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機械器具
 
【考案の名称】捕獲機
【実用新案権者】
【識別番号】524035025
【氏名又は名称】吉崎 淳
【住所又は居所】愛知県新城市作手菅沼ワラビサワ1-5
【実用新案権者】
【識別番号】524032242
【氏名又は名称】吉崎 好子
【住所又は居所】愛知県新城市作手菅沼ワラビサワ1-5
【代理人】
【識別番号】100099047
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 淳一
【考案者】
【氏名】吉崎 淳
【住所又は居所】愛知県新城市作手菅沼ワラビサワ1-5
【考案者】
【氏名】吉崎 好子
【住所又は居所】愛知県新城市作手菅沼ワラビサワ1-5
【要約】
【課題】射出させた後に捕獲対象に達するまでの間で徐々に展開し、正確かつ早く捕獲対象に達するように捕獲網を放出できる捕獲機を提供すること。
【解決手段】捕獲対象に向かって捕獲網を放出し、展開した前記捕獲網によって前記捕獲対象を捕獲する捕獲機1において、捕獲網5が収容された前方に向かって開放された網収容部3の周囲に等間隔に4本のレール4を配置する。レール4は網収容部3の前端よりも前方に長手方向が延出されている。輪ゴム33と誘引ロープ34からなる牽引セット35は捕獲網5の一部に基部側が固着され、レール4の先端側で折り返されてレール4の基部寄りに配置される錘30に先端部側が固着されている。輪ゴム33を伸長させて付勢力を与えた状態からその付勢力を解放することでレール4に沿って捕獲網5が打ち出される。
【選択図】図1 
選択図 
捕獲機 作動動画 
捕獲機 作動動画仕様 
捕獲機 
捕獲機 
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
捕獲対象に向かって捕獲網を放出し、展開した前記捕獲網によって前記捕獲対象を捕獲する捕獲機において、
前方に向かって開放された網収容部と、
前記網収容部内に収容可能な前記捕獲網と、
前記網収容部の周囲に配置され、前記網収容部の前端よりも前方に長手方向が延出される複数の長尺体と、
前記捕獲網の一部に基部側が固着され、前記長尺体の前端側で折り返されて前記長尺体の基部寄りに配置される錘に先端部側が固着される一部又は全部が弾性のある部材で構成された可撓性のある牽引部材と、
前記牽引部材を伸長させて付勢力を与えた状態で前記錘を保持する第1の保持手段と、
前記第1の保持手段による保持を解除して、前記牽引部材の付勢力を解放させる解放手段と、を備えることを特徴とする捕獲機。
【請求項2】
複数の前記長尺体は第1の回動軸によって前記網収容部に対して内外に揺動するように支持され、揺動位置によって延出方向が変更可能とされるとともに、揺動可能範囲内のある揺動位置で保持するための第2の保持手段が併設されていることを特徴とする請求項1に記載の捕獲機。
【請求項3】
前記第2の保持手段は前記長尺体の内側面に当接する部分を有する当接体を備え、前記当接体の位置が変位することで前記長尺体の内側面に当接する部分の外方への進出量が変化するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の捕獲機。
【請求項4】
前記当接体は第2の回動軸によって回動可能に支持され、前記第2の回動軸回りに回動することで位相に応じて外方への進出量が変化するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の捕獲機。
【請求項5】
前記当接体は円板又は円柱形状に構成され、前記第2の回動軸に周方向に回動可能に支持されるとともに、前記第2の回動軸は円板又は円柱形状の中心からずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の捕獲機。
【請求項6】
前記長尺体、前記第1の回動軸、前記当接体及び前記第2の回動軸はベース上に設置されたフレームに配設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の捕獲機。
【請求項7】
前記弾性のある部材はゴム製であることを特徴とする請求項1又は2に記載の捕獲機。
【請求項8】
複数の前記長尺体は前記網収容部の周囲に放射状に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の捕獲機。
【請求項9】
前記第1の保持手段は前記錘に形成された第1の係合部と前記長尺体の基部外面に配置された第2の係合部とによって構成され、前記解放手段は前記第1の係合部に対する前記第2の係合部の係合関係を解除する手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載の捕獲機。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、例えば野生動物や逃げ出したペット等の動物を捕獲するための捕獲機等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から例えば野生動物や逃げ出したペット等の動物を捕獲するために捕獲機の発明・考案が提案されている。いずれも捕獲網を射出させて展開させ、捕獲対象としての動物を包囲して動けなくするようになっている。このような捕獲機の一例として特許文献1及び2を示す。
特許文献1の捕獲機(網飛ばし式捕獲具20)は捕獲用網1の周囲に取り付けた略球形状錘2をに展開アーム3の先端の先端鉤3a内に収容し、展開アーム3の展開に伴って略球形状錘2を前方に射出させることで捕獲用網1を拡げながら捕獲対象に被せるように使用するものである。また、特許文献2の捕獲機(の拘束網射出装置)では、圧縮したコイルばね32を解放することでコイルばね32のばね力を用いて発射口23aから4つの錘12はそれぞれ放射状に飛翔し、錘12に牽引された拘束網本体11は収納部22から射出され、空中において展開しながら飛翔するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2003−125697号公報
【特許文献2】 特開2018−197645号公報
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0004】
これら従来の捕獲機はいずれも捕獲網を放出すると、放出した位置からすでに大きく展開させながら捕獲対象に向かうような構成である。しかしながら、このように捕獲対象までの距離がまだだいぶある状態で大きく広がってしまうと、風の影響や射出させた錘のわずかな打ち出し時間のズレ等で捕獲網がきれいに展開できず、また、早めに展開してしまうと空気抵抗によって捕獲対象に達するまでの時間もかかることとなってしまい、捕獲対象に逃げられてしまう可能性もあった。
そのため、射出させた後に捕獲対象に達するまでの間で徐々に展開し、正確かつ早く捕獲対象に達するように捕獲網を放出できる捕獲機が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための第1の手段として、捕獲対象に向かって捕獲網を放出し、展開した前記捕獲網によって前記捕獲対象を捕獲する捕獲機において、前方に向かって開放された網収容部と、前記網収容部内に収容可能な前記捕獲網と、前記網収容部の周囲に配置され、前記網収容部の前端よりも前方に長手方向が延出される複数の長尺体と、前記捕獲網の一部に基部側が固着され、前記長尺体の前端側で折り返されて前記長尺体の基部寄りに配置される錘に先端部側が固着される一部又は全部が弾性のある部材で構成された可撓性のある牽引部材と、前記牽引部材を伸長させて付勢力を与えた状態で前記錘を保持する第1の保持手段と、前記第1の保持手段による保持を解除して、前記牽引部材の付勢力を解放させる解放手段と、を備えるようにした。
このような構成では、牽引部材を引っ張って弾性のある部材を付勢させた状態で長尺体の前端側で折り返して長尺体の基部寄りに配置される錘に固着することができ、解放手段によって第1の保持手段を解放することによって弾性のある部材の付勢力が解放されて錘が長尺体に沿って前方に射出されることとなる(ここで「前方」とは長尺体の先端方向をいう)。捕獲機使用時においては捕獲対象までの距離や捕獲網の大きさ等の条件に応じて長尺体の先端が虚空を向くように配置される。使用者が自身で持ってもよく、図示しない脚立やスタンドのような器具を用いて所定の向きとなるように固定してもよい。
そして、射出後は錘は長尺体の長手方向の延長線方向に飛び出しながら牽引部材を介して捕獲網を引き連れ前方に展開させていくこととなるため、正確に錘を飛ばすことができ、捕獲対象へ捕獲網を飛ばす際の指向性が高まる。また、射出してもすぐに捕獲網が展開してしまうことなく捕獲対象に達する付近で捕獲網を展開させることができる。また、すぐに捕獲網が展開してしまうことなく飛ばすことができるため、捕獲対象に達する時間も短くなる。
【0006】
「長尺体」は形状としてはパイプ状でも中実でもよく、例えば断面形状は円形でも方形でもよい。また素材は金属製でも木製でも構わない。
「一部又は全部が弾性のある部材で構成された牽引部材」とは牽引部材自体が弾性のある部材である場合でもよく、ある部分だけ弾性のある部材で弾性のある部材と直列に連結された例えばナイロン紐のように弾性を有さない部分がある場合等である。「可撓性のある牽引部材」は、例えば縄や紐のような容易に巻回できる長尺部材が特によい。形状としては例えば帯状体であってもよい。「弾性」とは外力によって変形し、その力がなくなると元の状態に回復する性質である。ここでは牽引部材を引っ張ることで弾性のある部材に大きな変形が生じ、元に戻ろうとする付勢力が発生する。これを利用して錘を飛ばすこととなる。
【0007】
また、第2の手段として、複数の前記長尺体は第1の回動軸によって前記網収容部に対して内外に揺動するように支持され、揺動位置によって延出方向が変更可能とされるとともに、揺動可能範囲内のある揺動位置で保持するための第2の保持手段が併設されているようにした。
これによって、捕獲網の大きさ、重さ、捕獲対象の大きさ、捕獲対象までの距離等の条件の違いに応じて長尺体を揺動可能範囲内のある揺動位置で固定することができる。長尺体の揺動位置、いいかえれば捕獲機の中心線を想定した場合の中心線に対する長尺体の開く角度ともいえるが、この角度を変更することで、条件に応じたより好適な捕獲網の展開行程を得られるからである。例えば、捕獲網が重くてなおかつ遠くに飛ばしたい(遠くの捕獲対象に被せたい)場合にはなるべく長尺体の開く角度を狭くすることで捕獲網が開かずに飛びやすくなるため好適である。一方、捕獲網が軽くてなおかつ近くに飛ばしたい(近くの捕獲対象に被せたい)場合には逆に長尺体の開く角度を広くすることで捕獲網が相対的に早めに開くこととなる。
また、第3の手段として、前記第2の保持手段は前記長尺体の内側面に当接する部分を有する当接体を備え、前記当接体の位置が変位することで前記長尺体の内側面に当接する部分の外方への進出量が変化するように構成されているようにした。
これによって、当接体の位置を変位させることで簡単に長尺体の揺動位置を変更させることができる。これは第2の保持手段のより具体的な構成を特定したものである。第2の保持手段は第3の手段に記載した構成以外であってもよい。
また、第4の手段として、前記当接体は第2の回動軸によって回動可能に支持され、前記第2の回動軸回りに回動することで位相に応じて外方への進出量が変化するように構成されているようにした。
これによって、当接体を回動させるだけで簡単に長尺体の揺動位置を変更させることができる。
また、第5の手段として、前記当接体は円板又は円柱形状に構成され、前記第2の回動軸に周方向に回動可能に支持されるとともに、前記第2の回動軸は円板又は円柱形状の中心からずれた位置に配置されているようにした。
これは第4の手段の当接体の具体的な構成を特定したものである。このような構成であれば、中心からずれた位置に第2の回動軸があるため、当接体を回動させると当接体は位相に応じて外方への進出量が変化することとなる。当接体は円板又は円柱形状以外の形状、たとえば逓減あるいは逓増する当接面を外周に有する半月体のような形状であってもよい。逓減あるいは逓増する当接面を外周に有するのであれば第2の回動軸は中心からずれた位置でなく中心であってもよい。
【0008】
また、第6の手段として、前記長尺体、前記第1の回動軸、前記当接体及び前記第2の回動軸はベース上に設置されたフレームに配設されているようにした。
これは長尺体と当接体を支持する機構の具体的な構成を特定したものである。ベース上にこのようなフレームを介して長尺体と当接体を配置することで、長尺体の揺動操作を効率化している。
また、第7の手段として、前記弾性のある部材はゴム製であるようにした。
ゴム製であれば、取り扱いが容易で軽く安全である。その他の弾性のある部材、例えばコイルスプリングやダンパー等を排除するものではない。
また、第8の手段として、複数の前記長尺体は前記網収容部の周囲に放射状に配置されているようにした。
これによって、複数の長尺体がバランスよく網収容部の周囲に配置されるため、捕獲網はきれいに拡がりやすくなる。
また、第9の手段として、前記第1の保持手段は前記錘に形成された第1の係合部と前記長尺体の基部外面に配置された第2の係合部とによって構成され、前記解放手段は前記第1の係合部に対する前記第2の係合部の係合関係を解除する手段であるようにした。
このような解放手段であれば、簡単に第1の係合部と第2の係合部の係脱を行うことができる。第1の保持手段では例えば、第1の係合部がリング状のワイヤで構成され、第2の係合部が第1の係合部のリング内に挿入される突起部材であるとよい。突起がリング部の内側面と接して係止され付勢力が与えられている状態の錘がその位置で保持されることとなる。そして、突起部材を後退させることで第1の係合部と第2の係合部の係合が解除されて解放された付勢力によって錘が長尺体に沿って前方に射出される。
【考案の効果】
【0009】
本考案によれば、長尺体にそって正確に錘を飛ばすことができるため、捕獲対象へ捕獲網を飛ばす際の指向性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態の捕獲機の正面図。
【図2】図1のA−A線での捕獲機の平面方向の一部切り欠き平断面図。
【図3】同じ実施の形態の捕獲機において、錘を保持する機構を説明するための部分拡大図。
【図4】同じ実施の形態の捕獲機において、(a)はレールの開き具合が小さい状態、(b)はレールの開き具合が大きい状態のそれぞれ部分拡大図。
【図5】(a)は同じ実施の形態に使用する錘の斜視図、(b)は同じく正面図。
【図6】(a)は実施の形態の捕獲機において捕獲網を射出する前、(b)は捕獲網を射出した直後の状態を説明する部分拡大図。
【図7】実施の形態の捕獲機を使用の際のレールの位置関係を説明する説明図。
【図8】他の実施の形態に使用する錘の斜視図。
【考案を実施するための形態】
【0011】
以下、本考案の実施の形態である捕獲機の一例について図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、捕獲機1はベース板2と、ベース板2の前面(図1では下面)に固着された網収納部3と、網収納部3を包囲する等間隔に配置された4本のレール4を基本構成として備えている。
網収納部3は有底で円形の外周を有するプラスチック製の植木鉢形状の筺体である。図1に示すように網収納部3内には捕獲網5が畳まれた状態で収納されている。網収納部3内には内周側面に形成された半球状の突起6に支えられた押さえ蓋7が配設されている。押さえ蓋7によって網収納部3内に収容された捕獲網5がこぼれ落ちないように保持される。尚、捕獲機1を使用する際に捕獲網5の射出の邪魔になる押さえ蓋5は外される。レール4は横断面が方形に現れるアルミ合金製のパイプから構成されている。
ベース板2は平面視で真円形状となるプラスチック製の板体であり、後面(図1では上面)中央部には取っ手8が立設されている。プラスチック製の取っ手8は横断面円形となる外周を有する円筒部材である。取っ手8の外周には取っ手8の長手方向にスライド可能に稼働コマ9が遊嵌されている。稼働コマ9は糸巻用のボビン形状の外形とされ、上下にリング状のフランジ9aが形成されている。取っ手8の周囲であってベース板2と稼働コマ9(の下側のフランジ9a)の間にはコイルばね10が配設されている。稼働コマ9がコイルばね10上に載置された図1の状態を稼働コマ9のデフォルト状態とする。稼働コマ9を押動してベース板2側に接近させるとコイルばね10が圧縮されて付勢力を発生させる。押動が解除されると解放されたコイルばね10の付勢力によって稼働コマ9は押し戻されデフォルト状態に復帰する。
図1及び図2に示すように、ベース板2後面の周縁寄りにはベース板2の中心を基準に90度ずつずれた角度で4つのフレームユニット11が配設されている。各フレームユニット11はL状に屈曲形成された2枚のアルミ合金製の固定板11aを間隔を空けて鏡像対称となるように配置して構成されている。4つのフレームユニット11の向きが中心から放射状となるように配置されている。各フレームユニット11の固定板11aはネジ12aとナット12bによって外寄り1/3程度の領域がベース板2からはみ出すように(張り出すように)ベース板2に固定されている。
【0012】
レール4は各フレームユニット11の張り出した部分の対向する固定板11a間に挟持され固定板11a間に挿通された第1の回動軸15によって支持されている。これによってレール4は網収納部3の外方に配置され、網収納部3に対して接離するように揺動可能とされる。図1に示すように、レール4は第1の回動軸15の位置を基準としてそれよりも前方側部分の全長は、それよりも基部側部分の全長の約4倍ほどの長さとされている。以下、第1の回動軸15よりも基部側部分を基部側揺動部4Aとし、第1の回動軸15よりも前方側部分を射出側揺動部4Bとする。射出側揺動部4Bは網収納部3の全高の3倍強の長さとされ網収納部3前端(図1では下端)よりも大きく前方側に延出されることとなる。
レール4の先端にはキャップ16が冠着されている。キャップ16先端は半円形状に切り欠いたロープ係合凹部16aとされている。ロープ係合凹部16aは後述する誘引ロープ34が折り返される際に配置される位置とされる。レール4の後端寄りの外側面には調整板17が固着されている。調整板17はレール4の幅において足らない厚さ(肉)を補う補助部材である。レール4と調整板17とを内外にかけて横断して挿通する連通路18が形成されている。
【0013】
各フレームユニット11においてレール4に隣接する内側位置には角度調整円板21が配設されている。角度調整円板21は固定板11a間に配設され、第1の回動軸15と平行な第2の回動軸22に回動可能に支持されている。角度調整円板21は扁平な円柱形状のプラスチック製の部材であり、レール4の基部側揺動部4A側の内面に角度調整円板21の外周面21aが当接することとなる。そして、当接位置での摩擦力によってレール4は任意の揺動位置(開く角度)で保持される。第2の回動軸22は角度調整円板21の円形の中心ではなく中心からシフトした位置を挿通しているため、第2の回動軸22から外周面21aまでの距離は均等ではない。そのため、角度調整円板21を回動させた際にレール4の当接位置までの距離は位相によって区々となり、その結果レール4の揺動位置(いいかえれば取っ手8の中心を通る中心線Oに対するレール4の外方に開く角度)によるレール4の長手方向における延出方向を変更することが可能となる。例えば、第2の回動軸22から角度調整円板21の外周面21aがレール4の内面と当接する位置pが図4(a)のように遠ければレール4の角度は小さくなり起立方向に配置される。一方、図4(b)のように近ければレール4の角度は大きくなり図4(a)に比べてレール4は相対的により先端側が開くように傾くこととなる。
【0014】
図1〜図3に示すように、稼働コマ9の下側フランジ9aとレール4の基部側揺動部4Aとの間には解放手段としての射出装置23が配設されている。射出装置23は棒ネジを構成する本体24と、本体24に螺合するジョイントナット用の長ナット25と、長ナット25の前後に配置される長ナット25のゆるみ止めとなるダブルナット26とから構成されている。本体24の基端側は稼働コマ9の下側フランジ9aに連結され、先端側は連通路18を通じて調整板17の外方に突出させられている。この突出させられている本体24の先端を含む先端寄り部分を係止ペグ27とする。長ナット25は本体24の長手方向の任意の位置に移動可能とされ、その位置でダブルナット26により位置固定される。これによって、係止ペグ27の突出量を調整する。
図1及び図2に示すように、係止ペグ27と捕獲網5の間には網射出機構28が配設されている。網射出機構28は錘30と錘30と捕獲網5の間に配設される牽引部材としての輪ゴム33と綿製の編み上げた誘引ロープ34との直列に連結された組み合わせ(以下、この組み合わせを牽引セット35とする)によって構成されている。輪ゴム33は弾性も可撓性もある素材であり、誘引ロープ34は弾性がなく可撓性のみある素材である。
係止ペグ27には錘30が係止される。図5(a)(b)に示すように、錘30は鉛合金製の略直方体形状のブロック体である。錘30の上面にはワイヤからなるリング状の係止部31の基部が埋設されている。錘30の上面にはワイヤからなるハンガー32の基部が埋設されている。ハンガー32には牽引セット35の輪ゴム33側端部が連結され捕獲網5には誘引ロープ34側端部が連結されている。
網射出機構28をセットする際には、牽引セット35においてまず誘引ロープ34を網収納部3内に収納された捕獲網5からレール4に略沿って下垂させ、レール4先端のキャップ16のロープ係合凹部16aで折り返す。誘引ロープ34に連結された輪ゴム33の長さは引っ張って伸ばさないと係止ペグ27に係止された(吊るされた)錘30のハンガー32まで達しない長さで構成されている。そのため網射出機構28を図1のようにセットした状態では輪ゴム33は十分引き延ばされて錘30を前方(レール4先端方向)に向かって付勢することとなる。
尚、図1では基本構成としてのレール4を説明するために、網射出機構28については左方の1つのレール4についてのみ図示し他は省略しているが、実際には本実施の形態では4つのレール4すべてに網射出機構28は設けられている。
【0015】
次にこのように構成された捕獲機1の使用方法について説明する。
使用者等は使用する捕獲網5と捕獲対象までの距離に応じた最適な射出方向となるようにレール4の揺動位置(つまり、角度)を角度調整円板21を回動させて決定する。このとき、図4(b)のように大きくレール4が揺動した場合には係止ペグ27が突出しすぎてしまう場合がある。その場合には射出装置23の長ナット25の位置をより外方に移動することで、係止ペグ27の突出量を少なくすることができる。ここでは、図1に示すレール4の揺動位置で網射出機構28を固定するものとする。4つのレール4は前方側がわずかに外方に開いた状態で網収納部3を包囲するように配置される。
この状態の捕獲機1を使用者等は自身で持ったり脚立やスタンドを用意して網収納部3を虚空に向けてセットする(図6(a)の状態)。セットした状態では網収納部3は横方向あるいは横方向よりも上方を指向するため、網収納部3内に収容された捕獲網5は零れ落ちないため、この段階で押さえ蓋7を取り外す。そして、捕獲対象の方向に射出されるように方向を定め稼働コマ9をベース板2方向に押動する。すると、稼働コマ9の進出に伴い下側のフランジ9aに連結された本体24を後方、つまり捕獲機1の中心方向に引っ張る力が発生し、突出していた係止ペグ27先端が調整板17内に没するように移動する。すると係止ペグ27に係止されていた錘30の係止部31が外れ、輪ゴム33の付勢力が解放されて錘30はレール4に沿って前方(レール4先端方向)に向かって射出される。輪ゴム33に連結された誘引ロープ34によって捕獲網5は前方に向かって飛び出していき徐々に展開されて捕獲対象に至る。
【0016】
この際に捕獲網5によりきれいな展開をさせることを考慮して、4つのレール4の開く角度の調整、4つの錘30の重さの調整、輪ゴム33の調整のうちから選ばれた少なくとも1つの調整をすることがよい。捕獲対象を捕獲するためには上側のレール4xを捕獲対象の向こう側まで飛ばす必要があるからである。つまり、捕獲網5は拡がりながら若干上方側が先行することがよい。
より具体的には、今、図7に示すように、水平なグランド線Gを基準として上側に2つのレール4x、下側に2つのレール4yが配置されているとする。この場合に、
a)上側のレール4xの開き具合(開く角度)ほうを下側のレール4yの開き具合よりも小さくして、より遠くに早く達するように制御する
b)上側のレール4xの錘30の方を下側のレール4yの錘30よりも重くする
c)上側のレール4xの輪ゴム33の付勢力を下側のレール4yの輪ゴム33の付勢力よりも強くする
等を考慮することにより、より精密に捕獲網5を捕獲対象に手際よく包囲させることができる。
【0017】
このように構成することで、本実施の形態の捕獲機1では次のような効果が奏されることとなる。
(1)錘30をレール4に沿って射出させて収納部3内に収容された捕獲網5を前方に放出して展開させるようにしたため、捕獲網5が向かう方向を正確に定めることができる。
(2)錘30はレール4に沿ってレール4の延長線方向に飛び出すため、引っ張られた捕獲網5はすぐには周囲に展開せずに空気抵抗の少ない畳まれた状態をキープすることとなり、捕獲網5の捕獲対象に達する時間が早くなり、また空気抵抗が少ないため捕獲網5を遠くに飛ばすことができる。
(3)レール4の揺動位置(つまり、角度)は角度調整円板21を回動させて使用者が状況に応じて適宜変更することができる。また、角度調整円板21を回動させるだけで簡単にレール4の揺動位置を変更できる。
【0018】
上記実施の形態は本考案の原理およびその概念を例示するための具体的な実施の形態として記載したにすぎない。つまり、本考案は上記の実施の形態に限定されるものではない。本考案は、例えば次のように変更した態様で具体化することも可能である。
・上記実施の形態の捕獲機1は一例であり、他の実施の形態で実施するようにしてもよい。例えばレール4は上記では4本で構成したが、4本以外であってもよい。また、例えば調整板17を用いずに実施したり、例えば他の形状の錘30を用いるようにしてもよい。錘30の付勢力を解放させる解放手段としても上記以外の構成で実現するようにしてもよい。レール4は長尺体であればよいので断面方形でなくともよく、材質も問わない。
・上記では牽引部材を伸長させて付勢力を与えるために輪ゴム33を使用したが、輪ゴム33以外のコイルばねのような手段で付勢力を与えるようにしてもよい。28
・輪ゴム33と誘引ロープ34とを直列に連結して牽引部材としての牽引セット35としていたが、牽引部材としてすべてを輪ゴム33で構成するようにしてもよい。
・錘30は係止部31側を進行方向として射出されるため、係止部31を保護するための保護部材を設けるようにしてもよい。例えば、図8のようなアーチ状の金属製の保護カバー41を設けるようにした錘30であってもよい。
・押さえ蓋7はなくともよい。
・上記実施の形態の捕獲機1の角度調整円板21以外のレール4の揺動位置を変更する構成を設けるようにしてもよい。例えば、上記では角度調整円板21は円形の外周を有する円板で構成されていたが、外周のカーブが逓減あるいは逓増するように構成してもよい。
本考案は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、考案を解決するための手段に記載の任意の構成要素または考案を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または特許出願への変更等において権利取得する意思を有する。
【符号の説明】
【0019】
1…捕獲機、3…網収容部、4…長尺体としてのレール、5…捕獲網、9…解放手段としての稼働コマ、23…第1の保持手段としての射出装置、30…錘、33…牽引部材を構成する輪ゴム、34…牽引部材を構成する誘引ロープ。
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
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