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土木・建設
 
【考案の名称】引戸施錠補完装置
【実用新案権者】
【識別番号】596031044
【氏名又は名称】鈴木 丈夫
【住所又は居所】茨城県日立市久慈町1−36−15
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100078879
【氏名又は名称】木幡 行雄
【考案者】
【氏名】鈴木 丈夫
【住所又は居所】茨城県日立市久慈町1丁目36番15号
【要約】
【課題】
既存の施錠手段よる施錠と連動して、確実な施錠の補完が行え、更に警報用ブザーの電源電池のチェックが簡単に行えること。
【解決手段】
外戸1の下辺に固設したストッパ片6と、内戸2の中央側側辺下部に、外戸1寄り上部の軸4aで偏心回動可能に配した回動ロック片4であって、軸4aより内側に加わる下降操作力でその下端をストッパ片6の端部に係止し、軸4aより内側に加わる上昇操作力でその係止を解除すべく回動する回動ロック片4と、既設の回動施錠片3の施錠動作に連動して回動ロック片4をストッパ片6に係止させ、回動施錠片3の解錠動作に連動して上昇復帰し、回動ロック片4の係止解除動作を許容させる連携手段5と、回動ロック片4に付設した係止解除操作用のレバー4dと、回動施錠片3の解錠動作に連動してブザーの電源回路を閉じる異常検出スイッチ9とで構成する。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
家屋開口部の開閉手段である外戸と内戸の内、外戸の枠の中央側側辺に配した固定片と内戸の枠の中央側側辺に回動自在に配した回動施錠片とからなる引戸施錠手段による施錠を補完する引戸施錠補完装置であって、
前記外戸の枠の内側下辺に固設するストッパ片と、
前記内戸の枠の中央側側辺の端面下部に、その外戸寄り上部に配した軸を中心として、偏心回動可能に設置する回動ロック片であって、該軸より内側の部位に加えられた下降操作力によって、その下端を、前記ストッパ片の端部に、前記外戸の開側への移動が不可能なように、係止させ、又は該軸より内側の部位に加えられた上昇操作力によって、その係止を解除させるべく、その回動状態を操作し得る回動ロック片と、
前記回動施錠片の施錠動作に連動して前記回動ロック片を前記ストッパ片に係止させるべく、該回動ロック片の前記軸より内側上部を下降操作し、該回動施錠片の解錠動作に連動して上昇復帰し、該ストッパ片の係止状態を維持している該回動ロック片の係止解除操作を可能にする連携手段と、
前記回動ロック片に付設した係止解除操作のための操作レバーと、
警報用のブザーと、
前記回動施錠片の解錠動作に連動して前記ブザーを駆動する電源回路を閉じるべく動作するように構成した異常検出スイッチと、
で構成した引戸施錠補完装置。
【請求項2】
前記回動ロック片を、前記軸を介してブラケット部材に回動自在に取り付け、かつ該ブラケット部材を介して前記内戸の枠の中央側側辺の端面下部に固設し、更に該回動ロック片の両側には該ブラケット部材の各対応する側の面との間に該軸に外装状態のOリングを介在させた請求項1の引戸施錠補完装置。
【請求項3】
前記連携手段を、
前記回動施錠片の施錠動作によって押し下げられる連携棒であって、長さ調節可能に構成した連携棒と、
該連携棒を昇降自在に前記内戸の中央側側辺の端面に配置するガイド筒材と、
該連携棒の下端に配した取付片と、
該取付片の下端から、前記回動ロック片の前記軸より内側寄りの上端に向けて、該部位を下降操作させるべく垂下させた操作棒と、
該取付片の下端から後記復帰バネ上に垂下させたスイッチ操作棒であって、前記回動施錠片の解錠動作によって上昇動作が許容された場合に、該復帰バネの作用力を受けて上昇復帰するための復帰棒を兼ねたスイッチ操作棒と、
前記スイッチ操作棒の下降動作によって下向屈曲し、その下方に位置する前記異常検出スイッチのスイッチ操作レバーをオフ動作させ、前記回動施錠片の解錠動作によって上昇動作が許容された場合に、該スイッチ操作棒を上昇させ、かつ該スイッチ操作レバーのオン動作を許容すべく原形状に復帰する復帰バネと、
で構成した請求項1又は2の引戸施錠補完装置。
【請求項4】
前記ブザーを駆動する電源回路中に、前記異常検出スイッチを挿入した間接接続回路と何も挿入していない直接接続回路とを並列に構成し、該間接接続回路及び直接接続回路の一方の端部と該電源回路の主回路との間に管理用切換スイッチを挿入し、
該管理用切換スイッチを、スイッチケースに配設し、そのピン挿入口に管理ピンを挿入すると、スイッチ操作レバーがそれによってスイッチング動作し、該管理ピンの挿入途中では、該直接接続回路に切り換えて該電源回路を閉成し、これによって該ブザーを発音駆動し、更に該管理ピンが最奥まで進入すると、該間接接続回路に切り換え、該異常検出スイッチが異常を検出した場合に該電源回路を閉成することができるようにし、かつ該管理ピンをピン挿入口に挿入していない状態では、該直接接続回路及び該間接接続回路のいずれも主回路と接続しないように構成した請求項1、2又は3の引戸施錠補完装置。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
本考案は、盗難防止を目的とし、設置が簡便で、しかも既存の引戸の施錠のバックアップを確実に行なうことができる引戸施錠補完装置に関するものである。
【背景技術】
引戸施錠の補完手段としては、引戸内面の溝に填め込む楔方式のものが従来からよく用いられている。引戸は、例えば、各1枚の内戸と外戸で構成されており、引戸を閉じた状態で、楔部材を内戸用の溝内に外戸をサッシ枠に圧迫する形で設置することにより、引戸に設置されている回動施錠片(回転型のレバー)と固定片(フック)とで構成してある施錠手段に加えて、外戸の開放(移動)をロックできる。また、このとき、内戸についても楔部材が内戸用の溝内に設置されているため、その移動は不可能になる。したがって、引戸が各1枚の内戸と外戸の場合、この種の引戸施錠補完装置では1箇所に設置するだけで内戸と外戸の両方の開放をロックできる。
しかし、このような従来の引戸施錠補完装置による施錠の補完は、引戸毎に元来の施錠とは別に行なわねばならず手間がかかる上、引戸毎に、逐一、確認の必要もあるため、装置は簡単でも実際の使用は、特に引戸が複数で広範囲にわたると、面倒である。
これらの問題を解決するため、既存の施錠手段による施錠と連動した施錠の補完及び補完状況の集中的監視を可能とする引戸施錠補完装置(特許文献1)を本件出願人は提案している。
これは、家屋開口部の開閉手段である外戸と内戸の内、外戸の枠の中央側に配した固定片と内戸の枠の中央側に回動自在に配した回動施錠片とからなる引戸施錠手段による施錠を補完する引戸施錠補完装置であって、上記外戸の枠の内側上面に固設するストッパ片と、上記内戸の枠の中央側端面上部に回動可能に設置する回動ロック片であって、その一端を、上記ストッパ片の端部に、上記外戸の開側への移動が不可能なように、係止させ、又はその係止を解除させるべく、その回動状態を操作し得る回動ロック片と、前記回動施錠片の施錠動作に連動して上記回動ロック片を前記ストッパ片に係止させるべく動作する連携手段と、警報用のブザーと、前記回動ロック片の係止解除動作に連動して上記ブザーを駆動する電源回路を閉じるべく動作するように構成された異常検出スイッチと、で構成した引戸施錠補完装置である。
【特許文献1】
登録実用新案第3086148号公報
【考案の開示】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、以上の特許文献1の引戸施錠補完装置をより簡易化し、動作の確実性を確保し、加えて異常検出部の電源電池の放電状態を使用時に簡易にチェック可能にすることを解決の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
本考案の1は、家屋開口部の開閉手段である外戸と内戸の内、外戸の枠の中央側側辺に配した固定片と内戸の枠の中央側側辺に回動自在に配した回動施錠片とからなる引戸施錠手段による施錠を補完する引戸施錠補完装置であって、
前記外戸の枠の内側下辺に固設するストッパ片と、
前記内戸の枠の中央側側辺の端面下部に、その外戸寄り上部に配した軸を中心として、偏心回動可能に設置する回動ロック片であって、該軸より内側の部位に加えられた下降操作力によって、その下端を、前記ストッパ片の端部に、前記外戸の開側への移動が不可能なように、係止させ、又は該軸より内側の部位に加えられた上昇操作力によって、その係止を解除させるべく、その回動状態を操作し得る回動ロック片と、
前記回動施錠片の施錠動作に連動して前記回動ロック片を前記ストッパ片に係止させるべく、該回動ロック片の前記軸より内側上部を下降操作し、該回動施錠片の解錠動作に連動して上昇復帰し、該ストッパ片の係止状態を維持している該回動ロック片の係止解除操作を可能にする連携手段と、
前記回動ロック片に付設した係止解除操作のための操作レバーと、
警報用のブザーと、
前記回動施錠片の解錠動作に連動して前記ブザーを駆動する電源回路を閉じるべく動作するように構成した異常検出スイッチと、
で構成した引戸施錠補完装置である。
本考案の2は、本考案の1の引戸施錠補完装置に於いて、前記回動ロック片を、前記軸を介してブラケット部材に回動自在に取り付け、かつ該ブラケット部材を介して前記内戸の枠の中央側側辺の端面下部に固設し、更に該回動ロック片の両側には該ブラケット部材の各対応する側の面との間に該軸に外装状態のOリングを介在させたものである。
本考案の3は、本考案の1又は2の引戸施錠補完装置に於いて、前記連携手段を、
前記回動施錠片の施錠動作によって押し下げられる連携棒であって、長さ調節可能に構成した連携棒と、
該連携棒を昇降自在に前記内戸の中央側側辺の端面に配置するガイド筒材と、
該連携棒の下端に配した取付片と、
該取付片の下端から、前記回動ロック片の前記軸より内側寄りの上端に向けて、該部位を下降操作させるべく垂下させた操作棒と、
該取付片の下端から後記復帰バネ上に垂下させたスイッチ操作棒であって、前記回動施錠片の解錠動作によって上昇動作が許容された場合に、該復帰バネの作用力を受けて上昇復帰するための復帰棒を兼ねたスイッチ操作棒と、
前記スイッチ操作棒の下降動作によって下向屈曲し、その下方に位置する前記異常検出スイッチのスイッチ操作レバーをオフ動作させ、前記回動施錠片の解錠動作によって上昇動作が許容された場合に、該スイッチ操作棒を上昇させ、かつ該スイッチ操作レバーのオン動作を許容すべく原形状に復帰する復帰バネと、
で構成したものである。
本考案の4は、本考案の1、2又は3の引戸施錠補完装置に於いて、前記ブザーを駆動する電源回路中に、前記異常検出スイッチを挿入した間接接続回路と何も挿入していない直接接続回路とを並列に構成し、該間接接続回路及び直接接続回路の一方の端部と該電源回路の主回路との間に管理用切換スイッチを挿入し、
該管理用切換スイッチを、スイッチケースに配設し、そのピン挿入口に管理ピンを挿入すると、スイッチ操作レバーがそれによってスイッチング動作し、該管理ピンの挿入途中では、該直接接続回路に切り換えて該電源回路を閉成し、これによって該ブザーを発音駆動し、更に該管理ピンが最奥まで進入すると、該間接接続回路に切り換え、該異常検出スイッチが異常を検出した場合に該電源回路を閉成することができるようにし、かつ該管理ピンをピン挿入口に挿入していない状態では、該直接接続回路及び該間接接続回路のいずれも主回路と接続しないように構成したものである。
【考案の効果】
本考案の1の引戸施錠補完装置によれば、既設の施錠手段の施錠操作をすることで、これに連動して補完ロック操作を行うことができるので、その操作に特別の手間が掛からず非常に便利である。またこうしてセットしたロック手段により、既設の施錠手段の施錠が破られた場合であっても、容易に侵入できないように、引戸のロック状態を維持し、既設の施錠を確実に補完することができる。併せて既設の施錠手段が破られた場合は、それをブザーによる警報音で家人等の管理者に報知することができるため、適切な対処をすることができるし、この警報音で侵入しようとする者のその意思を萎えさせることもできる。
本考案の2の引戸施錠補完装置によれば、その回動ロック片はOリングにより制動が掛かっているので、自重程度では容易に動かず、その対応する部位を押し下げていた連携手段が上昇したとしても、それに伴って自ら動いてしまうというようなことはない。そのため既設の施錠手段が破られて該連携手段が上昇動作しても、該回動ロック片はストッパ片に対する係止状態を確実に維持し、施錠補完動作を継続することができる。
本考案の3の引戸施錠補完装置によれば、その連携棒が長さ調節可能なものであるため、引戸に於ける既設の施錠手段の高さ方向の設置位置が種々のものであっても容易に対応することができる。また動作が確実であり、既設の施錠手段の施錠動作に連動して確実に前記回動ロック片の回動ロック動作を行わせることができる。更に又施錠手段の解錠動作が行われた場合、或いは施錠が破られた場合には、該回動ロック片のロック状態に影響を与えることなく、解錠動作に連動する動作を行い、他方、これによって確実に異常検出スイッチの検出動作を行わせることができる。なお、該異常検出スイッチのセット動作(接点を開く動作)は、既設の施錠手段の施錠動作に連動して確実に行われるようになっている。
本考案の4の引戸施錠補完装置によれば、管理ピンをピン挿入口に挿入して管理用切換スイッチをオンにしておくことにより、前記異常検出スイッチの動作を検出モードに設定し、該管理ピンを抜いてオフにしておくことにより、非検出モードに容易に設定することができ、後者のモードに設定しておくことにより、ロック解除時の無用のブザー音の発生を回避することができる。更に、ピン挿入口に管理ピンを挿入する際に、その途中で、一時的に、前記異常検出スイッチを挿入した間接接続回路と並列の直接接続回路で電源回路を閉じ、ブザーを発音駆動させることにより、電源電池の消耗状態をチェックすることも可能となっている。別に集中管理板を用意し、この引戸施錠補完装置をセットしない場合には、該集中管理板に、全引戸に於ける管理ピンに対応する番号を付して並べておくこととすることにより、全引戸に於けるこの装置のセット又は非セット状態を一カ所で管理できるので便利である。
【考案を実施するための最良の形態】
本考案を実施する最良の形態を図面を参照しつつ以下に述べる実施例により説明する。
図1に示すように、この実施例の引戸施錠補完装置は、各1枚の外戸1と内戸2とで構成されている引戸に適用するものである。
この実施例の引戸施錠補完装置は、図1〜図3に示すように、基本的に、通常の引戸に設置されている施錠手段の内、内戸2側に位置する回動施錠片3による施錠操作と連動して、補完的に新たな別の回動ロック片4によるロックが可能なように構成したものである。即ち、内戸2の枠の中央側側辺の下部端面に設置する回動ロック片4の上端内側寄りの部位が、前記回動施錠片3の回動施錠操作により、連携手段5を介して下降させられ、該回動ロック片4の下部外側寄りの部位が、外戸1の枠の下辺の内面に固設するストッパ片6と外戸1の枠の中央側側辺の下部内面とに挟まれる空間に進入し、引戸がロックされるようになっている。
図2及び図3に示すように、前記回動ロック片4は、ほぼ四辺形板状の部材であり、内戸の中央側側辺の端面に該引戸の移動方向に直交する向きで取り付ける。該回動ロック片4は、ブラケット部材7中に装入し、軸4aにより該ブラケット部材7に回動自在に取り付け、該ブラケット部材7を介して、内戸の中央側側面の端面に上記状態に取り付ける。なお該回動ロック片4は、その外側上部付近を前記軸4aで該ブラケット部材7に回動自在に取り付ける。該回動ロック片4の一方の側面と該ブラケット部材7の対応する内面との間には、該軸4aに外装したOリング4bを介在させ、該回動ロック片4の他方の側面と該ブラケット部材7の対応する他の面との間には、該軸4aに外装したワッシャー4cを介在させ、これらによって制動作用を働かせることとし、該回動ロック片4が外力を受けることなく、自由に回動することがないようにする。また該回動ロック片4は、その内側上部の角部にロック解除操作用のレバー4dを内側斜め上方に向けて突設しておくものとする。
前記ストッパ片6は、先に述べ、かつ図1〜図3に示すように、直方体状のブロック部材であり、外戸1の枠の下辺内面に固設する。該ストッパ片6の、閉止状態に於ける内戸2側を向いた面は、該外戸1の枠の中央側側辺の内面との間に、少なくとも前記回動ロック片4の厚みを僅かに越える隙間を残しておくものとする。
また、図1及び図3に示すように、連携手段5を該回動ロック片4の上方に配設する。前記内戸2の枠の中央側側辺の端面に角筒状のガイド筒材5aを固設し、これに連携棒5bを昇降自在に挿入する。該連携棒5bは、中央の軸部材を上下の部材に対して正回転又は逆回転させることにより伸縮させることのできるターンバックル状部材に構成したものである。該ガイド筒材5aの上端から突出する連携棒5bの上端には、既存の回動施錠片3の施錠時にその先端部が下降動作するのを受ける受け部5b1を構成し、他方、該ガイド筒材5aの下端から垂下突出する連携棒5bの下端には、後記操作棒5d1及び後記スイッチ操作棒5d2を垂下状態に支持する取付片5cを構成する。
該取付片5cは、前記のように、前記連携棒5bの下端に固設し、若干内側(室内側)に延長した部材であり、前記操作棒5d1を該取付片5cの下端で該連携棒5bの中央直下付近の部位から垂下させ、前記スイッチ操作棒5d2を該取付片5cの内側寄りの部位から垂下させる。該操作棒5d1は、非ロック状態で、特に図3(a)に示すように、前記回動ロック片4の上辺の前記軸4aより内側の部位にその下端が当接する位置関係及び寸法の棒状部材に構成する。また該スイッチ操作棒5d2は、非ロック状態で、特に図3(a)、(b)に示すように、後記復帰バネ8の先端近傍にその下端が当接する位置関係及び寸法の棒状部材に構成する。
なお該スイッチ操作棒5d2は、前記回動施錠片3の解錠動作によって上昇動作が許容された場合に、該復帰バネ8の作用力を受けて上昇復帰するための復帰棒を兼ねる部材である。
また該復帰バネ8は、図1及び図3(b)に示すように、外戸1側の下部に対応するサッシの下辺内面に固設する異常検出スイッチ9の筒状ケース10の先端上部から水平方向に延長した帯状弾性部材であり、図3(b)に1点鎖線で示すように、前記スイッチ操作棒5d2の下降動作によって下向屈曲し、これによってその下方に位置する前記異常検出スイッチ9のスイッチ操作レバー9aをオフ動作させ、前記回動施錠片3の解錠動作によって前記連携棒5bの上昇動作が許容された場合に、該スイッチ操作棒5d2を押し上げて上昇させ、同時に該スイッチ操作レバー9aのオン動作を許容すべく、原形状、即ち、直線状態に復帰するように構成した部材である。
前記異常検出スイッチ9は、図1及び図3(a)、(b)に示すように、前記筒状ケース10中に装入し、そのスイッチ操作レバー9aの先端を該筒状ケース10の先端から水平に延びた復帰バネ8の下面に当接状態に配する。該スイッチ操作レバー9aのこの状態で該異常検出スイッチ9はオフ状態となるものを使用する。
前記異常検出スイッチ9は、図1に示すように、別途設置するブザー11を駆動する電源回路12の途中に挿入するもので、対応する後記管理用切換スイッチ13をオフ側に切り換えない状態で、前記回動施錠片3が解錠されると、上記のように、復帰バネ8が水平状態に復帰してスイッチ操作レバー9aが上昇し、これによって該異常検出スイッチ9の接点が閉じ、更にこれによって該電源回路12が閉じてブザー11が警報音を発することとなる。
該電源回路12は、電源電池14及び上記ブザー11を共通の主回路にして、建物内の開口部に配された引戸に設置される引戸施錠補完装置の数だけ、他の部分が相互に並列状態となるように構成されるものであり、個々のそれは、上記共通の主回路から延長する二つの並列回路と、その一端部で、上記主回路にいずれかの並列回路を接続するか又はいずれも接続しないかを切り換える管理用切換スイッチ15とで構成したものである。
上記二つの並列回路の一方が前記異常検出スイッチ9を挿入した間接接続回路12aであり、他方が何も挿入していない直接接続回路12bである。
該管理用切換スイッチ15はスイッチケース16に内装してあり、図4に示すように、ピン挿入口16aに管理ピン17を挿入すると、スイッチ操作レバー15aがそれによってスイッチング動作するようになっている。該管理用切換スイッチ15は、図4に示すように、管理ピン17が挿入されていない状態では、そのスイッチ操作レバー15aがピン挿入口16a側に傾いており、管理ピン17が挿入されると、これに押されて、その途中で傾きのない状態になり、更に該管理ピン17が最後まで挿入されると、反対側に傾いた状態になる。なお該スイッチケース16は、引戸の設置してあるサッシの一部に固設しておくものとする。
該管理用切換スイッチ15は、そのスイッチ操作レバー15aがピン挿入口16a側に傾いている時点では、図1に示すように、間接接続回路12a及び直接接続回路12bのいずれもが主回路に接続していない状態であり、そのスイッチ操作レバー15aが傾きのない状態になった時点では、直接接続回路12bが主回路に接続し、この場合は、前記ブザー11に電源が投入され警報音を発することになる。またそのスイッチ操作レバー15aが前記ピン挿入口16aと反対側に傾いた時点では、前記間接接続回路12aが主回路と接続し、前記異常検出スイッチ9が異常を検出して閉じた場合にのみ、該ブザー11に電源が投入され警報音が発せられることになる。
それ故、既設の回動施錠片3を施錠操作して前記異常検出スイッチ9をオフ状態にセットした上で、スイッチケース16のピン挿入口16aに管理ピン17を挿入して、該異常検出スイッチ9の挿入してある間接接続回路12aを前記主回路に接続しようとすると、その途中で、一時的に、必ず直接接続回路12bと主回路との接続が行われ、ブザー11による警報音が発せられることとなり、電源電池14の消耗状態をチェックすることができる。
図5に示すように、別に集中管理板19を用意する。この集中管理板19は、全引戸と同数で各引戸に付した引戸番号に各々対応する番号を持った同数の保管孔19aを配列開口してあり、いずれかの引戸の引戸施錠補完装置をセットしていない場合には、該引戸施錠補完装置の管理ピン17を該集中管理板19の当該の引戸の番号に対応する番号の保管孔19aに挿入して保管しておくようにする。各番号に配置された管理ピン17の有無によって、全引戸に於けるこの装置のセット又は非セット状態を一カ所で管理できることになる。
なお図中、18は外戸の枠の中央側側辺の内面に固設する固定片であり、前記既設の回動施錠片3を施錠操作すると、これに係止して、引戸の閉止状態を固定するために使用する既設の設備の一部である。
したがってこの実施例の引戸施錠補完装置によれば、既存の施錠手段による施錠と連動した施錠の補完及び補完状況の集中的管理が行なえるものである。
この実施例の引戸施錠補完装置を動作させる場合は、対象の引戸に於いて、図3に示すように、既存の回動施錠片3を矢印aの方向に施錠回動させ、これを前記固定片18に係止させると、これによって前記連携手段5の連携棒5bが押し下げられ、各々その下部の操作棒5d1が前記回動ロック片4の内側上部を押し下げ、前記スイッチ操作棒5d2が前記復帰バネ8を押し下げるに至る。
該操作棒5d1の上記動作により、該回動ロック片4は前記軸4a回りに回動し、その下部外側寄りの部位が外方に移動し、図3(a)に一点鎖線で示すように、ストッパ片6と外戸1及び内戸2の枠の中央側側辺との間に進入し、ロック状態となる。
他方、前記スイッチ操作棒の前記動作により、前記復帰バネ8が押し下げられ、図3(b)に一点鎖線で示すように、下向き屈曲させられ、その下方に配された前記異常検出スイッチ9のスイッチ操作レバー9aを、同図に一点鎖線で示すように、下降回動させ、該異常検出スイッチ9を開成させる。
こうして既設の施錠手段で引戸のロックを行うと、これに連動して、この実施例の引戸施錠補完装置がセットされ、そのロックを補完する状態となる。また、以上のように、前記異常検出スイッチ9がオフ状態にセットされる。この後、前記集中管理板19から該被きどの番号と対応する番号の管理ピン17を取り出して、前記スイッチケース16のピン挿入口16aにその管理ピン17を挿入する。これによってその内部の管理用切換スイッチ15が、前記異常検出スイッチ9の挿入してある間接接続回路12aを前記電源回路12の主回路に接続することとなり、該異常検出スイッチ9が異常を検出すると、該電源回路12が閉じて前記ブザー11が警報音を発することができるようになる。
以上のように、管理ピン17を挿入する過程で、前記したように、一時的に、必ず直接接続回路12bと主回路との接続が行われ、ブザー11による警報音が発せられることとなり、この警報音の発生によって電源電池14の消耗状態をチェックすることができる。警報音が発生しないか、不十分であった場合には、電源電池14の交換が必要であることが分かる。
またこうして引戸番号に対応する管理ピン17を集中管理板19の対応する番号の保管孔19aから取り出して該当する引戸施錠補完装置のスイッチケース16のピン挿入口16aに挿入しておくこととしたため、該集中管理板19の残管理ピン17の番号をチェックすることで、該当する引戸番号の引戸がまだ施錠操作を行っていないことが確認できることになる。
以上により、引戸施錠補完装置のセット操作は完了である。既存の回動施錠片3の施錠操作で殆どが完了し、そのために特別に行うべき操作は、集中管理板19から該当する管理ピン17を取り出してスイッチケース16にセットすることだけであり、極めて簡易に操作できるものである。また全引戸にこのセット操作をしたか否かは、前記のように、集中管理板19の各引戸番号の下の保管孔19aに管理ピン17が保管されているか否かだけで容易に判断できる。
以上の状態に於いて、引戸のガラス等が破られて、前記回動施錠片3が解錠操作されたとしても、該回動施錠片3と固定片18との係止状態が解除されるのみであり、前記回動ロック片4のロック状態は解除されない。即ち、該回動施錠片3の解錠操作に伴い前記連携手段5の連携棒5bはその上昇動作が許容され、前記スイッチ操作棒5d2及び取付片5cを介してその上に載った状態となっている前記復帰バネ8の作用により、押し上げられ、上昇することとなるが、前記回動ロック片4は、それにも拘わらず、前記Oリング4b及びワッシャー4cの制動作用により、ロック状態を維持する。それ故、既設の施錠手段が破られても、この引戸施錠補完装置によるロック状態が維持されるのでより防犯効果を高めることができる。
他方、以上のように、既設の施錠手段が破られ、前記連携棒5bの上昇が許容され、図3(b)に実線で示すように、前記復帰バネ8が水平状態に復帰すると、これに伴って前記異常検出スイッチ9のスイッチ操作レバー9aも上昇回動動作して、該異常検出スイッチ9をオンに切り換えることとなる。そしてこれによって電源回路12が閉じられ、前記ブザー11が警報音を発し、家人等に異常を知らせることになる。またこの警報音により、侵入者の侵入の意思を萎えさせる効果をも生じさせるものである。
この実施例の引戸施錠補完装置の動作を停止させる場合は、直ちに前記回動施錠片3のロック状態を解除すると、前記異常検出スイッチ9がオンとなって前記ブザー11に警報音を発生させてしまうので、まず初めに、前記スイッチケース16のピン挿入口16aから管理ピン17を抜き取って、これを前記集中管理板19の対応する引戸番号の保管孔19aに保管する。即ち、図4に一点鎖線で示すように、スイッチケース16から管理ピン17を抜き取って、管理用切換スイッチ15のスイッチ切換レバー15aをピン挿入孔16a側に傾け、該管理用切換スイッチ15をオフにする。
その後、前記回動施錠片3を解錠動作させる。この解錠操作は、該回動施錠片3を、図3(a)中に矢印aに示したのと逆方向に回動させることで行う。このように操作しても、前記回動ロック片4は、同図に一点鎖線で示し、先に述べたように、ロック状態を維持しているので、該回動ロック片4の内側上角部に突出させた前記レバー4dを操作して、同図に実線で示すように解除回動させる。
こうして引戸施錠補完装置の動作が停止することになり、引き戸を開けるのも閉めるのも全く自由になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】引戸に設置した一実施例の引戸施錠補完装置を室内側から見た状態の概略正面説明図。
【図2】(a)は、一実施例の引戸施錠補完装置の回動ロック片、ストッパ片及び異常検出スイッチの引戸に於ける位置関係及び向きを示す概略説明図、(b)は(a)の拡大図。
【図3】(a)は引戸に付属している施錠装置と連動して動作する一実施例の引戸施錠補完装置のアンロック時の状態を、図1の左側から右方向に向かって見た説明図、(b)は(a)の下部を右方向から見た一部断面説明図。
【図4】スイッチケースに装入された管理用切換スイッチの構成を示す概略断面図。
【図5】管理用切換スイッチの管理ピンを保持する集中管理板の正面概略図。
【符号の説明】
1 外戸
2 内戸
3 回動施錠片
4 回動ロック片
4a 軸
4b Oリング
4c ワッシャー
4d レバー
5 連携手段
5a ガイド筒材
5b 連携棒
5b1 受け部
5c 取付片
5d1 操作棒
5d2 スイッチ操作棒
6 ストッパ片
7 ブラケット部材
8 復帰バネ
9 異常検出スイッチ
9a スイッチ操作レバー
10 筒状ケース
11 ブザー
12 電源回路
12a 間接接続回路
12b 直接接続回路
13 管理用切換スイッチ
14 電源電池
15 管理用切換スイッチ
15a スイッチ操作レバー
16 スイッチケース
16a ピン挿入口
17 管理ピン
18 固定片
19 集中管理板
19a 保管孔
a 矢印
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
リーフレット
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