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飲食・調理
 
【発明の名称】蒸し器
【出願人】
【識別番号】503148454
【氏名又は名称】池畑 慧一
【住所又は居所】滋賀県伊香郡余呉町大字下余呉405番地
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100094248
【氏名又は名称】楠本 高義
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100124718
【氏名又は名称】増田 建
【発明者】
【氏名】池畑 慧一
【住所又は居所】滋賀県伊香郡余呉町大字下余呉405番地
【要約】
【課題】
本発明は、食品、特に大豆、小豆等の豆類を蒸す際に好適に使用される蒸し器を提供することを目的とする。
【解決手段】
蓋4と、内部が蒸し室10となる容器本体6と、内部が蒸気発生室30となる鍋型容器8とから構成され、蒸し室10が、底板14と、底板14の上面より間隔Hを空けた上部箇所に設けられた蒸気孔20と、蒸気孔20より下方に位置する底板14に設けられ、底板14上に溜まった水分を排出する排出口22とを備える蒸し器2である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋と、内部が蒸し室となる容器本体と、該蒸し室と蒸気孔を介して導通し、内部が蒸気発生室となる鍋型容器とを備える蒸し器であって、該蒸し室が、底板と、該底板の上面より間隔を空けた上部箇所に設けられた該蒸気孔と、該蒸気孔より下方に位置する底板に設けられ、該底板上に溜まった水分を排出する排出口とを備えることを特徴とする蒸し器。
【請求項2】
前記底板の少なくとも一端部に前記排出口が設けられ、前記排出口に、前記排出口から斜め下方向に延出し、且つ前記容器本体の外側に導通する管路が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の蒸し器。
【請求項3】
前記底板の周縁部の少なくとも一部が前記鍋型容器の開口縁部から外側にはみ出し、該外側にはみ出した部分の前記底板に前記排出口が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の蒸し器。
【請求項4】
前記鍋型容器の側面に、前記排水口から滴下する水滴を受ける汁受容器が設けられたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の蒸し器。
【請求項5】
前記蒸気発生室の側壁の上部に、前記蒸気発生室に水を供給する給水口が設けられたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の蒸し器。
【請求項6】
前記蒸気発生室と、前記蒸し器の外部とを導通させるパイプを備え、該パイプの一の端部に呼び子が設けられ、該パイプの一の端部が該外部に位置し、該パイプの他の端部が、前記蒸気発生室に規定量の水が入れられた状態で、該水の水面下に位置することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の蒸し器。
【請求項7】
前記パイプが前記底板を貫通して設けられたことを特徴とする請求項6に記載の蒸し器。
【請求項8】
板状体を備え、該板状体が、脚部と、該板状体を貫通する貫通孔と、前記仕切り壁を挿通させる挿通孔とを有し、該板状体が前記底板に載置されたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の蒸し器。
【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品を蒸す際に使用される蒸し器に関し、更に詳しくは、大豆、小豆等の豆類を蒸す際に好適に使用される蒸し器に関するものである。
【従来の技術】
一般に、蒸し料理においては、図9に示すような、蓋72、容器本体74、及び鍋型容器76から構成される蒸し器70が使用されている。容器本体74の底板78には、底板78を貫通する複数の蒸気孔80が設けられており、鍋型容器76で発生した蒸気が、蒸気孔80を介して容器本体74の内部に噴出され、容器本体74に入れた食品を蒸すことが出来る。
また、図10に示すような、蒸し器用容器84と、汁受容器86とから構成される蒸し器82が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。蒸し器用容器84の底90には、凹凸92が形成され、凹凸92の斜面に蒸気孔94が設けられている。蒸気孔94が波状の凹凸92の斜面に設けられることにより、蒸し器用容器84の中に載置された食品によって蒸気孔94が塞がれることがなく、蒸気をスムーズに蒸し器用容器84の内部に噴出させることが出来る。また、蒸し器用容器84の内表面に結露した水滴や食品から出た汁が大量でなければ、凹凸92の凹部に溜められるので、蒸気孔94を介して漏出し、滴下することはない。更に、汁受容器86を用いることによって、結露した水滴等が大量で、凹部から溢れて蒸気孔94を介して漏出し、滴下した場合であっても、その水滴等は汁受容器86に溜められるので、蒸気発生器具の中の湯が変質させられることがない。
【特許文献1】
実用新案登録第2518576号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、食品を蒸す場合において、従来の蒸し器70では、当然に容器本体74の内表面に結露した水滴や食品から出た汁が、蒸気孔80を介して鍋型容器76に滴下するため、鍋型容器76中の湯が変質し、かかる変質した湯が再び蒸気となって容器本体74内に噴出されることにより、食品の蒸し上がりの品質に悪影響を及ぼすこととなる。特に、大豆、小豆等の豆類を蒸す場合には、豆類の表面に残留する農薬が、水滴等と共に鍋型容器76に滴下するため、鍋型容器76内の湯の変質が著しく、かかる変質した湯が再び蒸気となって容器本体74に噴出されると、豆類の蒸し上がりの品質低下を招くこととなる。更に、豆類を蒸し始めてある程度の時間が経過すると水滴等はゼリー状となり、蒸し器70の蒸気孔80を塞いでしまうため、蒸気の噴出効率が低下することとなる。
また、蒸し器82を使用した場合であっても、蒸し始めからある程度の時間が経過するまでに発生する水滴等には残留する農薬が含まれており、この水滴等が凹部に溜められて、豆類が蒸し上がるまで蒸し器82内に滞留するため、水滴等が再び蒸気となって蒸し器用容器84内に対流し、蒸し上がりの品質低下を招く恐れがある。更に、蒸気の噴出と、水滴等の滴下が、共に蒸気孔94を介して行われるため、水滴等が凹部から漏出して蒸気孔94から滴下し始めると、蒸気発生器具からの蒸気の噴出がスムーズに行われなくなり、更には、水滴等がゼリー状に変化した場合、蒸気孔94を塞いでしまい、蒸気の噴出を妨げるという問題もある。
そこで、本発明は、食品、特に大豆、小豆等の豆類を蒸す際に好適に使用される蒸し器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者は、上記の問題を解決するために鋭意検討し、蒸し室と蒸気発生室とを備える蒸し器において、蒸し室に滞留する水滴等を、蒸気発生室の湯に触れることなく外部に排出する構造とすることにより、大豆等の蒸し上がりの品質が良好となることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明に係る蒸し器の要旨とするところは、蓋と、内部が蒸し室となる容器本体と、該蒸し室と蒸気孔を介して導通し、内部が蒸気発生室となる鍋型容器とを備える蒸し器であって、該蒸し室が、底板と、該底板の上面より間隔を空けた上部箇所に設けられた該蒸気孔と、該蒸気孔より下方に位置する底板に設けられ、該底板上に溜まった水分を排出する排出口とを備えたことにある。
また、かかる蒸し器において、前記底板の少なくとも一端部に前記排出口が設けられ、前記排出口に、前記排出口から斜め下方向に延出し、且つ前記容器本体の外側に導通する管路が設けられたことにある。
更に、かかる蒸し器において、前記底板の周縁部の少なくとも一部が前記鍋型容器の開口縁部から外側にはみ出し、該外側にはみ出した部分の前記底板に前記排出口が設けられたことにある。
また、かかる蒸し器において、前記鍋型容器の側面に、前記排出口から滴下する水滴を受ける汁受容器が設けられたことにある。
また、かかる蒸し器において、前記蒸気発生室の側壁の上部に、前記蒸気発生室に水を供給する給水口が設けられたことにある。
更に、かかる蒸し器において、前記蒸気発生室と、前記蒸し器の外部とを導通させるパイプを備え、該パイプの一の端部に呼び子が設けられ、該パイプの一の端部が該外部に位置し、該パイプの他の端部が、前記蒸気発生室に規定量の水が入れられた状態で、該水の水面下に位置することにある。
更にまた、かかる蒸し器において、前記パイプが前記底板を貫通して設けられたことにある。
また、かかる蒸し器において、板状体を備え、該板状体が、脚部と、該板状体を貫通する貫通孔と、前記仕切り壁を挿通させる挿通孔とを有し、該板状体が前記底板に載置されたことにある。
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る蒸し器について、図面に基づいて説明するが、本発明の態様は以下に示したものに限定されない。
図1に、本発明に係る蒸し器の一態様を示す。蒸し器2は、蓋4と、容器本体6と、鍋型容器8とから構成されている。容器本体6は、側壁12と底板14とを備え、容器本体6の内部は、食品を蒸すための蒸し室10となる。蒸し室10には、底板14の上面より間隔Hを空けた上部箇所に蒸気孔20が設けられている。具体的には、底板14の中心部に貫通孔16が形成され、貫通孔16の周縁部に、貫通孔16を一巡し、且つ周縁部から上方に延びた仕切り壁18が設けられ、仕切り壁18の上端部は封止されている。そして、仕切り壁18に、仕切り壁18を貫通する複数の蒸気孔20が設けられている。
更に、蒸気孔20より下方に位置する底板14の一端部には、底板14上に滞留する水分、つまり、容器本体6の内表面に結露した水滴や食品から出た汁を、容器本体6から排出するための排出口22が設けられている。また、排出口22からは、管路24が斜め下方向へ延出しており、管路24の端部24aが、蒸し器2の外側に位置するように設けられる。
一方、鍋型容器8は、側壁26と底28とを備え、鍋型容器8の内部は、蒸気発生室30となる。蒸気発生室30に水を入れた状態で、鍋型容器8の下方から加熱手段、例えば、ガスコンロ等で加熱することによって、蒸気が発生させられる。また、鍋型容器8の開口縁部の一部には切欠き部27が設けられており、鍋型容器8の上に容器本体6を載置する際、容器本体6の底板14に設けられた排出口22から延出する管路24が、切欠き部27に係合されることとなる。
なお、蓋4は、容器本体6の開口部を覆って載置されるものであるが、形状及び構造は特に限定されず、蒸し室10に充満する蒸気を適度に排出可能な構造であれば、どのような形態であってもよい。
食品、例えば、大豆、小豆等の豆類を蒸す場合には、容器本体6の蒸し室10に豆類を入れ、容器本体6の底板14が鍋型容器8の蓋となるように、水を入れた鍋型容器8の上に容器本体6が載置される。鍋型容器8を、ガスコンロ等の加熱手段を使用して加熱することにより、蒸気発生室30で蒸気が発生する。蒸気は、容器本体6の底板14に設けられた貫通孔16及び仕切り壁18に設けられた蒸気孔20を介して蒸し室10に噴出され、蒸気が蒸し室10に充満することによって、蒸し室10に入れられた豆類が蒸されることとなる。また、蒸し室10の表面に結露した水滴や豆類から出た汁は、容器本体6の底板14に設けられた排出口22から、管路24を介して、蒸し器2の外部へ排出される。
つまり、蒸し室10の底板14上に滞留する水滴等は、随時、排出口22から蒸し器2の外部へ排出されるため、容器本体6から蒸気孔20を介して鍋型容器8へ水滴等が漏出することがない。特に、豆類の蒸し始めからある程度の時間が経過するまでに発生する水滴等には農薬が含まれているため、この水滴等を蒸し器2の外部へ排出可能とすることによって、鍋型容器8に入れられた水の変質を防止することが出来る。また、蒸気孔20は底板14の上面より任意の間隔Hを空けた上部箇所に設けられているため、水滴等がゼリー状となって排出口22からスムーズに排出されなくなった場合でも、最下部の蒸気孔20までは容器本体6内に溜めることができ、蒸気孔20を塞ぐことがない。従って、蒸し室10へは、常に新鮮な蒸気を噴出することが可能であると共に、豆類の蒸し上がりに悪影響を及ぼすこともない。
ここで、仕切り壁18において、底板14の上面から最下部の蒸気孔20までの任意の間隔Hを確保する構造とすることによって、上述の通り、底板14上に滞留する水分が蒸気孔20を介して鍋型容器8へ滴下すること、及び蒸気孔20がゼリー状の水分で塞がれることを防止出来るが(図2(a))、仕切り壁18で構成された突出部32の形状は、図示した円柱状に限定されるものではない。例えば、円錐台型の形状とすることによって、蒸気の噴出効率を向上することが出来る(同図(b))。また、排出口22が設けられた底板の一端部側が下となるように、底板14に傾斜を設けることによって、底板14上に滞留する水分を、効率的に排出口22へと導くことができ、水分の排出効率の向上が図れる(同図(c))。更に、底板14の周縁部にも、上方に突出する突出部33を設け、突出部33に蒸気孔20を設けることによって、蒸気の噴出効率を更に向上することが出来る(同図(d))。
以上、本発明に係る蒸し器2の態様について詳述したが、蒸し器2における容器本体6及び鍋型容器8の態様は、上記のものに限定されない。
図3に、容器本体の他の態様を示す。容器本体34は、側壁36と底板38とを備え、容器本体34の内部は、食品を蒸すための蒸し室10となる。底板38の中心部には、容器本体6と同様、蒸気孔20が設けられた突出部32が形成されている。また、底板38の周縁部の一部38aは、容器本体34が鍋型容器8の上に載置された際、鍋型容器8の開口縁部から外側にはみ出しており、この外側にはみ出した底板38の一部38aに、排出口22が設けられている。更に、排出口22からは、下方向へパイプ40が延出している。なお、パイプ40については、特に設けなくともよい。
食品を蒸す際には、鍋型容器8の上に容器本体34が載置されるが、容器本体34の底板38の一部38aが、鍋型容器8の開口縁部から外側にはみ出しているため、底板38の一部38aに設けられた排出口22及びパイプ40も、当然に鍋型容器8の開口縁部から外側にはみ出すこととなる。従って、鍋型容器8の開口縁部の一部に切欠き部27を設けなくとも、容器本体34を鍋型容器8の上に載置することが可能となる。
また、一度に多種類の食品や多量の食品を蒸す場合には、複数の容器本体34を鍋型容器8の上に積み重ねることによって可能となる。つまり、排出口22及びパイプ40が、底板38の周縁部の一部38aに設けられているため、容器本体34同士を積み重ねる際に、パイプ40が邪魔とならず、容易に積み重ねることが出来る。なお、蒸し器2における容器本体6を積み重ねることによっても一度に蒸すことは可能であるが、この場合には、容器本体6の底板14に設けた排出口22から延出する管路24が、容器本体6同士の係合に不具合を生じるため、鍋型容器8の開口縁部に設けた切欠き部27と同様の切欠き部を、容器本体6の開口縁部にも予め設けておく必要がある。
更に、容器本体6又は容器本体34の上に積み重ねられる容器本体は、図9に示す従来の容器本体74であってもよい。容器本体74を使用した場合には、容器本体74の内表面に結露した水滴や食品から出た汁が蒸気孔80から滴下するが、容器本体74と鍋型容器8の間に容器本体6又は34を介在させることによって、水滴等は容器本体6、34の排出口22から外部へ排出されるため、鍋型容器8内の水の変質を防止することが出来る。
一方、図4に鍋型容器の他の態様を示す。鍋型容器42の側壁44の一部には、鍋型容器42の外側に汁受容器46が設けられている。例えば、容器本体34に食品を入れて蒸す場合、汁受容器46が、容器本体34に設けられた排出口22から延出するパイプ40の真下に来るように、容器本体34を鍋型容器42の上に載置する。食品を蒸し始めると、容器本体34の内表面に結露した水滴や食品から出た汁が、排出口22及びパイプ40を介して滴下する。つまり、予め汁受容器46を設けておくことによって、排出口22から滴下する水滴等を、容易に回収することが可能となる。また、汁受容器46を着脱式とすることによって、汁受容器46に溜まった水滴等を容易に捨てることができ、汁受容器46からの漏出を防止出来る。
図5に鍋型容器の更に別の態様を示す。鍋型容器48の側壁50の上部には、鍋型容器48に水を供給するための給水口52が設けられている。鍋型容器48の内部、つまり、蒸気発生室30には、食品を蒸す際に予め水が入れられるが、蒸気発生室30の水は、蒸気となって鍋型容器48の上に載置された容器本体6等に噴出されるため、徐々に減少する。従って、鍋型容器48に給水口52を設けることにより、随時、蒸気発生室30に水を供給することが可能になると共に、従来の蒸し器70のように、一旦、鍋型容器76の上に載置された容器本体74を除ける必要もなく、水の供給作業を容易に行うことが出来る。なお、給水口52の形状及び構造は特に限定されるものではなく、鍋型容器48に水を供給可能であれば、どのような態様であってもよい。また、給水口52に蓋を設けることによって、給水口52からの蒸気の噴出を防止することが出来る。
ここで、鍋型容器48のように給水口52を設け、蒸気発生室30に随時、水を供給可能とした態様であっても、蒸気発生室30の水の残量については、常に注意が必要である。そこで、図6(a)に示すように、鍋型容器51には、蒸気発生室30と蒸し器の外部とを導通させるパイプ53が設けられている。パイプ53の一の端部53aは蒸し器の外部に位置し、パイプ53の他の端部53bは、蒸気発生室30に規定量の水Wが入れられた状態において、水面Lよりも下側に位置している。更に、一の端部53aには呼び子55を備えている。食品を蒸し始めると、水Wは徐々に減少し始め、ある程度の時間が経過すると、水面Lは他の端部53bより下方に位置することとなる。このとき、蒸気発生室30で発生した蒸気は、鍋型容器51の上に載置される図6(a)には不図示の容器本体6等に噴出されると共に、パイプ53を介して蒸し器の外部に噴出され、呼び子55を鳴らすこととなる。つまり、呼び子55が鳴ることによって、蒸気発生室30の水Wの水面Lが少なくともパイプ53の他の端部53bより下方に位置していることを、鍋型容器51内を直接確認することなく知ることが出来る。また、呼び子55の鳴り始めを合図に、給水口52(不図示)から水を補給することによって、鍋型容器51の空焚きを防止することが出来る。
本発明の蒸し器におけるパイプを設けた態様は、図6(a)に示す態様に限定されず、蒸気発生室30と蒸し器の外部を導通させるパイプであれば、パイプが設けられる位置、形状及び構成等は特に限定されるものではない。例えば、図6(b)に示す蒸し器35のように、鍋型容器8の上に載置される容器本体6に、容器本体6の底板14及び側壁12を貫通するパイプ57が設けられてもよい。パイプ57の一の端部57aは蒸し器35の外部に位置し、他の端部57bは、鍋型容器8に規定量の水Wが入れられた状態において、水面Lよりも下側に位置している。一の端部57aには呼び子55を備えており、呼び子55が鳴ることによって、水Wの水面Lが少なくともパイプ57の他の端部57bより下方に位置していることを知ることが出来る。また、更に別の態様として、図6(c)に示すように、パイプ63が、側壁12を貫通することなく上方に突出し、容器本体6の開口部を覆って載置される蓋4に予め設けられた挿通孔61に挿通されて、パイプ63の一の端部63aが蒸し器35aの外部に位置することとなる態様であってもよい。
なお、一度に多種類の食品や多量の食品を蒸す場合において、上記のパイプ53、57を設けた態様(図6(a)及び(b))であれば、鍋型容器51及び容器本体59の上に、別の容器本体6等を積み重ねて載置する際、パイプ53、57が邪魔とならず、容易に載置することが出来る。一方、容器本体59a(図6(c))の上に別の容器本体6等を載置する場合には、別の容器本体6等にも予め、パイプ63と同様のパイプ65(不図示)を設けておき、パイプ63とパイプ65とを嵌合させた状態で別の容器本体6等を載置することによって、蒸気発生室30で発生した蒸気を、パイプ63、65を介して蒸し器の外部に噴出させることが出来る。
図7(a)には、容器本体6の内部に載置される板状体54を示す。板状体54には、一方の面に脚部56が設けられ、また、板状体54を貫通する複数の貫通孔58も設けられている。更に、板状体54の中央部には、容器本体6の仕切り壁18を挿通可能な挿通孔60が設けられている。板状体54は、挿通孔60に、仕切り壁18で形成される突出部32を挿通した状態で、脚部56によって、底板14上に載置される(図7(b))。このとき、板状体54と底板14の間には、脚部56によって隙間が設けられることとなる。
食品を蒸す際には、板状体54が容器本体6の底板14上に載置され、板状体54の上に食品が載置される。仕切り壁18に設けられた蒸気孔20から蒸気が噴出されると、蒸し室10内に蒸気が充満し、食品が蒸される。食品を蒸し始めると、容器本体6には、容器本体6の内表面に結露した水滴や食品から出た汁が生じるが、これらの水滴等は、板状体54に設けた貫通孔を介して底板14上に滴下し、最終的に、底板14に設けられた排出口22から蒸し器2の外部に排出されることとなる。つまり、食品を底板14上に直に載置した場合に比べて、食品が水滴等に触れる時間を短縮でき、且つ水滴等の排出効率を向上することが可能となる。
なお、本明細書において、各図にわたって記される同じ符号は、同一又は同様の部材やものを示す。
以上、本発明に係る蒸し器の態様について説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものであり、これらの態様はいずれも本発明の範囲に属するものである。
例えば、容器本体6等に設けられた突出部32を形成する仕切り壁18の上端部の封止された部分にも蒸気孔20が設けられてもよい。また、上端部が封止されてなくともよい。更に、突出部32が設けられる位置、大きさ、数についても特に限定されるものではない。
また、底板14、38に設けられる排出口22の数、形状も特に限定されず、底板14等に複数の排出口22が設けられてもよい。更に、容器本体6に入れられる食品の大きさによっては、底板14に設けられる排出口22から食品が落下する恐れがあるため、排出口22には、食品落下防止用の網等を備えておくことが好ましい。
更にまた、蒸し器2では、容器本体6と鍋型容器8が、容器本体6の底板14が鍋型容器8の蓋となるように積み重ねられているが、図8に示すように、蒸し室10と、蒸気発生室30が一の鍋型容器58内に重合された蒸し器60であってもよい。つまり、蒸し室10となる容器本体62の側壁64の上端部に鍔66を設け、鍔66を鍋型容器58の側壁68の上端部で係止することによって、鍋型容器58に容器本体62が重合し、鍋型容器58内に蒸し室10と蒸気発生室30が構成されることとなる。
その他、蒸し器2、35、35a、60を構成する蓋4、容器本体6等、鍋型容器8等は、ステンレス、アルミニウム等の金属製、ガラス製等、特に限定されるものではない。
【発明の効果】
本発明に係る蒸し器では、蒸し室の底板に排出口が設けられることによって、蒸し室内に結露した水滴や食品から出た汁を、随時、蒸し器の外部に排出することが出来るため、蒸気発生室の水が変質させられることがなく、食品の蒸し上がりに悪影響を及ぼすことがない。特に、大豆、小豆等の豆類を蒸す場合には、豆類の蒸し上がりの品質向上に繋がる。
また、本発明の蒸し器に係る鍋型容器に給水口を設けることによって、蒸気発生室への水の供給を、水の残量に応じて、随時、行うことが出来る。特に、従来の蒸し器のように、水を補給する度に、鍋型容器の上に載置された容器本体を除ける必要がなく、容易に行うことが出来る。
更に、本発明の蒸し器において、蒸気発生室と、蒸し器の外部とを導通させるパイプを設け、蒸し器の外部に位置する該パイプの一の端部から蒸気を噴出させることによって、蒸気発生室の水の残量を把握することが可能となる。
更にまた、蒸し室の底板上に板状体を載置し、該板状体の上に食品を載置して蒸すことによって、蒸し室内に結露した水滴や食品から出た汁は、板状体に設けられた貫通孔を介して底板上に滴下するため、食品を底板上に直に載置して蒸す場合に比べて、食品が水滴等に触れる時間を短縮することが出来ると共に、水滴等の排出効率を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蒸し器の一態様を示した一部破断分解斜視図である。
【図2】(a)、(b)、(c)、及び(d)は、いずれも容器本体の種々の態様を示した端面図である。
【図3】本発明に係る容器本体の他の態様を示した斜視図である。
【図4】本発明に係る鍋型容器の他の態様を示した斜視図である。
【図5】本発明に係る鍋型容器の更に他の態様を示した斜視図である。
【図6】(a)は本発明に係る鍋型容器の別の態様、(b)及び(c)は、いずれも本発明の蒸し器の他の態様を示した端面図である。
【図7】(a)は、本発明に係る板状体を示した斜視図であり、(b)は、(a)に示した板状体を容器本体内に載置した状態を示した端面図である。
【図8】本発明に係る蒸し器の他の態様を示した端面図である。
【図9】従来の蒸し器の一態様を示した一部破断分解斜視図である。
【図10】従来の蒸し器の他の態様を示した一部破断分解斜視図である。
【符号の説明】
2、35、35a、60、70、82:蒸し器
4、72:蓋
6、34、59、59a、62、74:容器本体
8、42、48、51、58、76:鍋型容器
10:蒸し室
12、26、36、44、50、64:側壁
14、38、78:底板
16、58:貫通孔
18:仕切り壁
20、80、94:蒸気孔
22:排出口
24:管路
27:切欠き部
28:底
30:蒸気発生室
32、33:突出部
40、53、57、63:パイプ
46、86:汁受容器
52:給水口
54:板状体
55:呼び子
56:脚部
60、61:挿通孔
66:鍔
84:蒸し器用容器
92:凹凸
H:底板の上面から最下部の蒸気孔までの任意の間隔
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
【図10】
図10
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