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機械器具
 
【発明の名称】電動ドライバー
【出願人】
【識別番号】319007918
【氏名又は名称】前田 栄治
【住所又は居所】静岡県三島市長伏84-4 アルプス三島801
【代理人】
【識別番号】100083633
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏
【発明者】
【氏名】前田 栄治
【住所又は居所】静岡県三島市長伏84-4 アルプス三島801
【要約】
【課題】本発明は水平状態の左右のずれを確認して正確な下穴加工やタップ立て加工が可能となると共に、ドライバー本体が全方向の作業を行っても、正確な下穴加工やタップ立て加工が可能となり、且つ、水準器の傷損の防止が可能となる電動ドライバーを提供することを目的とする。
【解決手段】先端にドライバービットやタップなどの工具7を固定して回動させると共に把持部2を少なくとも有した電動ドライバーに於いて、ドライバー本体1の上面1aと後端面1bに水準器4を設け、且つ、ドライバー本体1の先端側に、水平状態の左右のずれを防止する水平位置決めアタッチメント6を着脱可能に設ける。又、前記水平位置決めアタッチメント6を、ドライバービットやタップと水平方向に於いて平行で且つ出し入れ自在に付勢された2本の伸縮棒61と、該伸縮棒61が収納されるケース62と、各ケース62を連結する連結環63と、取付ネジ64と、から少なくとも構成しても良い。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にドライバービットやタップなどの工具(7)を固定して回動させると共に把持部(2)を少なくとも有した電動ドライバーに於いて、ドライバー本体(1)の上面(1a)と後端面(1b)に水準器(4)を設け、且つ、前記ドライバー本体(1)の先端側に、水平状態の左右のずれを防止する水平位置決めアタッチメント(6)を着脱可能に設けたことを特徴とする電動ドライバー。
【請求項2】
先端にドライバービットやタップなどの工具(7)を固定して回動させると共に把持部(2)を少なくとも有した電動ドライバーに於いて、ドライバー本体(1)の上面(1a),後端面(1b),側面(1c),下端面(1d)に水準器(4)を面一に埋設させたことを特徴とする電動ドライバー。
【請求項3】
前記水平位置決めアタッチメント(6)が設けられた請求項2記載の電動ドライバー。
【請求項4】
前記水平位置決めアタッチメント(6)が、ドライバービットやタップと水平方向に於いて平行で且つ出し入れ自在に付勢された2本の伸縮棒(61)と、該各伸縮棒(61)が収納されるケース(62)と、各ケース(62)を連結する連結環(63)と、取付ネジ(64)と、から少なくとも構成された請求項1又は3記載の電動ドライバー。
【請求項5】
前記水準器(4)の上面に開閉可能なスライド扉(5)が設けられた請求項1又は2記載の電動ドライバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水準器を設けた電動ドライバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にハンドタイプの電動ドライバーを使用して、機械装置やコンクリート製或いは石材製の垂直面などに下穴を穿設させ、その穴にネジ山を形成させるタップ立て加工を行う場合、垂直方向や水平方向に正確にタップ立て加工が行われないと、ネジを取付けると、ネジが傾いて取付けられてしまう。このため、取付け強度不足や見た目が悪く、特に皿ネジを使用する際、ネジ頭が傾くと表面から突出してしまう恐れが生じる。更にタップ立て加工を行う場合、タップの欠損や折れが生じ易かった。しかしながら、ジグ等を使用して1つずつ正確に水平方向及び垂直方向を確認して作業をすることが可能であるが、極めて作業性が悪いため、勘でタップ立て加工が行われているのが現状である。
【0003】
一方、ハンドタイプの電動ドリルに於いては、水準器付きのハンドタイプ電動ドリル等が提案されている。例えば、特開平7−214408号がある。この構造は、電動ドリルの適所に全方向の水平度を確知し得る水準器を着脱自在に設けたもの、水準器を直交するように2つを設置したもの、立方体若しくは直方体形状の水準器を任意に一面に設けたものなどである。この目的は、垂直孔、水平孔を正確且つ迅速に開けるためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開平7−214408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開平7−214408号は、水平の穴を穿設する場合、電動ドリルの
前後の傾き(水平)と、電動ドリルの上面の左右の傾きは、水準器の泡で確認できるが、図7に示すような平面図に於ける水平状態の左右のずれを確認することは出来なかった。つまり、水準器を直交するように2つを設置しても、2つの水準器の泡が中央を確保した状態のままであるので、図7のような水平状態の左右のずれを水準器で確認することが不可能であった。
また特開平7−214408号は、水準器が電動ドリルの表面から突出して取付けられているため、電動ドリルを収納する時、電動ドリルを取出す時、電動ドリルを持ち運ぶ時などに物が水準器に当り、傷を付けたり、破損させたりする恐れがあった。
【0006】
本発明は水平状態の左右のずれを確認して正確な下穴加工やタップ立て加工が可能となる電動ドライバーを提供することを目的とする。
【0007】
また本発明の別の目的は、ドライバー本体が全方向の作業を行っても、正確な下穴加工やタップ立て加工が可能となり、且つ、水準器の傷防止や破損防止が可能となる電動ドライバーを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記現状に鑑みて成されたものであり、つまり、先端にドライバービットやタップなどの工具を固定して回動させると共に把持部を少なくとも有した電動ドライバーに於いて、ドライバー本体の上面と後端面に水準器を設け、且つ、ドライバー本体の先端側に、水平状態の左右のずれを防止する水平位置決めアタッチメントを着脱可能に設けたことを特徴とした構造とする。又、従来の前記電動ドライバーに於いて、ドライバー本体の上面,後端面,側面,下端面に水準器を埋設させた構造としても良い。この時、水準器の上面にスライド扉や、ドライバー本体に水平位置決めアタッチメントを設けるのが好ましい。前記水平位置決めアタッチメントを、ドライバービットやタップと水平方向に於いて平行で且つ出し入れ自在に付勢された2本の伸縮棒と、該伸縮棒が収納されるケースと、各ケースを連結する連結環と、取付ネジと、から少なくとも構成する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1のように先端にドライバービットやタップなどの工具(7)を固定して回動させると共に把持部(2)を少なくとも有した電動ドライバーに於いて、ドライバー本体(1)の上面(1a)と後端面(1b)に水準器(4)を設け、且つ、ドライバー本体(1)の先端側に、水平状態の左右のずれを防止する水平位置決めアタッチメント(6)を設けることにより、従来品では確認できなかった図7に示す水平状態の左右のずれが確認できるので、正確な下穴加工やタップ立て加工が誰にでも可能となる。
【0010】
請求項2のように先端にドライバービットやタップなどの工具(7)を固定して回動させると共に把持部(2)を少なくとも有した電動ドライバーに於いて、ドライバー本体(1)の上面(1a),後端面(1b),側面(1c),下端面(1d)に水準器(4)を埋設させることにより、ドライバー本体(1)の表面から水準器(4)が突出しなくなるため、水準器(4)が物にぶつかって壊れる恐れがなくなる。しかも、ドライバー本体(1)を全方向に向けた作業が可能となり、且つ、水平方向と垂直方向の確認もできる。
【0011】
請求項3に示すように水平位置決めアタッチメント(6)を、請求項2のものに設けることにより、ドライバー本体(1)を全方向に向けた作業が行われる際、図7に示す水平状態の左右のずれが確認できるので、より一層正確な下穴加工やタップ立て加工が可能となる。
【0012】
請求項4に示すように水平位置決めアタッチメント(6)として、ドライバービットやタップと水平方向に於いて平行で且つ出し入れ自在に付勢された2本の伸縮棒(61)と、
該伸縮棒(61)が収納されるケース(62)と、該ケース(62)を連結する連結環(63)と、取付ネジ(64)と、から少なくとも構成することにより、工具(7)の移動に伴って伸縮棒(61)が収縮されながら水平状態の左右のずれをなくして加工ができる。また水平位置決めアタッチメント(6)の構造が簡単で且つ取扱いも簡単である。
【0013】
請求項5のように水準器(4)の上面に開閉可能なスライド扉(5)を設けることにより、水準器(4)の傷防止や破損防止が可能となり、見易い状態で水平方向と垂直方向の確認が行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態を示す斜視図である。
【図2】本実施形態の側面を示す説明図である。
【図3】本実施形態の水平位置決めアタッチメントを示す説明図である。
【図4】本実施形態の水平位置決めアタッチメントが90度回転する機構を示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態を示す説明図である。
【図6】本実施形態のスライド扉を示す説明図である。
【図7】平面に於ける水平状態の左右のずれを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面に基づき説明する。(1)は電動ドライバーのドライバー本体であり、該ドライバー本体(1)の上面(1a),後端面(1b),側面(1c),下端面(1d)の適宜位置に、後述する水準器(4)を埋設して面一に設置するための凹部(13)が形成されている(図6参照)。またドライバー本体(1)には、後述する水平位置決めアタッチメント(6)が90度回転する機構を構成させるためガイド溝(11)と、その両端に設けたネジ穴(12)がある(図3、図4、図5参照)。該ネジ穴(12)は図4に示すように90度離れている。又、前記ドライバー本体(1)に後述する水準器(4)を埋設し、且つその上面に設ける後述するスライド扉(5)を設けるために、ガイド溝を有したガイド部(14)がドライバー本体(1)に設けられている(図6参照)。
【0016】
(2)は把持部であり、該把持部(2)の前側には、突出した引金(21)が設けられている。(3)は充電部である。尚、前記充電部(3)は、コード付きのドライバー本体(1)のものを用いた場合は不要である。
【0017】
(4)はドライバー本体(1)の上面(1a),後端面(1b),側面(1c),下端面(1d)に設けた水準器であり、該水準器(4)は気泡が内蔵されており、気泡の位置によって水平が確認できる市販の平形水準器を用いると良いが、全方向の水平が確認できる市販の丸形水準器を用いるのが好ましい。又、前記水準器(4)として、デジタル水準器を用いても良い。
【0018】
(5)は水準器(4)の上面に設けられた開閉可能なスライド扉であり(図6参照)、該スライド扉(5)はL字状で板状に形成されている。またスライド扉(5)はガイド部(14)に挿入されて開閉可能になされる。
【0019】
(6)はドライバー本体(1)に着脱可能に設け、水平状態の左右のずれを防止する水平位置決めアタッチメントであり、該水平位置決めアタッチメント(6)には、ドライバービットやタップと水平方向に於いて平行で且つ出し入れ自在に付勢された2本の伸縮棒(61)と、該各伸縮棒(61)が収納される円筒状のケース(62)と、各ケース(62)を連結する連結環(63)と、該連結環(63)をドライバー本体(1)に取外しするための取付ネジ(64)と、がある。前記伸縮棒(61)の先端には当て部(61a)が固定されており、
伸縮棒(61)の後部には図示しないバネによって付勢されている。また前記ケース(62)は連結環(63)に取付けられている。又、前記連結環(63)にはネジ穴(63a)が穿設されている。前記取付ネジ(64)としては、蝶ネジを用い、その先端には、細めの突出したスライド用のガイド突片(64a)が設けられている(図4参照)。このガイド突片(64a)はガイド溝(11)に挿入されてスライドする。尚、前記伸縮棒(61)は2本に限定されるものではなく、2本以上としても良い。
【0020】
(7)はドライバー本体(1)の先端に取付けて固定するドライバービットやタップなどの工具である。
【0021】
次に本実施形態の水平位置決めアタッチメント(6)の使用方法について説明する。先ず始めに取付け方法について説明する。先ず、図3の状態で水平位置決めアタッチメント(6)の連結環(63)をドライバー本体(1)に挿入する。次に連結環(63)のネジ穴(63a)からガイド溝(11)を確認した後、取付ネジ(64)のガイド突片(64a)がガイド溝(11)に挿入されたことを、連結環(63)を前後に揺すって前後移動しないことで、確認する。そして、ドライバー本体(1)の使用する方向に伸縮棒(61)をセットする。つまり、ドライバー本体(1)を正常位置で使用する場合は、取付ネジ(64)を上方へ移動し、停止した位置で取付ネジ(64)を締付けて固定する。この時、ネジ穴(12)に取付ネジ(64)が螺合すれば、固定すると共に位置確認ができる。その後、工具(7)を取付けると、伸縮棒(61)は図7に示すように工具(7)の両側に配置される。尚、ドライバー本体(1)に工具(7)を取付ける際は、伸縮棒(61)の当て部(61a)より若干前方に工具(7)の先端が来るように、長さ調節して取付ける。その後、下穴加工やタップ立て加工を行えば良い。
【0022】
次にドライバー本体(1)を横向き、つまり、側面(1c)が上になるようにドライバー本体(1)を傾けて使用する場合は、取付ネジ(64)を弛めて、ガイド突片(64a)がガイド溝(11)から外れないようにして、連結環(63)を90度前後回転させると停止するので、取付ネジ(64)を締付けて固定する(図4参照)。すると、2本の伸縮棒(61)は、工具(7)の先端より若干後方に当て部(61a)が来るように配置される。尚、工具(7)を交換する場合には、上記要領で取付ける。
このようにドライバー本体(1)の使用する位置(方向)に応じて、工具(7)の左右に伸縮棒(61)が配置されるように、水平位置決めアタッチメント(6)を90度前後回転させる。
【0023】
次に本発明品を使用する場合には、例えば、機械装置などの垂直面(加工面)にタップ立て加工を行う場合について、図7を参考にして説明する。予めタップである工具(7)を取付けておく。先ず垂直面などに穿設した下穴に、タップの先端を挿入する。この時、上面(1a)に設けた全方型水準器(4)を見て、泡が中心に来ていることを確認する。その状態でタップ立て加工を行うと、タップが下穴に入って進んでいき、水平位置決めアタッチメント(6)の当て部(61a)が加工面に当接して、水平状態の左右のずれを防止する。この時、タップが下穴に入って進むと、その進みに伴って伸縮棒(61)はケース(62)に収納されて収縮していくので、左右のずれを防止する。このため、従来困難であった水平状態の左右のずれの防止が、2本の伸縮棒(61)によって可能となる。
尚、垂直方向にタップ立て加工を行う場合は、水平位置決めアタッチメント(6)が不要であるので、外してから下穴加工やタップ立て加工を行っても良い。
【0024】
このようにドライバー本体(1)の使用する位置(方向)に応じて、水平位置決めアタッチメント(6)を90度前後回転させれば、対応できる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、インパクトドライバー,電動ドリル,振動ドリル,ハンマードリルなどにも応用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 ドライバー本体
1a 上面
1b 後端面
1c 側面
1d 下端面
2 把持部
4 水準器
5 スライド扉
6 水平位置決めアタッチメント
61 伸縮棒
62 ケース
63 連結環
64 取付ネジ
7 工具
【図1】
 
【図2】
 
【図3】
 
【図4】
 
【図5】
 
【図6】
 
【図7】
 
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