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機械器具
 
【発明の名称】回転体
【出願人】
【識別番号】316014607
【氏名又は名称】永井 博文
【住所又は居所】岐阜県岐阜市茜部寺屋敷3丁目238
【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
【発明者】
【氏名】永井 博文
【住所又は居所】岐阜県岐阜市茜部寺屋敷3丁目238
【要約】
【課題】鑑賞目的にも使用可能な新規な構成を有する回転体を提供する。
【解決手段】回転体であって、回転本体と、流動体と、を備える。回転本体は、斜面を転がる外形を有し、内部に収容空間が形成されている。流動体は、収容空間に収容されている。回転本体は、複数の羽根部を有する。複数の羽根部は、収容空間を形成する内壁面から回転本体の回転中心に近づく方向へ延びる。羽根部によって保持されている流動体は、回転本体の回転に伴い当該羽根部における回転本体の回転中心側の端部からこぼれ落ちることにより、他の羽根部へ移動する。
【選択図】図1
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜面を転がる外形を有し、内部に収容空間が形成された回転本体と、
前記収容空間に収容された流動体と、
を備え、
前記回転本体は、
前記収容空間を形成する内壁面から前記回転本体の回転中心に近づく方向へ延びる複数の羽根部を有し、
前記羽根部によって保持されている前記流動体は、前記回転本体の回転に伴い当該羽根部における前記回転本体の回転中心側の端部からこぼれ落ちることにより、他の前記羽根部へ移動する、回転体。
【請求項2】
請求項1に記載の回転体であって、
前記複数の羽根部は、前記回転本体の回転方向に沿って互いに同じ側に曲がった形状を有する、回転体。
【請求項3】
斜面を転がる外形を有し、内部に収容空間が形成された回転本体と、
前記収容空間に収容された流動体と、
を備え、
前記収容空間は、前記回転本体の回転方向に沿って並んだ複数の部屋を有し、
前記複数の部屋のそれぞれには、隣接する前記部屋同士を互いに連通する貫通孔が設けられている、回転体。
【請求項4】
斜面を転がる外形を有し、内部に収容空間が形成された回転本体と、
前記収容空間に収容された流動体と、
を備え、
前記回転本体は、
管状の部材が環状に巻かれた形状を有する複数の環状部と、
前記環状部の端部を他の前記環状部の端部と連結する管状の複数の連結部と、
を有し、
複数の前記環状部と複数の前記連結部とにより前記収容空間が形成され、
前記環状部によって保持されている前記流動体は、当該環状部の端部から前記連結部を介して他の前記環状部へ移動する、回転体。
【請求項5】
請求項4に記載の回転体であって、
前記環状部が、前記管状の部材が複数回巻かれた形状を有する、回転体。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の回転体であって、
前記回転本体は、
当該回転本体の内部に、回動運動を行う振り子を有する、回転体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、斜面を転がる回転体が開示されている。この回転体は、当該回転体の内部を複数の室に区分する複数の壁を備える。この複数の壁により回転体の内部はみかんの輪切り状に区分される。また、複数の壁における回転体の内壁面に接する部分には細隙が形成されている。
【0003】
この回転体には流動体が収容されており、回転体が斜面に載置されると、回転体の回転に伴い、流動体が複数の壁に形成された細隙を通って回転体内を移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭48−34569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような流動体を収容した回転体は鑑賞目的にも使用することができる。すなわち、回転体を斜面上で転がし、回転体の回転に伴う流動体の移動を鑑賞することにより、楽しむことができる。
【0006】
本開示は、鑑賞目的にも使用可能な新規な構成を有する回転体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、回転体であって、回転本体と、流動体と、を備える。回転本体は、斜面を転がる外形を有し、内部に収容空間が形成されている。流動体は、収容空間に収容されている。回転本体は、複数の羽根部を有する。複数の羽根部は、収容空間を形成する内壁面から回転本体の回転中心に近づく方向へ延びる。羽根部によって保持されている流動体は、回転本体の回転に伴い当該羽根部における回転本体の回転中心側の端部からこぼれ落ちることにより、他の羽根部へ移動する。
【0008】
このような構成によれば、羽根部における回転本体の回転中心側の端部からこぼれ落ちるという、鑑賞目的にも使用可能な新規な構成を有する回転体を提供することができる。
本開示の一態様は、複数の羽根部が、回転本体の回転方向に沿って互いに同じ側に曲がった形状を有していてもよい。
【0009】
このような構成によれば、回転体による演出効果を更に向上させることができる。すなわち、羽根部が平板状である構成と比較して、流動体が羽根部からこぼれにくいため、流動体を収容空間における鉛直方向上方へ移動させやすい。よって、流動体をより高い位置から落下させることができる。したがって、流動体の落下を利用したからくりを収容空間に設けることにより、回転体による演出効果を更に向上させることができる。
【0010】
本開示の別の態様は、回転体であって、回転本体と、流動体と、を備える。回転本体は、斜面を転がる外形を有し、内部に収容空間が形成されている。流動体は、収容空間に収容されている。収容空間は、回転本体の回転方向に沿って並んだ複数の部屋を有する。複数の部屋のそれぞれには、隣接する部屋同士を互いに連通する貫通孔が設けられている。
【0011】
このような構成によれば、流動体が複数の部屋を順に移動するという、鑑賞目的にも使用可能な新規な構成を有する回転体を提供することができる。
本開示の別の態様は、回転体であって、回転本体と、流動体と、を備える。回転本体は、斜面を転がる外形を有し、内部に収容空間が形成されている。流動体は、収容空間に収容されている。回転本体は、複数の環状部と、複数の連結部と、を有する。複数の環状部は、管状の部材が環状に巻かれた形状を有する。複数の連結部は、環状部の端部を他の環状部の端部と連結し、管状である。複数の環状部と複数の連結部とにより収容空間が形成される。環状部によって保持されている流動体は、当該環状部の端部から連結部を介して他の環状部へ移動する。
【0012】
このような構成によれば、流動体が環状部の端部から連結部を介して他の環状部へ移動するという、鑑賞目的にも使用可能な新規な構成を有する回転体を提供することができる。
【0013】
本開示の一態様は、環状部が、管状の部材が複数回巻かれた形状を有していてもよい。
このような構成によれば、管状部材が1回だけ巻かれた構成と比較して、環状部において、より多くの流動体を保持することができる。その結果、回転体の重心が、回転本体の回転中心に近づきやすい。したがって、管状部材が1回だけ巻かれた構成と比較して、回転体を更に転がりやすくすることができる。
【0014】
本開示の一態様は、回転本体が、当該回転本体の内部に、回動運動を行う振り子を有していてもよい。
このような構成によれば、回転体の重心の位置を、回転本体の回転中心に近づけることができる。よって、回転体を転がりやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態の回転体を表す図である。
【図2】第2実施形態の回転体を表す図である。
【図3】第2実施形態の回転体の回転に伴う流動体の移動の様子を説明する図である。
【図4】第3実施形態の回転体を表す図である。
【図5】管状部材が1回巻かれた環状部の断面図である。
【図6】第3実施形態の回転体の回転に伴う流動体の移動の様子を説明する図である。
【図7】管状部材が2回巻かれた環状部を有する回転体の回転に伴う流動体の移動の様子を説明する図である。
【図8】管状部材が2回巻かれた環状部の断面図である。
【図9】環状部を4つ有する収容管を表す図である。
【図10】環状部を5つ有する収容管を表す図である。
【図11】板状部材により構成された収容管を表す図である。
【図12】振り子を備える回転体を表す図である。
【図13】球体を備え、周壁の内側に振り子を有する回転体を表す図である。
【図14】球体を備え、球体と周壁との間に錘が位置するように振り子を有する回転体を表す図である。
【図15】演出効果を向上させるためのからくりを表す図(1)である。
【図16】演出効果を向上させるためのからくりを表す図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1に示す回転体1は、回転本体11と、流動体12と、を備える。
【0017】
回転本体11は、円柱状の外形を有する部材である。具体的には、回転本体11は、円筒状の周壁111と、周壁111の軸方向の両端における開口を塞ぐ円盤状の図示しない2つの蓋部と、8つの羽根部112〜119と、を有する。なお、本実施形態では、回転本体11は、アクリルを素材として構成され、透明である。
【0018】
本実施形態では、2つの蓋部は周壁111に接着される。このように蓋部が周壁111に固定されることにより、周壁111及び2つの蓋部に囲まれた空間として、収容空間が形成される。収容空間には、流動体12が収容されている。本実施形態では、流動体12は砂である。
【0019】
この回転体1を斜面上で転がすときは、周壁111の中心軸が斜面と平行になるように回転体1を立てて載置する。つまり、回転本体11の回転軸は、周壁111の中心軸である。
【0020】
次に、羽根部112〜119について詳細に説明する。羽根部112〜119は、収容空間を形成する周壁111の内壁面から回転本体11の回転中心に近づく方向へ延びる板状の部分である。羽根部112〜119は、収容空間における鉛直方向下部への流動体12の移動を妨げた状態で流動体12を保持する。
【0021】
羽根部112〜119は、互いに同形状であり、回転本体11の回転方向に沿って互いに同じ側に一定の曲率で曲がった形状を有する。ここでいう「回転本体11の回転方向に沿う」とは、回転本体11の回転軸に垂直な断面における周壁111の円周方向、換言すれば、回転本体11の回転中心を中心とする円の周方向に沿うことを意味する。羽根部112〜119は、回転本体11の回転軸に垂直な断面において半円状である。このように、羽根部112〜119は、流動体12を保持しやすい形状、換言すれば、収容空間における鉛直方向上部へ流動体12を移動させやすい形状に形成されている。また、羽根部112〜119は、周壁111の内壁面上で回転本体11の回転方向に沿って互いに等間隔に設けられている。つまり、回転本体11は、回転本体11の回転軸に垂直な断面において点対称な形状を有する。
【0022】
このような回転体1を斜面に立てて載置すると、回転体1は回転する。そして、回転体1の回転に伴い、羽根部112〜119によって保持されている流動体12は、当該羽根部112〜119における回転中心側の端部からこぼれ落ちることにより、他の羽根部112〜119へ移動する。
【0023】
具体的には、図1には、回転体1が左回りに回転している状況が示されている。この状況において、収容空間における最下部に位置する羽根部116は、回転体1の回転に伴い、収容空間における最下部付近(図1では羽根部116のすぐ右側)に溜まっている図示しない流動体12を掬う。そして、羽根部116の位置が上昇し、収容空間における高さが中間である位置(図1における羽根部114の位置)から、回転中心側の端部が内壁面への付け根よりも低くなるように羽根部116が傾き出す。その結果、羽根部116によって保持されている流動体12が回転中心側の端部から少しずつこぼれ始め、鉛直方向下方へ落下する。
【0024】
なお、図1に示す状況では、中間の高さに位置する羽根部114からこぼれ落ちた流動体12と当該羽根部114の1つ上の羽根部113からこぼれ落ちた流動体12とは、羽根部114の1つ下の羽根部115へ移動している。また、収容空間における最上部に位置する羽根部112からこぼれ落ちた流動体12は、当該羽根部112の真下に位置する内壁面へ落下している。そして、当該内壁面へ落下し、滞留した流動体12は、羽根部116により掬われる。
【0025】
また、複数の羽根部112〜119により流動体12の移動が阻害されることにより回転体1の重心の位置が変化する。そして、重心の位置の変化により、回転体1の転がり方が不規則になる。換言すれば、回転体1の転がり方が、回転体の重心の位置が一定であり、かつ、重心の位置が回転体の回転中心と一致する場合と比較して異なるものとなる。また、回転体1の転がり方は、回転体の重心の位置が一定であり、かつ、重心の位置が回転体の回転中心からずれている場合と比較しても異なるものとなる。
【0026】
なお、本実施形態では、流動体12の分量は、回転体1が一回転して羽根部112〜119が元の位置に来た際に、当該羽根部112〜119によって保持されている流動体12の形状が一回転前にその羽根部が保持していた流動体12の形状と同じになるように調節されている。換言すれば、流動体12の分量は、少なすぎないように、所定の分量以上になるように調節されている。
【0027】
[1−2.効果]
(1)本実施形態の回転体1は、羽根部112〜119を備える。特許文献1の構成では、複数の壁における内壁面に接する部分に形成された細隙を通って流動体が移動する。これに対し、本実施形態の構成では、流動体12が羽根部112〜119における回転本体11の回転中心側の端部からこぼれ落ちることにより移動する点で相違する。したがって、羽根部112〜119における回転本体11の回転中心側の端部からこぼれ落ちるという、鑑賞目的にも使用可能な新規な構成を有する回転体1を提供することができる。
【0028】
(2)本実施形態のように羽根部112〜119が設けられた構成では、回転本体11の回転中心近傍にスペースを形成することができる。したがって、このスペースに演出効果を向上させるためのからくりを設けることができる。特に、このスペースを流動体12が落下するため、流動体12の落下に応じて回転するからくりなど、流動体12の落下を利用した演出効果を向上させるためのからくりを設けることができる。
【0029】
(3)本実施形態では、複数の羽根部112〜119は、回転本体11の回転方向に沿って互いに同じ側に曲がった形状を有する。したがって、回転体1による演出効果を更に向上させることができる。すなわち、羽根部が平板状である構成と比較して、流動体12が羽根部112〜119からこぼれにくいため、流動体12を収容空間における鉛直方向上方へ移動させやすい。よって、流動体12をより高い位置から落下させることができる。したがって、流動体12の落下に応じて回転するからくりなど、流動体12の落下を利用したからくりを収容空間に設けることにより、回転体1による演出効果を更に向上させることができる。
【0030】
(4)本実施形態の構成によれば、特許文献1の構成と比較して、回転体1を転がりやすくできる。すなわち、流動体12の移動を見て楽しむという鑑賞目的に回転体1を使用する場合、回転体1は転がりやすいことが望ましい。本実施形態では、羽根部112〜119によって保持されている流動体12は、当該羽根部112〜119における回転中心側の端部からこぼれ落ちることにより、他の羽根部112〜119へ移動する。したがって、特許文献1の構成のような、流動体が回転体の内壁面に接する部分に形成された細透きを通って回転体内を移動する構成と比較して、流動体12が回転本体11の回転中心の近くに位置しやすい。つまり、回転体1の重心が、回転本体11の回転中心に近づきやすい。したがって、回転体1を転がりやすくすることができる。
【0031】
[2.第2実施形態]
[2−1.構成]
図2に示す回転体2は、回転本体21と、前述した流動体12と、を備える。
【0032】
回転本体21は、外形が円柱状である。回転本体21は、アクリルを素材として構成され、透明である。回転本体21は、円形の側面に直交する中心軸を斜面と平行にして、斜面を転がることが可能である。つまり、回転本体21の回転軸は、円形の側面に直交する中心軸である。
【0033】
回転本体21の内部には、流動体12を収容する収容空間が形成されている。この収容空間は、3つの部屋211〜213を有している。3つの部屋211〜213は、回転体2の回転中心に沿って等間隔に並んでいる。
【0034】
部屋211〜213は、回転体2の回転軸に垂直な断面においていずれも菱形状であり、互いに同形状である。部屋211〜213は、回転体2の回転中心に沿って同様に傾いている。また、回転体2の回転中心には、3つの部屋211〜213により囲まれた領域として、回転体2の回転軸に垂直な断面における形状が正三角形状の領域が形成されている。つまり、正三角形の各頂点近傍において、各部屋211〜213における回転体2の回転中心側の2隅が互いに接している。また、当該正三角形状の部分、及び、回転本体21における3つの部屋211〜213の外側の部分は、流動体12が入らない部分である。
【0035】
3つの部屋211〜213のそれぞれには、隣接する部屋211〜213同士を互いに連通する貫通孔214〜216が設けられている。この貫通孔214〜216は、各部屋211〜213の4隅のうち他の部屋211〜213に接している2隅において形成されている。これにより、3つの部屋211〜213を循環する循環路としての収納空間が形成されている。
【0036】
次に、回転体2の回転に伴う流動体12の移動の様子を、図3を用いて説明する。図3では、回転本体21の外形の図示を省略している。以下では、説明の便宜上、部屋211〜213をそれぞれ、第1の部屋211、第2の部屋212及び第3の部屋213という。
【0037】
(a)には、第1の部屋211の最下部が第2の部屋212及び第3の部屋213の最下部よりも鉛直方向下方に位置している状態が示されている。この状態から(b)〜(d)にかけて回転体2は左回りに回転していく。具体的には、(b)〜(d)には、第1の部屋211が下から右上へ移動していく様子が示されている。
【0038】
(a)では、第1の部屋211内における最下部から中間の高さまでの部分が流動体12で満たされている。(a)の状態から回転体2が左回りに回転し、第1の部屋211が少し傾いた(b)の状態になると、貫通孔216を通って流動体12の一部が第2の部屋212に移動する。そして、回転体2が更に回転すると、第1の部屋211の位置が更に上昇し、第1の部屋211が更に傾いた(c)及び(d)の状態になる。その結果、流動体12が、貫通孔216を通って第2の部屋212に更に移動する。このように、回転体2が左回りに回転すると、流動体12が、第1の部屋211→第2の部屋212→第3の部屋213の順で回転本体21内を移動する。
【0039】
[2−2.効果]
(1)本実施形態では、収容空間は、回転本体21の回転方向に沿って並んだ複数の部屋211〜213を有する。そして、複数の部屋211〜213のそれぞれには、隣接する部屋211〜213同士を互いに連通する貫通孔214〜216が設けられている。そして、流動体12は、複数の部屋211〜213を順に移動する。したがって、流動体12が複数の部屋211〜213を順に移動するという、鑑賞目的にも使用可能な新規な構成を有する回転体2を提供することができる。
【0040】
(2)本実施形態の構成によれば、特許文献1の構成と比較して、回転体1を転がりやすくできる。すなわち、本実施形態では、部屋211〜213によって収容されている流動体12は、その部屋211〜213における回転体2の回転中心側の2隅に形成された貫通孔214〜216を通って、他の部屋211〜213へ移動する。したがって、特許文献1の構成のような、流動体が回転体の内壁面に接する部分に形成された細透きを通って回転体内を移動する構成と比較して、流動体12が回転本体21の回転中心の近くに位置しやすい。つまり、回転体2の重心が、回転本体21の回転中心に近づきやすい。したがって、回転体1を転がりやすくすることができる。
【0041】
[3.第3実施形態]
[3−1.構成]
図4に示す回転体3は、回転本体31と、前述した流動体12と、を備える。
【0042】
回転本体31は、円板311と、収容管312と、を備える。本実施形態では、回転本体31は、アクリルを素材として構成され、透明である。
円板311は、円柱状の外形を有し、円形の側面に直交する中心軸を斜面と平行にして、斜面を転がることが可能である。つまり、回転本体31の回転軸は、円板311の側面に直交する中心軸である。
【0043】
収容管312は、流動体12を収容可能な部材である。具体的には、収容管312は、管状の部材(以下、管状部材)の両端部を互いに接続して閉じたような形状を有している。このため、収容管312の内部には、循環路が形成されている。収容管312は、外側の輪郭が略正三角形状に形成される。また、収容管312は、当該正三角形の各頂点において環状に巻かれた形状を有している。なお、収容管312の形状は、後で詳述する。
【0044】
収容管312は、その正三角形の外形が、円板311の側面の外形よりもやや小さくなるように形成されている。収容管312は、円板311の側面の一方に、当該側面の中心と正三角形の中心とが一致するように、固定されている。また、収容管312は、円板311に対して移動しないように固定されている。したがって、円板311が回転すると、収容管312も共に回転する。
【0045】
以下、収容管312の形状を具体的に説明する。収容管312は、3つの環状部313〜315と、3つの連結部316〜318と、を有する。
環状部313〜315は、図5に示すように、管状部材が1回環状に巻かれた形状を有する。
【0046】
連結部316〜318は、直線状の管状部材である。本実施形態では、環状部313〜315及び連結部316〜318を構成する管状部材は、断面形状が円状であるチューブ状の部材である。また、管状部材の断面積は一定である。また、本実施形態では、環状部313〜315と連結部316〜318とは別部材である。連結部316〜318は、環状部313〜315の端部313a〜315bを他の環状部313〜315の端部313a〜315bと連結している。換言すれば、連結部316〜318は、異なる2つの環状部313〜315の端部313a〜315b同士を連結している。
【0047】
具体的には、連結部316は、環状部313における環状部314側の端部313aと環状部314における環状部313側の端部314aとを連結している。また、連結部317は、環状部314における環状部315側の端部314bと環状部315における環状部314側の端部315aとを連結している。また、連結部318は、環状部315における環状部313側の端部315bと環状部313における環状部315側の端部313bとを連結している。つまり、連結部316〜318は、正三角形の三辺を形成している。このように複数の環状部313〜315と複数の連結部316〜318とにより、その内部に流動体12を収容する収容空間が循環路として形成されている。
【0048】
次に、回転体3の回転に伴う収容管312内の流動体12の移動の様子を、図6を用いて説明する。なお、図6では、円板311の図示を省略している。
(a)には、環状部314及び環状部315が共に同じ高さで、環状部313よりも鉛直方向上方に位置している状態が示されている。
【0049】
この状態から(b)〜(h)にかけて回転体3は左回りに回転していく。具体的には、(a)〜(h)には、環状部313の位置が、真下から、右下、右上、真上、左上、左下、真下、右下へと移動していく様子が示されている。つまり、(a)〜(h)には、回転体3が1回転し、更に45度回転している様子が示されている。
【0050】
(a)では、環状部313における最下部から中間の高さまでの部分のみが流動体12で満たされている。特に、環状部313において2重に重なっている管状部材のうちの図6の紙面手前に位置する管状部材内のみが流動体12で満たされている。
【0051】
なお、図6では、紙面手前の管状部材内に位置する、紙面手前から視認可能な流動体12と、紙面奥の管状部材内に位置する、紙面手前から視認不可能な流動体12とは、異なるハッチングで示されている。
【0052】
回転体3の回転に伴い流動体12は環状部313内を左に移動する。そして、回転体3が(a)の状態から左回りに225度回転した(e)の状態になると、環状部313における紙面奥、つまり裏側の管状部材に流動体12の左半分が移動する。回転体3が更に回転するにつれて、流動体12は環状部313内を更に左に移動する。そして、回転体3が(a)の状態から360度回転した(g)の状態になると、流動体12のすべてが環状部313における裏側の管状部材に移動する。そして、回転体3が(g)の状態から更に45度回転した(h)の状態になると、流動体12の一部が環状部313から連結部316に流れ出す。そして、図示は省略しているが、回転体3が更に回転すると、流動体12が、連結部316を介して環状部314に移動する。
【0053】
[3−2.効果]
(1)本実施形態では、回転体3は、複数の環状部313〜315と、複数の連結部316〜318と、を有する。そして、環状部313〜315によって保持されている流動体12は、当該環状部313〜315の端部から連結部316〜318を介して他の環状部313〜315へ移動する。したがって、流動体12が環状部313〜315の端部から連結部316〜318を介して他の環状部313〜315へ移動するという、鑑賞目的にも使用可能な新規な構成を有する回転体3を提供することができる。
【0054】
(2)本実施形態の構成によれば、例えば、複数種類の色の流動体を収容管312内に入れることにより、回転体3による演出効果を更に向上させることができる。すなわち、例えば、環状部313〜315に異なる色の流動体を入れて回転体3を回転させても、第1実施形態のような構成と比較して、異なる色の流動体は互いに混じりにくい。したがって、複数種類の色の流動体の移動を見て楽しむことができるため、回転体3による演出効果を更に向上させることができる。
【0055】
[4.他の実施形態]
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0056】
(1)上記各実施形態では、斜面を転がる外形として円柱状の外形を例示したが、斜面を転がる外形はこれに限られるものではない。斜面を転がる外形は、例えば、断面が真円以外の形状であってもよい。この場合において、例えば、正三角錐などの正多角錐状、より一般には、多角錐状の外形であってもよい。また、斜面を転がる外形は、例えば、瓢箪状の外形であってもよい。
【0057】
(2)上記各実施形態では、流動体12は砂であるが、流動体はこれに限られるものではない。流動体は、例えば、水や油などの液体であってもよい。このように、流動体が液体である場合などにおいて、回転体は、収容空間内の圧力を調節可能な装置を備えていてもよい。このような構成によれば、温度による流動体の体積変化がある場合などにおいて、収容空間内の圧力を調節することができる。
【0058】
また例えば、回転体には、比重が異なる複数種類の流動体が入れられてもよい。複数種類の流動体の組合せとしては、例えば、水、油、砂、及び、水などに浮かび上がりやすい物質の粒、のうちの少なくとも2種類の流動体の組合せが考えられる。
【0059】
また例えば、回転体には、流動体に加えて、流動体以外の物が入れられてもよい。この場合において、例えば、回転体には、硝子、金属、木、石等で出来た玉やリングや、貝殻などが入れられてもよい。また例えば、流動体以外の物が第1実施形態の回転体1などに入れられる場合において、流動体以外の物は、羽根部によって保持され、羽根部から落下できる程度の大きさであってもよい。
【0060】
(3)上記各実施形態では、回転本体11等はアクリルを素材として構成されるが、回転本体の素材はこれに限られるものではない。回転本体は、例えば、硝子を素材として構成されてもよい。
【0061】
また、上記各実施形態では、回転本体11等はその全部が透明であるが、回転本体の透明な部分はこれに限られるものではない。例えば、回転本体の一部のみが透明であってもよい。
【0062】
(4)上記第1実施形態では、羽根部112〜119は、回転本体11の回転軸に垂直な断面において半円状であるが、羽根部の曲がり具合はこれに限られるものではない。羽根部は、例えば、回転本体の回転軸に垂直な断面において3/4円状などでもよい。
【0063】
(5)上記第2実施形態では、連結部316〜318は、互いに交差しないように配置されているが、連結部の配置はこれに限られるものではない。例えば、図7に示すように、連結部は互いに交差するように配置されてもよい。
【0064】
(6)上記第2実施形態では、環状部313〜315は、管状部材が1回巻かれた形状を有するが、環状部の巻数はこれに限られるものではない。環状部は、例えば、管状部材が複数回巻かれた形状を有していてもよい。この場合において例えば、図8に示すように、環状部は、管状部材が2回巻かれた形状を有していてもよい。
【0065】
このように、管状部材が複数回巻かれることで、管状部材が1回だけ巻かれた構成と比較して、環状部において、より多くの流動体を保持することができる。その結果、回転体の重心が、回転本体の回転中心に近づきやすい。したがって、管状部材が1回だけ巻かれた構成と比較して、回転体を更に転がりやすくすることができる。
【0066】
例えば、前述した図7には、管状部材が2回巻かれた環状部を3つ有する構成が示されている。この回転体には、複数種類、具体的には、5種類の色の流動体が入れられている。なお、図7では、異なる色の流動体は、異なるハッチングにより区別されている。
【0067】
上記第2実施形態のように、管状部材が1回巻かれた構成では、回転体が360度回転して更に回転すると、環状部によって保持されている流動体が他の環状部に移動する。これに対して、図7に示すように、管状部材が2回巻かれた構成では、回転体が720度回転して更に回転すると、環状部によって保持されている流動体が他の環状部に移動する。
【0068】
(7)羽根部、部屋、環状部及び連結部の数は上記実施形態のものに限られない。例えば、環状部の数は、図9に示すように4つであってもよく、また、図10に示すように5つであってもよい。
【0069】
(8)上記第2実施形態では、環状部313〜315と連結部316〜318とは別部材であるが、環状部と連結部とは1つの部材であってもよい。
(9)上記第2実施形態では、環状部313〜315及び連結部316〜318は、チューブ状の管状部材により構成されるが、環状部及び連結部の構成はこれに限られるものではない。例えば、環状部及び連結部は、図11に示すような構成でもよい。すなわち、回転体4は、内部に空間を有する板状部材を螺旋状に積み立てた形状を有する環状部41〜44を有する。また、回転体は、環状部41〜44は、同様の板状部材により連結される。そして、互いに接している板状部材の内部は互いに連通される。これにより、循環路としての収容空間が形成される。
【0070】
(10)上記第1実施形態のように羽根部を有する構成において、羽根部の先端を周壁の内壁面側に屈曲させるなどして、流動体の移動を塞き止める壁を形成してもよい。そして、羽根部における屈曲部等に貫通孔を形成して、流動体が当該貫通孔を通って他の羽根部へ移動する構成としてよい。このような構成によれば、流動体が勢いよく回転中心側に移動することを抑制することができる。
【0071】
(11)上記第2実施形態では、環状部313〜315及び連結部316〜318の断面積は一定であるが、環状部及び連結部の形状はこれに限られるものではない。例えば、連結部には、当該連結部における他の部分よりも径が小さい絞りが形成されていてもよい。このような構成によれば、流動体の移動の速度を小さくするように調節することができる。
【0072】
(12)回転体は、例えば、自律的に転がる仕組みを有していてもよい。そのような仕組みとしては、例えば、ゼンマイ仕掛けと柱時計の振り子の原理とを利用した仕組みがあげられる。このような構成によれば、回転体は斜面に載置されなくても転がることができる。
【0073】
(13)回転体は、例えば、図12に示すように、回転本体45の内部に回動運動を行う振り子46を有していてもよい。具体的には、振り子46は、棒461の一端に錘462を有し、棒461の他端が回転本体45の回転中心を通る軸棒463により回動可能に支持されている。
【0074】
このような構成によれば、回転体の重心の位置を、回転本体45の回転中心に近づけることができる。よって、回転体を転がりやすくすることができる。なお、図12に示す構成では、振り子46の回動運動の支点は回転本体45の回転中心であるが、回動運動の支点はこれに限られるものではない。例えば、回動運動の支点は、回転中心以外の点であってもよい。
【0075】
また例えば、回転本体の流動体に対する相対的な重量を重くしたり、回転本体内に水などの液体を入れたりすることによっても回転体の重心の位置を、回転本体の回転中心に近づけることができる。この場合も、回転体を転がりやすくすることができる。
【0076】
(14)例えば、回転体は、当該回転体が転がる方向を補正する仕組みを有していてもよい。このような仕組みとして振り子を利用するものが挙げられる。具体的には、図13及び図14に示す回転体5,6は、周壁51,61及び蓋部等を収容する球体52,62を備える。図13では、周壁51の外面が球体52の内面に接している。そして、回転体5は、周壁51の内側に振り子53を有する。一方、図14では、周壁61の外面が球体62の内面に接していない。そして、回転体6は、周壁61の外面と球体62の内面との間に振り子63の錘64が位置するように、振り子63を有している。このような構成によれば、振り子53,63の回動運動により、回転体5,6が転がる方向を補正するができる。
【0077】
なお、振り子53,63は、周壁51,61が回転する方向とは逆方向に回動運動を行う。これにより、周壁51,61が垂直に立った状態で、回転体5,6が斜面を転がることができる。
【0078】
(15)例えば、上記第1実施形態のように回転本体の内部にスペースを有する構成において、当該スペースに演出効果を向上させるためのからくりが設けられてもよい。具体的には、例えば、図15及び図16に示すからくりが設けられてもよい。すなわち、図15及び図16の構成では、回転本体内のスペースに、回転体が回転しても共に回転しづらい基盤71が設けられる。具体的には、基盤71は、回転体の回転中心を支点72とする回転運動が可能に設けられている。そして、基盤71における鉛直方向下部に錘73が設けられている。
【0079】
図12に示す構成では、基盤71の面に、玉などが転がることが可能なスロープ74が設けられている。一方、図13に示す構成では、基盤71の面に、金属製、木製、硝子製などの管や片、鈴、弦などの、落下した玉などが当たると音がなる物体75が設けられている。つまり、図13の構成では、回転体は、当該回転体の回転に伴い、音が鳴る仕組みを有している。
【0080】
(16)上記各実施形態では、2つの蓋部は周壁111に接着されるが、蓋部を周壁に固定する構造はこれに限られるものではない。例えば、蓋部は周壁にネジ止めされてもよい。また例えば、流動体が液体である場合などにおいて、パッキンを施すなどして、蓋部と周壁との間の隙間から流動体が漏れ出さないようにしてもよい。また例えば、蓋部をネジ蓋とし、瓶詰めのようなスクリューを蓋部及び周壁に設けることにより、蓋部が周壁に固定されてもよい。また例えば、蓋部は、周壁に対して開閉動作を行うように固定されてもよい。
【0081】
(17)上記各実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記各実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0082】
1〜6…回転体、11,21,31,45…回転本体、12…流動体、46,53,63…振り子、112〜119…羽根部、211〜213…部屋、214〜216…貫通孔、313〜315、41〜44…環状部、316〜318…連結部。
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
【図10】
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【図11】
図11
【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
図15
【図16】
図16
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