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機械器具
 
【考案の名称】スライドコア用ガイドユニット及びそれを用いた射出成形機
【実用新案権者】
【識別番号】508339736
【氏名又は名称】広沢 実
【住所又は居所】神奈川県相模原市相模台3丁目1−4
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100091694
【氏名又は名称】中村 守
【考案者】
【氏名】広沢 実
【住所又は居所】神奈川県相模原市相模台3丁目1−4
【要約】(修正有)
【課題】
スライドコアを案内するコアロッドと案内ロッドを同軸的に配置して省スペース化を図った射出成形機を提供する。
【解決手段】
スライドコア4を駆動するコアロッド5の内部に案内ロッド7を嵌挿し、コアロッド5と案内ロッド7とを同軸的に配置する。コアロッド5の上部は固定金型2に形成する傾斜孔6に挿入案内され、コアロッド5の下部は案内ロッド7によって案内され、このコアロッド5と案内ロッド7をガイドユニット10を介して射出成形機1に組み付ける。これにより、コアロッド5の傾斜角を大きく設定しても、コアロッド5に加わる応力が案内ロッド7に分散されるとともに、コアロッド5の近傍に案内ロッド7のための余分な取り付けスペースが不要となる。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形体のアンダーカット部を成形するスライドコアと、このスライドコアと可動プレートとの間に架設するとともに、前記可動プレートの移動方向に対して傾斜したコアロッドと、このコアロッドが貫通する傾斜孔を有する受部材と、固定部材に固定して前記コアロッドを案内する案内ロッドとを備え、前記案内ロッドをコアロッドの内側に配置して前記案内ロッドと前記傾斜孔とで前記コアロッドを案内するとともに、その案内ロッドを内装した前記コアロッドを前記可動プレートにスライド自在に取り付けるガイドユニットを設けたことを特徴とするスライドコア用ガイドユニット。
【請求項2】
前記ガイドユニットは前記コアロッドの下端部を支持して前記可動プレートにスライド自在に案内されるハウジングと、このハウジングの開口部から前記コアロッドの下端部に形成したネジ部に螺着して前記ハウジングと前記コアロッドを固定するナット部材と、前記コアロッドと係合するストッパと、このストッパの高さを調整するストッパ調整機構と、前記案内ロッドを貫通して前記ハウジングの開口部を塞ぐカバーとで構成したことを特徴とする請求項1記載のスライドコア用ガイドユニット。
【請求項3】
前記ストッパを前記ハウジングに上下動自在に位置決め保持するとともに、前記コアロッドの下部に前記ストッパと係合する切欠段部を形成し、前記ストッパ調整機構によって前記ストッパを前記切欠段部と係合するように前記ストッパの位置を調整可能としたことを特徴とする請求項2記載のスライドコア用ガイドユニット。
【請求項4】
前記コアロッドの内面に中空状の案内部を形成し、この案内部の内周面に前記案内ロッドを嵌合させて前記コアロッドを摺動案内したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のスライドコア用ガイドユニット。
【請求項5】
前記ガイドユニットに前記コアロッドを摺動案内する軸受部材を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のスライドコア用ガイドユニット。
【請求項6】
前記案内部内に配置される前記案内ロッドの外周面に螺旋状の溝部を設けたことを特徴とする請求項4記載のスライドコア用ガイドユニット。
【請求項7】
固定金型と可動金型の開閉方向に対して直交方向にスライドして樹脂成形体のアンダーカット部を成形するスライドコアと、このスライドコアと可動プレートとの間に架設するとともに、前記可動プレートの移動方向に対して傾斜したコアロッドと、このコアロッドを摺動案内する傾斜孔を有する受部材と、前記コアロッドと同傾斜の案内ロッドと、前記コアロッドを前記可動プレートにスライド自在に取り付けるガイドユニットとを備え、前記コアロッドの内側に前記案内ロッドを配置し、前記可動プレートの移動に連動して前記コアロッドを前記受部材の傾斜孔と前記案内ロッドに沿わせて摺動案内することによって前記アンダーカット部から前記スライドコアが抜けるようにスライドさせたことを特徴とするスライドコア用ガイドユニットを用いた射出成形機。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
本考案は、樹脂成形体のアンダーカット部を成形するスライドコアの移動を案内するために用いられるスライドコア用ガイドユニット及びそれを用いた射出成形機に関する。
【背景技術】
従来、射出成形機において樹脂成形体のアンダーカット部を成形する場合、固定金型と可動金型の開閉方向に対して直交方向にスライドするスライドコアによって樹脂成形体のアンダーカット部を成形している。このスライドコアを駆動する手段として例えば実用新案登録文献1に示すような傾斜したコアロッドが用いた射出成形機が開示されている。この射出成形機は、可動プレートの移動方向に対して傾斜する傾斜孔を受部材に形成し、この傾斜孔にコアロッドを摺動案内するとともに、コアロッドの一端をスライドコアに、他端を可動プレートにスライド自在に設けたガイドユニットに連結している。そして、可動プレートの移動によってガイドユニットを上昇させてコアロッドを押し上げることによって、コアロッドを傾斜孔に沿って摺動させ、スライドコアを斜め上方に押し上げることによってスライドコアが水平方向にスライドしてアンダーカット部から離れるように構成している。
【特許文献1】
特許第2523093号公報
【考案の開示】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1のような射出成形機は、コアロッドで駆動されるスライドコアのスライド移動量、すなわち、アンダーカット部の逃げ量は、可動プレートのストローク又はコアロッドの傾斜角によって決定される。そして、可動プレートのストロークを極力、少なく抑える場合、コアロッドの傾斜角を大きく設定せざるを得ない。しかし、コアロッドの傾斜角が大きいと、コアロッドに加わる破断力が大きくなるため、例えば図8に示すように、コアロッド100と同傾斜の案内ロッド101を並設し、コアロッド100に加わる破断力を案内ロッド101に分散させてコアロッド100に過度な応力(破断力など)が加わらないようにした射出成形機も知られている。このようなコアロッド100と案内ロッド101とを並設する射出成形機は、案内ロッド101の下部をガイドユニット102に形成する傾斜孔103に挿通案内し、案内ロッド101の上部を受部材として固定金型104に形成する受孔105に嵌合させて案内ロッド101の下端部を固定プレート106にボルト止めしている。そして、可動金型115を型開きした後、可動プレート107を図8において矢印a方向に移動させてガイドユニット102を上昇させてコアロッド100を押し上げると、コアロッド100が固定金型104に形成する傾斜孔109に沿って摺動し、スライドコア110を押し上げながら傾斜孔109と案内ロッド101に沿って図7において矢印b方向(水平方向)にスライドして樹脂成形体Hのアンダーカット部H1から離れる。
しかし、コアロッド100と並行して案内ロッド101を配置する構造では、コアロッド100の周囲に案内ロッド101の取り付けスペースが必要となり、金型のサイズが大型化するとともに、コアロッド100と案内ロッド101との平行度を保ったまま、案内ロッド101を金型装置に組み付けるための加工も必要となるため、射出成形機の製造工程も複雑となり、製造コストも上昇する。このように、コアロッド100と並行して案内ロッド101を配置する場合、案内ロッド101の取り付けスペースによって射出成形機の小型化が困難となるばかりでなく、案内ロッド101を金型装置に組み付けるための煩雑な加工が必要であるが、案内ロッド101単体でスライドコア110を案内し、かつ、射出成形機の小型化を図る場合には、前述したようなコアロッド100の傾斜角を大きく設定した場合、コアロッド100に破断力が集中してコアロッド100に過大な負荷がかかる、という課題を有していた。
本考案は、このような従来の課題に鑑み、スライドコアを備えた射出成形機の小型化を図るとともに、コアロッドに加わる破断力を効果的に分散してコアロッドを安定的に案内することが可能なスライドコア用ガイドユニット及びそれを用いた射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
請求項1のスライドコア用ガイドユニットは、樹脂成形体のアンダーカット部を成形するスライドコアと、このスライドコアと可動プレートとの間に架設するとともに、前記可動プレートの移動方向に対して傾斜したコアロッドと、このコアロッドが貫通する傾斜孔を有する受部材と、固定部材に固定して前記コアロッドを案内する案内ロッドとを備え、前記案内ロッドをコアロッドの内側に配置して前記案内ロッドと前記傾斜孔とで前記コアロッドを案内するとともに、その案内ロッドを内装した前記コアロッドを前記可動プレートにスライド自在に取り付けるガイドユニットを設けたことを特徴とする。
請求項1の構成により、スライドコアを駆動するコアロッドは、コアロッドの内部に配置した案内ロッドによってコアロッドの下部が案内され、コアロッドの上部は受部材に形成する傾斜孔に挿入案内されるから、コアロッドの傾斜角を大きく設定しても、コアロッドに応力が集中することなく、案内ロッドへと分散される。
請求項2のスライドコア用ガイドユニットは、前記ガイドユニットは前記コアロッドの下端部を支持して前記可動プレートにスライド自在に案内されるハウジングと、このハウジングの開口部から前記コアロッドの下端部に形成したネジ部に螺着して前記ハウジングと前記コアロッドを固定するナット部材と、前記コアロッドと係合するストッパと、このストッパの高さを調整するストッパ調整機構と、前記案内ロッドを貫通して前記ハウジングの開口部を塞ぐカバーとで構成したことを特徴とする。
請求項2の構成により、スライドコアに連結したコアロッドの下端部をハウジングに通した後、ハウジングの開口部からコアロッドの下端部にナット部材をねじ込んでコアロッドを仮止めした後、ハウジングに組み付けたストッパをコアロッドと係合させ、ストッパ調整機構によってストッパの高さを調整することによってストッパをコアロッドに係合させてコアロッドを廻り止めする。この後、ナット部材を締め付けてハウジングとコアロッドとを固定する。そして、カバーの貫通孔からコアロッドの案内溝に案内ロッドを貫挿させてカバーでハウジングの開口部を塞いでハウジングを密閉した後、案内ロッドの下端を固定部材に固定することによって、コアロッドと案内ロッドがガイドユニットを介して射出成形機に固定される。
請求項3のスライドコア用ガイドユニットは、前記ストッパを前記ハウジングに上下動自在に位置決め保持するとともに、前記コアロッドの下部に前記ストッパと係合する切欠段部を形成し、前記ストッパ調整機構によって前記ストッパを前記切欠段部と係合するように前記ストッパの位置を調整可能としたことを特徴とする。
請求項3の構成により、ストッパ調整機構でストッパの高さを調整することによりコアロッドに形成する切欠段部にストッパが係合する。
請求項4のスライドコア用ガイドユニットは、前記コアロッドの内面に中空状の案内部を形成し、この案内部の内周面に前記案内ロッドを嵌合させて前記コアロッドを摺動案内した特徴とする。
請求項4の構成により、スライドコアを駆動するコアロッドは、可動プレートの上昇動作と連動してガイドユニットを介して押し上げられる。この時、コアロッドはコアロッドの案内部に沿って摺動案内される案内ロッドと受部材に形成する傾斜孔に沿って傾斜して上昇する。
請求項5のスライドコア用ガイドユニットは、前記ガイドユニットに前記コアロッドを摺動案内する軸受部材を設けたことを特徴とする。
請求項5の構成により、スライドコアを駆動するコアロッドは、可動プレートの上昇動作と連動してガイドユニットを介して押し上げられる。この時、コアロッドはガイドユニットに設けた軸受部材と受部材に形成する傾斜孔に沿って傾斜して上昇する。
請求項6のスライドコア用ガイドユニットは、前記案内部内に配置される前記案内ロッドの外周面に螺旋状の溝部を設けたことを特徴とする。
請求項6の構成により、案内部の内外が案内ロッドの外周面に設けた螺旋状の溝部によって連通する。
請求項7のスライドコア用ガイドユニットを用いた射出成形機は、固定金型と可動金型の開閉方向に対して直交方向にスライドして樹脂成形体のアンダーカット部を成形するスライドコアと、このスライドコアと可動プレートとの間に架設するとともに、前記可動プレートの移動方向に対して傾斜したコアロッドと、このコアロッドを摺動案内する傾斜孔を有する受部材と、前記コアロッドと同傾斜の案内ロッドと、前記コアロッドを前記可動プレートにスライド自在に取り付けるガイドユニットとを備え、前記コアロッドの内側に前記案内ロッドを配置し、前記可動プレートの移動に連動して前記コアロッドを前記受部材の傾斜孔と前記案内ロッドに沿わせて摺動案内することによって前記アンダーカット部から前記スライドコアが抜けるようにスライドさせたことを特徴とする。
請求項7の構成により、固定金型、可動金型、スライドコアを型閉めし、キャビティに溶融樹脂を射出し、そのキャビティの溶融樹脂を冷却固化させた後、可動金型を型開きし、突出機構によって可動プレートを上昇させる。この可動プレートの上昇により、ガイドユニットを介してコアロッドを押し上げられる。この時、スライドコアを駆動するコアロッドは、コアロッドの内部に配置した案内ロッドと受部材に形成する傾斜孔に沿って傾斜して上昇し、コアロッドに連結したコアロッドスライドコアが水平移動することによって樹脂成形体のアンダーカット部からスライドコアから抜け出る。
【考案の効果】
請求項1のスライドコア用ガイドユニットによれば、樹脂成形体のアンダーカット部を成形するスライドコアと、このスライドコアと可動プレートとの間に架設するとともに、前記可動プレートの移動方向に対して傾斜したコアロッドと、このコアロッドが貫通する傾斜孔を有する受部材と、固定部材に固定して前記コアロッドを案内する案内ロッドとを備え、前記案内ロッドをコアロッドの内側に配置して前記案内ロッドと前記傾斜孔とで前記コアロッドを案内するとともに、その案内ロッドを内装した前記コアロッドを前記可動プレートにスライド自在に取り付けるガイドユニットを設けたものであるから、コアロッドの傾斜角を大きく設定しても、コアロッドに加わる応力が案内ロッドへと効果的に分散されるとともに、案内ロッドのための余分な取り付けスペースが不要となり、省スペース化を図ることができる。
請求項2のスライドコア用ガイドユニットによれば、前記ガイドユニットは前記コアロッドの下端部を支持して前記可動プレートにスライド自在に案内されるハウジングと、このハウジングの開口部から前記コアロッドの下端部に形成したネジ部に螺着して前記ハウジングと前記コアロッドを固定するナット部材と、前記コアロッドと係合するストッパと、このストッパの高さを調整するストッパ調整機構と、前記案内ロッドを貫通して前記ハウジングの開口部を塞ぐカバーとで構成したものであるから、既存の射出成形機にもガイドユニットによるコアロッドと案内ロッドの組み付けが可能となり、汎用性に優れる。
請求項3のスライドコア用ガイドユニットによれば、前記ストッパを前記ハウジングに上下動自在に位置決め保持するとともに、前記コアロッドの下部に前記ストッパと係合する切欠段部を形成し、前記ストッパ調整機構によって前記ストッパを前記切欠段部と係合するように前記ストッパの位置を調整可能としたものであるから、スライドコアとガイドユニットとの間に架設したコアロッドの長さに組付誤差が生じても、ハウジングに組み付けたストッパをストッパ調整機構によって上下方向に調整させてストッパをコアロッドの切欠段部に確実に係合させることができるからスライドコアとガイドユニットとの間に架設したコアロッドの長さを簡単に調整することができる。
請求項4のスライドコア用ガイドユニットによれば、前記コアロッドの内面に中空状の案内部を形成し、この案内部の内周面に前記案内ロッドを嵌合させて前記コアロッドを摺動案内したものであるから、スライドコアを駆動するコアロッドを案内部によって安定的に摺動案内することができる。
請求項5のスライドコア用ガイドユニットによれば、前記ガイドユニットに前記コアロッドを摺動案内する軸受部材を設けたものであるから、スライドコアを駆動するコアロッドの下部を軸受部材によって安定的に摺動案内することができる。
請求項6のスライドコア用ガイドユニットによれば、前記案内部内に配置される前記案内ロッドの外周面に螺旋状の溝部を設けたものであるから、案内部の内外が案内ロッドの外周面に設けた螺旋状の溝部によって連通し、案内部に沿って案内ロッドを摺動させる際、案内部内が負圧になることなく、案内ロッドの動作を安定化することができる。
請求項7のスライドコア用ガイドユニットを用いた射出成形機は、固定金型と可動金型の開閉方向に対して直交方向にスライドして樹脂成形体のアンダーカット部を成形するスライドコアと、このスライドコアと可動プレートとの間に架設するとともに、前記可動プレートの移動方向に対して傾斜したコアロッドと、このコアロッドを摺動案内する傾斜孔を有する受部材と、前記コアロッドと同傾斜の案内ロッドと、前記コアロッドを前記可動プレートにスライド自在に取り付けるガイドユニットとを備え、前記コアロッドの内側に前記案内ロッドを配置し、前記可動プレートの移動に連動して前記コアロッドを前記受部材の傾斜孔と前記案内ロッドに沿わせて摺動案内することによって前記アンダーカット部から前記スライドコアが抜けるようにスライドさせたものであるから、可動プレートを上昇させてガイドユニットを介してコアロッドを押し上げる際、スライドコアを駆動するコアロッドをコアロッドの内部に配置した案内ロッドと受部材に形成する傾斜孔に沿って安定して案内することができ、コアロッドの傾斜角を大きく設定しても、コアロッドに加わる応力が案内ロッドへと効果的に分散されるとともに、コアロッドの周囲に案内ロッドを取り付けるための余分なスペースが不要となり、射出成形機の小型化も可能である。さらに、射出成形機に案内ロッドを案内するための傾斜孔を加工するといった煩わしい加工も必要ないから、射出成形機の加工も容易となり、射出成形機の製造コスト削減も可能となる。
【考案を実施するための最良の形態】
以下、本考案の実施例1を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本考案の実施例1を示す射出成形機の要部断面図、図2はガイドユニットの拡大断面図、図3は図2のA-A線断面図、図4は図3のB-B線断面図、図5は型開状態を示す射出成形機の要部断面図である。
【実施例1】
図1に示すように、射出成形金型1は、固定金型2、可動金型3、スライドコア4を備え、固定金型2、可動金型3、スライドコア4によってアンダーカット部H1を有する樹脂成形体Hのキャビティを形成する。なお、本実施例ではコアロッド5を支持する受部材は固定金型2で構成され、この固定金型2に形成した傾斜孔6の段部6aに軸受2aを圧入し、この軸受2aによってコアロッド5を摺動案内している。また、前記コアロッド5の上端部はスライドコア4に枢着され、コアロッド5の下部はガイドユニット10に支持される。また、前記コアロッド5は内部に案内ロッド7を摺動案内する案内部たる案内溝8を有して中空状に形成され、前記案内ロッド7の上部をコアロッド5の案内溝8に挿入し、案内ロッド7の下端を固定部材たる固定プレート9に固定している。
次に図2〜図4を参照してガイドユニット10の構成について説明する。ガイドユニット10は、箱型のハウジング11と、前記コアロッド5の下端部に形成したネジ部5aに螺着して前記ハウジング11とコアロッド5とを固定する有底筒型のナット部材12と、前記コアロッド5と係合するストッパ13と、このストッパ13の高さを調整するストッパ調整機構たる調整ボルト14と、前記ハウジング11の開口部11aを塞ぐカバー15を主要構成部品としている。
また、前記ハウジング11は一側面に開口した有底箱型であり、両側面に可動プレート20に設けた左右一対の案内プレート21のガイド溝22に挿入する一対の軸受材23を有している。このハウジング11は、底面側を図示上側に向けてハウジング11の底部に形成する貫通孔16から前記コアロッド5の下端部を挿入し、ハウジング11の開口部11aからコアロッド5の下端部に形成するネジ部5aにナット部材12をねじ込んでハウジング11とコアロッド5とを連結する。また、ハウジング11の底面には矩形状の凹部17が形成され、この凹部17内に前記ストッパ13を嵌合させて位置決めするとともに、凹部17内においてストッパ13が上下動自在に収納される。また、凹部17で位置決め保持されるストッパ13は前記コアロッド5の下端部に形成した切欠段部18と係合してコアロッド5を廻り止め保持するとともに、ハウジング11を貫通した前記調整ボルト14が前記ストッパ13に螺着されており、調整ボルト14の締め付け量によってストッパ13を上下動させてストッパ13の高さ調整を可能とする。また、前記ナット部材12の底部には六角孔12aが形成され、この六角孔12aに図示しない工具を嵌合させてナット部材12を締め付けてハウジング11にコアロッド5を固定する。また、前記調整ボルト14を覆うカバー15aが前記カバー15と分割して形成され、大きいカバー15でナット部材12を覆い、分割した小さなカバー15aで調整ボルト14を覆ってそれぞれの各カバー15,15aをボルト25でハウジング11に固定している。また、前記コアロッド5の案内溝8に挿入した案内ロッド7は、前記カバー15に形成した貫通孔26を貫通して案内ロッド7の下端が取付ブロック30を介して前記固定プレート9にボルト9aによって固定されている。また、案内ロッド7の外周面には螺旋状の溝部27が形成され、この溝部27によって案内溝8の内外を連通している。
以上のように構成される本考案の組付手順について説明すると、スライドコア4に連結したコアロッド5の下端部をハウジング11の貫通孔16に通した後、ハウジング11の開口部11aからコアロッド5の下端部に形成するネジ部5aにナット部材12をねじ込んでハウジング11とコアロッド5とを仮止めした後、ハウジング11に組み付けたストッパ13をコアロッド5の下端部に形成した切欠段部18と係合させる。この後、ハウジング11の両側に形成する軸受材23を可動プレート20に設けた左右一対の案内プレート21のガイド溝22に挿入してハウジング11を介して可動プレート20とスライドコア4との間にコアロッド5を架設する。この状態でスライドコア4と可動プレート20と長さに多少の誤差が生じた場合、ストッパ13に螺着した調整ボルト14を回して調整ボルト14のねじ込み量によってストッパ13を上下方向に位置調整して、ストッパ13をコアロッド5の下端部に形成した切欠段部18に突き当てる。これにより、スライドコア4に連結したコアロッド5と可動プレート20に組み付けたハウジング11との距離に多少のバラツキが生じたとして、ストッパ13の位置を調整することによってコアロッド5の長さを調整してコアロッド5の取付誤差を吸収できる。このようして、可動プレート20とスライドコア4との間にコアロッド5を架設した後、ハウジング11の開口部11aからナット部材12の底面に形成する六角孔12aに図示しない工具を係合させてナット部材12を締め付けてコアロッド5のネジ部5aに仮止したナット部材12をねじ込んでハウジング11とコアロッド5とを固定した後、ハウジング11の開口部11aをカバー15とカバー15aで覆って各カバー15,15aをボルト25によってハウジング11に固定する。この後、カバー15の貫通孔26からコアロッド5の案内溝8に案内ロッド7を貫挿させ、案内ロッド7の下端を取付ブロック30にボルト9aによって固定した後、取付ブロック30をボルト9aによって固定プレート9を固定することによってコアロッド5と案内ロッド7の組付作業が完了する。
次に本考案の射出成形金型1の動作について説明する。まず、図1に示すように、固定金型2、可動金型3、スライドコア4を型閉めし、これら固定金型2、可動金型3、スライドコア4のキャビティに溶融樹脂を射出し、一定時間圧力を保ちながら樹脂成形体Hを冷却固化させて型開きする。すなわち、図5に示すように、可動金型3(図示せず)を図示上昇させた後、図示しない突出機構によって可動プレート20を上昇させ、可動プレート20により、ガイドユニット10を上昇させてコアロッド5を押し上げるとともに、突出機構によって図示しないエジェクトピンを上昇させる。この可動プレート20の上昇によって傾斜したコアロッド5によってガイドユニット10が案内プレート21のガイド溝22に沿ってスライドするとともに、コアロッド5の先端に連結したスライドコア4が傾斜したコアロッド5によって図5において図示右方向に水平移動し、最終的に樹脂成形体Hのアンダーカット部H1から抜け出るとともに、エジェクトピンによって固定金型2から樹脂成形体Hを離型させる。
以上のように構成される本実施例は、スライドコア4を駆動するコアロッド5は、内部に嵌挿した案内ロッド7によってコアロッド5の下部が案内され、コアロッド5の上部は固定金型2に形成する傾斜孔6に挿入案内されるから、コアロッド5の傾斜角を大きく設定しても、コアロッド5に応力が集中することなく、案内ロッド7に効果的に分散できるとともに、案内ロッド7とコアロッド5とを同軸的に配置することによって、案内ロッド7のための余分な取り付けスペースが不要となり、射出成形機1の小型化も可能である。しかも、コアロッド5に案内ロッド7を内蔵することで、コアロッド5を加工すれば射出成形機1の構成部品に案内ロッド7を案内する傾斜孔を加工する必要もないから、射出成形機1の加工も容易であるとともに、製造工程も簡略化できるので製造コストも安価に抑えられる。また、射出成形機1の固定プレート9に案内ロッド7を固定する取付ブロック30を固定する加工を行うだけで既存の射出成形機1にもガイドユニット10によるコアロッド5と案内ロッド7の組み付けが可能となり、汎用性に優れ、加えて、ガイドユニット10によるコアロッド5の組み付けもハウジング10の開口部11aからコアロッド5の組み付け及びストッパ13によるコアロッド5の長さを調整が可能である。しかも、ハウジング11の開口部11aを覆うカバー15とカバー15aを外すことによって、ストッパ13によるコアロッド5の長さを調整も可能であるから、メンテナンス性にも優れる。さらには、コアロッド5に形成する案内溝8に案内ロッド7を嵌挿する構造であるから、省スペースを図りながらもコアロッド5の剛性を高めることができるとともに、案内ロッド7の外周面に案内溝8の内部と外部と連通する螺旋状の溝部27を形成することによって、案内溝8に沿って案内ロッド7を摺動させる際、案内溝8の内部が負圧になって案内ロッド7の動作が不安定となる心配もない。
【実施例2】
図6は本考案の実施例2を示し、前記実施例1と同一機能を有する部分には、同一符号を付し、重複する部分の説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
前記実施例1においては、コアロッド5に案内ロッド7を摺動案内する案内溝8を形成した例を示したが、実施例2においてはコアロッド5に螺着するナット部材50を利用して案内ロッド7を摺動案内する軸受部材としている。すなわち、本実施例においては、コアロッド5に案内ロッド7より径大な挿通部55を形成し、コアロッド5に螺着するナット部材50の底部に案内ロッド7を摺動案内する案内孔52を形成している。なお、ナット部材50の底部には前記実施例1と同様、工具(図示せず)と嵌合する六角孔部12aを有する筒部51を形成し、六角孔部12aに工具を係合させてナット部材50を締め付けている。
以上のように構成される本実施例では、前記実施例1と同様、スライドコア4に連結したコアロッド5の下端部をハウジング11の貫通孔16に通した後、ハウジング11の開口部11aからコアロッド5の下端部に形成するネジ部5aにナット部材50をねじ込んでハウジング11とコアロッド5とを仮止めするとともに、ストッパ13に螺着した調整ボルト14を回してコアロッド5の長さを調整した後、ハウジング11の開口部11aからナット部材50の底面に形成する六角孔部12aに図示しない工具を係合させてナット部材50を締め付けてハウジング11とコアロッド5とを固定し、最終的にハウジング11の開口部11aをカバー15とカバー15aとで塞ぐ。そして、コアロッド5に螺着したナット部材50の案内孔52で案内ロッド7を摺動案内することにより、案内ロッド7とコアロッド5とを同軸的に配置して省スペース化を図るとともに、製造工程を簡略化して製造コストを低減させ、かつ、既存の射出成形機1にも同軸的に配したコアロッド5と案内ロッド7とを簡単に組み付けることが可能である。また、本実施例においては、コアロッド5に案内ロッド7より径大な挿通孔55を形成することによって、実施例1で示す案内ロッド7の螺旋状の溝部27が不要となり、案内ロッド7の製造加工も容易となる。
以上、本考案の実施例について詳述したが、本考案は前記各実施例に限定されるものではなく、本考案の要旨の範囲内で種々の変形実施例が可能である。例えば、前記実施例では、コアロッド5に螺着するナット部材50を利用して案内ロッド7を摺動案内する軸受部材とした例を示したが、ハウジング11の開口部11aを塞ぐカバー15にナット部材50を摺動案内する孔部を形成してコアロッド5の軸受部材として利用することも可能であり、また、これらのガイドユニット10の構成部材を軸受部材として兼用することなく、軸受けメタルなどの軸受部材を別部品で設け、その軸受部材カバー15などに装着して案内ロッド7を摺動案内する構造であってもよい。さらに、スライドコア4を案内するコアロッド5の中心の案内ロッド7を配してコアロッド5と案内ロッド7とを同軸的に配置した例を示したが、必ずしも案内ロッド7の中心にコアロッド5を配置する必要はない。また、ガイドユニット10の構成部品個々の形状や取り付け構造あるいはストッパ調整機構の構成といったガイドユニット10の基本的構成なども前記実施例に限定されるものではなく、適宜選定すればよい。また、コアロッド5に螺着したナット部材50の案内孔52で案内ロッド7を摺動案内する前記実施例2において、ナット部材50の底面に形成する六角孔部12aを設け、この六角孔部12aに工具を係合させてナット部材50を締め付けた例を示したが、図7に示す実施例3に示すように、ナット部材50の下端部をハウジング11から突出させ、その下端部外周面に六角形状のナット部60を形成し、このナット部60を工具と係合させてナット部材50を締め付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例1を示す射出成形機の要部断面図である。
【図2】同上、ガイドユニットの拡大断面図である。
【図3】同上、図2のA-A線断面図である。
【図4】同上、図3のB-B線断面図である。
【図5】同上、型開状態を示す射出成形機の要部断面図である。
【図6】本考案の実施例2を示すガイドユニットの拡大断面図である。
【図7】本考案の実施例2を示すガイドユニットの拡大断面図である。
【図8】従来の射出成形機の要部断面図である。
【符号の説明】
1 射出成形金型
2 固定金型(受部材)
3 可動金型
4 スライドコア
5 コアロッド
5a ネジ部
6 傾斜孔
7 案内ロッド
8 案内溝(案内部)
9 固定プレート(固定部材)
10 ガイドユニット
11 ハウジング
11a 開口部
12 ナット部材
13 ストッパ
14 調整ボルト(ストッパ調整機構)
15,15a カバー
18 切欠段部
27 溝部
50 ナット部材(軸受部材)
H 樹脂成形体
H1 アンダーカット部
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
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