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衣服・履物
 
【発明の名称】履物
【出願人】
【識別番号】507073697
【氏名又は名称】種子田 七郎
【住所又は居所】大阪府高槻市寿町1丁目4番8号
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100124981
【氏名又は名称】川嶋 正章
【発明者】
【氏名】種子田 七郎
【住所又は居所】高槻市寿町1丁目4番8号
【要約】
【課題】
筋肉や神経を強化・活性化させうる履物を提供する。
【解決手段】
下駄は、上面に人の足が載置される足底部材10と、足底部材10の裏面から下方に突出した下駄の歯となる1つの突起部材20と、花緒である固定部材30とを備えている。突起部材20の歯本体21は、丸太を半割にして形成されるほぼ半円筒状の木製(檜,桐等)の歯本体21と、歯本体21の地面と接する側の半円筒面を覆うゴム板22とを備えている。足底部材10の底板11には、突起部材20の取付位置をへっこうするための溝12a〜12dが設けられている。1つの突起部材20で静止したり、歩行すると、体のバランスを保つために、多くの筋肉や神経が作動して、強化・活性化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に足が載置される足底部材と、
上記足底部材の裏面に取り付けられ、地面との接触部の少なくとも一部が曲面状の突起材と、
上記足底部材に取り付けられ、足を固定するための固定部材と、
を備えている履物。
【請求項2】
請求項1記載の履物において、
上記突起部材は、部分柱状の部分を有している、履物。
【請求項3】
請求項1または2記載の履物において、
上記固定部材は花緒であり、
下駄として機能する、履物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の履物において、
上記突起部材の少なくとも紙面との接触部は、弾性材料からなる、履物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の履物において、
上記足底部材の複数箇所に、上記突起部材の取付部が設けられていて、突起部材の取付位置が変更可能である、履物。
【請求項6】
上面に足が載置される足底部材と、
上記足底部材の裏面に取り付けられた突起材と、
上記足底部材に取り付けられ、足を固定するための固定部材と、
上記足底部材の複数箇所に設けられた上記突起部材の取付部とを備え、
上記突起部材の取付位置が変更可能である、履物。
【請求項7】
請求項6記載の履物において、
上記突起部材は、部分柱状の部分を有している、履物。
【請求項8】
請求項6または7記載の履物において、
上記固定部材は花緒であり、
下駄として機能する、履物。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の履物において、
上記突起部材の少なくとも紙面との接触部は、弾性材料からなる、履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、健康増進を目的とした下駄等の履物に関する。
【背景技術】
従来より、特開2006−51313号公報に開示されるように、花緒付きの下駄の裏面に、かかと側から中央部に向かって高くなるように傾斜し、中央部で段差をもって低くなり、中央部からつま先まで平坦になるように、段差のあるゴムを貼り付けることにより、血液の循環が悪くなるために生じる足のむくみや疲れを解消して、健康の増進を図る履物が知られている。
【特許文献1】
特開2006−51313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1の履物は、かかと側の傾斜部で地面と接触しつつ直立することにより、ふくらはぎやアキレス腱を伸ばすストレッチ効果を利用しようとするものである。かかるストレッチ作用によると、筋肉に蓄積された疲労物質を筋肉から絞り出すことにより、疲労を回復させる作用は期待できるとしても、積極的に足の筋肉や神経を強化する効果は余り期待することができない。
本発明の目的は、人がバランスの不安定な状態におかれたとき、バランスを保つために身体の多数部位の筋肉が作動することを利用して、筋肉や神経を強化・活性化しうる履物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の履物は、足底部材の裏面に、地面との接触部が曲面状の突起材を設けたものである。
これにより、地面との接触が曲面状の突起部材で行われるので、人は非常に不安定な状態におかれる。そこで、体のバランスを保つために、足部分だけでなく、身体全体の多数の筋肉や神経を作動させることになる。その結果、体全体の筋肉や神経の機能が活性化され、強化される。
第1の履物において、突起部材は、たとえば、部分柱状(かまぼこ状)である。突起部材が半球状であってもよいが、あまりにバランスが悪いと、人によっては、使いこなせない場合もある。そこで、かまぼこ状にすることで、適度のバランス性が得られる。
突起部材の少なくとも紙面との接触部が、弾性材料からなることにより、地面との接触幅を比較的大きく確保することができ、直立状態での使用が容易となる。また、歩行時のすべり止めや膝への衝撃防止効果が大きくなる。
足底部材の複数箇所に突起部材の取付部を設け、突起部材の取付位置を変更可能とすることにより、バランスを採る難易度に応じて、段階的に取付位置を変えることができる。また、バランスをとるための位置が多様になることで、より多くの筋肉や神経を作動させることができる。
本発明の第2の履物は、足底部材の裏面に、取付位置が変更可能な突起材を設けたものである。
これにより、地面との接触が突起部材で行われるので、人は不安定な状態におかれ、体のバランスを保つために、足部分だけでなく、身体全体の多数の筋肉や神経を作動させることになる。しかも、バランスを採る難易度に応じて、段階的に取付位置を変えることができる。また、バランスをとるための位置が多様になることで、より多くの筋肉や神経を作動させることができる。
【発明の効果】
本発明の第1または第2の履物により、筋肉及び神経を十分に作動させて、強化・活性化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
−下駄の構造−
図1は、実施の形態に係る下駄の構造を示す断面図である。図2は、突起部材20の構造を示す斜視図である。本実施の形態の下駄は、上面に人の足が載置される足底部材10と、足底部材10の裏面から下方に突出した1つの突起部材20と、人の足を固定するための固定部材30とを備えている。
足底部材10は、木製の矩形状平板からなる底板11に、その長手方向(歩行方向)にほぼ直交する方向に延びる4つの溝12a〜12dを形成して構成されている。突起部材20は、丸太を半割にして形成されるほぼ半円筒状の木製(檜,桐等)の歯本体21と、歯本体21の地面と接する側の半円筒面を覆うゴム板22とを備えている。歯本体21の内側面23の内部は、下駄の花緒の裏面への突出部分を回避するための空間である。なお、ゴム板22は必ずしも設けなくてもよいし、ゴム板22に代えて皮や弾性樹脂を用いてもよい。また、歯本体21は、木製である必要はなく、各種樹脂や軽金属などによって構成してもよい。
歯本体21の上面には、足底部材10の溝12a〜12dに嵌合する1対の嵌合部24が設けられている。嵌合部24は、底板11の長手方向にほぼ直交する方向に延びており、2カ所に取付用ねじ穴25が形成されている。図1には、突起部材20の嵌合部24を溝12a,12bに嵌合させたときの構造が実線で示されており、このとき、突起部材20は底板11の前方部に位置している。一方、嵌合部24を溝12b,12cに嵌合させたときには、突起部材20は底板11のほぼ中央部に位置し、嵌合部24を溝12c,12dに嵌合させたときには、突起部材20は底板11の後方部に位置する。このように、突起部材20の取付位置は、変更可能に構成されている。
また、固定部材20は、本実施の形態では、下駄の花緒であって、足の第1指(親指)および第2指によって挟まれる前紐31と、足の上面及び両側面を固定する分岐紐32とを有している。前紐31は、底板11の前方に形成された1つの前方孔15を通った後、底板11の裏面側で結び目を形成して固定されている。また、分岐紐32は、底板11の後方に形成された1対の後方孔16を通った後、それぞれ結び目を形成して固定されている。なお、図示されていないが、前方孔15および後方孔16の下方には、前紐31,分岐紐32を囲む金具が設けられている。
ただし、本発明の履物は、下駄に限定されるものではなく、靴やサンダルなどであってもよい。その場合には、固定部材は、足の側面及び上面全体を覆うもの、あるいは、足の前方部分だけを覆うもの、足の前方部分とかかとを固定するもの、など種々の構造を採ることができる。
図3は、右足用底板の上面図である。図4は、左足用底板の上面図である。底板11には、花緒を通すための前方孔15と、1対の後方孔16とが形成されているとともに、足の血行の改善のための大磁石19aおよび小磁石19bが取り付けられている。また、突起部材20の嵌合部24の上面のねじ穴25に対応する位置に、ビス用段付き孔18がそれぞれ形成されている。
次に、本実施の形態の下駄の寸法例を説明する。底板11のサイズは、たとえば、長さ(長手方向寸法)が約27cm、幅(長手方向に直交する方向の寸法)が約12cm、厚さが約2.5cmである。突起部材20の歯本体21のサイズは、高さが約6.5cm、長さ(底板11の長手方向に直交する方向の寸法)が約12cm、幅(底板11の長手方向に平行な方向の寸法)が約11cm(ただし、半径約6cmなので、正確には半円筒形状ではない)である。ゴム板22の厚さは約2mmである。また、固定部材30(花緒)の分岐紐32の長さは、約18cmである。底板11の前方孔15の径は約7mmで、後方孔16の径は約12mmである。大磁石19aの径は約15mm、小磁石19bの径は約10mmである。
−下駄の使用方法−
本実施の形態の下駄は、通常は、はき慣れるまでに多少の練習をすることが好ましい。練習の初期には、突起部材20の嵌合部24を底板11の溝12b,12cに嵌合させて、底板11のほぼ中央部に突起部材20を取り付ける。そして、平らな地面の上で、杖・椅子・机・手すりなどを軽く握って、直立できるように訓練する。そして、2分間程度姿勢正しく直立できるようになれば、次の段階に進む。すなわち、歩行したり、歯本体21の取付位置を面部,後部に偏向して、静止、歩行を行う。このとき、歯本体21が半丸太状(半円筒形)であるために、前後に傾きやすい。前後に傾けてもよいが、傾かないように直立姿勢を保つこともできる。直立姿勢で体のバランスを採るように努めたり、歩行することで、体の多数の筋肉,神経が作動し、筋肉,神経の強化・活性化が図られる。
本実施の形態の下駄では、底板11をほぼ地面に平行にして、突起部材10だけを地面と接触させつつ直立状態を保つことが可能になる。その場合には、突起部材20と地面との接触幅は、以下の通りになる。
ヘルツの解析によると、半径がr1,r2である2つの円柱面が接触して圧力を受けている場合、その接触幅bは、下記式(1)
b=2.15√[{(E1+E2)/E1・E2}・{r1・r2/(r1+r2)}・p] (1)
で表される。ただし、pは円柱の単位長さ当たりの荷重、r1は下駄の歯本体21の半径、r2は地面の曲率半径、E1は歯本体21の弾性係数、E2は地面の弾性係数である。
計算を簡略化するために、歯本体21もゴムで構成されているものとする。一般に、ゴムの弾性係数は、ほぼ1kgf/cm2=1×9.8×104N/m2である。地面をコンクリートとすると、E2≒2.1×109kgf/m2>>E1であるから、分母、分子をE2で割ると、
(E1+E2)/E1・E2={(E1/E2)+1}/E1)≒(0+1)/E1=1/E1
となる。以上により、
b=2.15√[{(E1+E2)/E1・E2}・r1・p]
=2.15√[{(1/(9.8×104)}・6×10−2×290](MKS)
=2.15√[1.77×10−4]
=2.15×1.33×10−2
=2.9×10−2(m)=2.9(cm)
この計算結果からは、少し訓練すれば、人が突起部材20だけを地面に接触させた状態で、静止、或いは歩行も可能となる。ただし、以上の計算結果は、歯本体21もゴムである場合の接触幅を示すにすぎない。実施の形態の構造の場合、ゴム板22の厚みは3mmなので、大きく凹むことができない。実際には、ゴムや木の材質によって異なるが、接触幅bは1.5〜2cm程度になるであろう。それでも、訓練すれば、人が突起部材20だけを地面に接触させた状態で、静止、歩行が可能となる。
突起部材20全体が木製の場合には、E1がE2に近い(杉の弾性率は、約9×104kgf/cm2)ので、上述のようにE2を無視することができない。したがって、人が突起部材20だけで地面と接触した場合には、両者の接触幅bは非常に小さいことが予想され、バランスを保つのは非常に難しいが、人によっては不可能ではない。とくに、木の代わりに適度に弾性率の低いプラスチックや弾性エラストマーを用いることで、上述のように、E2を無視することができ、接触幅bをある程度確保することができ、だれでも訓練すればバランスを保つことが可能となる。本実施の形態では、歯本体21が木製であっても、その表面にゴム板22を備えていることにより、両者の接触幅bを十分大きく確保できるので、直立した状態でバランスを保つことが比較的容易になる。
すなわち、本実施の形態の下駄によると、突起部材20だけで地面に接触する場合、下駄全体を前倒しにして突起部材20と底板11の先端とで地面に接触する場合、下駄全体を後倒しにして突起部材20と底板11の後端とで地面に接触する場合の3通りの立ち方が可能である。突起部材20を底板11の前部に取り付けた場合、実施の形態の寸法例では、前倒しにすると底板11と地面とのなす角は55°であり、後倒しにすると底板11と地面とのなす角は15°である。突起部材20を底板11の中央部に取り付けた場合、実施の形態の寸法例では、前倒しまたは後倒しにすると底板11と地面とのなす角はいずれも25°である。突起部材20を底板11の前部に取り付けた場合、前倒しにすると底板11と地面とのなす角は15°であり、後倒しにすると底板11と地面とのなす角は45°である。
また、本実施の形態の下駄を履いて歩く場合にも、一般道路のごとく不測の状況が生じることの多い地面を除き、基本的には上記3通りの歩き方が可能である。したがって、本実施の形態の下駄を用いて、静止、歩行を上記3通りで行うことにより、足はもちろん、足以外の体の各部の筋肉や神経を活発に作動させることになる。たとえば、各部の筋肉の収縮、弛緩によって筋肉の疲れをほぐすとともに、筋肉を強化させることができる。また、各部の神経を活発に作動させることによって、神経系統をより活性化させることができる。つまり、筋肉や神経の強化・活性化を図り、運動不足に起因する筋肉や神経の退化を防止することができる。
また、底板11への突起部材20の取付位置を変更可能とすることにより、直立静止状態や歩行時の体のバランスを保つために、筋肉,神経を極めて多種多様に作動させることになるので、筋肉,神経の活性化、退化防止の効果が顕著に得られることになる。
ゴム板21は、必ずしもなくてもよいが、歯本体20が比較的固い木や樹脂からなる場合は、ゴム板21を備えることにより、上述のように、地面との接触幅bを比較的大きく確保することができ、直立状態での使用が容易となる。また、歩行時のすべり止めや膝への衝撃防止効果が大きい。
また、磁石15,磁石16を備えていることにより、血行を促進して、疲労回復効果を発揮することができる。
(変形例)
上記実施の形態では、下駄を左右異なる形状としたが、同じ構造にすることも可能である。図5は、実施の形態の変形例に係る左右同一形状の足底部材10の上面図である。この変形例では、前方孔15は、1対の後方孔16から等距離で、かつ、底板11の幅方向における中間に位置する部位に形成されている。ビス用段付き孔18の取付位置は、実施の形態における図3,図4に示す位置と同じである。
図5に示す変形例においても、上記実施の形態と同様に、筋肉,神経の活性化による強化や、老化防止を図ることができる。特に、左右同型とすることにより、製造コストや製品価格の低減を図ることができる。
上記実施の形態では、突起部材20の下面をほぼ半円筒状としたが、本発明の突起部材はかかる実施の形態に限定されるものではない。たとえば、突起部材20の下面が半球状,半ラグビーボール状などであっても、人がバランスを採るために、筋肉や神経を活発に作動させることになるので、上記実施の形態と基本的には同じ効果を発揮することができる。
また、突起部材の下面が12面体、20面体などの多角面体状であっても、上記実施の形態と基本的には同じ効果を発揮することができる。ただし、突起部材20の地面と接触する部分が曲面状であることにより、不安定性が増すので、上記実施の形態の効果をより確実に発揮することができる。
また、足底部材10および突起部材20、足底部材10および固定部材30、或いは、足底部材10,突起部材20および固定部材30は、共通の樹脂材料やダイカスト金属材料により一体成形することができる。また、共通の材料でなくても、たとえば二色成形によって、一体的に成形することもできる。
上述のように、本発明の履物は、下駄に限定されるものではなく、靴,サンダルなどであってもよい。ただし、下駄の場合には、足の第1指(親指)と第2指との間で花緒を強く把持しつつ、足先全体の筋肉を作動させて下駄との密着性を確保する必要があるので、筋肉や神経をより強化・活性化することが可能になる。
上記開示された本発明の実施の形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
本発明の履物は、下駄,靴,サンダルなどとして、一般用或いはスポーツ用の履物として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における下駄の構造を示す断面図である。
【図2】突起部材の構造を示す斜視図である。
【図3】右足用底板の上面図である。
【図4】左足用底板の上面図である。
【図5】実施の形態の変形例に係る左右同一形状の足底部材の上面図である。
【符号の説明】
10 足底部材
11 底板
12a〜12d 溝
15 前方孔
16 後方孔
18 ビス用段付き孔
19a 大磁石
19b 小磁石
20 突起部材
21 歯本体
22 ゴム板
24 嵌合部
25 ねじ穴
30 固定部材
31 前紐
32 分岐紐
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
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