閉じる
機械器具
 
【考案の名称】遊星歯車機構を使用したロール排出装置
【実用新案権者】
【識別番号】723005584
【氏名又は名称】松井 信之
【住所又は居所】神奈川県横浜市金沢区富岡西7丁目42番17号
【考案者】
【氏名】松井 信之
【住所又は居所】神奈川県横浜市金沢区富岡西7丁目42番17号
【要約】 (修正有)
【課題】トイレットペーパー、キッチンペーパー、アルミホイルなどを片手のみで操作できる装置を提供する。
【解決手段】ロール状に巻き取られた製品を手動で巻き戻しカットして使用する製品において、手動で巻き戻して引き出す時に、巻き戻す力の一部を遊星歯車機構の原理により、巻き戻し方向に公転する時に生じるインターナル歯車と2個の遊星歯車の間の公転角度差を利用し、弾性体に弾性力として蓄勢させる機能と、その弾性力を長期間の間蓄勢させたままにしておくことができる機構とする。使用する時は、排出スイッチ310を押すことで、排出させる機能を動作させ、蓄勢させておいた弾性体の弾性力を利用し、巻き戻し方向に回転する機構とすることで、カバー502のカッター歯511より下に、手に取れる量を送り出す排出機能と、片手のみで操作(カットおよび交換)できる機能を提供する。
【選択図】図11
選択図
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
トイレットペーパー、キッチンペーパー、アルミホイルなど、ロール状に巻き取られた製品を手動で巻き戻し、カットして使用する製品(以降はロールと記載)を取り付ける取付け面には、ロール軸に対し40度の角度の付いた複数個の楔形のリブを有するロール軸と、
ロールのロール芯を反対側より挟み込み固定させる、ロール軸の外周を軸方向にのみ移動およびロール軸と同じ回転角度での回転を可能とした、ロール軸に対し10度以下の角度の付いた複数個の楔形のリブを有するロール固定ノブと、を備え、
ロールをロール軸とロール固定ノブとで挟み込み、楔形の複数個のリブとロール芯の間の摩擦力により、取り付けるロールをロール軸に固定することにより、
ロールが手動で巻き戻し方向に引き出される時に、
ロール軸と、ロール軸と連結配置されているインターナル歯車とが、
ロールの回転角度に合わせ、同じ回転角度で遊星歯車機構を構成する太陽歯車軸の外周を公転するロール固定機構、を備えることを特徴とする遊星歯車機構を使用したロール排出装置。
【請求項2】
カバーは、ロールを取り付け配置した状態において、ロールの外径面と接触する部分の形状は、円形状を有し、
未使用のロールを配置した状態で、ロールの外径面と接触するカバーの円半径:Rは、未使用のロールの想定される最大外径円半径:Rと同じ円半径:Rを有し、
カバーの円カーブの先端点は、未使用のロールの外径円と接する位置に配置し、さらに、
ロールが使用されて小さくなると、ロールの外径円がカバーの円カーブと接する位置関係を有し、
ロールの芯部分においてもロールの外径円が、カバーの円カーブと接する位置となるよう配置することで、常にロールの外径面がカバーと円接触となる位置関係を有し、
かつ、ロールと接する面の摩擦係数:μ=0.2以下とし、
想定される最大径の未使用ロールが配置された状態において、カバーの円カーブの先端点の接触点より、ロール外径円に対して、正接する(カバーの円カーブの先端点からロール中心点と結ぶ線と垂直)下方向に、直線部分を有するカッター歯を備え、
カバーの円カーブの開始位置は、ロールの中心点より鉛直上方向に伸ばした直線と接する位置とし、
カバー取付け支点位置まで、カバーの円カーブの開始位置より、カバーが水平に位置すること、を特徴とする遊星歯車機構を使用したロール排出装置。
【請求項3】
想定される最大径の未使用ロールの外径面と接する位置に配置されたカバーには、
カバーとの接触点の下方向に、直線部分を有するカッター歯を有し、かつ、
その状態のカバーの天面に位置する部分と接する位置に、ストッパーを配置することにより、
ロールが回転しないように固定配置された形態とするロール固定機構を備えた、遊星歯車機構の構成部品であるロール軸と、
遊星歯車機構の構成部品である太陽歯車軸を介して装置フレームに配置されているトルクリミッターと、を備えることで、
ロールをカットする時に、ロールを手に取り上方向に持ち上げると、カバーは、ストッパーにより固定され、さらに、ロールが固定されているロール軸に、トルクリミッターが連結されていることで、トルクリミッターには、ロール軸を固定するトルク:Trが働き、ロール軸は回転せず固定するが、
トルクリミッターのトルク値を、ロール芯部分でのロールの引張り切断(ロールがロールの芯部分において、引き出し途中に切れる)トルクより小さい値とし、かつ、トイレットペーパー、キッチンペーパーなど、定量間隔でミシン目が配置されているミシン目付きロールを使用する場合は、トルクリミッターのトルク値をロール芯部分に配置されているミシン目部分の引張り切断(ロールがロールの芯部分において、引き出し途中にミシン目が切れる)トルクよりも小さい値とすることにより、
片手でロールをカットできる、ロールカット機能、を備えることを特徴とする遊星歯車機構を使用したロール排出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の遊星歯車機構を使用したロール排出装置において、
想定される最大径の未使用ロールの外径面と、カバーと、の接触点に、ロールの外径円に対して、正接する(カバーの接触点からロール中心点と結ぶ線と垂直)下方向に、カッター歯を備えると、
手動でロールをカットする動作を実施する時に、カッター歯とロールの間の位置関係は、カッター歯角度:θ(度)となる角度を有し、カットを助ける力:F が働くこととなり
未使用ロールが配置されている時は、想定される未使用ロールの最大半径:Rにおけるカッター歯角度:θR(度)とし、トルクリミッターのトルク値:Trとすると、カットを助ける力:FR=(Tr×cosθR)÷R となり、カッター歯でカットする時にカッター歯はロール外径円に対して、正接する(カバーの接触点からロール中心点と結ぶ線と垂直)下方向に位置するため、想定される未使用ロールの最大半径:Rにおけるカッター歯角度:θR = 0(度)となり、また、
ロール芯が配置されている時は、想定されるロール芯の最小半径:r におけるカッター歯角度:θr(度)とすると、カットを助ける力:Fr=(Tr×cosθr)÷r となり、
想定される未使用ロールの最大半径:Rと、想定されるロール芯の最小半径:r の両方においてもカッター歯によるカットを助ける力を、近似値(FR≒Fr)とすることのできる力学的な関係は、下記の数式1の位置関係となる時に構成され、
ロールをカッター歯で、未使用ロールからロール芯まで、ほぼ同じ(近似)力でカットでき、かつ、カットを助ける力:F ≒Tr÷R も働く、ロールカット機能、を備えることを特徴とする遊星歯車機構を使用したロール排出装置。
【数1】000021
【請求項5】
請求項3または4記載の遊星歯車機構を使用したロール排出装置において、
ロール軸を、遊星歯車機構の構成部品である太陽歯車軸の替りに回転の中心軸とし、トルクリミッターを直接、ロール軸に連結させる形態とすることにより、
片手でロールをカットできる、請求項3または4記載のロールカット機能を、遊星歯車機構を使用しないで出来ること、を特徴とする遊星歯車機構を使用したロール排出装置。
【請求項6】
インターナル歯車と、太陽歯車と、
インターナル歯車と、太陽歯車と、の間に介して配置されている2個の遊星歯車と、
2個の遊星歯車が、自由に自転できる状態で取付けられた遊星歯車支持台と、
太陽歯車に固定された太陽歯車軸と、
インターナル歯車に固定配置されているインターナル歯車支持台と、
を備えたダブルピニオン式遊星歯車機構と、
太陽歯車軸と、装置フレームと、の間に配置されているトルクリミッターと、
遊星歯車支持台と太陽歯車軸の間に配置されているワンウェイクラッチと、
回転角度リミッター機構と、を備え、
回転角度リミッター機構は、
インターナル歯車支持台に、太陽歯車軸の中心軸を中点とする円弧状の貫通穴と、
その貫通穴に貫通配置された、遊星歯車支持台と連結された遊星歯車支持台ピンと、
インターナル歯車支持台と、遊星歯車支持台ピンと、の間に配置された、弾性体Aと、を備えることにより、
ロールを手動で巻き戻し、引き出すと、
ロールが回転しないように固定配置された形態とするロール固定機構を備えた、遊星歯車機構の構成部品であるロール軸と、連結配置されているインターナル歯車も巻き戻す方向に公転するが、
トルクリミッターが機能し、太陽歯車が自転しない形態で配置されている時、
ダブルピニオン式遊星歯車機構は、遊星歯車機構の原理により、遊星歯車支持台はインターナル歯車と同じ方向に、インターナル歯車より早く公転する構造であり、
回転角度リミッター機構は、インターナル歯車支持台と、遊星歯車支持台と、の間の回転角度差を制限する働きを有し、回転角度リミッター機構のインターナル歯車支持台と、遊星歯車支持台ピンと、の間に、弾性体Aが設置されていることで、巻き戻す力の一部を巻き戻し方向に回転する時に生じるインターナル歯車支持台と、遊星歯車支持台と、の間の回転角度差を、弾性体Aに引張り力として働く弾性力として蓄勢させる構造であり、
遊星歯車支持台と、太陽歯車軸と、の間には、ワンウェイクラッチが有し、
遊星歯車支持台が、ロールを巻き戻す方向にのみ回転するように配置されていることで、手動でロールを巻き戻すのを途中で停止しても遊星歯車支持台は逆転せず、弾性力が蓄勢された状態を維持する構造であり、
インターナル歯車支持台と遊星歯車支持台の間の回転角度差が回転角度リミッター機構の回転終点までくると、遊星歯車機構が機械的にロックし働かなくなる構造を有し、
回転角度リミッター機構の回転終点において、手動でロールを引き出すトルクがトルクリミッターのトルク値以上になると、太陽歯車軸に配置されているトルクリミッターが滑りを起こし、弾性力を蓄勢させる機構(ロール固定機構、遊星歯車機構および回転角度リミッター機構)全体が太陽歯車軸と共に回転することで、リミッター機構のリミッター角度の回転範囲のみ弾性力を蓄勢させ、それ以上はトルクリミッターが滑り、弾性力を蓄勢させない構造であり、
トルクリミッターのトルク値を、回転角度リミッター機構の回転終点まで弾性体Aを蓄勢させることのできるトルク値以上とすることにより、
ロールを必要なだけ、制限されずに手動で巻き戻すことができ、かつ、手動で巻き戻す力の一部を引張り力として働く弾性力として蓄勢させる、弾性力蓄勢機能、を備えることを特徴とする遊星歯車機構を使用したロール排出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の遊星歯車機構を使用したロール排出装置において、
請求項6に記載の弾性力蓄勢機能により、弾性体Aに引張り力として働く弾性力が蓄勢された状態、において、
太陽歯車軸方向に水平に移動し太陽歯車と、遊星歯車Bと、のかみ合わせが開放されるカム機構を有する遊星歯車支持台と、
歯車のかみ合わせを、開放状態と、かみ合わせ状態と、に切り分けることが可能な、クラッチ歯車形状を有する太陽歯車と、
太陽歯車とかみ合うクラッチ歯車形状を有する遊星歯車Bと、
太陽歯車と、遊星歯車Bと、が開放された状態においても、かみ合わせを維持する形態を有するインターナル歯車と、遊星歯車Aと、を備え、
遊星歯車支持台には、弾性体Bにより太陽歯車と、遊星歯車Bと、のかみ合わせが維持できるように常に太陽歯車軸方向に加圧の弾性力を与える構造とすることで、
太陽歯車軸に対して垂直上方向である天面に配置されている排出スイッチを、外側より太陽歯車軸方向に押し下げると、
遊星歯車支持台が太陽歯車軸方向に水平移動し、太陽歯車と、遊星歯車Bと、が開放され遊星歯車機構は解除されることで、
弾性体Aに弾性力が蓄勢されている状態のとき、
遊星歯車支持台は、ワンウェイクラッチの働きにより、弾性体Aの弾性力により引張りの力が働いても、太陽歯車軸に対し反転せず静止するが、インターナル歯車支持台は弾性体Aの弾性力により引張りの力が働き、ロールを送り出す方向に、回転角度リミッター機構の回転始点まで回転することにより、ロール軸に固定されているロールも回転し、ロールがカバーのカッター歯より下に排出される、次に、
排出スイッチを押すことを停止すると、
弾性体Bの加圧の力として働く弾性力により、カム機構が働き、排出スイッチは元の位置に戻り、遊星歯車支持台にも戻る力が働き、太陽歯車と、遊星歯車Bと、の合わせ面は、クラッチ歯車形状を有するため、すみやかに歯車のかみ合わせを回復し、遊星歯車機構が再構成されることで、ロール排出の一連の動作を実現させるロール排出機能、であり、
回転角度リミッター機構は、その排出量の値を、回転角度リミッター機構のリミッター角度の範囲に、ロール排出機能により送り出されるロール軸の回転角度:Delta(度)を制限させる機構であり、その回転角度:Delta(度)の範囲を、リミッター角度内に制限することにより、
カッター歯より下に排出されるロールの量を、制限および調整することができるロール排出機能、を備えることを特徴とする遊星歯車機構を使用したロール排出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の遊星歯車機構を使用したロール排出装置において、
手動でロールを引き出しカットするまでにロール軸が回転する角度:D(度)とする時、
請求項7に記載のロール排出機能により、送り出されるロール軸の回転角度:Delta(度)は、
下記の数式2により計算出来ること、を特徴とする遊星歯車機構を使用したロール排出装置。

【請求項9】
請求項7または8記載の遊星歯車機構を使用したロール排出装置において、
定量間隔でミシン目が配置されているミシン目付きロールを使用した場合、
ロールを引き出しカットする間隔もミシン目の間隔となるが、遊星歯車の歯車比を下記数式3の近似値とすることで、未使用のロールを使用した時とロール芯部分を使用した時に手動でロールを引き出しカットする間隔が同じであれば、
請求項7または8記載のロール排出機能によって送り出されるロールの量を、
未使用のロールから、ロール芯部分まで、ほぼ同じ(近似)量とすることができるロール排出機能、を備えることを特徴とする遊星歯車機構を使用したロール排出装置。

【請求項10】
請求項3記載のロールカット機能と、
請求項6記載の弾性力蓄勢機能と、
請求項7記載のロール排出機能と、を備えることにより、
未使用のロールからロール芯まで、片手のみの操作で連続して使用出来ること、を特徴とする遊星歯車機構を使用したロール排出装置。
【請求項11】
請求項1−4、6−8、10に記載の遊星歯車機構を使用したロール排出装置において、構成されている機器の配置を、ロール取り付け面を基準面として、左右反転配置することで、たとえば左手のみの操作で連続して使用出来る配置から、右手のみの操作で連続して使用出来る配置にすることができること、を特徴とする遊星歯車機構を使用したロール排出装置。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、トイレットペーパー、キッチンペーパー、アルミホイルなど、ロール状に巻き取られた製品を手動で巻き戻し、カットして使用する製品を使用するために取付ける機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパー、キッチンペーパー、アルミホイルなど、ロール状に巻き取られた製品を手動で巻き戻し、カットして使用する製品を、取付ける機器の基本的な仕様は、両手を使用しての操作を必要とする機構となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2015-012983
【特許文献2】 特開平11-113786
【特許文献3】 特開2012-217838
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0004】
トイレットペーパー、キッチンペーパー、アルミホイルなど、ロール状に巻き取られた製品を手動で巻き戻し、カットして使用する製品(以降はロールと記載)を取付ける機器の基本的な仕様は、両手を使用しての操作を必要とする。片手でのみでの操作は考慮されておらず、体に障害があり片手でのみで操作する必要がある人が使用するのは難しい構造となっている。さらに、両手が汚れた状態では、取付けてある機器に触る必要があり、機器を汚してしまうために、両手が汚れた状態では使用できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ロールを手動で巻き戻して引き出す時に、巻き戻す力の一部を遊星歯車機構(ダブルピニオン式)の原理により、巻き戻し方向に公転する時に生じる、インターナル歯車203と2個の遊星歯車(遊星歯車A205と遊星歯車B206)の間の公転角度差を利用し、弾性体A404に弾性力として蓄勢させる機能と、その弾性力を長期間の間、蓄勢させたままにしておくことができる機構とすることで、使用したい時に、排出スイッチ310を押すことで、ロールを排出させる機能を動作させ、蓄勢させておいた弾性体A404の弾性力を利用して、ロールを巻き戻し方向に回転させる機構とすることで、カバー502のカッター歯511より下に、手に取れる量を送り出すロール排出機能と、片手でロールをカットおよび交換操作できる機能とすることで、片手のみによる簡単な操作「排出スイッチ310を押す。用紙を指先で引き出し、上に持ち上げカットする」のみで使用できる機器を提供する。
【考案の効果】
【0006】
人力による力のみを利用し、手動で機械的に動作する機構としたことで、設置場所が制限されることがない。さらに、卓上設置が可能である。両手が汚れた状態でも、腕の一部位たとえば肘で排出スイッチ310を押し下げることで、カバー502のカッター歯511より下に、手に取れる量を送り出すことができるので、機器を汚さず使用できる。また、全ての操作を片手のみで実施可能であり、体に障害があり片手でのみで操作する必要がある人でも、片手のみでロールのカットおよび交換操作が可能な装置となっている。
図2はトイレットペーパーを取付けられるように考案された装置の実施例であり、左手のみでの操作が可能な機器のレイアウトの記載である。右手のみでの操作が可能な機器は、ロール取り付け面を基準面とし左右対称に機器をレイアウトすることで可能となる。
たとえば、排出スイッチ310を人感センサーにより電気的に動作させる機構とした場合、機器に触れることなく、ロールに指先のみで直接アクセスでき、より衛生的に使用できる装置とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本考案の実施形態である装置の外観斜視図
【図2】構成部品の配置を示す断面図
【図3】遊星歯車構構の歯車配置図
【図4】遊星歯車開放構構の主要部品の配置を示す分解図
【図5】回転角度リミッター機構の構成部品の配置を示す断面図
【図6】ストッパーの構成部品の配置を示す部分断面図
【図7】未使用ロールが配置された状態を示す未使用ロールとカバーの配置断面図
【図8】芯ロールが配置された状態を示す芯ロールとカバーの配置断面図
【図9】カバー類が開放され、ロールが取付けられる前の状態を示す斜視図
【図10】ロールカット時の力学的な関係の配置を示す断面図
【図11】手に取れる量のロールが排出された状態を示す外観斜視図
【考案を実施するための形態】
【0008】
以下、実際の実施形態について、図面を参照して、考案の内容を説明する。
【実施例】
【0009】
実施例として、トイレットペーパー(以降はロールと記載)が使用できるように考案した装置を例として説明する。
【0010】
図1は、本考案の実施形態である装置の外観斜視図であり、左手のみで使用できる仕様に構成機能が配置され、かつ、底面に滑り止め524(図9参照)を有することで、卓上型としても使用できるように考案された機器の実施例である。
【0011】
図2から図11は、主要な構成機構であるロールを固定するロール固定機構1と、遊星歯車機構2と、遊星歯車開放構構3と、回転角度リミッター機構4と、カバー機構5を示す図であり、その概略構成と機構について説明し、次に、下記の項目について、操作手順に従い、ロールの取付け及び交換手順、および、5つの機構の組合せにより実現される3つの機能ついて説明する。
(ロールの取付け及び交換手順)
(弾性力蓄勢機能)
(ロールカット機能)
(ロール排出機能)
【0012】
ロール固定機構1(図2及び図9参照)について説明する。遊星歯車機構2の構成部品である太陽歯車軸201の外周に軸受B102を介して位置するロール軸101は、センターフレーム107と軸受C104の内周を介して位置するロール軸スリーブ103と連結固定されており、ロール軸101は太陽歯車軸201の外周を自由に公転できる形態で配置されている。ロール固定ノブ105はロール軸101の外周をロール軸101と共に回転し、かつ、軸方向にのみ移動可能な構造であり、そのロール固定ノブ105が軸方向に移動することを防止固定する役割として、ロール固定ネジ106が配置されている。ロール軸101に位置する複数の楔形リブ(ロール軸リブ108)と、ロール固定ノブ105に位置する複数の楔形リブ(ロール固定ノブリブ109)により、左右よりロールのロール芯を挟み込み、角度のついた複数の楔形リブ(ロール軸リブ108及びロール固定ノブリブ109)とロール芯の間の摩擦力によりロールをロール軸101に固定し、手動でロールが巻き戻し方向に引っ張り出される時に、ロールの回転角度に合わせロール軸101も同じ回転角度で太陽歯車軸201の外周を自由に公転するロール固定機構1が構成される。
【0013】
ロール固定ノブ105には、ロールの交換時に、ロールを手動で送り出し方向に回転させることで、手に取れる寸法を引き出す機能、および、ミシン目付きロールを使用時には、ロールを引き出しカットする時に、ミシン目の位置とカッター歯511の位置を手動により微調整する機能を有している。
【0014】
ロール軸リブ108のロール軸101方向に対するロール軸リブ角度110は40度であり、ロール固定ノブリブ109のロール軸101方向に対するロール固定ノブリブ角度111は10度以下とする。(図2参照)
【0015】
ロールのロール芯の内径はメーカー及び製品(トイレットペーパー、キッチンペーパー、アルミホイルなど)により様々であり、ロール固定ノブ105の外径形状のみを変更することで、様々なメーカー及び製品に対応することが可能な構成である。
【0016】
遊星歯車機構2(図2から図4参照)の構成部品について説明する。太陽歯車202は太陽歯車軸201に固定された状態で位置し、インターナル歯車支持台204は、太陽歯車軸201の外周に軸受D211を介して位置し、インターナル歯車203はインターナル歯車支持台204に固定されていることにより、インターナル歯車203は太陽歯車軸201の外周を自由に公転出来るように配置されている。遊星歯車支持台207には、2個の遊星歯車(遊星歯車A205と遊星歯車B206)が、遊星歯車A205は遊星歯車支持軸A208に、遊星歯車B206は遊星歯車支持軸B209に、自由に自転可能な形態で配置されており、遊星歯車支持台207は、2個の遊星歯車(遊星歯車A205と遊星歯車B206)と共に太陽歯車軸201の外周を公転出来るように配置されている。インターナル歯車203と太陽歯車202との間に2個の遊星歯車(遊星歯車A205と遊星歯車B206)を介してかみ合わせることで、遊星歯車機構2(ダブルピニオン式)が構成される。
【0017】
ロール固定機構1を構成するロール軸101は、ロール軸スリーブ103を介して遊星歯車機構2の構成部品であるインターナル歯車支持台204と連結配置されていることで、ロール軸101と共にインターナル歯車203も太陽歯車軸201の外周を公転する。したがって、ロール固定機構1は遊星歯車機構2の構成要素となる構成である。(図2参照)
【0018】
遊星歯車開放構構3(図2から図4参照)については、機械的に排出スイッチ310を押し下げることで動作させる機構を例に説明する。
【0019】
太陽歯車軸201の外周には、ロールを送り出す方向にのみに回転する構造であるワンウェイクラッチ301が配置されており、ワンウェイクラッチ301の外周にはスライドリング302がワンウェイクラッチ301に固定され位置し、そのスライドリング302の外周には、太陽歯車軸201の軸方向に2個のレール状リブ315が配置されている。スライドスリーブ304は、太陽歯車軸201の外周に軸受E303を介して配置されており、そのスライドスリーブ304にはスライドリング302のレール状リブ315を挿入するための溝を有し、スライドリング302外周に配置されているレール状リブ315は、スライドリング302のレール状リブ315を挿入する溝に挿入された状態で位置することで、太陽歯車軸201の軸方向にスライド移動可能な構成としている。
遊星歯車支持台207は、スライドスリーブ304と連結固定されているので、遊星歯車支持台207は、太陽歯車軸201の軸方向にスライド移動可能な形態でワンウェイクラッチ301と連結配置されている。さらに、ワンウェイクラッチ301の機能により、ワンウェイクラッチ301と共に遊星歯車支持台207もロールを送り出す方向にのみ回転する構成を有する。(図4参照)
【0020】
右フレーム305には、4個の加圧ピン306を通す貫通穴が有し、加圧板307には4個の加圧ピン306が固定配置されており、加圧ピン306を、弾性体B308と右フレーム305の貫通穴を通して貫通配置することで、弾性体B308は加圧板307と右フレーム305の間に挟みこまれた形態で配置されている。本図の弾性体B308は加圧により弾性力が蓄勢される形態とし、太陽歯車軸201は加圧板307の貫通穴に貫通配置されており、加圧板307は常に軸受E303のフランジ垂直面に接し、常にスライドスリーブ304を太陽歯車軸201の軸方向に対して左方向に加圧力が働く構成とする。 (図2および図4参照)
【0021】
太陽歯車軸201は、太陽歯車軸201の外周に軸受F309を介して、右フレーム305に、自由に自転可能な形態で配置されている。
排出スイッチ310とスライドカム311は連結されており、右フレーム305には、スライドカムガイドA312とスライドカムガイドB313が固定配置されており、スライドカム311は上下方向にのみ自由に稼働可能な形態であり、スライドカム311のカム機構面がスライドスリーブ304と接する形態で位置している。(図2および図4参照)
【0022】
排出スイッチ310を下方向に押し下げると、スライドカム311のカム機構が働き、スライドスリーブ304が太陽歯車軸201の軸方向に対して右方向に移動することで、スライドスリーブ304と連結されている遊星歯車支持台207も右方向に移動する。インターナル歯車203と遊星歯車A205は遊星歯車支持台207が右方向に移動しても歯車のかみ合わせが維持される位置関係を有するが、太陽歯車202と遊星歯車B206の歯車のかみ合わせは開放される位置関係を有しており、太陽歯車202と遊星歯車B206の歯車のかみ合わせが開放されることで、遊星歯車機構は開放され、スライドスリーブ304が太陽歯車軸201の軸方向に対して右方向に移動すると加圧板307も移動し弾性体B308に加圧の弾性力が蓄勢される。(図3および図4参照)
【0023】
排出スイッチ310を下方向に押し下げるのを中止すると、弾性体B308に蓄勢された加圧の弾性力により加圧板307は太陽歯車軸201の軸方向に対して左方向に押し戻され、スライドスリーブ304も左方向に押し戻されることで、スライドスリーブ304と連結されている遊星歯車支持台207も左方向に移動し、スライドスリーブ304によりスライドカム311のカム機構が押し戻され、スライドカム311は元の位置に戻されることで、連結されている排出スイッチ310も元の位置に戻る。(図4参照)
【0024】
太陽歯車202と遊星歯車B206の歯車形状はクラッチ歯車形状314であり、太陽歯車202は右側がクラッチ歯車形状314を有し、遊星歯車B206は左側がクラッチ歯車形状314を有しているので、弾性体B308による加圧の弾性力が働く機構とすることで、より容易に太陽歯車202と遊星歯車B206とのかみ合わせが行われることができ、遊星歯車機構が再構成される。以上が遊星歯車開放構構3の説明となる。(図4参照)
【0025】
図4の弾性体B308は加圧により弾性力が蓄勢される形態としているが、弾性体の形態については、加圧板307に対して左方向に加圧力が働く形態であれば制限されるものではない。
【0026】
回転角度リミッター機構4(図4および図5参照)について説明する。遊星歯車機構2の構成部品であるインターナル歯車支持台204には、太陽歯車軸201の中心軸を中心点とする円弧状の貫通穴401が有し、遊星歯車支持台ピン212は、遊星歯車開放構構3により遊星歯車支持台207が右方向に移動し、太陽歯車202と遊星歯車B206とのかみ合わせが開放された状態においても、インターナル歯車支持台204に配置されている貫通穴401に対し貫通配置されている位置関係を有することで、遊星歯車支持台207の稼働範囲を制限し、インターナル歯車支持台204と遊星歯車支持台207の間の公転角度差の範囲を、リミッター角度402に制限する機構である。
【0027】
インターナル歯車支持台204には弾性体固定ピン403が固定位置し、弾性体固定ピン403と遊星歯車支持台ピン212の間には弾性体A404が取付けられている。
本図の弾性体A404は引張により弾性力が蓄勢される形態とし、弾性体A404はインターナル歯車支持台204に固定されて位置する円弧状の弾性体ガイド407の外周に配置する形態とする。以上が回転角度リミッター機構4の構成である。(図5参照)
【0028】
図5の弾性体A404は引張により弾性力が蓄勢される形態としているが、弾性体の形態については、インターナル歯車支持台204と遊星歯車支持台207の間に引張り力が働く形態であれば制限されるものではない。
【0029】
カバー機構5(図6から図9参照)を構成する構成部品および、ストッパー501と、カバー502と、左カバー503の構造と役割について説明する。
【0030】
ストッパー501(図6参照)は、左フレーム507に有する貫通穴に対し、左側面側より右側面側に通すことで、左フレーム507右側面側に四角錐台形状の突出物として配置後、ストッパー501に弾性体C505を弾性体C505の貫通孔を通し配置し、ストッパーカバー504により左側面側より挟み込むことで、弾性体C505には、加圧の弾性力が働く形態で配置されており、ストッパーレバー506はストッパー501と一体である。
カバー502の開放操作は、ストッパー501を片手(左手)の指先(人差し指あるいは中指)でストッパーレバー506を左方向にスライドさせることで、ストッパー501の四角錐台形状の突出物を左フレーム507右側面の貫通穴で隠れる位置まで移動させることができ、その状態を維持させた状態において、残りの指先(親指)で、カバー502を上方向に跳ね上げることで、カバー502は開放される。指を放すと、ストッパー501は弾性体C505の加圧の弾性力により元の位置に戻ることで、カバー502がストッパー501より下に落下を防止する構造として働く構成である。(図6および図9参照)
【0031】
カバー502を閉じる操作は、カバー502をストッパー501の上より押し下げると、カバー502とストッパー501の接する面のストッパー角度508を45度のテーパー形状とすることで、ストッパー501は左フレーム507右側面の貫通穴で隠れる位置まで押し戻され、カバー502は下に落下する。その後、ストッパー501は弾性体C505の加圧の弾性力により元の位置に戻ることで、ストッパーの機能が回復する構成である(図6参照)
【0032】
図6の弾性体C505は加圧により弾性力が蓄勢される形態としているが、弾性体の形態については、ストッパー501に右方向の加圧力が働く形態であれば制限されるものではない。
【0033】
カバー502(図7から図9参照)の形状は、取付けられたロール外径面と接触する部分の形状を円形状とし、未使用のロールを配置した状態で、ロール外径面と接触するカバーの円半径509:R を未使用のロールの想定される最大外径円半径510:R と同じ円半径:R とする。カバー502の円カーブの先端点526は、未使用のロールの想定される最大外径円と接する位置(図7参照)とし、ロールが使用されて小さくなるとロールの外径円がカバー502の円カーブと接する位置関係となり、ロール芯523部分においてもロールの外径円は、カバー502の円カーブと接する位置(図8参照)となるよう配置することで、常にロールの外径円がカバー502と円接触となるように位置し、カバー502のロールと接する面の摩擦係数:μ=0.2以下とすることで、カバー502とロールの間の摩擦抵抗を最小限とする構成とする。未使用のロールの想定される最大外径円と接するカバー502の円カーブの先端点526には、正接する(カバー502の円カーブの先端点526からロール中心点と結ぶ線と垂直)下方向に、直線部分を有するカッター歯511が有し、カバー502の円カーブの開始位置527は、ロールの中心点より鉛直上方向に伸ばした直線と接する位置(図7参照)とし、カバー取付け支点513位置まで、カバー502の円カーブの開始位置527より、カバー502は水平に位置する配置とし、カバー取付け支点513の位置は、センターフレーム107左側面(図9参照)と左フレーム507右側面に有している。
【0034】
センターフレーム107と左フレーム507とは、カバーベース514を介して連結されており、センターフレーム107は本体カバー517を介して右フレーム305と連結されており、本体カバー517は、ベースフレーム515とリアフレーム516と連結されることで、装置の筐体を構成している。(図5および図9参照)
ベースフレーム515には、滑り止め524を有することで卓上設置を可能としている。(図5参照)
【0035】
カバーベース514には、壁面に取り付けるための取付け穴525を有し、設置する部屋の壁面に取り付けての使用を可能としている。(図9参照)
【0036】
左カバー503は、左フレーム507左側面に固定配置されたヒンジ518とそのヒンジ支持軸519により左方向に回転開放できる構造を有し、マグネット520を有することで、左カバー503を閉じて垂直位置にすると、左カバー503は、左フレーム507にマグネット520の着磁力により固定される。太陽歯車軸201の先端形状は、軸方向に対して45度のテーパーを有することで、太陽歯車軸201の外周に左カバー503に固定された状態で配置されている軸受A521との勘合を、左カバー503を閉じて垂直位置にする時に容易とする構成である。(図9参照)
【0037】
たとえば、業務用のキッチンペーパーやアルミホイルなど、ロール幅が広く、製品単体の重量が重い物でも、太陽歯車軸201に位置する軸受の配置を、両持ち梁構造の配置としたことで、軸受A521と軸受C104に掛かる負荷を均等とし、片持ち梁構造時に生ずる負荷集中による軸受の摩擦抵抗による回転負荷トルクの増加を防止する構成である。以上がカバー機構5の説明である。(図2参照)
【0038】
前記までは、主要な構成機構についての説明であり、以降は実際の操作手順に従い、ロールの取付け及び交換手順、および、5つの機構(ロール固定機構1、遊星歯車機構2、遊星歯車開放構構3、回転角度リミッター機構4、カバー機構5)を組み合わせることで実現される3つの機能について説明する。
【0039】
(ロールの取付け及び交換手順)
図9はカバー類が開放されロールが取付けられる前の状態を示す斜視図であり、説明は、図1において、ロールが取付けられていない状態を仮定して、説明を開始する。さらに、図は左手のみでの操作を可能とした装置の機器配置であるので、左手のみで操作を実施する場合の手順を例として説明する。
【0040】
ロールの取付けは、左カバー503をヒンジ支持軸519より左方向に回転開放した後、左手の指先(人差し指あるいは中指)でストッパーレバー506を左方向にスライドさせ、ストッパー501が左フレーム507右側面の貫通穴で隠れる位置まで移動させておき、残りの指先(親指)で、カバー502を上方向に跳ね上げることでカバー502が開放され、図9の状態となる。次に、ロール固定ネジ106を緩め、ロール固定ノブ105をロール軸101より左方向にスライド移動させて取外す。
新しいロールをロール軸101の左方向からロール軸101にロールのロール芯をロール軸リブ108まで差し込み、ロール固定ノブ105を左方向からロール軸101に、ロールのロール芯が固定するまで差し込み、ロール固定ネジ106を締めて固定し、左カバー503をヒンジ支持軸519より右方向に回転させ、マグネット520の着磁力により垂直位置で固定し、カバー502をストッパー501より下に押し下げることで、ロールの設置(図1参照)が完了する。
【0041】
ロールの取外しは、逆の手順とする。
【0042】
新しいロールの取付けの時のみ、ロール固定ノブ105を使用し、手動でロールが手に取れる位置まで回転させる操作を必要とする。
【0043】
(弾性力蓄勢機能)
ロールがカッター歯511より下に手に取れる量、引き出されている状態(図11参照)において、手動でロールを手に取り、必要量引き出す動作をすることにより、手動で引き出す力の一部を弾性体A404の弾性力として蓄勢する機能である弾性力蓄勢機能について、ロール固定機構1と、遊星歯車機構2と、回転角度リミッター機構4と、ワンウェイクラッチ301と、トルクリミッター210により実現される機能と役割について説明する。
【0044】
トルクリミッター210は、右フレーム305と右フレーム305に固定位置するスライドカムガイドA312を介して連結固定され、かつ、遊星歯車機構2を構成する太陽歯車軸201に取り付け配置されている。(図2参照)
【0045】
トルクリミッター210が機能し太陽歯車軸201が固定され、回転しない条件の時、ロール固定機構1を構成するロール軸101と、遊星歯車機構2を構成するインターナル歯車支持台204は、ロール軸スリーブ103を介して連結固定されており、ロールを手に取り、手動で、ロールを引き出す動作を実施すると、ロールはロール固定機構1により固定されているので、ロールを引き出すとロール軸101も回転し、同時にインターナル歯車支持台204と連結固定されているインターナル歯車203も回転する。遊星歯車機構(ダブルピニオン式)の原理により、インターナル歯車203がロールを引き出す方向に回転することで、2個の遊星歯車(遊星歯車A205と遊星歯車B206)を有する遊星歯車支持台207は、インターナル歯車203より早い回転角度にてロールを引き出す方向に回転する。(図2及び図3参照)
【0046】
インターナル歯車支持台204には、回転角度リミッター機構4を配置していることで、遊星歯車支持台207の回転角度は、回転始点405から回転終点406までのリミッター角度402に制限されている。(図5参照)
【0047】
インターナル歯車支持台204に有する弾性体固定ピン403と遊星歯車支持台ピン212の間には弾性体A404が配置されているので、遊星歯車支持台207とインターナル歯車支持台204の間に生じる公転角度差が、弾性体固定ピン403と遊星歯車支持台ピン212の間の距離の差となり、弾性体A404は円弧状の弾性体ガイド407により、円弧状に引っ張られ、その円弧差(リミッター角度402の円弧)が弾性体A404の弾性力として蓄勢されることになる。(図5参照)
【0048】
ロールを引き出す方向にのみ回転するワンウェイクラッチ301が、太陽歯車軸201と遊星歯車支持台207の間にスライドスリーブ304とスライドリング302を介して配置されていることで、ワンウェイクラッチ301の機能により、遊星歯車支持台207は回転始点405より公転方向であるロールを引き出す方向にのみ回転し、弾性体A404の引っ張りの弾性力は、ロールを引き出すのを回転終点406に至る前に中止しても、蓄勢状態を維持し続ける構成としている。(図4から図5参照)
【0049】
遊星歯車支持台207は、ワンウェイクラッチ301の働きによりロールを引き出す方向にのみ回転することで、遊星歯車支持台207とインターナル歯車支持台204の公転角度差が回転終点406に至るリミッター角度402になると遊星歯車機構の原理は停止し、インターナル歯車支持台204と遊星歯車支持台207及び太陽歯車軸201は機械的に回転が停止し固定される。(図4から図5参照)
【0050】
トルクリミッター210が機能し太陽歯車軸201が固定され、回転せず、かつ、遊星歯車機構が機能し、遊星歯車支持台207が、回転始点405より公転方向であるロールを引き出す方向に回転終点406まで回転し、弾性体A404に引っ張りの弾性力を蓄勢させる事が出来る条件は、トルクリミッター210のトルク値を回転角度リミッター機構4の回転終点406まで弾性体A404を蓄勢させることのできるトルク値以上に設定することを条件とする。遊星歯車支持台207がリミッター角度402の回転始点405より公転し、回転終点406に至り公転を中止し、ロールを引き出すトルクがトルクリミッター210のトルク値以上となると、トルクリミッター210は滑りを発生し、太陽歯車軸201は、インターナル歯車支持台204と遊星歯車支持台207と共に機械的に固定された状態なので、ロールを手動で引き出すとロールと同じ回転角度で弾性力を蓄勢させる機構全体(ロール固定機構1と、遊星歯車機構2と、回転角度リミッター機構4)と共に引き出す方向に回転する。(図2から図5参照)
【0051】
トルクリミッター210のトルク値は前記での条件に加えて、ロールの芯部分でのロールの引張り切断(ロールがロールの芯部分において、引き出し途中に切れる)トルクよりも小さい値とすることを条件とし、かつ、トイレットペーパー、キッチンペーパーなど、定量間隔でミシン目が配置されているミシン目付きロールを使用する場合には、トルクリミッター210のトルク値をロールの芯部分に配置されているミシン目部分の引張り切断(ロールがロールの芯部分において、引き出し途中にミシン目が切れる)トルクよりも小さい値とすることを条件とする。
【0052】
本考案は、トルクリミッター210のトルク値が上記条件を満たすことで、ロールを手動で引き出す量は制限されず、かつ、弾性体A404に弾性力として蓄勢される時間的な期間を制限されることなく、その弾性力の蓄勢量はリミッター角度402の範囲に制限する弾性力蓄勢機能である。(図2および図5参照)
【0053】
(ロールカット機能)
以降は、手動で引き出したロールをカットさせる、ロールカット機能につて説明する。
【0054】
図10は、カバー機構5の断面図であり、ロールをカットする時の、ロールとカバー502の位置関係を示した図である。ロールをカットするために、ロールを上方向(矢印方向)に持ち上げると、カバー502は、カバー取付け支点513を中心に上方向に回転するが、ストッパー501が配置されていることで、ストッパー501の位置で回転が固定され、ロールとカッター歯511の間にはカッター歯角度512:θ(度)が生じる関係となる。
【0055】
ロールを取付けているロール軸101には、遊星歯車機構を介してトルクリミッター210(図2参照)が連結されていることで、トルクリミッターが機能し、ロール軸101には回転を静止固定するトルクが働き、ロール軸101は回転せず、ロール半径522:Xとすると、カッター歯511とロール間には、トルクリミッター210のトルク:Trの働きにより引張り張力:Tが発生する。
Tr=T×X (1)
F=T×cosθ (2)
F=(Tr×cosθ)÷ X (3)
トルクリミッター210のトルク:Tr は、上記の式(1)となり、カッター歯511には、カッター歯511によるカットを助ける力:F が引張り張力:Tとカッター歯角度512:θ(度)の位置関係により、上記の式(2)となる。上記の式(1)と式(2)を整理すると、カッター歯511によるカットを助ける力:F は上記の式(3)となる。(図10参照)
【0056】
カバー502がストッパー501により固定された位置関係において、未使用ロールが配置されている時の想定される未使用ロールの最大半径:Rにおけるカッター歯511によるカットを助ける力:FR、カッター歯角度:θR(度)とし、ロール芯が配置されている時の想定されるロール芯の最小半径:r におけるカッター歯511によるカットを助ける力:Fr、カッター歯角度:θr(度)として上記の式(3)に当てはめると、次式(4)と次式(5)になる。
FR=(Tr×cosθR)÷ R (4)
Fr=(Tr×cosθr)÷ r (5)
この時、上記の式(4)と式(5)を、カッター歯511によるカットを助ける力が等しくなる(FR=Fr)条件として整理すると、想定される最大径の未使用ロールが設置されている時(図7参照)、カッター歯511は、ロール外径円に対して、正接する(カバー502の円カーブの先端点526からロール中心点と結ぶ線と垂直)下方向に位置するため、想定される未使用ロールの最大半径:Rにおけるカッター歯角度:θR = 0(度)となる。
カッター歯511によるカットを助ける力:Fを、近似値(FR≒Fr)とすることのできる力学的な関係式は、上記の式(4)と式(5)を整理すると、想定されるロール芯の最小半径:r におけるカッター歯角度:θr(度)を下記の数式1の式(6)の位置関係に配置する時に構成される。(図7および図10参照)

【0057】
トルクリミッター210を配置し、上記の数式1の式(6)の位置関係に機器を構成することで、ロール軸101は回転せず、ロールをカッター歯511でカットする力を、未使用ロールからロール芯まで、ほぼ同じ(近似)力でのカットが可能であり、かつ、上記の式(4)より近似値としてカッター歯511によるカットを助ける力:F が、下記の式(7)により求められる値として機能する。さらに、ストッパー501を配置したことで、カバー502を手で押える必要が無くなり、片手のみでロールをカットできるロールカット機能である。(図7および図10参照)
F ≒Tr÷R (7)
【0058】
たとえば、アルミホイルなどのように引張強度の大きい材料を使用する場合、現状では、カッター歯511の形状を鋭利な形状とする必要があるが、本考案では、トルクリミッター210のトルク値:Trを、弾性力蓄勢機能で説明した条件と上記の式(7)により、大きな値とすることが可能であり、カット時にカッター歯511によるカットを助ける力:F を大きくすることができ、カッター歯511形状を鋭利な形状とすることなくカットが可能であり、アルミホイルなどのように引張強度の大きい材料を使用する場合においても、安全性が高い製品とすることができる。
【0059】
(ロール排出機能)
次に弾性力蓄勢機能により、弾性体A404に弾性力が蓄勢され、かつ、ロールカット機能により引き出したロールがカットされた状態において、機械的に排出スイッチ310を押下げることで、ロールをカッター歯511より下に排出する機能である、ロール排出機能について説明する。(図11参照)
【0060】
排出スイッチ310を下方向に押し下げると、遊星歯車開放構構3のスライドカム311のカム機構が働き、スライドスリーブ304が太陽歯車軸201の軸方向に対して右方向に移動することで連結配置されている遊星歯車支持台207も右方向に移動し、太陽歯車202と遊星歯車B206のかみ合わせは開放され、遊星歯車機構が開放される。(図4参照)
【0061】
ワンウェイクラッチ301が取付けられている太陽歯車軸201には、トルクリミッター210が連結されており、トルクリミッター210の静止トルクにより太陽歯車軸201は固定され、遊星歯車支持台207も回転せず固定された状態であり、遊星歯車機構が開放されたことで、インターナル歯車支持台204に有する弾性体固定ピン403と遊星歯車支持台ピン212の間に配置されている弾性体A404に蓄勢された弾性力も開放され、インターナル歯車支持台204と遊星歯車支持台207の両方に引張りの弾性力が働くが、遊星歯車支持台207は、ワンウェイクラッチ301が連結されていることで、ロールを引き出す方向にのみ回転する構造のために、逆転方向には回転せず固定された状態となる。(図2、4、5参照)
【0062】
インターナル歯車支持台204は、遊星歯車機構が開放された条件においては、太陽歯車軸201の外周を自由に回転する状態であり、遊星歯車支持台207が固定されていることで、インターナル歯車支持台204は、弾性体A404による引張りの弾性力により太陽歯車軸201の外周を、ロールを引き出す方向に回転始点405まで回転する。
インターナル歯車支持台204はロールを取付けているロール軸101と連結固定されていることで、ロールもロールを引き出す方向に回転し、ロールがカッター歯511より下に排出される。(図2、4、5、11参照)
【0063】
この時、カバー502とロールの外径面とは、図7および図8より、常にロールがカバー502と円接触となるように位置し、カバー502のロールと接する面の摩擦係数:μ=0.2以下とすることで、カバー502とロール間の摩擦抵抗が最小限である構造となり、回転負荷トルクを最小限とし、トルクリミッター210のトルク値を下げることで、ロールを人力で引き出す力も減少させる効果を有する。
【0064】
たとえば、上記説明では、スライドカム311のカム機構により、垂直方向の力を横方向に変換し、遊星歯車支持台207を退避させ、遊星歯車機構を機械的に開放させていたものを、人感センサーにより電気的に動作させる方式とし、遊星歯車支持台207を直接横方向に電気的に退避させる機構とすると、機器に触れることなく、ロールに指先のみで直接アクセスでき、より衛生的に使用できる機器とすることが可能となる。(図4参照)
【0065】
【数2】000007
本考案の遊星歯車機構は、ダブルピニオン式であり、インターナル歯車203の歯数:ZI、太陽歯車202の歯数:ZSとすると、歯車比:Grは上記数式2の式(8)となり、インターナル歯車203の回転数:NI、太陽歯車202の回転数:NS、遊星歯車支持台207の回転数:NCとすると基本運動式は上記数式2の式(9)となる。
本考案では、遊星歯車機構をトルクリミッター210が機能し、太陽歯車202が固定された条件で働く機構としたので、太陽歯車202の回転数:NS=0となる。また、本考案は、インターナル歯車203と遊星歯車支持台207の回転の差を利用する機構としているので、その回転数の差:dNとすると遊星歯車支持台207の回転数:NCは上記数式2の式(10)となり、上記数式2の式(9)に代入してまとめると、上記数式2の式(11)となる。
本考案は、回転角度差を利用しているので、手動でロールを引き出しカットするまでにロール軸101が回転する角度:D (度)、この考案のロール排出機能によりロール軸101がロールを排出するために回転する角度:Delta (度)とし、回転数を角度に変換して表すと、上記数式2の式(12)となり、上記数式2の式(8)の歯車比:Grを置き換えて、分かり易く表すと上記数式2の式(13)となる。(図2および図3参照)
【0066】
回転角度リミッター機構4は、上記数式2の式(13)により求めることのできる、ロール排出機能によりロール軸101がロールを排出するために回転する角度:Delta (度)を、リミッター角度402に制限する機構である。手動でロールを引き出す量は制限せず、ロール排出機能によりロールがカッター歯511より下に排出される量のみを、リミッター角度402により制限する機能である。従って、リミッター角度402の範囲を調整できる構造とすることで、カッター歯511より下に排出される最大ロール量を調整することを可能とした機構である。(図4、5、9参照)
【0067】
【数3】000008
たとえば、トイレットペーパーやキッチンペーパーのように、定量間隔でミシン目が配置されているミシン目付きの製品を使用した場合、未使用ロールからロール芯までロールを引き出しカットする間隔もミシン目の間隔となる。
未使用ロールが配置されている時、未使用ロールの半径:Rにおいてロールを引き出しカットするまでにロール軸101が回転する角度:DR(度)、未使用ロールの半径:Rにおいて引き出す長さ:LRとし、ロール芯が配置されている時、ロール芯の半径:r においてロールを引き出しカットするまでにロール軸101が回転する角度:Dr(度)、ロール芯の半径:r において引き出す長さ:Lrとすると、上記数式3の式(14)、式(15)となるが、未使用のロールとロール芯部分で引き出す長さが同じ(LR=Lr)となるのは、無次元式として表すと、上記数式3の式(16)が条件となる。
この考案のロール排出機能によりロール軸101がロールを排出するために回転する角度:Delta(度)は、上記数式2の式(12)により求めることができるので、未使用ロールが配置されている時、未使用ロールの半径:R においてロール軸101がロールを排出するために回転する角度:d R(度)、未使用ロールの半径:Rにおいてロール排出機能により送り出されるロールの長さ:dLRとし、ロール芯が配置されている時、ロール芯の半径:r においてロール軸101がロールを排出するために回転する角度:dr(度)とし、ロール芯の半径:r においてロール排出機能により送り出されるロールの長さ:dLr とする時、ロール排出機能により送り出されるロールの長さも同じ(dLR=dLr)関係となる条件は、上記数式3の式(14)、式(15)に置き換えて計算すると、上記数式3の式(16)と同様な関係式となり、まとめると、上記数式3の式(17)と表すことができる。上記数式3の式(17)を、ロールを引き出しカットするまでにロール軸101が回転する角度と、ロール排出機能によりロール軸101が回転する角度の比にとして並び替えると、上記数式3の式(18)となる。
ロール軸101がロールを排出するために回転する角度:Delta(度)の計算式、上記数式2の式(12)もロールを引き出しカットするまでにロール軸101が回転する角度:D(度)と、ロール軸101がロールを排出するために回転する角度:Delta(度)の比として並び替え、無次元式で表すると、上記数式3の式(19)となる。
【0068】
【数4】000009
未使用のロールとロール芯部分においてもロール排出機能により送り出される長さが同じ(dLR=dLr)となる条件は、上記数式3の式(19)の値が、常に上記数式3の式(18)の値の近似値となるように設定することにより実現されるので、上記数式4の式(20)の関係となり、まとめると上記数式4の式(21)となり、上記数式2の式(8)の歯車比:Gr を代入してこの式を分かり易く表すと上記数式4の式(22)となる。
歯車比:Gr を上記数式4の式(22)の近似値とすることで、未使用のロールを使用した時とロール芯部分を使用した時に、手動でロールを引き出しカットする間隔が同じであれば、この考案のロール排出機能においては、ロールがカッター歯511より下に排出されるロールの量を、未使用のロールを使用した時に送り出されるロールの量とロール芯部分を使用した時に送り出されるロールの量を、ほぼ同量(近似)とする構成である。(図11参照)
【0069】
排出スイッチ310を下方向に押し下げるのを中止すると、弾性体B308に蓄勢された加圧の弾性力により加圧板307は、太陽歯車軸201の軸方向に対して左方向に押し戻され、スライドスリーブ304も左方向に押し戻されることで、スライドスリーブ304と連結されている遊星歯車支持台207も左方向に移動し、スライドスリーブ304によりスライドカム311のカム機構が押し戻され、スライドカム311は元の位置に戻されることで、排出スイッチ310も元の位置に戻る。(図4参照)
【0070】
遊星歯車支持台ピン212の位置は、排出スイッチ310を下方向に押し下げた時点で、遊星歯車機構が開放され、弾性体A404による引張り力により回転角度リミッター機構4の回転始点405に戻っているので、排出スイッチ310を下方向に押し下げるのを中止すると、弾性体B308に蓄勢された加圧の弾性力により、太陽歯車202と遊星歯車B206とのかみ合わせを回復させる力が働く。さらに、太陽歯車202と遊星歯車B206の歯車形状は、クラッチ歯車形状314を有しており、太陽歯車202は右側がクラッチ歯車形状314を有し、遊星歯車B206は左側がクラッチ歯車形状314を有することで、容易に太陽歯車202と遊星歯車B206とのかみ合わせが回復し、遊星歯車機構が再度構成される。(図4および図5参照)
【0071】
排出スイッチ310を天面に配置することで(図11参照)、両手が汚れた状態でも、手の指以外の部位、たとえば、肘などで押し下げることで、ロールを排出させることが可能であり、汚れた指先でもロールを指先でつまむことを可能とした機構である。
上記までが、ロール排出機能の説明である。
【0072】
本考案は、3つの機能(ロール排出機能、弾性力蓄勢機能、ロールカット機能)の組合せにより下記の一連の流れを構成している。
まず、ロール排出機能により、排出スイッチ310を押すと、ロールをカッター歯511より下に、手に取れる量排出する。(図11参照)
次に、人力によりロールを必要量引き出すことで、弾性力蓄勢機能により、ロールを引き出す力の一部を必要な時に使用できるように、弾性体A404に弾性力として蓄勢させておき、ロールカット機能により、片手のみでロールをカットすることを可能とする構成である。(図5および図10参照)
一連の流れを構成させることで、未使用のロール取付け後は、ロール芯まで連続して使用出来ることを可能としている。
【0073】
たとえば、図2は左手のみでの操作を可能とした配置であるが、上記3機能の配置を、ロール取り付け面であるセンターフレーム107を基準面として左右反転配置することで、左手のみでの操作を可能とした配置から右手のみでの操作を可能とした配置へと変更可能としている。(図2参照)
【0074】
本考案においては、ロールカット機能とトルクリミッター210のみお用いた装置の使用も可能である。遊星歯車機構2と、遊星歯車開放機構3と、回転角度リミッター機構4を使用せず、ロール固定機構1のロール軸101を太陽歯車軸201の替りに回転の中心軸とし、トルクリミッター210を直接、ロール軸101に接続させる構成とすると、手動で、ロール固定ノブ105を回転させ、ロールを手に取れる量を引き出す操作を実施する必要はあるが、全ての操作を片手のみで実施することが可能な構成である。(図2参照)
【産業上の利用可能性】
【0075】
(医療 介護)
トイレットペーパーを取り付け使用する装置(本実施例)において、本考案は片手のみにより取り付け及び使用することが可能なことから、脳梗塞の後遺症により半身不随になられた方でも片手のみでの操作が可能であれば使用することができ、機器のレイアウトを左右対称にすることで右手のみでの操作を可能とした配置、あるいは、左手のみでの操作を可能とした配置とする事ができ、簡単な操作「排出スイッチ310を押す、用紙を指先で引き出し、上に持ち上げカットする」のみの操作で可能であり、リハビリ用機器の機能もそなえている。
卓上型としても使用可能であり、人力のみで使用できるため使用する場所が制限されず、持ち運んでの使用が可能であり、汚物などで両手が汚れたままでも、腕の一部位たとえば肘で、排出スイッチ310を押すことで、装置を汚すことなく、指先でつまむことで手に取れるので介護用としての応用が期待できる。
【0076】
(公共施設)
トイレットペーパーを取り付け使用する装置において、排出スイッチ310を人感センサーにより電気的に動作させる機構としたとき、機器に触れることなく、トイレットペーパーに指先のみで直接アクセスでき、より衛生的に使用できるので、公共施設での使用が期待できる。
【0077】
(キッチン用品)
キッチンにおける作業では、キッチンペーパー、アルミホイルなどを使用する場合、水・油・食材等により両手が汚れたままで取り出そうとすると、取り付けてある機器を汚してしまうので、一度手を洗い布巾などでふき取った後で取り出す必要があるが、本考案の装置では、両手が塞がっている状態でも腕の一部位たとえば肘で、排出スイッチを押すことができ、装置を汚すことなく、指先でつまむことで手に取れるので、業務用機器としての応用が期待できる。
【符号の説明】
【0078】
1 ロール固定機構
2 遊星歯車機構
3 遊星歯車開放機構
4 回転角度リミッター機構
5 カバー機構
101 ロール軸
102 軸受B
103 ロール軸スリーブ
104 軸受C
105 ロール固定ノブ
106 ロール固定ネジ
107 センターフレーム
108 ロール軸リブ
109 ロール固定ノブリブ
110 ロール軸リブ角度
111 ロール固定ノブリブ角度
201 太陽歯車軸
202 太陽歯車
203 インターナル歯車
204 インターナル歯車支持台
205 遊星歯車A
206 遊星歯車B
207 遊星歯車支持台
208 遊星歯車支持軸A
209 遊星歯車支持軸B
210 トルクリミッター
211 軸受D
212 遊星歯車支持台ピン
301 ワンウェイクラッチ
302 スライドリング
303 軸受E
304 スライドスリーブ
305 右フレーム
306 加圧ピン
307 加圧板
308 弾性体B
309 軸受F
310 排出スイッチ
311 スライドカム
312 スライドカムガイドA
313 スライドカムガイドB
314 クラッチ歯車形状
315 レール状リブ
401 円弧状の貫通穴
402 リミッター角度
403 弾性体固定ピン
404 弾性体A
405 回転始点
406 回転終点
407 弾性体ガイド
501 ストッパー
502 カバー
503 左カバー
504 ストッパーカバー
505 弾性体C
506 ストッパーレバー
507 左フレーム
508 ストッパー角度
509 カバーの円半径
510 未使用ロールの想定される最大外径半径
511 カッター歯
512 カッター歯角度
513 カバー取付け支点
514 カバーベース
515 ベースフレーム
516 リアフレーム
517 本体カバー
518 ヒンジ
519 ヒンジ支持軸
520 マグネット
521 軸受A
522 ロール半径
523 ロール芯
524 滑り止め
525 取付け穴
526 円カーブの先端点
527 円カーブの開始位置
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
【図10】
図10
【図11】
図11
ページtop へ