸引口22からは漏れ出てこない。そのため、蓋体7が蓋着される直前まで掃除機9のスイッチを入れておくことや、場合によっては、蓋体7の蓋着後にスイッチを切ることが、害虫吸引口22からの悪臭成分の洩れを極力少なくするためには好ましい。
掃除機9のスイッチを切って吸引を止めると開口していた害虫返し部材4が閉じ、害虫用捕獲具1内部に吸引された亀虫100は、消臭フィルタ3と害虫返し部材4の間の空間に閉じこめられ、自力では、ここから外部に逃げることができない。
そして、図5に示すように、害虫用捕獲具1を吸引ホース91の先端に設けてある拡径部92から取り外した後、図6に示すように、捕獲された亀虫100ごとゴミ箱500に廃棄等し、可燃ゴミとして処分するのである。
[害虫用捕獲具の別例]
最後に、図7〜図9を用いて、害虫用捕獲具の別例を説明する。本別例は、矩形の接続吸引口を持つ吸引装置に接続して使用するためのものである。図7は害虫用捕獲具の別例を示す一部分解斜視図であり、図8は同斜視図である。また、図9は害虫用捕獲具の別例の使用状態を示す斜視図である。
なお、前述した害虫用捕獲具と同様の構成要素については同じ符号を付し、その説明を省略する。また、図7および図8については筒状本体内部の消臭フィルタ、害虫返し部材および芳香手段を破線で表示していないが、前述した害虫用捕獲具と同様、筒状本体の内部には、これらを取り付けてある。
本別例では、前述した害虫用捕獲具に、吸引装置を取り付けるための接続アタッチメントが取り付けられている。図7および図8に示すように、接続アタッチメント8は、捕獲具側アタッチメント81と吸引装置側アタッチメント82で構成され、装置接続口21に捕獲具側アタッチメント81が外嵌され、この捕獲具側アタッチメント81の先端部に吸引装置側アタッチメント82が外嵌されている。そして、この吸引装置側アタッチメント82の先端部は矩形に開口しており、ここから、矩形の接続吸引口を持つ吸引装置に接続するのである。図9に、矩形の接続吸引口を持つハンディータイプの掃除機99に接続した例を示す。本別例においても、前述した害虫用捕獲具と同様の手順で、害虫を捕獲等することができる。このように、ハンディータイプの掃除機99を接続すれば、持ち運びに便利となる。
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当該技術分野における熟練者等により、本出願の願書に添付された特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正が可能である。
例えば、芳香手段を独立して設けることなく、消臭材に加えて芳香剤を含んだ消臭フィルタを用いて、消臭フィルタに芳香手段としての機能も担わせる構成としてもよい。このとき、消臭フィルタを左右の二層構造に構成し、害虫吸引口側と消臭材が対向し、装置接続口側と芳香剤が対向するように、筒状本体に消臭フィルタを取り付けることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】害虫用捕獲具の分解斜視図である。
【図2】害虫用捕獲具の一部分解斜視図である。
【図3】害虫用捕獲具の使用状態を示す斜視図である。
【図4】害虫を捕獲した害虫用捕獲具に蓋体を蓋着する様子を示す斜視図である。
【図5】蓋体を蓋着した図4の害虫用捕獲具を取り外す様子を示す斜視図である。
【図6】図5の害虫用捕獲具を処分する様子を示す斜視図である。
【図7】害虫用捕獲具の別例を示す一部分解斜視図である。
【図8】害虫用捕獲具の別例を示す斜視図である。
【図9】害虫用捕獲具の別例の使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,11 害虫用捕獲具
2 筒状本体
21 装置接続口
22 害虫吸引口
3 消臭フィルタ
4 害虫返し部材
5 芳香手段
6 吸入アタッチメント
7 蓋体
8 接続アタッチメント
9,99 掃除機(吸引装置)
100 亀虫(害虫)
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
試作写真1
試作写真2
ページtop へ