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機械器具
 
【考案の名称】時計機構
【実用新案権者】
【識別番号】714004686
【氏名又は名称】宮澤 昭安
【住所又は居所】愛知県豊田市保見ケ丘2丁目169番地
【考案者】
【氏名】宮澤 昭安
【住所又は居所】豊田市保見ケ丘2丁目169番
【要約】   (修正有)
【課題】1時間毎の時刻を示す時刻表示盤と60分毎に零復帰するアナログ分針を備える掛け時計の簡便な機構を提供する。
【解決手段】60分に1回転する駆動歯車7より従動歯車10を回動し、従動歯車の回転をクラッチ11を介して分針13を回動させてアナログ表示する第一の手段と、駆動歯車に同軸固着した螺旋カム8と、螺旋カムに当接される搖動アーム15の変位により60分に一回、クラッチを作動させて分針を零復帰させる第二の手段と、搖動アームの搖動変位に連係した時刻表示盤2を1時間進める第三の手段から成る。
【選択図】図3
選択図
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
ムーブメントの動力源によって60分に1回転する駆動歯車と、連動する従動歯車と、同軸回転するクラッチの爪を介して、分針戻しばねの反力に抗して分針を定量回動させる第一の手段と、前記駆動歯車に同軸固着した螺旋カムと、螺旋カムに当接される搖動アームと、搖動アームの搖動変位に連動して60分に一回、前記クラッチの爪と駆動歯車に配設した突起との係合を解除して、分針戻しばねの反力によりクラッチと一体に分針を零復帰する第二の手段と、前記搖動アームの搖動変位に連係して爪車の1歯を送り同軸固着した時刻表示盤を1時間進める第三の手段とから成ることを特徴とする時計機構。
【請求項2】
前記駆動歯車と従動歯車の回転比を1/2ないし1/3とし、従動歯車と、クラッチと、分針は分針の回転軸を中心に同体で回動するようにして、前記分針の回転軸を中心に単独で回転する従動歯車に対向角度180°ないし120°に配設した突起にクラッチの爪を当設させて、従動歯車とクラッチを同体で回動するようにした請求項1の時計機構。
【請求項3】
前記従動歯車が回転し、分針指示が60分を経過直後に螺旋カムの最頂部から最底部に向かって変位するようにして、クラッチの爪が搖動アームで押されて従動歯車の最初の突起から外れ、分針戻しばねの反力で反時計方向に180°ないし120°回転した位置に配設した従動歯車の次の突起に係止されるようにして、駆動歯車が一回転する毎に、従動歯車の次の突起に順次当接しながら回動し、分指示0分から60分を回転角度180°ないし120°でアナログ表示を繰り返すようにした請求項1の時計機構。
【請求項4】
前記搖動アームが螺旋カムに当接しながら螺旋カム最頂部から螺旋カム最底部に向かって変位する動作過程で、搖動アームに回動支持された送り爪で爪車を時計方向に回転させ、爪車の1歯分を送り、同軸固着する時刻表示盤を1時間分だけ進めるようにした請求項1の時計機構。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、1時間毎の時刻を示す時刻表示盤と60分毎に零復帰するアナログ分針を備える掛け時計の機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1時間毎の時刻を示す時刻表示盤と60分毎に零復帰するアナログ分針とを備える時計が開示されている。これによると毎時1回転する回転制御部材の動作に支配される傾動部材と、この傾動部材を戻しバネの戻し動作によって分針を零復帰するように配置され、その戻り動作の時、時刻を示す星形歯車を1時間だけ進めるようにしたものが開発されている(特許文献1)。
【0003】
従来技術は、回転駆動源の回転に直結する螺旋状カムの回転を傾動部材で搖動運動に変換し、ラックとピニオンで回転運動に再変換して分針を定量回動させる構成と、前記傾動部材の搖動運動により時刻を示す星形歯車を1時間だけ進める構成で実現している。
【0004】
この構成において、従来技術は腕時計を意識したものであり、共通部材である傾動部材の安定動作と、特に外的衝撃から機構のイレギュラーな誤作動を防ぐロック機構とを連携させるために多くの部品を必要としていた。
【0005】
しかしながら、特許文献1のような構成は、外的衝撃から機構の誤作動を防ぐロック機構との兼ね合いで、適切に作動するように設計されたものであって、零復帰するアナログ分針に係る構成はこのモデル限りのものである。
【0006】
また、特許文献1のように螺旋状カム、傾動部材、ピニオンが介在する構成では、ロック機構を含めた周辺部品は高精度で細かい形状になりがちであることから構造が複雑でコスト高になりやすい。
【0007】
よって、掛け時計など大型で耐衝撃性をあまり必要としないものに適用するには経済的に難がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4040714号公報(図1、図4、図5、図6)
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0009】
本考案の目的は、1時間毎の時刻を示す時刻表示盤と60分毎に零復帰するアナログ分針を備えた掛け時計などに適用できる簡便な機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ムーブメントの動力源によって60分に1回転する駆動歯車と連動する従動歯車と同軸回転するクラッチの爪を介して、分針戻しばねの反力に抗して分針を定量回動させる第一の手段と、前記駆動歯車に同軸固着した螺旋カムと、螺旋カムに当接される搖動アームと、搖動アームの搖動変位に連動して60分に一回、前記クラッチの爪と駆動歯車に配設した突起との係合を解除して、分針戻しばねの反力によりクラッチと一体に分針を零復帰する第二の手段と、前記搖動アームの搖動変位に連係して爪車の1歯を送り同軸固着した時刻表示盤を1時間進める第三の手段とから成ることを特徴とする時計機構。
【0011】
前記第一の手段は、駆動歯車と従動歯車の回転比を1/2ないし1/3とし、従動歯車と、クラッチと、分針は分針の回転軸を中心に同体で回動するようにして、前記分針の回転軸を中心に単独で回転する従動歯車に対向角度180°ないし120°に配設した突起にクラッチの爪を当設させて、従動歯車とクラッチを同体で回動するようにした。
【0012】
前記第二の手段は、従動歯車が回転し、分針指示が60分を経過直後に螺旋カムの最頂部から最底部に向かって変位するようにして、クラッチの爪は搖動アームに押されて従動歯車の最初の突起から外れ、分針戻しばねの反力で反時計方向に180°ないし120°回転した位置に配設した従動歯車の次の突起に係止されるようにして、駆動歯車が一回転する毎に、従動歯車の次の突起に順次当接しながら回動し、分指示0分から60分を回転角度180°ないし120°でアナログ表示を繰り返すようにした。
【0013】
前記第三の手段は、搖動アームが螺旋カムに当接しながら螺旋カム最頂部から螺旋カム最底部に向かって変位する動作の過程で、搖動アームに回動支持された送り爪で爪車を時計方向に回転させ、爪車の1歯分を送り、同軸固着する時刻表示盤を1時間分だけ進めるようにした。
【考案の効果】
【0014】
本考案によれば、特許文献1のように動力源である螺旋状カムの回転を一旦搖動運動に変換後、再び回転運動に変換する必要はなく、動力源の回転をそのまま駆動歯車、中間歯車、従動歯車、クラッチを介して分針に伝達するため、少ない部品で簡易な構造とすることができるので経済的効果が大きい。
【0015】
本考案によれば、特許文献1のように、特に腕時計など外的衝撃から機構のイレギュラーな誤作動を防ぐ高精度で複雑なロック機構を必要としないので低コスト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態1の時計表側外観図である。
【図2】時刻表示盤2の表側外観図である。
【図3】本実施形態1の内部構造詳細図である。
【図4】分針戻しばね7の拡大詳細図である。
【図5】図3の断面X-Xを示す図である。
【図6】図5の部分断面Y-Yを示す図である。
【図7】本実施形態1の分針60分指示直前の状態を示す図である。
【図8】図7の部分断面Z-Zを示す図である。
【図9】本実施形態1の分針60分指示直後の状態を示す図である。
【図10】分針60分指示後、零復帰した状態を示す図である。
【図11】本実施形態2の従動歯車とクラッチの特徴部分を示す詳細図である。
【図12】本実施形態2の時計表側外観図である。
【考案を実施するための形態】
【0017】
以下、本考案の第1実施形態を図面に基づき説明する。
なお、第2実施形態の説明において、以下に説明する第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略化する。
【0018】
本考案第1の実施の形態に係る時計は、掛け時計の形態に構成されており、図1においてケース1を備えている。ケース1の裏面には、現在時刻を表示する時刻表示盤2を備え、ケース1に開けられた窓3から視認できるとともに、当該時刻の分表示0分から60分を回転角度180°でアナログ表示する分針13が配設されている。
【0019】
図3、図5において、ケース1の内部にはスタッド4で締結されるベース板5に、60分に一回転する駆動軸6aを貫通するように配設されるムーブメント6と、その駆動軸6aには駆動歯車7と螺旋カム8が同軸固着され、駆動歯車7の回転を中間歯車9を介して駆動する従動歯車10と、この従動歯車10の回転を分針に伝達するクラッチ11が配設されている。
【0020】
ここで、駆動歯車7と従動歯車10の回転比を1/2として、ムーブメントの駆動軸6aが時計方向に一回転すると、従動歯車10は中間歯車9を介して時計方向に180°回転するように配設されている。
【0021】
前記クラッチ11は、分針戻しばね12、分針13と一体に分針回転軸14を中心に回動するよう固着され、分針回転軸14を中心に単独で回転する従動歯車の第一の突起10aに当接しており、分指示0分から60分を回動する間、分針戻しばね12(図4)の反力に抗して時計方向に回動するよう配設されている
【0022】
前記搖動アーム15は、螺旋カム8に当接させた状態に付勢する揺動アーム戻しばね20により螺旋カム8に当接され、軸15aを回転軸に搖動するように配設し、揺動アーム端15cと螺旋カム8の当接位置は分針指示が0分のとき螺旋カム最底部8a、分針指示が60分直前の時、螺旋カム最頂部8bになる位置関係に配設されている。
【0023】
つまり、搖動アーム15は、駆動歯車7が時計方向に回転し、分針指示が60分を経過直後に螺旋カムの最頂部8bから最底部8aに向かって変位する際、(図9)搖動アーム端15bでクラッチの爪11aが押され、爪11aは従動歯車の第一の突起10aから離脱し、分針戻しばね12の反力により反時計方向に180°回転した位置に配設した従動歯車の第二の突起10bに係止される結果、分針13が零復帰するように配設されている。(図10)なお、クラッチ11の一部を構成するクラッチの爪11a部は弾性変形して撓むようにして、従動歯車の第一の突起10aないし10bによる係止と離脱の繰返し変位に十分な寿命耐性を有する例えば可撓性樹脂などで構成される。
【0024】
前記分針13が零復帰する動作に同期して、搖動アーム15に回動支持され、爪押圧ばね19で爪車17に当接させた状態に付勢された送り爪16で爪車17を時計方向に回動し、送り爪16がストッパー22に当接する間、爪車の1歯分を送り、同軸固着する時刻表示盤2を1時間分だけ進めるようにしている。(図9
【0025】
なお、分針13が0分から60分の間、搖動アーム15は螺旋カム8の最底部8aから最頂部8bに向かって漸次変位する動作過程において、送り爪16が爪車17の歯斜面を滑る際、摩擦で爪車17を反時計方向に逆転させようとする力が働くが、これを阻止するためと、爪車17の定位置を保持する目的で爪車の歯底17aを押圧する状態に付勢するディテントばね18が配設されている。(図7)
【0026】
以下、分針指示0分からの詳細動作を時間経過に合わせ説明する。螺旋カム8が時計方向に回転を始めると、搖動アーム端15cは螺旋カム8の最底部8aからカム面に当接しながら最頂部8bに向かって移動し、搖動アーム15が時計方向に回動する。(図3)
【0027】
同時に、従動歯車10も時計方向に回転するが、従動歯車の第一の突起10aはクラッチの爪11aに当接しているため、クラッチ11は従動歯車10と同体となって時計方向に回転する。(図3)
【0028】
更に時間経過とともに駆動歯車7が回転を続け、分針が60分を指示する直前の状態になると、搖動アーム端15cは螺旋カム8の最頂部8b直近に、同時に搖動アーム端15bはクラッチの爪11aを押す直前に来る。(図7)
【0029】
さらに、駆動歯車7が回転し、分針が60分を指示した直後、搖動アームの部位15cは螺旋カム8の最頂部8bから最底部8aに変位する。(図9)
【0030】
この瞬間に、搖動アーム端15bでクラッチの爪11aが押されて従動歯車の第一の突起10aから離脱し、クラッチの爪11aは分針戻しばね12の反力で反時計方向に回転した位置に配設した従動歯車の第二の突起10bに係止され、クラッチと一体に分針13は零復帰する。(図10)
【0031】
すなわち、本考案の第1の実施形態は、駆動歯車7と従動歯車10の回転比を1/2として、従動歯車10の第一の突起10aと、第二の突起10bの対向角度を180°としている。ここで、駆動歯車7が一回転すると、従動歯車10は中間歯車9を介して時計方向に180°回転し、これに同期して搖動アーム端15bでクラッチの爪11aが押され、クラッチの爪11aは従動歯車の第一の突起10aから離脱して、分針戻しばね12の反力で反時計方向に180°回転した位置にある従動歯車の第二の突起10bで係止され、分針13は零復帰する。さらに、時間経過とともに、駆動歯車7が一回転すると、搖動アーム端15bでクラッチの爪11aが押され、クラッチの爪11aは従動歯車の第二の突起10bから離脱して分針戻しばね12の反力で反時計方向に180°回転した位置にある従動歯車の第一の突起10aで係止され、分針13は零復帰する。すなはち、クラッチは駆動歯車7が一回転する毎に従動歯車10の第一の突起10aと第二の突起10bで解除と連結を繰り返す結果、分指示0分から60分を回転角度180°で繰り返し表示することができる。
【0032】
次に本考案の第2の実施形態は、駆動歯車7と従動歯車10の回転比を1/3として、従動歯車10の第一の突起10cと、第二の突起10dと、第三の突起10eの対向角度を120°としている。ここで、駆動歯車7が一回転すると、従動歯車10は中間歯車9を介して時計方向に120°回転し、これに同期して搖動アーム端15bでクラッチの爪11aが押され、クラッチの爪11aは従動歯車の第一の突起10cから離脱して分針戻しばね12の反力で反時計方向に120°回転した位置にある従動歯車の第二の突起10dで係止され、分針13は零復帰する。さらに、時間経過とともに、駆動歯車7が一回転すると、搖動アーム端15bでクラッチの爪11aが押され、クラッチの爪11aは従動歯車の第二の突起10dから離脱して分針戻しばね12の反力で反時計方向に120°回転した位置にある従動歯車の第三の突起10eで係止され、分針13は零復帰する。すなはち、駆動歯車7が一回転する毎にクラッチは従動歯車10の第一の突起10aと、第二の突起10bと、第三の突起10eで解除と連結を繰り返す結果、分指示0分から60分を回転角度120°で繰り返し表示することができる。(図12)。これ以外の動作については、第1の実施形態の動作と同様につき詳細説明を省略する。
【0033】
なお、前記駆動源のムーブメント6は、一般に市販されているクォーツ時計、機械式時計、電気的機械時計などを使用してもよく、本考案の実施形態を限定するものではない。
さらに、本実施形態では、ムーブメント6と駆動歯車7は同軸に固着している状態を説明しているが、最終的に駆動歯車7が60分に1回転すれば別の手段で結合してもよく、
本考案の実施形態を限定するものではない。
【0034】
本考案の実施形態において、分針戻しばね12は渦巻状としているが、分針軸に薄板や糸状のものを巻き付けてその端をバネで引っ張るなど、本考案を理解できる通常の技術力を有する者にとって、分針を零復帰させるための代替技術は容易に考えうるものであり、本考案の実施形態を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
掛け時計をはじめとして、置き時計、各種デザイン時計などの興趣性に富んだ時計に利用できる。
【符号の説明】
【0036】
1…ケース、2…時刻表示盤、3…窓、4…スタッド、5…ベース板、6…ムーブメント、6a…駆動軸、7…駆動歯車、8…螺旋カム、9…中間歯車、10…従動歯車、11…クラッチ、12…分針戻しばね、13…分針、14…クラッチ筒軸、15…搖動アーム、16…送り爪、17…爪車、18…ディテントばね、19…送り爪押圧ばね、20…搖動アーム戻しばね、21…分針回転軸、22…ストッパー。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態1の時計表側外観図である。
【図2】時刻表示盤2の表側外観図である。
【図3】本実施形態1の内部構造詳細図である。
【図4】分針戻しばね7の拡大詳細図である。
【図5】図3の断面X-Xを示す図である。
【図6】図5の部分断面Y-Yを示す図である。
【図7】本実施形態1の分針60分指示直前の状態を示す図である。
【図8】図7の部分断面Z-Zを示す図である。
【図9】本実施形態1の分針60分指示直後の状態を示す図である。
【図10】分針60分指示後、零復帰した状態を示す図である。
【図11】本実施形態2の従動歯車とクラッチの特徴部分を示す詳細図である。
【図12】本実施形態2の時計表側外観図である。
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5 
【図6】
図6 
【図7】
図7 
【図8】
図8 
【図9】
図9 
【図10】
図10 
【図11】
図11 
【図12】
図12 
試作写真 
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