閉じる
機械器具
 
【考案の名称】ドアストッパー
【実用新案権者】
【識別番号】519309544
【氏名又は名称】川村 秀之
【住所又は居所】愛知県一宮市大和町馬引横手31-1
【代理人】
【識別番号】100121784
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 稔
【考案者】
【氏名】川村 秀之
【住所又は居所】愛知県一宮市大和町馬引横手31-1
【要約】 (修正有)
【課題】スペースをとらずに1体のドアストッパーでドアの両面方向への回動を固定することができ、ドアの底面と床面との距離が大きく或いは変化した場合でもドアを強固に床面に固定することのできるドアストッパーを提供する。
【解決手段】解放状態にあるドアに装着する基盤部10と、当該基盤部と一体的になってドアの回動を阻止して解放状態を維持するドア固定部20とを有する。ドア固定部は、一端に床面に当接する当接部材31を備えた棒状の突張部材30と、当該突張部材を固定する固定部材40とを具備する。固定部材は、突張部材の位置を調節して当接部材が床面に当接する位置で固定することにより、ドア固定部が基盤部を介してドアを固定する。
【選択図】図2
選択図
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
解放状態にあるドアに装着する基盤部と、当該基盤部と一体的になってドアの回動を阻止して解放状態を維持するドア固定部とを有するドアストッパーであって、
前記ドア固定部は、一端に床面に当接する当接部材を備えた棒状の突張部材と、当該突張部材を固定する固定部材とを具備し、
前記固定部材は、前記突張部材の位置を調節して前記当接部材が床面に当接する位置で固定することにより、前記ドア固定部が前記基盤部を介してドアを固定することを特徴とするドアストッパー。
【請求項2】
前記固定部材は、前記突張部材を支持する固定部材本体と、前記突張部材を調節された位置で前記固定部材本体に固定する係止部材とを具備し、
前記固定部材本体は、前記基盤部に一体的に取り付けられると共に、前記突張部材を上下スライド可能とする第1挿通穴を具備して当該突張部材の位置を調節可能とし、
前記係止部材は、前記突張部材の係止状態を維持する半固定式の係止具と、当該係止具による係止状態を解除する解除具とを具備し、
前記係止具は、前記突張部材を係止する微動可能な係止爪を備えた第2挿通穴を具備し、
当該係止具は、一端を前記固定部材本体に固定し他端を回動可能にすることにより、前記突張部材を前記固定部材本体から下方に引き下げる際には、当該係止具が水平状態となって、前記突張部材が前記係止爪と噛合うことなく下方にスライド可能となり、
前記突張部材を前記固定部材本体から上方に引き上げる際には、当該係止具の他端が上方に引き上げられて水平状態から垂直方向に向けて傾斜し、前記突張部材が前記係止爪と噛合うことにより係止状態となり、
前記解除具は、係止状態にある前記係止具の他端を下方に押し下げて水平状態とすることにより、前記突張部材が係止状態を解除して上方にスライド可能となることを特徴とする請求項1に記載のドアストッパー。
【請求項3】
前記突張部材は、太管と細管とからなる伸縮可能な円筒二重管からなり、
前記太管は、前記固定部材本体に設けられた前記第1挿通穴を介して上下スライドすると共に、前記係止部材を介して調節された位置で前記固定部材本体に固定され、
前記細管は、一端に前記当接部材を有すると共に、他端を前記太管の内部に挿入された第1スプリングの反発力に抗して当該太管の下端部から内部に挿入して前記太管に対して伸縮収納可能な状態にあり、
前記突張部材の位置を調節して前記当接部材が床面に当接する位置で固定する際には、前記第1スプリングの反発力に抗して前記細管を前記太管の内部に押し込むように固定することにより、前記ドア固定部が前記基盤部を介してドアを強固に固定することを特徴とする請求項2に記載のドアストッパー。
【請求項4】
前記太管は、その外周部に装着された第2スプリングを具備し、
前記第2スプリングは、前記太管の上端部と前記固定部材本体の前記第1挿通穴との間で伸縮可能な状態にあり、
前記突張部材が床面に当接しない際には、前記第2スプリングが伸長した状態になって、当該突張部材が前記固定部材本体の上方に押し上げられた位置となり、
前記突張部材が床面に当接してドアを固定した際には、前記第2スプリングが圧縮した状態となり、
前記突張部材が床面に当接した状態から前記係止部材を解除する際には、当該突張部材が圧縮された前記第2スプリングの反発力を利用して、当該突張部材が前記固定部材本体の上方に押し上げられることを特徴とする請求項3に記載のドアストッパー。
【請求項5】
前記基盤部は、ドアの一方の表面部から底面部にかけて当接する断面L字形の第1取付部材と、ドアの他方の表面部から底面部にかけて当接する断面L字形の第2取付部材とを具備し、
前記第1取付部材と第2取付部材とが、ドアの底面部で連結してドアの厚みに対応することにより、前記基盤部が一体的にドアに装着されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のドアストッパー。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、開放したドアを任意の位置で固定するドアストッパーに関するものである。特に、ビルや住宅等の建築現場において施工時に取り付けたドアや防火用ドアに対して床面が完成していない場合でも使用できるドアストッパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、開放したドアを任意の位置で固定するドアストッパーとして、回動可能な脚部と、当該脚部を回動可能に軸支する軸支部材と脚部を係止する係止部材とを有する基盤部からなるものは存在している。例えば、下記特許文献1及び2などを挙げることができる。また、これらのドアストッパーの使用状態を改良・改善する多くの提案もなされている。
【0003】
しかし、これらのドアストッパーは、一般に建築施工後のマンションや戸建て住宅などで使用されるものであり、いずれも脚部の長さが一定であり調整することはできない。これは無理もないことであって、マンションや戸建て住宅の個々のドアの底面と床面の距離はそれほど離れてはおらず、また、個々の住宅においても大きな差異はない。従って、市販品の中から自宅等の各ドアに対応した長さの脚部を持つドアストッパーを購入し使用すればよい。
【0004】
一方、ビルや住宅等の建築現場においては、工事中に作業者が頻繁に出入りするのでドアの解放状態を確実に固定する必要がある。また、床面のコンクリート打ちや床面仕上げの前にドアが設置される場合も多い。これらの建築現場においては、ドアの底面と床面との距離が大きい場合や、床面の工事の進捗によってドアの底面と床面との距離が変化していく場合もある。このような場合には、市販の一般向けのドアストッパーを使用することができず、また、ドアを強固に固定するという意味では不安がある。
【0005】
また、床面の状態もコンクリートであったり砂利や土であったりすることもあり、ドアストッパーの脚部を床面に確実に固定できる必要がある。更に、建築現場においては、壁面や天井などが施工途中の場合もあり、風が強くその意味でもドアに設置するドアストッパーをドアに強固に固定すると共に床面とも強固に固定する必要もある。
【0006】
そこで、本考案者は、建築現場の施工途中でも使用できるドアストッパーを考案し、下記特許文献3で提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】 特開2002−061445号公報
【特許文献2】 特開2003−301652号公報
【特許文献3】実案第3223833号公報
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献3に係るドアストッパーは、建築現場の施工途中でも使用できるものであって、ドアの底面と床面の距離が大きく或いは変化した場合でも脚部の長さを調整してドアを強固に床面に固定することができる。しかし、上記特許文献3に係るドアストッパーは、ドアを支える脚部をドアから斜め外側に支持してドアを固定するものであって、ドアの両面方向から固定することがより好ましい。また、このようにドアの両面方向に脚部が広がるので、建築現場においては更にコンパクトでドアを強力に支持することのできるドアストッパーが望まれていた。
【0009】
そこで、本考案は、上記特許文献3に係るドアストッパーを更に改良し、スペースをとらずに1体のドアストッパーでドアの両面方向への回動を固定することができ、ドアの底面と床面との距離が大きく或いは変化した場合でもドアを強固に床面に固定することのできるドアストッパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の解決にあたり、本考案者は、鋭意研究の結果、ドアストッパーのドア固定部の構造を改良することにより、突張部材をドアと並行に下方に伸ばした場合でも、上記目的を達成できることを見出し本考案の完成に至った。
【0011】
即ち、本考案に係るドアストッパーは、請求項1の記載によると、
解放状態にあるドア(200)に装着する基盤部(10)と、当該基盤部と一体的になってドアの回動を阻止して解放状態を維持するドア固定部(20)とを有するドアストッパー(100)であって、
前記ドア固定部は、一端に床面に当接する当接部材(31)を備えた棒状の突張部材(30)と、当該突張部材を固定する固定部材(40)とを具備し、
前記固定部材は、前記突張部材の位置を調節して前記当接部材が床面に当接する位置で固定することにより、前記ドア固定部が前記基盤部を介してドアを固定することを特徴とする。
【0012】
また、本考案は、請求項2の記載によると、請求項1に記載のドアストッパーであって、
前記固定部材は、前記突張部材を支持する固定部材本体(50)と、前記突張部材を調節された位置で前記固定部材本体に固定する係止部材(60)とを具備し、
前記固定部材本体は、前記基盤部に一体的に取り付けられると共に、前記突張部材を上下スライド可能とする第1挿通穴(52a,53a)を具備して当該突張部材の位置を調節可能とし、
前記係止部材は、前記突張部材の係止状態を維持する半固定式の係止具(61)と、当該係止具による係止状態を解除する解除具(65)とを具備し、
前記係止具は、前記突張部材を係止する微動可能な係止爪(64)を備えた第2挿通穴(61c,64c)を具備し、
当該係止具は、一端を前記固定部材本体に固定し他端を回動可能にすることにより、前記突張部材を前記固定部材本体から下方に引き下げる際には、当該係止具が水平状態となって、前記突張部材が前記係止爪と噛合うことなく下方にスライド可能となり、
前記突張部材を前記固定部材本体から上方に引き上げる際には、当該係止具の他端が上方に引き上げられて水平状態から垂直方向に向けて傾斜し、前記突張部材が前記係止爪と噛合うことにより係止状態となり、
前記解除具は、係止状態にある前記係止具の他端を下方に押し下げて水平状態とすることにより、前記突張部材が係止状態を解除して上方にスライド可能となることを特徴とする。
【0013】
また、本考案は、請求項3の記載によると、請求項2に記載のドアストッパーであって、
前記突張部材は、太管(33)と細管(32)とからなる伸縮可能な円筒二重管からなり、
前記太管は、前記固定部材本体に設けられた前記第1挿通穴を介して上下スライドすると共に、前記係止部材を介して調節された位置で前記固定部材本体に固定され、
前記細管は、一端に前記当接部材を有すると共に、他端を前記太管の内部に挿入された第1スプリング(34)の反発力に抗して当該太管の下端部から内部に挿入して前記太管に対して伸縮収納可能な状態にあり、
前記突張部材の位置を調節して前記当接部材が床面に当接する位置で固定する際には、前記第1スプリングの反発力に抗して前記細管を前記太管の内部に押し込むように固定することにより、前記ドア固定部が前記基盤部を介してドアを強固に固定することを特徴とする。
【0014】
また、本考案は、請求項4の記載によると、請求項3に記載のドアストッパーであって、
前記太管は、その外周部に装着された第2スプリング(35)を具備し、
前記第2スプリングは、前記太管の上端部(36)と前記固定部材本体の前記第1挿通穴(52a)との間で伸縮可能な状態にあり、
前記突張部材が床面に当接しない際には、前記第2スプリングが伸長した状態になって、当該突張部材が前記固定部材本体の上方に押し上げられた位置となり、
前記突張部材が床面(G)に当接してドアを固定した際には、前記第2スプリングが圧縮した状態となり、
前記突張部材が床面に当接した状態から前記係止部材を解除する際には、当該突張部材が圧縮された前記第2スプリングの反発力を利用して、当該突張部材が前記固定部材本体の上方に押し上げられることを特徴とする。
【0015】
また、本考案は、請求項5の記載によると、請求項1〜4のいずれか1つに記載のドアストッパーであって、
前記基盤部は、ドア(200)の一方の表面部(201)から底面部(203)にかけて当接する断面L字形の第1取付部材(11)と、ドアの他方の表面部(202)から底面部にかけて当接する断面L字形の第2取付部材(12)とを具備し、
前記第1取付部材と第2取付部材とが、ドアの底面部で連結してドアの厚みに対応することにより、前記基盤部が一体的にドアに装着されることを特徴とする。
【0016】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
【考案の効果】
【0017】
上記構成によれば、本考案に係るドアストッパーは、基盤部とドア固定部とを有している。基盤部は、解放状態にあるドアに装着する。ドア固定部は、基盤部と一体的になってドアの回動を阻止して解放状態を維持する。ドア固定部は、一端に床面に当接する当接部材を備えた棒状の突張部材と、当該突張部材を固定する固定部材とを具備している。固定部材は、突張部材の位置を調節して当接部材が床面に当接する位置で固定することにより、ドア固定部が基盤部を介してドアを固定する。
【0018】
このことにより、スペースをとらずに1体のドアストッパーでドアの両面方向への回動を固定することができ、ドアの底面と床面との距離が大きく或いは変化した場合でもドアを強固に床面に固定することのできるドアストッパーを提供することができる。
【0019】
また、上記構成によれば、固定部材は、突張部材を支持する固定部材本体と、突張部材
を調節された位置で固定部材本体に固定する係止部材とを具備している。固定部材本体は、基盤部に一体的に取り付けられると共に、突張部材を上下スライド可能とする第1挿通穴を具備して当該突張部材の位置を調節可能とする。係止部材は、突張部材の係止状態を維持する半固定式の係止具と、当該係止具による係止状態を解除する解除具とを具備している。
【0020】
係止具は、突張部材を係止する微動可能な係止爪を備えた第2挿通穴を具備している。当該係止具は、一端を固定部材本体に固定し他端を回動可能にすることにより、突張部材を固定部材本体から下方に引き下げる際には、当該係止具が水平状態となって、突張部材が前記係止爪と噛合うことなく下方にスライド可能となる。一方、突張部材を固定部材本体から上方に引き上げる際には、当該係止具の他端が上方に引き上げられて水平状態から垂直方向に向けて傾斜し、突張部材が係止爪と噛合うことにより係止状態となる。
【0021】
解除具は、係止状態にある係止具の他端を下方に押し下げて水平状態とすることにより、突張部材が係止状態を解除して上方にスライド可能となる。これらのことにより、上記作用効果をより具体的かつ効果的に発揮することができる。
【0022】
また、上記構成によれば、突張部材は、太管と細管とからなる伸縮可能な円筒二重管からなる。太管は、固定部材本体に設けられた第1挿通穴を介して上下スライドすると共に、係止部材を介して調節された位置で固定部材本体に固定される。細管は、一端に当接部材を有すると共に、他端を太管の内部に挿入された第1スプリングの反発力に抗して当該太管の下端部から内部に挿入して太管に対して伸縮収納可能な状態にある。
【0023】
この状態で、突張部材の位置を調節して当接部材が床面に当接する位置で固定する際には、第1スプリングの反発力に抗して細管を太管の内部に押し込むように固定することにより、ドア固定部が基盤部を介してドアを強固に固定する。これらのことにより、上記作用効果をより具体的かつ効果的に発揮することができる。
【0024】
また、上記構成によれば、太管は、その外周部に装着された第2スプリングを具備している。第2スプリングは、太管の上端部と固定部材本体の第1挿通穴との間で伸縮可能な状態にある。この状態において。突張部材が床面に当接しない際には、第2スプリングが伸長した状態になって、当該突張部材が固定部材本体の上方に押し上げられた位置となる。
【0025】
一方、突張部材が床面に当接してドアを固定した際には、第2スプリングが圧縮した状態となる。また、突張部材が床面に当接した状態から係止部材を解除する際には、当該突張部材が圧縮された第2スプリングの反発力を利用して、当該突張部材が固定部材本体の上方に押し上げられる。これらのことにより、上記作用効果をより具体的かつ効果的に発揮することができる。
【0026】
また、上記構成によれば、基盤部は、ドアの一方の表面部から底面部にかけて当接する断面L字形の第1取付部材と、ドアの他方の表面部から底面部にかけて当接する断面L字形の第2取付部材とを具備している。第1取付部材と第2取付部材とが、ドアの底面部で連結してドアの厚みに対応することにより、基盤部が一体的にドアに装着される。これらのことにより、上記作用効果をより具体的かつ効果的に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態に係るドアストッパーの使用状態を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係るドアストッパーの構造を示す斜視図である。
【図3】図2のドアストッパーを左側面から見た内部の断面図である。
【図4】図2のドアストッパーの基盤部の構成を示す斜視図である。
【図5】図2のドアストッパーの係止部材を構成する係止具の構造を示す(A)平面図、(B)正面図、(C)係止爪の平面図、及び各断面図である。
【図6】図2のドアストッパーの作動状態を示す正面図であって、(A)固定前、(B)固定時、(C)解除時の各内部断面図である。
【考案を実施するための形態】
【0028】
以下、本考案に係るドアストッパーを実施形態により説明する。なお、本考案は、下記の実施形態にのみ限定されるものではない。
【0029】
図1は、本実施形態に係るドアストッパーの使用状態を示す概略図である。図1は、建築現場で既にドア200が設置されているが、床面Gが下地のコンクリートの状態であって、床面Gからドア200の底面部203までの距離Xがまだ広い場合である。建築現場においては、作業中は既に設置されたドア200の開放状態を確実に維持する必要がある。そこで、ドア200の両表面部201,202のうち一方の表面部201の側から1台のドアストッパー100を設置している。
【0030】
次に、ドアストッパーの構造について説明する。図2は、本実施形態に係るドアストッパーの構造を示す斜視図である。図3は、図2のドアストッパーを左側面から見た内部の断面図である。図2及び図3において、ドアストッパー100は、基盤部10とドア固定部20とから構成されている。
【0031】
図4は、ドアストッパーの基盤部の構成を示す斜視図である。図2〜図4において、基盤部10は、取付部材11,12から構成されている。取付部材11,12は、いずれも側辺11a,12aと下辺11b,12bとが断面L字形に構成されている。なお、取付部材11の側辺11aの上部には、基盤部10とドア固定部20とを固定するための4つのねじ穴13が設けられている。
【0032】
一方の取付部材11は、ドア200の一方の表面部201に側辺11aを当接し、底面部203に下辺11bを当接するように設置する。他方の取付部材12は、ドア200の他方の表面部202に側辺12aを当接し、底面部203に下辺12bを当接するように設置する。2つの取付部材11,12は、ドアの底面部203において互いの下辺11b,12bの間隔を調整してドアの厚みに対応した連結状態とすることができる。なお、取付部材12の下辺12bから取付部材11の下辺11bに設けられた調節ネジ14で取付部材11,12の間隔を調整する(図4参照)。
【0033】
ドア固定部20は、突張部材30と固定部材40から構成されている。突張部材30は、棒状の円筒二重管であって、一端に床面に当接する当接部材31を備えた細管32と、当該細管32の他端を内部に収納する太管33とから構成されている。太管33の内部には、内部スプリング34の一端が中栓37で太管33に固定された状態で挿入されている。内部スプリング34の他端は、細管32の他端に固定され、その反発力に抗して細管32を太管33に対して伸縮収納可能な状態にしている。
【0034】
固定部材40は、固定部材本体50と係止部材60から構成されている。固定部材本体50は、その内部に係止部材60を収納した筐体からなり、取付部材11の側辺11aの背面(ドアと反対側)に一体的に取り付けられている。図2においては、固定部材本体50の正面部が蓋51として開放された状態にあり、内部の係止部材60を確認することができる。この固定部材本体50の上面部52及び下面部53には、挿通穴52a,53aが開口して突張部材30の太管33が上下スライド可能に挿通されている。
【0035】
また、太管33は、その外径及び挿通穴52a,53aの内径よりも太径の上栓36と下栓38を上端部と下端部に設け、挿通穴52a,53aに挿通された太管33が固定部材本体50から脱離することを防止している。また、太管33は、その外周部に外部スプリング35を具備している。外部スプリング35は、上栓36と固定部材本体50の上面部52との間の太管33の外周部に装着されて、その反発力により太管33を固定部材本体50の上方に押し上げている。
【0036】
係止部材60は、係止具61と解除具65から構成されている。図2において、係止具61は、突張部材30の係止状態を維持するために、一方の端部61aを固定部材本体50に固定し、他方の端部61bを回動可能な状態に取り付けられている。また、係止具61の中央部には挿通穴61cが開口して突張部材30の太管33が上下スライド可能に挿通されている。なお、他方の端部61bは、固定部材本体50の下面部53に取り付けられた係止用スプリング62の反発力により上方に押し上げている。
【0037】
また、解除具64は、突張部材30の係止状態を解除するために、回動可能な状態にある係止具61の他方の端部61bの上方の固定部材本体50の上面部52に取り付けられている。なお、係止具61と解除具64の作用については後述する。
【0038】
図5は、ドアストッパーの係止部材を構成する係止具の構造を示す(A)平面図、(B)正面図、(C)係止爪の平面図、及び各断面図である。図5において、係止具61は、係止枠63と係止爪64から構成されている。係止枠63は、半固定式の長方形の板状体であって、内部に脱着可能な係止爪64を微動可能な状態で収装している。係止爪64は、金属板からなり中央部に開口する挿通穴64cが、係止枠63の挿通穴61cと同軸状態で係止枠63の内部に収装されている。
【0039】
よって、突張部材30は、これらの挿通穴61c、64cの中を上下スライド可能に挿通されている。なお、係止爪64の挿通穴64cの内径が係止枠63の挿通穴61cの内径より若干小さく開口し、且つ、係止爪64が微動可能な状態で収装されている。このことにより、係止爪64の挿通穴64cの両側エッジ64a、64bが太管33の外周部と噛合って、突張部材30を強固に固定することができる。
【0040】
このように、係止部材60が、その一方の端部61aを固定部材本体50に固定し、他方の端部61bを回動可能にすることにより、突張部材30を固定部材本体50から下方に引き下げる際には、係止具61が水平状態となって突張部材30が係止爪64と噛合うことなく下方にスライド可能となる。一方、突張部材30を固定部材本体50から上方に引き上げる際には、係止具61の他方の端部61bが上方に引き上げられて水平状態から垂直方向に向けて傾斜し、突張部材30が係止爪64と噛合うことにより係止状態となる。
【0041】
解除具65は、固定部材本体50の上面部52に上下スライド可能に取り付けられた押下具65aを具備し、係止用スプリング62の反発力に抗して傾斜した係止具61の他方の端部61bを押し下げる。このように、解除具65が、係止状態にある係止具61の他方の端部61bを下方に押し下げて水平状態とすることにより、突張部材30が係止状態を解除して上方にスライド可能となる。このとき、突張部材30は、太管33の外周部に装着された外部スプリング35の反発力により固定部材本体50の上方に押し上げられる。
【0042】
次に、本実施形態に係るドアストッパーの作動状態について説明する。図6は、ドアストッパーの作動状態を示す正面図であって、(A)固定前、(B)固定時、(C)解除時の各内部断面図である。
【0043】
図6(A)は、ドアを固定する前のドアストッパー100の状態を示している。ドア固定部20は、基盤部10と一体的にドア(図示せず)の下方に固定されている。ドア固定部20の突張部材30は、外部スプリング35の反発力により固定部材本体50の上方に引き上げられた状態にあり、突張部材30の当接部材31は、床面Gの上方の離れた位置にある。
【0044】
このとき、係止部材60の係止具61は、回動可能な端部61bが係止用スプリング62の反発力により上方に押し上げられて傾斜している。また、解除具65の押下具65aは、係止具61の回動可能な端部61bによって押し上げられた状態にある。このことにより、固定部材本体50の上方に引き上げられた突張部材30は、上方で安定した状態となる。
【0045】
次に、図6(A)の状態から、作業者が突張部材30の上部に取り付けた上栓36を下方に押し下げて、突張部材30を床面Gに押し当てる。このとき、突張部材30の細管32は、内部スプリング34の反発力に抗して太管33の内部に伸縮収納可能な状態にある。よって、内部スプリング34が押し縮められて、その反発力に抗して突張部材30がドア固定部20と基盤部10とを介して、ドア(図示せず)を床面Gに固定する。
【0046】
図6(B)は、ドアを固定している時のドアストッパー100の状態を示している。突張部材30は、細管32の当接部材31を床面Gに固定され、圧縮された内部スプリング34の反発力により太管33を上方に押し上げる。このとき、係止具61の係止枠63が傾斜状態となり、係止爪64の両側エッジ64a、64bと噛合うことにより太管33の外周部が強固に固定される。
【0047】
次に、図6(C)は、ドアの固定を解除した時のドアストッパー100の状態を示している。図6(B)の状態から、解除具65の押下具65aを下方に押し下げると、傾斜状態にある係止具61の係止枠63が押下げられて水平状態となり、突張部材30の太管33の外周部に噛合っていた係止爪64の両側エッジ64a、64bが太管33を解除する。その結果、圧縮していた外部スプリング35の反発力により、突張部材30が固定部材本体50の上方に引き上げられ、ドアの固定状態が解除される。
【0048】
以上説明したように、本考案によれば、スペースをとらずに1体のドアストッパーでドアの両面方向への回動を固定することができ、ドアの底面と床面との距離が大きく或いは変化した場合でもドアを強固に床面に固定することのできるドアストッパーを提供することができる。
【0049】
なお、本考案の実施にあたり、上記実施形態に限らず次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)上記実施形態においては、基盤部やドア固定部の材質について、金属製の係止爪以外は特に説明をしていない。しかし、本考案においては、基盤部やドア固定部の材質(係止爪も含め)を特に限定するものではなく、加工組み立てが容易でドアを強固に固定できる材料であればよい。なお、建築現場において施工時に使用することもあり、また、屋外使用もあり得ることから強度のある金属製で作製することが好ましい。
(2)上記実施形態においては、基盤部として断面L字形の2つの取付部材の間隔を調節ネジで調整してドアに固定するものとしたが、これに限定するものではなく、ドアにマグネットなどで取り付けるようにしてもよい。また、取付部材を固定用ベルトでドアに固定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…基盤部、11,12…取付部材、11a,12a…側辺、
11b,12ba…下辺、13…ねじ穴、14…調節ネジ、20…ドア固定部、
30…突張部材、31…当接部材、32…細管、33…太管、34…内部スプリング、
35…外部スプリング、36…上栓、37…中栓、38…下栓、40…固定部材、
50…固定部材本体、51…蓋、52…上面部、53…下面部、
52a,53a,61c,64c…挿通穴、60…係止部材、
61…係止具、61a,61b…端部、62…係止用スプリング、63…係止枠、
64…係止爪、64a、64b…エッジ、65…解除具、65a…押下具、
100…ドアストッパー、200…ドア、201,202…表面部、203…底面部、
G…床面、X…床面からドアの底面部までの距離。
【図1】
図1 
【図2】
図2 
【図3】
図3 
【図4】
図4 
【図5】
図5 
【図6】
図6 
ページtop へ