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【発明の名称】ユニバーサルジョイント
【出願人】
【識別番号】514071451
【氏名又は名称】竹内 廣一
【住所又は居所】兵庫県三田市つつじが丘南1−7−3
(74)【代理人】
【識別番号】100167416
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 佳男
(72)【発明者】
【氏名】竹内 廣一
【住所又は居所】兵庫県三田市つつじが丘南1−7−3
【要約】
【課題】本発明は、可動域を確保し、かつ回転の中心点からずれることなく、しかも、複数の可動部材を連動するジョイントとの間で曲げモーメントを発生させることがないユニバーサルジョイントを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るユニバーサルジョイント1は、上記問題を解決するために、第一の二股ヨークと、第二の二股ヨークと、互いに直交する直径方向に延びる軸端を有し、各直径方向に対向する軸端対をそれぞれ第一及び第二の二股ヨークに回動自在に支承した連結体とを有し、第一及び第二の二股ヨークは、それぞれヨーク本体と、該ヨーク本体から分岐する一対のヨークアームとを備え、軸端対と第一の二股ヨーク、軸端対と第二の二股ヨークそれぞれの接合部分において、一方に半球面状の凸部と他方に半球面状の凹部で、該半球面状の凸部と該半球面状の凹部とが嵌合することによって連結部が十字軸を形成し、回動自在に動作することを特徴とする。
【選択図】図6
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のシャフトに連結する第一の二股ヨークと、他方のシャフトに連結する第二の二股ヨークと、互いに直交する直径方向に延びる軸端を有し、各直径方向に対向する軸端対をそれぞれ前記第一の二股ヨーク及び前記第二の二股ヨークに回動自在に支承した連結体とを有するユニバーサルジョイントにおいて、
前記第一の二股ヨーク及び前記第二の二股ヨークは、それぞれヨーク本体と、該ヨーク本体から分岐する一対のヨークアームとを備え、
前記第一の二股ヨーク及び前記第二の二股ヨークと前記連結体の前記軸端対の接合部分において、一方を半球面状の凸部、他方を半球面状の凹部として、該半球面状の凸部と該半球面状の凹部とが嵌合することにより前記連結体が十字軸を形成し、前記第一の二股ヨーク及び前記第二の二股ヨークが前記連結体に対して回動自在に動作することを特徴とするユニバーサルジョイント。
【請求項2】
前記第一の二股ヨーク及び前記第二の二股ヨークは、前記連結体の一方の軸端対を支承する前記ヨークアームの内側の位置にそれぞれ半球面状の凹部を備え、
前記連結体は、四つの球体と、該四つの球体を収容する基体とを備え、
前記四つの球体の球頭部が前記第一の二股ヨーク及び前記第二の二股ヨークの前記凹部に嵌合することにより前記連結体が前記十字軸を形成されることを特徴とする請求項1に記載のユニバーサルジョイント。
【請求項3】
前記連結体は、さらに、前記基体の一部に嵌め込まれて前記四つの球体を前記軸端対の内側から支持する円筒体を備えることを特徴とする請求項2に記載のユニバーサルジョイント。
【請求項4】
前記第一の二股ヨーク及び前記第二の二股ヨークは、前記一対のヨークアームの前記軸端対に相当する位置に配設される孔と、該孔に嵌入され前記四つの球体の球頭部を受ける前記半球面状の凹部を形成する球体支持体とを備えることを特徴とする請求項2に記載のユニバーサルジョイント。
【請求項5】
前記球体支持体は、底面中央から上面に設けた前記半球面状の凹部中央に小孔が貫通していることを特徴とする請求項4に記載のユニバーサルジョイント。
【請求項6】
前記第一の二股ヨーク及び前記第二の二股ヨークは、前記一対のヨークアームの前記軸端対に相当する位置に配設される孔と、該孔に嵌入され対向する前記軸端部方向に突出する半球面状の凸部を形成する支持体とを備え、
前記半球面状の凸部が前記連結部の前記凹部に嵌合することにより前記連結部が十字軸を形成することを特徴とする請求項1に記載のユニバーサルジョイント。
【請求項7】
前記支持体は、底面中央から上面に設けた前記半球面状の凸部中央に小孔が貫通していることを特徴とする請求項6に記載のユニバーサルジョイント。
【請求項8】
前記第一の二股ヨークは、前記連結体の一方の軸端対を支承する前記ヨークアームの内側の位置にそれぞれ半球面状の凹部を備え、
前記第二の二股ヨークは、前記一対のヨークアームの前記軸端対に相当する位置に配設される孔と、該孔に嵌入され対向する前記軸端部方向に突出する半球面状の凸部を形成する支持体とを備え、
前記連結体は、二つの球体と、前記二つの球体を収納する二つの凹部と、前記第二の二股ヨークの前記支持体の前記半球面状の凸部をそれぞれ収容する二つの凹部とを備えた基体とを備え、
前記連結体の二つの前記球体の球頭部が前記第一の二股ヨークの前記凹部に嵌合し、前記第二の二股ヨークの前記軸端部方向に突出する半球面状の凸部が前記基体の二つの前記凹部に嵌合することにより、前記連結体が前記十字軸を形成することを特徴とする請求項1に記載のユニバーサルジョイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニバーサルジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
ユニバーサルジョイント(universal joint)とは、自在継手ともいい、クルマのステアリング等機械操作技術に広く使用されている。継手のなかでも特に2つの部材の接合する角度が自由に変化する継手が自在継手、すなわちユニバーサルジョイントである。自在継手は一対の回転軸を連結し、回転軸間の角度を変化させることができるようになっている。従来の自在継手の多くは、回転軸に固定された一対の二股ヨークを含む。二股ヨークはスパイダーまたは十字継手によって連結され、互いに独立した軸を中心として回転する。スパイダーは4つの直交するトラニオンを含み、軸方向に整列する一対のトラニオンは二股ヨークに形成された一対の穴内に取り付けられる。通常は軸受カップが各穴内に固定され、各ヨークが一対のトラニオンに対して旋回移動するように軸受カップに軸受アセンブリが保持される。
【0003】
このようなユニバーサルジョイントは、種々提案されている。例えば、特許文献1に係るユニバーサルジョイントは、曲面状の部材を介して可動部材を可動させるピンジョイントを提案している。また、特許文献2に係るユニバーサルジョイントは、一方の軸と他方の軸とを連結して回転トルクを伝達する回転トルク伝達用継手として開示されている。さらに、ヨークに軸受カップを固定するための様々な保持方法が開発されている。これらの方法では、各ヨークの回転軸はスパイダーの回転軸の中心に位置合わせされる。従来の軸受カップの保持方法は、溝と平らなスナップリングを使用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−60649号公報
【特許文献2】特開昭60−35688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらの方法は、例えば、余分な機械加工が必要であること、使用性が限られていること、製造コストが増加することなどの欠点を有する。特に、従来の自在継手は、軸受カップを軸方向において保持するために、ヨークに形成された穴内に機械加工された円周溝に固定された平らなスナップリングを利用する。しかし、各部品の寸法ばらつきのために、軸受カップとスナップリングとの間で干渉状態が発生するか、軸受カップとスナップリングとの間に余分な隙間が生じる。干渉状態が発生すると、二股ヨークの一方または両方が機械的に変形し、機械加工された溝の間の間隔が増加する。このように、従来の自在継手は、大きな軸力が働くと節点に曲げモーメントが発生するため、駆動部材の駆動により十字軸部材等に金属疲労が発生する問題がある。
【0006】
そこで本発明の目的は、可動域を確保し、かつ回転の中心点からずれることなく、しかも、二つの可動部材と連動する連結部との間で曲げモーメントを発生させることがないユニバーサルジョイントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るユニバーサルジョイントは、一方のシャフトに連結する第一の二股ヨークと、他方のシャフトに連結する第二の二股ヨークと、互いに直交する直径方向に延びる軸端を有し、各直径方向に対向する軸端対をそれぞれ第一の二股ヨーク及び第二の二股ヨークに回動自在に支承した連結体とを有し、第一の二股ヨーク及び第二の二股ヨークは、それぞれヨーク本体と、該ヨーク本体から分岐する一対のヨークアームとを備え、第一の二股ヨーク及び第二の二股ヨークと連結体の軸端対の接合部分において、一方を半球面状の凸部、他方を半球面状の凹部として、該半球面状の凸部と該半球面状の凹部とが嵌合することにより連結体が十字軸を形成し、第一の二股ヨーク及び第二の二股ヨークが連結体に対して回動自在に動作することを特徴とする。なお、第一の二股ヨーク及び第二の二股ヨークは、連結体の一方の軸端対を支承するヨークアームの内側の位置にそれぞれ半球面状の凹部を備え、他方、連結体は、四つの球体と、該四つの球体を収容する基体とを備え、四つの球体の球頭部が第一の二股ヨーク及び第二の二股ヨークの凹部に嵌合することにより、連結体が十字軸を形成されると好適である。さらに、連結体は、基体の一部に嵌め込まれて四つの球体を軸端対の内側から支持する円筒体を備えれば、組立に利便である。
【0008】
また、別の形態として、本発明に係るユニバーサルジョイントは、第一の二股ヨーク及び第二の二股ヨークは、一対のヨークアームの軸端対に相当する位置に配設される孔と、該孔に嵌入され、四つの球体の球頭部を受ける半球面状の凹部を形成する球体支持体とを備えるようにしてもよい。さらに別の形態として、本発明に係るユニバーサルジョイントは、第一の二股ヨーク及び第二の二股ヨークは、一対のヨークアームの軸端対に相当する位置に配設される孔と、該孔に嵌入され、対向する軸端部方向に突出する半球面状の凸部を形成する支持体とを備え、半球面状の凸部が連結部の凹部に嵌合することにより連結部が十字軸を形成するようにしてもよい。なお、球体支持体や支持体は、底面中央から上面に設けた半球面状の凸部中央に貫通した小孔を設けると、半球面を受ける凹部に対して、金属摺動における摩耗を防止しかつ潤滑特性を向上する潤滑剤、例えばグリースやオイルを充填することができる。
【0009】
またさらに別の形態として、本発明に係るユニバーサルジョイントは、第一の二股ヨークは、連結体の一方の軸端対を支承するヨークアームの内側の位置にそれぞれ半球面状の凹部を備え、第二の二股ヨークは、一対のヨークアームの軸端対に相当する位置に配設される孔と、該孔に嵌入され対向する軸端部方向に突出する半球面状の凸部を形成する支持体とを備え、連結体は、二つの球体と、二つの球体を収納する二つの凹部と、第二の二股ヨークの支持体の半球面状の凸部をそれぞれ収容する二つの凹部とを備えた基体とを備え、連結体の二つの球体の球頭部が第一の二股ヨークの凹部に嵌合し、第二の二股ヨークの軸端部方向に突出する半球面状の凸部が基体の二つの凹部に嵌合することにより、連結体が十字軸を形成するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るユニバーサルジョイントによれば、構造がシンプルであり部材種類が少なくしてコストを低減することが可能である。また、直交する2つの回転軸であるX軸Y軸がそれぞれ正確に連結体の中心を通るように構成できるため、回転軸が連結体の中心をずれた際に連結体内部に生じ得る曲げモーメントが発生することがないので、部材の負荷が低減できライフサイクルの長寿命化につながる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るユニバーサルジョイントの一例を示す概略斜視図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】二股ヨークの構造を示す正面図(a)とA−A線断面図(b)である。
【図4】二股ヨークの構造を示す側面図(a)とB−B線断面図(b)である。
【図5】連結体の基体の構造を示す平面図(a)とC−C線断面図(b)とD−D線断面図(c)である。
【図6】本発明に係るユニバーサルジョイントの一対の二股ヨークと連結体との連結構造を示す概略断面図である。
【図7】本発明に係るユニバーサルジョイントの角度変化の一例を示す図である。
【図8】実施例2に係るユニバーサルジョイントの分解斜視図である。
【図9】実施例2に係る二股ヨークの構造を示す側面図(a)とE−E線断面図(b)である。
【図10】実施例2に係る球体支持体の構造を示す正面図(a)と側面図(b)と背面図(c)である。
【図11】実施例2に係る連結体の基体の構造を示す平面図(a)とF−F線断面図(b)とG−G線断面図(c)である。
【図12】実施例2に係るユニバーサルジョイントの一対の二股ヨークと連結体との連結構造を示す概略図である。
【図13】実施例3に係るユニバーサルジョイントの分解斜視図である。
【図14】実施例3に係る二股ヨークの構造を示す側面図(a)とH−H線断面図(b)である。
【図15】実施例3に係る軸体の構造を示す正面図(a)と側面図(b)と背面図(c)である。
【図16】実施例3に係る連結体の基体の構造を示す平面図(a)とI−I線断面図(b)とJ−J線断面図(c)である。
【図17】実施例3に係るユニバーサルジョイントの一対の二股ヨークと連結体との連結構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。各図において、同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は、本発明を理解するために誇張して表現している場合もあり、必ずしも縮尺どおり精緻に表したものではないことに留意されたい。なお、本発明は下記に示される実施例に限られるものではない。
【実施例1】
【0013】
実施例1を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係るユニバーサルジョイント1の一例を示す概略斜視図である。図2は、図1の分解斜視図である。
【0014】
まず、ユニバーサルジョイント1の構成を説明する。図1及び2に示すとおり、ユニバーサルジョイント1は、一対の二股ヨーク10、20と連結体30とを備える。ここで、二股ヨークとは、各軸端部に取り付く二股構造部品をいう。
【0015】
図3は、二股ヨークの構造を示す正面図(a)とA−A線断面図(b)である。図4は、二股ヨークの構造を示す側面図(a)とB−B線断面図(b)である。二股ヨーク10、20は、同一の構造であり、ここでは二股ヨーク10を例にして説明する。二股ヨーク10はヨーク本体100と、該ヨーク本体100から分岐する一対のヨークアーム10A、10Bとを備える。図3及び4に示すとおり、二股ヨーク10は、分岐するヨークアーム10A、10Bの内側の位置にそれぞれ半球面状の凹部10a、10bを備え、後述する四つの球体32a、32bの半球面を嵌合することができる。図1及び2に示すとおり、一対の二股ヨーク10、20は、二股の先端を結ぶ各軸が直交するように突合されて、連結体30に嵌合される。
【0016】
図2及び5を参照する。図5は、連結体30の基体31の構造を示す平面図(a)とC−C線断面図(b)とD−D線断面図(c)である。連結体30は、基体31と四つの球体32a、32b、32c、32dと円筒体33とから構成される。基体31は、二股ヨークを突き合わせる方向の正面中央に円筒体33を収容する孔31eと、四つの球体32a、32b、32c、32dを収容する側孔31a、31b、31c、31dを備えている。四つの球体32a、32b、32c、32dの直径寸法は、基体31の側孔31a、31b、31c、31dの直径寸法よりもやや小さい。側孔31a、31b、31c、31dの深さは、球体32a、32b、32c、32dの半径寸法と略同じである。円筒体33は、基体31の孔31eに嵌合する直径寸法として、孔31eを閉鎖する。基体31に、四つの球体32a、32b、32c、32dが側孔31a、31b、31c、31dに嵌合され、円筒体33が孔31eを閉鎖することで連結体30が形成される。連結体30が一対の二股ヨーク10、20に掛合させると、四つの球体32a、32b、32c、32dの一方の半球部分が円筒体33に軸端対の内側から支持されることで、他方の半球部分は一対の二股ヨーク10、20の凹部10a、10b、20c、20dに当接される。円筒体33は、タッピングネジにすると好適である。
【0017】
図6は、本発明に係るユニバーサルジョイント1の一対の二股ヨーク10、20と連結体30との連結構造を示す概略断面図である。図6に示すように、連結体30が一対の二股ヨーク10、20に掛合させると、四つの球体32a、32b、32c、32dの一方の半球部分がそれぞれ基体31の側孔31a、31b、31c、31dに嵌合され、さらに孔31eを閉鎖した円筒体33に支持されることで、他方の半球部分は一対の二股ヨーク10、20の凹部10a、10b、20c、20dに当接されることが理解されるであろう。図6に示すように、支持された球体32a、32bは軸線X−X上で互いに直径方向に対向し、支持された球体32c、32dは軸線Y−Y上で互いに直径方向に対向し、十字軸を形成する。このような連結構造により、軸線X−Xを回転軸として二股ヨーク20が、軸線Y−Yを回転軸として二股ヨーク10が回転する。
【0018】
図7は、本発明に係るユニバーサルジョイント1の角度変化の一例を示す図である。図7(a)は、一対の二股ヨーク10、20と連結体30とが掛合された中間位置での中立状態を示す。図7(b)は、軸線Y−Yを回転軸として二股ヨーク10が図面に向かって右方向に回転している様子を示している。図7(c)は、軸線Y−Yを回転軸として二股ヨーク10が図面に向かって左方向に回転している様子を示している。
【0019】
なお、上記各部材は、鉄鋼材料、特に、機械構造用炭素鋼45cや機械構造用合金鋼鋼材435SCMを用いると好適である。また、特に凹部を備える部材や球体に、金属摺動における摩耗を防止しかつ潤滑特性を向上する表面処理を施すとよい。
【実施例2】
【0020】
実施例2を図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図8は、実施例1の変形形態である実施例2に係るユニバーサルジョイント2の分解斜視図である。
【0022】
まず、ユニバーサルジョイント2の構成を説明する。図8に示すとおり、ユニバーサルジョイント2は、一対の二股ヨーク210、220と連結体230とを備える。一対の二股ヨーク210、220は、二股の先端を結ぶ各軸が直交するように突合されて、連結体230に嵌合される。
【0023】
図9を参照する。図9は、実施例2に係る二股ヨーク210の構造を示す側面図(a)とE−E線断面図(b)である。二股ヨーク210、220は、同一の構造であり、ここでは二股ヨーク210を例にして説明する。二股ヨーク210はヨーク本体200と、該ヨーク本体200から分岐する一対のヨークアーム210A、210Bとを備える。図9に示すとおり、二股ヨーク210は、分岐するヨークアーム210A、210Bの内側の位置にそれぞれ孔210a、210bを備え、孔210a、210bに、後述する球体232a、232bの半球面を支持する球体支持体240a、240bを収容する構造となっている。後述する支持体240を固定するために、孔210a、210bにはスナップリング溝211a、211bを設けてもよい。二股ヨーク220も同様の構造であるので、説明を省略するが、一対の二股ヨーク210、220は、二股の先端を結ぶ各軸が直交するように突合されて、連結体230に嵌合される。
【0024】
図10を参照する。図10は、実施例2に係る球体支持体240の構造を示す平面図(a)と側面図(b)と底面図(c)である。球体支持体240は、球体支持体240a、240b、240c、240dとして、二股ヨーク210、220のそれぞれ分岐するヨークアーム210A、210B、220C、220Dの内側の位置に備える孔210a、210b、220c、220dに嵌合されるが、ここでは、球体支持体240として説明する。球体支持体240は円筒体であり、図10(a)、(b)に示すとおり、一方の端面に、後述する四つの球体232a、232b、232c、232dの半球部分を嵌合する半球面状の凹部241a、241b、241c、241dを備える。また、他方の端面の外周にスナップリング243a、243b、243c、243dを設け、孔210a、210b、220c、220dに設けられたスナップリング溝211a、211b、221c、221dに固定するとよい。なお、図10に示すとおり、球体支持体240は、底面中央から一方の端面に設けた凹部241中央に貫通する小孔242を備えると、凹部241に金属摺動における摩耗を防止しかつ潤滑特性を向上する潤滑剤、例えばグリースやオイルを充填することができる。
【0025】
図11を参照する。図11は、実施例2に係る連結体230の基体231の構造を示す平面図(a)とF−F線断面図(b)とG−G線断面図(c)である。なお、G−G線断面図(c)は90度右に傾けて示している。連結体230は、基体231と四つの球体232a、232b、232c、232dとから構成される。実施例1に係る連結体30との違いは、基体231には円筒体を収容する孔が存在しないことである。すなわち、基体231は、二股ヨークを突き合わせる方向の正面中央に、四つの球体232a、232b、232c、232dを収容する半球面状の凹部231a、231b、231c、231dを備えている。なお、四つの球体232a、232b、232c、232dの直径寸法は、基体231の凹部231a、231b、231c、231dの直径寸法よりもやや小さい。また、凹部231a、231b、231c、231dの深さは、球体232a、232b、232c、232dの半径寸法と略同じである。
【0026】
図12は、実施例2に係るユニバーサルジョイント2の一対の二股ヨーク210、220と連結体230との連結構造を示す概略図である。図12に示すように、連結体230が一対の二股ヨーク210、220に掛合させると、四つの球体232a、232b、232c、232dの一方の半球部分がそれぞれ基体31の凹部231a、231b、231c、231dに嵌合され、さらに球体支持体240a、240b、240c、240dの半球面状の凹部241a、241b、241c、241dに嵌合される。なお、前述したとおり、孔210a、210b、220c、220dにスナップリング溝211a、211b、221c、221dを設けて支持体240を固定してもよいし、又は支持体240を嵌合した後に孔210a、210b、220c、220dの外周をカシメて支持体240を固定してもよい。図12に示すように、支持された球体232a、232bは軸線X’−X’上で互いに直径方向に対向し、支持された球体232c、232dは軸線Y’−Y’上で互いに直径方向に対向し、十字軸を形成する。このような連結構造により、軸線X’−X’を回転軸として二股ヨーク220が、軸線Y’−Y’を回転軸として二股ヨーク210が回転する。なお、ユニバーサルジョイント2の角度変化は、図7と同様であるので、説明を省略する。
【実施例3】
【0027】
実施例3を図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図13は、実施例1の別の変形形態である実施例3に係るユニバーサルジョイント3の分解斜視図である。
【0029】
まず、ユニバーサルジョイント3の構成を説明する。図13に示すとおり、ユニバーサルジョイント3は、一対の二股ヨーク310、320と連結体331とを備える。一対の二股ヨーク310、320は、二股の先端を結ぶ各軸が直交するように突合されて、連結体331に嵌合される。
【0030】
図14を参照する。図14は、実施例3に係る二股ヨークの構造を示す側面図(a)とH−H線断面図(b)である。二股ヨーク310、320は、同一の構造であり、ここでは二股ヨーク310を例にして説明する。二股ヨーク310はヨーク本体300と、該ヨーク本体300から分岐する一対のヨークアーム310A、310Bとを備える。図14に示すとおり、二股ヨーク310は、分岐するヨークアーム310A、310Bの内側の位置にそれぞれ孔310a、310bを備え、孔310a、310bに、支持体340a、340bを収容する構造となっている。後述する支持体340を固定するために、孔310a、310bにはスナップリング溝311a、311bを設けてもよい。二股ヨーク320も同様の構造であるので、説明を省略するが、一対の二股ヨーク310、320は、二股の先端を結ぶ各軸が直交するように突合されて、連結体331に嵌合される。
【0031】
図15を参照する。図15は、実施例3に係る支持体340の構造を示す平面図(a)と側面図(b)と底面図(c)である。支持体340は、支持体340a、340b、340c、340dとして、二股ヨーク310、320のそれぞれ分岐するヨークアーム310A、310B、320C、320Dの内側の位置に備える孔310a、310b、320c、320dに嵌合されるが、ここでは、支持体340として説明する。支持体340は円筒体であり、一方の端面が半球面341で他方の面が平面となっている。また、他方の端面の外周にスナップリング343a、343b、343c、343dを設け、孔310a、310b、320c、320dに設けられたスナップリング溝311a、311b、321c、321dに固定するとよい。また、支持体340を嵌合した後に孔310の外周をカシメて支持体340を固定してもよい。なお、図15に示すとおり、支持体340は、底面中央から上面に設けた凸部341中央に貫通する小孔342を備えると、連結体331の半球面状の凹部331a、331b、331c、331dに金属摺動における摩耗を防止しかつ潤滑特性を向上する潤滑剤、例えばグリースやオイルを充填することができる。
【0032】
図16を参照する。図16は、実施例3に係る連結体の基体の構造を示す平面図(a)とI−I線断面図(b)とJ−J線断面図(c)である。なおJ−J線断面図(c)は90度右に傾けて示している。連結体330は、基体のみから構成される。実施例1に係る連結体30との違いは、連結体331には円筒体を収容する孔が存在しないことであり、実施例2に係る連結体230との違いは、球体が部材として採用されず、前述した支持体340の半球端部341が球体に代替することである。すなわち、連結体331は、二股ヨーク310、320を突き合わせる方向の正面中央に、四つの支持体340a、340b、340c、340dの半球端部341a、341b、341c、341dを収容する半球面状の凹部331a、331b、331c、331dを備えている。なお、四つの半球端部341a、341b、341c、341dの直径寸法は、連結体331の凹部331a、331b、331c、331dの直径寸法よりもやや小さい。また、凹部331a、331b、331c、331dの深さは、半球端部341a、341b、341c、341dの半径寸法と略同じである。さらに、凹部331a、331b、331c、331dは、油孔332a、332b、332c、332dを備えると、凸部341中央に貫通する小孔342から潤滑剤、例えばグリースやオイルを充填する場合に、余剰の潤滑剤を油孔332a、332b、332c、332dに逃がすことができ、ユニバーサルジョイント3を作動するたびに余剰の潤滑油が凹部331a、331b、331c、331dに流れ、有効活用でき利便である。
【0033】
図17は、実施例3に係るユニバーサルジョイント3の一対の二股ヨーク310、320と連結体331との連結構造を示す概略図である。図17に示すように、連結体331が一対の二股ヨーク310、320に掛合させると、四つの支持体340a、340b、340c、340dの半球端部341a、341b、341c、341dの一方の半球部分がそれぞれ連結体331の凹部331a、331b、331c、331dに嵌合される。図17に示すように、支持された半球端部341a、341bは軸線X'’−X'’上で互いに直径方向に対向し、支持された半球端部341c、341dは軸線Y'’−Y'’上で互いに直径方向に対向し、十字軸を形成する。このような連結構造により、軸線X'’−X'’を回転軸として二股ヨーク320が、軸線Y'’−Y'’を回転軸として二股ヨーク310が回転する。なお、ユニバーサルジョイント3の角度変化は、図7と同様であるので、説明を省略する。
【0034】
なお、バリエーションとして、実施例1と実施例2で説明した二股ヨーク側に凹部があり連結体に凸部があるジョイント構成と、実施例3で説明した二股ヨーク側に凸部があり連結体の方に凹部があるジョイントを組み合わせることも可能である。例えば、第一の二股ヨーク10と連結体30との接合箇所において、二股ヨーク側10の一対のヨークアームに凹部があり、連結体30の軸端対に凸部があるジョイント構成とし、第二の二股ヨーク20と連結体30との接合箇所において、二股ヨーク側20の一対のヨークアームに凸部があり、連結体30の軸端対に凹部があるジョイント構成がある。第一の二股ヨーク10と第二の二股ヨーク20を読み替えても良いことは言うまでもない。
【0035】
以上、本発明に係るユニバーサルジョイントにおける好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係るユニバーサルジョイントは、クルマのステアリングやシフトレバ等機械操作に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 2 3 ユニバーサルジョイント
10 20 210 220 310 320 二股ヨーク
100 101 ヨーク本体
200 201 ヨーク本体
300 301 ヨーク本体
10A 10B 20C 20D ヨークアーム
210A 210B 220C 220D ヨークアーム
310A 310B 320C 320D ヨークアーム
30 230 331 連結体
31 231 基体
32a 32b 32c 32d 球体
232a 232b 232c 232d 球体
33 円筒体
10a 10b 20c 20d 凹部
210a 210b 220c 220d 孔
211a 211b 221c 221d スナップリング溝
311a 311b 321c 321d スナップリング溝
310a 310b 320c 320d 孔
31a 31b 31c 31d 側孔
231a 231b 231c 231d 側孔
331a 331b 331c 331d 側孔
332a 332b 332c 332d 油孔
31e 孔
240a 240b 240c 240d 球体支持体
241a 241b 241c 241d 凹部
243a 243b 243c 243d スナップリング
343a 343b 343c 343d スナップリング
340 支持体
341a 341b 341c 341d 凸部
342a 342b 342c 342d 小孔
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るユニバーサルジョイントの一例を示す概略斜視図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】二股ヨークの構造を示す正面図(a)とA−A線断面図(b)である。
【図4】二股ヨークの構造を示す側面図(a)とB−B線断面図(b)である。
【図5】連結体の基体の構造を示す平面図(a)とC−C線断面図(b)とD−D線断面図(c)である。
【図6】本発明に係るユニバーサルジョイントの一対の二股ヨークと連結体との連結構造を示す概略断面図である。
【図7】本発明に係るユニバーサルジョイントの角度変化の一例を示す図である。
【図8】実施例2に係るユニバーサルジョイントの分解斜視図である。
【図9】実施例2に係る二股ヨークの構造を示す側面図(a)とE−E線断面図(b)である。
【図10】実施例2に係る球体支持体の構造を示す正面図(a)と側面図(b)と背面図(c)である。
【図11】実施例2に係る連結体の基体の構造を示す平面図(a)とF−F線断面図(b)とG−G線断面図(c)である。
【図12】実施例2に係るユニバーサルジョイントの一対の二股ヨークと連結体との連結構造を示す概略図である。
【図13】実施例3に係るユニバーサルジョイントの分解斜視図である。
【図14】実施例3に係る二股ヨークの構造を示す側面図(a)とH−H線断面図(b)である。
【図15】実施例3に係る軸体の構造を示す正面図(a)と側面図(b)と背面図(c)である。
【図16】実施例3に係る連結体の基体の構造を示す平面図(a)とI−I線断面図(b)とJ−J線断面図(c)である。
【図17】実施例3に係るユニバーサルジョイントの一対の二股ヨークと連結体との連結構造を示す概略図である。
【図1】
図1
【図2】
2 図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5 
【図6】
図6 
【図7】
図7 
【図8】
図8 
【図9】
図9 
【図10】
図10 
【図11】
図11 
【図12】
図12 
【図13】
図13 
【図14】
図14 
【図15】
図15 
【図16】
図16 
【図17】
図17 
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