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【考案の名称】がん治療のための湿熱装置 【実用新案権者】 【識別番号】520481091 【氏名又は名称】西脇 義剛 【住所又は居所】東京都国分寺市北町1丁目24-7 【代理人】 【識別番号】110002963 【氏名又は名称】特許業務法人MTS国際特許事務所 【考案者】 【氏名】西脇 義剛 【住所又は居所】東京都国分寺市北町1丁目24-7 【要約】 (修正有) 【課題】専門的な治療方法を必要とせず、金銭的にも肉体的にもがん患者の負担を低減しながら、手軽に自然治癒力を最大発露させてがん細胞を血液に逆分化させる現象を導き、がんを短期間で完治させることが可能となる湿熱装置を提供する。 【解決手段】人体Wの患部に貼付するがん治療のための湿熱装置100であって、人体Wの表面に当接する透湿シート108と、透湿シート108の外側に配置され、水分を含み、透湿シート108に水分を供給する保水シート110と、保水シート110の外側に脱着可能に配置され、人体Wの自然治癒力を最大発露可能とする治癒温度TPに水分を昇温し患部を加熱可能な発熱シート112と、を有し、発熱シート112は、通気性のある不織布の袋体の内側に金属粉を備え、金属粉の酸化により発熱する。 【選択図】図2 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 生体の患部に貼付するがん治療のための湿熱装置であって、 前記生体の表面に当接する透湿シートと、 該透湿シートの外側に配置され、水分を含み、該透湿シートに該水分を供給する保水シートと、 該保水シートの外側に脱着可能に配置され、前記生体の自然治癒力を最大発露可能とする治癒温度に前記水分を昇温し前記患部を加熱可能な発熱シートと、 を有し、 前記発熱シートは、通気性のある不織布の袋体の内側に金属粉を備え、該金属粉の酸化により発熱することを特徴とする湿熱装置。 【請求項2】 請求項1において、 前記湿熱装置は、前記透湿シートと前記保水シートと前記発熱シートとを支持するケーシングを備え、 該ケーシングは、該発熱シートの外側を覆うカバーシートを備える ことを特徴とする湿熱装置。 【請求項3】 請求項1または2において、 前記発熱シートの外側に配置され、該発熱シートの温度を感知して表示する脱着可能な温度表示シートを備える ことを特徴とする湿熱装置。 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかにおいて、 複数とされ、前記患部を挟むようにそれぞれ配置される ことを特徴とする湿熱装置。 【考案の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本考案は、がん治療のための湿熱装置であって、従来行われていた専門的な治療方法を必要とせず、従来よりも金銭的にも肉体的にもがん患者の負担を低減しながら、手軽に自然治癒力を最大発露させてがん細胞を血液に逆分化させる現象を導き、がんを短期間で完治させることを可能とするがん治療のための湿熱装置に関する。 【背景技術】 【0002】 3大疾病の1つであるがんに対しては、現在、主に西洋医学による治療方法が用いられている。西洋医学では、図9に示す如く、部位(臓器)毎にがんが発症するような認識となっており、部位毎に異なる専門的な治療方法が採用されている。 【0003】 図9から明らかなように、西洋医学においては、(1)手術治療、(2)放射線治療(3)抗がん剤治療が3大がん治療方法となっている。これら3大がん治療方法を含めたがん治療方法の概要を図10に示す。 【0004】 図10に示すように、(1)手術治療は、がん細胞を、外科的手法で切除することで、がん細胞を除去する方法である。また、(2)放射線治療は、特許文献1に示すように、がん細胞に放射線を照射して熱でがん細胞を死滅させる方法である。更に、(3)抗がん剤治療は、特許文献2に示すように、患部のがん細胞に注射などで薬を注入しがん細胞を死滅させる方法である。なお、図10に示すように、その他の治療方法には、電子的装置を用いてがん細胞に温熱を与えて死滅させるハイパーサーミア治療(特許文献3)や、が ん患者自身から採取した血液を利用する免疫治療や、ウイルスをがん細胞に注入してがん細胞を死滅させるウイルス治療(特許文献4)などがある。図10に示すように、ほとんどの治療方法では、がん細胞を無くす・殺すという観点であれば相応の効果を有する。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】 特開2014−217560号公報 【特許文献2】 特開2007−302610号公報 【特許文献3】 特開2011−121890号公報 【特許文献4】 特許第5759980号公報 【考案の概要】 【考案が解決しようとする課題】 【0006】 そもそも、がんの発症は、部位毎に起こるのではなく、千島学説に基づけば、がんは汚れた血液が原因で発症することが数十年前には発表され、この事実は世界的に公知とされてきていた。 【0007】 具体的にがんの発症について説明すると、まず、人体(生体)において、精神状態が悪くかつ体力が低下すると、不調を抱えた部位が硬くかつ血流が悪くなり、その部位の温度が下がる(体温の低下)。その血流の悪い状態が慢性化することで、その部位に老廃物を含む汚れた血液(血球)が滞りさらにその部位の温度を下ける。そして、白血球に代表される免疫システムが働かなくなり、血液ががん細胞に分化しがんが発症する。この状態が続くことで血流がさらに悪くなり、神経を介し脳に伝わってさらに大きなストレスになり、さらにがんが進行する。 【0008】 上記3大がん治療方法に代表される専門的な治療方法では、このがんの発症のメカニズムを十分に考慮したわけではないので、がん細胞を無くす・殺すことができても、図10に示す如く、がん発症原因を放置しており、がんを完治できるわけではない。また、がん治療の終了後、その後に80%以上の患者ががん以外の病気で1年以内に死亡しているという問題点もある。 【0009】 その理由は、以下に示すように、例えば3つ存在する。1つめは、いずれの治療方法も、生まれながらに備えている免疫システムを破壊しているからである。2つめは、がん細胞を殺すために、毒物を形を変えて薬剤として利用しているからである。3つめは、がん細胞を殺すのが目的であり、がんの完治の視点がないからである。すなわち、3大がん治療方法では、患者自身の正常細胞を損傷させて患者自身が本来的に有する自然治癒力を発露できなくしてしまう側面も有していると考えられる。 【0010】 そして、上記専門的な治療方法のアプローチをとり続ける限り、長期間にわたりその治療の継続の必要に迫られることになり、金額的にも肉体的にもがん患者にはかなりの負担となっているおそれもあった。 【0011】 そこで、本考案は、前記問題点を解決するべくなされたもので、従来行われていた専門的な医療行為を必要とせず、従来よりも金銭的にも肉体的にもがん患者の負担を低減しながら、手軽に自然治癒力を最大発露させてがん細胞を血液に逆分化させる現象を導き、がんを短期間で完治させることを可能とするがん治療のための湿熱装置を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0012】 本考案は、千島学説に基づき、自然治癒力を最大発露させる温度にがん細胞を加熱する ことで、そのがん細胞を血液に逆分化させる現象を導くものである。 【0013】 考案者は、千島学説に基づくがんの発症のメカニズムの理解により、慢性的な熱不足により発生するがん細胞が高温に弱いことを認識していた。同時に、考案者は、自らの治験により、いわば使い捨てカイロを用いながら、がん細胞を効果的に加熱する手法を見出して本考案を完成させたものである。 【0014】 つまり、本考案は、生体の患部に貼付するがん治療のための湿熱装置であって、前記生体の表面に当接する透湿シートと、該透湿シートの外側に配置され、水分を含み、該透湿シートに該水分を供給する保水シートと、該保水シートの外側に脱着可能に配置され、前記生体の自然治癒力を最大発露可能とする治癒温度に前記水分を昇温し前記患部を加熱可能な発熱シートと、を有し、前記発熱シートが、通気性のある不織布の袋体の内側に金属粉を備え、該金属粉の酸化により発熱することにより、前記課題を解決したものである。 【0015】 本考案においては、患者である生体の表面に当接する透湿シートと、透湿シートの外側に配置され、水分を含み、透湿シートに水分を供給する保水シートと、保水シートの外側に脱着可能に配置され、生体の自然治癒力を最大発露可能とする加熱温度に水分を昇温し生体の患部を加熱可能な発熱シートと、を有する。即ち、発熱シートの熱は水分により生体の肌表面に伝えられる。生体の肌表面には、多くの毛穴が存在し、それぞれにおいて、水分や空気のやり取りが行われる。このため、単なる熱い空気ではなく、加熱された湿度を用いることで、毛穴が開いて生体自身が緩む効果も有する。すなわち、発熱シートの熱量を生体のより深部に迅速に伝えることができる。なお、この湿度は、発熱シートから供給されるのではなく、その内側の保水シートから供給されるので、発熱シート毎あるいはその使用時間に左右されることなく、安定した高い湿度とすることができる。そして、発熱シートは、水分を治癒温度にすることで、患部において生体の自然治癒力を最大発露可能とすることができる。つまり、生体に外部から与えるのは、湿熱だけであり、患部を物理的に切除したり、毒物から構成された薬品を投与したりしない。このため、がん細胞の周辺に存在する正常細胞を損傷させたり、その正常細胞の有する自然治癒力を阻害したりしないので、患者自身が本来的に有する自然治癒力を最大限に発露させることができる。また、発熱シートは、通気性のある不織布の袋体の内側に金属粉を備え、金属粉の酸化により発熱するものであり、高価かつ大掛かりな電子的デバイスではなく、いわゆる使い捨てカイロを規定したものであり、低コストを実現することができる。 【0016】 なお、患部に湿熱を介して十分な熱量を与える手法としては、お風呂で全身浴(半身浴を含む)を行うといったことでも代用できると考えられるかもしれない。しかし、お風呂での全身浴では、正常細胞がすぐに温まり、慢性的に熱不足ながん細胞では、血流が上がらずに温まりにくい。つまり、お風呂において、湯温が高すぎると、がん細胞が温まるまで患者は湯につかっていることはできずにがん細胞に十分な熱量を与えられない。逆に、湯温が低いと、患者がいくら長く湯につかっていてもがん細胞に十分な熱量を与えられない。つまり、お風呂による全身浴は、全体の血流をよくする観点では優れているものの、患部に十分な熱量を与えるという点で十分な効果を有していない。この点において、本考案は、生体の特定の部位となる患部のみに湿熱を与える構成を採用していることで、特別な仕掛けを必要とすることなく、がん細胞に十分な熱量を与えることができる。 【考案の効果】 【0017】 本考案によれば、従来行われていた専門的な治療方法を必要とせず、従来よりも金銭的にも肉体的にもがん患者の負担を低減しながら、手軽に自然治癒力を最大発露させてがん細胞を血液に逆分化させる現象を導き、がんを短期間で完治させることが可能となる。 【図面の簡単な説明】 【0018】 【図1】本考案の実施形態に係る湿熱装置の一例を示す概略図 【図2】図1の湿熱装置の側断面の一例を示す概略図 【図3】図2の発熱シートの発熱特性の一例を示すグラフ 【図4】体温に対する人体における症状および免疫システムの状況を示す図表(人体における症状と免疫システムの状況との対応を示す図表(A)、(A)における好中球の貪食指数と温度との関係を示すグラフ(B)) 【図5】低温やけどの時間に対する温度の関係の一例を示すグラフ 【図6】短期間でがんを完治させる3要素を示す模式図 【図7】人体を温める素材等を示す図表(人体を温める素材と冷やす素材などを示す図表(A)、人体を暖める飲み物7品を示す図表(B)) 【図8】がんの発症から完治までの一例を示すフロー図 【図9】従来技術における部位毎のがんの種類とその治療方法の対応を示す図表 【図10】従来技術における治療方法と治療概要と治療終了時の状態と完治の有無の対応を示す図表 【考案を実施するための形態】 【0019】 以下、図1〜図10を参照して、本考案の実施形態の一例を詳細に説明する。 【0020】 <湿熱装置100の概略構成> 最初に、図1に基づいて、湿熱装置100の概略構成について説明する。湿熱装置100は、人体W(生体)の患部に貼付するがん治療のための装置である。本実施形態では、がんは例えば初期症状の乳がんであり、湿熱装置100は人体Wの胸部に直接装着されている。湿熱装置100は、透湿シート108と、保水シート110と、発熱シート112と、を有する。透湿シート108は、人体Wの表面に当接する。保水シート110は、透湿シート108の外側に配置され、水分を含み、透湿シート108に水分を供給する。発熱シート112は、保水シート110の外側に脱着可能に配置され、人体Wの自然治癒力を最大発露可能とする治癒温度TPに水分を昇温し人体Wの患部を加熱可能とされている。なお、発熱シート112は、通気性のある不織布の袋体の内側に金属粉を備え、金属粉の酸化により発熱する。 【0021】 <湿熱装置100の各構成要素の構成と機能> 次に、各構成要素の構成と機能について、詳細に説明する。 【0022】 湿熱装置100は、図2に示す如く、透湿シート108と、保水シート110と、発熱シート112以外にも、ケーシング106と、温度表示シート114と、を備える。ケーシング106は、接合部106Aと、枠体106Bと、防水シート106Cと、カバーシート116と、を備える。接合部106Aは、人体Wの肌表面に貼り付けられ、透湿シート108を人体Wに当接可能とする開口部を有する粘着層の部分である。枠体106Bは、接合部106Aの開口部に連続する同一形状の開口部を備える。その開口部は、透湿シート108と、保水シート110と、発熱シート112と、温度表示シート114と、を内側に着脱可能に収納する。枠体106Bの素材は、例えば、ポリエステル(繊維状態のものを織っても編んでもよいし、不織布でもよいし、あるいはシートに整形された状態でもよい)などで高い保温性を備えることができる。なお、その開口部の内側は、透湿シート108から保水シート110の収納される部分までは防水加工され、保水シート110と発熱シート112との間には防水シート106Cが設けられている(この防水加工により、発熱シート112を交換しても防水シート106Cの内側の水分量は一定に保たれるが、必ずしもこの防水加工は必要ではない)。なお、防水シート106Cは、きわめて薄くされ、発熱シート112から伝わる熱伝導の損失を最小限にしている。 【0023】 図2に示すカバーシート116は、例えば、枠体106Bと脱着可能とされた透明な断 熱性の高い樹脂シートである。例えば、枠体106Bの枠体上端部106BAに面ファスナーなどが設けられ、対峙するカバーシート116の内側端部116Aには、対応する面ファスナーなどが設けられている。そして、カバーシート116は、温度表示シート114の外側を覆うように取り付けられる(すなわち、湿熱装置100は、透湿シート108と保水シート110と発熱シート112とを支持するケーシング106を備え、ケーシング106は発熱シート112の外側を覆うカバーシート116を備える構成ともいえる)。これにより、発熱シート112外側への熱の発散を低減しつつ、温度表示シート114を観察することを可能にしている。 【0024】 図2に示す透湿シート108は、例えば合成繊維であるポリエステルなどの織物であり、透水性に優れ、タオル地のように毛足が長いほうが望ましい。透湿シート108には、更に意図的に無数の微小な穴が設けられていてもよい。保水シート110には、例えば吸湿性の高い天然繊維の綿織物、例えばガーゼを用いることができる。保水シート110には、最初から水分、例えば真水を浸み込ませている。 【0025】 図2に示す発熱シート112は、通気性のある不織布の袋体の内側に金属粉を備え、金属粉の酸化により発熱する。発熱シート112は、いわゆる使い捨てカイロであり、低コストで作製することができる。具体的には、発熱シート112は、金属粉である酸化で発熱する鉄粉以外に、バーミキュライト(ヒル石という雲母系の原鉱石から作られる人工用土であり、水分を保水する役目を有する)と、活性炭(空気を保持し、酸素を供給する役目を有する)と、を原材料として備えることができる。他に、発熱シート112は、塩や水分を含むこともできる。なお、発熱シート112の素材の重量比率において鉄粉が約60%を占めている。発熱シート112は、金属粉が酸化しないように、使用する以前は樹脂フィルム(例えば、ポリエチレン)の袋体に密封された形態となっている。なお、発熱シート112の大きさとしては、例えば、約5cm角の正方形とされている(10cm角でもよいし、長方形や多角形や円や楕円形でもよい。患部の大きさや深さによって変更することができる)。 【0026】 なお、発熱シート112の発熱特性は、一般的に、図3のように示される。図3では、縦軸が温度、横軸が時間とされている。発熱シート112は、鉄粉の酸化が開始されると、急激に温度が上昇し、一定時間後(例えば30分後)に一定の温度TPaとなり、その温度TPaを持続時間Td保つようにされている。温度TPaと持続時間Tdは、発熱シート112の成分の配合により様々に設定することが可能である。 【0027】 本実施形態では、発熱シート112によって治癒温度TPが実現できるとしており、例えば42℃で保水シート110の水分を加熱するようにされている(すなわち、図3に示す如く、治癒温度TPとしては温度TPa(=42℃)を超えた部分を用いる)。すなわち、発熱シート112は、42℃の湿度で人体Wの肌表面を加熱可能としている。ここで治癒温度TPを42℃にしている根拠を説明する。 【0028】 図4(A)に示す如く、人体Wの平常体温は37℃とされているが、人体Wはがんに限らず風邪などの疾病にかかると体温を上昇させることで免疫力が向上し、免疫システムを効率的に働かせようとする(例えば、図4(A)に示す如く、体温が36℃から42℃近くまでは免疫力が増加する。そして、図4(B)に示す如く、白血球の一種である好中球の貪食指数IIも、例えば、42℃で最大となる)。すなわち、ある程度の範囲までなら体温が高いほど、自然治癒力が増大する。このため、本実施形態では、肌表面から深部に存在する患部を41℃程度に加熱させるべく、熱ロスを考慮して、治癒温度TPを42℃としている。これにより、患部を41℃程度に加熱でき、免疫システムを向上させ細胞の活性状態を最大にして、千島学説で唱えるようにがん細胞を血液に逆分化させることができる。なお、治癒温度TPは、平常体温37℃よりも高い温度である。このため、治癒温 度TPで低温やけどが生じる可能性があるが、図5に示す低温やけどと時間の関係を示すグラフにおいて、42℃ではほとんど低温やけどを生じないことがわかる。この点からも、治癒温度TPを42℃とすることが好ましい。 【0029】 図1、2に示す温度表示シート114は、例えば、可逆性のサーモペイントをインク化して印刷した樹脂製のシートであり、内側に配置される発熱シート112の温度を感知して表示する(すなわち、温度表示シート114は、発熱シート112の外側に配置され、発熱シート112の温度を感知して表示する構成である)。つまり、特定の温度のときにサーモペイントで印刷された温度表示部114A、114B、114Cが変色することで、いずれの温度であるかをリアルタイムで認識可能となっている。例えば、温度表示シート114には、発熱シート112の温度が41℃、42℃、43℃の際に変色する3つの温度表示部114A、114B、114Cを印刷しておくことができる。なお、これに限らず、サーモペイントのインクは印刷せずに、ポリエステルフィルムのカプセルに封入して用いられていてもよい。 【0030】 <生活環境> 次に、湿熱装置100によるがんを完治させる際の生活環境について説明する。がんの完治をより短期間で実現するために、生活環境を改善することは千島学説でも強調されている。まずは、図6に示すように、(1)湿熱装置100による治療と(2)半断食と(3)和食の3つの円の重なりの部分A4を作り出すことが望ましい。この部分A4において、人体Wの免疫システムの能力を最大限に発露させ自然治癒力を最大限に引き出すことをさらに容易にして、湿熱装置100による治療をより効果的にし、更に短期間でがんの完治を可能にすることができる。(1)湿熱装置100による治療手順は後述することとして、(2)半断食と(3)和食について以下に説明する。 【0031】 半断食とは、まず、白血球(の好中球)の貪食機能を最大とするため、一日1食あるいは2食として、人体Wが絶えず空腹状態(飢餓状態)であるように食べる量を減らす(腹5分目程度)ことである。そして、和食とは、その際の食事のスタイルであり、人体Wを温める素材を使用する。食べ過ぎと冷えは特に現代文明人の宿敵であり、あらゆる疾病のもとになりやすいからである。参考までに、人体Wを温める素材等を図7(A)に、人体Wを即効で温める飲み物7種類を図7(B)に示す。これらを用いて食事および飲み物を用意することが望ましい。素材としては、動物性蛋白質(例えば、肉、卵、牛乳、バターなど)の摂取を控え(例えば、それまでの摂取量の1/4程度)、伝統的な野菜中心の日本食をよく噛んで食べるのがよい。具体的な半断食の基本食は、例えば、朝食に人参(2本)・リンゴ(1個)のジュース(コップ2.5杯)と生姜紅茶(黒砂糖又は蜂蜜入りでコップ1〜2杯、昼食にそば(例、とろろそばやわかめそばに、ねぎ、わさび、七味唐辛子などの薬味をトッピング可能)などの軽い和食、夕食に和食を中心に好きなものとなる。これにより、人体Wに流れる血液をサラサラ状態にすることが可能となる。 【0032】 加えて、強健術の実践を日課とすることが望ましい。強健術では、例えば、基本的に腹式呼吸を用いるが、息を吸うときと吐くときと息を止めるときそれぞれで全身への意識を変化させることが重要である。具体的な動作として、正座丹田呼吸法(背骨の形をS字カーブに正して行う)、睡眠時に大の字呼吸法、かかと落とし、散歩時に背筋を伸ばして大股歩きをしながら大手を振ること、目への湿熱刺激などがある。これにより、有酸素運動と無酸素運動の効果が得られ、人体Wの筋肉の運動・鍛錬も図れ、結果的に毛細血管の再生を促進することができる。 【0033】 <湿熱装置100を用いたがんを治療する手順> 次に、湿熱装置100を用いたがんを治療する手順を、図8に基づいて詳細に説明する。 【0034】 まず、がんが発症した際(図8、ステップS2)に人体Wに対して診察を行い、疾病の状況の確認を行う。そして、患部の位置、大きさ、進行状況を把握する。この工程は、主に医療従事者によって行われる。 【0035】 次に、湿熱装置100を患部に一番近い肌表面に貼付する(図8、ステップS4)。本実施形態では、疾病が乳がんであるので、しこりの部分に一番近い胸部の肌表面に、湿熱装置100を貼り付ける。なお、この段階の湿熱装置100は、発熱シート112と温度表示シート114とカバーシート116を除いた状態で貼り付ける。そして、発熱シート112を密閉状態から開封し、十分に発熱が進んだ状態で、湿熱装置100に組み込み、温度表示シート114とカバーシート116とを取り付ける。この工程は、医療従事者が行ってもよいが、患者自身、あるいは介助者が行ってもよい。 【0036】 次に、湿熱装置100による治療を行う(図8、ステップS6)。この治療は、発熱シート112を、治癒温度TPに昇温した状態にして、10時間、湿熱装置100に装着する。この工程も、医療従事者が行ってもよいが、患者自身あるいは介助者が行ってもよい。 【0037】 次に、がん細胞の有無を確認する(図8、ステップS8)。本実施形態では、例えば腫瘍マーカーを利用する。腫瘍マーカーは、人体Wのどこかに腫瘍ができた際に、血液中や排泄物中に増えてくる特別な物質であり、たんぱく質や酵素、ホルモンなどがある。本実施形態では、疾病を乳がんとしているので、血液検査によって、主にCA19−9、CYFRA、CA125などの腫瘍マーカーの増減を確認する。もちろん、疾病の確認に、レントゲン、CT、超音波検査などを使用してもよい。この工程は、主に医療従事者によって行われる。 【0038】 もし、がん細胞があれば(図8、ステップS8でNo)、ステップS6に戻り、湿熱装置100による治療を継続する。そして、がん細胞がなくなるまで継続する。 【0039】 そして、がん細胞がなくなれば(図8、ステップS8でYes)、血液がさらさらであるか?体温が平常体温であるか?正常細胞に異常があるか?を確認し、がんの完治を確認し(図8、ステップS10)、終了する。この工程も、主に医療従事者によって行われる。 【0040】 <湿熱装置100による作用効果> 次に、本実施形態の湿熱装置100の作用効果を説明する。 【0041】 このように、本実施形態では、透湿シート108と、保水シート110と、発熱シート112を有する湿熱装置100を備える。即ち、発熱シート112の熱は水分により湿度という形で人体Wの肌表面に伝えられる。人体Wの肌表面には、多くの毛穴が存在し、それぞれにおいて、水分や空気(皮膚は、肺の200分の1となるが、呼吸も行うことが知られている)のやり取りが行われる。このため、単なる熱い空気ではなく、加熱された湿度を用いることで、毛穴が開いて人体W自身が緩む効果も有する。すなわち、湿熱装置100からの熱は肌表面の凹凸に影響されず、発熱シートの熱量を人体Wのより深部に迅速に伝えることができる。なお、この湿度は発熱シート112から供給されるのではなく、その内側の保水シート110から供給されるので、発熱シート112毎あるいはその使用時間に左右されることなく、安定した高い湿度とすることができる。そして、発熱シート112は、水分を治癒温度TPにすることで、患部を人体Wの自然治癒力を最大発露可能にすることができる。つまり、人体Wに外部から与えるのは、湿熱だけであり、患部を物理的に切除したり、毒物から構成された薬品を投与したりしない。このため、がん細胞の 周辺に存在する正常細胞を損傷させたり、その正常細胞の有する自然治癒力を阻害したりしないので、患者自身が本来的に有する自然治癒力を最大限に発露させることができる。また、発熱シート112は、通気性のある不織布の袋体の内側に金属粉を備え、金属粉の酸化により発熱するものであり、高価かつ大掛かりな電子的デバイスではなく、いわゆる使い捨てカイロを規定したものであり、低コストを実現することができる。しかも、発熱シート112は脱着可能に配置されるので、発熱シート112の発熱性能にばらつきがあっても、交換して所望の性能の発熱シート112を選択して使用することができる。さらには、医療関係者のみならず、患者自身が疾病の治療行為を行うことができる。 【0042】 なお、本実施形態では、治癒温度TPを42℃とし、その温度で発熱シート112を10時間装着していたが、本考案はこれに限定されない。例えば、治癒温度TPを42℃以上としてもよい。その際には、発熱シート112を装着する装着時間を、図5で示した低温やけどの条件未満となる時間とし、その装着時間を断続的に行うようにしてもよい。勿論、治癒温度TPが42℃であっても、それを短時間で断続して装着するようにしてもよい。発熱シート112を断続的に装着する場合には、患部が加熱される時期と患部が冷める時期とが交互に行われることになる。ここで、患部が冷める過程が熱刺激となる。この熱刺激は、患部を緊張させ揺さぶることにより、患部を目覚めさせることができる。つまり、患部に非日常の温度をぶつけることで、限界まで緊張したあとに、数分かけて、冷めていく過程で患部の緊張状態を緩ませることができる。同時に、患部周囲の活性化した正常細胞の血流の増加も相まって、患部の血流が促される。血流が促進されることで、患部は勝手に熱を発するようになる。また、加熱と冷却のリズムがあることで、より高い血流効果を促進することが可能である。つまり、このような、発熱シート112の断続的な装着はより効果的に患部を熱刺激することが可能である。 【0043】 また、本実施形態では、湿熱装置100が透湿シート108と保水シート110と発熱シート112とを支持するケーシング106を備え、ケーシング106は、発熱シート112の外側を覆うカバーシート116を備える。このため、湿熱装置100は、安定して所定の位置に装着することができる。しかも、カバーシート116により、発熱シート112から外部に発散してしまう熱量を遮断でき、発熱シート112の熱量を効果的に活用することができる。なお、これに限らず、ケーシングがなくてもよい。あるいは、ケーシングがあっても、カバーシートがない状態であってもよい。 【0044】 また、本実施形態では、発熱シート112の外側に配置され、発熱シート112の温度を感知して表示する脱着可能な温度表示シート114を備える。すなわち、温度表示シート114により、客観的にリアルタイムに発熱シート112の温度を知ることができる。このため、基本的には、発熱シート112に対する患者自身の熱すぎる、暖かくないといった温度感覚で、発熱シート112の脱着を判断できるものの、温度表示シート114の示す温度状態で、不快でも我慢して装着すべきかどうかを客観的に判断することが可能である。 【0045】 更に、本実施形態では、温度表示シート114を覆うように、透明なカバーシート116がある。このため、発熱シート112の熱の外部への発散を温度表示シート114とカバーシート116の2枚で遮断できるので、単にカバーシート116で覆うだけに比べて発熱シート112の熱を効果的に活用することができる。同時に、温度表示シート114の温度表示部114A、114B、114Cの確認を、湿熱装置100に接触することなく確認できる。そして、発熱シート112の温度測定のために患部への加熱状況を変化させることがないので、安定した治療を実現することができる。更には、温度表示シート114により、最適な発熱特性の発熱シート112を選択できることで、仮に発熱シート112の特性がばらついてしまうような低価格の発熱シート112であっても、患部の温度をより正確に制御することができる。更には、医療関係者のみならず、患者自身がリアル タイムで発熱シート112の温度が妥当であるかどうかを判断することができる。 【0046】 なお、これに限らず、カバーシート自体が温度表示シート114であってもよい。その場合には、湿熱装置100をより薄型にでき、湿熱装置100の大きさによる装着部位の制限を少なくすることができる。もちろん、温度表示シート114がなくてもよい。 【0047】 また、本実施形態では、発熱シート112の温度管理は、温度表示シート114によりリアルタイムで確認可能とし、湿熱装置100への装着時間は図示しない時計などを利用して行ったが、本考案はこれに限定されない。例えば、発熱シート112の温度管理と発熱シート112の装着時間を併せて行えるような発熱シート管理ユニットを別に備えてもよい。 【0048】 したがって、本実施形態では、まず、臓器毎に行われていた専門的な治療方法を一切行う必要がない。そして、がんが完治するまで、使い捨てカイロを装着するだけである。そのため、人体Wに負担がなく、副作用も出ることなく、がんの再発も防止することができる。そして、安価であり、正常細胞を損傷させることもなく、確実にがんを短期間で完治させることができる。すなわち、従来行われていた専門的な治療方法を必要とせず、従来よりも金銭的にも肉体的にもがん患者の負担を低減しながら、手軽に自然治癒力を最大発露させてがん細胞を血液に逆分化させる現象を導き、がんを短期間で完治させることが可能である。 【0049】 <他の実施形態> 本考案について第1実施形態を挙げて説明したが、本考案は上記実施形態に限定されるものではない。即ち本考案の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでもない。 【0050】 例えば、上記実施形態では、湿熱装置100は1つだけとされていたが、本考案はこれに限定されない。例えば、湿熱装置100は、複数とされ、患部を挟むようにそれぞれ配置されてもよい。その際には、上記実施形態に比べて、より大きな熱量を複数方向から放出することができるので、人体Wのより深部であってより大きな患部に対して、効果的な治療を行うことが可能である。 【0051】 なお、1つの患部に対して複数の湿熱装置100を用いることはしてもよいが、複数の患部に対しては時間的にずらして治療を行うことが望ましい。複数個所を同時にすると、人体Wに対して刺激だらけになり、効果が打ち消しあうおそれがあるからである。 【0052】 また、上記実施形態では、疾病を初期症状の乳がんとしていたが、本考案の適用は、これに限られない。例えば、乳がんではなく、脳神経系、消化器系、呼吸器系、泌尿器系、婦人科系、頭頸部、血液系、小児、皮膚など図9に示されたいずれのがんが対象でもよいし、初期症状のがんではなく中期症状のがん、末期症状のがんなどに本考案が適用されてもよい。 【0053】 なお、本考案は、がんではなく、ウイルス性のインフルエンザ(新型を含む)、腹痛、風邪、下痢、胸やけ、胃潰瘍、白内障、老眼、近眼、帯状疱疹、腎不全、食欲不振、便秘、むくみ、自律神経失調症、視力低下、花粉症、精神的イライラ、中耳炎、蓄膿症、高血圧、低血圧、狭心症、慢性疲労、首や肩のこり、腕のしびれ、呼吸の改善、坐骨神経痛、糖尿病、肝炎、膀胱炎、水虫、ジンマシン、肌荒れ、冷え性、痔、抜け毛、精力減退、不眠症、ノイローゼ、生理不順、更年期障害、痛風、胆石、肝臓病、貧血などの疾病や症状に本考案が適用されてもよい。なお、患部を特定できないような疾病や症状の場合には、後頭部、肩甲骨の間、あるいは仙骨の上あたりの部位に湿熱装置を装着することで、相応 の効果を奏することができる。 【0054】 また、上記実施形態においては、湿熱装置100は人体Wを対象としているが、本考案の適用はこれに限られない。例えば、犬や猫といった動物を含む生体を対象とした湿熱装置であってもよい。 【実施例】 【0055】 以下、考案者のペットである雌猫マリに湿熱を用いてがん治療を実施した際の状況を説明する。 【0056】 <治療前の状況> 動物病院の診断により、慢性腎不全であったが、食欲不振が歯の影響とされ、抜歯を実施した。この時点で血液検査に異常は見当たらず、投薬および点滴を毎日行っていた。しかし、4日後に血液検査及び超音波検査にて、内臓にがんが発症し、がん細胞が腸および胃を圧迫している状態(内臓にすき間のない状態)を確認した。この時点で、雌猫マリは、流動食を受け付けず、唾液の分泌が異常な状態となっていた。それから5日間、抗がん剤治療を施すも効果がなかった(抜歯から9日後)。 【0057】 <治療およびその効果> 上述の湿熱装置100の原理に基づき、雌猫マリの腹部へ湿熱による治療を開始した(抜歯から10日後)。湿熱条件は、1日、50℃〜40℃(温度が50℃から下がるため)を3分、これを3回行った。湿熱治療開始から3日目に唾液の分泌が異常な状態が変化し、湿熱治療開始から5日目に正常に戻った。湿熱治療開始から11日目に、雌猫マリは再び流動食を受け付けるまでに回復し、その日から散歩が可能となった(2日間で290m歩く)。ただし、湿熱治療開始から15日目に、雌猫マリの体重減少が止まらず、残念ながら死亡してしまった。 【産業上の利用可能性】 【0058】 本考案は、がん治療のために広く適用することができる。 【符号の説明】 【0059】 100…湿熱装置 106…ケーシング 106A…接合部 106B…枠体 106BA…枠体上端部 106C…防水シート 108…透湿シート 110…保水シート 112…発熱シート 114…温度表示シート 114A、114B、114C…温度表示部 116…カバーシート 116A…内側端部 A4…部分 II…貪食指数 Td…持続時間 TP、TPa…温度 W…人体 |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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【図6】 |
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【図7】 |
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【図8】 |
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【図9】 |
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【図10】 |
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