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衣服・履物
 
【発明の名称】靴の蒸れ抑制方法及び蒸れ抑制靴
【出願人】
【識別番号】303026154
【氏名又は名称】小俣 紀勝
【住所又は居所】神奈川県相模原市二本松3−8−22−6
【発明者】
【氏名】小俣 紀勝
【住所又は居所】神奈川県相模原市二本松3−8−22−6
【要約】
【課題】
靴の蒸れを抑制する方法及び蒸れを抑制した靴を提供する。
【解決手段】
少なくとも踝付近までの足(図示せず)を覆うようにした靴1において、靴1の底部1cを除く足を覆う部分に、貫通孔7を少なくとも1か所開口し、この貫通孔7を、例えば靴1の表面に沿って形成した少なくとも1個の通気路5(図1では5a、5bの2個、形状はいずれもトントンネル状)によって貫通孔7を覆うと共に、靴1の高い位置で通気路5に開放口4(図1では靴1に足を差し込む足の差込口4付近)に形成することにより、靴1の内部10aと外部10bとが通気路5を通じて連通するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも踝付近までの足を覆うようにした靴において、靴の底部を除く足を覆う部分のいずれかに、貫通孔を少なくとも一か所形成し、該貫通孔を通気路で覆い、該通気路に開放口を設け、該開放口が前記靴の高い位置で開口するように前記通気路を前記靴に取り付け、前記靴の内部が前記開放口を通じて前記靴の外部と連通するようにした靴の蒸れ抑制方法。
【請求項2】
前記貫通孔を複数設け、これらの貫通孔のいずれも前記一つの通気路に開口させるようにした請求項1記載の靴の蒸れ抑制方法。
【請求項3】
前記靴に前記通気路を複数設けるようにした請求項1又は2記載の靴の蒸れ抑制方法。
【請求項4】
前記高い位置が、前記靴の足の差込口付近である請求項1〜3のいずれかに記載の靴の蒸れ抑制方法。
【請求項5】
少なくとも踝付近までの足を覆うようにした靴において、該靴の底部を除く足を覆う部分に、貫通孔を少なくとも一か所形成し、該貫通孔を覆い、且つ靴の高い位置に開口する開放口を設けた通気路を前記靴に取り付け、前記靴の内部と外部とが前記通気路を通じて連通するようにした蒸れ抑制靴。
【請求項6】
前記通気路の開放口に栓、庇又は開閉可能にした蓋を設け、前記開放口から雨などが侵入しないようにした請求項5記載の蒸れ抑制靴。
【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
本発明は、靴の蒸れ抑制方法及び蒸れ抑制靴に関し、更に詳細には主として長靴、登山靴、安全靴など長時間着用すると蒸れ、不快感を催すばかりでなく、水虫などの原因になる靴の蒸れを抑制する方法及び蒸れ抑制靴に関するものである。
【従来の技術】
靴を履くと一般に足が蒸れることを多くの人が経験している。この靴の蒸れは、ゴム、人造皮革など通気性がきわめて悪い素材の靴、編み上げ靴、長靴、ブーツなど、踝部分を超えて深く足を覆う構造の靴などで特に顕著である。
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記のような靴の蒸れを抑制ないし防止するようにした靴は、今までに販売されたことがあるが、一般に普及したものは無いと認められる。それに対し、靴、特に長靴、安全靴、ブーツなどを常用する人にとって、足の蒸れは単に不快であるばかりでなく、水虫の原因になるなど衛生的にも好ましい物ではなく、蒸れを効果的に抑制した靴の開発は重要であると認められる。
本発明は、以上の問題に着目してなされたものであり、靴の蒸れ抑制方法及び蒸れ抑制靴を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の靴の蒸れ抑制方法は、少なくとも踝付近までの足を覆うようにした靴において、靴の底部を除く足を覆う部分のいずれかに、貫通孔を少なくとも一か所形成し、該貫通孔を通気路で覆い、該通気路に開放口を設け、該開放口が前記靴の高い位置で開口するように前記通気路を前記靴に取り付け、前記靴の内部が前記開放口を通じて前記靴の外部と連通するようにしたものである。
前記定義に該当する靴のうち比較的浅い靴としては、ウオーキングシューズ、キャラバンシューズ、登山靴、安全靴などであり、また長靴としては所謂ゴム長、ブーツなどを例示することができる。但し本発明はこれらの例示に限定されない。
通気路の形状には特に限定はない。例えば足の脛または脹ら脛に沿った位置に取り付ける場合は、一般的には靴に密着させて細長いトンネル状に形成することができるが、部分的に管状にして靴から離して取り付けることもできる。例えば体の側方側の靴の部分には、歩く際に複雑な皺ができる。したがってこの部分に細いトンネル状の通気路を靴と一体的に取り付けると、取り付け部分に無理が掛かるおそれがある。この場合は、管状にして靴から離すこともできるが、トンネルの幅を広くして局部的に屈伸動作が集中しないようにすることもできる。
前記貫通孔の数には特に限定はなく、一か所でも良く、また複数か所でもよい。またこれら複数の貫通孔のいずれも一つの通気路に開口させてもよく、また別々の通気路に開口させても良い。即ち、貫通孔の数にも、また通気路の数にも限定はなく、必要に応じて適宜決定することができる。
足と靴内面との間の隙間には、密着状の部分、開いた部分などいろいろあり、これらの部分からの空気の入れ換えは十分ではないと考えられる。その点本発明の通気路は、前記隙間と外気との間に空気の流動を容易にするように作用する。この作用は、複数の貫通孔を一つの通気路に取り付けることにより、又複数の通気路を設けることにより、より作用が顕著になると認められる。
前記開放口を開口させる位置は、本来蒸れる部位に貫通孔を設け、直接外気に開放するのが、換気上最も好ましいことは明らかである。しかしながら、雨やはねた泥などの汚れが靴内に侵入することを防止することができない。通気路の開放口を高い位置に設けるようにしたのはこのためである。
したがって、開放口を前記靴の足の差込口付近とすることが好ましい。しかしながら、ゴム長の場合足の差込口には剛性保持やデザイン上の要求などのため肉厚に形成されている場合があり、また革製、布製などの場合は縫い合わせ部分があるなど、足の差込口周縁部に取り付けることが困難な場合があり、ある程度足の差込口から下の位置とすることができる。
また前記目的を達成するための本発明の蒸れ抑制靴は、少なくとも踝付近までの足を覆うようにした靴において、該靴の底部を除く足を覆う部分に、貫通孔を少なくとも一か所形成し、該貫通孔を覆い、且つ靴の高い位置に開口する開放口を設けた通気路を前記靴に取り付け、前記靴の内部と外部とが前記通気路を通じて連通するようにしたものである。
前記開放口はそのままとすることができるが、この部分から雨、はねた泥などが侵入しないように、栓、庇又は開閉可能にした蓋を設けたりすることができる。
【発明の実施の形態】
以下添付の図面を参照する一実施の形態を示し、本発明を更に具体的に説明する。図1〜4に示す第1実施の形態による蒸れ抑制靴1は、市販の大人用ゴム長靴を加工することにより実施したものである。
図1及び2に示すとおり、蒸れ抑制靴(以下誤解のおそれのない時には単に靴と略称する)1の正面、即ち足(図示せず)のすね側には、靴1の爪先2に近い甲部3から足の差込口4の近く迄、正面か見て直線状に延びる通気路5aを設けている。靴1の甲部3に貫通孔7を設けることにより暖められた湿った空気が通気路5a内に侵入しやすくすることができる。
甲部3に貫通孔7を開口したのは、足先内部周辺で暖められた湿った空気を歩行に邪魔にならないで集められると考えたからである。しかしながら本発明において、先端の貫通孔7を設ける位置はこれに限定されず、適宜選定することができる。
また図1及び3に示すとおり、靴1の背面、即ち足の脹ら脛(図示せず)側には、靴1の後部6の上部から前記足の差込口4の近くに迄、背面から見て直線状に延びる通気路5b(通気路を総称するときには5とのみ記載する)設けている。このように通気路5bを靴1の底近くにまで設けない理由は、この部分は外側に出っ張っているため、更に出っ張らせると、階段を下りる際に引っかけるおそれがあるためである。
前記通気路5には靴1の本体1aを貫通する貫通孔7を複数個ほぼ同じ間隔を開けて開口し、通気路5の上端に換気用の開放口8を設け、下端9を閉塞させ、開放口8以外から雨水などが浸入しないようにした。なお開放口8の設け方は図示したものに限定されず、通気路5の壁側に開口させることもできる。
通気路5の断面形状は、図4に示すとおりほぼ半円形とした。この形は、本発明にとって本質的ではなく、他の断面形状とすることができるが、形状安定性などを考慮すると、好ましい断面形状の一つと考える。第1実施の形態の通気路5は、いずれも市販の軟質ビニール管を裂いて接着剤で市販の靴本体1aに固定したものである。工業的には、ゴム製靴の場合は加硫により、また革製又は布製の場合は縫い着けによるなどとすることができる。
なお第1実施の形態の靴本体1aは、前記説明のとおり通常市販されているごく普通の製品を使用したので細部に渡る説明及び図示を省略するが、図1〜4に示す主な部分としては、符号1bは底部1cとの接着補強部であり、1dは滑り止め、1eは靴1の踵である。
なお、第1実施の形態の貫通孔7は手加工により作成したものであり一定した大きさではないが、いずれも縦が約15mm、幅が約10mm、通気路5の取り付けも手作業であり場所により一定しないが、いずれも幅の内法を約15mm、高さの内法を約10mmとなるようにした。但しこれらの数値はいずれも例示のためであり、これらの数値によって本発明を限定的に解釈することはできない。例えば、貫通孔7を比較的小さな径かつ小さな間隔で沢山開けて実質的な開口面積を十分なものとするなど各種の形態で実施することができる。
第1実施の形態では、前記の各数値及び通気路5a側の貫通孔7は6個、通気路5b側の貫通孔7は4個としたこと、及び複数の貫通孔7をほぼ等間隔に配置したこと、又これらの大きさなどは、例示のためであり、本発明にとって本質的ではなく、適宜変更することができる。
開放口8を図1に示したように靴1の高い部分に配置する手段は、はねた泥などが浸入することを、より効果的に防止するように作用する。
以上説明したように第1実施の形態の蒸れ防止靴1は、靴本体1aに設けた複数の貫通孔7をそれぞれ通気路5a、5bに直列状に開口したので、靴1の内部10aで暖められた空気と外部10bの相対的に湿度の低い空気との入れ替わりを容易にし、更に足を動かす際にも、靴1の内部10a各部の空気が貫通孔7及び通気路5を通じて移動を可能にするので、爪先2など靴1の内部10aの奥まった所にも乾いた空気が供給されるようになり、蒸れを効果的に抑制することができる。
図5に示す第2実施の形態の蒸れ抑制靴1は、図1に符号Aの部分以外は第1実施の形態と同様に実施したものである。即ち図5に示すように、通気路5aの開放口8に栓11を設けたものである。このようにすると、例えば畑仕事などをする場合に弾みで飛んだ土が開放口8から侵入したり、雨が開放口8に降り込むなどを防止することができる。なお図5に示す符号11aはつまみであり、11bは栓11を靴本体1aに取り付ける紐である。
第2実施の形態の靴1を用い、通気路5aの部分を不透明粘着テープで覆い、各種気象条件の下で、累積距離としておおよそ100km歩行したところ、明白な蒸れ防止効果があることを確認した。
図6は、図5に示す第2実施の形態の変形例であり、栓11の代わりに開放口8の上方を覆う庇12を靴本体1aに一体的に取り付けたものである。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の靴の蒸れ抑制方法及び蒸れ抑制靴は、靴内に閉じ込められた空気が流動しにくい靴内部、特に爪先、靴底などに近い靴の奥まった部分を通気路によって直接靴の外と、更に必要に応じ靴内部の他の部分と連通させもるようにしたので、靴内に温度、湿度の低い外部の空気が靴内に流入できるようになり、蒸れを効果的に抑制することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態による蒸れ抑制靴1を一部破断して示した側面図である。
【図2】図1に示す蒸れ抑制靴1の正面図である。
【図3】図1に示す蒸れ抑制靴1の背面図である
【図4】図1〜3図に示すIV−IV線断面図である。
【図5】本発明の第2実施の形態による蒸れ抑制靴1の部分縦断面図である。
【図6】本発明の第3実施の形態による蒸れ抑制靴1の部分側面図である。
【符号の説明】
1 靴(蒸れ防止靴)
1c 底部
4 足の差込口
5 通気路(総称するとき)
5a 通気路
5b 通気路
7 貫通孔
8 開放口
10a 内部(靴の)
10b 外部(靴の)
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3 
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
試作写真
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