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衣服・履物
 
【考案の名称】草履手編み台
【実用新案権者】
【識別番号】598177256
【氏名又は名称】有限会社田中珍味
【住所又は居所】福岡県北九州市八幡西区三ケ森四丁目10番7号
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100081824
【氏名又は名称】戸島 省四郎
【考案者】
【氏名】岩尾 閏子
【住所又は居所】福岡県北九州市八幡西区三ヶ森4丁目10番7号 有限会社田中珍味内
【氏名】青木 正子
【住所又は居所】山口県下関市春日町6番15号
【氏名】田中 正照
【住所又は居所】福岡県北九州市八幡西区三ヶ森4丁目10番7号 有限会社田中珍味内
【要約】
【課題】
芯紐に編紐を手編みする際、芯紐を前後方向へ複列に掛け渡した状態に保持して編紐を両手で手編みできるようにする草履手編み台であって、芯紐の垂れ下がりを防止して編紐の編み込みを負担なく容易にし、しかも編み込みを中断しても緩むことなく再開でき、さらに作業者の手や作業台の大きさに関係なく希望する大きさの草履を製作できるようにする。
【解決手段】
基台2の前後位置に芯紐を掛ける複数の紐掛け突起5,7,8をそれぞれ設け、芯紐の列幅を所定間隔に規制する左右一対の溝9aを備えた中間規制板9を基台2の前後方向へ移行可能に設ける。基台2の両側位置には前後方向へ伸びる条溝3をそれぞれ形成し、同条溝3に中間規制板9の両下端部を挿入して前後方向へ移行できるようにする。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
芯紐に編紐を手編みする際、芯紐を前後方向へ複列に掛け渡した状態に保持して編紐を両手で手編みできるようにする草履手編み台であって、基台の前後位置に芯紐を掛ける複数の紐掛け突起をそれぞれ設け、芯紐の列幅を所定間隔に規制する左右一対の溝又は突起を備えた中間規制板を基台の前後方向へ移行可能に設けたことを特徴とする、草履手編み台。
【請求項2】
基台の両側位置に前後方向へ伸びる条溝をそれぞれ形成し、同条溝に中間規制板の両下端部を挿入して前後方向へ移行できるようにした、請求項1記載の草履手編み台。
【請求項3】
中間規制板の両下端部に内側へ折曲したL字状の係止部をそれぞれ形成し、同係止部と中間規制板の下端で基台の側端部を上下から挟持するように係止して前後方向へ移行できるようにした、請求項1記載の草履手編み台。
【請求項4】
基台の後部上面位置に凹所を形成し、下面に凸所を有する後部ブロックを前記凹所に脱着可能に嵌合し、紐掛け突起を後部ブロックに取り付けた、請求項1〜3いずれか記載の草履手編み台。
【請求項5】
後部ブロックの前部位置に上下2枚のネットを所定間隔おいて取り付け、紐掛け突起を各ネットの穴に脱着自在に連通した、請求項4記載の草履手編み台。
【請求項6】
中間規制板の左右一対の溝又は突起を異なる間隔をおいて複数組形成した、請求項1〜5いずれか記載の草履手編み台。
【請求項7】
中間規制板の左右一対の溝又は突起の部分を中間規制板本体から分離可能にして交換できるようにした、請求項1〜6いずれか記載の草履手編み台。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
本考案は、草履を手編みする際に使用する作業台に関する。
【背景技術】
従来、草履を手編みする際は、左手と前方へ伸ばした両足との間に輪を作った芯紐を複列となるように掛け渡し、右手で編紐を複列の芯紐に上下交互に潜らせながら編み込んでいた。しかし、この方法は作業者の姿勢が前屈みになって腰痛を伴いやすく、芯紐を常に緊張させておくことから指にかかる負担も大きく、片手による編み込みは熟練者でないと希望する大きさや形に仕上げることが難しかった。近年では草履の手編みが個人の間でも楽しまれるようになり、初心者でも手軽に手編みできる道具が望まれていた。
これに対し、疲労や負担を軽減したり編み込みを容易にする作業台が考案された(特許文献1〜4参照)。特許文献1の技術は、芯紐を掛ける突起を備えた斜板を基台の一端に取り付け、両足を使わずに編み込みできるようにしている。特許文献2,3の技術は、基台の前後に芯紐を掛け渡す突起を形成し、両手を使って編紐を編み込みできるようにしている。特許文献4の技術は、芯紐の一端を掛ける草履台と芯紐の他端を掛けて作業者の腰のベルトと連結する補助具とで構成し、両手を使って編紐を編み込みできるようにしている。
しかしながら、前記いずれの技術も以下の問題があり、満足できるものではなかった。
1)掛け渡した芯紐は重みで中央部が垂れ下がり、編紐を通すたびに芯紐を持ち上げる必要があって作業がやりにくい。垂れ下がらないように緊張すると指に負担がかかる。
2)編み込みを中断すると全体が緩むから、一度編み込みを始めると作業を中断しにくい。中断すると再開時に編紐を締め直す必要があるが、全体の形が崩れてしまうことがある。
3)芯紐の列幅が作業者の手や作業台の大きさに依存し、希望する大きさの草履が作りにくい。
【特許文献1】
実用新案登録第3114201号公報
【特許文献2】
実用新案登録第3084105号公報
【特許文献3】
実用新案登録第3119974号公報
【特許文献4】
実用新案登録第3116486号公報
【考案の開示】
【考案が解決しようとする課題】
本考案が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、芯紐の垂れ下がりを防止して編紐の編み込みを負担なく容易にし、しかも編み込みを中断しても緩むことなく再開でき、さらに作業者の手や作業台の大きさに関係なく希望する大きさの草履を製作できる草履手編み台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決した本考案の構成は、
1) 芯紐に編紐を手編みする際、芯紐を前後方向へ複列に掛け渡した状態に保持して編紐を両手で手編みできるようにする草履手編み台であって、基台の前後位置に芯紐を掛ける複数の紐掛け突起をそれぞれ設け、芯紐の列幅を所定間隔に規制する左右一対の溝又は突起を備えた中間規制板を基台の前後方向へ移行可能に設けたことを特徴とする、草履手編み台
2) 基台の両側位置に前後方向へ伸びる条溝をそれぞれ形成し、同条溝に中間規制板の両下端部を挿入して前後方向へ移行できるようにした、前記1)記載の草履手編み台
3) 中間規制板の両下端部に内側へ折曲したL字状の係止部をそれぞれ形成し、同係止部と中間規制板の下端で基台の側端部を上下から挟持するように係止して前後方向へ移行できるようにした、前記1)記載の草履手編み台
4) 基台の後部上面位置に凹所を形成し、下面に凸所を有する後部ブロックを前記凹所に脱着可能に嵌合し、紐掛け突起を後部ブロックに取り付けた、前記1)〜3)いずれか記載の草履手編み台
5) 後部ブロックの前部位置に上下2枚のネットを所定間隔おいて取り付け、紐掛け突起を各ネットの穴に脱着自在に連通した、前記4)記載の草履手編み台
6) 中間規制板の左右一対の溝又は突起を異なる間隔をおいて複数組形成した、前記1)〜5)いずれか記載の草履手編み台
7) 中間規制板の左右一対の溝又は突起の部分を中間規制板本体から分離可能にして交換できるようにした、前記1)〜6)いずれか記載の草履手編み台
にある。
【考案の効果】
本考案によれば、以下の効果を奏する。
1)芯紐を中間規制板の溝又は突起に掛けて所定高さに支持できるから、芯紐が重みで下方へ垂れ下がることがなく編み込みが容易となり、指で緊張する必要もないから負担を軽減できる。
2)中間規制板で編紐の編み込みの途中状態を維持できるから、編み込みを中断しても編紐が緩むことがなく、再開時に締め直す手間を要しない。
3)中間規制板の左右一対の溝又は突起を異なる間隔をおいて複数組形成した構成では、芯紐を求める草履の寸法に合った位置に掛けることで、作業者の手や作業台の大きさとは関係なく希望する大きさの草履を自在に製作できる。
【考案を実施するための最良の形態】
本考案では、基台の紐掛け突起を設ける位置に2枚のネットを所定間隔に取り付けると、各ネットの穴に紐掛け突起を連通することで、芯紐の列幅や緊張の具合を微調整できる。中間規制板の溝又は突起の部分を中間規制板から分離可能にすると、他の間隔で形成した溝又は突起と交換でき、製作できる草履の寸法の種類が広がる。基台の前側端部を他の箇所に固定するための紐掛部材や吸盤等を設けると、引っ張り時の基台のズレを防止できる。また、これに代えて基台の裏面に滑り止めを設けてもよい。編紐は布・タオル・藁などが用いられる。以下、本考案の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
図1は実施例の草履手編み台の斜視図、図2は実施例の後部ブロックの説明図、図3は実施例の中間規制板の説明図、図4は実施例の紐掛部材の説明図、図5,6は実施例の草履手編み台の使用状態を示す説明図である。図中、1は草履手編み台、2は基台、2aは凹所、3は条溝、4は前部ブロック,5は紐掛け突起、6は後部ブロック,6aは凸所、7,8は紐掛け突起、9は中間規制板、9aは溝、9bは脚、10は紐掛部材、Aは芯紐、Aaは結び目、Bは編紐、Cは固定紐である。
本実施例の草履手編み台1は、図1に示すように基台2が長さ40cm、幅22cm、高さ3cmの長方形状で、その両側上面に幅1cm、深さ1cmで内側へ折曲する断面L字状の条溝3を長手方向に沿って形成している。基台2の一端には高さ3cmの前部ブロック4を固着し、前部ブロック4の上面に高さ4cmの4本の紐掛け突起5を4cm、3cm、4cmの間隔で取り付けている。
基台2の他端には凹所2aを形成し、下面に凸所6aを有する高さ3cmの略凸状の後部ブロック6を前記凹所2aに脱着可能に嵌合し(図2参照)、後部ブロック6の上面の一端中央部に高さ4cmの1本の紐掛け突起7を取り付け、他端の両側に2本の紐掛け突起8を8cmの間隔をおいて取り付けている。
中間規制板9は幅20cm、高さ6cm、厚さ1cmの長方形状で、その上端の両側位置に幅1cm、深さ3cmの溝9aを左右対を成すように形成している。溝9a間の間隔は内側から50mm、68mm、90mm、108mmにそれぞれ形成し、4種類の寸法の草履を製作できるようにしている。中間規制板9の溝9aの位置には製作寸法を表す目盛りを形成してもよい。
中間規制板9の下端の両側位置には、図3に示すように内側へ折曲するL字状の脚9bをそれぞれ形成し、後部ブロック6を一旦取り外して中間規制板9の脚9bを基台2の端部から条溝3に挿入し、後部ブロック6を元に位置に取り付け、後部ブロック6を取り外さないと中間規制板9が脱離できないようにしている。
基台2の前側端面には図4に示すように環状の紐掛部材10を2箇所取り付け、固定紐Cで他の箇所と連結して引っ張り時に基台2がズレないようにしている。この紐掛部材10に代えて吸盤付きのフック等を取り付け、テーブル等の平面の箇所に吸着させることもできる。
本実施例では、図5に示すように、芯紐Aの両端を結んで輪を作り、その結び目Aaを紐掛け突起7に掛け、結び目Aaと対向する部分を結び目Aa側に引っ張って2本の紐掛け突起8に掛け、結び目Aaと対向する部分を紐掛け突起5に3本づつ掛けて4列掛け渡す。この前後に掛け渡された4列の芯紐Aを製作しようとする草履の幅寸法に合う位置の中間規制板9の溝9aに掛けて支持する。この状態で、芯紐Aは中間規制板9で支持されて浮いた状態となり、重みで垂れ下がることがない。
図6(a)に示すように、編紐Bの一端を2本の紐掛け突起8に掛けた芯紐Aの中央部に結び付け、編紐Bの他端を4列の芯紐Aの最右側から上下交互に潜らせながら編んでいく。このとき、芯紐Aは基台2の前後に掛け渡しているから、従来では拘束されていた左手が空き、両手を使用して編み込みに集中できる。しかも、芯紐Aは中間規制板9で支持されて浮いているから、編紐Bを潜らせる際にその都度芯紐Aを持ち上げる必要がなく、楽に編み込みできる。
図6(b)に示すように、横一列を編むごとに中間規制板9を手前へ移行させて編紐Bを引き寄せ、編紐B同士を隙間無く詰めていく。このとき、中間規制板9で編紐Bを引き寄せて編み込みの途中の状態を維持できるから、編み込みを中断しても編紐Bが緩むことがなく迅速に編み込みを再開でき、草履の形状を崩すこともない。このように、本実施例によれば芯紐Aの垂れ下がりを防止して編紐Bの編み込みを負担なく容易にし、しかも編み込みを中断しても緩むことなく再開でき、さらに作業者の手や作業台の大きさに関係なく希望する寸法の草履を製作できる草履手編み台1となる。
図7に示すのは、後部ブロックの前部位置に上下2枚のネットを所定間隔おいて取り付け、各ネットの穴に紐掛け突起を脱着自在に連通した実施例の草履手編み台の他の例である。図7は実施例の他の例の後部ブロックの説明図である。図中、6bは溝、6cはネットである。
図7に示す実施例の他の例は、後部ブロック6を平面視がコ字状となるように形成し、その内側に溝6bを上下に所定間隔をおいて形成し、その溝6bにネット6cをそれぞれ差し込んでいる。この上下のネット6cの穴に紐掛け突起8を任意の位置に連通することで、芯紐Aの列幅や緊張の具合を微調整できる。また、ネット6cは上下に備えているから、紐掛け突起8が傾くことなく垂直の状態を保持できる。その他、符号、構成、作用効果は実施例と同じである。
図8に示すのは、中間規制板の両下端部に内側へ折曲したL字状の係止部をそれぞれ形成し、同係止部と中間規制板の下端で基台の側端部を上下から挟持するように係止し、しかも中間規制板の左右一対の溝又は突起の部分を中間規制板本体から分離可能にした実施例の草履手編み台の他の例である。図8は実施例の他の例の中間規制板の説明図である。図中、2bは脚部材、9cは係止部、9dは差替え部材、9eはネジ穴、9fは差込み溝、9gはネジ穴、9hは固定ネジである。
図8に示す実施例の他の例は、基台2を薄く形成して脚部材2aで浮設している。中間規制板9は両下端部に内側へ折曲したL字状の係止部9cを形成し、溝9aの部分を両側部分から分離して差替え部材9dとし、これを固定ネジ9hで脱着自在に固定している。この係止部9cと差替え部材9dの下端で基台2の側端部を上下から挟持するように係止している。従って、条溝3が省略でき、しかも様々な間隔の溝9aを形成した差替え部材9dを複数種類用意して交換することで、製作できる草履の寸法の種類を広げることができる。その他、符号、構成、作用効果は実施例と同じである。
【産業上の利用可能性】
本考案の技術は、草履を手編みする際に利用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の草履手編み台の斜視図である。
【図2】実施例の後部ブロックの説明図である。
【図3】実施例の中間規制板の説明図である。
【図4】実施例の紐掛部材の説明図である。
【図5】実施例の草履手編み台の使用状態を示す説明図である。
【図6】実施例の草履手編み台の使用状態を示す説明図である。
【図7】実施例の他の例の後部ブロックの説明図である。
【図8】実施例の他の例の中間規制板の説明図である。
【符号の説明】
1 草履手編み台
2 基台
2a 凹所
2b 脚部材
3 条溝
4 前部ブロック
5 紐掛け突起
6 後部ブロック
6a 凸所
6b 溝
6c ネット
7,8 紐掛け突起
9 中間規制板
9a 溝
9b 脚
9c 係止部
9d 差替え部材
9e ネジ穴
9f 差込み溝
9g ネジ穴
9h 固定ネジ
10 紐掛部材
A 芯紐
Aa 結び目
B 編紐
C 固定紐
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
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