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衣服・履物
 
【発明の名称】襦袢用の伊達締め及びこれを用いた襦袢の着付け方法
【出願人】
【識別番号】509285012
【氏名又は名称】山本 惠子
【住所又は居所】京都府京田辺市薪茶屋前10番地の11
【出願人】
【識別番号】509285425
【氏名又は名称】平野 澄子
【住所又は居所】京都府京田辺市薪北町田37番地の7
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100087767
【氏名又は名称】西川 惠清
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100085604
【氏名又は名称】森 厚夫
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100155745
【氏名又は名称】水尻 勝久
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100143465
【氏名又は名称】竹尾 由重
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100155756
【氏名又は名称】坂口 武
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100161883
【氏名又は名称】北出 英敏
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100136696
【氏名又は名称】時岡 恭平
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100162248
【氏名又は名称】木村 豊
【発明者】
【氏名】山本 惠子
【住所又は居所】京都府京田辺市薪茶屋前10番地の11
【要約】
【課題】
襦袢の着付けに当たって簡単に衣紋の抜き具合を調節することができ、しかも抜いた衣紋の状態を長時間保持させることができる襦袢用の伊達締め及びこれを用いた襦袢の着付け方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、背の上部に紐通し11が設けられた襦袢1を羽織った状態で締められる襦袢用の伊達締め2である。伊達締め2の長手方向の略中央部分においてこの長手方向に一定の間隔をあけて一対の輪状部材21が設けられて成る。そして、伊達締め2が締められた状態において、襦袢1の紐通し11に通され両脇下方を通過させた紐材3を一対の輪状部材21に通して結び、紐通し11と一対の輪状部材21とがそれぞれ連結されることで、紐通し11を下方に引っ張るようにさせる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背の上部に紐通しが設けられた襦袢を羽織った状態で締められる襦袢用の伊達締めであって、
伊達締めの長手方向の略中央部分において この長手方向に一定の間隔をあけて一対の輪状部材が設けられて成り、
伊達締めが締められた状態において、襦袢の紐通しに通され両脇下方を通過させた紐材を一対の輪状部材に通して結び、紐通しと一対の輪状部材とがそれぞれ連結されることで、紐通しを下方に引っ張るようにさせることを特徴とする襦袢用の伊達締め。
【請求項2】
請求項1に記載された襦袢用の伊達締めを用いた襦袢の着付け方法であって、
背の上部に紐通しが設けられた襦袢を羽織らせ、
その後、襦袢の紐通しに紐材を通すと共に紐材の両端を脇下方を通して前方へ回し、その状態で前記伊達締めを締め、あるいは、前記伊達締めを締めた状態で襦袢の紐通しに紐材を通すと共に紐材の両端を脇下方を通して前方へ回し、
その後、紐材の両端を伊達締めの一対の輪状部材にそれぞれ外側から通し、
その後、紐材の両端を引っ張った状態で結んだことを特徴とする襦袢の着付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、襦袢の上に締められる襦袢用の伊達締め及びこれを用いた襦袢の着付け方法に関するものである。
【背景技術】
従来から肌襦袢の上から襦袢を羽織り、腰紐を締めた後、その上から締められる襦袢用の伊達締めが知られている(例えば特許文献1参照)。
この襦袢用の伊達締めにより、腰紐にて襦袢の衿元の形を決めた後にその上から締めて腰紐が緩まないようにしたり、その広い幅により和服のラインを美しく仕上げたり等できる。この伊達締めを用いた襦袢の着付けは、例えば、以下のようにして行なわれる。
羽織った襦袢の衿先を身体の正面で合わせ、背中心(背縫い)を身体の中央に位置させる。次に、衣紋を抜き、抜いた衣紋の形を保持したまま、下前の衿を合わせると共に上前の衿を合わせ、その状態で腰紐を締める。そして、襦袢用の伊達締めを、その中央が身体正面に位置された状態で締める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】
実用新案登録第3087984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般的に、着用された着物の美しさの一つとして、衣紋が適量に抜かれていることが挙げられる。
この点、着付けの専門家によれば衣紋の最適な抜き具合や着崩れない方法を熟知しているため、衣紋を微調整しながら最適に抜いたうえで、その抜かれた衣紋の状態を長時間維持させるように着付けることが可能である。着付けの美しさを長時間保たせるためには一定の技術が必要であり、相当の訓練を要する。
一方、専門家に頼らずに自分で着付けを行なう人もいるが、衣紋の抜き具合を調節しながら最適な抜き具合とし、その状態を維持したまま腰紐及び伊達締めを締めるというのは、かなり難しい作業となる。しかも仮に、衣紋を適度に抜いた状態で着付けることができたとしても、ある程度時間が経過すれば、衣紋を抜いた部分が抜いた量だけ前方に寄ってしまい、着崩れの原因となってしまう。
このように、衣紋の抜き具合を長時間保持させるように着付けるには相当の技術や経験を要し、素人による着付けは不十分な状態となることが多い。それ故、素人が着付けた場合においては、着付けた後においても、鏡などで頻繁に衣紋の抜き具合を確認し続けなければ、美しいラインを保つことができないという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、襦袢の着付けに当たって簡単に衣紋の抜き具合を調節することができ、しかも抜いた衣紋の状態を長時間保持させることができる襦袢用の伊達締め及びこれを用いた襦袢の着付け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の襦袢用の伊達締め及びこれを用いた着付け方法は、以下の構成とする。
すなわち請求項1に係る発明は、背の上部に紐通し11が設けられた襦袢1を羽織った状態で締められる襦袢用の伊達締め2である。伊達締め2の長手方向の略中央部分においてこの長手方向に一定の間隔をあけて一対の輪状部材21が設けられて成る。そして、伊達締め2が締められた状態において、襦袢1の紐通し11に通され両脇下方を通過させた紐材3を一対の輪状部材21に通して結び、紐通し11と一対の輪状部材21とがそれぞれ連結されることで、紐通し11を下方に引っ張るようにさせる。
襦袢1を羽織った状態で襦袢1用の伊達締め2を締めると、一対の輪状部材21が身体の正面に位置する。紐材3を、襦袢1の背の上部に設けられた紐通し11に通し、脇下方を通過させて輪状部材21にその両端を通す。この状態で紐材3を引っ張りながら結ぶと、輪状部材21を支点として紐通し11が下方に引っ張られ、このように引っ張られた状態で保持される。
このとき、紐材3の引っ張り具合を調節することで衣紋13の抜きの量を調節することができる。また、衣紋13の抜き量を調整した状態で紐材3を結ぶことにより、この衣紋13を抜いた部分が前方に寄ってしまうことがなく、着崩れを防ぐことができると共に、着付け時の衣紋13の抜きの状態を長時間保持することができる。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載された襦袢用の伊達締めを用いた襦袢の着付け方法である。背の上部に紐通し11が設けられた襦袢1を羽織らせる。その後、襦袢1の紐通し11に紐材3を通すと共に紐材3の両端を脇下方を通して前方へ回し、その状態で前記伊達締め2を締めるか、あるいは、前記伊達締め2を締めた状態で襦袢1の紐通し11に紐材3を通すと共に紐材3の両端を脇下方を通して前方へ回す。その後、紐材3の両端を伊達締め2の一対の輪状部材21にそれぞれ外側から通す。その後、紐材3の両端を引っ張った状態で結ぶようにした。
襦袢1の紐通し11に紐材3を通し、紐材3の両端をそれぞれ、脇下方を通過させて輪状部材21に通し、その後引っ張ると、輪状部材21を支点として襦袢1の紐通し11が下方に引っ張られることとなる。これにより、紐材3の引っ張り具合を調節することで衣紋13の抜きの量を調節することができ、さらにこの状態で紐材3を結ぶことにより、着崩れを防ぐことができると共に、着付け時の衣紋13の抜きの状態を長時間保持することができる。
【発明の効果】
本願発明によれば、襦袢の着付けに当たって、簡単に衣紋の抜き具合を調節することができ、しかも、抜いた衣紋の状態を長時間保持させることができるようになる。
【発明を実施するための形態】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
本実施形態の襦袢用の伊達締め2は、肌襦袢のうえから長襦袢1aを羽織らせて腰紐3aを締めた後、さらにうえから締めるものであり、図5に示されるように、伊達締め本体23に一対の輪状部材21が取り付けられて構成される。
伊達締め本体23は、一般的に用いられる公知の伊達締め2を利用する。例えば、本実施形態の伊達締め本体23は、左右に長い帯状とされており、長手方向の略中央部分に芯24を内在する。伊達締め2を締めたときに、この略中央部分が正面に位置するようになっている。伊達締め本体23の形状は、図5に示されるように、下縁が全長に亘って一直線状とされていると共に、上縁が端部側ほど下方に位置する傾斜を有しており、長手方向の両端が先細状となっている。
輪状部材21は、伊達締め本体23の長手方向の略中央部分に、この長手方向に一定の間隔をあけて設けられており、伊達締め本体23の下辺部に取り付けられ、伊達締め本体23の下縁からその一部(半部)が突出している。
各輪状部材21は、内面に面ファスナーが縫合された細長い布片22(長さ10cm×幅1cm程度)で構成されており、この布片22の上部が伊達締め本体23の下辺部に縫合され、その長手方向が伊達締め2の下縁と略直交している。この布片22の下端部と上端部とを、布片22の長手方向の略中間部分で折り返して合わせ、面ファスナーを介して両端部同士を接続することで、内部に通孔25が形成される。この通孔25には、後述の紐材3が通される。
なお、本実施形態における一対の輪状部材21の間隔は27cm程度となっているが、本発明の一対の輪状部材21は、伊達締め2装着時に身体の正面側に位置した状態で一定距離離間していればよいため、この点特に限定されない。
本実施形態の長襦袢1aは、背中心14(背縫い)の上部に紐通し11が設けられている。この紐通し11は、長さ10cm×幅1cm程度の長布を折り返して長手方向の両端同士を重ね合わせることで構成されており、図1等に示されるように、背中心14における上部にこの重ねた両端を縫合させる。なお、この紐通し11は、着物の着付け後に着物表面から紐通し11の形状が浮き出て目立ってしまうのを防ぐために、着物の着付け時におけるお太鼓の上端よりも下方となる部位に取り付けられるのが好ましい。本実施形態においては着物のお太鼓の上縁が位置する部位に相当する高さに取り付けられており、具体的には、衿下方10cm〜15cmの位置に取り付けられる。また、この紐通し11は市販の長襦袢1aに既に取り付けられている場合もあり、この場合には上記長布の取り付け作業が省略される。
以上、本実施形態の長襦袢1a及び伊達締め2の構成を説明した。以下、これらを用いた襦袢1の着付け方法を説明する。
まず、上記構成の長襦袢1aを被着付者に羽織らせ、左右の衿先を被着付者の正面で合わせて背中心14を背中の中央に位置させる。次に衣紋13を抜き、下前の衿12aと上前の衿12bを合わせ、この状態で腰紐8を締める。
次に、先に締めた腰紐8とは別の腰紐3a(紐材3)を用意する。この紐材3としての腰紐3aを襦袢1の背の上部に取り付けられた紐通し11に通し、その長手方向の略中間に紐通し11が位置するようにさせる。このとき、図3に示されるように、腰紐3aの両端近傍をそれぞれ左右の腰下(後述の伊達締めよりも下方に位置する部位)にクリップ等の仮止め手段7で留めておく。
そして、このうえから上記構成の伊達締め2を締める。このとき、伊達締め2の略中央部分が被着付者の正面に位置され、被着付者の正面中央に対して略対称となるように一対の輪状部材21が配置される。
次に、両端近傍が仮止め手段7で留められた状態の腰紐3aのその両端を、脇下方を通過させたままの状態で前方に回す。そして、この腰紐3aの両端をそれぞれ、一対の輪状部材21の通孔25に外側から通す。なお、このとき、輪状部材21の布片22を折り返さずに下方に延ばした状態でこの布片22のうえから腰紐3aを重ね、この状態で布片22を折り返して面ファスナーにより合わせることで、輪状部材21内に腰紐3aを位置させるようにしてもよい。
この状態でこの腰紐3aの両端を引っ張ると、輪状部材21を支点として紐通し11が下方に向けて引っ張られるため、衣紋13の抜きの具合が微調整できる。そして、衣紋13の抜きの具合を最適にした状態で、腰紐3a(紐材3)を結ぶ(図4(a)の状態)。そして、図4(b)に示されるように、この腰紐3aの結び目を、既に装着された伊達締め2の下縁内側に隠す。
このように着付けられた襦袢1は、図1〜図4に示されるように、襦袢1の紐通し11と一対の輪状部材21とがそれぞれ連結され、紐材3を介して各部が引っ張り合った状態となっている。このため、紐通し11の部分が、伊達締め2から離れる方向及び左右方向に移動規制される。またこの紐通し11の部分には襦袢1の衿12の復元力など伊達締め2から離れる方向に付勢された力が働く。これにより、衣紋13の抜きの状態が安定し美しい仕上がりとなると共に、着付け時の衣紋13の抜きの状態を長時間保持することができて、着物の着用時の美しさを長く保つことができる。
しかも、本実施形態の伊達締め2は、公知の伊達締めに輪状部材21を取り付けるだけでよいため、非常に簡単な構成で上記効果を得ることができる。
ところで、近年着物離れが進んでいるが、その要因の一つとして、着付けが複雑であることや美しく着付けることが難しいという点が挙げられる。しかし、本実施形態の襦袢1用の伊達締め2によれば、誰でも簡単に且つ確実に、美しい仕上がりで衣紋13の抜きを作り上げることができ、しかもこの状態を長時間保持させることができるため、専門家の技量に頼らずとも一定の着付けの美しさを得ることができ、着物の着用を促進させる一助となる。
長襦袢1aが着付けられた後には、さらにこのうえから着物が着付けられる。このとき帯4には帯揚げ6が取り付けられるが、この帯揚げ6には、図6に示されるような装飾体5が取り外し自在に取り付けられる。なお、図6中の符号41は帯締めを示している。
この装飾体5は、布で花を形取った装飾部51と、この装飾部51の裏側に設けられた取付部52とから構成されている。
この取付部52は、細長い面ファスナーにより構成されており、帯揚げ6の長手方向に直角な方向に帯揚げ6を巻き付けて面ファスナーにより固定させる。
この装飾体5によれば、着付け後においても簡単に取り付けることができ、着物の着付けがより美しいものとなる。なお、本実施形態の装飾部51は布で花を形取った形状により構成されているが、リボンなど意匠性を有する形状を適宜適用することができる。
以上、本実施形態を長襦袢1aを用いて説明したが、本発明の襦袢1は2部式の半襦袢であっても適用でき、特に限定されるものではない。
また、本実施形態においては、紐材3を紐通し11に通し、仮止め手段7により紐材3の両端を仮止めした状態で伊達締め2を締め、紐材3が伊達締め2の内側に位置するようになっていたが、本発明の襦袢の着付け方法は、伊達締め2を締めた状態で、紐通し11に紐材3を通すと共に紐材3の両端を前方に回して締め、紐材3が伊達締め2の外側に位置するようにしてもよい。
また、本実施形態においては紐材3を腰紐3aとした例で説明したが、本発明の紐材3は、断面が偏平な紐や断面が円形の紐など紐状の部材であれば適宜用いることができる。
さらに、本実施形態の伊達締め本体23は、一例として上記構成のものを例示したが、伊達締め本体23としては、公知の伊達締め2が適宜使用可能である。例えば、面ファスナーが取り付けられた伊達締めを用い、面ファスナーを介して締められる構成のものを用いてもよい。
また、本実施形態の襦袢1の背の上部に設けられた紐通し11は、背中心14に一つだけ設けられた例にて説明したが、本発明の紐通し11は背の上部に設けられていれば、一つに限らず複数箇所に設けられていてもよい。また、紐通し11が取り付けられる部位は、本実施形態のものに限定されず、例えば衿の下縁に取り付けられたものであってもよいものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の長襦袢を羽織った状態の背面図である。
【図2】同上の背面側方から見た斜視図である
【図3】同上の伊達締めを締める前の状態を説明するための図である。
【図4】同上の前面側方からみた斜視図であり(a)は紐材を結んだ状態の図であり(b)は結んだ紐材を伊達締め内側に隠した状態の図である。
【図5】同上の伊達締めの正面図である。
【図6】着物着付け後の状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1 襦袢
1a 長襦袢
11 紐通し
12 衿
13 衣紋
14 背中心
2 伊達締め
21 輪状部材
22 布片
23 伊達締め本体
24 芯
25 通孔
3 紐材
3a 腰紐
4 帯
41 帯締め
5 装飾体
51 装飾部
52 取付部
6 帯揚げ
7 仮止め手段
8 腰紐
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
 図6
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