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【発明の名称】帯の装着方法及び帯枕保持具 【国際特許分類】 A41F 19/00 (2006.01) 【FI】 A41F 19/00 111A A41F 19/00 110B 【早期審査対象出願】 【特許権者】 【識別番号】524045611 【氏名又は名称】田中 敏子 【住所又は居所】愛知県尾張旭市桜ヶ丘町3丁目211番地 【代理人】 【識別番号】110000648 【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所 【発明者】 【氏名】田中 敏子 【住所又は居所】愛知県尾張旭市桜ヶ丘町3丁目211番地 【要約】 【課題】既存の帯を用いて、着用者の背面側において太鼓結びの形状を形成し、従来よりも簡易な手順で帯の装着を可能とする方法を提供する。 【解決手段】帯の装着方法は、帯1の手先側の第2部分12を、着用者の胴部に巻いて胴巻部3とする第1の工程と、胴巻部3の外側から胴巻部3に沿って帯締め4を巻き付け、帯締め4を締めて胴巻部3を固定する第2の工程と、垂れ先側の太鼓部2となる第1部分11の内側に、帯枕5を配置して帯山21を形成する第3の工程と、胴巻部3よりも内側に帯枕保持具10の一部が支持された状態で、着用者の背面との間に帯枕5が保持されるように帯山21を位置決めする第4の工程と、胴巻部3の側縁部に沿うように第1部分11の内側に垂れ固定紐6を配置して折り上げる第5の工程と、垂れ固定紐6を結んで太鼓部2を固定する第6の工程と、を有する。 【選択図】図1 【特許請求の範囲】 【請求項1】 長尺の帯(1)の帯長手方向(X)において、垂れ先側に太鼓部(2)となる第1部分(11)を残し、手先側の第2部分(12)を、着用者の胴部に巻いて胴巻部(3)とする第1の工程と、 前記胴巻部の外側から前記胴巻部に沿って帯締め(4)を巻き付け、着用者の前面側で前記帯締めを締めて、前記胴巻部を固定する第2の工程と、 前記第1部分の内側に帯枕(5)を配置して、前記太鼓部の帯山(21)を形成する第3の工程と、 着用者の背面側において、前記胴巻部よりも内側にシート状の帯枕保持具(10)の一部が支持され残部が着用者の頭部側に突出した状態で、前記帯枕保持具と着用者の背面との間に前記帯枕が保持されるように、前記帯山を位置決めする第4の工程と、 前記帯枕保持具が突出する側と反対側の前記胴巻部の側縁部に沿うように、前記第1部分の内側に垂れ固定紐(6)を配置し、前記垂れ固定紐よりも垂れ先側の一部を折り上げて、前記太鼓部の大きさを決め、前記太鼓部から露出する垂れ部(22)を形成する第5の工程と、 着用者の胴部周りに前記垂れ固定紐を結んで前記太鼓部を固定し、着用者の前面側に露出する前記垂れ固定紐を前記胴巻部の内側に収納する第6の工程と、を有する帯の装着方法。 【請求項2】 前記第3の工程において、前記第1部分の内側に、帯揚げ(51)に包まれた状態で前記帯枕を配置し、 前記第4の工程において、前記帯揚げを着用者の前面側で結んで、前記帯山を位置決め固定する、請求項1に記載の帯の装着方法。 【請求項3】 前記第1の工程において、前記帯長手方向における前記第2部分の端部に、折り返し部(121)を設けて、前記折り返し部が着用者の前面側に位置するように、前記第2部分を巻き付ける、請求項2に記載の帯の装着方法。 【請求項4】 前記帯の装着に先立って、着物を着用し着用者の胴部周りに細帯状の帯下装身具(31)を巻き付ける前工程を有し、 前記第4の工程よりも前に、前記帯枕保持具を、その一部が、前記帯下装身具の内側に保持されるように配置する、請求項3に記載の帯の装着方法。 【請求項5】 帯枕を保持するための帯枕保持具であって、可撓性を有するシート状の本体部(101)からなり、 前記本体部は長手方向を有しており、長手方向と直交する方向に延びる対称軸について線対称な形状である、帯枕保持具。 【請求項6】 前記本体部の外形は、楕円形、長円形、小判形を含むオーバル形状、又は、角が丸められた多角形の細長形状、又は、これら形状の類似形状を有する、請求項5に記載の帯枕保持具。 【請求項7】 前記本体部は、着物の胴部に巻かれた帯(1)の胴巻部(3)よりも内側に保持された状態で、前記本体部の長手方向が、前記胴巻部の帯幅方向となるように配置される、請求項5又は6に記載の帯枕保持具。 【請求項8】 前記本体部は、前記胴巻部から突出する長手方向の端部と着物の背面との間に、前記帯枕を保持するものである、請求項7に記載の帯枕保持具。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、和装における帯の装着方法とそれに用いられる帯枕保持具に関する。 【背景技術】 【0002】 標準的な和服の装いは、長襦袢等の上に着物を着た後に、帯枕や帯揚げ等の小物を用いて帯を所定の形に結び、帯締めを締めることにより完成するもので、手順が複雑であることが、和装が敬遠される要因の一つとされている。特に、帯結びは、仮紐等を用いながら、胴部に巻いた帯の形が崩れないように、背中側に手を回して帯形状を整える必要があり、一人での着付け作業には熟練を要する。また、熟練者であっても年齢や体形等の変化によって、従来の方法による帯結びが難しくなることがあった。 【0003】 そこで、近年、帯結びを行う際に補助具等を用いたり、帯の形状や結び方を工夫したりして、和装の着付けをより簡易に、短時間で行うための方法が提案されている。例えば、特許文献1には、胴巻用の第1帯と、お太鼓形成用の第2帯とを別体として、紐で連結する方法が開示されている。具体的には、第1帯を片輪結びに結んだ後に、二つ折りにした第2帯の折った方を第1帯の下から上へ通し、連結用の紐を、第2帯の形成する輪と第1帯の結び目に通して結ぶことによって、2つの帯を緊結させてからお太鼓を形成している。 【0004】 また、特許文献2には、予め名古屋帯等の帯体を折り曲げて太鼓原形体を形成し、その内部に太鼓用枕と無端状とした背負いたすきとを収納し、背負いたすきを介して太鼓原形体を背中に背負いながら太鼓帯結束作業を行う方法が開示されている。太鼓原形体と反対側の帯体は胴部に巻かれて一旦クリップ止めされ、太鼓原形体には、仮固定用の腰紐が挿通される。太鼓帯の結束作業の際には、太鼓原形体の形成から結束完了まで帯体同士の位置を固定し、折曲位置の目印とするクリップと、太鼓帯結束の最後に着用する帯締めが、結束具として使用されている。 【0005】 あるいは、特許文献3に開示されるように、着用者の前面側において帯結びを行った後に、背面側へ移動させる方法が知られている。その際、帯と共に帯枕を前面側に装着して帯結びを行い、帯の形状を維持してスムーズに帯を回動させる必要があることから、特許文献3では、胴部に巻いた帯を挟み込むと共に帯枕保持部を備えるクリップ状の帯結び用保持具や、回動時の帯の滑りをよくするための帯結び用補助具を用いることが提案されている。帯結び用補助具は、帯の幅より大きいシート状補助具本体を、帯結び前に着物の上に装着して回動後に取り除くように構成されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0006】 【特許文献1】 特許第6718031号公報 【特許文献2】 特許第6398037号公報 【特許文献3】 特許第5765703号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 特許文献1の方法は、第1帯を片輪結びにより装着するため、体格の違いによる調整の必要がなく装着が容易とされている。しかしながら、別体の第1帯と第2帯とを用意して2種類の帯結びを行う必要があるだけでなく、2種類の帯結びを途中で緊結しながら行うことになり、背中側にて一人で装着することは難しい。そのため、前面側で帯結びしてから背中側へ回した後、帯揚げの役割を果たすゴム紐をお太鼓部分に通して、前側にて咬持する方法が示されているが、帯形状を保持しつつ回動させることは必ずしも容易でない。 【0008】 一方、特許文献2の方法は、一本の帯を結ばずに太鼓原形体を形成し、予め太鼓用枕等を収納して背負いたすきを利用して背負うことにより、背中側での太鼓帯結束作業を簡易にしている。しかしながら、腰紐や枕紐等を用いて太鼓原形体を形成する工程が複雑で、手間がかかるだけでなく、太鼓原形体はクリップで仮止めされているだけで、帯枕等も収容されているため、扱いが容易でない。そのため、背負う際や背負った後に仮止めを解除する際に形が崩れるおそれがあり、初心者が簡易に帯を装着するための方法として適当とはいえない。 【0009】 また、特許文献3の方法は、着用者の前面側で太鼓形状を形成してから、背面側へ移動させるために、帯結び用保持具や帯結び用補助具を用意する必要がある。帯結び用保持具は、帯からの突出長さの異なる外側と内側の板状部材が、コイルばねとネジによって回動可能に一体化され、突出長さの短い外側板状部材の側に、所定の傾斜角度で帯枕設置部が固定された複雑な構造を有する。帯結び用補助具としては、滑りのよい織物に平板状のゴムバンドと面ファスナを設けたシート状補助具本体が用いられており、いずれも個人で用意することは難しい。また、帯を移動させた後に、幅広の帯結び用補助具を帯の下から取り除き、仮止めされた帯揚げや帯締めを結び直す必要があり、それらの過程で形が崩れる懸念がある。 【0010】 本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、既存の帯を用いて、着用者の背面側において太鼓結びの形状を形成し、従来よりも簡易な手順で帯の装着を可能とする方法と、帯の装着に用いる帯枕保持具とを提供しようとするものである。 【課題を解決するための手段】 【0011】 本発明の一態様は、 長尺の帯(1)の帯長手方向(X)において、垂れ先側に太鼓部(2)となる第1部分(11)を残し、手先側の第2部分(12)を、着用者の胴部に巻いて胴巻部(3)とする第1の工程と、 前記胴巻部の外側から前記胴巻部に沿って帯締め(4)を巻き付け、着用者の前面側で前記帯締めを締めて、前記胴巻部を固定する第2の工程と、 前記第1部分の内側に帯枕(5)を配置して、前記太鼓部の帯山(21)を形成する第3の工程と、 着用者の背面側において、前記胴巻部よりも内側にシート状の帯枕保持具(10)の一部が支持され残部が着用者の頭部側に突出した状態で、前記帯枕保持具と着用者の背面との間に前記帯枕が保持されるように、前記帯山を位置決めする第4の工程と、 前記帯枕保持具が突出する側と反対側の前記胴巻部の側縁部に沿うように、前記第1部分の内側に垂れ固定紐(6)を配置し、前記垂れ固定紐よりも垂れ先側の一部を折り上げて、前記太鼓部の大きさを決め、前記太鼓部から露出する垂れ部(22)を形成する第5の工程と、 着用者の胴部周りに前記垂れ固定紐を結んで前記太鼓部を固定し、着用者の前面側に露出する前記垂れ固定紐を前記胴巻部の内側に収納する第6の工程と、を有する帯の装着方法にある。 【0012】 本発明の他の態様は、帯枕を保持するための帯枕保持具であって、可撓性を有するシート状の本体部(101)からなり、 前記本体部は長手方向を有しており、長手方向と直交する方向に延びる対称軸について線対称な形状である、帯枕保持具にある。 【発明の効果】 【0013】 上記一態様の帯の装着方法では、第1の工程にて、帯の手先側の第2部分を巻いて形成された胴巻部が、第2の工程にて、帯締めを用いて固定された後、第3〜第6の工程において、帯の垂れ先側の第1部分により太鼓部が形成される。すなわち、第3の工程にて、帯枕を用いて太鼓部の帯山が形成され、第4の工程にて、シート状の帯枕保持具に帯枕が保持されるように帯山が位置決めされる。その後、第5の工程にて、垂れ固定紐を用いて帯山と反対側が折り上げられることにより、太鼓部の大きさが決まると共に垂れ部が形成され、第6の工程にて、垂れ固定紐を用いて太鼓部が固定される。そして、垂れ固定紐が胴巻部に収納されることにより、所定の帯形状に整えられる。 【0014】 このように、第3〜第6の工程にて、帯枕保持具と垂れ固定紐とを用いることにより、背面側での太鼓部の形成が容易になり、帯締めを用いずに、手先側を巻いて形成した太鼓部を固定することができる。これにより、第1、第2の工程にて、帯締めを用いて胴巻部のみを固定することが可能になり、帯締めを締め直す必要がないので胴巻部が安定する。また、着用者の前面側で帯を結んだり太鼓形状を形成してから背面側へ移動し、さらに、仮紐や仮止め用の小物を装脱着したりする工程が不要になる。したがって、1本の帯を切断することなく、従来よりも簡易な工程で、外観良く帯を装着することができる。 【0015】 上記他の態様の帯枕保持具は、このような帯の装着方法において好適に用いられ、第4の工程において、可撓性を有するシート状の本体部を、胴巻部から突出した状態として、着用者の背面との間に帯枕を挟持することができる。これにより、第5の工程において、太鼓部を形成する際に、帯山が所定位置に安定して保持されて、太鼓部の大きさや垂れ部の形状を整えやすくなる。 【0016】 以上のごとく、上記態様によれば、既存の帯を用いて、着用者の背面側において太鼓結びの形状を形成し、従来よりも簡易な手順で帯の装着を可能とする方法と、帯の装着に用いる帯枕保持具とを提供することができる。 なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。 【図面の簡単な説明】 【0017】 【図1】実施形態1における、帯の装着方法を説明するための工程図。 【図2】実施形態1における、帯の装着方法に用いられる帯と小物の一例を示す図面代用写真。 【図3】実施形態1における、帯の装着方法に用いられる小物の一例を示す図面代用写真。 【図4】実施形態1における、帯の装着方法に用いられる帯枕保持具の形状例を示す図。 【図5】実施形態1における、帯の装着方法の前工程と帯枕保持具の装着例を説明するための図面代用写真。 【図6】実施形態1における、帯の全体構成を説明するための図面代用写真。 【図7】実施形態1における、第1の工程の手順を示す図面代用写真。 【図8】実施形態1における、第2の工程の手順を示す図面代用写真。 【図9】実施形態1における、第3の工程の手順を示す図面代用写真。 【図10】実施形態1における、第4の工程の手順を示す図面代用写真。 【図11】実施形態1における、第4の工程において太鼓部を位置決め固定する手順を示す図面代用写真。 【図12】実施形態1における、第5の工程の手順を示す図面代用写真。 【図13】実施形態1における、第6の工程の手順を示す図面代用写真。 【図14】実施形態1における、帯を装着した状態を示す図面代用写真。 【図15】実施形態1における、帯の装着方法に用いられる帯枕保持具の形状例を示す図面代用写真。 【発明を実施するための形態】 【0018】 (実施形態1) 以下、帯の装着方法及び帯枕保持具に係る実施形態について、図面を参照して説明する。図1に示すように、本形態において、帯1を装着する工程は、胴巻部3の形成と固定(第1、第2の工程)、太鼓部2の帯山21の形成と位置決め(第3、第4の工程)、太鼓部2の垂れ部22の形成と固定(第5、第6の工程)の段階を含む。各段階では、所定の小物が用いられる。詳細を後述するように、これら第1〜第6の工程(図1中に示す(1)〜(6)の工程に対応)を順次行うことにより、容易に帯を装着することができる。 【0019】 図2〜図4には、帯1と、帯1の装着の各工程に用いられる小物の例を示している。 図2に示すように、帯1は、太鼓部2となる第1部分11と、胴巻部3となる第2部分12と、を有する。第1部分11は、図2中に矢印で示すように、太鼓部2が形成されたときに帯山21となる部分と、その反対側に位置して垂れ部22となる部分を含む。 【0020】 帯1の装着に用いられる一般的な小物としては、図2に示す帯締め4と、帯枕5及び帯揚げ51、さらに、図示しない帯板等が挙げられる。帯締め4は、第2の工程において、胴巻部3の固定に用いられ、帯枕5は、第3、第4の工程において、太鼓部2の帯山21を形成し、位置決め固定するために用いられる。帯枕5(図3の下図参照)は、予め帯揚げ51に包まれた状態とされている。 【0021】 また、これら一般的な小物の他に、第3〜第6の工程において、太鼓部2を所定の形状に整えるために、図3の上図に示す帯枕保持具10と、垂れ固定紐6(図2参照)と、が用いられる。帯枕保持具10は、第4の工程において、帯枕5を保持して太鼓部2の帯山21を形成するために用いられ、図4に示す種々の形状のシート状とすることができる。垂れ固定紐6は、第5、第6の工程において、太鼓部2の大きさと垂れ部22の長さを決めると共に、太鼓部2を固定するために用いられる。 【0022】 図5に示すように、着用者は、帯1の装着前に、予め着物を着用した上で、帯枕保持具10を所定位置に配置しておくことができる。その場合には、帯下に配置される帯下装身具31に、帯枕保持具10の一部が支持されるようにするとよい。着物の着用方法や着用する着物については、特に制限されるものではなく、任意の着物を一般的な方法で着用すればよい。帯枕保持具10及び帯下装身具31については、詳細を後述する。 【0023】 帯1の装着の前工程として着物を着用する際には、一般には、肌襦袢等の肌着の上に、襟芯や半襟を取り付けた長襦袢を着用し、それらの上に羽織った着物の丈を着用者に合わせて整える。通常の丈の着物の場合には、腰紐や伊達締め等の小物を用い、おはしょりの長さ等を調整することによって、所望の着丈に整えることができる。あるいは、予め着用者に合わせた着丈とした、つい丈の着物を用いることができる。 【0024】 好適には、つい丈の着物を用いると、おはしょりの長さを調整する必要がなく、着付けの工程がより簡易になる。これにより、着物を着用に要する時間を短縮することができ、また、おはしょりを調整するための腰紐等、小物の一部を省略することができる。 【0025】 次いで、第1の工程から第6の工程を行い、着物の上に帯1を装着する。 図1に示される工程に従って、帯1を装着する際には、まず、第2部分12を巻いて胴巻部3を形成し(第1の工程)、帯締め4により胴巻部3を固定する(第2の工程)。次いで、胴帯枕5及び帯揚げ51を第1部分11に配置して、太鼓部2の帯山21を形成し(第3の工程)、さらに、シート状の帯枕保持具10を用いて、太鼓部2の帯山21を所定位置に位置決めする(第4の工程)。その後、垂れ固定紐6を用いて、太鼓部2に垂れ部22を形成し(第5の工程)、垂れ固定紐6を結んで太鼓部2を固定し、露出する垂れ固定紐6を収納することにより(第6の工程)、帯形状が完成する。 【0026】 以下に、各工程における手順と小物の準備等について、順に説明する。 装着される帯1は、通常の太鼓結びに用いられる1本の帯状体であればよく、例えば、一重太鼓に適した長さに仕立てられた名古屋帯を用いることができる。名古屋帯は、一般に、胴部周りに巻かれる一部が半幅に仕立てられており、全長が360cm前後〜380cm前後の長さを有する。 【0027】 なお、帯1の種類や寸法等は、特に制限されるものではなく、用途や着用者の体型等に応じて任意に選択することができる。帯は、例えば、全体が一定幅に仕立てられている帯であってもよく、名古屋帯と同等程度の長さの京袋帯や(例えば、全長が400cm程度以下)、名古屋帯よりも長い袋帯を用いることもできる(例えば、全長が450cm程度以下)。 【0028】 図2には、一例として、長尺の名古屋帯である帯1を示している。 帯1は、図2における左右方向を帯長手方向Xとして、その垂れ先側となる一端側に、太鼓部2となる第1部分11を有し、手先側となる他端側に、胴巻部3となる第2部分12を有している。図2における上下方向であり、帯長手方向Xと直交する方向は、以降、帯幅方向Yというものとする。 【0029】 図6に拡大して示すように、帯1において、太鼓部2となる第1部分11は、いわゆる垂れと称される、垂れ先から所定長さの全幅の部分を主として含む。胴巻部3となる第2部分12は、帯長手方向Xにおいて、第1部分11と反対側に位置し、いわゆる手と称される半幅の部分からなる。第2部分12は、手先から所定長さの部分が、着用者の胴部に巻かれて胴巻部3となり、その長さは、着用者の体型等に応じて調整することができる。帯1は、全幅の部分と半幅の部分との間に、いわゆる垂れ境と称される三角形の部分を有し、垂れ境を含む帯1の中間部分13は、帯1を結ぶことなく胴巻部3が固定された後、太鼓部2の内側に収納されて胴巻部3とつながる境界部分となる。 【0030】 図7に示すように、第1の工程では、前工程において着用した着物の上に、長尺の帯1の第2部分12を巻き、胴巻部3とする。具体的には、帯長手方向Xにおいて、帯1の垂れ先側に、太鼓部2となる第1部分11を残し、手先側の第2部分12を、着用者の胴部に巻く。これにより、垂れ先側に十分な長さを残した状態で、手先から所定長さの第2部分12が胴部に巻き付けられて、胴巻部3となる。 【0031】 このとき、好適には、図6に示した第2部分12において、手先側の一部を折り返して、折り返し部121を設けることが望ましい。折り返し部121は、主に着用者の前面側において胴巻部3の最内側に配置され、胴巻部3を補強する。折り返し部121の長さは、例えば、着用者の胴部の半分程度ないしそれ以上を覆う長さであり(例えば、50cm程度)、帯1の長さと着用者の体型に応じて調整することができる。胴巻部3は、折り返し部121とその外側に重なる第2部分12とを前面側に配置し、第2部分12の残りの部分を一巻き以上巻き付けることで形成される。 【0032】 これにより、第2部分12の実質的な巻き付け長さが短くなり、胴巻部3の形成が容易になると共に、胴巻部3の前面側が背面側よりも厚くなって形状が安定し、次工程で帯締め4を締めやすい。なお、帯1の第2部分12に帯板が収納可能な形状でない場合には、例えば、第1の工程において、折り返し部121とその外側に位置する第2部分12との間に、帯板が挿入されるようにしてもよい。 【0033】 図8に示すように、第2の工程では、帯締め4を用いて、着用者の胴部に巻かれた胴巻部3を固定する。具体的には、胴巻部3の外側から胴巻部3に沿って帯締め4を巻き付け、着用者の前面側で帯締め4を締めて、胴巻部3を固定する。帯締め4の締め方は、通常の手順とほぼ同様であり、胴巻部3に沿って背面側から前面側に回された両端部を、帯幅方向Yにおける中間位置にて本結びし、両端を両脇付近に挟み込んで固定すればよい。 【0034】 帯締め4の種類や寸法等も、特に制限されるものではなく、一般的な長さ(例えば、150cm前後〜180cm程度)の平組や丸組等の組み紐を用いることができる。また、例えば、背面側に位置する帯締め4の中間部を結んでおいて、帯締め4を着用者の体型等に応じた任意の長さに調整してもよく、帯締め4の締める際の取り扱いや端部の後始末を容易にすることができる。 【0035】 これにより、手先を含む第2部分12からなる胴巻部3が、帯締め4により固定される。すなわち、帯締め4は、後述する工程における太鼓部2の形成や固定には用いられず、胴巻部3のみの固定に用いられる。そのため、この段階で、帯締め4を固く締めておくことができ、結び形状を整えると共に、胴巻部3をしっかり固定することができる。また、仮紐等を用いないので、帯締め4を結び直したり仮紐を外したりする手間が不要となり、太鼓部2を形成する過程で胴巻部3が緩んだりするおそれが小さい。 【0036】 図2、図3(上図参照)に示したように、第3の工程に先立ち、帯枕5は、帯揚げ51に包まれた状態としておくことが望ましい。また、帯揚げ51の中間部を袋状に縫い縮めて(例えば、20cm前後〜25cm程度;図3の下図参照))、着用者の体型等に応じた長さに調整しておくことができ、第4の工程で帯揚げ51を結ぶ際の扱いや後始末が容易になる。その際、帯枕5が袋状とした部分に収納されるようにしてもよい。また、図2、図6に示した帯1が、半幅の第2部分12が帯幅方向Yの一方において開口し、ポケット状となっている場合には、図示しない帯板を開口から挿入して、予め収納しておくことができる。 【0037】 シート状の帯枕保持具10は、第4の工程に先立って、胴巻部3よりも内側に保持させておくことが望ましい。具体的には、図5に示したように、帯1の装着の前工程において、着物を着用する際に用いられる帯下装身具31に、予め保持させておくことができる。帯下装身具31は、例えば、伊達締め又は帯下締め又は同等機能の細帯状の小物であり、着物を着用した上から胴部周りに巻き付けられて、着付け形状を整えるための装身具であればよい。その内側に帯枕保持具10の一部が保持され、この状態で、それらの外側に胴巻部3が配置される。 【0038】 図3の上図において、帯枕保持具10は、可撓性を有するシート材料からなる本体部101を有する。好適には、本体部101は、細長形状に成形されており、より好適には、角のない外形形状であることが望ましい。具体的には、本体部101の外形は、卵形、楕円形、長円形、小判形を含むオーバル形状、又は、角が丸められた多角形の細長形状、又は、これら形状の類似形状とすることができる。多角形の細長形状とは、例えば、長方形、二等辺三角形等であり、それらの角を丸めた形状又は類似する形状を含む。このような形状の平坦なシートとすることで、帯下装身具31への装着やその後の取り扱いが容易になる。 【0039】 図4に示すように、オーバル形状の具体例としては、いわゆる卵形(図4の(d)参照)でもよいが、図4の(a)〜(c)にそれぞれ一例を示す楕円形、長円形、小判形のように、長手方向と直交する方向に延びる対称軸について線対称な形状であると、両端部のいずれが帯下装身具31に保持されてもよいので、背面側での差し込み作業が容易になる。オーバル形状に限らず、長手方向を有する形状であれば、線対称な形状とすることで、同様の効果が得られる。なお、図4の(c)の小判形形状は、対向する2辺の端部間を湾曲してつなぐ形状であり、競技トラック状ともいう。図4の(e)は、角を丸めた長方形の例である。図4の(f)のように、オーバル形状の長手方向における中間部に、幅狭部やくびれを有する形状であってもよい。 【0040】 シート材料は、適度に撓み変形又は弾性変形して帯枕5を保持可能な薄板状の材料であればよく、例えば、1mm〜5mm程度の厚さの合成樹脂製のシート材料を、所望の形状に切断して帯枕保持具10とすることができる。帯枕保持具10は、太鼓部2を形成して固定する過程でその内側に隠れるように形成されることが望ましく、シート材料の色柄は、特に制限されない。ただし、例えば、比較的大きく形成される場合には、帯1や着物又は帯揚げ51等の小物と同系色あるいは無色等、目立ちにくい色を選択することもできる。シート材料の種類や厚さは、本体部101が所望の柔軟性や弾性を有しつつ、帯枕5を着用者の背面側へ押し付けて良好に保持できるように、例えば、本体部101の大きさや形状に応じて選択することができる。適度な保持性や強度となるように、シート材料を重ねた積層体にて、本体部101を構成してもよい。 【0041】 図3の上図において、帯枕保持具10は、本体部101の長手方向の一方の端部側を、帯枕5の支え部101aとし、他方の端部を帯下装身具31に保持される側としている。このとき、支え部101aとなる側と保持される側とを入れ替えてもよい。また、帯枕保持具10は、細長形状の本体部101を有して帯枕5を保持する構成であればよく、本体部101に付属する他の部分を有していてもよい。ここでは、本体部101のみで構成されている例を示しているが、例えば、本体部101の全体が、布等で被覆されていてもよいし、本体部101の短手方向の両側に一対の紐を固定して、胴部周りに結ぶようにしてもよい。その場合には、布や紐の色を、帯1や着物又は帯揚げ51等の小物と同系色とすると、より目立ちにくい。 【0042】 図7に示す着用者の背面側において、帯枕保持具10は、細長形状の本体部101が、胴巻部3の内側に支持された状態で用いられる。具体的には、図5に示したように、胴巻部3よりも内側に帯下装身具31が位置しているため、その内側に本体部101の支え部101aと反対側の端部が保持固定される。その状態で、本体部101の長手方向が、胴巻部3の帯幅方向Yとなるように、すなわち、細長形状の本体部101が、着用者の背面側において、縦長に配置されることが望ましい。その場合には、帯下装身具31への差し込みが容易になり、また、本体部101の差し込み長さや胴巻部3から突出する支え部101aの長さを確保しやすい。 【0043】 図9に示すように、第3の工程では、第1部分11の内側に、帯枕5を帯揚げ51に包まれた状態で配置して、太鼓部2の帯山21を形成する。このとき、太鼓部2が所望の最終形状となるように、第1部分11の柄や長さ等に応じて、帯山21の位置が決められ、その内側となる部分に帯枕5及び帯揚げ51が保持される。 【0044】 図10に示すように、続いて、第4の工程において、帯枕保持具10を用いて、帯山21を所定位置に配置し、位置決めする。具体的には、上述したように、予め、着用者の背面側において、胴巻部3の内側にシート状の帯枕保持具10の一部が支持され残部である支え部101aが着用者の頭部側に突出した状態としておく(図9参照)。この状態で、太鼓部2の帯山21を持ち上げ(図10の左図参照)、帯枕保持具10と着用者の背面との間に帯枕5が保持されるように、太鼓部2の帯山21を位置決めする(図10の右図参照)。 【0045】 図9において、シート状の帯枕保持具10は、細長形状の本体部101が、胴巻部3の帯幅方向Yを長手方向として縦長に配置されて、その一部が胴巻部3の内側に支持されている。このとき、好適には、胴巻部3から突出する帯枕保持具10の支え部101aを、着用者の一方の手でつかみ、背面から離れる側へ容易に撓み変形させることができる(図10の左図参照)。また、同時に、他方の手で帯山21を持ち上げて、背面との間に形成される空間に、帯山21を配置してその内側の帯枕5を帯枕保持具10に保持させることができる。なお、その過程で、太鼓部2となる第1部分11と胴巻部3となる第2部分12との間の中間部分13が、太鼓部2の帯山21と胴巻部3との間に収納される。その際には、予め、太鼓部2の内側で適度なふくらみを有するように、中間部分13の形状を整えておくことができる。 【0046】 帯枕保持具10の大きさは、特に制限されるものではないが、通常は、帯枕5の外形と同等程度以下とすることができる(図5参照)。具体的には、細長形状の本体部101の長手方向の長さは、帯枕5の長手方向の長さよりも短く、例えば、帯枕5の短手方向の長さと同等程度であると、胴巻部3の背面側に収まりやすく、胴巻部3から適度に突出させて帯枕5を安定して保持できる。その場合には、一例として、本体部101の長手方向の長さを、7cm前後〜15cm前後の長さ(例えば、12cm程度)とし、短手方向の長さをそれよりも短い長さ(例えば、7cm程度)とすることができる。 【0047】 このように、帯枕保持具10は、胴巻部3よりも内側において帯下装身具31に、本体部101の少なくとも一部が保持されると共に、本体部101の支え部101aが胴巻部3から突出する長さに形成されていればよい、また、適度に湾み変形することにより、着用者の背面との間に帯枕5を保持する空間を形成可能な材質及び形状を有していればよい。 【0048】 そして、帯下装身具31の装着後に、帯枕保持具10を着用者の頭部側から差し込み、その上から、第1の工程において胴巻部3となる第2部分12を巻き付ける。このとき、帯下装身具31よりも幅広の胴巻部3から、本体部101の支え部101aが突出するように、帯下装身具31への差し込み長さを、それらの位置関係等に応じて調整するとよい。好適には、差し込み長さを、帯枕保持具10の保持が可能な範囲で短くすると、帯枕保持具10の突出長さがより長くなり、帯枕5をより安定して位置決め可能となる。ここでは、一例として、帯枕保持具10の長さの半分以下(例えば、1/5〜1/4程度)の部分が、帯下装身具31の内側に保持されるように、また、帯枕保持具10の長さの1/5以上(例えば、1/4〜1/3程度)の部分が、本体部101の支え部101aとして胴巻部3から突出するように調整している。 【0049】 これにより、胴巻部3の内側において、帯枕保持具10が帯下装身具31と着物との間に挟持されるので、第4の工程の作業が容易になり、帯枕保持具10の位置ずれを抑制しながら、帯山21の位置決めを行うことができる。そのため、後工程における太鼓部2の形成が容易になり、太鼓部2の形状を安定して保持することが可能になる。 【0050】 帯下装身具31は、ここでは、適度な厚みを有して体型補正等のために帯下に配置される帯下締めが用いられ、その上に巻き付けられる胴巻部3と共に、帯枕保持具10の本体部101を安定して保持することができる。帯下装身具31は、帯下締めに限らず、伊達締めや同等機能を有するベルト状の装身具等を用いることもできる。 【0051】 次いで、図11に示すように、帯揚げ51を着用者の前面側で結んで、太鼓部2を位置決め固定することができる。帯揚げ51の結び方は、通常の手順とほぼ同様であり、帯枕保持具10の両側に露出する帯揚げ51の両端部を、胴巻部3に沿って前面側に回して結び、胴巻部3の内側に両端を収納して結び目を整えればよい。帯揚げ51は、帯枕5を包んだ状態で帯枕保持具10に保持可能なものであればよく、種類や寸法等は、特に制限されるものではない。 【0052】 さらに、図12に示すように、第5の工程において、垂れ固定紐6を用いて、太鼓部2の大きさを決め、太鼓部2から露出する垂れ部22を形成する。具体的には、帯枕保持具10が突出する側と反対側の胴巻部3の側縁部に沿うように、すなわち、図12中における帯揚げ51と反対側において、胴巻部3に沿って垂れ固定紐6を一旦配置してから(図12の右図参照)、その側縁部に対向する第1部分11の内側に垂れ固定紐6を配置して、垂れ固定紐6よりも垂れ先側の一部の部分を内側に折り上げる(図12の左図参照)。これにより、胴巻部3の幅に応じて太鼓部2の大きさが決まると共に、太鼓部2の下方に露出する垂れの長さを調整して、垂れ部22を形成することができる。 【0053】 そして、図13に示すように、第6の工程において、垂れ固定紐6を結んで収納することにより、一重太鼓形状の太鼓部2が形成される。具体的には、着用者の胴部周りに垂れ固定紐6を結んで太鼓部2を固定し(図13の左図参照)、さらに、着用者の前面側に露出する垂れ固定紐6を胴巻部3の内側に収納することにより、所望の大きさと形状に整えられた太鼓部2を形成することができる(図13の右図参照)。 【0054】 垂れ固定紐6は、太鼓部2の下端側となる第1部分11の内側に沿って配置され、対向する胴巻部3の側縁部に沿って、背面側から前面側へ回された両端部を結ぶことにより、太鼓部2の形状を固定する。前面側で結んだ場合に露出する結び目や両端部は、胴巻部3の側縁部から内方へ押し込み、その内側に収納することができる。このとき、垂れ固定紐6により、太鼓部2の下端位置が胴巻部3の側縁部に揃い、その状態が保持されるので、良好な外観を保つことができる。 【0055】 垂れ固定紐6は、例えば、図示するように、細幅の平紐状のものを用いることができる。垂れ固定紐6は、太鼓部2の大きさや垂れ部22の長さを保持可能であれば、その種類や寸法、色柄等は、特に制限されるものではなく、伸縮性を有する平ゴム状のものや、結ぶ代わりに面ファスナで固定するものであってもよい。垂れ固定紐6は、着用者の胴部周りに結んで収納しやすい適度な長さであればよく(例えば、120cm程度以上)、着用者の体型等に応じて任意に調整することができる。 【0056】 また、図14に示すように、垂れ固定紐6として、例えば、帯1と同系色の細紐を選択すると、太鼓部2の両側において胴巻部3の内側に完全に収納されない場合でも、露出部分61がほとんど目立たない。なお、帯1として名古屋帯よりも長い袋帯を用いる場合には、垂れ固定紐6を用いた同様の工程において、通常の手順により太鼓部2となる第1部分11を二重として、太鼓部2の大きさ及び垂れ部22の長さを調整し、垂れ固定紐6で固定することにより、二重太鼓形状の太鼓部2とすることができる。 【0057】 以上のようにして、第1〜第6の工程を順に行うことにより、1本の帯1を加工することなく、また、取り外しが必要な仮紐等を用いることなく、簡易な工程で、着用者の背面側にて帯結びを行うことができる。また、その際に、帯枕保持具10及び垂れ固定紐6を用いることで、胴巻部3を形成して帯締め4にて固定した後に、太鼓部2を形成して固定することが可能になる。そのため、着用者の前面側で帯形状を形成して背面側へ移動したり、特別な補助具等を用いたりする従来の方法よりも、手間がかからない上、帯形状が崩れにくく、良好な外観を保持しやすい。 【0058】 上記実施形態1では、帯枕保持具10にシート状の本体部101について、外形形状の種々の例を示したが、図15に示すように、シート面に穴を有するリング形状の本体部101とすることもできる。図15には、一例として、同じ楕円形の外形を有する、平板状の本体部101(図15の左図参照)と、相似形の楕円形の穴を有するリング板状の本体部101(図15の左図参照)とを示している。その場合も、外形形状は、楕円形に限らず、上述した種々の形状とすることができる。また、穴形状や大きさも、所望の柔軟性や強度が得られるように、適宜変更することができる。あるいは、本体部101にメッシュ状のシート材料を用いてもよい。 【0059】 上記実施形態1では、帯枕保持具10の本体部101は、全体を平坦なシート状としているが、本体部101の一部に湾曲部又は屈曲部を有する形状であってよい。例えば、胴巻部3の内側となる部分に対して、胴巻部3から突出する部分が傾斜するように、予め、境界部分が湾曲又は屈曲する形状に成形されていてもよい。その場合には、第4の工程において、本体部101の支え部101aと着用者の背面との間に空間が形成されやすく、帯枕保持具10に帯枕5を保持させて、太鼓部2の帯山21を位置決めする作業が容易になる。 【0060】 本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。 【符号の説明】 【0061】 1 帯 10 帯枕保持具 11 第1部分 12 第2部分 2 太鼓部 21 帯山 22 垂れ部 3 胴巻部 4 帯締め 5 帯枕 51 帯揚げ 6 垂れ固定紐 |
発明品ZERO小町は太鼓帯を形成するのに役立つ、14cm×7cmサイズ、数字の0を形どる板状に開発されました。 見えない背後に差し込みますが、どちから入れても同じ効果です。 下に曲げながら帯枕を乗せると、優れた復元力で自動的に背中に密着し、固定されます。 重い帯を支える硬さと強さ、長時間耐える柔軟性は必須条件、少しの妥協も許されません。 実は、10年前、海外語学留学の時、簡単で着崩れ無く、長旅に耐えられる条件を満たす為に苦肉の策で考案しました。 昨年の秋、国際交流茶会の席で、ご夫人の帯がほどけってしまいました。 この時、この問題を解決できるのはZERO小町しか無いと確信しました。 昔の合理性は今の不合理、長過ぎる着物と帯に悩まされた過去を発想の転換によって斬新に改革すべきです。 着物姿の美しさは、芸術的とも言える太鼓帯のアレンジでこそ表現出来ます。 着物2分、帯3分、洋服と同じ感覚で姿勢良く、エレガントに自分で着られる方法があります。 画期的な発明品ZERO小町は時代のニーズに合わせて変化させるアイテムを開発し、最大限に活用するのが目的です。 |
【図1】 |
【図2】 |
【図3】 |
【図4】 |
【図5】 |
【図6】 |
【図7】 |
【図8】 |
【図9】 |
【図10】 |
【図11】 |
【図12】 |
【図13】 |
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