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健康・医療
 
【発明の名称】入れ歯洗浄器
【出願人】
【識別番号】503157445
【氏名又は名称】下川 貞兼
【住所又は居所】福岡県筑後市大字山ノ井657−4
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100116296
【氏名又は名称】堀田 幹生
【発明者】
【氏名】下川 貞兼
【住所又は居所】福岡県筑後市大字山ノ井657−4
【要約】
【課題】
使い方および使用後のメンテナンスが簡単であり、入れ歯を損傷することなく洗浄することができ、安全性にも優れた入れ歯洗浄器を提供する。
【解決手段】
入れ歯洗浄器10は、入れ歯およびその洗浄用液体を収容可能な洗浄容器11と、入れ歯を載置するため洗浄容器11内に振動可能に配置された吹気部材12と、吹気部材12上に載置された入れ歯に向かって気体を吹き出すため当該吹気部材12の上面部12hに開設された複数の吹気孔12aと、送気管13を介して吹気部材12へ気体を供給する給気装置14と、を備えている。洗浄容器11の内壁面の下方には、吹気部材12の浮上防止用の舌辺状をしたストッパ11aが水平方向に突設され、上方には、送気管13を着脱可能に把持するための一対の把持片11bを有する把持部11dが水平方向に突設され、洗浄容器11底面には3個の防振材が付設されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入れ歯およびその洗浄用液体を収容可能な洗浄容器と、前記入れ歯を載置するため前記洗浄容器内に振動可能に配置された吹気部材と、前記吹気部材上に載置された前記入れ歯に向かって気体を吹き出すため当該吹気部材に開設された複数の吹気孔と、前記吹気部材へ気体を供給する給気装置と、を備えたことを特徴とする入れ歯洗浄器。
【請求項2】
前記吹気部材が、前記洗浄容器内に出し入れ可能である請求項1記載の入れ歯洗浄器。
【請求項3】
前記吹気部材の底面に、気体を排出可能な開口部を設けた請求項1または2記載の入れ歯洗浄器。
【請求項4】
前記洗浄容器に、前記吹気部材の浮上を防止するストッパを設けた請求項1〜3のいずれかに記載の入れ歯洗浄器。
【請求項5】
前記給気装置に、設定時間が経過すると自動停止するタイマ機構を設けた請求項1〜4のいずれかに記載の入れ歯洗浄器。
【請求項6】
前記給気装置に、気体供給量を増減可能な調節機構を設けた請求項1〜5のいずれかに記載の入れ歯洗浄器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、高齢者や歯を失った人などが使用する入れ歯を洗浄する器具に関する。
【背景技術】
高齢者などが使用する入れ歯は、食事の際の食べ物の残滓が付着したり、様々な汚れが蓄積したりすることが多いので、食後あるいは必要に応じて洗浄しなければならない。このような場合、口から取り出した入れ歯を歯ブラシで磨いたり、洗浄剤を投入した水中に入れ歯を浸漬したりする方法がとられている。しかしながら、歯ブラシの使用は面倒であり、洗浄剤を使用しても食べ物の残滓などは完全にとれないことが多い。
そこで、入れ歯が浸漬された洗浄液中へ気泡を吹き込んで洗浄する器具(例えば、特許文献1参照。)、モータの駆動力や水道水の水圧を利用して入れ歯に回転を与え、遠心力の作用で洗浄する器具(例えば、特許文献2.3参照。)などが提案されている。
【特許文献1】
特開平11−244310号公報
【特許文献2】
特開平11−197163号公報
【特許文献3】
特開2003−230575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1記載の入れ歯洗浄器は、洗浄液中に吹き込まれる気泡により入れ歯が撹乱されるので洗浄作用は高まるが、洗浄液中を動き回る入れ歯が洗浄槽に衝突して損傷を受けることがある。また、構成部品が多く、構造が複雑であるため、入れ歯を使用することの多い高齢者にとっては、使い方が難しく、使用後の器具清掃などのメンテナンスが面倒である。
特許文献2,3記載の入れ歯洗浄器も構造が複雑であり、入れ歯を所定位置に正しくセットしなければならないので、前述と同様、高齢者にとっては、使い方が難しく、使用後のメンテナンスなども極めて面倒である。また、入れ歯が所定位置に正しくセットされていない場合、回転中に入れ歯が損傷するおそれがある。
本発明が解決しようとする課題は、使い方および使用後のメンテナンスが簡単であり、入れ歯を損傷することなく洗浄することができ、安全性にも優れた入れ歯洗浄器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
本発明の入れ歯洗浄器は、入れ歯およびその洗浄用液体を収容可能な洗浄容器と、前記入れ歯を載置するため前記洗浄容器内に振動可能に配置された吹気部材と、前記吹気部材上に載置された前記入れ歯に向かって気体を吹き出すため当該吹気部材に開設された複数の吹気孔と、前記吹気部材へ気体を供給する給気装置と、を備えたことを特徴とする。
このような構成において、洗浄用液体が収容された洗浄容器内の吹気部材上に入れ歯を載置し、給気装置から吹気部材へ気体を供給すれば、吹気部材の吹気孔から吹き出す気体により発生した多数の気泡が洗浄用液体とともに入れ歯に衝突するので、入れ歯をきれいに洗浄することができる。また、複数の吹気孔から洗浄用液体へ気泡が噴出する際に吹気部材に振動が生じ、この振動により吹気部材上に載置された入れ歯も振動するため、残滓や汚れが振り落とされ、優れた洗浄作用が得られる。この場合、入れ歯が洗浄容器に衝突することはないので、入れ歯を損傷することなく洗浄することができる。また、洗浄動作中の洗浄容器内に手指などを差し込んでも傷付けられることがないので、安全性にも優れている。
洗浄用液体が収容された洗浄容器内の吹気部材上に入れ歯を載置し、給気装置を作動させるだけで入れ歯を洗浄することができるので、使い方は簡単である。また、洗浄終了後は、洗浄容器内の洗浄用液体を排出して、入れ歯を取り出せば、洗浄容器および吹気部材を水道水などで洗うことができるため、使用後のメンテナンスも簡単である。
ここで、前記吹気部材が前記洗浄容器内に出し入れ可能な構成とすれば、吹気部材を洗浄容器から取り出し、別々に洗ったり、乾燥したりすることができるため、メンテナンス性が向上する。
一方、前記吹気部材の底面に、気体を排出可能な開口部を設けることが望ましい。このような構成とすれば、給気装置から吹気部材へ供給された気体の一部が前記開口部から気泡となって洗浄溶液中へ排出され、そのときに吹気部材が揺動するため、吹気部材上に載置された入れ歯も揺動する。従って、入れ歯から残滓や汚れを振り落とす作用が高まり、洗浄効果が向上する。
また、前記洗浄容器に、前記吹気部材の浮上を防止するストッパを設けることが望ましい。このような構成とすれば、洗浄容器内の洗浄用液体中の吹気部材が、その吹気孔や底面の開口部から排出される気体の作用により浮上することがなくなるため、安定した洗浄作用を得ることができる。
さらに、前記給気装置に、設定時間が経過すると自動停止するタイマ機構を設ければ、洗浄動作の開始後、放置しておいても自動的に洗浄動作が停止するため、入れ歯の汚れ具合に応じた洗浄時間を設定することができ、エネルギの無駄を無くすことができる。
また、前記給気装置に、気体供給量を増減可能な調節機構を設ければ、吹気部材の吹気孔や開口部から吹き出される気体量を増減することにより、気泡発生量を調節することができるので、入れ歯の汚れ具合に応じた気泡発生量を設定することができる。
【発明の効果】
本発明により、使い方および使用後のメンテナンスが簡単であり、入れ歯を損傷することなく洗浄することができ、安全性にも優れた入れ歯洗浄器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態である入れ歯洗浄器を示す平面図、図2は図1におけるA−A線断面図、図3は図1に示す入れ歯洗浄器の使用状態を示す図、図4は図1に示す入れ歯洗浄器の吹気部材の取り出し手順を示す図である。
図1〜図3に示すように、本実施形態の入れ歯洗浄器10は、入れ歯15およびその洗浄用液体Wを収容可能な洗浄容器11と、入れ歯15を載置するため洗浄容器11内に振動可能に配置された吹気部材12と、吹気部材12上に載置された入れ歯15に向かって気体を吹き出すため当該吹気部材12の上面部12hに開設された複数の吹気孔12aと、送気管13を介して吹気部材12へ気体を供給する給気装置14と、を備えている。
洗浄容器11は、上面が開口し、その平面視形状が、入れ歯を収容するのに適した、略三角形の角を丸めた形状をした有底容器である。洗浄容器11の内壁面の下方には、吹気部材12の浮上を防止するための舌辺状のストッパ11aが水平方向に突設され、上方には、送気管13を着脱可能に把持するための一対の把持片11bを有する把持部11dが水平方向に突設されている。また、洗浄容器11の底面には3個の防振材11cが付設されている。
吹気部材12は、その平面視形状が洗浄容器11の平面視形状と相似形をなす上面部12hと、上面部12hの周縁から下方へ垂下する側面部12vと、で形成され、その底面全体が開口部12bとなっている。複数の吹気孔12aは上面部12hを貫通するように開設されている。上面部12hの周縁近傍を貫通するように送気管13が配管され、送気管13の先端側に接続された吹気部13aが、吹気部材12の上面部12hと側面部12vとで囲まれた領域内に上面部12hと平行をなすように配置されている。吹気部13aには、送気管13を経由して供給される気体を吹き出すための複数の吹気孔13bが、当該吹気部13aの長手方向に沿って所定間隔ごとに開設されている。
送気管13の基端側は給気装置14に接続され、給気装置14から供給される気体は送気管13を経由して、吹気部材12の上面部12hと側面部12vとで囲まれた領域内に位置する吹気部13aの複数の吹気孔13bから前記領域内へ供給され、上面部12hの複数の吹気孔12aから洗浄用液体W内へ送り込まれ、多数の気泡となって洗浄用液体W中を上昇していく。また、前記領域内へ供給された気体の一部は、吹気部材12下面の開口部12bから側面部12vの下縁を通過して洗浄用液体W中へ排出される。
給気装置14は電源プラグ14dおよび電源コード14eを通じて供給される電流によって作動する気体ポンプ(図示せず)が内蔵され、その表面パネル14pには、給気装置14をON・OFFするスイッチ14aと、給気装置14の作動時間を設定するためのタイマ14cと、給気装置14から送気管13へ供給される送気量を増減するための流量調節ツマミ14bと、が設けられている。
入れ歯洗浄器10を用いて入れ歯15を洗浄する場合、図3に示すように、洗浄容器11を略水平な設置面G上に載置し、洗浄容器11内に洗浄用液体Wを入れ、その中に入れ歯15を装入して吹気部材12上に載置すると、入れ歯15全体が洗浄用液体Wに浸漬した状態となる。洗浄用液体Wは限定しないので、水あるいはその他の入れ歯洗浄液を使用することができるが、本実施形態では、洗浄用液体Wとして水を使用するとともに、水中に固形の入れ歯洗浄剤を投入している。
洗浄容器11内へ入れ歯15を装入した後、給気装置14のスイッチ14aをONすると、給気装置14から送気管13を経由して吹気部材12へ気体(空気)が供給され、図3に示すように、吹複数の吹気孔12aから多数の気泡となって洗浄用液体W中へ吹き出される。これらの気泡は洗浄用液体Wとともに、吹気部材12上に載置された入れ歯15に衝突するので、入れ歯15をきれいに洗浄することができる。また、複数の吹気孔12aから気泡が発生する際に吹気部材12に振動が生じ、この振動により吹気部材12上の入れ歯15も振動するため、残滓や汚れが振り落とされ、優れた洗浄作用が得られる。この場合、入れ歯15は振動するが、洗浄容器11に衝突しないので、入れ歯15を損傷することなく洗浄することができる。また、洗浄動作中の洗浄容器11内に手指などを差し込んでも傷付けられることがなく、安全性にも優れている。
入れ歯洗浄器10は、洗浄用液体Wが収容された洗浄容器11内の吹気部材12上に入れ歯15を載置し、給気装置14を作動させるだけで入れ歯15を洗浄することができるので、使い方は簡単である。また、洗浄終了後は、洗浄容器11内の洗浄用液体Wを排出して、入れ歯15を取り出せば、洗浄容器11および吹気部材12を水道水などで洗うことができるため、使用後のメンテナンスも簡単である。
また、入れ歯洗浄器10の場合、図4に示すように、送気管13を把持部11dから離脱させ、送気管13を斜めに引き上げれば、吹気部材12も斜めになりながらストッパ11aの下方から離脱するので、洗浄容器11内から送気管13とともに吹気部材12を取り出すことができる。従って、吹気部材12と洗浄容器11とを別々に洗ったり、乾燥したりすることができるため、隅々まで掃除をすることができ、メンテナンス性が良好である。なお、前述と逆の手順をとれば吹気部材12を洗浄容器11内の所定位置にセットすることができる。
一方、吹気部材12の底面全体に、気体(空気)を排出可能な開口部12bが設けられているため、給気装置14から吹気部材12へ供給された気体(空気)の一部が開口部12bから側面部12vの下縁を通過し、気泡となって洗浄用液体W中へ排出される。これらの気泡は吹気孔12aから吹き出す気泡より外径が大きいので、側面部12vの下縁を気泡が通過する際に吹気部材12が揺動し、吹気部材12上の入れ歯15も揺動する。この揺動により、入れ歯15に付着している残滓や汚れが振り落とされるため、優れた洗浄効果を発揮する。
また、洗浄容器11内の下方には、吹気部材12の浮上を防止するためのストッパ11aが設けられているため、吹気部材12の上面部12hと側面部12vとで囲まれた領域内に吹気孔13bから排出された気体(空気)の浮力により、洗浄用液体W中に浸漬された吹気部材12が上方に浮上することがない。従って、吹気部材12は、洗浄容器11の底面とストッパ11aとの間で上下振動することとなり、安定した洗浄作用を得ることができる。
さらに、給気装置14には、設定時間が経過すると自動停止するタイマ14cが設けられているため、スイッチ14aをONして洗浄動作が開始された後は、放置しておいても自動的に洗浄動作が停止する。従って、入れ歯15の汚れ具合に応じた洗浄時間を設定することができ、エネルギの無駄を無くすことができる。なお、洗浄容器11の下面には3個の防振材11cが付設されているため、洗浄容器11から設置面Gに伝わる振動を緩和することができる。
また、給気装置14には、送気管13へ送り出される気体流量(空気流量)を増減するための流量調節ツマミ14bが設けられているため、この流量調節ツマミ14bを操作して、吹気部材12の吹気孔12aや開口部12bから吹き出される気体量(空気量)を増減することにより、気泡発生量を調節することができる。従って、入れ歯15の汚れ具合に応じた気泡発生量を設定することにより、洗い残しをなくすことができる。なお、給気装置14から洗浄用液体W中へ供給する気体は空気に限定しないので、例えば、オゾンなどの殺菌作用を有する気体を送り込めば、消毒作用も得られる。
【産業上の利用可能性】
本発明は、高齢者や歯を失った人などが使用する入れ歯を洗浄する器具として、広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である入れ歯洗浄器を示す平面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】図1に示す入れ歯洗浄器の使用状態を示す図である。
【図4】図1に示す入れ歯洗浄器の吹気部材の取り出し手順を示す図である。
【符号の説明】
10 入れ歯洗浄器
11 洗浄容器
11a ストッパ
11b 把持片
11c 防振材
12 吹気部材
12a,13b 吹気孔
12b 開口部
12h 上面部
12v 側面部
13 送気管
13a 吹気部
14 給気装置
14a スイッチ
14b 流量調節ツマミ
14c タイマ
14d 電源プラグ
14e 電源コード
14p 表面パネル
15 入れ歯
G 設置面
W 洗浄用液体
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
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