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土木・建設
 
【発明の名称】視線誘導標
【特許権者】
【識別番号】520147795
【氏名又は名称】平野 昌悦
【住所又は居所】岩手県奥州市江刺梁川小林95
【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
【発明者】
【氏名】平野 昌悦
【住所又は居所】岩手県奥州市江刺梁川小林95
【参考文献】
【文献】 特開2003−106011(JP,A)
【文献】 実開平03−122112(JP,U)
【文献】 特開平10−292341(JP,A)
【文献】 実開昭55−136815(JP,U)
【文献】 実開平07−025021(JP,U)
【文献】 特開2019−124016(JP,A)
【文献】 特開2015−010391(JP,A)
【文献】 特開2008−303696(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/026572(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0096260(US,A1)
【文献】 韓国登録特許第10−0903004(KR,B1)
【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00−11/00
E01F 1/00
E01F 13/00−15/14
【要約】
【課題】土の地面における支柱の地上高さを一定にする設置作業を容易にでき、且つ、支柱の根本周辺に草が生えるのを抑制し続けることができる視線誘導標を提供すること。
【解決手段】視線誘導標10は、地面に埋設された下部支柱20と、上方へ起立する上部支柱30と、光を反射する反射体34と、を備えている。下部支柱20は、地面に所定の長さに埋設され下方に延びている下部本体部21と、この下部本体部21の上部に設けられ下部本体部21の外径よりも大きい外形の頭部24と、を備えている。頭部24には、この頭部24の下面に当接し、且つ下部本体部21を通す貫通孔51が形成されると共に頭部24の外形よりも大きい外径に形成された円板状の鍔部50が設けられている。
【選択図】図2
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土の地面にねじ込み埋設された下部支柱と、この下部支柱に設けられ上方へ起立する上部支柱と、この上部支柱に設けられ光を反射する反射体と、を備えている視線誘導標であって、
前記下部支柱は、前記地面に所定の長さに埋設され下方に延びている下部本体部と、この下部本体部の上部に設けられ前記下部本体部の外径よりも大きい外形の頭部と、この頭部から上方に延びるように設けられ前記上部支柱を支持する突き出し部と、前記下部本体部の先端部に形成され下方に向かって先細りになる先細り部と、この先細り部及び前記下部本体部の外周に形成され地面にねじ込み可能なねじ部と、を備え、
前記頭部は、平面視で六角形に形成されていると共に、前記頭部の高さは、30mm以上、70mm以下に形成され、
前記頭部には、この頭部の下面に当接し、且つ前記下部本体部を通す貫通孔が形成されると共に前記頭部の外形よりも大きい外径に形成された円板状の鍔部が設けられていることを特徴とする視線誘導標。
【請求項2】
請求項1記載の視線誘導標であって、
前記上部支柱は筒状に形成され、この筒状部分に前記突き出し部が挿入されており、
前記上部支柱には軸直角方向に貫通する上部支柱ピン孔が形成され、前記突き出し部には前記上部支柱ピン孔と重なる位置に突き出し部ピン孔が形成され、
前記上部支柱を前記突き出し部に係止する止めピンが、前記上部支柱ピン孔及び前記突き出し部ピン孔に挿入されていることを特徴とする視線誘導標。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の視線誘導標であって、
前記鍔部は、この鍔部の下面に外径方向に向かって下方に湾曲する湾曲面を有していることを特徴とする視線誘導標。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項記載の視線誘導標あって、
前記鍔部の外径は、前記下部支柱の外径の3倍以上、5倍以下であることを特徴とする視線誘導標。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項記載の視線誘導標あって、
前記上部支柱は、上端部にスノーポールが設けられていることを特徴とする視線誘導標。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路や駐車場、あるいは車両が出入りする施設等において、車両の運転者の視線を誘導することにより走行をサポートする視線誘導標に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の側方や中央などに沿って、道端や道路線形などを明示し、昼夜間における車両の運転者の視線を誘導するために、その上部に反射体が設けられたポール状の視線誘導標が地面に設置されている。また、積雪地帯では、除雪作業の目印としてスノーポールが設けられた視線誘導標もある。このような、運転者の視線を誘導する視線誘導標が知られている。
【0003】
特許文献1の視線誘導標は、地面としての路面に、埋設アンカーが埋められた状態で固定されている。円筒状をなす樹脂製の補強部材及び外側標識柱の下端に一体成型された台座が、ボルトで埋設アンカーに固定されている。補強部材及び外側標識柱の内側に、所定の高さの内側標識柱が設けられている。このような構成とすることで、コンクリートなどの硬い路面に対して所定の高さとなるように視線誘導標が設置される。
【0004】
ところで、視線誘導標は、コンクリートなどの硬い路面だけではなく、土の地面に設置する場合もある。このような場合は、特許文献1の視線誘導標の埋設アンカーが使用できない。視線誘導標を土の地面に設置する場合、いわゆる標準型(土中埋込)と呼ばれる一本ものの支柱からなる視線誘導標が使用されることがある。
【0005】
一般的に、一本ものの支柱からなる視線誘導標は、地上90cmの上部支柱と、根入れ60cmの下部支柱とで構成され、下部支柱にネカセと呼ばれる横に延びるピン状の抜け止め部材が設けられる。このため、地面に支柱の打ち込みができず、床掘、建て込み、埋め戻しの一連の作業が伴う。
【0006】
別形式の視線誘導標として、特許文献2に視線誘導標が知られている。特許文献2の視線誘導標は、底を開放した円筒状の鞘管に係合手段を設けて鞘管を地面に埋設し、この鞘管に支柱を挿し込んで係合手段により支柱を鞘管に係合する。
【0007】
しかし、標準型(土中埋込)の一本ものの支柱からなる視線誘導標も特許文献2の視線誘導標も、地面からの支柱の高さを所定の高さにする必要があるが、地面の床掘、建て込
み、埋め戻しの一連の作業の際に正確に高さの計測を行わなければ、支柱の高さにズレが生じやすくなる。一方、支柱の高さを所定の高さにするために、地面の床掘、建て込み、埋め戻しの一連の作業の際、支柱の地上高さを正確に計測して作業を行うと手間と工数がかかる。
【0008】
また、視線誘導標を土の地面に設置した場合、日が経つにつれて視線誘導標の根本周辺に草が生えてくる。視線誘導の妨げにならないように延びて邪魔になった草は、草刈り作業により除去する必要がある。しかし、草刈り機で草刈り作業を行う際、支柱の根本が草で見え難くなっており、誤って支柱の根本を切断することがある。この対策として特許文献3の技術が知られている。
【0009】
特許文献3の技術は、ガードレールや視線誘導標の支柱の根本に、ゴム製の円環板状の雑草抑制板を取り付けるものである。支柱と雑草抑制板の隙間から水がしみ込んで隙間から草が生えないようにするために、雑草抑制板の内径側に尖った凹凸状のリップが複数形成されている。
【0010】
しかし、雑草抑制板は、内径を支柱の外径と同等か若干小さくすることで内径側を支柱に押さえつけ、リップの摩擦力により支柱の外周面に保持されているだけのため、雑草抑制板の下から成長する草の力で押し上げられる可能性がある。また、支柱を設置した後に雑草抑制板を取り付けるため、地面の床掘、建て込み、埋め戻しの一連の作業の際、支柱の地上高さを正確に計測して作業を行う必要があり手間と工数がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】 特開2004−270229号公報
【特許文献2】 実用新案登録第3114882号公報
【特許文献3】 実用新案登録第3158904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、以上の点に鑑み、土の地面における支柱の地上高さを一定にする設置作業を容易にでき、且つ、支柱の根本周辺に草が生えるのを抑制し続けることができる視線誘導標を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[1]地面に埋設された下部支柱と、この下部支柱に設けられ上方へ起立する上部支柱と、この上部支柱に設けられ光を反射する反射体と、を備えている視線誘導標であって、
前記下部支柱は、前記地面に所定の長さに埋設され下方に延びている下部本体部と、この下部本体部の上部に設けられ前記下部本体部の外径よりも大きい外形の頭部と、この頭部から上方に延びるように設けられ前記上部支柱を支持する突き出し部と、を備え、
前記頭部には、この頭部の下面に当接し、且つ前記下部本体部を通す貫通孔が形成されると共に前記頭部の外形よりも大きい外径に形成された円板状の鍔部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、下部支柱は、地面に埋設される下部本体部の上部に下部本体の外径よりも大きい外形の頭部を備えている。頭部には、この頭部の下面に当接し、且つ下部本体部を通す貫通孔が形成されると共に頭部の外形よりも大きい外径に形成された円板状の鍔部が設けられているので、下部支柱を土の地面に差すように建て込むだけで、鍔部が地面に接して移動が制限され、下部支柱のいわゆる根入れ深さが一定になる。このため、頭部から上方に延びるように設けられた突き出し部に、上部支柱を挿し込み支持させるだ
けで、土の地面における上部支柱(支柱)の地上高さを一定にでき、設置作業を容易にすることができる。
【0015】
さらに、鍔部が地面に押し付けられるので平面視で鍔部の範囲から草が生えることを抑制できる。鍔部の上面は頭部下面に押さえられて鍔部と頭部の間には隙間がないので、従来技術(特許文献3)のような複雑なリップ構造が不要となり、簡単な構造で隙間から草が生えることを抑制できる。さらに、剛性の大きい頭部で鍔部を押さえるので、従来技術(特許文献3)のような剛性の小さいリップ構造で鍔部を押さえるのとは異なり、草の成長で鍔部が押し上げられる力よりも鍔部を押さえる力を大きくでき且つ抑える力を持続させることができる。さらに、頭部で蓋部を押さえるだけなので、鍔部をピンなどの別部材を用いて固定する必要もなく、部品点数を少なくして簡単な構成にすることができる。結果、簡単な構造で、支柱の根本周辺に草が生えるのを抑制し続けることができる。
【0016】
[1]好ましくは、前記下部支柱は、前記下部本体部の先端部に形成され下方に向かって先細りになる先細り部と、この先細り部及び前記下部本体部の外周に形成され地面にねじ込み可能なねじ部と、を備えている。
【0017】
かかる構成によれば、先細り部により土の地面に容易に突き刺して前進させることができる。さらに、ねじ部により下部支柱を回転させるだけで容易に地面の中に埋め込むことができる。同様に下部支柱を逆回転させることで容易に抜き取ることもできる。従来技術のように、床堀、建て込み、埋め戻しの一連の作業が不要で、簡単に下部支柱を設置できる。さらに、下部支柱を回転させて埋め込む際、ねじ部により下部支柱を少しずつ前進させて鍔部を地面に大きな力で押さえ付けることができる。さらに、ねじ部が抜け止めの役割を果たすこともできる。
【0018】
[1]好ましくは、前記頭部は、平面視で六角形に形成されている。
【0019】
かかる構成によれば、頭部が六角形に形成されているので、レンチなどの工具で容易に頭部を回転させることができる。地面の状態によっては大きな力で頭部を回転させる必要があるが、頭部を六角にすることで、工具により大きな力で頭部を回転させることができ、支柱の向きの調整も容易にできる。
【0020】
[2]好ましくは、前記上部支柱は筒状に形成され、この筒状部分に前記突き出し部が挿入されており、
前記上部支柱には軸直角方向に貫通する上部支柱ピン孔が形成され、前記突き出し部には前記上部支柱ピン孔と重なる位置に突き出し部ピン孔が形成され、
前記上部支柱を前記突き出し部に係止する止めピンが、前記上部支柱ピン孔及び前記突き出し部ピン孔に挿入されている。
【0021】
かかる構成によれば、突き出し部に筒状の上部支柱を嵌め、上部支柱ピン孔及び突き出し部ピン孔に止めピンを留めるだけで視線誘導標全体を組み上げることができる。さらに、上部支柱の交換が必要な場合、下部支柱を地面から抜き出すことなくそのままの状態で、止めピンの抜き差しだけで上部支柱のみを容易に交換することができる。
【0022】
[3]好ましくは、前記鍔部は、この鍔部の下面に外径方向に向かって下方に湾曲する湾曲面を有している。
【0023】
かかる構成によれば、下方に湾曲する湾曲面により鍔部を地面に食い込ませて浮き上がらないようにでき、草が生えるのをより抑制することができる。
【0024】
[4]好ましくは、前記鍔部の外径は、前記下部支柱の外径の3倍以上、5倍以下である。
【0025】
かかる構成によれば、鍔部の外径を下部支柱の外径の3倍以上にすることで、草刈り機で草を刈る際に、草刈り機の刃で誤って支柱を破損させないような支柱の根本周辺を見渡せる範囲に草が生えるのを抑制することができる。鍔部の外径を下部支柱の外径の5倍以下にすることで、鍔部を小型に保つことで持ち運びを容易にして視線誘導標の設置作業を容易にすることができる。
【0026】
[5]好ましくは、前記上部支柱は、上端部にスノーポールが設けられている。
【0027】
かかる構成によれば、本発明の視線誘導標をスノーポールにも使用することができる。
【発明の効果】
【0028】
土の地面における支柱の地上高さを一定にする設置作業を容易にでき、且つ、支柱の根本周辺に草が生えるのを抑制し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る視線誘導標の分解図である。
【図2】本発明に係る視線誘導標の使用状態を示す正面図である。
【図3】本発明に係る視線誘導標の要部断面図である。
【図4】本発明に係る鍔部の説明図である。
【図5】比較例及び実施例の視線誘導標の作用図である。
【図6】スノーポールが設けられた視線誘導標の使用状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、作用図は、視線誘導標を概念的(模式的)に示すものとする。
【実施例】
【0031】
図1及び図2に示されるように、視線誘導標10は、地面60に埋設された下部支柱20と、この下部支柱20に設けられ上方へ起立する上部支柱30と、この上部支柱30の上部に設けられ光を反射する反射体34と、を備えている。
【0032】
下部支柱20は、地面60に所定の長さに埋設され下方に延びている下部本体部21と、この下部本体部21の先端部に形成され下方に向かって先細りになる先細り部23と、この先細り部23及び下部本体部21の外周に形成され地面60にねじ込み可能なねじ部22と、を備えている。
【0033】
なお、地面60は、土又は下部支柱20を差してねじ込むことができる場所である。また図面では、ねじ部22を簡略化して記載したが、ねじ部22は、下部支柱20を回転させることで土に食い込んで下部支柱20を前進又は後退させることができる大きさのらせん形状である。
【0034】
また、下部支柱20は、下部本体部21の上部に設けられ下部本体部21の外径よりも
大きい外形の頭部24と、この頭部24から上方に延びるように設けられ上部支柱30を支持する突き出し部25と、を備えている。頭部24は、平面視で六角形(図4参照)に形成されている。下部支柱20には、頭部24に当接するように円板状の鍔部50が着脱可能に設けられている。
【0035】
上部支柱30は、筒状に形成されてこの筒状部分に下部支柱20の突き出し部25が挿入される上部本体部31と、この上部本体部31の上端部に設けられた上部枠体32と、この上部枠体32に設けられ反射体34を囲うように支持する反射体34と、を備えている。
【0036】
なお、実施例では、反射体34を上部本体部の上部にのみ設けたがこれに限定されず、上部本体部の外周に単数の反射テープ又は間隔を開けて複数の反射テープを設けても差し支えない。
【0037】
また、上部支柱30の上部本体部31には軸直角方向に貫通する上部支柱ピン孔35が形成されている。下部支柱20の突き出し部25には、上部本体部31の筒状部分に突き出し部25が挿入された状態で、上部支柱ピン孔35と重なる位置に突き出し部ピン孔26が形成されている。上部支柱30を突き出し部25に係止する止めピン40が、上部支柱ピン孔35及び突き出し部ピン孔26に挿入されている。
【0038】
また、止めピン40の一端部には一端部側の抜け止め用に抜け止め頭部が設けられている。止めピン40の他端部には孔41が設けられ、この孔41にスナップピン42が留められることで、他端部側の抜け止めがなされる。スナップピン42を外して、止めピン40を抜くことで、上部支柱30を下部支柱20から容易に着脱することができる。また、止めピン40、スナップピン41は、表面又は全体の色が上部本体部31と同色である。このように同色にすることで、全体としてスッキリとさせ外観性を向上すると共に、視線誘導性を向上させることができる。なお、また、止めピン40、スナップピン41を、メッキ色としても差し支えない。
【0039】
次に上下方向の寸法の一例について説明する。
先細り部23の長さはL1であり、L1=200mmである。下部本体部21の長さはL2であり、L2=400mmである。頭部24の高さはL3であり、L3=50mmである。突き出し部25の長さはL4であり、L4=200mmである。上部本体部31の下端から反射体34の中心までの長さはL5であり、L5=850mmである。また、下部支柱20に上部支柱30を組付けた状態で、上部支柱ピン孔35の位置は、頭部24の上面24aから50mmの位置にある。
【0040】
なお、実施例おける上下方向の寸法は一例であり、地面60から反射体34の中心までの高さが900mmとであれば、頭部24の高さL3を30mm、70mmなどにし、突き出し部25の長さL4を150mm、250mmなどにし、下部本体部L2の長さL2を300mm、500mmなどにし、先細り部23の長さL1を300mm、100mmなどにしてもよく、各部の長さを適宜変更しても差し支えない。また、実施例では先細り部23を設けたが、下部支柱20を地面60に差し込んで埋設できれば先細り部23を設けなくてもよい。
【0041】
次に鍔部50とその周辺の部材について詳しく説明する。
図2、図3、図4(a)及び(b)に示されるように、下部支柱20の頭部24の上面24aに、上部支柱30の上部本体部31の下端が当接している。鍔部50には、下部本体部21を通す貫通孔51が形成され、鍔部50の上面52は頭部24の下面24bに当接し、鍔部50の下面53は地面60に接している。鍔部50は、頭部24の外形W1よ
りも大きい外径D5の円板状に形成されている。鍔部50の厚さはT1であり、T1=5mmである。
【0042】
次に横方向の寸法の一例について説明する。
突き出し部25及び下部本体部21の外径はD1であり、D1=75mmである。上部本体部31の内径はD2であり、D2=77mmである。上部本体部31の外径はD3であり、D3=89mmである。頭部24の外形の大きさはW1であり、W1=140mmである。鍔部50の内径はD4であり、D4=80mmである。鍔部50の外径はD5であり、D5=280mmである。
【0043】
なお、鍔部50の外径はD5、下部支柱20(下部本体部21)の外径D1の3倍以上、5倍以下であることが好ましい。鍔部50の外径D5を下部支柱20の外径の3倍以上にすることで、草刈り機70(図5参照)で草61(図5参照)を刈る際に、草刈り機70の刃71(図5参照)で誤って支柱(上部支柱30)を破損させないような支柱の根本周辺を見渡せる範囲に草61が生えるのを抑制することができる。鍔部50の外径D5を下部支柱20の外径の5倍以下にすることで、鍔部50を小型に保つことで持ち運びを容易にして視線誘導標10の設置作業を容易にすることができる。
【0044】
なお、実施例のおける横方向の寸法は一例であり、鍔部50の内径D4が、下部本体部21のねじ部22の外径よりも大きく、且つ頭部24の外形の大きさW1よりも小さければ、鍔部50の外径D5を200mm、250mm、300mm、350mmなどにしてもよい。また、他の部分の寸法も実施例の以外の値であってもよい。また、実施例の鍔部50の厚さT1を5mmとしたが、4mm、8mmなど他の値であってもよい。
【0045】
また、下部支柱20、上部支柱30及び鍔部50の材質は、ポリエチレン樹脂である。なお、下部支柱20、上部支柱30及び鍔部50の材質は、ポリエチレン樹脂に限定されず、ポリウレタン、ABS、ガラス繊維を含んだ強化プラスチックなどの合成樹脂であってもよく、さらには金属製であってもよい。
【0046】
次に鍔部50の別態様について説明する。
図4の(c)に示すように、鍔部50は、外径方向に向かって下方に湾曲する上側の湾曲面52aと、外径方向に向かって下方に湾曲する下側の湾曲面53aと、を有している。下方に湾曲する湾曲面53aにより鍔部50を地面60に食い込ませて浮き上がらないようにでき、草61が生えるのをより抑制することができる。さらに、上側及び下型を共に下方に湾曲させることで、平板状の鍔部50をプレス加工などで容易に曲げて成形することができる。
【0047】
次に鍔部50のさらなる別態様について説明する。
図4の(d)に示すように、鍔部50は、平面状の上面52と、外径方向に向かって下方に湾曲する下側の湾曲面53aと、を有している。下側を湾曲する湾曲面53aにし、上側を平面状の上面52にすることで、肉厚部分を形成して鍔部50の合成を向上させることができ、且つ下方に湾曲する湾曲面53aにより鍔部50を地面60に食い込ませてより一層浮き上がらないようにでき、草61が生えるのをより抑制することができる。
【0048】
次に比較例の視線誘導標100の作用について説明する。
図5の(a)は比較例の視線誘導標100であり、下部支柱101と上部支柱102が一体的に繋がったいわゆる一本ものに形成されている。下部支柱101には、抜け止め用に横に延びるピン状のネカセ103と呼ばれる部材が設けられている。このため、地面60に下部支柱101の打ち込みができず、床掘、建て込み、埋め戻しの一連の作業が伴う。上部支柱102の上部には反射体104が設けられている。
【0049】
ここで、支柱は所定の高さH1にする必要があるところ、比較例の視線誘導標100は、地面60の床掘、建て込み、埋め戻しの一連の作業の際、支柱の地上高さを正確に計測して作業を行わない場合、作業地面60から反射体104までの高さ(支柱の高さ)がH2となり、所定の高さH1とズレ易くなる。このように、比較例の視線誘導標100では、支柱の高さを所定の高さH1にするために、床掘、建て込み、埋め戻しの一連の作業の際、地面60に基準位置60aを合わせるように支柱の地上高さを正確に計測して作業を行う必要があり手間と工数がかかる。
【0050】
図5(b)は比較例の視線誘導標100における草刈り作業を示す図である。土の地面60に視線誘導標100を設置した場合、日数が経過すると地面60に草61が生えてくる。草61が大きく成長すると視線誘導の妨げになるため視線誘導標100周辺の草61を草刈り機70で草刈りする。その際、比較例の視線誘導標100では上部支柱102の根本近傍まで草61が生えており、草刈りの際に誤って草刈り機70の刈刃71で上部支柱102の根本を損傷させることがある。場合によっては、上部支柱102を切断することもあり、切断された場合は下部支柱101からの補修が困難なことから、下部支柱101の残存部分に木杭などの中芯を挿入し、その上に軽損傷の上部支柱102を建て込む補修がなされることもある。
【0051】
次に実施例の視線誘導標10の作用について説明する。
図5(c)は実施例の視線誘導標10であり、建て込み方法は、棒の先端部にらせん状のオーガが設けられたオーガドリルでガイド穴を掘り、このガイド穴に鍔部50を介して下部支柱20をねじ込んで埋める。その際、鍔部50が地面60に接し、鍔部50の上に頭部24が当接するので、計測することなく下部支柱20の根入れ深さが一定(所定の深さ)になる。この下部支柱20に上部支柱30を接続し、止めピン40で止める。これにより、地面60から反射体34までの高さ(支柱の高さ)が所定の高さH1になる。
【0052】
反射体34の向きを調整する場合は、視線誘導標10の建て込み後であっても、六角の頭部24にレンチなどの工具を嵌めて回転させることで反射体34の向きの微調整を容易に行うことができる。このように、実施例の視線誘導標10は、従来技術及び比較例の技術と比較して建て込みの工数を低減して短時間で設置することができる。
【0053】
図5(d)は実施例の視線誘導標10における草刈り作業を示す図である。土の地面60に視線誘導標10を設置した場合、日数が経過すると地面60に草61が生えてくる。草61が大きく成長すると視線誘導の妨げになるため視線誘導標10周辺の草61を草刈り機70で草刈りする。その際、実施例の視線誘導標10では、鍔部50があるため、上部支柱30の根本周辺には草61が生えておらず、根本周辺の見通しがよい。このため、草刈り機70の刈刃71で誤って上部支柱30の根本を損傷することなく、草刈り作業を行うことができる。
【0054】
また、刈刃71が上部支柱30の根本に近づいても上部支柱30の下方には上部支柱31よりも肉厚な頭部24があるため、頭部24によって上部支柱30の根本やその内側の下部支柱20を保護することができる。仮に、上部支柱30が損傷した場合でも、止めピン40を外して上部支柱30を容易に交換することができる。
【0055】
次にスノーポール36が設けられた視線誘導標10について説明する。なお、以下の説明では、図2と同様の構成については符号を振り説明を省略する。
【0056】
図6に示されるように、視線誘導標10は、上部支柱30の上端部に上方に延びるようにしてスノーポール36が設けられている。このスノーポール36の上端部にはスノーポ
ール枠体37が設けられている。スノーポール36の長さはL6であり、例えばL6=650mmである。なお、スノーポール36は、設置場所によって適宜長さが異なるものを使用してもよい。
【0057】
次に以上に述べた視線誘導標10の作用、効果を説明する。
【0058】
本発明の実施例は、頭部24には、この頭部24の下面24bに当接し、且つ下部本体部21を通す貫通孔51が形成されると共に頭部24の外形W1よりも大きい外径D5に形成された円板状の鍔部50が設けられているので、下部支柱20を土の地面60に差すように建て込むだけで、鍔部50が地面60に接して移動が制限され、下部支柱20のいわゆる根入れ深さが一定になる。このため、頭部24から上方に延びるように設けられた突き出し部25に、上部支柱30を挿し込み支持させるだけで、土の地面60における上部支柱30(支柱)の地上高さを一定にでき、設置作業を容易にすることができる。
【0059】
さらに、本発明の実施例では、鍔部50が地面60に押し付けられるので平面視で鍔部50の範囲から草61が生えることを抑制できる。鍔部50の上面52は頭部下面24bに押さえられて鍔部50と頭部24の間には隙間がないので、従来技術(特許文献3)のような複雑なリップ構造が不要となり、簡単な構造で隙間から草61が生えることを抑制できる。さらに、剛性の大きい頭部24で鍔部50を押さえるので、従来技術(特許文献3)のような剛性の小さいリップ構造で鍔部を押さえるのとは異なり、草61の成長で鍔部50が押し上げられる力よりも鍔部50を押さえる力を大きくでき且つ抑える力を持続させることができる。さらに、頭部24で蓋部50を押さえるだけなので、鍔部50をピンなどの別部材を用いて固定する必要もなく、部品点数を少なくして簡単な構成にすることができる。結果、簡単な構造で、支柱の根本周辺に草61が生えるのを抑制し続けることができる。
【0060】
さらに、本発明の実施例では、先細り部23により土の地面61に容易に突き刺して前進させることができる。さらに、ねじ部22により下部支柱20を回転させるだけで容易に地面60の中に埋め込むことができる。同様に下部支柱20を逆回転させることで容易に抜き取ることもできる。従来技術のように、床堀、建て込み、埋め戻しの一連の作業が不要で、簡単に下部支柱20を設置できる。さらに、下部支柱20を回転させて埋め込む際、ねじ部22により下部支柱20を少しずつ前進させて鍔部50を地面60に大きな力で押さえ付けることができる。さらに、ねじ部22が抜け止めの役割を果たすこともできる。
【0061】
さらに、本発明の実施例では、頭部24が六角形に形成されているので、レンチなどの工具で容易に頭部24を回転させることができる。地面60の状態によっては大きな力で頭部24を回転させる必要があるが、頭部24を六角にすることで、工具により大きな力で頭部24を回転させることができ、支柱の向きの調整も容易にできる。
【0062】
さらに、本発明の実施例では、突き出し部25に筒状の上部支柱30を嵌め、上部支柱ピン孔35及び突き出し部ピン孔26に止めピン40を留めるだけで視線誘導標10全体を組み上げることができる。さらに、上部支柱30の交換が必要な場合、下部支柱20を地面60から抜き出すことなくそのままの状態で、止めピン40の抜き差しだけで上部支柱30のみを容易に交換することができる。
【0063】
さらに、本発明の実施例では、視線誘導標10をスノーポール36にも使用することができる。
【0064】
尚、実施例では、下部本体部21及び先細り部23にねじ部22を設けたが、これに限
定されず、ねじ部22が設けられていない下部本体部21及び先細り部23としてもよい。また、実施例では、止めピン40をスナップピン42に留めたが、これに限定されず、止めピン40とスナップピン42の代わりに、首長のボルトとナットを使用してもよく、下部支柱20に上部支柱30を接続して止めることができれば他の方法であってもよい。
【0065】
また、実施例では、下部支柱20と上部支柱30とを別体の部品としたが、これに限定されず、頭部24を設けて頭部24で鍔部50を押さえる構造であれば下部支柱20と上部支柱30と一体に形成しても差し支えない。この場合は、突き出し部25と上部本体部31が一体的に形成される。また、実施例では、頭部24を平面視で六角形としたが、これに限定されず、平面視で三角形、四角形、円形としてもよく、高さも適宜変更してもよい。また、実施例では、鍔部50の外形を平面視で円形としたが、これに限定されず、平面視で三角形、四角形、六角形、八角形などとしてもよく、平面視での形状は適宜変更してもよい。
【0066】
即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の技術は、道端や道路線形などを明示するために車両の運転者の視線誘導を行う視線誘導標に好適である。
【符号の説明】
【0068】
10…視線誘導標、20…下部支柱、21…下部本体部、22…ねじ部、23…先細り部、24…頭部、25…突き出し部、26…突き出し部ピン孔、30…上部支柱、31…上部本体部、34…反射体、35…上部支柱ピン孔、36…スノーポール、40…止めピン、50…鍔部、51…貫通孔、53a…湾曲面、60…地面、W1…頭部外形、D1…下部本体部外径、D5…鍔部外径、H1…所定の高さ。
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5 
【図6】
図6 
メッセージ

道路維持管理に対応した「視線誘導標」

【従来製品】
 標準型(土中建込)は一本ものであり、地上90cm、根入れ60cmとなって、下部位置に抜け止めの「ネカセ」があることから、打ち込みができず、重機による床掘、建て込み、埋戻しの一連作業の際、支柱の地上高さを正確に計測する作業が伴うため、手間と工数が掛る。

【今回の提案】
 支柱を上部と下部に分け、下部支柱(土中部分)を「ねじ形状」に、頭部を六角レンチ対応とし、前もって小型オーガードリルでガイド穴を掘り、円形状の「鍔」をかませ、ねじ回転で埋め込む。その上に反射体付の上部支柱を下部支柱の突起部にかぶせ、横軸(ピン)を差し、固定する。

【効果】
 本発明は、支柱の地上高さを一定にする作業を容易にでき、且つ、支柱の根元周辺に草が生えるのを抑制できる。
@ 設置作業は重機を要しない。
A 草刈り作業に伴う、支柱への接触・切断は減少する
B 上部支柱が接触事故等で損傷しても、ピン止めであることから容易に交換できる。
 以上のことで、新設及び維持管理が容易に、しかも経費節減ができることから、道路管理者が、今一番必要とする「視線誘導標」となりえる。
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