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機械器具
 
【発明の名称】六角棒レンチアダプタ
【特許権者】
【識別番号】507282392
【氏名又は名称】笹倉 誠一
【住所又は居所】京都府福知山市かしの木台5丁目10番地
【発明者】
【氏名】笹倉 誠一
【住所又は居所】京都府福知山市かしの木台5丁目10番地
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作用レンチの口部に合致係合可能な多角形の本体部に、当該本体部が操作用レンチの口部と係合した時に操作用レンチと直交する方向に貫通して所望の六角棒レンチが係合して挿通可能な貫通穴を形成して成る六角棒レンチアダプタであって、
前記貫通穴は、六角棒レンチのサイズに合わせて複数設けられていることを特徴とする六角棒レンチアダプタ。
【請求項2】
貫通穴は、所望六角棒レンチの横断面形状に合致する六角形であることを特徴とする請求項1に記載の六角棒レンチアダプタ。
【請求項3】
本体部の外周には、その全周または一部にフランジを形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の六角棒レンチアダプタ。
【請求項4】
本体部は、磁化されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の六角棒レンチアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、スパナやめがねレンチ等を用いて六角棒レンチを回転させる時に用いる六角棒レンチアダプタに関する。
【背景技術】
六角棒レンチを他のレンチを利用して操作するため、特許文献1のスパナ補助器が提案されている。このスパナ補助器は、ラチェットレンチの角型継手を嵌合連結可能な盲孔と、複数サイズの六角棒レンチに合う六角孔を垂直方向に連設して構成された階段孔とを有している。このスパナ補助器は、ラチェットレンチの継手に盲孔を連結し、所望サイズのL型六角棒レンチを階段孔の所定位置に差し込んで使用する。これにより、L型六角棒レンチの短辺部にトルクを加えやすくなり、L型六角棒レンチの長辺部を六角穴付ボルトや六角穴付止めねじ等の六角穴付ねじ部品の六角穴に係合させて回す場合の作業性を向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】 特開2002−86364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1のスパナ補助具では、これにL型六角棒レンチの短辺部を支持して使用する場合、六角棒レンチの長辺部の軸方向の調整は不可能である。このため、例えばL型六角棒レンチの短辺部がかろうじて届かないような、比較的浅い穴の奥にある六角穴付ねじ部品を操作するような場合でも、六角棒レンチ長辺部の全長を使ってトルク伝達が行わなければならない。このため、六角棒レンチ長辺部のねじれによる損失が大きくなり、必要なトルクを六角穴付ねじ部品に効率よく伝達することができないという問題が発生している。しかも、ラチェットレンチによって六角棒レンチに大きなトルクを比較的簡単に付与することができるようになっているため、そのトルクの大きさによっては六角棒レンチの長辺部が容易にねじれて塑性変形してしまう問題もある。
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題を解決するために創出されたものであり、六角棒レンチを操作用レンチで回転操作する場合に六角棒レンチのねじれを必要最小限に抑えることができる六角棒レンチアダプタの提供を目的とするものである。この目的を達成するために本発明は、操作用レンチの口部に合致係合可能な多角形の本体部に、当該本体部が操作用レンチの口部と係合した時に操作用レンチと直交する方向に貫通して所望の六角棒レンチが係合して挿通可能な貫通穴を形成して成り、前記貫通穴は、六角棒レンチのサイズに合わせて複数設けられていることを特徴とする。
なお、上記貫通穴は、所望六角棒レンチの横断面形状に合致する六角形であることが望ましく、また、本体部の外周には、その全周または一部にフランジを形成することが望ましい。さらに、本体部は磁化されていることが望ましい。
【発明の効果】
本発明の六角棒レンチアダプタによれば、貫通穴に六角棒レンチを挿通させた状態で本体部をスパナやメガネレンチ、あるいはモンキーレンチ等の操作用レンチに係合させて回転させることができ、L型六角棒レンチの長辺部を六角穴付ねじ部品に係合させて使用する場合にも、十分なトルクを付加することができる。また、本体部に沿った六角棒レンチを軸方向に移動させることができるため、操作用レンチと六角穴付ボルトとの距離を調整することができ、六角棒レンチの不要なねじれを防止し、効率よく六角穴付ねじ部品にトルクを伝達することができる。さらに、六角棒レンチのサイズ毎に複数の貫通穴を設けているため、一つの本体部で複数の六角棒レンチを使用することができる。また、本体部の外周には、その全周または一部にフランジを設けているため、操作用レンチに本体部を係合させた時に、フランジが操作用レンチに係合して本体部の抜け落ちを防止することができる。これにより、特に本アダプタをラチェットメガネレンチで使用する場合には、作業性を向上することができる。また、このフランジがあることで、操作用レンチとしてスパナを用いる場合には、本体部の回転面に対してスパナが斜めに本体部と係合するのを防止することができ、本体部の多角形状の角部が損傷するのを防止できる。さらに、本体部を磁化することにより、六角棒レンチを所望位置で止めて操作用レンチと六角穴付ねじ部材との間隔を一定に保つことが容易になり、上述の効果が顕著となる。
【発明を実施するための形態】
図1および図2において、1は六角棒レンチアダプタ(以下、単にアダプタという)である。このアダプタ1は、めがねレンチ、スパナ(オープンエンドレンチ)、コンビネーションレンチ、モンキーレンチ(アジャスタブルレンチ)等の各種操作用レンチの口部と合致係合可能な大きさの外周六角形に形成された本体部2を有している。この本体部2には、その一端側外周の全周に渡って鍔状のフランジ2aが形成されるとともに、本体部2の一端面2bから他端面2cに貫通して、3個の貫通穴3a,3b,3cが形成されている。これら貫通穴3a,3b,3cは、何れも横断面が六角形状を成しており、それぞれが所定のL型六角棒レンチのサイズ(横断面形状)に合致する大きさに構成されている。よって、対応するサイズの六角棒レンチを貫通穴に挿通させることで、貫通穴と六角棒レンチとを係合させることが可能である。このような貫通穴3a,3b,3cは、例えば放電加工によって形成される。
次に、本アダプタ1を用いる一例を紹介する。ここでは、操作用レンチの一例としてラチェットめがねレンチ4(以下、ラチェットめがね4という)を用いており、図3に示すように、このラチェットめがね4の口部4aに本アダプタ1の本体部2を嵌め込んで係合させる。この時、フランジ2aがラチェットめがね4の平坦面4bに当接するため、本体部2がラチェットめがね4から抜け落ちることがない。ラチェットめがね4は、周知の通り、ラチェット機構の作用により、ボルト頭部やナット等の被トルク伝達部品に口部を係合させたまま正逆転させることが可能で、これにより、連続的に被トルク伝達部品を回転操作できるものである。このため、本体部2がフランジ2aによって抜け止めされていることによって、本アダプタ1とラチェットめがね4とが係合した状態を安定的に保つことができ、ラチェットめがね4による回転操作やトルク伝達を確実に行うことが可能となる。
本体部2をラチェットめがね4に係合させた後、所望サイズのL型六角棒レンチの長辺部を対応する貫通穴に挿通する。本例では、貫通穴3aに合う六角棒レンチ5を用いる場合について述べる。そして、六角棒レンチ5を貫通穴3aに沿ってスライドさせ、長辺部5a先端の本体部2からの突出量を所望の量に調節し、その状態で六角棒レンチ5の長辺部5a先端を六角穴付ねじ部材(図示せず)の六角穴に嵌合させる。そして、ラチェットめがね4を回動させることにより、六角棒レンチ5の長辺部5aから六角穴付ねじ部品にトルク伝達を行うことができる。
上述のように本アダプタ1では、六角棒レンチ5の突出量を自在に調整することができるため、ラチェットめがね4と六角穴付ねじ部品との間隔を必要最小限に抑えることができ、トルク伝達時の六角棒レンチ5のねじれを最小限に抑えて効率のよいトルク伝達を行うことが可能となる。また、本アダプタ1を用いることで、ラチェットめがね4により六角棒レンチ5に大きなトルクを付加できるようになるが、その場合の六角棒レンチ5のねじれ方向の塑性変形も良好に抑制することが可能となる。
以上の説明では、アダプタ1が係合する操作用レンチとして、ラチェットめがねレンチ4を例に挙げたが、本アダプタ1は、スパナ(オープンエンドレンチ)、コンビネーションレンチ、モンキーレンチ(アジャスタブルレンチ)等の他のレンチと係合させて使用することも可能であり、その場合でも上記同様の効果が得られる。また、フランジ2aを本体部2の全周に渡って設けたが、これを本体部2外周の一部にだけ設けても、得られる効果は同様である。また、貫通穴を3個設けた例を紹介したが、貫通穴は2個または他の個数としても、あるいは本体部2の中心部に1個だけ設けても、基本的な効果は同じである。さらに、本体部2は磁化しておくことが望ましい。本体部2を磁化することによって、六角棒レンチ5を磁気吸着することが可能になり、上記貫通穴3aに沿った六角棒レンチ5の突出量調整後、六角棒レンチ5を適正な突出量に維持しておくことが容易になる。また、本体部2を磁化しておくことで、本体部2をラチェットめがねレンチ4等の操作用レンチに磁着係合させることができ、操作用レンチからの本体部2の脱落を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の六角棒レンチアダプタの説明用斜視図である。
【図2】(a)は本発明の六角棒レンチアダプタの平面図、(b)は同正面図、(c)は(a)におけるA−A線断面図である。
【図3】本発明の六角棒レンチアダプタの使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 アダプタ
2 本体部
2a フランジ
2b 一端面
2c 他端面
3a 貫通穴
3b 貫通穴
3c 貫通穴
4 ラチェットめがねレンチ
4a 口部
4b 平坦面
5 六角棒レンチ
5a 長辺部
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
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