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機械器具
 
【発明の名称】クローラ付着物排除装置
【出願人】
【識別番号】506385368
【氏名又は名称】関根 孝夫
【住所又は居所】茨城県水戸市常磐町1丁目4番37号
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100097216
【氏名又は名称】泉 和人
【発明者】
【氏名】関根 孝夫
【住所又は居所】茨城県水戸市大工町1−1−8阿久井ビル501
【要約】
【課題】
クローラを構成するシュープレートに詰まった泥や粘土、石等を確実に排除することができるクローラ付着物排除装置を提供する。
【解決手段】
隣接するシュープレート21を跨ぐように付着物排除アーム31を配置し、シュープレート21のそれぞれに開口25a、25bを設け、付着物排除アーム31の基端をシュープレート21にそれぞれ取り付け、付着物排除アーム31の先端の突出部38を、隣接するシュープレート21のそれぞれの開口25a、25b上に配置する。シュープレートがタンブラの部分に係合すると、隣接するシュープレート21と付着物排除アーム31a及び31bの傾きが変化するため、突出部38が開口25a及び25bから突出する。これにより、シュープレート21に付着した泥や石、粘土が突出部38により押し出されて排除される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端のタンブラの間に無端帯状のクローラを設置したクローラ式走行装置において、
前記クローラは、無端帯状に回動自在に結合される複数のシュープレートと、隣接するシュープレートを跨ぐようにそれぞれ配置される複数の付着物排除アームとを有し、
前記複数のシュープレートのそれぞれに、前記付着物排除アームの先端の突出部に対応する形状の開口を設け、
前記付着物排除アームの基端を前記複数のシュープレートにそれぞれ取り付け、前記付着物排除アームの先端の突出部を、前記隣接するシュープレートのそれぞれの前記開口上に配置する
ようにしたことを特徴とするクローラ付着物排除装置。
【請求項2】
前記付着物排除アームの先端の突出部の厚さは、前記シュープレートの厚さより厚くするようにしたことを特徴とする請求項1に記載のクローラ付着物排除装置。
【請求項3】
前記付着物排除アームの先端に複数の突出部を設け、前記隣接するシュープレートのそれぞれに前記複数の突出部に対応する形状の複数の開口を設けるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のクローラ付着物排除装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ショベルカー、ブルドーザー等の建設用車両の走行系に用いられるクローラ付着物排除装置に関するもので、特に、クローラを構成するシュープレートに詰まった泥や粘土、石等の排除するクローラ付着物排除装置に関する。
【背景技術】
ショベルカー、ブルドーザー等の建設用車両の走行系には、クローラ式走行装置が採用されているものが多い。クローラ式走行装置は、図9に示すように、タンブラ101a及び101bの間に、無端帯状のクローラ102を設置したものである。クローラ102は、複数のシュープレートをピンにより無端帯状に繋ぎ合わせた構成とされている。
このようなクローラ式走行装置は、クローラの接地面積が大きいため、安定性に優れ、不整地や軟弱な地盤でも走行が可能である。従来のクローラ式走行装置では、走行安定性、接地圧、登坂能力等に重点をおいて、不整地や軟弱な地盤でも作業が行えるようにしている。
ところが、特に、粘土を多く含むような不整地での作業の場合には、クローラを構成するシュープレートに泥や粘土、石等が詰まってしまうことがある。このように、シュープレートに泥や粘土、石等が詰まってしまうと、クローラが地面を滑ってしまい、十分な能力を発揮できない。
そこで、特許文献1に示されるように、ブラシを設けてクローラの泥を落とすようにしたものが提案されている。すなわち、特許文献1に示されるものでは、クローラ式走行装置を採用したショベルカーの旋回体の下面に、支持基部を設け、この支持基部にブラシロール用軸部を取り付け、この軸部にブラシロールを回動可能に取り付けるようにしている。そして、クローラの回転作動とともに、クローラ外面に付着した泥を、ブラシロールで排除するようにしている。
【特許文献1】
実開昭64−34387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に示されているものでは、ブラシによりクローラの泥を落とすものであるから、クローラのシュープレートに嵌り込んだ泥や粘土、石等を排除することは難しい。
本発明は、上述の課題を鑑み、クローラを構成するシュープレートに詰まった泥や粘土、石等を確実に排除することができるクローラ付着物排除装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明は、両端のタンブラの間に無端帯状のクローラを設置したクローラ式走行装置において、クローラは、無端帯状に回動自在に結合される複数のシュープレートと、隣接するシュープレートを跨ぐようにそれぞれ配置される複数の付着物排除アームとを有し、複数のシュープレートのそれぞれに、付着物排除アームの先端の突出部に対応する形状の開口を設け、付着物排除アームの基端を複数のシュープレートにそれぞれ取り付け、付着物排除アームの先端の突出部を、隣接するシュープレートのそれぞれの開口上に配置するようにしたことを特徴とするクローラ付着物排除装置である。
好ましくは、付着物排除アームの先端の突出部の厚さは、シュープレートの厚さより厚くするようにしたことを特徴とする。
好ましくは、付着物排除アームの先端に複数の突出部を設け、隣接するシュープレートのそれぞれに複数の突出部に対応する形状の複数の開口を設けるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
本発明によれば、両端のタンブラの間に無端帯状のクローラを設置したクローラ式走行装置において、クローラは、無端帯状に回動自在に結合される複数のシュープレートと、隣接するシュープレートを跨ぐようにそれぞれ配置される複数の付着物排除アームとを有し、複数のシュープレートのそれぞれに、付着物排除アームの先端の突出部に対応する形状の開口を設け、付着物排除アームの基端を複数のシュープレートにそれぞれ取り付け、付着物排除アームの先端の突出部を、隣接するシュープレートのそれぞれの開口上に配置するようにしている。このため、タンブラが回転すると、シュープレートが直線上にあるときには、付着物排除アームの先端の突出部は、クローラの開口の内側に位置し、シュープレートがタンブラの部分に係合すると、付着物排除アームの先端の突出部がシュープレートの開口から突出する。これにより、シュープレートに詰まった付着した泥や石、粘土が排除される。
また、本発明によれば、付着物排除アームの先端の突出部の厚さは、シュープレートの厚さより厚くするようにしているので、シュープレートがタンブラの部分に係合すると、付着物排除アームの先端の突出部がシュープレートの開口から確実に突出し、シュープレートに詰まった付着した泥や石、粘土を確実に排除できる。
また、本発明によれば、付着物排除アームの先端に複数の突出部を設け、隣接するシュープレートのそれぞれに複数の突出部に対応する形状の複数の開口を設けるようにしているので、シュープレートに詰まった付着した泥や石、粘土を確実に排除できる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のクローラ付着物排除装置を採用できるショベルカー1の構成を示すものである。図1において、11は下部走行体、12は上部旋回体である。下部走行体11と上部旋回体12との間には、旋回機構18が設けられている。この旋回機構18により、上部旋回体12は、下部走行体11上で旋回可能とされている。
上部旋回体12には、運転席15が設けられると共に、アーム16a、16bを介して、ショベル17が設けられる。
下部走行体11は、タンブラ13a及び13bの間に、クローラ14を設置したものである。タンブラ13a及び13bのうちの一方のタンブラ13aは起動輪であり、スプローラと呼ばれている。他方のタンブラ13bは、遊動輪であり、アイドラと呼ばれている。
図2は、本発明の第1実施形態のクローラ付着物排除装置を設けたクローラ14の構成を示すものである。図2に示すように、クローラ14は、複数のシュープレート21がピン22により無端帯状に回動自在に繋ぎ合わされて構成されている。また、隣接するシュープレート21を跨ぐように、付着物排除アーム31a、31bがそれぞれ両端に取り付けられ、クローラ14の各シュープレート21に付着した泥や石、粘土等を排除するようにしている。
図2において、複数のシュープレート21は、例えば鋳鋼や鍛鋼、圧延鋼により形成されている。シュープレート21の中心部には、リンク部20が設けられる。リンク部20は、2つのプレート24a及び24bが対向して形成され、図1におけるタンブラ13a及び13bと係合される。各シュープレート21間は、スリーブ23、ピン22により、回動自在に連結される。
また、各シュープレート21の左右には、開口25a及び25bが形成される。開口25a及び25bは、付着物排除アーム31a及び31bの先端の突出部38の形状に対応している。また、各シュープレート21の左右には、ネジ穴26a及び26bが形成される。ネジ穴26a及び26bは、それぞれ付着物排除アーム31a及び31bをシュープレート21に取り付けるためのものである。
付着物排除アーム31a及び31bは、例えば鋳鋼や鍛鋼、圧延鋼により形成されている。付着物排除アーム31a及び31bは、図3に示すように、シュープレート21に取り付けられる基端部36と、シュープレート21の開口25a及び25bにそれぞれ挿入される突出部38と、基端部36と突出部38とを連結する連結部37とを有している。突出部38は、シュープレート21の開口25a及び25bに対応した形状で、その厚さdは、シュープレート21の厚さよりも厚くなっている。また、基端部36には、付着物排除アーム31a及び31bをシュープレート21に取り付けるためのネジ穴39が設けられる。
また、連結部37は、図に示すように、曲線状に形成されている。これは、付着物排除アーム31a及び31bをそれぞれ各シュープレート21に取り付けたときに、互いの付着物排除アーム31a及び31bが重ならないようにするためである。また、連結部37は、上方に角度θだけ折れ曲がっている。これは、連結されたシュープレート21が同じ平面上にある時に、突出部38がシュープレート21の開口25a及び25bから突出しないようにするためである。
図2において、隣接するシュープレート21を跨ぐように、各付着物排除アーム31a及び31bが配置され、各付着物排除アーム31a及び31bは、それぞれネジ41a及び41bによってシュープレート21に取り付けられる。付着物排除アーム31a及び31bは、溶接によってシュープレート21に固着してもよい。付着物排除アーム31a及び31bの先端の突出部38は、隣接するシュープレート21の開口25a及び25b上に配置される。
本発明の第1実施形態のクローラ付着物排除装置では、このように、複数のシュープレート21をピン22で連結し、各シュープレート21を跨ぐように、各シュープレート21に付着物排除アーム31a及び31bを取り付けるようにしている。そして、各シュープレート21に、開口25a及び25bを形成し、付着物排除アーム31a及び31bの先端の突出部38を、それぞれシュープレート21の開口25a及び25b上に配置するようにしている。これにより、各シュープレート21に付着した泥や石、粘土等が排除できる。
つまり、図1に示したように、クローラ14は、タンブラ13a及び13bの間に設置されており、タンブラ13a及び13bの間では、クローラ14は直線状に連結されている。上述したように、付着物排除アーム31a及び31bの先端の突出部38は、シュープレート21の開口25a及び25bに対応した形状であり、かつシュープレート21の厚さより厚くなっている。また、付着物排除アーム31a及び31bの連結部37は、図3に示すように、角度θだけ上方に曲がっている。このため、隣接するシュープレート21が直線状に連結されているときには、付着物排除アーム31a及び31bの先端の突出部38は、シュープレート21の開口25a及び25bの内側に位置している。
これに対して、シュープレート21がタンブラ13a及び13bに係合する位置に来ると、隣接するシュープレート21傾きと、隣接するシュープレート21間に跨って配置された付着物排除アーム31a及び31bの傾きが変るため、付着物排除アーム31a及び31bの突出部38は、シュープレート21の開口25a及び25bから突出する。これにより、各シュープレート21に付着した泥や石、粘土等が突出部38により押し出されて排除される。
この付着物排除アーム31a及び31bの働きについて、図4〜図6を用いて更に詳細に説明する。
図4〜図6において、シュープレート21−1、21−2、21−3、...、21−Nは、上述の各シュープレート21に対応しており、これらのシュープレート21−1、21−2、21−3、...、21−Nは、無端帯状に連結されている。隣接するシュープレート21−1、21−2、21−3、...、21−Nの間には、各シュープレート21−1、21−2、21−3、...、21−Nの間を跨ぐように、付着物排除アーム31−1...が配設されているが、ここでは、説明を簡単とするために、シュープレート21−1とシュープレート21−2との間に配置された付着物排除アーム31−1の働きについて説明する。付着物排除アーム31−1はシュープレート21−1に取り付けられており、その突出部38−1は、シュープレート21−2の開口25−2上に位置している。隣接するシュープレート21−1、21−2、21−3、...、21−Nの間に配置された他の付着物排除アームについても、同様に配置される。
また、前述したように、各シュープレート21について、2つの付着物排除アーム31a及び31bが設けられているが、説明を簡単とするために、一方の付着物排除アームのみについて説明する。同様に、シュープレート21には2つの開口25a及び25bがあるが、これについても一方の開口のみについて説明する。
図4は、シュープレート21−1、21−2がクローラ14の下側の直線部分にあるときを示し、この状態から、タンブラ13bが矢印A方向に回転していくものとする。
前述したように、付着物排除アーム31−1は、シュープレート21−1に対して角度θだけ傾斜していているため、シュープレート21−1と隣接するシュープレート21−2とが直線状に連結されているときには、付着物排除アーム31−2の先端の突出部38−1は、図4に示すように、シュープレート21−2の開口25−2の内側に位置する。
この状態から、タンブラ13bがさらに矢印A方向に回転していくと、図5に示すように、シュープレート21−1及び21−2は、タンブラ13bに係合し、地平面から上方向に回転する。この位置においては、シュープレート21−2の傾きは、付着物排除アーム31−1の傾きよりも大きくなる。このため、図5に示すように、付着物排除アーム31−2の先端の突出部38−1は、シュープレート21−2の開口25−2から外側に突出する。
この状態から、タンブラ13bがさらに矢印A方向に回転していくと、図6に示すように、シュープレート21−1、21−2がクローラ14の上側の直線部分に達する。シュープレート21−1、21−2が直線部分に達すると、付着物排除アーム31−1の先端の突出部38−1は、シュープレート21−2の開口25−1の内側に位置する。
図4〜図6に示すように、本発明の実施形態では、隣接するシュープレート21−1及び21−2が両方とも直線部分にあるときには、付着物排除アーム31−1の先端の突出部38−1は、開口25−2の内側に位置する。タンブラ13bが回転し、隣接するシュープレート21−1と21−2がタンブラ13bに係合し、相互の角度がθ以上になると、付着物排除アーム31−1の先端の突出部38−1が開口25−2から突出する。このとき、シュープレートに付着した泥や石、粘土は、付着物排除アーム31−1の先端の突出部38−1に押し出されて排除される。そして、更に、タンブラ13bがさらに回転し、シュープレート21−1とシュープレート21−2とが直線になると、付着物排除アーム31−1の先端の突出部38−1は、開口25−2の内部に位置するようになる。
以上、シュープレート21−1とシュープレート21−2との間に配置された付着物排除アーム31−1の働きについて説明したが、シュープレート21−2、...、21−Nの間に配置された他の付着物排除アームについても、同様に動作する。これにより、シュープレート21−1、...、21−Nに付着した泥や石、粘土が排除される。また、タンブラ13bに係合したときばかりでなく、タンブラ13aに係合したときにも、付着物排除アームの先端の突出部38が隣接するシュープレート21の開口25から突出し、シュープレート21−1、...、21−Nに付着した泥や石、粘土が排除される。
なお、上述の実施形態では、シュープレート21の開口25a及び25bを四角形の開口としているが、これに限定されるものではない。開口25a及び25bを円形や楕円形や四角形以外の多角形等としても良い。
また、図7に示すように、1つのシュープレート21の左右に、開口25c及び25dをそれぞれ追加して設け、図8に示すように、付着物排除アーム31a、31bに、それぞれ突出部38bを追加するようにしても良い。
以上説明したように、本発明の実施形態では、隣接するシュープレート21の間を跨ぐように付着物排除アーム31a、31bを配置し、付着物排除アーム31の先端の突出部38を、隣接するシュープレート21のそれぞれの開口25a、25b上に配置するようにしている。このため、シュープレート21がタンブラ13a、13bの部分に係合して曲がると、付着物排除アーム31a及び31bの各突出部38がそれぞれ開口25a及び25bから突出し、これにより、シュープレート21に付着した泥や石、粘土が突出部38により押し出されて排除される。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
本発明は、ショベルカー、ブルドーザー等の建設用車両の走行系として用いられるクローラ付着物排除装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクローラ付着物排除装置を採用できるショベルカーの全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態のクローラ付着物排除装置のクローラの構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態のクローラ付着物排除装置の付着物排除アームの構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態のクローラ付着物排除装置の付着物排除アームの働きの説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態のクローラ付着物排除装置の付着物排除アームの働きの説明図である。
【図6】本発明の第1実施形態のクローラ付着物排除装置の付着物排除アームの働きの説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態のクローラ付着物排除装置のシュープレートの説明に用いる斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態のクローラ付着物排除装置の付着物排除アームの構成を示す斜視図である。
【図9】従来のクローラ式走行装置の説明図である。
【符号の説明】
1 ショベルカー
11 下部走行体
12 上部旋回体
13a、13b タンブラ
14 クローラ
15 運転席
16a、16b アーム
17 ショベル
18 旋回機構
20 リンク部
21、21−1、21−2、...、21−N シュープレート
22 ピン
23 スリーブ
24a、24b プレート
25、25a〜25d 25−1開口
31、31a、31b 31−1 付着物排除アーム
36 基端部
37 連結部
38、38a、38b 38−1 突出部
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6 
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
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