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【発明の名称】接続部材 【国際特許分類】 F16B 5/00 (2006.01) F16B 5/06 (2006.01) 【FI】 F16B 5/00 F F16B 5/06 A 【早期審査対象出願】 【特許権者】 【識別番号】519318292 【氏名又は名称】山口 敏彦 【住所又は居所】神奈川県横浜市南区清水が丘53-12 【代理人】 【識別番号】100137338 【弁理士】 【氏名又は名称】辻田 朋子 【発明者】 【氏名】山口 敏彦 【住所又は居所】神奈川県横浜市南区清水が丘53-12 【参考文献】 【文献】 実開昭61−089512(JP,U) 【文献】 米国特許出願公開第2018/0313048(US,A1) 【文献】 特開2005−337324(JP,A) 【文献】 実開昭55−034027(JP,U) 【文献】 実開昭54−107181(JP,U) 【文献】 米国特許出願公開第2017/0158144(US,A1) 【調査した分野】 (Int.Cl.,DB名) F16B 5/00− 5/12 F16B 23/00− 43/02 F16B 2/12 【要約】 (修正有) 【課題】作業性や利便性をより向上させた接続部材を提供する。 【解決手段】第一構成体は面状体W2の一側面に当接可能に構成されたフック部A11と、面状体W1、W2の厚さ方向に対して略垂直方向に配置される軸部A2と、フック部A11を、軸部A2の軸方向に対して略垂直に突出するように連結する屈曲部A3と、フック部A11に対して軸方向に所定の間隔を置いて、軸部A2から突設された突設部とを有し、第二構成体は軸部A2が挿通される挿通孔Hが形成され、軸部A2が挿通孔に挿通されることでフック部A11と突設部との間に配置される筒状体B1と、筒状体B1の一端面を構成する螺旋面B2とを有し、突設部は、螺旋面B2に当接可能に構成された突設部本体A41を含み、筒状体B1は、軸方向周りに回転可能に構成され、螺旋面B2は、軸方向周りの回転に沿って、突設部本体A41に近接していくように滑らかに傾斜している。 【選択図】図4 【特許請求の範囲】 【請求項1】 接続対象となる複数の面状体を挟持する、第一構成体及び第二構成体を備える接続部材であって、 前記第一構成体は、前記面状体の一側面に当接可能に構成されたフック部と、前記面状体の厚さ方向に対して略垂直方向に配置される軸部と、前記フック部を、前記軸部の軸方向に対して略垂直に突出するように連結する屈曲部と、前記フック部に対して前記軸方向に所定の間隔を置いて、前記軸部から突設された突設部と、を有し、 前記第二構成体は、前記軸部が挿通される挿通孔が形成され、前記軸部が前記挿通孔に挿通されることで、前記フック部と前記突設部との間に配置される筒状体と、前記筒状体の一端面を構成する螺旋面と、を有し、 前記突設部は、前記螺旋面に当接可能に構成された突設部本体を含み、 前記突設部本体には、前記軸方向に対して略垂直方向に延びる主部と、前記主部から、前記軸方向に沿って、前記フック部が設けられている側に突設された当接片と、が設けられ、 前記筒状体は、前記軸方向周りに回転可能に構成され、 前記螺旋面は、前記軸方向周りの回転に沿って、前記突設部本体に近接していくように滑らかに傾斜しており、前記当接片の端面に当接可能に構成されている、接続部材。 【請求項2】 前記当接片の端面は、その略全面が前記螺旋面に当接可能に構成された傾斜面である、請求項1に記載の接続部材。 【請求項3】 接続対象となる複数の面状体を挟持する、第一構成体及び第二構成体を備える接続部材であって、 前記第一構成体は、前記面状体の一側面に当接可能に構成されたフック部と、前記面状体の厚さ方向に対して略垂直方向に配置される軸部と、前記フック部を、前記軸部の軸方向に対して略垂直に突出するように連結する屈曲部と、前記フック部に対して前記軸方向に所定の間隔を置いて、前記軸部から突設された突設部と、を有し、 前記第二構成体は、前記軸部が挿通される挿通孔が形成され、前記軸部が前記挿通孔に挿通されることで、前記フック部と前記突設部との間に配置される筒状体と、前記筒状体の一端面を構成する螺旋面と、を有し、 前記突設部は、前記螺旋面に当接可能に構成された突設部本体と、前記軸部における、前記フック部が設けられていない側の端部から前記軸方向に沿って延設された延設部と、を含み、 前記突設部本体は、前記延設部に連接され、 前記筒状体は、前記軸方向周りに回転可能に構成され、 前記螺旋面は、前記軸方向周りの回転に沿って、前記突設部本体に近接していくように滑らかに傾斜している、接続部材。 【請求項4】 前記突設部には、その面方向が互いに略平行である、一対の対向する側面部が形成されている、請求項3に記載の接続部材。 【請求項5】 前記突設部には、前記フック部が設けられていない側の端部に設けられ、前記フック部に向かって窪んだ凹部が形成されている、請求項3又は4に記載の接続部材。 【請求項6】 前記突設部本体は、前記フック部と対向するように設けられている、請求項1〜5の何れかに記載の接続部材。 【請求項7】 前記筒状体は、多角筒形状を呈している、請求項1〜6の何れかに記載の接続部材。 【請求項8】 前記軸部には、その外周面から、前記軸方向に対して略垂直方向に延設された落下防止部が形成され、 前記落下防止部は、前記フック部と前記突設部との間に形成され、前記面状体の一側面に接触可能に構成されている、請求項1〜7の何れかに記載の接続部材。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、複数の板状体や、面状体を有する物体同士を接続する、接続部材に関するものである。 【背景技術】 【0002】 特許文献1に記載のように、複数の板状体や、筒状体の側部等の所定の面状体を有する物体同士を接続する場合、ボルトとナットを利用して、これらで対象の物体を挟持するようにして接続(締結)することが通常である。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】 実開昭61−89512号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、上記のように締結する場合、ナットを何度も回転させる必要があることから、例えば、接続対象のサイズ等によって、多数のボルトとナットを要する場合、締結作業に、多くの時間と労力がかかる。 また、使用環境によっては、ボルトのネジ部の腐食や焼付による固着が発生し、ネジ部の損傷の原因となり、締結状態が不安定となる。 【0005】 本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、作業性や利便性をより向上させた接続部材を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上記課題を解決するために、本発明は、接続対象となる複数の面状体を挟持する、第一構成体及び第二構成体を備える接続部材であって、 前記第一構成体は、前記面状体の一側面に当接可能に構成されたフック部と、前記面状体の厚さ方向に対して略垂直方向に配置される軸部と、前記フック部を、前記軸部の軸方向に対して略垂直に突出するように連結する屈曲部と、前記フック部に対して前記軸方向に所定の間隔を置いて、前記軸部から突設された突設部と、を有し、 前記第二構成体は、前記軸部が挿通される挿通孔が形成され、前記軸部が前記挿通孔に挿通されることで、前記フック部と前記突設部との間に配置される筒状体と、前記筒状体の一端面を構成する螺旋面と、を有し、 前記突設部は、前記螺旋面に当接可能に構成された突設部本体を含み、 前記筒状体は、前記軸方向周りに回転可能に構成され、 前記螺旋面は、前記軸方向周りの回転に沿って、前記突設部本体に近接していくように滑らかに傾斜している。 【0007】 本発明によれば、作業者は、第一構成体及び第二構成体と各面状体との配置関係を保持しつつ、軸部に挿通させた筒状体を回転させることで、螺旋面と突設部本体とを当接させることができる。 そして、作業者は、さらに筒状体を回転させることで、フック部が面状体から受ける反力でもって、第一構成体(フック部)と第二構成体とで各面状体を挟持する態様となり、各面状体を接続することができる。 【0008】 即ち、本接続部材は、各面状体の接続にあたり、ねじ切り部分が不要であり、これに伴い、締結作業の労力の軽減による作業性の向上や、締結状態の安定性の向上を実現することが可能となる。 【0009】 本発明の好ましい形態では、前記突設部本体には、前記軸方向に対して略垂直方向に延びる主部と、前記主部から、前記軸方向に沿って、前記フック部が設けられている側に突設された当接片と、が設けられ、前記螺旋面は、前記当接片の端面に当接可能に構成されている。 【0010】 このような構成とすることで、簡易な構成で、突設部本体と螺旋面との間隔を短くし、締結作業の労力をより軽減できる上、接続対象となる面状体の板厚に合わせた設計変更を容易に行うことが可能となる。 【0011】 本発明の好ましい形態では、前記当接片の端面は、その略全面が前記螺旋面に当接可能に構成された傾斜面である。 【0012】 このような構成とすることで、当接片の端面と螺旋面との間の摩擦力が上がり、締結状態の安定性が、より向上する。 【0013】 本発明の好ましい形態では、前記突設部は、前記軸部における、前記フック部が設けられていない側の端部から前記軸方向に沿って延設された延設部を含み、前記突設部本体は、前記延設部に連接されている。 【0014】 このような構成とすることで、突設部本体が、軸部の端部に配置されることとなり、フック部と突設部本体との間隔を適切に確保しつつ、第一構成体全体をコンパクトに設計することが可能となる。 【0015】 本発明の好ましい形態では、前記突設部には、その面方向が互いに略平行である、一対の対向する側面部が形成されている。 【0016】 このような構成とすることで、作業者は、筒状体の回転動作時において、スパナ等の締結工具で各側面部を挟持することで、容易に第一構成体の供回りを防止することができ、作業性がより向上する。 【0017】 本発明の好ましい形態では、前記突設部には、前記フック部が設けられていない側の端部に設けられ、前記フック部に向かって窪んだ凹部が形成されている。 【0018】 このような構成とすることで、作業者は、筒状体の回転動作時において、ドライバー等の棒状体を有する工具を凹部に嵌め込むことで、容易に第一構成体の供回りを防止することができ、作業性がより向上する。 【0019】 本発明の好ましい形態では、前記突設部本体は、前記フック部と対向するように設けられている。 【0020】 このような構成とすることで、フック部が面状体から受ける反力が、軸方向に沿った方向に近くなり、面状体を挟持する力を効率的に付与できる上、本接続部材を、貫通孔が形成されていない面状体同士の接続にも適用することが可能となる。 【0021】 本発明の好ましい形態では、前記筒状体は、多角筒形状を呈している。 【0022】 このような構成とすることで、作業者は、筒状体の回転動作時において、スパナ等の締結工具で、筒状体の側面を挟持し、容易に締結作業を行うことができ、作業性がより向上する。 【0023】 本発明の好ましい形態では、前記軸部には、その外周面から、前記軸方向に対して略垂直方向に延設された落下防止部が形成され、前記落下防止部は、前記フック部と前記突設部との間に形成され、前記面状体の一側面に接触可能に構成されている。 【0024】 このような構成とすることで、貫通孔が設けられた複数の面状体を接続する際、第一構成体が貫通孔を介して必要以上に下方に移動(落下)することを防止することが可能となる。 これにより、自然に、軸部が所定の長さ分、貫通孔の上方に突出している状態となり、筒状体の挿通作業や、その後の締結作業が容易となる。 【発明の効果】 【0025】 本発明によれば、作業性や利便性をより向上させた接続部材を提供することができる。 【図面の簡単な説明】 【0026】 【図1】本発明の実施形態に係る接続部材の第一構成体を示す図であって、(a)斜視図、(b)右側面図、(c)正面図である。 【図2】本発明の実施形態に係る接続部材の第二構成体を示す図であって、(a)斜視図、(b)右側面図、(c)正面図、(d)平面図、(e)底面図である。 【図3】本発明の実施形態に係る接続部材の使用方法を説明するための図である。 【図4】本発明の実施形態に係る接続部材の使用方法を説明するための図である。 【図5】本発明の実施形態に係る接続部材の使用方法を説明するための図である。 【図6】本発明の実施形態に係る接続部材の使用方法を説明するための図である。 【図7】本発明の実施形態に係る接続部材の使用方法を説明するための図である。 【図8】本発明の実施形態に係る接続部材の使用方法を説明するための図である。 【図9】本発明の実施形態に係る接続部材の使用方法を説明するための図である。 【発明を実施するための形態】 【0027】 以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る接続部材について説明する。 なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。 また、これらの図において、符号Xは、本実施形態に係る接続部材を示す。 【0028】 図1及び図2に示すように、接続部材Xは、接続対象となる面状体W1、W2(図3等参照)を挟持する、第一構成体A及び第二構成体Bを備えている。 なお、以下説明の便宜上、図1(a)及び図2(a)に示す軸方向dの矢印方向を上方、これと対向する方向を下方と称することとする。 【0029】 図1に示すように、第一構成体Aは、面状体W2の下面に当接可能に構成されたフック部A1と、面状体W1、W2の厚さ方向に対して略垂直方向に配置される軸部A2と、フック部A1を、軸部A2の軸方向dに対して略垂直に突出するように連結する屈曲部A3と、フック部A1に対して軸方向dに所定の間隔を置いて、軸部A2から突設された突設部A4と、を有している。 【0030】 フック部A1は、下部が丸みを帯びたフック部本体A11と、フック部本体A11の上面を構成し、面状体W2の下面に当接する当接面A12と、を含む。 【0031】 フック部本体A11は、その先端部から屈曲部A3に向かうに伴って、略半円状の断面積が漸次増大していく形状となされている。 【0032】 当接面A12は、軸方向dと略垂直方向に広がり、半楕円形状を呈する平滑面である。 また、当接面A12の軸部A2に対する突出角rは、図1(b)に示すように、鋭角に構成されていることで、当接面A12は、先端に向かうに伴って、漸次上方に向かって傾斜していくように構成されている。 なお、突出角rは、直角に近い85度〜88度程度とすることが好ましい。 【0033】 軸部A2は、略円柱状に構成されている。 また、軸部A2には、その外周面から、軸方向dに対して略垂直方向に延設された落下防止部gが形成されている。 【0034】 落下防止部gは、フック部A1と突設部A4との間に形成され、面状体W1の上面に接触可能に構成されている、 また、落下防止部gは、円盤状体がフック部A1側で軸方向dに沿って部分的に切除されたような、略かまぼこ型形状を呈している。 このようにすることで、後述する面状体W1、W2の接続にあたり、第一構成体Aを貫通孔kに挿通する際に、落下防止部gが貫通孔kの周縁と干渉することを防ぐことができる。 【0035】 屈曲部A3は、フック部A1及び軸部A2、それぞれの基端に滑らかに連接している。 また、屈曲部A3は、図1(b)に示すように、その外形線が、フック部A1及び軸部A2に向かって滑らかに湾曲しており、フック部本体A11と同様、下部が丸みを帯びている。 【0036】 突設部A4は、螺旋面に当接可能に構成された突設部本体A41と、軸部A2における、フック部A1が設けられていない側の端部(即ち上端)から軸方向dに沿って延設された延設部A42と、を含む。 【0037】 突設部本体A41は、延設部A42に滑らかに連接され、フック部A1と対向するように設けられている。 即ち、本実施形態のおいては、後述する主部A41aの下面、或いは後述する当接片A41bの端面sと、当接面A12と、が対向するように構成されている。 なお、突設部本体A41は、必ずしも延設部A42に連接されている必要はなく、軸部A2の外周面から突設されていても良い。 【0038】 また、突設部本体A41は、軸方向dに対して略垂直方向に延びる主部A41aと、 主部A41aから、軸方向dに沿って、フック部A1が設けられている側(即ち下方)に突設された当接片A41bと、が設けられている。 なお、当接片A41bは、主部A41aにおける下面の先端側から、滑らかに突設されている。 【0039】 当接片A41bの端面sは、特に図1(c)に示すように、その略全面が後述する螺旋面B2に当接可能に構成された傾斜面である。 【0040】 突設部A4について、さらに詳述すれば、突設部A4には、その面方向が互いに略平行である、一対の対向する側面部m1と、その上端に設けられ、フック部A1に向かって窪んだ凹部m2と、が形成されている。 また、突設部A4は、当接片A41bにより、その下部に略逆U字状の溝が形成されており、この溝の両隅には内Rが形成されている。特に、延設部A42側の内Rは、接続作業時に、応力集中が発生する部分であるため、この応力集中を緩和するために、有効に働く。 【0041】 各側面部m1は、突設部A4の左右側面の略全域を形成しており、その面方向が軸方向dと略平行となるように構成されている。 なお、突設部A4の前後側面は、丸みを帯びている。 【0042】 凹部m2は、突設部本体A41及び延設部A42に亘って形成された、側面視で略U字状の溝である。 【0043】 図2に示すように、第二構成体Bは、軸部A2が挿通される挿通孔Hが形成され、軸部A2が挿通孔Hに挿通されることで、フック部A1と突設部A4との間に配置される筒状体B1と、筒状体B1の一端面(上面)を構成する螺旋面B2と、筒状体B1の下端面に連接された土台部B3と、を有している。 【0044】 筒状体B1は、軸部A2が挿通孔Hに挿通された状態で、軸方向d周りに回転可能に構成されている。 また、筒状体B1は、6つの側面を有することで、特に図2(d)に示すように、六角筒形状を呈している。 なお、筒状体B1の側面の数はこれに限られず、三角筒形状や四角筒状形状等を呈するように構成しても良い。 【0045】 螺旋面B2は、筒状体B1の上面且つその外周縁を構成する螺旋面本体B21と、螺旋面本体B21の内周に連接された補助螺旋面B22と、により構成されている。 【0046】 螺旋面本体B21は、当接片A41bの端面sに当接可能に構成されており、軸方向d周りの回転に沿って、突設部本体A41に近接していくように滑らかに傾斜(即ち上昇)している。 即ち、螺旋面本体B21は、特に図2(b)及び(c)に示すように、位置p1から位置p2に至るまで、図2(d)に示す矢印方向(反時計回りの方向)に沿って滑らかに上昇している。 なお、本実施形態では、螺旋面本体B21は、図2(d)に示す矢印方向(反時計回りの方向)に沿って、突設部本体A41に近接していくように滑らかに傾斜するように構成されているが、時計回りの方向に沿って傾斜するように構成しても良い。 【0047】 補助螺旋面B22は、平面視で略C字状を呈しており、特に図2(a)に示すように、螺旋面本体B21よりもやや下方に配置されることで、螺旋面本体B21と補助螺旋面B22とで、段付き形状となされている。 このようにすることで、上記した突設部A4の溝における延設部A42側の内Rが、接続作業時に螺旋面B2と干渉することを防ぐことができる。 また、補助螺旋面B22も、螺旋面本体B21と同様に、軸方向d周りの回転に沿って、突設部本体A41に近接していくように滑らかに傾斜している。 【0048】 挿通孔Hは、軸部A2に加え、突設部A4も挿通可能となるように、略円形状の挿通孔本体H1と、挿通孔本体H1から軸方向dと略垂直方向に延びる補助挿通孔H2とにより構成されることで、平面視で略鍵穴形状を呈している。 これにより、挿通孔本体H1には、軸部A2及び延設部A42が挿通され、補助挿通孔H2には、突設部本体A41が挿通されることとなる。 なお、図2(d)及び(e)において、挿通孔本体H1と補助挿通孔H2との境界を、仮想的に点線で示している。 【0049】 また、挿通孔Hは、例えば、補助挿通孔H2をさらに延ばすことで、筒状体B1の側面が開放された状態としつつ、その幅を挿通孔本体H1の直径と略同一とした構成としても良い。 このようにすることで、作業者は、軸部A2を、補助挿通孔H2から差し込むようにして、挿通孔本体H1に挿通された状態とすることができる。 【0050】 土台部B3は、筒状体B1の対角線長を直径とした略円盤状体として構成され、その一側面(下面)が面状体W1の上面に接触可能に構成されている。 また、土台部B3には、図2(e)に示すように、補助螺旋面B22と略同一の直径を有する、略C字状の窪みnが設けられており、面状体W1、W2を接続する際、落下防止部gが窪みnに格納された態様となる。 【0051】 以下、図3〜図9を用いて、接続部材Xの使用方法を説明する。 なお、図3〜図8においては、それぞれに貫通孔kが設けられた2枚の面状体W1、W2を接続対象として、これらを接続する例について説明する。 【0052】 まず、作業者は、面状体W1、W2について、それぞれの貫通孔kが連通するように積層した後、貫通孔kに、フック部A1から第一構成体Aを挿通することで、図3(a)から図3(b)に示す状態とする。 【0053】 上記作業により、軸部A2が、面状体W1、W2の厚さ方向(貫通孔kの貫通方向)に対して略垂直方向に配置され、フック部A1の先端が、面状体W2の下面に当接した状態となる。また、このとき、落下防止部gは、面状体W1の上面に当接する。 なお、図3は右側面図であり、面状体W1、W2を断面図で示している。 【0054】 次に、作業者は、第二構成体Bを第一構成体Aに被せるようにして、軸部A2(及び突設部A4)を挿通孔Hに挿通させることで、図4(a)から図4(b)及び(c)に示す状態とする。 【0055】 上記作業により、第二構成体B(土台部B3)は、面状体W1の上面に載置される。 なお、図4(a)及び(b)は右側面図であり、図4(a)は面状体W1、W2を、図4(a)は面状体W1、W2及び第二構成体Bを断面図で示している。 また、図4(c)は図4(b)における平面図であり、図4(b)の第二構成体Bの断面図は、図4(c)のPP´線に沿った断面図である。 【0056】 次に、作業者は、第二構成体Bを、軸部A2を中心に平面視で時計回りの方向に回転させることで、図6から図7に示す状態とする。 【0057】 このとき、作業者は、例えば、図5(a)示すように、スパナ等締結用の工具T1で各側面部m1を挟持する、或いは、図5(b)示すように、ドライバー等棒状体を有する工具T2を凹部m2に嵌め込む、といった手法により、第一構成体Aの供回りを防止しておく。 そして、作業者は、例えば、図5(c)示すように、スパナ等締結用の工具T3により、筒状体B1の側面を挟持することで、第二構成体Bを回転させる。 【0058】 上記作業により、螺旋面本体B21が、徐々に当接片A41bの端面sに近接していき、図7に示すように、螺旋面本体B21と端面とが当接する。 なお、図6(a)及び図7(a)は右側面図、図6(b)及び図7(b)は正面図であり、面状体W1、W2を断面図で示している。 【0059】 最後に、作業者は、工具T3により、第二構成体Bに対し、さらに時計回りの回転方向に力を加える(締め上げる)ことで、図7から図8に示す状態とする。 【0060】 上記作業により、螺旋面本体B21の傾斜でもって、端面sが螺旋面本体B21に圧着された状態で、第一構成体Aに上向きの力が発生する。 これにより、当接面A12が面状体W2の下面に強く押し付けられ、フック部A1と土台部B3とで面状体W1、W2を挟持する態様で、面状体W1、W2が接続される。 また、このとき、当接面A12の先端が、面状体W2から受ける反力によりやや変形し、部分的に、当接面A12の面方向と面状体W1、W2の面方向とが、略平行となる。 なお、図8(a)は右側面図、図8(b)は正面図であり、面状体W1、W2を断面図で示している。 【0061】 このように、本実施形態によれば、作業者は、第一構成体A及び第二構成体Bと面状体W1、W2との配置関係を保持しつつ、軸部A2に挿通させた筒状体B1を回転させることで、第一構成体A(フック部A1)と第二構成体Bとで面状体W1、W2を挟持する態様となり、面状体W1、W2を接続することができる。 【0062】 即ち、接続部材Xは、面状体W1、W2の接続にあたり、ねじ切り部分が不要であり、これに伴い、締結作業の労力の軽減による作業性の向上や、締結状態の安定性の向上を実現することが可能となる。 【0063】 また、当接片A41bにより、簡易な構成で、突設部本体A41と螺旋面B2との間隔を短くし、締結作業の労力をより軽減できる上、接続対象となる面状体W1、W2の厚さに合わせた設計変更を容易に行うことが可能となる。 【0064】 また、当接片A41bの端面sの略全面が螺旋面B2に当接可能に構成された傾斜面であることで、当接片A41bの端面sと螺旋面B2との間の摩擦力が上がり、締結状態の安定性が、より向上する。 【0065】 また、突設部本体A41が延設部A42に連接されていることで、突設部本体A41が、軸部A2の端部に配置されることとなり、フック部A1と突設部本体A41との間隔を適切に確保しつつ、第一構成体A全体をコンパクトに設計することが可能となる。 【0066】 また、突設部A4に一対の側面部m1が形成されていることで、作業者は、筒状体B1の回転動作時において、工具T1で各側面部m1を挟持することで、容易に第一構成体Aの供回りを防止することができ、作業性がより向上する。 【0067】 また、突設部A4に凹部m2が形成されていることで、作業者は、筒状体B1の回転動作時において、工具T2を凹部m2に嵌め込むことで、容易に第一構成体Aの供回りを防止することができ、作業性がより向上する。 【0068】 また、突設部本体A41がフック部A1と対向するように設けられていることで、フック部A1が面状体W1、W2から受ける反力が、軸方向dに沿った方向に近くなり、面状体W1、W2を挟持する力を効率的に付与できる上、接続部材Xを、貫通孔が形成されていない面状体同士の接続にも適用することが可能となる。 【0069】 また、筒状体B1が六角筒形状を呈していることで、作業者は、筒状体B1の回転動作時において、工具T3で、筒状体B1の側面を挟持し、容易に締結作業を行うことができ、作業性がより向上する。 【0070】 また、落下防止部gにより、貫通孔kが設けられた面状体W1、W2を接続する際、第一構成体Aが貫通孔kを介して必要以上に下方に移動(落下)することを防止することが可能となる。 これにより、自然に、軸部A2が所定の長さ分、貫通孔kの上方に突出している状態となり、筒状体B1の挿通作業や、その後の締結作業が容易となる。 【0071】 以上より、第一構成体A及び第二構成体Bが協働することで、面状体W1、W2が、容易な作業でもって、強固に接続される。 【0072】 なお、使用環境等によっては、第一構成体A及び第二構成体Bを上下反転させた状態、即ち、フック部A1が面状体W1の上面に当接し、土台部B3が面状体W2の下面に当接する態様で、面状体W1、W2が接続されても良い。 また、上記使用例では、面状体W1、W2の厚さ方向が鉛直方向であるように図示したが、作業者は、この厚さ方向がどのような方向であっても、接続部材Xを用いて、面状体W1、W2を接続することができる。 さらに、上記使用例では、それぞれに貫通孔kが設けられた2枚の面状体W1、W2を接続する例について説明したが、接続対象はこれに限られない。 【0073】 例えば、接続部材Xは、図9(a)に示すように、貫通孔kが設けられていない2枚の面状体W1´、W2´を接続することができる。 即ち、この場合、作業者は、軸部A2が、各面状体W1´、W2´の端面と対向する、或いは当接するように第一構成体Aを配置し、上記と同様の作業を行うことで、各面状体W1´、W2´を接続することができる。 【0074】 また、接続部材Xは、図9(b)に示すように、貫通孔kが設けられた面状体W1と、貫通孔kが設けられていない面状体W2´とを接続することができる。 即ち、この場合、作業者は、貫通孔kと面状体W2´の端面とを近接させた状態で、面状体W1、W2´を積層させておき、貫通孔kに第一構成体Aを挿通し、上記と同様の作業を行うことで、面状体W1、W2´を接続することができる。 【0075】 なお、上記実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。 【0076】 また、上記実施形態では、接続対象の面状体の数が2枚である例を示したが、3枚以上であっても良く、この場合、積層時の面状体全体の板厚に応じて、端面sから当接面A12までの距離や、落下防止部gの位置、筒状体B1の高さ等が、適宜設計変更され得る。 【0077】 さらに、上記実施形態では、接続対象の面状体が、平板状体である例を示したが、これに限られず、例えば、多角筒状の部材の一側面や、断面L字状の部材の一側面等であっても良く、接続部材Xは、このような種々の面状体同士を容易に接続することができる。 【符号の説明】 【0078】 X 接続部材 A 第一構成体 A1 フック部 A2 軸部 A3 屈曲部 A4 突設部 B 第二構成体 B1 筒状体 B2 螺旋面 H 挿通孔 W1、W2、W1´、W2´ 面状体 |
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