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健康・医療
 
【考案の名称】薬箱
【実用新案権者】
【識別番号】506003118
【氏名又は名称】飯沼 一浩
【住所又は居所】栃木県那須塩原市二区町321番78号
【考案者】
【氏名】飯沼一浩
【住所又は居所】栃木県那須塩原市二区町321番地78
【要約】
【課題】薬の飲み忘れや2度飲みを防止するための、操作が簡単で、間違いが少なく、小型・軽量・安価な薬箱を提供することである。
【解決手段】薬を入れるための中央に穴のある円盤状の複数の薬ケースと、複数の薬ケースを収納するための収納箱とで構成され、薬ケースは7個以上のポケットを有し、ポケットごとに開閉蓋があり、薬ケースの上面には曜日を表す情報が表示され、薬ケースの側面には時刻に関連する情報が表示され、収納箱は複数の薬ケースを径方向が縦になるように入れる構造をもち、収納箱の上面は開放され、収納箱の側面は薬ケースの孔を塞がない構造をもつようにする。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
薬を入れるための円盤状の複数の薬ケースと、複数の薬ケースを収納するための収納箱とで構成され、薬ケースは7個以上のポケットを有し、ポケットごとに開閉蓋があり、薬ケースの上面には曜日を表す情報が表示され、薬ケースの中央には指が入る大きさの穴があり、薬ケースの側面には時刻に関連する情報が表示され、収納箱は複数の薬ケースを径方向が縦になるように入れる構造をもち、収納箱の上面は開放され、収納箱の側面は薬ケースの孔を塞がない構造をもつことを特徴とする薬箱
【請求項2】
薬ケースの上面は透明または半透明で、個々のポケットの上面の端によせて曜日を表す情報を表示することを特徴とする請求項1記載の薬箱
【請求項3】
収納箱の側面上部中央に薬ケースの穴に対応した窪みを設けたことを特徴とする請求項1記載の薬箱
【請求項4】
収納箱の正面に曜日の表示機能、アラームの時刻設定機能、アラームのオン・オフスイッチ機能を有することを特徴とする請求項1記載の薬箱。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
本考案は、薬の飲み忘れを防止するための薬箱に関するものである。
【背景技術】
複数の種類の薬を服用することは珍しくはなく、さらに服用する時間が朝、昼、夜などと指定されるのが普通である。このような場合、うっかり指定の時刻に飲み忘れたり、飲んだことを忘れて2度飲んだり、あるいは飲んだかどうか忘れてしまうことがときどき起こる。以下、これらを総合して飲み忘れと呼ぶことにする。とくに、高齢者が自宅で薬を服用する場合は飲み忘れが多く、常に複数の種類の薬を決まった時刻に間違いなく服用するのは困難であり、飲んだかどうか忘れてしまうことも多々ある。介助者が行う場合も、薬の飲み忘れを防止することは容易とはいえない。
このような状況で、薬の飲み忘れを防止するために様々な種類の薬箱が提案されている。
一例として、四角な外箱の中に多数の四角い内箱があり、内箱に日付、曜日、時刻などを記載しておくボックス型の薬箱がある。例えば、特許文献1、特許文献2参照。ボックス型にも種々あるが、外箱が大きくなることや、内箱から薬を取り出すのが面倒でるという欠点がある。
他の例としては、引き出しに薬を分けて入れ、引き出しごとに日付、曜日、時刻などを記載する引き出し型の薬箱がある。例えば、特許文献3、特許文献4参照。これも、ボックス型と同様、外箱が大きくなることや、構造がやや複雑で、引き出しから薬を取り出すのが面倒でるという欠点がある。
また、他の例として、薬を日付、曜日、時刻などを記載した小袋や高さが段階的に異なる薄い箱に入れる状差し型がある。例えば、特許文献5参照。小袋を使用する場合は小袋に薬を入れるのが面倒で、薄い箱に入れる場合は形が大きくなる欠点がある。
他の例として、円盤状のケースを使用する円盤型がある。例えば、特許文献6、特許文献7参照。円盤型では複数のケースを重ねて回転させるものが提案されているが、構造がやや複雑で扱いも不便である。
さらに、電気的に服用する時間や薬の種類を表示する方式もいくつか提案されている。例えば、特許文献8参照。しかし、これも構造がやや複雑で、薬の取り出しも面倒である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】登録実用新案第3128710号
【特許文献2】登録実用新案第3131295号
【特許文献3】特開2002−233564
【特許文献4】登録実用新案第3165220号
【特許文献5】登録実用新案第3160570号
【特許文献6】登録実用新案第3154940号
【特許文献7】登録実用新案第3012204号
【特許文献8】登録実用新案第3114969号
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
上述のように、薬の飲み忘れを防止するための様々な提案があるが、いずれも一長一短がある。本考案の課題は、薬の飲み忘れを確実に防止し、小型軽量で、薬の出し入れや操作が簡単で、安価な薬箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
本考案の薬箱は、薬を入れるための円盤状の複数の薬ケースと、複数の薬ケースを収納するための収納箱とで構成され、薬ケースは7個以上のポケットを有し、ポケットごとに開閉蓋があり、ポケットの上面には曜日を表す情報が表示され、薬ケースの中央には指が入る大きさの穴があり、薬ケースの側面には時刻に関連する情報が表示され、収納箱は複数の薬ケースを径方向が縦になるように入れる構造をもち、収納箱の上面は開放され、収納箱の側面は薬ケースの穴を塞がない構造をもつことを特徴とする。
【考案の効果】
本考案の薬箱は、1週間の薬を入れるための円盤状の複数の薬ケースと、複数の薬ケースを収納するための収納箱とで構成されるため、構成が簡単で軽量小型にできる。また、円盤状の複数の薬ケースは全く同じ構造でよく、プラスチックを型で整形すれば非常に安価にできる。
1個の薬ケースにある7個のポケットの開閉蓋を開けて、容易に1週間分の薬を入れることができる。薬ケースの側面には朝、昼、夜などの時刻の情報が記されており、薬ケースの上面には曜日の情報が記されているので、例えば火曜日の朝であれば、側面に朝のマークのある薬ケースを収納箱から取り出し火曜日のポケットの開閉蓋を開け、薬ケースの上下を逆さにすれば容易に必要な薬を取り出すことができる。薬ケースの上面は透明または半透明で曜日のマークが端にあるため、ポケットの中身が簡単に見え、薬を飲んだか、まだ飲んでいないかが簡単に分る。
収納箱は、複数の薬ケースを収納するためのもので、薬ケースを縦に入れる構造のため、複数の薬ケースを上から入れるだけで簡単に収納できる。朝、昼、夜などの時刻の情報は、薬ケースの側面に表示されいるので、縦に入れることで外から見て一目瞭然であり、また、収納箱の側面は薬ケースの穴を塞がないような構造なので、横から穴に指を入れて必要な薬ケースを簡単に取り出すことができる。
また、収納箱に時計およびアラーム機能が一体化されていると、時刻の設定操作も簡単であり、毎日、服用時刻になると収納箱でアラームが鳴るので、飲み忘れの防止に効果的である。
【考案を実施するための形態】
図1〜図5を用いて、以下に本考案を実施するための実施例について説明する。
【実施例】
図1は本考案の薬ケース1の説明図であり、(a)は上面Aから見た図、(b)は側面Cから見た図である。薬ケース1の形状は円盤状であり、ドーナツのように中心に指が入る大きさの穴7がある。1つの薬ケースには仕切り5で仕切られたポケット4が7個配列され、それぞれのポケット4には開閉蓋2が付いている。開閉蓋2の先端部3は開閉蓋2の延長上にあり、先端部3を指で持ち上げると開閉蓋2が開く。開閉蓋2の外周側にはポケット4との結合部6があり、蝶番の役目をしている。開閉蓋の先端部3の近くには小さな孔9が設けられ、開閉蓋3を押し下げたときにポケット4にある突起部と嵌合して開閉蓋2が閉じられる。
薬ケース1の上面A(この場合は開閉蓋2)は透明または半透明の材料で作られており、ポケット4の中身、すなわち薬が入っているかいないかを簡単に確認することができる。個々の開閉蓋2には1週間分の曜日を表す情報8(日、月、火、・・・土)が表示されている。曜日を表す情報8は、ポケット4の中身を確認するために支障がないようにポケットの端に表示されている。薬ケース1の側面Cには、その薬ケースが1日のうちのどの時刻に使用するものかが簡単に分るように、朝、昼、夜などの時刻を表す情報が表示されている。図1の例は、朝に使用する薬ケースを「おはよう」のマークで表示した場合であり、図2(a)は昼に使用する薬ケースを太陽のマークで、図2(b)は夜に使用する薬ケースを星のマークで表示したものである。もちろん、朝、昼、夜の文字で表示してもよい。また、利用者に合わせて時刻を書いたラベルを貼るようにしてもよい。
図3は、複数の薬ケース1を収納するための収納箱11であり、木製の例を示しているが、もちろん薄いプラスチック製でもよい。収納箱11は単なる直方体の箱であるが、箱の内側の幅Wは使用する複数の薬ケース1の厚みの合計より僅かに大きく、箱の内側の長さLは薬ケース1の直径に近い寸法である。収納箱11の内側の高さHは薬ケース1の半径程度で、収納箱の側面12の上端中央に薬ケース1の穴7に対応する位置に半円形の窪み14がある。高さHが薬ケース1の半径より小さく、収納箱11に薬ケース1を収納したときに、薬ケースの穴7に指が入る高さであれば、窪み14はなくともよい。
図4に朝と夜に飲む2つの薬ケース1を収納箱11に収納した状態を示す。図4(a)は収納箱11の正面13から見た図であり、図4(b)は収納箱11の側面12から見た図である。薬ケース1は収納箱11に径方向が縦になるように収納する。上あるいは正面13の方向からは、薬ケース1の側面Cに表示されている朝と夜の時刻を表すマーク10がよく見え、それぞれの時刻に対応した薬ケースを簡単に選ぶことができる。この図の例では、2つの薬ケースの上面Aを合わせ、底面Bが外側に来るように入れてあるが、上あるいは収納箱の正面13から薬ケースの側面Cが見えればよいのでとくにこだわる必要はない。図4(b)から分るように、薬ケースの穴7が収納箱の側面12の窪み14の位置に対応していて、個々に指を入れて持ち上げると薬ケースを容易に取り出すことができる。
図5は、収納箱11の正面13に時計とアラーム機能を持たせたもので、時計機能により日付15と曜日16が表示される。図5は、1日3回、朝、昼、夜に薬を服用する場合の例で、曜日16の下に薬を飲む時刻18a、18b、18cを設定し、その時刻に一定時間、例えば30秒〜1分間アラームが鳴るようにしてある。時刻表示18の下にある矢印が下向きの時刻設定ボタン19aを押すと設定時刻が戻り、矢印が上向きの時刻設定ボタン19bを押すと設定時刻が進む。時刻表示18の上にはオン・オフスイッチ17があり、アラームのオン、オフの設定が可能である。
つぎに、毎日3回、朝、昼、晩に薬を服用する場合を例に、本発明の薬箱の使用方法を説明する。この場合は、3個の薬ケースと3個の薬ケースが入る収納箱を使用する。
本発明の薬箱は1週間、例えば日曜日の朝から土曜日の夜までを単位とするものである。まず、土曜日の夜に、収納箱11から朝、昼、夜の全ての薬ケース1を取り出し、薬ケースの全てのポケットの開閉蓋2を開け、朝、昼、夜に飲む1週間分の薬をそれぞれの薬ケースのポケットに入れる。全てのポケットに薬が入ったことを確認したら、開閉蓋2を閉じる。開閉蓋の先端部3を上からカチッと音がするまで軽く押すと、嵌合部9が閉じ、薬ケース1を逆さにしても薬がポケット4から出ることはない。薬を入れた3個の薬ケースを収納箱11に収納する。左から、朝、昼、夜の順に入れればすっきりするが、とくに順序にこだわる必要はない。これで1週間の準備は終りであり、これを繰り返す。正しく薬を飲んだとすれば、1週間後の土曜日の夜には、夜の薬ケースの土曜日のポケットのみに薬が残っていて、それを飲めば全てのポケットが空になり、上述の説明どおりを繰り返せばよい。もし、薬の残ったポケットがあれば、そこは飲み忘れであり、飲み忘れの日時をメモするなどして、それ以外の全てのポケットに次の1週間分の薬を入れる。
薬を飲む時刻になったとき、例えば、火曜日の朝食後を例に取ると、収納箱11の側面12にある窪み14から薬ケースの孔7に指を入れて薬ケースを持ち上げ、朝のマーク(時刻の情報10)の付いた薬ケースだけを収納箱から取り出す。朝のマークは薬入れの側面Cにあるので収納箱の上あるいは正面13から見え易く、薬ケースには指を入れる穴7があるので持ち上げて取り出すのは簡単である。取り出した薬ケースの火曜日のポケットの開閉蓋2を開け、薬ケース1を逆さにして薬を取り出し、開閉蓋2を閉めて収納箱11へ戻す。薬を飲めばそれで服用の操作は終りである。薬ケースからの薬の取り出し、薬ケースの収納箱への出し入れも極めて簡単である。収納箱11は小型軽量であり、置き場所も狭いスペースで済む。
もし、薬を飲んだことを忘れてもう一度飲もうとして同じ操作をすると、朝の薬ケースの火曜日のポケットには薬がないので、2度飲みを防ぐことができる。薬ケースの上面Aは透明または半透明で全てのポケットの中が見えるので、すでに飲んだ分が空で、これから飲む分は薬が入っていることをいつでも簡単に確認することができる。また、薬局から支給された薬の残量を簡単に知ることができる。すなわち、毎週1回薬ケースに薬を入れるので、薬を入れたあと、薬局から支給された袋の中に薬が残っていれば、あと1週間以上残りの薬があり、袋の中に残りがなければ、薬の入ったポケットの数だけ残りがあることが簡単に分る。
薬を飲む時間をうっかり忘れてしまうことがあるので、別にタイマーなどを用いてもよいが、図5のように、収納箱11に時計とアラーム機能を持たせ薬箱と一体化すると便利である。これを使用するときは、図5の収納箱11の正面13にある時計機能の月日15と曜日16を合わせておき、時刻設定ボタン19により薬を服用する時刻18a、18b、18cを設定する。矢印が下向きのボタン19aを押すと時刻が戻り、矢印が上向きのボタン19bを押すと時刻が進む。アラームのオン・オフスイッチ17をオンにしておけば、設定した時刻にアラームが鳴るのでそのときに薬を服用すればよい。アラームは鳴り出してから30秒〜1分程度で止る。通常の時計の時刻と曜日設定の他に、服用時刻を設定してオン・オフスイッチを押すだけなので操作は非常に簡単であり、薬箱から音が聞こえるので他のアラームと間違えることもない。
上述の実施例では、薬ケースのポケットの数を7個としたが、8個として例えば土曜日と日曜日の間に空のポケットを設けてもよい。このようにすると、薬を薬ケースの全ての曜日のポケットに入れたときに、土曜日と日曜日の間に空のポケットができ、日曜日からスタートし土曜日で終了することがよく分る利点がある。開閉蓋2は、閉じたときには逆さにしても薬が出ず、開いたときは薬が全て簡単に出る構造であれば何でもよく、薬ケースの上面Aではなく側面Cにあってもよい。曜日を表す情報8および時刻に関連する情報10は、その情報が分り易い表示であれば何でもよい。
【産業上の利用可能性】
高齢化が進む現在においては薬を服用する人が増え、飲み忘れも増えるので、とくに家庭では薬の飲み忘れを防止できる簡単な薬箱が重宝であり、今後、必需品として普及する可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の薬ケースの説明図である。
【図2】複数の薬ケースの側面に表示された時刻情報の例を示す図である。
【図3】本発明の収納箱の斜視図である。
【図4】収納箱に複数の薬ケースを縦に収納した場合の図である。
【図5】収納箱の正面に時計とアラーム機能を持たせた場合の説明図である。
【符号の説明】
1 薬ケース
2 開閉蓋
4 ポケット
7 薬ケースの穴
8 曜日を表す情報の表示
10 時刻に関連する情報の表示
11 収納箱
12 収納箱の側面
13 収納箱の正面
14 収納箱側面の窪み
16 時計機能の曜日の表示部
17 アラームのオン・オフスイッチ
18 薬を飲む時刻の表示
19 時刻設定ボタン
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5 
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