閉じる
衣服・履物
 
【発明の名称】胸部用肌着
【出願人】
【識別番号】519154162
【氏名又は名称】中山 禎子
【住所又は居所】愛知県春日井市浅山町2-9-17
【代理人】
【識別番号】100112531
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩二
【発明者】
【氏名】中山 禎子
【住所又は居所】愛知県春日井市浅山町2-9-17
【要約】
【課題】 女性の胸部に装着した際、優れたフィット性によりズレ等が生じることがなく、装着している状態を目立ちにくくした胸部用肌着を提供する。
【解決手段】 伸縮性を有する編み生地を筒状に形成した胸部用肌着であって、前記編み生地は、12〜70デニールのナイロン系糸5と、15〜40デニールのポリウレタン糸に12〜70デニールのナイロン系糸を巻き付けたカバリング糸4とを交互に編成している。
【選択図】 図1
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性を有する編み生地を筒状に形成した胸部用肌着であって、
前記編み生地は、15〜40デニールのポリウレタン糸に12〜70デニールのナイロン系糸を巻き付けたカバリング糸により編成していることを特徴とする胸部用肌着。
【請求項2】
伸縮性を有する編み生地を筒状に形成した胸部用肌着であって、
前記編み生地は、12〜70デニールのナイロン系糸と、15〜40デニールのポリウレタン糸に12〜70デニールのナイロン系糸を巻き付けたカバリング糸とを交互に編成していることを特徴とする胸部用肌着。
【請求項3】
前記編み生地が肌と同系色の色相となるように染色されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の胸部用肌着。
【請求項4】
前記筒状に形成された編み生地は、その上下端部の少なくとも一方端部側にバンド部を形成していることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の胸部用肌着。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として女性が使用する胸部用下着に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、乳癌に対する治療として、乳房を全摘出する外科的な手術、すなわち、乳癌となった乳房を切除してしまう乳癌除去手術といった方法が行われている。そして、こうした外科的手術を受けた者は、乳房を切除した後の胸部における乳房欠損箇所をカモフラージュするために、当該箇所にシリコン等を材質とする人工乳房(特許文献1又は2)を接着剤によって装着するなどしている。これらの人工乳房は、実際の乳房に近似した形態に形成されてはいるものの、やはり、人工物であるが故に外観上どうしても違和感を伴ってしまうことが否めない。そのため、人工乳房を装着した女性が、例えば、公衆浴場等といった多数の者の目に触れるような場所で入浴することに躊躇してしまうようなことが多々存在している。
【0003】
また、別の問題として、女性、特に思春期の女子は、人前で裸になって胸部を他人に見られることに抵抗感を抱いている場合があり、それが故に、公衆浴場などにおける入浴をためらってしまうような場合も少なからず存在している。
【0004】
このような場合に、胸部を隠すためにブラジャーや特許文献3に示されているようないわゆるスポーツブラを着用して入浴することも考えられなくはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2016−16140号公報
【特許文献2】 特開2013−332号公報
【特許文献3】 特表2013−540211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ブラジャーやスポーツブラを着用したまま入浴するとすれば、逆に目立つことになって、余計に人目を惹いてしまうことになりかねない。また、ブラジャーやスポーツブラは、比較的目の詰まった生地で製作されているため、公衆浴場等において、これらを着用したままで胸部を洗うことは事実上困難である。
【0007】
そこで、本発明は、女性が胸部を露出せざるを得ない公衆浴場のような場所等においても、女性の胸部を比較的目立つことなく隠すことができ、しかも、優れたフィット性によりズレ等が生じることもなく、さらには、着用した状態において、そのまま胸部を洗うことができる胸部用肌着を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するために本発明は、伸縮性を有する編み生地を筒状に形成した胸部用肌着であって、前記編み生地は、15〜40デニールのポリウレタン糸に12〜70デニールのナイロン系糸を巻き付けたカバリング糸により編成していることを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、伸縮性を有する編み生地を筒状に形成した胸部用肌着であって、前記編み生地は、12〜70デニールのナイロン系糸と、15〜40デニールのポリウレタン糸に12〜70デニールのナイロン系糸を巻き付けたカバリング糸とを交互に編成していることを特徴としている。
【0010】
なお、前記編み生地は、肌と同系色の色相となるように染色されていることが好ましい。このようにすることで、胸部用肌着を着用していても、女性の胸部を比較的目立つことなく隠すことができる。
【0011】
また、前記筒状に形成された編み生地は、その上下端部の少なくとも一方端部側にバンド部が形成されていることが好ましい。このようにすることで、胸部用肌着の着用時に胸部用肌着がズレてしまうこと等を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る胸部用肌着によれば、その編み生地が極細の糸で編成されていて生地自体が非常に薄く、また、肌と同系色の色相となるように染色されていることから、女性が胸部を露出せざるを得ない公衆浴場のような場所等においても、女性の胸部を比較的目立つことなく隠すことができる。しかも、極細の糸で編成したことで編み目に隙間が生じるため、胸部用肌着を着用した状態において、そのまま胸部を洗うことができる。さらに、編み生地に使用する糸にポリウレタン糸を使用していることにより、優れたフィット性を得ることができ、胸部用肌着が胸部からズレてしまうといった問題を著しく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】胸部用肌着の斜視図。
【図2】胸部用肌着の着用時の斜視図。
【図3】編み生地の編み組織を示す部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る胸部用肌着の実施の形態を説明する。図1は胸部用肌着の斜視図、図2は胸部用肌着の着用時の斜視図、図3は編み生地の編み組織を示す部分拡大図である。本実施形態における胸部用肌着は、図1及び図2に示されているように胸部及び背中部を被覆し得るように筒状に形成された本体部1と、本体部1の上端部と下端部のそれぞれに設けられ該本体部1よりも圧着性が強いバンド部2A,2Bとによって概略構成されて
いる。
【0015】
前記本体部1と前記バンド部2A,2Bとによって構成される胸部用肌着は、原糸の選択、編立て、プリセット、染色、仕上げという各工程を経て製作されることになる。そこで、これらの各工程に従って順に説明していく。まず、本体部1の編み生地に使用される糸であるが、30デニールのポリウレタン糸を芯糸とし、これに30デニールのウーリーナイロン糸を巻き付けてなるカバリング糸4、及び該カバリング糸4と交互に編成する30デニールのウーリーナイロン糸5が選択される。一方、バンド部2A,2Bの編み生地に使用される糸は、140デニールのポリウレタン糸、及び30デニールのウーリーナイロン糸が選択される。
【0016】
次に、前記のとおり選択された糸を用いて、本体部1及びバンド部2A,2Bの編立て工程に移るが、この編立ては、4口の靴下編み機や4口のパンスト編み機といった自動編み機によって行われる。この時、自動編み機は、バンド部2A、本体部1、バンド部2Bの順に編成し、ここまで編成したら、一旦糸を切って、1つの編み生地を完成させることになる。ここで、具体的な編立てについて説明すると、まず、バンド部2Aについては、4口の自動編み機の第1口に140デニールのポリウレタン糸と30デニールのウーリーナイロン糸、第2口乃至第4口の各々に30デニールのウーリーナイロン糸を供給し、タック編みで袋編みに編成している。すなわち、第1口は全部ループ、第2口はタック、ループ、タック、ループ(第4口と交互)、第3口は全部ループ、第4口はタック、ループ、タック、ループ(第2口と交互)というように編成していく。そして、このバンド部2Aの編成終了後に、本体部1の編成に切り換える。この本体部1については、4口の自動編み機の第1口に30デニールのポリウレタン糸に30デニールのウーリーナイロン糸を巻回したカバリング糸4、第2口に30デニールのウーリーナイロン糸5、第3口に30デニールのポリウレタン糸に30デニールのウーリーナイロン糸を巻回したカバリング糸4、第4口に30デニールのウーリーナイロン糸5を供給し、プレーン編みで袋編みに編成していく。そして、この本体部1の編成終了後は、バンド部2Bの編成に切り換える。この時は、4口の自動編み機を前述のバンド部2Aと同様の仕様に戻して編成し、バンド部2Bの編成終了後に一旦糸を切って、1つの胸部用肌着の編み生地の編成工程が完了する。すなわち、バンド部2A、本体部1、バンド部2Bが連続する筒状になった1の編み生地が完成する。
【0017】
前記編成工程終了後は、プリセット加工が施される。具体的には、編成された編み生地を真空状態の蒸気釜において60°C〜90°Cの温度で圧縮する。これを1、又は2サイクル行うことで、編み生地は、その編み目や寸法が一定のものに整ってくる。もっとも、この段階では、編み生地はまだ白色であるので、ドラム式の回転染色機で肌と同系色の色相となるように染色する。この時、染色工程を経た編み生地は、くしゃくしゃに皺が入った状態であることから、仕上げの工程として、金属製の型に被せた後、110°Cの蒸気でプレスして平坦なものに仕上げて完成する。
【0018】
なお、前記実施形態では、胸部用肌着の編み生地をウーリーナイロン糸5とカバリング糸4とを交互に編成した例を示したが、カバリング糸4のみで編成することでも、本発明の目的を達成することはできる。この場合、前述の製作工程のうち、編み立て工程が異なるのみで、他の工程はすべて同じになる。
【0019】
ちなみに、前記実施形態では、本体部を編成するカバリング糸の芯糸となるポリウレタン糸の太さを30デニールとし、これに巻回されるウーリーナイロン糸の太さを30デニールとした例を示したが、これに限られるわけではない。すなわち、カバリング糸の芯糸となるポリウレタン糸は、15〜40デニールの範囲、これに巻回されるナイロン系糸は、12〜70デニールの範囲であっても本発明の目的を達成することができる。また、前
記実施形態では、カバリング糸に交互に編成するウーリーナイロン糸の太さを30デニールとした例を示したが、これに限られるわけではない。すなわち、カバリング糸に交互に編成するナイロン系糸は、12〜70デニールの範囲であっても本発明の目的を達成することができる。さらに、前記実施形態では、バンド部を編成するポリウレタン糸の太さを140デニールとした例を示したが、これに限られず、100〜150デニールの範囲であればよく、また、前記実施形態では、バンド部を編成するナイロン系糸の太さを30デニールとした例を示したが、これに限られず、12〜70デニールの範囲であればよい。
【0020】
以上のように本発明に係る胸部用肌着は構成されるが、胸部用肌着の本体部1の編み生地に、ポリウレタン糸を芯糸としたカバリング糸を使用することにより、ポリウレタンの弾力性が編み生地自体に伸縮性を付与し、ひいては、胸部用肌着を着用者にフィットさせることができる。また、本体部1の編み生地に使用される糸の太さを前述のような極細のものとすることで、編成された編み生地において、図3に示されるような細かな隙間S,S,S・・が生じることになる。すなわち、極細の糸を使用することで、適度な隙間が形成されることになり、例えば、スポーツブラ等のように、編み生地の目が詰まりすぎてしまうことがなくなる。そのため、胸部用肌着の着用者が、浴場等において胸部用肌着を着用したまま胸部を洗った場合でも、本体部1の編み生地に形成された隙間S,S,S・・から湯水や石鹸が通過することになり、そのまま胸部を洗浄することができる。また、前述の本体部1の編成において、カバリング糸4のみによって編成した場合と、カバリング糸4とナイロン系糸5とを交互に編成する選択肢を示したが、カバリング糸4のみによって編成した場合には、カバリング糸4の芯糸であるポリウレタン糸が多くなって伸縮性が高くなるため、しっかりとしたサポート力を望む着用者には、この編成手法が好まれる。一方、カバリング糸4とナイロン系糸5とを交互に編成した場合には、前者よりも伸縮性はないものの、丈夫で破れにくくなるため、耐久性を望む着用者には、この編成が好まれる。すなわち、これらのいずれにするかは、着用者の好みに応じて選択されることになる。
【0021】
なお、胸部用肌着を実際に着用する場合には、筒状になった胸部用肌着に足を通した後、胸部用肌着をそのまま胸部まで刷り上げて装着する。この時、乳癌除去手術により乳房を切除された胸部に人工乳房を装着している場合には、人工乳房を覆うように胸部用肌着を装着する。このように装着された胸部用肌着は、極細の糸で編成されていて生地自体が非常に薄く、また、肌と同系色の色相となるように染色されていることから、女性が胸部を露出せざるを得ない公衆浴場のような場所等においても、女性の胸部を目立たせることなく隠すことができる。
【0022】
なお、本実施形態において、本体部の上下端部のそれぞれにバンド部を設けた例を示したが、これらバンド部は必ずしも設ける必要はない。すなわち、本体部のみでも、ポリウレタン糸の弾性力により、胸部にフィットさせることができるので、バンド部がなくても本発明の目的は達成できる。また、バンド部を上下端のいずれか一方にのみ設けても本発明の目的は達成できる。
【符号の説明】
【0023】
1 本体部
2A バンド部
2B バンド部
4 カバリング糸
5 ナイロン系糸
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
写真
発明者からのメッセージ

人工乳房を着けての入浴可能な製品です。
洗濯もできるので、繰り返し使用することができます。生地の伸縮性が高いので、体型に関係なく使用できます。
最近、ストーマを使っている方がパウチの代用として使う方もいます。
人工乳房を使う方を対象に作成した製品ですが、将来的に「スパDEブラ」として温泉等の浴場で皆が着用して、人の目を気にすることなく入浴できたらと考えています。
お問い合わせはこちらまで。


携帯電話:090-8547-0529
LINEID :teikun0529
F A X:0568-82-7160
ページtop へ