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【発明の名称】下降補助具 【出願人】 【識別番号】506421703 【氏名又は名称】添 正夫 【住所又は居所】大阪府大阪市東住吉区東田辺2丁目16番7号 【発明者】 【氏名】添 正夫 【住所又は居所】大阪市東住吉区東田辺2丁目16番7号 【要約】 【課題】 非常時に高所から脱出する場合の常備品として、はしご、縄はしご、ロープ等が使用されているが、部屋に大きな収納スペースを必要としたり、使用するには熟練を必要としたりする。また、はしごを建物に常備すれば防犯上も好ましくない。本発明によって非常時に高所から脱出するための常備品として、これらの不都合を解決すること。また、一般家庭でも使用できるように安価、簡便なものとすること。 【解決手段】 筐体の中に収納された円筒に巻かれた紐を引張ることにより、円筒が筐体内部に固定された摩擦体に圧接して円筒の回転を緩和抑制する装置を脱出補助具として用いる。 【特許請求の範囲】 【請求項1】 軸方向に3分割した中心部の外周に紐が巻き付けられた円筒あるいは円柱と、内壁に該円筒あるいは円柱の前述3分割の中心部以外の外周あるいは内周に接触するように摩擦体が固設された筐体とで構成され、該筐体の中に該円筒あるいは円柱が収納された構造体。 【請求項2】 該円筒形の軸に相当する部分に該筐体と一体的に敷設された突起を設け、片方の端を円筒に、他の端を突起に固定した渦巻状のばねを敷設した構造体。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 本発明は主に災害時に高所から脱出するための補助具で、小型、安価かつ容易に操作できるようにしたものである。 【技術背景】 従来から、高所から脱出する装置として、はしご、縄はしご、ロープなどが一般的に使用されている。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 はしごの場合は高さに制限があり、また緊急時に備えて必要な場所に常備しておかなければならず、設置場所の確保が必要で、また外観上も好ましくなく、防犯上も良くない。縄はしごの場合は高所の部屋に常備しなければならず、長いほど嵩張り、収納場所に困る。また、縄はしごはよく揺れるので高齢者や幼年者には使用するのが難しい。まして、ロープを使用するには熟練が必要である。また、公報されている公開特許、公開実用新案にも本発明に類似したものがあるがいずれも構造が複雑で大きく、高価なものとなる。本発明はこれらの不都合を解決することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 この課題を解決するための請求項1の発明は、1個の筐体の中に紐と円柱あるいは円筒および摩擦体を収納したことを特長とする。紐は人を吊るすためのもので、降下距離に相当する長さを円柱あるいは円筒の外周に巻きつける。従って巻きつけられた長い紐は互いに密着しているので、最小限のスペースで収納できる。また、紐は例えば引張り強度の大きい金属製ワイヤロープのような材質を使用して紐の断面積を小さくすることが収納スペースを小さくするのに効果的である。 また、少なくとも円筒あるいは円柱に巻かれた紐を筐体の外部に引張ったときに、円柱あるいは円筒の外周あるいは内周に、筐体に固着した摩擦体を圧接させることにより、巻かれた紐が外部に引張り出されるときに生じる円筒あるいは円柱の回転を摩擦抵抗により緩和させ、吊るされた人の急激な落下を防ぐ。 【発明の効果】 本発明により、脱出補助具は小型化されるので、緊急時に高所から脱出するときの備えとして、大きな設備やスペースを必要とせず、任意の場所に備えておくことができる。 摩擦体による円筒あるいは円柱の回転緩和により、紐に吊るされた人は急激に落下することがなく適度な速度で降下することができる。また、人は紐にぶら下がるだけで特別な操作を行うことなく、熟練を必要としない。従って、同様に物体を降ろすことも可能である。 また、本発明は降下する人あるいは物体の重量に係わらず、ほぼ一定の速度で降下させることができるので汎用性が高い。紐に人あるいは物体が吊るされた状態で摩擦体が受ける力は、[図1]の場合は円柱あるいは円筒と紐と吊るされた物体の各重量の総和であり、[図2]の場合は摩擦体を含んだ筐体と人あるいは物体の重量の総和である。一方、摩擦抵抗は抵抗を受ける物体の質量に比例する。[図1]、[図2]の例では、人あるいは物体の質量が他の要素に比べて圧倒的に大きいので、人あるいは物体の重量にほぼ比例した摩擦抵抗が発生する。従って人あるいは物体の重量に係わらずほぼ一定の速度で降下することになる。また、実施例[図1]では高所においてつまみ4aで紐を巻き取ることによって複数の人が順次使用可能である。 更に、[図3]、[図4]に示すように、円筒の軸に相当する部分に、筐体と一体的に突起を形成し、円筒と突起に両端を固定した渦巻状のばねを敷設すれば、紐が引き出されることによって円筒が回転し、ばねに逆回転方向の復元力が発生する。従って、一度降下を行なってもばねの復元力によって紐が元通り円筒に巻かれて取っ手部分が元の位置に戻るので、即反復使用が可能である。 このように本発明による降下補助具は構成部品が非常に少なく、また単純な形状の部品で構成しているので、極めて小型で安価かつ操作が容易であり、一般家庭においても十分利用し得るものである。 [図1]の例では、左右の円筒2aと円筒3aは紐7aの一端を固定した円筒5aと共に締結一体化して筐体1aの内部に収納する。円筒3aの端面には、円筒を回転させて紐を円筒3aに巻きつけるるためのつまみ4aを筐体1aに設けた開口部から外部に突出するように設ける。また、筐体1aの外周上1ヶ所にフック形状9aを設け、該フック形状9aの反対側内面の円筒2a、3aが接触する箇所に摩擦体6aを固着する。紐7aの他の一端を筐体の該フック形状9aの反対側に設けた開口から外部に出し、吊り輪8aを取り付ける。また、応用例として、つまみ4aをなくし[図3]に示すように円筒の軸に相当する部分に突起10aを筐体に固設し、一端を該突起10aに支持し、紐7aを巻きつける方向に円柱5aに回転力を与える渦巻状に形成し、他の一端を円筒5aに支持したばね11aを敷設することも考えられる。 [図2]の例では、左右の円筒2bと円筒3bは紐7bの一端を固定した円筒5bと共に締結一体化して筐体1aの内部に収納する。円筒3aの端面には、円筒を回転させて紐を円筒3aに巻きつけるためのつまみ4aを筐体1bに設けた開口部から外部に突出するようにを設ける。また筐体外周部の一箇所に取っ手形状を設け、円筒2b、3bの端部と向い合う筐体1bの面を円筒2b、3bの内部に入り込むように円筒状の凸部を形成し、2箇所の円筒状凸部の内面外周部の取っ手形状8b側に摩擦体6bを固着する。紐7bの他の一端を筐体の該取っ手形状8bの反対側に設けた開口から外部に出してループを形成し、ループの根元側に筐体1bの紐出口の開口部よりも大きな制止部材9bを固着し、紐7bが筐体1bの内部に入り込むのを防ぐ。同じく応用例として、つまみ4aをなくし[図4]に示すように円筒の軸に相当する部分突起9bを筐体に固設し、一端を該突起9bに支持し、紐7aを巻きつける方向に円柱5aに回転力を与える渦巻状に形成し、他の一端を円筒5aに支持したばね11aを敷設することも考えられる。 [図5]は建物の断面を示しており、1cは窓、9cは建物に固定された家具等とする。建物には本発明品を掛けるための十分な強度が得られる箇所にフック2c〜8cのいずれかを固着する。それらのフックには紐7a(図1)、7b(図2)を円筒5a(図1)、5b(図2)に巻き上げた状態で、[図1]、[図3]の実施例では、筐体のフック形状9aを、[図2]、[図4]の実施例では、紐7aのループを掛ける。また、[図1]、[図3]の実施例では吊り輪8aに、[図2]、[図4]の実施例では筐体の取っ手形状8bに人あるいは物体がぶら下がり降下する。フック2cに掛けられた下降補助具10cのように窓の上方あるいは外側に固設されたフック2c〜5cを利用する場合は[図1]、[図3]の実施例を、また、フック6c〜8cを使用する場合は、紐7aが窓1cの縁に強い圧力を加えて滑るので、フック7cを使用した下降補助具11cに示すように[図2]、[図4]の実施例を使用するのが好ましい。 【図面の簡単な説明】 【図1】 器具本体を建物側に掛けて紐の先端にぶら下がる下降補助具であり、紐の巻上げ収納は手動で行なう実施例の図である。 【図2】 紐の先端を建物側に掛けて器具本体にぶら下がる下降補助具であり、紐の巻上げ収納は手動で行なう実施例の図である。 【図3】 器具本体を建物側に掛けて紐の先端にぶら下がる下降補助具であり、紐の巻上げ収納は自動で行なう実施例の図である。 【図4】 紐の先端を建物側に掛けて器具本体にぶら下がる下降補助具であり、紐の巻上げ収納は自動で行なう実施例の図である。 【図5】 下降補助具の使用例を示す建物の断面図である。 【符号の説明】 1a、1b 筐体 2a、2b、3a、3b、5a、5b 円筒 4a、4b つまみ 6a、6b 摩擦体 7a、7b 紐 8a 吊り輪 8b、9a フック形状 9b 制止部材 10a、10b 突起 10c [図1]、[図3]の実施例に基く下降補助具 11a、11b ばね 11c [図2]、[図4]の実施例に基く下降補助具 |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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