閉じる
健康・医療
 
【発明の名称】頸部コルセット用カバー
【出願人】
【識別番号】512044286
【氏名又は名称】神戸 洋子
【住所又は居所】愛知県名古屋市中区丸の内一丁目6番12号丸の内フォート1201
【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】特許業務法人中部国際特許事務所
【発明者】
【氏名】神戸 洋子
【住所又は居所】名古屋市中区丸の内一丁目6番12号丸の内フォート1201
【要約】
【課題】患者の頸椎関節を症状が完治するまで固定するための頸部コルセットを覆う布地等製のカバーであって、外見良く容易に装着し得るものを提供する。
【解決手段】幅が最も広い背面側支持部により頸部を背面側から支持する状態で、頸部に一周巻かれた上、第一端部20の外周面と第二端部22の内周面とにそれぞれ固定された面ファスナ部材24,26により結合されて着用される頸部コルセット10に被せて使用される頸部コルセット用カバー30を、(a)布地等により概して筒状に形成され、頚部コルセット10よりやや短く、少なくとも第一端部20に対応する部分の外周側部が、その第一端部20の長手方向に沿って切り開かれた状態の切開部42を有するカバー本体32と、(b)切開部42を閉じた状態と開いた状態とに選択的に保ち得る線ファスナ34とを含むものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅が最も広い背面側支持部により頸部を背面側から支持する状態で、頸部に一周巻かれた上、両端部が重なり合わされ、それら両端部が、それら両端部の一方である第一端部の外周面と他方である第二端部の内周面とにそれぞれ固定された面ファスナ部材により結合されて着用される頸部コルセットに被せて使用される頸部コルセット用カバーであって、
ニット地を含む広義の布地またはニットにより概して筒状に形成され、前記頚部コルセットよりやや短く、少なくとも前記第一端部に対応する部分の外周側部が、その第一端部の長手方向に沿って切り開かれた状態の切開部を有するカバー本体と、
前記切開部を閉じた状態と開いた状態とに選択的に保ち得る開閉手段と
を含むことを特徴とする頸部コルセット用カバー。
【請求項2】
前記ニット地を含む広義の布地またはニットが、当該頸部コルセット用カバーの長手方向の伸縮可能率よりその長手方向に直角な方向の伸縮可能率の方が大きいものである請求項1に記載の頸部コルセット用カバー。
【請求項3】
前記ニット地を含む広義の布地またはニットが、頸部コルセット用カバーの長手方向と、長手方向に直角な方向との両方において、自由状態の1.1倍以上に弾性的に伸長可能なものである請求項1または2に記載の頸部コルセット用カバー。
【請求項4】
前記開閉手段が、前記切開部の両縁にそれぞれ設けられた歯が互いに噛み合わされて前記切開部を閉じた状態に保つ線ファスナを含む請求項1ないし3のいずれかに記載の頸部コルセット用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頸部捻挫,頸部脱臼,頸部骨折等のいわゆる鞭打ち症を患った人の頸椎関節を症状が完治するまで固定するための頸部コルセットを覆うニット地を含む広義の布地あるいはニット製のカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
頸部コルセットは既に良く知られており、それの改良も、下記特許文献1,2等に記載されている。
頸部コルセットは、患者の頸部に装着されるのであるが、殆ど常時着用され、しかも長期間着用の必要があるため、煩わしいものである。その上、肌に直接接触する状態で着用されることが多く、肌に接触する部分は合成皮革等によって覆われているが、皮膚の弱い患者では接触部が炎症を起こし、当初は痒み、後には痛みを与える状態となる。また、使用に伴って汚れることを避け得ない。そのため、医療機関等においては、頸部コルセットにハンカチ,手拭等を被せることを推奨している。
【0003】
【特許文献1】特開2001−025480号公報
【特許文献2】特開2006−197953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、頸部コルセットにハンカチ,手拭等を被せることは面倒である上、頸部コルセット本来の目的である頸部の固定という機能を損なうことなく、かつ、外見よく覆うことは容易ではない。頸部コルセット本来の機能を果たさせるためには、頸部とコルセットとの隙間を適切な大きさとすることが重要なのであるが、ハンカチ等をコルセットに被せ、かつ、外見を整えるためには、頸部とコルセットとの間にある程度の隙間が必要であり、これら両方の要求を満たすことが容易ではないのである。
そこで、本発明は、頸部コルセット本来の機能を損なうことなく、かつ、外見良く、容易に装着し得る頸部コルセット用のカバーを提供することを課題として為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、幅が最も広い背面側支持部により頸部を背面側から支持する状態で、頸部に一周巻かれた上、両端部が重なり合わされ、それら両端部が、それら両端部の一方である第一端部の外周面と他方である第二端部の内周面とにそれぞれ固定された面ファスナ部材により結合されて着用される頸部コルセットに被せて使用される頸部コルセット用カバーを、(a)布地等(ニット地を含む広義の布地あるいはニット)により概して筒状に形成され、前記頚部コルセットの展開長よりやや短く、少なくとも前記第一端部に対応する部分の外周側部が、その第一端部の長手方向に沿って切り開かれた状態の切開部を有するカバー本体と、(b)前記切開部を閉じた状態と開いた状態とに選択的に保ち得る開閉手段とを含むものとすることにより解決される。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る頸部コルセット用カバーは、展開した状態の頸部コルセットに、その頸部コルセットを表裏両側から包む状態で装着される。その際、開閉手段が開状態とされ、その開閉手段側が頸部コルセットの第一端部に外周側から対向する状態で頸部コルセットに装着される。その状態で患者の頸部に装着されるのであるが、その際、頸部コルセットの第二端部が、開状態の開閉手段を通って第二端部に重ね合わされ、それら両端部の内周面と外周面とにそれぞれ固定された面ファスナ部材により結合された後、開閉手段が閉状態とされる。これにより、頸部コルセットが環状になって頸部を囲むとともに、その環状の頸部コルセットが内周側と外周側との両方から頸部コルセット用カバーにより覆われた状態となり、頸部コルセット自体は患者の皮膚に直接接触せず、カバー本体を形成している布地等を介して間接的に接触する状態となるため、皮膚の弱い患者であっても、接触部が炎症を起こすことが良好に防止される。また、使用に伴って頸部コルセット用カバーが汚れた場合には、容易に頸部コルセットから取り外して洗濯することができる。
【発明の態様】
【0007】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、請求の範囲に記載された発明である「本願発明」の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載,従来技術等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0008】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(4)項が請求項3に、(5)項が請求項4に、それぞれ相当する。
【0009】
(1)幅が最も広い背面側支持部により頸部を背面側から支持する状態で、頸部に一周巻かれた上、両端部が重なり合わされ、それら両端部が、それら両端部の一方である第一端部の外周面と他方である第二端部の内周面とにそれぞれ固定された面ファスナ部材により結合されて着用される頸部コルセットに被せて使用される頸部コルセット用カバーであって、
布地等により概して筒状に形成され、前記頚部コルセットの展開長よりやや短く、少なくとも前記第一端部に対応する部分の外周側部が、その第一端部の長手方向に沿って切り開かれた状態の切開部を有するカバー本体と、
前記切開部を閉じた状態と開いた状態とに選択的に保ち得る開閉手段と
を含むことを特徴とする頸部コルセット用カバー。
上記カバー本体は、平面的に所定の形状(頸部コルセットの展開形状に縫い代を付加した形状)に裁断された布地2枚が、それらの長手方向に延びる2側縁部同士が縫合されることにより筒状にされた2枚縫合型でもよく、上記2枚縫合型の布地2枚の各一方の縫い代が縫合された形状に裁断された布地1枚がそれの両側縁が縫合されることにより筒状にされた1枚縫合型でもよく、当初から頸部コルセットを覆う筒状に編まれたニット型でもよいが、布地等が伸縮性の乏しい平織やガーゼである場合は2枚縫合型が望ましく、1枚縫合型あるいは編織型には伸縮性に富んだニットあるいはニット地が適している。また、カバー本体を伸縮性に富んだ布地等製とすることは、頸部コルセット用カバーを頸部コルセットに装着する作業自体を容易にするのみならず、装着状態でしわが生じにくくする上でも有効である。
(2)前記布地等が、当該頸部コルセット用カバーの長手方向の伸縮可能率よりその長手方向に直角な方向の伸縮可能率の方が大きいものである(1)項に記載の頸部コルセット用カバー。
本項の要件を満たす布地等製の頸部コルセット用カバーは頸部コルセットへの装着が容易である利点がある。
(3)前記布地等が、当該頸部コルセット用カバーの長手方向に直角な方向において、自由状態の1.2倍以上に弾性的に伸長可能なものである(2)項に記載の頸部コルセット用カバー。
布地等は、不織布とすることも可能であるが、ニットあるいはニット地とすることが伸縮性の点で望ましい。また、ニットとする場合、頸部コルセット用カバーの長手方向にも伸縮可能なもとのすることも可能であるが、長手方向の伸縮可能率は、長手方向と直角な方向の伸縮可能率より小さいことが望ましく、頸部コルセット用カバーの頸部コルセットへの装着作業の容易さの観点からは実質的に伸縮不能とすることが望ましい。また、長手方向と直角な方向には、自由状態の1.2倍以上に伸長可能なものとすることが望ましく、1.3倍,1.4倍あるいは1.5倍以上とすることがさらに望ましい。
(4)前記布地等が、頸部コルセット用カバーの長手方向と、長手方向に直角な方向との両方において、自由状態の1.1倍以上に弾性的に伸長可能なものである(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の頸部コルセット用カバー。
この要件を満たす布地等製の頸部コルセット用カバーは頸部コルセットに装着した状態で頸部コルセット用カバーにしわが生じにくく、外見よく装着することが容易である利点がある。しわの発生を回避する観点からは、布地等の、頸部コルセット用カバーの長手方向に直角な方向における伸縮可能率を、1.2倍、1.3倍あるいは1.4倍以上とすることがさらに望ましい。
(5)前記開閉手段が、前記切開部の両縁にそれぞれ設けられた歯が互いに噛み合わされて前記切開部を閉じた状態に保つ線ファスナを含む(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の頸部コルセット用カバー。
開閉手段を、切開部の両縁の内面と外面とにそれぞれ設けられた、面ファスナや、2個1組の留め具(スナップ式のものや、一方の鉤部を他方の受部に掛ける掛け金式のもの等)とすることも可能であり、後者は切開部の両縁に沿って複数組設けることが望ましい。しかし、衣服等に一般的に使用されている線ファスナとすれば、頸部コルセット用カバーの外面側から操作部材を操作するのみで開閉することができ、開閉操作が容易である上、開閉操作に当たって頸部コルセット用カバーの内周面側へ指を入れる必要がないため、頸部コルセット用カバーを着用した頸部コルセットと頸部との間の隙間を適度な大きさとすることが容易であって特に好適である。
(6)前記カバー本体の、前記頚部コルセットの前記第一端部と前記第二端部との両方に対応する部分に、それら第一および第二端部の長手方向に沿って切り開かれた状態の第一切開部よび第二切開部が形成される一方、そのカバー本体の長手方向の中間部には切開部が形成されず、前記第一切開部と前記第二切開部との両方に前記開閉手段が設けられた(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の頸部コルセット用カバー。
頚部コルセットは、長手方向の中間部(背面側支持部)が最も幅が広く、両端部に向かって徐々に狭くされるため、頸部コルセット用カバーの太さもそれに応じたものとされることが望ましい。布地等が十分な伸縮性を有するものである場合には、頸部コルセット用カバーを、自由状態において太さが全長にわたって一定(例えば、両端部のうち幅が広い方の第一端部を丁度覆い得る太さ、あるいはやや伸長した状態で覆い得る太さ)のものとしても、頚部コルセットにしわのない状態で装着することができ、本項の構成を採用することは不可欠ではない。しかし、その場合でも、頚部コルセットの背面側支持部に対応する部分において、頸部コルセット用カバーの厚さが他の部分に比較して極端に薄くなることを回避するため等の理由で、本項の構成を採用することが望ましい場合が多い。
(7)前記カバー本体の、前記頚部コルセットの前記第二端部に対応する部分の内面に設けられ、前記第二端部に設けられた第一係合部と、少なくとも前記背面側支持部に接近する向きの移動不能に係合する第二係合部を含む(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の頸部コルセット用カバー。
本項に記載の態様とすれば、第一端部側の開閉手段を閉じる操作を行う際、先に第二係合部を第一係合部に係合させた状態としておけば、第二端部に対してカバーが移動してしまうことがなく、操作が容易となって、カバーを頚部コルセットに対して外見良く装着された状態に保つことが容易となる。
第一,第二係合部としては、開閉手段として採用可能な前述のものが採用可能であるが、面ファスナが特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】請求可能発明の一実施形態である頸部コルセット用カバー(以下、カバーと略記する)を示す正面図である。
【図2】図1に示したカバーが装着される頚部コルセット(以下、コルセットと略記する)の一例を示す斜視図である。
【図3】図2に示したコルセットの展開図である。
【図4】図1に示したカバーの図2,3に示したコルセットへの装着の初期段階を示す正面図である。
【図5】図1に示したカバーの図2,3に示したコルセットへの装着の中間段階を示す背面図である。
【図6】図1に示したカバーの図2,3に示したコルセットへの装着の最終段階を示す正面図である。
【図7】図6に示すカバーが装着されたコルセットの患者の頸部への装着を説明するための図である。
【図8】請求可能発明の別の実施形態であるカバーを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、請求可能発明の代表的な実施形態を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0012】
図1に、請求可能発明の一実施形態としてのカバー30を示す。このカバー30は図2に示すコルセット10に着脱可能に装着して使用される。
コルセット10は、図3に展開形状を示すように、長手形状のコルセット本体12を主体として構成されている。コルセット本体12は、詳細な説明は省略するが、第一本体部材と第二本体部材とが2重に重ね合わされた状態で、面ファスナにより固定されることにより、一体的なコルセット本体12として機能するものである。第一本体部材と第二本体部材とは、それぞれ合成樹脂製の強度部材と、それら強度部材を覆う網部とにより形成され、それら第一本体部材の上端縁と第二本体部材の下端縁とがそれぞれ合成皮革製の縁部材14,16に覆われており、両本体部材が上記のように2重に重ね合わされる際、互いに上下方向にずらされることにより、縁部材14,16の上下方向の間隔が、患者の頸部の長さに合わせて調整されるようになっている。このように構成されたコルセット本体12が、図2に示すように概して後方に傾斜した円筒状を成す状態に巻かれて着用される。コルセット本体12は、患者の頚部に、その頚部を囲む状態で装着されるのであり、頚部を背面側から支持する背面側支持部18の幅が最も広くされ、その背面側支持部18から遠ざかるにつれて徐々に幅が狭くされ、両端部の幅が最も狭くされている。以上の説明ならびに図2,図3に記載から明らかなように、コルセット10は顎支持部を備えない簡易型である。
【0013】
コルセット本体12の両端部の一方である第一端部20の外周面には面ファスナ第一部材24が取り付けられ、反対側の第二端部22の内周面には面ファスナ第二部材26が取り付けられている。面ファスナ第一部材24は、鉤形に曲がった鉤形係合突起や、先端部に大径の係合頭部を有するきのこ形係合突起が2次元的に分布させられたものであり、一方、面ファスナ第二部材26は、ループ状の係合突起が2次元的に分布させられたものであって、鉤形係合突起やきのこ形係合突起がループ状係合突起に係合することにより、第一,第二の面ファスナ部材24,26が互いに結合状態となり、設定以上の力が加えられない限り、その結合状態を保ち得るものである。面ファスナ第一部材24と面ファスナ第二部材26とが共同して面ファスナを構成するのである。
なお、面ファスナ第一部材24と面ファスナ第二部材26との取付けを逆にすることも可能である。
【0014】
カバー30は、図1に示すように、概して筒状を成すカバー本体32と、線ファスナ34と、面ファスナ第一部材36とを含んでいる。カバー本体32は、図示を省略する編み機により、木綿の繊維が全長にわたって太さが一定の筒状にゴム編で編まれたものである。カバー30の太さは、カバー30を形成するニットの自由状態(弾性的に伸ばされていない状態)で、コルセット10の第一端部20を丁度覆い得る太さとされ、背面側支持部18を覆う部分は弾性的に伸ばされる。カバー本体32を形成するニットは、カバー本体32の長手方向には伸縮性を殆ど有さず、長手方向と直行する幅方向には、1.4倍以上の伸縮性を有するものとされているのである。
【0015】
カバー30の、コルセット10の第一端部20を覆う部分には、図4,図6に示すように、長手方向に延びる切開線に沿って切開された切開部42が形成され、その切開部を形成する2つの縁部には、線ファスナ第一部材44と線ファスナ第二部材46とがそれぞれ取り付けられている。ファスナ第一部材44と線ファスナ第二部材46とは互いに噛み合う歯を備え、操作部材48が正方向に移動させられることにより、両ファスナ部材44,46の歯が噛み合って線ファスナ34(図1参照)が閉状態となり、逆方向に移動させられることにより、歯の噛合いが解除されて線ファスナ34が開状態となる。
【0016】
面ファスナ第一部材36は、図1,5に示すように、カバー本体32の、コルセット10の第二端部22を覆うべき部分の内面に取り付けられる。本実施形態においては、コルセット10の第二端部22に取り付けられた面ファスナ第二部材26の、背面支持部18側の端部が、面ファスナ第一部材36と結合されることが予定されている。面ファスナ第二部材26は、面ファスナ第一部材24と共同して1つの面ファスナを構成するとともに、面ファスナ第一部材36と共同して別の面ファスナを構成するのである。
【0017】
カバー30をコルセット10に取り付ける際は、図4に示すように、カバー30を、それの線ファスナ34を開いた状態で展開状態のコルセット10の外側に、コルセット10の第二端部22側から被せる。そして、図5に示すように、カバー30の面ファスナ第一部材36が、コルセット10の面ファスナ第二部材26の背面支持部14側の端部と対向する状態となったとき、その端部に面ファスナ第一部材36を結合する。これによって、コルセット10の第二端部22に対するカバー30の対応する端部の相対移動が防止された状態となる。この状態では、コルセット10の第二端部22がカバー30から一定長さ突出した状態、すなわち、面ファスナ第二部材26の面ファスナ第一部材24に結合されるべき部分がカバー30から突出した状態となる。その後、切開部42(開いた状態の線ファスナ34)に、コルセット10の背面側支持部18を通過させ、図6に示すように、線ファスナ34の先端が、コルセット10の第一端部20の先端よりやや突出した状態となったならば、カバー30のコルセット10に対する長手方向の相対移動を停止すれば、カバー30のコルセット10への取り付けが終了する。
【0018】
以上のようにしてカバー30が取り付けられたコルセット10の患者の頸部への装着の仕方は、通常のコルセットと同様であるが、カバー30をコルセット10に対して図6に示す状態に保って装着を行う点が異なる。その状態で、図7に示すように、コルセット10の第二端部22を第一端部20の外側へ被せ、第一端部20の面ファスナ第一部材24に第二端部22の面ファスナ第二部材26を結合する。その後、線ファスナ34を図に示すように閉状態とすれば、カバー30の切開部42が閉じて、カバー30がコルセット10の第一端部20と第二端部22との結合部を内周側と外周側との両方から包んで覆った状態となり、カバー30付きのコルセット10の患者の頸部への装着が完了する。
【0019】
この装着状態においては、コルセット10の全体がカバー30によって覆われており、患者の肌にはカバー30が接触するのみとなるため、皮膚の弱い患者であっても接触部が炎症を起こすことが良好に防止される。また、カバー30が汚れた場合は、コルセット10からから簡単に取り外して洗濯することができ、洗濯後のカバー30のコルセット10への再装着も容易に行うことができる。
【0020】
図8に、請求可能発明の別の実施形態であるカバー50を示す。このカバー50は、カバー本体52の全長にわたって切開されており、その切開部54が線ファスナ56によって閉状態とされるようになてっている。その他の構成は上記図1,3−7に示したカバー30と同様である。この構成のカバー50は、線ファスナ56を開状態とした上へ、コルセット10をそれの内周側の面を下にして載せ、そのコルセット10から幅方向に延び出た両側端部を、図8に示すようにコルセット10の外周側へ曲げてコルセット10を巻き包む状態として線ファスナ56を閉じれば、カバー50のコルセット10への装着が終了する。
【0021】
このようにしてカバー50をコルセット10に装着すれば、前記カバー30のように細い部分に幅の広い背面側支持部18を通過させる必要がないため、カバー本体52を伸縮性を有する布地等製とすることは不可欠ではなくなり、その分、使用可能な布地等の選択範囲が広くなる。もっとも、幅が一定ではないコルセット10への装着状態でカバー本体52にしわが形成されるのを回避するため、あるいは、患者の頸部の長さに応じてコルセット10の幅が変更されるのに対応可能とするために、ある程度の伸縮性を有する布地等地を使用することは望ましいことである。
【符号の説明】
【0022】
10:頚部コルセット(コルセット) 12:コルセット本体 14,16:縁部材 18:背面側支持部 20:第一端部 22:第二端部 24:面ファスナ第一部材 26:面ファスナ第二部材 30:頸部コルセット用カバー(カバー) 32:カバー本体 34:線ファスナ 36:面ファスナ第一部材 42:切開部 44:線ファスナ第一部材 46:線ファスナ第二部材 48:操作部材 50:カバー 52:カバー本体 54:切開部 56:線ファスナ
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5 
【図6】
図6 
【図7】
図7 
【図8】
図8 
ページtop へ