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【考案の名称】防振支持装置 【実用新案権者】 【識別番号】505421870 【氏名又は名称】杉野 直記 【住所又は居所】北海道上川郡下川町南町461−2 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100106954 【氏名又は名称】岩城 全紀 【考案者】 【氏名】杉野 直記 【住所又は居所】北海道上川郡下川町南町461−2 【要約】 【課題】 建物などの構造物を利用してカメラ等を設置する場合に、建物の揺れを確実に吸収することができ、撮影された映像に極力ブレが生じず、且つ屋外での長期使用に対する耐久性を備えた防振支持装置の提供。 【解決手段】 構造物に設置される支持枠12と、支持枠12の内側に揺動可能に設置され、カメラ等の精密機器を支持する可動枠14とを備え、支持枠12と可動枠14との間を、固有振動数が異なる第1及び第2のコイルバネ16,18によって連結し、コイルバネ16,18によって振動を減衰させながら、可動枠14に支持されているカメラ等の精密機器へ振動が伝達されるのを防止する。 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 構造物に設置される支持枠と、 前記支持枠の内側に揺動可能に設置され、カメラ等の精密機器を支持する可動枠とを備え、前記支持枠と可動枠との間を、固有振動数が異なる2以上の弾性部材によって連結し、該2以上の弾性部材によって構造物に生じる振動を減衰させながら、前記可動枠に支持されているカメラ等の精密機器へ振動が伝達されるのを防止することを特徴とする防振支持装置。 【請求項2】 前記弾性部材としてコイルバネを用いているとともに、該コイルバネは、前記支持枠と接続される第1のコイルバネ、第2のコイルバネの少なくとも二つのコイルバネによって構成され、該第2のコイルバネは、その上座部が該第1のコイルバネの上座部に連結されているとともに、その外径寸法が前記第1のコイルバネよりも小径に形成され、該第1のコイルバネの内側に該第2のコイルバネを配設し、且つ該第2のコイルバネの下座部に前記可動枠を取り付けてなることを特徴とする請求項1に記載の防振支持装置。 【請求項3】 前記可動枠にバランスウエイトが取り付けられ、該可動枠に鉛直方向の力を作用させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の防振支持装置。 【請求項4】 前記第1のコイルバネと第2のコイルバネとの連結部分に緩衝材が取り付けられ、該緩衝材によって第1のコイルバネから伝達される振動を減衰しながら、第2のコイルバネによって振動を吸収するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防振支持装置。 【請求項5】 前記第1のコイルバネは、一対のバネを組み合わせてなることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の防振支持装置。 【考案の詳細な説明】 【技術分野】 本考案は、防振支持装置に係り、特にカメラ等の精密機器を設置する際に、地震、風などによって生じる振動によって画像が乱れたりすることを防止する際に利用される防振支持装置に関する。 【背景技術】 近年、屋外に設置される防犯カメラや、気象観測カメラなど、無人で使用されるカメラが増加している。このようなカメラは、通常、建築物などの構造物に直接支持されている場合が多い。従って、地震発生時には、カメラ本体に振動が伝わり、撮影された画像にブレが生じるため、見づらくなると言う問題がある。 そこで、カメラに生じるブレを防止するため、様々な装置が提案されている。例えば、特開平9-20184号公報(特許文献1)記載の撮影機の保持装置では、請求項1等に記載されているように自動車内に吊り下げ可能なハンガと、このハンガの下端に設けられた基台と、この基台に緩衝材を介して支持され且つ上面に撮影機が固定される台座とを備え、ハンガと台座との一部を、サポーアームで連結したことを特徴している。つまり、同装置の場合、緩衝材とサポートアーム及びハンガとを組み合わせることによって横揺れ(ローリング)や、縦揺れ(ピッチング)に対する防振効果を得られるようになっている。 【特許文献1】 特開平9-20184号公報 また、特開平10-47945号公報(特許文献2)には、昇降架台、計測アームの振れ止め時間を短縮することを主な目的とした考案について開示され、精密機器である計測アーム等の振れを防止する考案である。一方で、同公報にはカメラブレを防止することについては触れられていないが、振動等を防止すると言う点でカメラの防振装置に応用することも可能な考案である。 【特許文献2】 特開平10-47945号公報 【考案の開示】 【考案が解決しようとする課題】 しかしながら、前述した特許文献1に記載されている撮影機の保持装置は、自動車内のサンバイザに取り付けるには適した構造を有しているものの、構造物を利用してカメラを屋外に設置する場合については考慮されていない。このため、特に地震による建物の揺れなどに対する防振対策が不十分であり、地震や強風による建物の揺れを十分に吸収できず、撮影される映像にブレが生じると言う欠点がある。 また、特許文献2に記載されているセンターリング計測装置及び計測方法に関する考案は構造が複雑、且つ部品点数が非常に多いために、装置全体としてコスト高になることは避けられない。さらに、屋外での使用が想定されていないため、装置全体としての耐久性に問題が残る。 本考案は、このような諸事情に対処するために提案されたものであって、建物などの構造物を利用してカメラ等を設置する場合に、建物の揺れを確実に吸収することができ、撮影された映像に極力ブレが生じず、且つ屋外での長期使用に対する耐久性を備えた防振支持装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、請求項1記載の考案は、構造物に設置される支持枠と、前記支持枠の内側に揺動可能に設置され、カメラ等の精密機器を支持する可動枠とを備え、前記支持枠と可動枠との間を、固有振動数が異なる2以上の弾性部材によって連結し、該2以上の弾性部材によって構造物に生じる振動を減衰させながら、前記可動枠に支持されているカメラ等の精密機器へ振動が伝達されるのを防止することを特徴とする。 請求項2記載の考案は、請求項1において、前記弾性部材としてコイルバネを用いているとともに、該コイルバネは、前記支持枠と接続される第1のコイルバネ、第2のコイルバネの少なくとも二つのコイルバネによって構成され、該第2のコイルバネは、その上座部が該第1のコイルバネの上座部に連結されているとともに、その外径寸法が前記第1のコイルバネよりも小径に形成され、該第1のコイルバネの内側に該第2のコイルバネを配設し、且つ該第2のコイルバネの下座部に前記可動枠を取り付けてなることを特徴とする。 請求項3記載の考案は、請求項1又は2において、前記可動枠にバランスウエイトが取り付けられ、該可動枠に鉛直方向の力を作用させるようにしたことを特徴とする。 請求項4記載の考案は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記第1のコイルバネと第2のコイルバネとの連結部分に緩衝材が取り付けられ、該緩衝材によって第1のコイルバネから伝達される振動を減衰しながら、第2のコイルバネによって振動を吸収するようにしたことを特徴とする。 請求項5記載の考案は、請求項2乃至4のいずれか1項において、前記第1のコイルバネは、一対のバネを組み合わせてなることを特徴とする。 【考案の効果】 上述のように、請求項1乃至5記載の考案によれば、支持枠と可動枠との間を、固有振動数が異なる2以上の弾性部材によって連結し、2以上の弾性部材によって構造物に生じる振動を減衰するようにしている。即ち、弾性部材の固有振動数の相違によって共振現象を防止することができ、可動枠に伝達される振動を大幅に低減することが可能である。 特に、請求項2記載の考案によれば、弾性部材としてコイルバネを用いているので、構造をシンプルにすることが可能となった。これにより、屋外における長期間の使用に対する耐久性が向上している。 特に、請求項3記載の考案によれば、可動枠にバランスウエイトが取り付けられ、該可動枠に鉛直方向の力を作用させ、これによって、可動枠に生じる横方向の揺れを速やかに収束させることが可能である。 【考案を実施するための最良の形態】 以下、本考案に係る防振支持装置の好適な実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は本考案の一つの実施形態に係る防振支持装置の全体の構成を示す斜視図、図2は防振支持装置の一部断面正面図、図3は平面図、図4は図2のIV−IV線に沿った矢視断面図である。 図1に示されるように、本実施形態の防振支持装置10は、支持枠12と、支持枠12の内側に揺動可能に設置された可動枠14と、支持枠12と可動枠14との間を連結する弾性部材として、第1のコイルバネ16及び第2のコイルバネ18等とを主要な要素として構成されている。 支持枠12は、上部がカットされた略円錐形に形成され、その上部には、後述するカメラによる撮影を行うために切り欠いた窓12Aが設けられ、正面視台形状をなし、その内部には可動枠14が配設されている。可動枠14には、カメラ等の精密機器が設置される載置台14Aが吊り下げられている。 支持枠12上部の縁部12Bは、第1のコイルバネ16の下端と連結されている。第1のコイルバネ16は、円錐形の一対の圧縮コイルバネを組み合わせることによって構成され、具体的にはコイルバネ16A、及びコイルバネ16B同士は、その取り付け位置を180度ずらした状態で組み合わされ、それぞれのバネ16A,16Bの下座部が支持枠12の縁部12Bに溶接などによって接合されている。 また、バネ16A,16Bの上座部は、上部天板20の下面に連結され、支持枠12に自身などによって生じた揺れを、上部天板20に対してコイルバネ16A、コイルバネ16Bを介して伝達するようになっている。上部天板20の上面には、重り22が取り付けられている。 さらに、上部天板20の中央部下側には、振動吸収用の緩衝材として、防振ゴム24が取り付けられているとともに、防振ゴム24の下端に、第2のコイルバネ18の上座部18Aが接続されている。この防振ゴム24によって、第1のコイルバネ16と、第2のコイルバネ18とは、一旦分離された状態となり、第1のコイルバネ16の振動は、防振ゴム24によって減衰された後、固有振動数の異なる第2のコイルバネ18に伝達される。この固有振動数の相違によって共振現象を防止することができ、可動枠14に伝達される振動を低減することが可能となっている。 図2及び図4に示されるように、可動枠14は、レバー部14Aと、吊り下げ部14Bと、左右一対のバランスウエイト14C等とを備えて構成されている。レバー部14Aは、第2のコイルバネ18の下座部18Bと連結され、これにより、可動枠14が第2のコイルバネ18によって揺動可能に吊り下げられた状態となる。 吊り下げ部14Bは、図2に示されるように、正面視略Uの字状に形成され、レバー部14Aの下面側に取り付けられている。吊り下げ部14Bの内側には、ビデオ撮影用、又は静止画撮影用のカメラ26が載置されている。また、レバー部14Aの両端部には、バランスウエイト14C、14Cがワイヤなどによって垂下した状態で取り付けられ、可動枠14に対し重力を利用した鉛直方向の力を作用させ、可動枠14に揺れが生じた場合に、可動枠14が鉛直方向に戻ろうとする力を第2のコイルバネ18に生じさせることにより、第2のコイルバネ18の揺れを速やかに収束させるようになっている。可動枠14の下部には、揺れを検出することによってカメラ26の電源をオンする振動検出スイッチ28が取り付けられている。 図5は振動検出スイッチ28の正面図である。同図に示されるように、振動検出スイッチ28は、支持棒30と、分銅32と、レバー34と、オンオフスイッチ36等とから構成されている。支持棒30の上端には分銅32を支持する受け皿30Aが設けられており、通常時には分銅32を支持している。分銅32は支持棒30に鎖32Aによって取り付けられている。分銅32は、可動枠14に振動が加わると、図5の二点鎖線に示されるように落下し、支持棒30に取り付けられているシーソー式のレバー34に当接してレバー34を下向きに回動させるようになっている。レバー34の先端はオンオフスイッチ36と金属線によって連結され、レバー34の動きによってオンオフスイッチ36がオンされるようになっている。このため、可動枠14に地震などによって振動が加わると、前述したカメラ26の電源がオンされるので、地震の発生と同時に撮影を自動的に開始することができる。 上記のように構成した本実施形態の防振支持装置の作用は以下の通りである。 まず、地震等によって建物に揺れが加わった場合、図1に示される支持枠12に揺れが伝達される。その揺れは、支持枠12の縁部12Bから第1のコイルバネ16に伝達される。前述したように、第1のコイルバネ16は、円錐形の一対の圧縮コイルバネ16A,16Bを組み合わせているので、加わる力Fは、F=kxのように、バネ定数kと変位xとは比例関係にあるために、1本のコイルバネに比較して、第1のコイルバネに生じる変位は、半分の0.5xで済むようになる。 【0023】 このため、防振支持装置10を設置している建物に地震によって大きな揺れが加わった場合に、まず、第1のコイルバネ16によって、縦方向の振動が吸収され、半分となった変位につき第2のコイルバネ18へ伝達される。この際、第1のコイルバネ16の上座部17,17と、第2のコイルバネ18の上座部18Aとの間には、上部天板20及び防振ゴム24が介在しているので、この防振ゴム24によって減衰された振動が第2のコイルバネ18へ伝わる。 そして、第2のコイルバネ18によって振動を吸収しながら、最終的にカメラ26が載置されている可動枠14へ振動が伝わる。即ち、振動を吸収するためのバネの有効長は、図2に示されるように、第1のコイルバネ16の有効長である2L1と、第2のコイルバネ18の有効長であるL2との和となる。このため、防振支持装置10全体に生じる揺れを各コイルバネ16A,16B,18によって吸収することができ、結果的に可動枠14に設置されているカメラ26へ生じる縦方向の揺れを少なくすることが可能となる。これにより、カメラ26によって撮影される動画や静止画に生じる映像のブレを低減することができる。また、横方向の揺れについては、可動枠14に取り付けたバランスウエイト14Cの作用によって迅速に収束させることが可能である。 なお、本実施形態の防振支持装置10では、第1のコイルバネ16を一対のコイルバネで構成するとともに、第1のコイルバネ16に第2のコイルバネ18を連結して、振動を吸収する弾性部材としたが、バネの数を設置される建物に応じて適宜変更し、最適な有効長となるように設定することは勿論可能である。例えば、本実施形態では、合計3本のコイルバネを用いて弾性部材を構成したが、これに限らず、例えば合計4本とするなど、その数は幾つでもよい。また、コイルバネ以外の渦巻きバネや、竹の子バネなど、どのようなバネを用いてもよい。 また、本実施形態では防振支持装置10が適用される精密機器として、可動枠14に載置されたカメラ26に適用した場合について説明したが、これに限らず、各種の計測装置などに利用することが可能である。 【産業上の利用可能性】 以上説明したように、本考案によれば、弾性部材を介して支持装置を設置し、建物の揺れを弾性部材によって減衰しているため、撮影された映像に生じるブレを少なくすることが可能である。また、構造がシンプルなため、屋外での長期使用に対する耐久性を備えている。 【図面の簡単な説明】 【図1】本考案の一つの実施形態に係る防振支持装置の全体の構成を示す斜視図である。 【図2】同じく、本考案の一つの実施形態に係る防振支持装置の一部断面正面図である。 【図3】同じく、本考案の一つの実施形態に係る防振支持装置の防振支持装置の平面図である。 【図4】図2のIV−IV線に沿った矢視断面図である。 【図5】本考案の一つの実施形態に係る防振支持装置に使用されている振動検出スイッチの正面図である。 【符号の説明】 10 防振支持装置 12 支持枠 12A 窓 12B 縁部 14 可動枠 14A レバー部 14B 吊り下げ部 14C バランスウエイト 16 第1のコイルバネ 16A 16B コイルバネ 17 上座部 18 第2のコイルバネ 18A 上座部 18B 下座部 20 上部天板 22 重り 24 防振ゴム 26 カメラ 28 振動検出スイッチ 30 支持棒 30A 受け皿 32 分銅 32A 鎖 34 レバー 36 オンオフスイッチ |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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