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スポーツ・娯楽
 
【発明の名称】転動運動具
【出願人】
【識別番号】505091477
【氏名又は名称】有限会社菱田鉄工所
【住所又は居所】岐阜県土岐市土岐津町土岐口1080−1
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100098741
【氏名又は名称】武蔵 武
【発明者】
【氏名】菱田 昇一
【住所又は居所】岐阜県土岐市土岐津町土岐口1080−1 有限会社菱田鉄工所内
【要約】
【課題】
環状の転動リングと、先端に連結リングを形成した遊技者用の手持ち操作棒とを備え、前記連結リングを転動リングに直に遊嵌させるようにした転動運動具が従来よりある。しかし従来品は、転動リングに対して手持ち操作棒がある角度になると連結リングが転動リング上でこじて動かなくなる場合があり、また、操作が簡単すぎて運動や遊技としての魅力に乏しい問題があった。
【解決手段】
静止状態で自立困難な環状の転動リング2と、先端に連結リング3bを形成した遊技者用の手持ち操作棒3とを備え、前記転動リング2と手持ち操作棒3の連結リング3bとを1個以上の遊びリング4を介在させて連結してなる転動運動具1を提供する。この転動運動具1は、転動リング2と手持ち操作棒3の動きの自由度が増して円滑さが向上し、また、転動リング2の操作の困難性も向上して技量修得の意欲をかき立てることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止状態で自立困難な環状の転動リングと、先端に連結リングを形成した遊技者用の手持ち操作棒とを備え、前記転動リングと手持ち操作棒の連結リングとを1個以上の遊びリングを介在させて連結してなる転動運動具。
【請求項2】
静止状態で自立困難な環状の転動リングと、先端に柔軟性を有する紐状物を設けた遊技者用の手持ち操作棒とを備え、前記転動リングと手持ち操作棒の紐状物とを1個以上の遊びリングを介在させて連結してなる転動運動具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、静止状態で自立困難な環状の転動リングを手持ち操作棒で巧みに操りながら転がして走り回る転動運動具に関する。
【背景技術】
上記転動運動具として自転車の廃材たるリムを転動リングとしたものが「リム回し」や「リム転がし」の名称で古くから親しまれている。このリム回しは、フリーのリムを一本の棒で操りながら転がして走り回るものであり、不安定なリムを自在に操ることによりバランス感覚が養われ、相当量走り回ることにより体力が向上し、屋外での運動であることによりストレス発散効果が期待できる。
しかし一方従来のリム回しは、一旦操作を誤るとリムだけが勝手に転がって制御不能に陥るおそれがあり、従って自動車交通量の増大など生活環境の変化によりリム回しが安全に行える場所が激減し、現在では運動会の競技等で見掛ける程度で殆ど行われていないのが実情である。
しかしてこのような実情を打破すべく従来のリム回しを改良した転動運動具が例えば特許文献1に示されている。この転動運動具は、静止状態で自立困難な環状の転動リングと、先端に連結リングを形成した遊技者用の手持ち操作棒とを備え、その手持ち操作棒の連結リングを転動リングに直に遊嵌させるようにしたものである。
【特許文献1】
登録実用新案第3060153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の転動運動具は、転動リングと手持ち操作棒の連結リングが直につながっていて動きの自由度が低いため、転動リングに対して手持ち操作棒がある角度になると連結リングが転動リング上でこじて動かなくなる場合があった。また、手持ち操作棒の動きが直に転動リングに伝わるため制御が簡単すぎるきらいがあり、そのため技量向上に努めようとする「向上心・競争心」を刺激したり、修得による「達成感・満足感」を感じさせる、といった運動や遊びに不可欠な重要々素の欠落、つまりはリム回し本来の魅力が失われてしまう、という重要且つ本質的な問題があった。
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載したように、静止状態で自立困難な環状の転動リングと、先端に連結リングを形成した遊技者用の手持ち操作棒とを備え、前記転動リングと手持ち操作棒の連結リングとを1個以上の遊びリングを介在させて連結してなる転動運動具を提供する。
また、請求項2に記載したように、静止状態で自立困難な環状の転動リングと、先端に柔軟性を有する紐状物を設けた遊技者用の手持ち操作棒とを備え、前記転動リングと手持ち操作棒の紐状物とを1個以上の遊びリングを介在させて連結してなる転動運動具を提供する。
【発明の効果】
本発明の転動運動具は、転動リングと手持ち操作棒とを、連結リング又は紐状物と遊びリングという不安定な要素で連結するようにしたため、転動リングと手持ち操作棒の動きの自由度が増して円滑さが向上し、また、手持ち操作棒の動きが転動リングに直に伝わらないため、転動リングの操作も困難になるから、技量向上に努めようとする「向上心・競争心」を刺激し、修得による「達成感・満足感」も十分に得られる効果がある。もちろん転動リングと手持ち操作棒とが連結されているため、転動リングだけが制御不能な状態にまで勝手に転がるおそれもない。
要するに本発明の転動運動具は、リム回し本来の魅力を保持したまま安全性が高められる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、図1は転動運動具の正面図、図2は分解した転動運動具の正面図、図3は使用状態を示す正面図、図4は他の形態を示す転動運動具の正面図である。
本発明の転動運動具1は、図2に示したように、転動リング2と、手持ち操作棒3と、1個の遊びリング4で構成される。
前記転動リング2は、細長い一本の金属棒(例えば鉄やステンレス等)を環状に丸めたものであり、図3に示したように使用者Mの下半身の高さ程度の径に設定してある。図示した金属棒は断面が円形になっているが、断面が楕円形や三角、四角、五角、六角、七角、八角その他の多角形であってもよい。また、自転車の廃材たるリムをそのまま転用して転動リング2としてももちろんよい。
斯かる構成である転動リング2は、重心位置の高さに比し接地面が極小であるため静止状態で自立困難であり、垂直に立てた状態で静止させると自然に倒れる。もっとも前記のように金属棒の断面を多角形にした場合は、バランスを取りながら慎重に立てようと努力することによって静止状態でも自立させ得る場合もあろうが、使用時の通常の取り扱いで自立困難であることに変わりはなく、そのような場合も「静止状態で自立困難」の範疇に含まれる。
前記手持ち操作棒3は、細長い一本の金属棒(例えば鉄やステンレス等)で形成した主部3aと、その主部3aの先端を円形に丸めた(円形は一例であり、円形に限定されない。)連結リング3bと、主部3aの基部を長円形に丸めた(長円形は一例であり、長円形に限定されない。)グリップ3cとを有する。
また、前記遊びリング4は、細長い一本の金属棒(例えば鉄やステンレス等)を前記転動リング2の太さより大きい径のドーナツ形に丸めた(ドーナツ形は一例であり、ドーナツ形に限定されない。)ものである。
しかして転動運動具1は、転動リング2に前記遊びリング4を遊嵌し、さらにその遊びリング4に手持ち操作棒3の連結リング3bを連結してなる。このように転動リング2と手持ち操作棒3の間に遊びリング4という不安定な要素を介在させて連結することにより、転動リング2と手持ち操作棒3の動きの自由度が飛躍的に高まるから、使用者Mが立ち止まったまま手持ち操作棒3に力を込めても転動リング2を立たせることは難しい。
次に本発明の転動運動具1の使用方法について説明する。
先ず使用者Mは、図3に示したように手持ち操作棒3のグリップ3cを片手で持ち、手持ち操作棒3の先の連結リング3bを転動リング2の内側に差し入れるようにして主部3aと転動リング2を交差させる。この状態で主部3aへの力の入れ具合を加減して転動リング2の姿勢を制御しつつ使用者Mが前進すると、その推進力が遊びリング4を介して転動リング2に伝わるため、図1二点鎖線のように転動リング2が押し回されて前進する。転動リング2の回転は使用者Mの走る速さによって、また、転動リング2の進行方向は転動リング2の傾きを手持ち操作棒3で制御することにより自由に変えられる。もちろん練習開始当初は、手持ち操作棒3に加える力の加減や走る速さが判らないため、転動リング2が倒れて停止したり、思わぬ方向に曲がる等、試行錯誤を繰り返すことになる。
なお、試作品による実験では、子供が本発明の転動運動具1を完全修得するまでほぼ1週間を要した。また、転動リング2と遊びリング4が擦れ合う金属音と、転動リング2と手持ち操作棒3が擦れ合う金属音が心地よい響きを発することも確認できた。
図4は他の実施形態を示す転動運動具10の正面図であり、この実施形態は前記実施形態の遊びリング4と手持ち操作棒3とを柔軟性を有する紐状物5で連結したものである。言うまでもなくこの図4の実施形態も図1〜図3の実施形態と同様であり、詳細な説明を省略する。なお、図4の紐状物5には金属又は合成樹脂製の鎖も含む。
以上本発明を実施の形態について説明したが、もちろん本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば実施形態では遊びリング4を1個だけ使用したが、2個以上を鎖状につなぐようにしてもよい。
また、実施形態の転動リング2は細長い一本の金属棒で形成したが、複数本の金属棒をつなぎ合わせるようにしてもよい。また、実施形態の転動リング2は真円形の環状に形成したが、転動可能である限り真円形に限定されず、例えば僅かに楕円形にして転動に若干の変化を与えるようにしてもよい。さらにまた転動リング2、遊びリング4、手持ち操作棒3の材質も適宜に変更可能であり、また、グリップ3cは金属棒を長円形に曲げる場合の他、合成樹脂製のグリップ部材を固着したり、或はグリップ領域を確保する程度に止めて金属棒をむき出しにしておくのみでもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】転動運動具の正面図である。
【図2】分解した転動運動具の正面図である。
【図3】使用状態を示す正面図である。
【図4】他の形態を示す転動運動具の正面図である。
【符号の説明】
1 …転動運動具
10…転動運動具
2 …転動リング
3 …手持ち操作棒
3b…連結リング
4 …遊びリング
5 …紐状物
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
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