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【発明の名称】収納袋用吸気栓ユニット及び収納方法
【出願人】
【識別番号】519362778
【氏名又は名称】小林 袈裟男
【住所又は居所】長野県中野市中野2030
【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
【発明者】
【氏名】小林 袈裟男
【住所又は居所】長野県中野市中野2030
【要約】
【課題】 ユーザーの希望する大きさ,素材,厚さ等を備える任意の収納袋の内部の空気を外部に排出し、排出した状態を保持する吸気栓付の収納袋に容易に変更する。
【解決手段】 収納袋Bに設けた貫通孔部Bhに挿通する内筒部2i,及びこの内筒部2iの内端部2iiの外周に一体形成し、かつ収納袋Bの内面Biに接着可能な接着面2caを設けた内面取付部2cを有する内側栓体部2と、内筒部2iを覆う外筒部3e,及びこの外筒部3eの内端部3eiの外周に一体形成し、かつ収納袋Bの外面Beに接着可能な接着面3caを設けた外面取付部3cを有する外側栓体部3と、内筒部2iの内端部2iiから内部に挿入可能に形成し、少なくとも全挿入位置Xeで内端部2iiを閉塞状態にするとともに、挿入開始位置Xsから全挿入位置Xeの手前までの中途挿入領域Zmにおける半挿入位置Xmで内端部2iiを通気状態にする弁体部4とを備える。
【選択図】 図1
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉式の収納袋に付設して当該収納袋の内部の空気を外部に排出し、かつ排出した状態を保持する収納袋用吸気栓ユニットであって、前記収納袋に設けた貫通孔部に挿通する内筒部,及びこの内筒部の内端部の外周に一体形成し、かつ前記収納袋の内面に接着可能な接着面を設けた内面取付部を有する内側栓体部と、前記内筒部を覆う外筒部,及びこの外筒部の内端部の外周に一体形成し、かつ前記収納袋の外面に接着可能な接着面を設けた外面取付部を有する外側栓体部と、前記内筒部の内端部から内部に挿入可能に形成し、少なくとも全挿入位置で前記内端部を閉塞状態にするとともに、挿入開始位置から前記全挿入位置の手前までの中途挿入領域における半挿入位置で前記内端部を通気状態にする弁体部とを具備してなることを特徴とする収納袋用吸気栓ユニット。
【請求項2】
前記内筒部は、外端部を閉塞する端面部を有するとともに、この端面部に、軸方向外方に突出した円錐形状部,及び一又は二以上の内外に貫通する通気孔部を形成してなることを特徴とする請求項1記載の収納袋用吸気栓ユニット。
【請求項3】
前記外筒部は、外端部又は中間部を閉塞する端面部を有するとともに、この端面部に、内外に貫通する通気路を有し、かつ軸方向外方に突出した筒形の接続口を形成してなることを特徴とする請求項1又は2記載の収納袋用吸気栓ユニット。
【請求項4】
前記外筒部は、外端部に、前記接続口を覆う密閉シールを接着可能なシール接着面部を設けてなることを特徴とする請求項1,2又は3記載の収納袋用吸気栓ユニット。
【請求項5】
前記弁体部は、円柱状に形成した本体部の外周面に、先端面から前記中途挿入領域に対応する部位に至る一又は二以上の通気溝部を形成してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の収納袋用吸気栓ユニット。
【請求項6】
密閉式の収納袋に被収納物を収納する収納方法において、予め、収納袋に設けた貫通孔部に挿通する内筒部,及びこの内筒部の内端部の外周に一体形成し、かつ前記収納袋の内面に接着可能な接着面を設けた内面取付部を有する内側栓体部と、前記内筒部を覆う外筒部,及びこの外筒部の内端部の外周に一体形成し、かつ前記収納袋の外面に接着可能な接着面を設けた外面取付部を有する外側栓体部と、前記内筒部の内端部から内部に挿入可能に形成し、少なくとも全挿入位置で前記内端部を閉塞状態にするとともに、挿入開始位置から前記全挿入位置の手前までの中途挿入領域における半挿入位置で前記内端部を通気状態にする弁体部とを備える吸気栓ユニットを用意し、収納時に、前記収納袋に、前記貫通孔部を形成し、この後、当該貫通孔部を設けた収納袋に、前記吸気栓ユニットを付設し、当該収納袋に被収納物を収納した後、前記吸気栓ユニットを通して前記収納袋の内部の空気を外部に排出し、かつ排出した状態を保持することを特徴とする収納方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉式の収納袋に付設して当該収納袋の内部の空気を外部に排出し、かつ排出した状態を保持する収納袋用吸気栓ユニット及び収納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸気口を有する吸気栓を一体に設けてなる吸気栓付の収納袋は各種提案されており、この種の収納袋としては、特許文献1で開示される簡易真空容器、特許文献2で開示される食品の保存に用いる合成樹脂製袋及び特許文献3で開示される布団・衣類・食料品真空パック袋が知られている。
【0003】
特許文献1の簡易真空容器は、冷蔵庫などにおいて食品を保存する場合に簡便に空気から遮断する食品保存袋の提供を目的としたものであり、具体的には、人の口で中の空気を吸いだせる吸い口を設け、中の気体を排出するとともに、排出した後、袋を密閉し、必要であれば、脱酸素剤により残存酸素を排出するように構成したものである。
【0004】
また、特許文献2の食品の保存に用いる合成樹脂製袋は、手軽に食品の保存及び調理ができる器具により得られる合成樹脂製袋であり、具体的には、流出バルブを設けた合成樹脂製吸引口を密着固定した合成樹脂製袋と、この合成樹脂製袋の開口部を挟み込み密封する合成樹脂製クリップと、この合成樹脂製袋内の気体及び液体を外部へ排出する合成樹脂製吸引器とにより構成したものである。
【0005】
さらに、特許文献3の布団・衣類・食料品真空パック袋は、布団・衣類・食料品を、真空パック袋に収納し、パック袋内の空気をワンタッチ栓により掃除機及び真空装置で吸い出し、パック袋内を真空にして蓋をし、長期間の真空保存する事により防虫、防カビ、防湿、食料品においては鮮度も保つ事を目的としたものであり、具体的には、開口部に、密閉用の一対のシリコンゴム帯とポリフィルムの一体成型とし、袋本体下部に取り付けた栓から掃除機及び真空装置で空気を吸い出し、パック袋内が真空完了し、空気装置を取り外した時、栓の中の稼働弁がパック袋内の吸引口より負圧及び自重にてOリングに当たり、パック袋内が真空状態になったなら、上蓋をし、長期間の真空保存が可能になるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特開平11−314668号公報
【特許文献2】 特開平07−000155号公報
【特許文献3】 登録実用新案第3003451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した収納袋をはじめ、従来における吸気栓付の収納袋は、次のような問題点があった。
【0008】
即ち、この種の収納袋は、例えば、食品用など、特定の用途を対象にするとともに、主に保存(保管)を目的とするため、収納袋の大きさや仕様等は、メーカーから提供される大きさや仕様等に限定されてしまう。したがって、基本的に、ユーザーの希望する大きさ,素材,厚さ等を備える収納袋を入手できない難点がある。なお、特許文献2のように、収納袋自体を器具等を用いてユーザー自身が製作すれば、収納袋の大きさ等は変更可能になるが、コスト面や労力面において手軽に利用できるとはいえない。
【0009】
特に、この種の収納袋は、様々な分野における用途の観点からはそのニーズに対して十分に応えていないのが実情である。例えば、故郷から遠方で暮らす家族に、お餅や収穫期の野菜・果物等を送る場合も少なくないが、この場合、通常、ダンボール等の箱の中に、直接或いは包装紙に包むなどにより詰め込んでいるが、虫やカビの発生,早期の鮮度低下や傷みを生じやすい。しかし、このような用途に適した吸気栓付の収納袋は何ら提供されておらず、従来より、このような用途をはじめ、個々のユーザーが希望する各種用途に適する収納袋(収納手段)及び収納方法の実用化が望まれていた。
【0010】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した収納袋用吸気栓ユニット及び収納方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る収納袋用吸気栓ユニット1は、上述した課題を解決するため、密閉式の収納袋に付設して当該収納袋の内部の空気を外部に排出し、かつ排出した状態を保持する吸気栓ユニットであって、収納袋Bに設けた貫通孔部Bhに挿通する内筒部2i,及びこの内筒部2iの内端部2iiの外周に一体形成し、かつ収納袋Bの内面Biに接着可能な接着面2caを設けた内面取付部2cを有する内側栓体部2と、内筒部2iを覆う外筒部3e,及びこの外筒部3eの内端部3eiの外周に一体形成し、かつ収納袋Bの外面Beに接着可能な接着面3caを設けた外面取付部3cを有する外側栓体部3と、内筒部2iの内端部2iiから内部に挿入可能に形成し、少なくとも全挿入位置Xeで内端部2iiを閉塞状態にするとともに、挿入開始位置Xsから全挿入位置Xeの手前までの中途挿入領域Zmにおける半挿入位置Xmで内端部2iiを通気状態にする弁体部4とを具備してなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る収納方法は、上述した課題を解決するため、密閉式の収納袋Bに被収納物Gを収納するに際し、予め、収納袋Bに設けた貫通孔部Bhに挿通する内筒部2i,及びこの内筒部2iの内端部2iiの外周に一体形成し、かつ収納袋Bの内面Biに接着可能な接着面2caを設けた内面取付部2cを有する内側栓体部2と、内筒部2iを覆う外筒部3e,及びこの外筒部3eの内端部3eiの外周に一体形成し、かつ収納袋Bの外面Beに接着可能な接着面3caを設けた外面取付部3cを有する外側栓体部3と、内筒部2iの内端部2iiから内部に挿入可能に形成し、少なくとも全挿入位置Xeで内端部2iiを閉塞状態にするとともに、挿入開始位置Xsから全挿入位置Xeの手前までの中途挿入領域Zmにおける半挿入位置Xmで内端部2iiを通気状態にする弁体部4とを備える吸気栓ユニット1を用意し、収納時に、収納袋Bに、貫通孔部Bhを形成し、この後、当該貫通孔部Bhを設けた収納袋Bに、吸気栓ユニット1を付設し、当該収納袋Bに被収納物Gを収納した後、吸気栓ユニット1を通して収納袋Bの内部の空気Aを外部に排出し、かつ排出した状態を保持するようにしたことを特徴とする。
【0013】
一方、本発明は、発明の好適な態様により、内筒部2iには、外端部2ieを閉塞する端面部11を設けるとともに、この端面部11に、軸方向外方に突出した円錐形状部11s,及び一又は二以上の内外に貫通する通気孔部11h…を形成することができる。また、外筒部3eには、外端部3eo又は中間部3emを閉塞する端面部14を設けるとともに、この端面部14に、内外に貫通する通気路12を有し、かつ軸方向外方に突出した筒形の接続口13を形成することができる。なお、外筒部3eの外端部3eoには、接続口13を覆う密閉シール5を接着可能なシール接着面部15を設けることが望ましい。他方、弁体部4は、円柱状に形成した本体部4mの外周面4mfに、先端面4msから中途挿入領域Zmに対応する部位に至る一又は二以上の通気溝部16…を形成することにより構成できる。
【発明の効果】
【0014】
このような本発明に係る収納袋用吸気栓ユニット1及び収納方法によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0015】
(1) 吸気栓ユニット1は、収納袋Bに対して別体となる独立したユニット部品として構成するため、様々な収納袋Bに対して後付けにより使用できる。即ち、ユーザーの希望する大きさ,素材,厚さ等を備える任意の収納袋Bに付設し、内部の空気Aを外部に排出するとともに、排出した状態を保持する吸気栓付の収納袋Gを得ることができ、個々のユーザーが希望する各種用途(例えば、荷物用袋等)のニーズに十分に応えることができる収納袋G(収納手段)及び収納方法を提供できる。しかも、別途の治具やこの治具を使用する工程が不要なため、コスト面や労力面における大きな負担を伴うことなく手軽に利用することができる。
【0016】
(2) 好適な態様により、内筒部2iを構成するに際し、外端部2ieを閉塞する端面部11を設けるとともに、この端面部11に、軸方向外方に突出した円錐形状部11s,及び一又は二以上の内外に貫通する通気孔部11h…を形成すれば、例えば、収納袋Bにカッター等によりランダム形状或いは小さな貫通孔部Bhを形成した場合であっても、貫通孔部Bhに対して、最初に円錐形状部11sを挿入することができるため、内筒部2iの挿通を、確実かつ容易に行うことができる。しかも、内筒部2iの外側端部2ieには、任意の大きさや数量を選定した通気孔部11h…を設けることができる。
【0017】
(3) 好適な態様により、外筒部3eを構成するに際し、外端部3eo又は中間部3emを閉塞する端面部14を設けるとともに、この端面部14に、内外に貫通する通気路12を有し、かつ軸方向外方に突出した筒形の接続口13を形成すれば、外筒部3eの大きさや形状とは異なる任意の大きさ及び形状を有する接続口13を設けることができるため、接続口13に対して、吸気ポンプや掃除機等の各種吸気手段Vを接続することにより確実かつ容易に吸気することができるとともに、使い勝手及び利便性を高めることができる。
【0018】
(4) 好適な態様により、外筒部3eの外端部3eoに、接続口13を覆う密閉シール5を接着可能なシール接着面部15を設ければ、弁体部4による閉塞機能に加えて、密閉シール5による第二の密閉機能を付加することができるため、二重のシーリングによる外気の侵入防止を図ることができるとともに、接続口13に対する外的な保護を図ることができる。
【0019】
(5) 好適な態様により、弁体部4を構成するに際し、円柱状に形成した本体部4mの外周面4mfに、先端面4msから中途挿入領域Zmに対応する部位に至る一又は二以上の通気溝部16…を形成すれば、本体部4mの形成変更のみで実現できるため、容易に実施できるとともに、使用時には、いわば自動閉塞機能も持たせることができるなど、実施の容易性及び取扱いの柔軟性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の好適実施形態に係る収納袋用吸気栓ユニットの使用時の状態を示す側面断面構成図、
【図2】同収納袋用吸気栓ユニットの構成部品を示す側面外観図、
【図3】同収納袋用吸気栓ユニットに備える第一部品により構成される内側栓体部及び弁体部の側面断面図、
【図4】同内側栓体部及び弁体部の平面外観図、
【図5】同収納袋用吸気栓ユニットに備える第二部品により構成される外側栓体部の側面断面図、
【図6】同外側栓体部の平面外観図、
【図7】同収納袋用吸気栓ユニットを用いた本実施形態に係る収納方法を説明するためのフローチャート、
【図8】同収納方法を説明するための第一乃至第三の工程説明図、
【図9】同収納方法を説明するための第四の工程説明図、
【図10】同収納方法を説明するための第五の工程説明図、
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
まず、本実施形態に係る収納袋用吸気栓ユニット1の構成について、図1−図6を参照して説明する。
【0023】
この吸気栓ユニット1は、図1及び図2に示すように、大別して、内側栓体部2,外側栓体部3,弁体部4及び密閉シール5の構成要素が含まれる。また、例示のように、内側栓体部2と弁体部4は一体成形部品として製作できるとともに、密閉シール5は必要に応じて使用することができる。したがって、密閉シール5は必須の構成要素になるものではない。例示する吸気栓ユニット1の場合、基本的に、図3及び図4に示す第一部品P1と、図5及び図6に示す第二部品P2の二部品により構成できる。以下、各部品について具体的に説明する。
【0024】
まず、第一部品P1は、図3及び図4に示すように、内側栓体部2,弁体部4,及び内側栓体部2と弁体部4を連結する連結片部(釣り片)21を、ゴム素材或いは軟質のプラスチック素材により一体成形する。内側栓体部2は、収納袋Bに設けた貫通孔部Bhに挿通する内筒部2i,及びこの内筒部2iの内端部2iiの外周に一体形成し、かつ収納袋Bの内面Biに接着可能な接着面2caを設けた内面取付部2cを有する。したがって、内面取付部2cは、鍔状(フランジ状)に形成し、上面に接着剤(粘着剤)を塗布した接着面2caを設けるとともに、この接着面2caには、接着面2caの全体を覆う剥離紙22を付設する。
【0025】
また、内筒部2iには、外端部2ieに端面部11を一体成形することにより当該外端部2ieの開口を閉塞する。そして、図3及び図4に示すように、この端面部11には、外方に突出した円錐形状部11sを一体形成するとともに、一又は二以上の内外に貫通する通気孔部11h…を形成する。例示は、端面部11の外周寄りに形成した通気孔部11hと円錐形状部11sの周面に形成した通気孔部11hをそれぞれ示する。このように、内筒部2iを構成するに際し、外端部2ieを閉塞する端面部11を設けるとともに、この端面部11に、軸方向外方に突出した円錐形状部11s,及び一又は二以上の内外に貫通する通気孔部11h…を形成すれば、例えば、収納袋Bにカッター等によりランダム形状或いは小さな貫通孔部Bhを形成した場合であっても、貫通孔部Bhに対して、最初に円錐形状部11sを挿入することができるため、内筒部2iの挿通を、確実かつ容易に行うことができる。しかも、内筒部2iの外側端部2ieには、任意の大きさや数量を選定した通気孔部11h…を設けることができる。
【0026】
一方、弁体部4は、内筒部2iの内端部2iiから内部に挿入可能に形成し、少なくとも全挿入位置Xeで内端部2iiを閉塞状態にするとともに、挿入開始位置Xsから全挿入位置Xeの手前までの中途挿入領域Zmにおける半挿入位置Xmで内端部2iiを通気状態にする弁機能を有する本体部4mを備える。このため、本体部4mは、円柱状に形成し、かつ外周面4mfに、先端面4msから中途挿入領域Zmに対応する部位に至る通気溝部16を形成する。例示の通気溝部16は、軸方向に沿って一つの通気溝部16を設けた場合を示したが、異なる位置に二以上の通気溝部16…を形成してもよく、その数量は問わない。このような通気溝部16…を設ければ、本体部4mの形成変更のみで実現できるため、容易に実施できるとともに、使用時には、いわば自動閉塞機能も持たせることができるなど、実施の容易性及び取扱いの柔軟性に優れる。
【0027】
また、弁体部4は、本体部4mの先端面4msに対して、反対側の端面に、大径となる鍔状(フランジ状)のストッパ部23を一体形成する。このストッパ部23は、弁体部4を全挿入位置Xeまで挿入した際に、内面取付部2cの下面に当接して位置が規制される。なお、本体部4mは、外周面4mfを形成するに際し、軸方向において全て同一径となる円柱面であってもよいし、例示のように、先端面4msに行くに従ってやや小径となるテーマ状の円柱面であってもよい。テーマ状の円柱面に形成することにより、本体部4mを内筒部2iの内部に対して、より挿入し易くなる。なお、いずれの形態であっても、本体部4mは、内筒部2iの内部に対して、素材の弾性等により容易に圧入でき、かつ前述
した全挿入位置Xeと半挿入位置Xmで停止できるように形成する。他方、上述した内筒部2iの内周面も、本体部4mの外周面4mfと同一形状又はやや小径に選定する。
【0028】
さらに、連結片部21は、内側栓体部2と弁体部4を連結する機能を有すれば足りるため、図3及び図4に示すように、弁体部4を連結片部21を介して反対方向に折り返し、内側栓体部2における内筒部2iの内部に挿入できる長さ,幅及び厚さを選定する。なお、連結片部21は、必ずしも必須の構成要素ではなく、内側栓体部2と弁体部4は、それぞれ独立した単独の部品として構成してよい。この場合には、第一部品P1は、単一部品ではなく、二部品となるが、内側栓体部2と弁体部4を、それぞれに最適となる異なる材料により形成することができる。
【0029】
他方、第二部品P2は、図5及び図6に示すように、硬質のプラスチック素材等により一体成形し、全体を外側栓体部3として構成する。この外側栓体部3は、上述した内側栓体部2における内筒部2iを覆う外筒部3e,及びこの外筒部3eの内端部3eiの外周に一体形成し、かつ収納袋Bの外面Beに接着可能な接着面3caを設けた外面取付部3cを備える。したがって、外面取付部3cは、鍔状(フランジ状)に形成し、下面に接着剤(粘着剤)を塗布した接着面3caを設けるとともに、この接着面3caには、接着面3caの全体を覆う剥離紙31を付設する。なお、外筒部3eの内径は、内筒部2iに被せた際に、内筒部2iの外周面間に、収納袋Bの一部が侵入できるように、所定の隙間を確保することが望ましい。図9及び図10は、この隙間に収納袋Bの一部が侵入した状態を示している。
【0030】
また、外筒部3eは、外端部3eo又は中間部3emを閉塞する端面部14を一体形成する。そして、この端面部14に、内外に貫通する通気路12を有し、かつ軸方向外方に突出した筒形の接続口13を形成する。これにより、この接続口13に、吸気手段V側の吸気チューブVi(図9参照)を接続することができる。例示は、外筒部3eの中間部3emに、端面部14を一体形成した場合を示したが、この端面部14は外端部3eoに一体形成してもよい。このように、外筒部3eを構成するに際し、外端部3eo又は中間部3emを閉塞する端面部14を設けるとともに、この端面部14に、内外に貫通する通気路12を有し、かつ軸方向外方に突出した筒形の接続口13を形成すれば、外筒部3eの大きさや形状とは異なる任意の大きさ及び形状を有する接続口13を設けることができるため、接続口13に対して、吸気ポンプや掃除機等の各種吸気手段Vを接続することにより確実かつ容易に吸気することができるとともに、使い勝手及び利便性を高めることができる。
【0031】
さらに、外筒部3eの外端部3eoには、接続口13を覆う密閉シール5を接着可能なシール接着面部15を設ける。例示の場合、外端部3eoに、内側が凹状となるシール接着面部15を形成した。これにより、シール接着面部15に密閉シール5を接着した際に、他の物が当たるなどによる密閉シール5の容易な剥がれを防止することができる。このように、外筒部3eの外端部3eoに、接続口13を覆う密閉シール5を接着可能なシール接着面部15を設ければ、弁体部4による閉塞機能に加えて、密閉シール5による第二の密閉機能を付加することができるため、二重のシーリングによる外気の侵入防止を図ることができるとともに、接続口13に対する外的な保護を図ることができる。
【0032】
なお、密閉シール5は、図1及び図2に示すように、所定の厚さを有する一枚の円形プラスチックシート等により形成することができ、下面に、接着剤(粘着剤)を塗布した接着面5aを設けるとともに、この接着面5aには、接着面5aの全体を覆う剥離紙32(図10参照)を付設する。
【0033】
次に、本実施形態に係る吸気栓ユニット1を用いた収納方法について、主に、図8−図
10を参照しつつ図7に示すフローチャートに従って説明する。
【0034】
例示は、収納袋Bを荷物用袋として使用し、被収納物Gとなるお餅Gmを収納することにより宅配便等により送る場合を想定する。
【0035】
まず、ユーザーは、希望する大きさ,素材,厚さ等を備える図8(a)に示す密閉式の収納袋Bを用意する(ステップS1)。なお、この収納袋Bには、同図に示す袋口部Boに密閉用のチャック部Bcを有する収納袋Bが望ましいが、被収納物Gを収納した後、所定の密閉手段により密閉できるものであれば各種袋類を利用できる。
【0036】
次いで、この収納袋Bに対して穴明けを行なうことにより貫通孔部Bhを形成する(ステップS2)。この場合、図8(a)に示すような簡単な穴明具41を用いて、内筒部2iとほぼ同径となる円形の穴を明けてもよいし、或いは、カッターナイフや棒材等により、ランダム形状或いは小さな貫通孔部Bhを設けてもよい。
【0037】
貫通孔部Bhを形成したなら、図8(b)に示すように、内側栓体部2の接着取付けを行う(ステップS3)。この場合、第一部品P1を用意し、同図に仮想線で示すように、内側栓体部2における剥離紙22を剥いで除去するとともに、内筒部2iを、収納袋Bの内部側から貫通孔部Bhに挿入し、接着面2caを収納袋Bの内面Biに接着する。なお、上述したランダム形状或いは小さな貫通孔部Bhを設けた場合であっても、貫通孔部Bhに対して、最初に円錐形状部11sを挿入することができるため、内筒部2iの挿通を、確実かつ容易に行うことができる。
【0038】
この後、図8(c)に示すように、外側栓体部3の接着取付けを行う(ステップS4)。この場合、第二部品P2を用意し、同図に仮想線で示すように、外側栓体部3から剥離紙31を剥いで除去するとともに、外筒部3eを、収納袋Bの外部側から内筒部2iに被せて覆い、接着面3caを収納袋Bの外面Beに接着する(図1参照)。
【0039】
次いで、弁体部4の本体部4mを、内筒部2iの内部に挿入するとともに、この際、本体部4mは、図8(c)に示すように、中途挿入領域Zmに位置する半挿入位置Xmに停止させる(ステップS5)。これにより、収納袋Bに対する吸気栓ユニット1の取付けは終了する。このように、吸気栓ユニット1は、収納袋Bに対して容易に付設する(取付ける)ことができる。
【0040】
そして、収納袋Bに、被収納物G(お餅Gm)を収容するとともに、所望の数量を収納したなら収納袋Bのチャック部Bcを閉じて封止する(ステップS6,S7)。図9の仮想線は、収納袋Bに、被収納物Gを収納した状態を示す。この後、図9に示すように、外側栓体部3の接続口13に、吸気チューブViの先端吸気口を接続する(ステップS8)。なお、吸気チューブViの他端開口は、吸気ポンプ等の吸気手段Vの吸気口に接続されている。
【0041】
次いで、吸気手段VをONにして吸気処理を行う(ステップS9)。この際、弁体部4は半挿入位置Xmに位置し、内端部2iiは通気状態にあるため、収納袋Bの内部における空気Aは、図9に示す点線矢印のように流れて空気Aの排出が行われる。即ち、空気Aは、弁体部4の通気溝部16→内筒部2iの内部→通気孔部11h…→外筒部3eの内部→接続口13→吸気チューブVi→吸気手段Vの経路で吸気される。この結果、収納袋B内部の空気Aは、徐々に外部に排出され、最終的に、収納袋Bの内部に負圧が発生する。この結果、収納袋Bの内面Biは、被収納物Gの表面に圧接するとともに、図10に示すように、弁体部4も被収納物Gの表面に圧接し、被収納物Gに加圧される。これにより、弁体部4は、内筒部2iの内部に押し込まれる。そして、最終的に、全挿入位置Xeまで
押し込まれることにより、内筒部2iの内端部2iiは閉塞状態となる(ステップS10,S11)。この状態を図10に示す。このように、弁体部4には、使用時に、いわば自動閉塞機能も持たせることができるなど、実施の容易性及び取扱いの柔軟性に優れる。なお、被収納物Gの形状や状態等により、自動的に閉塞されない場合には、手で操作するなどによりマニュアルにより装着操作すればよい。
【0042】
これにより、吸気処理は終了するため、吸気手段VをOFFにし、吸気チューブViの先端吸気口を接続口13から取り外す(ステップS12)。そして、密閉シール5を用意し、図10に示すように、密閉シール5の接着面5aから剥離紙32を剥いで取り除き、接着面5aをシール接着面部15に接着することにより、外筒部3eの外端部3eoを覆って閉塞する(ステップS13)。この密閉シール5は、必須のものではないが、密閉シール5を用いることにより、弁体部4による閉塞機能に加えて、密閉シール5による第二の密閉機能を付加することができるため、二重のシーリングによる外気の侵入防止を図ることができるとともに、接続口13に対する外的な保護を図ることができる。
【0043】
よって、このような本実施形態に係る収納袋用吸気栓ユニット1及びこの吸気栓ユニット1を用いた収納方法によれば、予め、収納袋Bに設けた貫通孔部Bhに挿通する内筒部2i,及びこの内筒部2iの内端部2iiの外周に一体形成し、かつ収納袋Bの内面Biに接着可能な接着面2caを設けた内面取付部2cを有する内側栓体部2と、内筒部2iを覆う外筒部3e,及びこの外筒部3eの内端部3eiの外周に一体形成し、かつ収納袋Bの外面Beに接着可能な接着面3caを設けた外面取付部3cを有する外側栓体部3と、内筒部2iの内端部2iiから内部に挿入可能に形成し、少なくとも全挿入位置Xeで内端部2iiを閉塞状態にするとともに、挿入開始位置Xsから全挿入位置Xeの手前までの中途挿入領域Zmにおける半挿入位置Xmで内端部2iiを通気状態にする弁体部4とを備える吸気栓ユニット1を用意し、収納時に、収納袋Bに、貫通孔部Bhを形成し、この後、当該貫通孔部Bhを設けた収納袋Bに、吸気栓ユニット1を付設し、当該収納袋Bに被収納物Gを収納した後、吸気栓ユニット1を通して収納袋Bの内部の空気Aを外部に排出し、かつ排出した状態を保持するようにしたため、吸気栓ユニット1は、様々な収納袋Bに対して後付けして使用可能となる。即ち、ユーザーの希望する大きさ,素材,厚さ等を備える任意の収納袋Bに付設し、内部の空気Aを外部に排出するとともに、排出した状態を保持することができる吸気栓付の収納袋Gを得ることができ、個々のユーザーが希望する各種用途(例えば、荷物用袋等)のニーズに十分に応え得る収納袋G(収納手段)及び収納方法を提供できる。しかも、別途の治具やこの治具を使用する工程が不要なため、コスト面や労力面における大きな負担を伴うことなく手軽に利用することができる。
【0044】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0045】
例えば、内筒部2iを構成するに際しては、外端部2ieを閉塞する端面部11を設けるとともに、この端面部11に、軸方向外方に突出した円錐形状部11s,及び一又は二以上の内外に貫通する通気孔部11h…を形成することが望ましいが、この端面部11は必須の構成要素となるものではなく、外端部2ieを開口した内筒部2iのみによっても実施は可能である。また、外筒部3eを構成するに際しては、外端部3eo又は中間部3emを閉塞する端面部14を設けるとともに、この端面部14に、内外に貫通する通気路12を有し、かつ軸方向外方に突出した筒形の接続口13を形成することが望ましいが、外筒部3eを接続口13に兼用することも可能であり、接続口13を設けた端面部14は必須の構成要素となるものではない。さらに、弁体部4には、円柱状に形成した本体部4mの外周面4mfに、先端面4msから中途挿入領域Zmに対応する部位に至る一又は二以上の通気溝部16…を形成することにより構成した例を示したが、同様の機能を発揮す
る他の構成により置換可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る収納袋用吸気栓ユニットは、密閉式の収納袋に付設して当該収納袋の内部の空気を外部に排出し、かつ排出した状態を保持する目的で使用する各種収納袋及びこの収納袋を用いる収納方法に利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1:収納袋用吸気栓ユニット,2:内側栓体部,2c:内面取付部,2ca:接着面,2i:内筒部,2ii:内筒部の内端部,2ie:内筒部の外端部,11h…:通気孔部,3:外側栓体部,3e:外筒部,3ei:外筒部の内端部,3eo:外筒部の外端部,3em:外筒部の中間部,3c:外面取付部,3ca:接着面,4:弁体部,4f:弁体部の外周面,4s:弁体部の先端面,5:密閉シール,11:端面部,11s:円錐形状部,12:通気路,13:接続口,14:端面部,15:シール接着面部,16…:通気溝部,B:収納袋,Bh:貫通孔部,Bi:収納袋の内面,Be:収納袋の外面,A:空気,Xe:全挿入位置,Xm:半挿入位置,Xs:挿入開始位置,Zm:中途挿入領域,G:被収納物,V:吸気手段
【図1】
図1 
【図2】
図2 
【図3】
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【図4】
図4 
【図5】
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【図6】
図6 
【図7】
図7 
【図8】
図8 
【図9】
図9 
【図10】
図10 
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