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健康・医療
 
【発明の名称】マウスシールド
【出願人】
【識別番号】521394299
【氏名又は名称】立川 悟
【住所又は居所】埼玉県川口市中青木5-9-27
【代理人】
【識別番号】100195028
【弁理士】
【氏名又は名称】高久 由紀子
【発明者】
【氏名】立川 悟
【住所又は居所】埼玉県川口市中青木5-9-27


本品(らくらく快食)は、当初、可動シールド自動開閉動作による「マスク会食の実現」を目的として考案し、コロナ禍の最中に試作品を検証製作したものです。
その後に、コロナ禍は収束に向かうも、特に日本では、その間に芽生えた「飛沫の発散を気に掛ける意識」に加えて、「口元を隠す意識」が人心の根底に残りました。コロナ禍以前からも口元を覆う「マスク」を常用する人がおりましたが、コロナ禍で市民権を得た「顔パンツ」と言われる「マスク」常用は、その後も「より一般的な」選択肢となりました。
本品は、透明・半透明・不透明で製作できますので、今日それらの意識に応え、「飛沫防止」機能性ツールとして、さらには「口元隠し」「手放し自動開閉」のファッション性ツールとしても日常使用できます。可動シールドはワンタッチで固定・解除できますので、固定して「マスク」型での日常使用、自動開閉動作にしてゲーム感覚での飲食時使用を、そのまま両用できます。
勿論、今後に何等かの感染症(風邪・インフルエンザ等の一般的なものも含む)が流行した時に、飲食時にも直接飛沫を防ぎ、換気と併用して飛沫感染を軽減・防止する目的での使用もできます。
試作写真1
試作写真2
商標登録第6528737号

商標
【課題】装着後は、手を放しても自動的に開閉動作をして、両手は飲食等に専念可能なマウスシールドを提供する。
【解決手段】マウスシールド10は、ノーズフレーム12と、耳掛けフレーム21A、21Bと、ノーズフレーム12の正面側に固定された固定シールド30と、固定シールド30の外側に重なるように回動する第1の可動シールド40と、第1の可動シールド40の外側に重なるように回動する第2の可動シールド50と、おもり72を有するリンク部材60を備える。おもり72により、使用者が顔を正面に向けるときと俯くときとの間の角速度よりも、第1及び第2の可動シールド40、50が動く角速度を増幅し、使用者が完全に正面を向く前に第1及び第2の可動シールド40、50が開いて使用者の口元を覆い、使用者が完全に俯く前に、第1及び第2の可動シールド40、50が閉じて使用者の口元を開く。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の両耳近傍から前記使用者の鼻にかかる細いフレーム部と、当該フレーム部の両端に設けられており幅広に形成された取り付け部とを有するとともに、前記フレーム部が前記使用者の鼻にかかる部分が屈曲したノーズフレームと、
前記ノーズフレームの両端の取り付け部に取り付けられており、前記使用者の耳に装着する耳掛けフレームと、
前記ノーズフレームのフレーム部の下方に固定されており、前記使用者の鼻にかかる屈曲部を有するとともに、前記使用者の顔の下方に向けて所定幅を有する固定シールドと、
前記固定シールドと略同一形状であって、当該固定シールドの外側に重なるように、当該固定シールドに対して回動可能に支持される可動シールドと、
前記ノーズフレームの両端部、前記固定シールドの両端部、前記可動シールドの両端部に対して回動可能に接続されており、下端側に、前記可動シールドを駆動するに必要十分な重さのおもりを有するリンク部材と、
を備えるとともに、
前記リンク部材のおもりにより、前記使用者が顔を正面に向けるときと俯くときとの間の角速度よりも、前記可動シールドが動く角速度を増幅し、使用者が完全に正面を向く前に前記可動シールドが開くようにスライドして前記使用者の口元を覆い、前記使用者が完全に俯く前に、前記可動シールドが閉じるようにスライドして、前記使用者の口元を開くことを特徴とするマウスシールド。
【請求項2】
前記可動シールドが、
前記固定シールドと略同一形状であって、当該固定シールドの外側に重なるように、当該固定シールドに対して回動可能に支持される第1の可動シールドと、
前記第1の可動シールドと略同一形状であって、当該第1の可動シールドの外側に重なるように、当該第1の可動シールドに対して回動可能に支持される第2の可動シールドと、
を含み、
前記リンク部材が、
前記ノーズフレームの両端部、前記固定シールドの両端部、前記第1の可動シールド及び前記第2の可動シールドの両端部に対して回動可能に接続されており、下端側に前記おもりを有するとともに、
前記リンク部材のおもりにより、前記使用者が顔を正面に向けるときと俯くときとの間の角速度よりも、前記第1の可動シールド及び第2の可動シールドが動く角速度を増幅し、使用者が完全に正面を向く前に前記第1の可動シールド及び前記第2の可動シールドが開くようにスライドして前記使用者の口元を覆い、前記使用者が完全に俯く前に、前記第1の可動シールド及び前記第2の可動シールドが閉じるようにスライドして、前記使用者の口元を開くことを特徴とする請求項1記載のマウスシールド。
【請求項3】
前記リンク部材が、第1のリンク部材と、当該第1のリンク部材の略中央部から、当該第1のリンク部材に対して略直交する方向に延びる第2のリンク部材と、
を備えており、
前記第1のリンク部材の一端側が、前記固定シールドの端部側であって、前記第1の可動シールドの端部と重なる位置に、所定の可動域を持って回動可能に接続されるとともに、他端側に前記おもりを有し、
前記第1のリンク部材と前記第2のリンク部材が交わる位置で、前記リンク部材が、前記第2の可動シールドに所定の可動域を持って回動可能に接続され、
前記第2のリンク部材の先端側が、前記ノーズフレームの端部に回動可能に接続されるとともに、
前記第1の可動シールド及び前記第2の可動シールドの端部が、前記ノーズフレームの端部に回動可能に接続されることを特徴とする請求項2記載のマウスシールド。
【請求項4】
前記ノーズフレームの端部の下側に、前記第2のリンク部材と当接し、前記第1の可動シールド及び第2の可動シールドの開位置を決める開ストッパを設けることを特徴とする請求項3に記載のマウスシールド。
【請求項5】
前記ノーズフレームの端部の下側であって、前記開ストッパよりも端部寄りに設けられており、前記第2のリンク部材と当接し、前記固定シールド、前記第1の可動シールド及び前記第2の可動シールドが互いに重ならない位置まで開くメンテナンス用の開位置を決めるメンテナンス用ストッパを設けることを特徴とする請求項4記載のマウスシールド。
【請求項6】
前記ノーズフレーム両端に、上方に突出し、かつ外側に向けて回動可能であって、外側に倒したときに、前記第1の可動シールド及び第2の可動シールドが展開した状態を維持する展開維持ストッパと、
前記展開維持ストッパを垂直に起こしたときの先端に相当する位置に設けられており、前記第1の可動シールド及び第2の可動シールドを閉じた位置で維持する閉ストッパと、
を設けることを特徴とする請求項4又は5記載のマウスシールド
【請求項7】
前記耳掛けフレームが、
前記ノーズフレームの両端の取り付け部に取り付けられており、前記使用者が装着したときに、当該使用者の耳の上部まで立ち上がる立ち上がり部と、
当該立ち上がり部の上端から、前記使用者の耳よりも後方まで延長した耳掛け部と、
当該耳掛け部に沿って移動可能であり、前記使用者の耳の後方に当接する耳当て部と、を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のマウスシールド。
【請求項8】
前記耳掛けフレームの耳掛け部の先端に、紐等を通す開口部を設けたことを特徴とする請求項7に記載のマウスシールド。
【請求項9】
前記耳掛けフレームの立ち上がり部が、前記ノーズフレームの端部に対して折畳み可能なことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のマウスシールド。
【請求項10】
前記固定シールド、前記可動シールドの少なくとも一つが、透明シート、半透明シート又は不透明シートのいずれかで形成されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のマウスシールド。
【請求項11】
前記ノーズフレームの屈曲部の内側に、鼻当て部を設けることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のマウスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウスシールドに関し、更に具体的には、会食等に適した衛生的なマウスシールドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の感染拡大防止のため、会食のときには、換気環境下で、いわゆるマスク会食が推奨されている。マスク会食は、食事のときにはマスクを外し、歓談するときにはマスクを装着するというものであるが、実際には、料理を口に運ぶたび、あるいは、飲料を飲むたびにマスクを外し、その後、マスクを装着して会話するのは極めて不便であり、確実に実行されているかどうかは疑義が生じる。
【0003】
そこで、会食時の直接飛沫防止について、例えば、下記特許文献1のノーズ・マウスシールドが開示されている。前記特許文献1によれば、ノーズ・マウスシールドは、人の鼻から頬にかけて覆うノーズシールド部と、ノーズシールド部の下部に設けられた連結ヒンジと、連結ヒンジを介してノーズシールド部に上下方向・回動可能に設けられた口の前方を覆うマウスシールド部と、を備えることが開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2のマスクによれば、マスクは、マスク本体に、開口と、開口を開閉自在に閉塞する閉塞部とを設けることにより、飲食等をするときには閉塞部を開状態にして開口から口を露出させ、飲食等を終えたら閉塞部を閉状態にして口を被覆させるようにすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 実用新案登録第3231132号公報
【特許文献2】 実用新案登録第3228351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1では、食事等のときにはマウスシールド部を手で跳ね上げる必要があり、特許文献2の技術では、食事等のときには手で閉塞部を開状態にする必要がある。すなわち、食事や飲料を口に運ぶたびに、マウスシールド部を跳ね上げたり、閉塞部を開く状態にする必要があり、従来のマスク会食の場合と、かかる手間は同じである。加えて、開閉状態にするために、手で触れるため衛生面での不安もある。
【0007】
本発明は、以上のような点に着目したもので、手を触れることなく、飲食等の時には口を覆うシールド部を自動的に開き、会話等をするきには、自動的にシールド部を「口を覆う状態にする」ことで、装着後は、手を放しても自動的に開閉動作をして、両手は飲食等に専念することができるストレスフリーで衛生的なマウスシールドを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のマウスシールドは、使用者の両耳近傍から前記使用者の鼻にかかる細いフレーム部と、当該フレーム部の両端に設けられており幅広に形成された取り付け部とを有するとともに、前記フレーム部が前記使用者の鼻にかかる部分が屈曲したノーズフレームと、前記ノーズフレームの両端の取り付け部に取り付けられており、前記使用者の耳に装着する耳掛けフレームと、前記ノーズフレームのフレーム部の下方に固定されており、前記使用者の鼻にかかる屈曲部を有するとともに、前記使用者の顔の下方に向けて所定幅を有する固定シールドと、前記固定シールドと略同一形状であって、当該固定シールドの外側に重なるように、当該固定シールドに対して回動可能に支持される可動シールドと、前記ノーズフレームの両端部、前記固定シールドの両端部、前記可動シールドの両端部に対して回動可能に接続されており、下端側に、前記可動シールドを駆動するに必要十分な重さのおもりを有するリンク部材と、を備えるとともに、前記リンク部材のおもりにより、前記使用者が顔を正面に向けるときと俯くときとの間の角速度よりも、前記可動シールドが動く角速度を増幅し、使用者が完全に正面を向く前に前記可動シールドが開くようにスライドして前記使用者の口元を覆い、前記使用者が完全に俯く前に、前記可動シールドが閉じるようにスライドして、前記使用者の口元を開くことを特徴とする。
【0009】
主要な形態の一つは、前記可動シールドが、前記固定シールドと略同一形状であって、当該固定シールドの外側に重なるように、当該固定シールドに対して回動可能に支持される第1の可動シールドと、前記第1の可動シールドと略同一形状であって、当該第1の可動シールドの外側に重なるように、当該第1の可動シールドに対して回動可能に支持される第2の可動シールドと、を含み、前記リンク部材が、前記ノーズフレームの両端部、前記固定シールドの両端部、前記第1の可動シールド及び前記第2の可動シールドの両端部に対して回動可能に接続されており、下端側に前記おもりを有するとともに、前記リンク部材のおもりにより、前記使用者が顔を正面に向けるときと俯くときとの間の角速度よりも、前記第1の可動シールド及び第2の可動シールドが動く角速度を増幅し、使用者が完全に正面を向く前に前記第1の可動シールド及び前記第2の可動シールドが開くようにスライドして前記使用者の口元を覆い、前記使用者が完全に俯く前に、前記第1の可動シールド及び前記第2の可動シールドが閉じるようにスライドして、前記使用者の口元を開くことを特徴とする。
【0010】
他の形態の一つは、前記リンク部材が、第1のリンク部材と、当該第1のリンク部材の略中央部から、当該第1のリンク部材に対して略直交する方向に延びる第2のリンク部材と、を備えており、前記第1のリンク部材の一端側が、前記固定シールドの端部側であって、前記第1の可動シールドの端部と重なる位置に、所定の可動域を持って回動可能に接続されるとともに、他端側に前記おもりを有し、前記第1のリンク部材と前記第2のリンク部材が交わる位置で、前記リンク部材が、前記第2の可動シールドに所定の可動域を持って回動可能に接続され、前記第2のリンク部材の先端側が、前記ノーズフレームの端部に回動可能に接続されるとともに、前記第1の可動シールド及び前記第2の可動シールドの端部が、前記ノーズフレームの端部に回動可能に接続されることを特徴とする。
【0011】
更に他の形態の一つは、前記ノーズフレームの端部の下側に、前記第2のリンク部材と当接し、前記第1の可動シールド及び第2の可動シールドの開位置を決める開ストッパを設けることを特徴とする。
【0012】
更に他の形態の一つは、前記ノーズフレームの端部の下側であって、前記開ストッパよりも端部寄りに設けられており、前記第2のリンク部材と当接し、前記固定シールド、前記第1の可動シールド及び前記第2の可動シールドが互いに重ならない位置まで開くメンテナンス用の開位置を決めるメンテナンス用ストッパを設けることを特徴とする。
【0013】
更に他の形態の一つは、前記ノーズフレーム両端に、上方に突出し、かつ外側に向けて回動可能であって、外側に倒したときに、前記第1の可動シールド及び第2の可動シールドが展開した状態を維持する展開維持ストッパと、前記展開維持ストッパを垂直に起こしたときの先端に相当する位置に設けられており、前記第1の可動シールド及び第2の可動シールドを閉じた位置で維持する閉ストッパと、を設けることを特徴とする。
【0014】
更に他の形態の一つは、前記耳掛けフレームが、前記ノーズフレームの両端の取り付け部に取り付けられており、前記使用者が装着したときに、当該使用者の耳の上部まで立ち上がる立ち上がり部と、当該立ち上がり部の上端から、前記使用者の耳よりも後方まで延長した耳掛け部と、当該耳掛け部に沿って移動可能であり、前記使用者の耳の後方に当接する耳当て部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
更に他の形態の一つは、前記耳掛けフレームの耳掛け部の先端に、紐等を通す開口部を設けたことを特徴とする。更に他の形態の一つは、前記耳掛けフレームの立ち上がり部が、前記ノーズフレームの端部に対して折畳み可能なことを特徴とする。更に他の形態の一つは、前記固定シールド、前記第1の可動シールド、前記第2の可動シールドの少なくとも一つが、透明シート、半透明シート又は不透明シートのいずれかで形成されることを特徴とする。
【0016】
更に他の形態の一つは、前記ノーズフレームの屈曲部の内側に、鼻当て部を設けることを特徴とする。本発明の前記及び他の目的、特徴、利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0017】
本発明のマウスシールドは、ノーズフレームと、一対の耳掛けフレームと、ノーズフレームの正面側に固定された固定シールドと、固定シールドの外側に重なるように回動する1つ以上の可動シールドと、おもりを有するリンク部材を備える。そして、おもりにより、使用者が顔を正面に向けるときと俯くときとの間の角速度よりも、可動シールドが動くときの角速度を増幅し、使用者が完全に正面を向く前に可動シールドが開いて使用者の口元を覆い、使用者が完全に俯く前に、可動シールドが閉じて使用者の口元を開く。
【0018】
このため、手を触れることなく、飲食等の時には口元を覆うシールド部を自動的に開き、会話等をするときには、自動的にシールド部を口元を覆う状態にすることで、装着後は、手を放しても自動的に開閉動作をして、両手は飲食等に専念することができるストレスフリーで衛生的なマウスシールドを提供することができる。
すなわち、本発明のマウスシールドを、お互いに装着することで、会話時には、直接飛沫の飛散を防止することができる。換気によるミスト飛沫・マイクロ飛沫・エアロゾル等の除去対策がなされている空間では、併せて本発明のマウスシールドを使用し直接飛沫の相互飛散を防ぐことで、通常距離で対面した自然な会話や会食を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1のマウスシールドの全体構成を示す斜視図である。
【図2】前記実施例1のマウスシールドを示す図であり、(A)はノーズフレーム、固定シールド、第1及び第2の可動シールドを開いた状態におけるリンク部材との位置関係を示す側面図であり、(B)は、前記リンク部材の複数の軸間の位置関係を示す図である。
【図3】前記実施例1のリンク部材の軸の位置関係と、可動域の長さ、及び長孔の長さを理論的中心線によって示す図である。
【図4】前記実施例1のマウスシールドのノーズフレーム、固定シールド、第1及び第2の可動シールドを閉じた状態におけるリンク部材との位置関係を示す側面図である。
【図5】前記実施例1のマウスシールドの使用状態を示す図であり、(A)は、顔を上げたときに、第1及び第2の可動シールドが開いて口元を覆う状態を示し、(B)は、飲食等で顔を下向きにしたときに、自動的に第1及び第2の可動シールドが上方に移動して、口元を開く状態を示す。
【図6】前記実施例1のマウスシールドの耳掛けフレームを示す図であり、(A)は、顔を下向きにしたときのマウスシールドの状態と接合線の位置を示す側面図、(B)は耳掛けフレームを折り畳んだ状態を示す図である。
【図7】前記実施例1のマウスシールドの接合部を示す図であり、(A)はノーズフレームの端部と、耳掛けフレームの立ち上がり部を分解して示す図、(B-1)〜(B-3)は、前記(A)を#A−#A線に沿って切断し矢印方向から見た、ノーズフレームに対して耳掛けフレームを徐々に折り畳む様子を示す図である。
【図8】本発明の実施例2のマウスシールドの全体構成を示す斜視図である。
【図9】前記実施例2のマウスシールドを示す図であり、(A)はノーズフレーム、固定シールド、第1及び第2の可動シールドを開いた状態における一方の展開維持ストッパ側から見た側面図であり、(B)は展開維持ストッパを示す部分拡大図であり、(C)は前記(B)の展開維持ストッパ240Aを#B−#B線に沿って切断し矢印方向から見た断面図である。
【図10】前記実施例2のマウスシールドの使用状態を示す図であり、(A)は、顔を上げたときに、第1及び第2の可動シールドが開いて口元を覆う状態を示し、(B)は、飲食等で、顔を下向きにしたときに、自動的に第1及び第2の可動シールドが上方に移動して、口元を開く状態を示す。
【図11】前記実施例2のマウスシールドの展開維持ストッパの機能説明図であり、(A)は、第1及び第2の可動シールドが開いて口元を覆う状態を展開維持ストッパで維持した状態を示す側面図、(B)は前記(A)を#C−#C線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。
【図12】前記実施例2のマウスシールドの展開維持ストッパに設けた閉ストッパの機能説明図であり、(A)は、前記展開維持ストッパを垂直に戻し、俯いたときに、第1及び第2の可動シールドが展開維持ストッパに設けた閉ストッパに当接して閉位置が決まる状態を示し、(B)は、前記(A)を#D−#D線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。
【図13】前記実施例2のマウスシールドの耳掛けフレームを折り畳んだ状態を示す図である。
【図14】本発明の変形例のマウスシールドの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図を参照しながら詳細に説明する。本発明のマウスシールドは、ノーズフレームと、一対の耳掛けフレームと、ノーズフレームの正面側に固定された固定シールドと、固定シールドの外側に重なるように回動する第1の可動シールドと、第1の可動シールドの外側に重なるように回動する第2の可動シールドと、おもりを有するリンク部材を備える。そして、おもりにより、使用者が顔を正面に向けるときと俯くときとの間の角速度よりも、第1及び第2の可動シールドが動くときの角速度を増幅し、使用者が完全に正面を向く前に第1及び第2の可動シールドが開いて使用者の口元を覆い、使用者が完全に俯く前に、第1及び第2の可動シールドが閉じて使用者の口元を開く。
【0021】
このため、手を触れることなく、飲食等の時には口を覆うシールド部を自動的に開き、会話等をする時には、自動的にシールド部を、口元を覆う状態にすることで、装着後は、手を放しても自動的に開閉動作をして、両手は飲食等に専念することができるストレスフリーで衛生的なマウスシールドを提供することができるものである。以下、実施例を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1〜図7を参照しながら、本発明の実施例1を説明する。まず、図1〜図5を参照して、本実施例のマウスシールドの構造と作用について説明する。図1は、本実施例のマウスシールドの全体構成を示す斜視図である。図2は、本実施例のマウスシールドを示す図であり、(A)はノーズフレーム、固定シールド、第1及び第2の可動シールドを開いた状態におけるリンク部材との位置関係を示す側面図であり、(B)は、前記リンク部材の複数の軸間の位置関係を示す図である。図3は、本実施例のリンク部材の軸の位置関係と、可動域の長さ、及び長孔の長さを理論的中心線によって示す図である。図4は、本実施例のマウスシールドのノーズフレーム、固定シールド、第1及び第2の可動シールドを閉じた状態におけるリンク部材との位置関係を示す側面図である。図5は、本実施例のマウスシールドの使用状態を示す図であり、(A)は、顔を上げたときに、第1及び第2の可動シールドが開いて口元を覆う状態を示し、(B)は、顔を下向きにしたときに、自動的に第1及び第2の可動シールドが上方に移動して、口元を開く状態を示す。
【0023】
図1〜図5に示すように、本実施例のマウスシールド10は、ノーズフレーム12と、耳掛けフレーム21A、21Bと、ノーズフレーム12の正面側に固定された固定シールド30と、固定シールド30の外側に重なるように回動する第1の可動シールド40と、第1の可動シールド40の外側に重なるように回動する第2の可動シールド50と、おもり72を有するリンク部材60を備える。おもり72により、使用者が顔を正面に向けるときと俯くときとの間の角速度よりも、第1及び第2の可動シールド40、50が動くときの角速度を増幅し、使用者が完全に正面を向く前に第1及び第2の可動シールド40、50が開いて使用者の口元を覆い、使用者が完全に俯く前に、第1及び第2の可動シールド40、50が閉じて使用者の口元を開く。
【0024】
まず、ノーズフレーム12は、使用者90(図5参照)の両耳98近傍から、前記使用者90の鼻94にかかる細いフレーム部14と、当該フレーム部14の両端に設けられており幅広に形成された取り付け部18A、18Bを有する。前記フレーム部14は、使用者90の鼻94にかかる部分が、鼻94の形状に沿うように屈曲した屈曲部16を有する。前記ノーズフレーム12は、例えば、プラスチック材料によって形成されるが、他の材料によって形成することを妨げるものではない。また、本実施例では、前記屈曲部16の内側(使用者90の鼻94に当たる側)に、弾力性を有する鼻当て部17が設けられている。鼻当て部17は、例えば、スポンジ体や弾性ゴムなどが用いられる。
【0025】
次に、一対の耳掛けフレーム21A、21Bは、前記ノーズフレーム12の両端の取り付け部18A、18Bに取り付けられており、前記使用者90が装着したときに、当該使用者90の耳98の上部まで立ち上がる立ち上がり部20A、20Bと、当該立ち上がり部20A、20Bの上端から、前記使用者90の耳98よりも後方まで延長した耳掛け部22A、22Bと、当該耳掛け部22A、22Bに沿って移動可能であり、前記使用者90の耳98の後方に当接する耳当て部24A、24Bとを有する。
【0026】
前記耳当て部24A、24Bは、開口部25を有しており、当該開口部25を耳掛け部22A、22Bに沿ってスライドさせることで、使用者90の耳98の後方に位置を調節することができる。前記耳当て部24A、24Bは、上述した位置調節の他に、使用者90が下を向いたときに、ノーズフレーム12が鼻94から外れない、又は、浮き上がらないように補助する作用がある。使用者90が下を向くと、シールド部材が、自重で前方下方へ動こう(落下しよう)とする力が働く。また、下を向く角速度が速いと、耳98の上部を支点として、前方上方に動こう(浮き上がろう)というモーメントが発生する。これらを補助的に防止するのが、前記耳当て部24A、24Bであり、メインで防止するのは、ノーズフレーム12の全体と顔92の摩擦によるところが大きい。
【0027】
また、本実施例では、前記耳掛け部22A、22Bの端部に、開口部26A、26Bが設けられている。当該開口部26A、26Bは、必要に応じて紐等を通し、使用者90の頭部の後ろ側で結ぶことで、マウスシールド10が装着時に落ちないようにするものである。なお、このような紐による固定は、必要に応じて行えばよい。
【0028】
次に、固定シールド30は、前記ノーズフレーム12のフレーム部14の下方に固定されており、前記使用者90の鼻94にかかる屈曲部32を有するとともに、前記使用者90の顔92の下方に向けて所定幅を有する。固定シールド30は、例えば、透明シート(透明の薄いプラスチックシートなど)により構成することで、マウスシールド10を装着したときでも、使用者90の表情などを見ることができる。
【0029】
次に、第1の可動シールド40は、前記固定シールド30と略同一形状であって、当該固定シールド30の外側に重なるように、当該固定シールド30に対して回動可能に支持される。第1の可動シールド40は、使用者90の鼻94にかかる屈曲部42を有するとともに、前記使用者90の顔92の下方に向けて所定幅を有する。また、第1の可動シールド40の端部44側には、上向きに突出するように凸部46が形成されており、凸部46には、軸66が移動可能な長孔48が形成されている。第1の可動シールド40も、前記固定シールド30と同様に、透明シートにより構成されている。
【0030】
次に、第2の可動シールド50は、前記第1の可動シールド40と略同一形状であって、当該第1の可動シールド40の外側に重なるように、当該第1の可動シールド40に対して回動可能に支持される。第2の可動シールド50は、使用者90の鼻94にかかる屈曲部52を有するとともに、前記使用者90の顔92の下方に向けて所定幅を有する。また、第2の可動シールド50の端部53側には、下向きに突出するように凸部56が形成されており、凸部56には、軸70が移動可能な長孔58が形成されている。第2の可動シールド50も、前記固定シールド30と同様に、透明シートにより構成されている。
【0031】
次に、リンク部材60は、前記ノーズフレーム12の両端の取り付け部18A、18B、固定シールドの両端部、第1の可動シールド40の両端部44及び第2の可動シールド50の両端部53に対して回動可能に接続されており、下端側におもり72を有している。
【0032】
前記リンク部材60のおもり72により、前記使用者90が顔92を正面に向けるときと俯くときとの間の角速度よりも、前記第1の可動シールド40及び第2の可動シールド50が動くときの角速度を増幅し、使用者90が完全に正面を向く前に前記第1の可動シールド40及び前記第2の可動シールド50が開くようにスライドして前記使用者90の口96を覆い、前記使用者90が完全に俯く前に、前記第1の可動シールド40及び前記第2の可動シールド50が閉じるようにスライドして、前記使用者90の口96の口元を開く。
【0033】
より具体的には、図2(A)に示すように、前記リンク部材60は、第1のリンク部材62と、当該第1のリンク部材62の略中央部から、当該第1のリンク部材62に対して略直交する方向に延びる第2のリンク部材64と、を備える。前記第1のリンク部材62の一端側は、前記固定シールド30の端部側であって、前記第1の可動シールド40の端部44側に上向きに突出するように形成された凸部46と重なる位置に、所定の可動域を持って回動可能に接続され、他端側に前記おもり72を有する。おもり72の重量は、前記第1の可動シールド40及び第2の可動シールド50を駆動するに必要十分な重さであるものとする。図2(A)に示すように、前記所定の可動域は、前記凸部46に形成された長孔48内で軸66が移動可能な幅W1である。
【0034】
また、前記リンク部材60は、前記第1のリンク部材62と前記第2のリンク部材64が交わる位置で、前記第2の可動シールド50に所定の可動域をもって回動可能に接続されている。図2(A)に示すように、前記所定の可動域は、第2の可動シールド50の端部53側に形成された凸部56の長孔58内で軸70が移動可能な幅W2である。
【0035】
更に、リンク部材60は、前記第2のリンク部材64の先端側が、前記ノーズフレーム12の取り付け部18A、18Bに、軸68によって回動可能に接続されるとともに、前記第1の可動シールド40の端部44及び前記第2の可動シールド50の端部53が、前記ノーズフレーム12の取り付け部18A、18Bに、軸54によって回動可能に接続されている。
【0036】
前記マウスシールド10が開いた状態における、前記回動に寄与する軸54、66、68、70の位置関係が図2(B)に示されている。同図によれば、軸66と軸68の間の長さがJ、軸66と軸54の間の長さがK、軸54と軸70の間の長さがM、軸68と軸70の間の長さがLと規定されている。
【0037】
この場合、固定シールド30に対する第1の可動シールド40の角速度は、J/K倍となる。また、固定シールド30に対する第2の可動シールド50の角速度は、L/M倍となる。第1の可動シールド40の角速度(および可動範囲)は、第2の可動シールド50の角速度(および可動範囲)の概ね1/2となるように設定する。
【0038】
また、図3(A)に示すように、第1の可動シールド40の長孔48部分での可動域R1は、軸68を中心とする円と、軸54を中心とする円の可動域R1での差が、長孔48内で軸66が移動できる幅W1を与える。また、図3(B)に示すように、第2の可動シールド50の長孔58部分での可動域R2は、軸68を中心とする円と、軸54を中心とする円との可動域R2での差が、長孔58内で軸70が移動できる幅W2を与える。
【0039】
なお、図2(A)に示すように、おもり重心74は、軸68の支点よりも幅W3に相当する分、左にあることを意味し、第1の可動シールド40及び第2の可動シールド50の重量も加わり、左回りモーメントが発生して、マウスシールド10の第1の可動シールド40及び第2の可動シールド50が、同図に矢印で示した方向とは反対方向に、「開状態」に移行することを表す。図4では、この逆に、おもり重心74が、軸68の支点よりも幅W4に相当する分、右にあることを意味しており、第1の可動シールド40及び第2の可動シールド50の重量に逆らっても、右回りのモーメントが発生し、「開状態」から「閉状態」となることを示す。
【0040】
更に、本実施例のマウスシールド10では、図2(A)及び図4に示すように、前記ノーズフレーム12の両端部18A、18Bの下側に、前記第2のリンク部材64と当接し、前記第1の可動シールド40及び第2の可動シールド50の開位置を決める開ストッパ76が設けられている。
【0041】
また、本実施例のマウスシールド10では、長孔48、長孔58の長手方向の寸法を、それぞれシールド中央方向へ延長することと併せれば、図4に示すように、前記ノーズフレーム12の両端の取り付け部18A、18Bの下側であって、前記開ストッパ76よりも端部寄りに設けられており、前記第2のリンク部材64と当接し、前記固定シールド30、前記第1の可動シールド40及び前記第2の可動シールド50が互いに重ならない位置まで開くメンテナンス用の開位置を決めるメンテナンス用ストッパ78が設けられている。これにより、固定シールド30、第1の可動シールド40、第2の可動シールド50のシートを清拭し、常にマウスシールド10を清潔な状態にすることができる。
【0042】
一方、本実施例のマウスシールド10では、図2(A)及び図4に示すように、前記可動シールド50に長孔58を通してリンクする軸70が、前記可動シールド40の下端部及び前記固定シールド30の下端部と当接することで閉位置を決めることができる。
【0043】
次に、図5を参照して、本実施例のマウスシールド10の作用を説明する。上述した構成により、使用者90が顔92を正面に向けるとき(図5(A)の状態であって、会話等をするとき)と、俯くとき(図5(B)の状態であって、飲食等をするとき)との間の角速度よりも、第1の可動シールド40及び第2の可動シールド50が動くときの角速度を増幅し、使用者90が完全に正面を向く(図5(A)の状態)前に、第1の可動シールド40及び第2の可動シールド50が動いて使用者90の口96を覆い、使用者90が完全に俯く(図5(B)の状態)前に、第1の可動シールド40及び第2の可動シールド50が閉じて使用者90の口元が開く。
【0044】
このため、手を触れることなく、飲食等の時には口96を覆うシールド部を自動的に開き、会話等をするきには、自動的にシールド部で口96を覆う状態にすることで、装着後は、手を放しても自動的に開閉動作をして、両手は飲食等に専念することができるストレスフリーで衛生的なマウスシールド10を提供することができる。
【0045】
また、本実施例のマウスシールド10は、前記耳掛けフレーム21A、21Bが、ノーズフレーム12に対して折畳み可能な構成となっている。図6は、本実施例のマウスシールドの耳掛けフレームを示す図であり、(A)は、顔を下向きにしたときのマウスシールド10の状態と耳掛けフレームの接合線Lの位置を示す側面図、(B)は耳掛けフレームを折り畳んだ状態を示す図である。図7は、本実施例のマウスシールドの接合部を示す図であり、(A)はノーズフレームの端部と、耳掛けフレームの立ち上がり部を分解して示す図、(B-1)〜(B-3)は、前記(A)を#A−#A線に沿って切断し矢印方向から見た、ノーズフレームに対して耳掛けフレームを徐々に折り畳む様子を示す図である。
【0046】
図7(A)に示すように、ノーズフレーム12の取り付け部18Aの上端は接合部L1となるように斜めに切断されており、接合部L1の中央部には、貫通孔102を有する凸部100が形成されている。また、耳掛けフレーム21Aの立ち上がり部20Aの下端は接合部L2となるように斜めに切断されており、接合部L2の両端には、貫通孔106を有する凸部104と、貫通孔110を有する凸部108が形成されている。また、接合部L2の中央部には、ノーズフレーム12の取り付け部18Aの凸部100が嵌る凹部112が形成されている。
【0047】
そして、ノーズフレーム12の取り付け部18Aの凸部100を、耳掛けフレーム21Aの立ち上がり部20Aの凹部112に嵌め、貫通孔106、102、110に、図7(B-1)〜(B-3)に示すピン120を挿通することで、図7(B-1)〜(B-3)に示すように、ノーズフレーム12の取り付け部18Aに対して、耳掛けフレーム21Aの立ち上がり部20Aを、前記ピン120を中心に回動させて折り畳むことができる。他方の耳掛けフレーム21Bの立ち上がり部20Bについても同様である。なお、凸部104及び108と凸部100の個々の幅(や凸部自体の個数)は接合時のフレーム強度を考慮し決定して差し支えない。
【0048】
このように、耳掛けフレーム21A、21Bを折り畳んだ状態が、図6(B)に示されている。このように折り畳むことで、収納スペースをコンパクトにすることができるとともに、携帯にも都合がよい。
【0049】
<効果>・・・このように、実施例1のマウスシールド10は、ノーズフレーム12と、耳掛けフレーム21A、21Bと、ノーズフレーム12の正面側に固定された固定シールド30と、固定シールド30の外側に重なるように回動する第1の可動シールド40と、第1の可動シールド40の外側に重なるように回動する第2の可動シールド50と、おもり72を有するリンク部材60を備える。そして、おもり72により、使用者90が顔92を正面に向けるときと俯くときとの間の角速度よりも、第1及び第2の可動シールド40、50が動くときの角速度を増幅し、使用者90が完全に正面を向く前に第1及び第2の可動シールド40、50が開いて使用者90の口元を覆い、使用者90が完全に俯く前に、第1及び第2の可動シールド40、50が閉じて使用者の口元を開く。
【0050】
このため、手を触れることなく、飲食等の時には口96を覆うシールド部を自動的に開き、会話等をするときには、自動的にシールド部で口96を覆う状態にすることで、装着後は、手を放しても自動的に開閉動作をして、両手は飲食等に専念することができストレスフリーで衛生的なマウスシールドを提供することができる。
【0051】
また、本実施例のマウスシールド10は、会食時の頭の自然な傾き(会話時(前方やや俯き〜前方向き(相手を視線で確認するとき))と、黙食時(下向き(料理を視線で確認するとき))でマウスシールド10が自動開閉動作する。この開閉動作はスライド開閉のため、マウスシールド10を開状態にしても、前方に突出することなく、場所をとらない。カップを用いた飲料の摂取も、下向きに俯いた状態でカップを咥えたまま顔を起こすことで、可動シールド40及び50をカップで自然に押し上げ、支障なく飲料摂取できる。
【0052】
更に、本実施例のマウスシールド10は、透明軽量部材で固定シールド30、可動シールド40及び50を構成することとしたので、口元の表情をお互いに視認することができる。
【0053】
また、本実施例のマウスシールド10は、目を覆わないため解放感があり、眼鏡を併用することができるとともに、下方(料理等)への視線の遮りが少ない。
【0054】
そして、本実施例のマウスシールド10を、お互いに装着することで、会話時には、直接飛沫の飛散を防止することができる。換気によるミスト飛沫・マイクロ飛沫・エアロゾル等の除去対策がなされている空間では、併せて本実施例のマウスシールド10を使用し直接飛沫の相互飛散を防ぐことで、通常距離で対面した自然な会話や会食を実現することができる。
【実施例2】
【0055】
次に、図8〜図13を参照して、本発明の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1と同一又は対応する構成要素には、同一の符号を用いることとする(他の変形例についても同様)。図8は、実施例2のマウスシールドの全体構成を示す斜視図である。図9は、実施例2のマウスシールドを示す図であり、(A)は第1及び第2の可動シールドを開いた状態における一方の展開維持ストッパ側から見た側面図であり、(B)は展開維持ストッパを示す部分拡大図であり、(C)は前記(B)の展開維持ストッパ240Aを#B−#B線に沿って切断し矢印方向から見た断面図である。図10は、実施例2のマウスシールドの使用状態を示す図であり、(A)は、顔を上げたときに、第1及び第2の可動シールドが開いて口元を覆う状態を示し、(B)は、飲食等で、顔を下向きにしたときに、自動的に第1及び第2の可動シールドが上方に移動して、口元を開く状態を示す。
【0056】
図11は、実施例2のマウスシールドの展開維持ストッパの機能説明図であり、(A)は、第1及び第2の可動シールドが開いて口元を覆う状態を展開維持ストッパで維持した状態を示す側面図、(B)は前記(A)を#C−#C線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。図12は、実施例2のマウスシールドの展開維持ストッパに設けた閉ストッパの機能説明図であり、(A)は、前記展開維持ストッパを垂直に戻し、俯いたときに、第1及び第2の可動シールドが展開維持ストッパに設けた閉ストッパに当接して閉位置が決まる状態を示し、(B)は、前記(A)を#D−#D線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。図13は、実施例2のマウスシールドの耳掛けフレームを折り畳んだ状態を示す図である。
【0057】
図8〜図13に示すように、実施例2のマウスシールド200は、ノーズフレーム12と、耳掛けフレーム21A、21Bと、ノーズフレーム12の正面側に固定された固定シールド30と、固定シールド30の外側に重なるように回動する第1の可動シールド40と、第1の可動シールド40の外側に重なるように回動する第2の可動シールド50と、おもり72Aを有するリンク部材60を備える。おもり72Aにより、使用者が顔を正面に向けるときと俯くときとの間の角速度よりも、第1及び第2の可動シールド40、50が動くときの角速度を増幅し、使用者が完全に正面を向く前に第1及び第2の可動シールド40、50が開いて使用者の口元を覆い、使用者が完全に俯く前に、第1及び第2の可動シールド40、50が閉じて使用者の口元を開く。
【0058】
まず、ノーズフレーム12は、使用者90(図5参照)の両耳98近傍から、前記使用者90の鼻94にかかる細いフレーム部14と、当該フレーム部14の両端に設けられており幅広に形成された取り付け部18A、18Bを有する。本実施例では、前記取り付け部18A、18Bの角は切り落とした形状となっており、上述した実施例1に記載したメンテナンス用ストッパ78を設ける部分が不要となっている。
【0059】
前記フレーム部14は、使用者90の鼻94にかかる部分が、鼻94の形状に沿うように屈曲した鼻当接部202を有する。前記ノーズフレーム12は、例えば、プラスチック材料によって形成されるが、他の材料によって形成することを妨げるものではない。また、本実施例では、前記鼻当接部202は、鼻の両端に当接するように、前記フレーム部14を形成する素材そのものの形状加工によって形成されている。更に、本実施例では、前記鼻当接部202の両側に、後述する展開維持ストッパ240A、240Bを設けるための切り欠き230A、230Bが設けられている。
【0060】
次に、一対の耳掛けフレーム21A、21Bは、前記ノーズフレーム12の両端の取り付け部18A、18Bに取り付けられており、前記使用者90が装着したときに、当該使用者90の耳98の上部まで立ち上がる立ち上がり部20A、20Bと、当該立ち上がり部20A、20Bの上端から、前記使用者90の耳98よりも後方まで延長した耳掛け部22A、22Bと、当該耳掛け部22A、22Bに沿って移動可能であり、前記使用者90の耳98の後方に当接する耳当て部214A、214Bとを有する。前記耳当て部214A、214Bは、先端に向けて細くなる形状である。
【0061】
ノーズフレーム12の耳掛け部22A、22Bには、当該耳掛け部22A、22Bに沿ってスライド可能な耳当て部214A、214Bが設けられている。耳掛け部22A、22Bの内側上下は面取りされており、前記耳当て部214A、214Bは、リングの一部(装着時に使用者に当接する側)を切り欠き、略C字状に形成され、前記耳掛け部22A、22Bに沿ってスライド可能な開口部218A、218Bを有する取り付け部216A、216Bと、前記取り付け部216A、216Bから下方に向かって細くなるとともに屈曲した屈曲部220A、220Bによって構成される。
【0062】
前記開口部218A、218Bの内側は略C字状で(上下が小突起状)であるため、耳掛け部22A、22Bの内側上下の面取り部を挟み込み外側に外れることはない。この小突起と、取り付け部216A、218Bの上下はマイナスのクリアランスで挟み込む状態とすることで、スライド摩擦を付与し、耳当て部214A、214Bを所望の位置にスライドさせて、その位置を維持することができる。
【0063】
前記屈曲部220A、220Bの角度α(図14参照)は、使用者90の頭部の後方に向けて、例えば、20°程度に設定されている。このような耳当て部214A、214Bは、上述した実施例1の耳当て部24A、24Bよりも短く、また、内側を切り欠いているため装着時の違和感を軽減することができるため、マウスシールド200を長時間使用しても、耳への負担を軽減することができる。また、214A、214Bは内側(使用者90の方向)へ15°程度傾けて装着性をより安定化してもよい。他の基本的な作用・効果は、上述した実施例1と同様である。
【0064】
また、本実施例では、前記耳掛け部22A、22Bの端部に、開口部208A、208Bが設けられている。当該開口部208A、208Bは、必要に応じて紐等を通し、使用者90の頭部の後ろ側で結ぶことで、マウスシールド200が装着時に落ちないようにするものである。なお、このような紐による固定は、必要に応じて行えばよい。
【0065】
次に、固定シールド30は、前記ノーズフレーム12のフレーム部14の下方に固定されており、前記使用者90の鼻94にかかる屈曲部32を有するとともに、前記使用者90の顔92の下方に向けて所定幅を有する。固定シールド30は、例えば、透明シート(透明の薄いプラスチックシートなど)により構成することで、マウスシールド200を装着したときでも、使用者90の表情などを見ることができる。前記第1の可動シールド40及び第2の可動シールド50の構成は、基本的には上述した実施例1と同様のため、詳細は省略する。
【0066】
次に、リンク部材60は、前記ノーズフレーム12の両端の取り付け部18A、18B、固定シールドの両端部、第1の可動シールド40の両端部44及び第2の可動シールド50の両端部53に対して回動可能に接続されており、下端側におもり72Aを有している。本実施例のおもり72Aは、略円形である。
【0067】
前記リンク部材60のおもり72Aにより、前記使用者90が顔92を正面に向けるときと俯くときとの間の角速度よりも、前記第1の可動シールド40及び第2の可動シールド50が動くときの角速度を増幅し、使用者90が完全に正面を向く前に前記第1の可動シールド40及び前記第2の可動シールド50が開くようにスライドして前記使用者90の口96を覆い、前記使用者90が完全に俯く前に、前記第1の可動シールド40及び前記可動シールド50が閉じるようにスライドして、前記使用者90の口96の口元を開く。リンク部材60の構成は、基本的は、上述した実施例1と同様のため詳細は省略する。なお、スライド動作の際に軸66、70の構造によっては、内側に隣接するシールドの端部に接触することもあるが、これを円滑に受け流すための摺動ガイドを、固定シールド30の上端部、第1の可動シールド40の下端部の軸66、70の通過位置に設けてもよい。
【0068】
更に、本実施例のマウスシールド200では、図8等に示すように、前記ノーズフレーム12の両端部18A、18Bの下側に、前記第2のリンク部材64と当接し、前記第1の可動シールド40及び第2の可動シールド50の開位置を決める開ストッパ76が設けられている。
【0069】
また、本実施例のマウスシールド200では、長孔48、長孔58の長手方向の寸法をそれぞれシールド中央方向へ延長することと併せれば、図8に示すように、前記ノーズフレーム12の両端の取り付け部18A、18Bの下側の前記開ストッパ76を乗り越えた位置まで開くことが可能であり、固定シールド30、第1の可動シールド40、第2の可動シールド50のシートを清拭し、常にマウスシールド200を清潔な状態にすることができる。なお、このようなメンテナンス位置を設けるメンテナンス用ストッパ78を設けることを妨げるものではない(図11(A)及び図12(A)の破線参照)。
【0070】
次に、図9を参照して、本実施例の展開維持ストッパ240A、240Bについて説明する。図9(A)は、一方の展開維持ストッパ240A側から見た側面が記載されているが、図9(B)に示すように、他方の展開維持ストッパ240Bについても同様の構成である。図9(A)及び(B)に示すように、本実施例の展開維持ストッパ240A、240Bは、全体が略U字状の形状となっており、その両端が、軸244A、244Bを介して、ノーズフレーム12に設けられた切り欠き230A、230Bに設けられている。前記展開維持ストッパ240A、240Bは、図9(B)に示すように、左右に付勢されており、図9(C)に展開維持ストッパ240A側について示すように、前記軸244Aを支点として回動可能となっている。他方の展開維持ストッパ240Bについても、同様に、軸244Bを支点として回動可能となっている。このような展開維持ストッパ240A、240Bの中央部には、垂直に起こしたときに外向きに突出する閉ストッパ242A、242Bが設けられている。
【0071】
図10(A)及び(B)に示す実施例2のマウスシールド200の作用のうち、飲食時の使用者90の顔92の上下動に伴う可動シールドの開閉動作については、本実施例1のマウスシールド10と同様であるため説明は省略する。
【0072】
次に、図11及び図12を参照して、本実施例のマウスシールド200の展開維持ストッパ240A、240B及び閉ストッパ242A、242Bの機能を説明する。図11(A)に示すように、固定シールド30、第1の可動シールド40及び第2の可動シールド50が開状態のときに、展開維持ストッパ240Aを、軸244Aを支点として外側に倒すことで、図11(B)に示したように、俯いたときにも各シールドが開状態を維持することができる。このような開状態の維持は、展開維持ストッパ240A、240Bの何れか一方、あるいは両方を倒すことにより実現できる。
【0073】
図12(A)及び(B)は、前記展開維持ストッパ240A、240Bを垂直に戻し、俯いたときに、第1の可動シールド40及び第2の可動シールド50が、前記展開維持ストッパ240A、240Bの中央部に設けられた閉ストッパ242A、242Bに当接することで、閉位置を決めることができることを示している。
【0074】
また、本実施例のマウスシールド200は、前記耳掛けフレーム21A、21Bが、ノーズフレーム12に対して折畳み可能な構成となっている点は、上述した実施例1と同様である。また、本実施例の効果は、上述した実施例1と同様であるが、本実施例では、それに加え、展開維持ストッパ240A、240Bを設けることで、俯いたときにも開状態を維持し、閉ストッパ242A、242Bを設けることで、俯いたときに閉位置を決めることができるという効果がある。
【0075】
更に、図13に2点破線で示すように、マウスシールド200の使用方法等や注意点などを記載したシール250を、立ち上がり部20A(や20B)に設けるようにしてもよく、記載内容も適宜変更可能である。このようなシール250を図13に示すように、耳掛けフレーム21A、21Bを折り畳んだ状態のときに目に入るような位置に貼ることで、使用前に注意点等を確認することができる。
【0076】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示したノーズフレーム12、固定シールド30、第1の可動シールド40、第2の可動シールド50の材質や形状は一例であり、同様の効果を奏する範囲内で適宜変更可能である。
(2)前記実施例で示したマウスシールド10も一例であり、例えば、固定シールド30の下端の少なくとも一部を折り曲げ、第1の可動シールド40の上端の少なくとも一部を折り曲げて、マウスシールド10を開いたときに係合させ、同様に、第1の可動シールド40の下端の少なくとも一部を折り曲げ、第2の可動シールド50の上端の少なくとも一部を折り曲げて、マウスシールド10を開いたときに係合させることで、マウスシールド10を開いたときに、各シールド部材が重なり合うため、確実に口元を覆うことができる。
【0077】
(3)前記実施例では、耳掛けフレーム21A、21Bが折り畳める構造としたが、これも一例であり、必要に応じて折り畳む構造とすればよい。また、耳掛けフレーム21A、21Bを、ノーズフレーム12から取り外せるような構造としてもよい。更に、耳当て部24A、24Bの長さも一例であり、図1よりも短く構成するなど、必要に応じて変更してよい。
(4)前記実施例で示したリンク部材60も一例であり、同様の効果を奏する範囲内で、適宜設計変更してよい。
(5)前記実施例で示した各シールドの透明性は一例であり、いずれか一つ以上のシールドを透明、半透明、不透明としてもよいし、全てのシールドを透明、半透明、不透明としてもよい。
(6)図14には、本発明の変形例が示されている。図14に示すマウスシールド200Aは、固定シールド30A、第1の可動シールド40A、第2の可動シールド50Aが、不透明又は半透明な素材によって形成されており、使用者の口元の表情を隠すことができる。また、図14に示す例に限られるものではなく、ノーズフレーム12、展開維持ストッパ240A、240B、取り付け部18A、18B、立ち上がり部20A、20B、耳掛けフレーム21A、21B、耳当て部214A、214Bを透明、半透明、不透明としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によれば、ノーズフレームと、一対の耳掛けフレームと、ノーズフレームの正面側に固定された固定シールドと、固定シールドの外側に重なるように回動する1つ以上の可動シールドと、おもりを有するリンク部材を備える。そして、おもりにより、使用者が顔を正面に向けるときと俯くときとの間の角速度よりも、可動シールドが動くときの角速度を増幅し、使用者が完全に正面を向く前に可動シールドが開いて使用者の口元を覆い、使用者が完全に俯く前に、可動シールドが閉じて使用者の口元を開く。
【0079】
このため、手を触れることなく、飲食等の時には口を覆うシールド部を自動的に開き、会話等をするときには、自動的にシールド部を口を覆う状態にすることで、装着後は、手を放しても自動的に開閉動作をして、両手は飲食等に専念することができ、ストレスフリーで衛生的なため、マウスシールドの用途に適用できる。
【符号の説明】
【0080】
10:マウスシールド
12:ノーズフレーム
14:フレーム部
16:屈曲部
17:鼻当て部
18A、18B:取り付け部
20A、20B:立ち上がり部
21A、21B:耳掛けフレーム
22A、22B:耳掛け部
24A、24B:耳当て部
25、26A、26B:開口部
30、30A:固定シールド
32、42、52:屈曲部
40、40A:第1の可動シールド
44、53:端部
46、56:凸部
48、58:長孔
50、50A:第2の可動シールド
54、66、68、70:軸
60:リンク部材
62:第1のリンク部材
64:第2のリンク部材
72、72A:おもり
74:おもり重心
76:開ストッパ
78:メンテナンス用ストッパ
90:使用者
92:顔
94:鼻
96:口
98:耳
100、104、108:凸部
102、106、110:貫通孔
112:凹部
120:ピン
200、200A:マウスシールド
202:鼻当接部
208A、208B:開口部
214A、214B:耳当て部
216A、216B:取り付け部
218A、218B:開口部
220A、220B:屈曲部
230A、230B:切り欠き
240A、240B:展開維持ストッパ
242A、242B:閉ストッパ
244A、244B:軸
250:シール
α:角度
L:接合線
L1、L2:接合部
R1、R2:可動域
W1〜W4:幅
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
【図10】
図10
【図11】
図11
【図12】
図12
【図13】
図13
【図14】
図14
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