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【考案の名称】鳥獣害対策用の小型無人航空機 【実用新案権者】 【識別番号】515153439 【氏名又は名称】樋口 節美 【住所又は居所】福岡県うきは市浮羽町西隈上620番地4 【代理人】 【識別番号】100114627 【弁理士】 【氏名又は名称】有吉 修一朗 【代理人】 【識別番号】100182501 【弁理士】 【氏名又は名称】森田 靖之 【代理人】 【識別番号】100175271 【弁理士】 【氏名又は名称】筒井 宣圭 【代理人】 【識別番号】100190975 【弁理士】 【氏名又は名称】遠藤 聡子 【代理人】 【識別番号】100194984 【弁理士】 【氏名又は名称】梶原 圭太 【考案者】 【氏名】樋口 節美 【住所又は居所】福岡県うきは市浮羽町西隈上620番地4 【要約】 (修正有) 【課題】畑等を荒らす鳥獣に対し、畑等の上空における飛行による動きや飛翔音或いは光等の威嚇手段を用いて威嚇し、撃退できる鳥獣害対策用の小型無人航空機を提供する。 【解決手段】使用時における水平方向へ十字状の腕部が延設された軽量かつ剛性を有する樹脂の中空筐体の中に、動力手段であるモーターと、動力源であるリチウムイオンポリマー二次電池と、機体の動作を制御する遠隔操作手段及び自動制御手段であるプロセッサ、通信装置、GPS、磁力計、ジャイロスコープ、加速度計、超音波高度センサー、気圧計等が格納され、下面側に取着された2本の脚部12と、上面側の先端側の各々に回転自在に設けられ、モーターからの動力を得て機体を飛行可能とする4つの回転翼11とを有する本体部10と、ホログラム加工のカッティングシートを本体部10表面に貼り付けてなる反射面130とを備える。 【選択図】図2 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 動力手段と、同動力手段を動かす動力源と、同動力手段から動力を得る推進手段と、機体の動作を制御する遠隔操作手段あるいは自動制御手段とを有する本体部と、 前記本体部に設けられた、鳥獣を威嚇するための威嚇手段とを備える 鳥獣害対策用の小型無人航空機。 【請求項2】 前記推進手段が回転翼である 請求項1に記載の鳥獣害対策用の小型無人航空機。 【請求項3】 前記本体部の自動制御手段が、自動離着陸機能と、高度設定機能と、飛行させる区域内の境界点座標値を設定することで飛行区域の位置情報を入手可能なGPS受信機能と有するものである 請求項1または請求項2に記載の鳥獣害対策用の小型無人航空機。 【請求項4】 機体の同一平面上で十字を形成する腕部が延設された筐体の中に、モーターと、同モーターに電力を供給するバッテリーと、同腕部の各々の先端側に回転自在に取り付けられ、前記モーターから動力を得て回転する回転翼と、機体の動作が自動制御されるように、少なくとも、自動離着陸機能と、高度設定機能と、飛行させる区域内の境界点座標値を設定することで飛行区域の位置情報を入手可能なGPS受信機能と有する自動制御手段とが格納された本体部と、 前記本体部の表面に形成され、光を反射する反射面と、 前記本体部の前記腕部の下部に取着された帯状物であり、光を反射する反射テープと、 前記本体部の下部に取着され、中央部に目玉模様が表されたシートとを備える 鳥獣害対策用の小型無人航空機。 【考案の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本考案は、鳥獣害対策用の小型無人航空機に関する。更に詳しくは、畑等を荒らす鳥獣について、畑等の上空における飛行による動きや飛翔音、あるいは光等の威嚇手段を用いて威嚇し、撃退できるものに関する。 【背景技術】 【0002】 従来から、田畑における鳥獣害対策用の様々な器具が考案されている。例えば、下記非特許文献に記載されたような、案山子のような人間を模したもの、あるいは、バルーンや反射光による忌避テープ、定期的に音を放つ機器等が挙げられる。 【0003】 非特許文献1記載のバルーンは、丸形のバルーンに目玉模様が印刷されたものであり、特に鳥に対して視覚的に刺激を与えて威嚇するものである。非特許文献2記載の人形は、いわゆる案山子や着衣させたマネキン人形等であって、人間が居る体にして、その存在が威嚇となって鳥獣を追い払うものである。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0004】 【非特許文献1】鳥害対策用品シリーズ 目玉風船(鳥追いバルーン)http://item.rakuten.co.jp/plusys7022/780/ 【0005】 【非特許文献2】農林水産省 第3章 被害対策の取組事例 第66頁 (1)カラス対策、 3)対策の方法 http://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/h_manual/h20_03a/pdf/tori-data3.pdf 【考案の概要】 【考案が解決しようとする課題】 【0006】 上記各非特許文献に記載された器具は、鳥獣が嫌う刺激を与えて追い払うものであり、鳥獣を常時観察する人手が不要という利点があるが、同じ刺激を鳥に与え続けると、鳥はその刺激に慣れてしまい、撃退効果が薄れることが多い。 【0007】 本考案は以上の点に鑑みて創案されたものであって、畑等を荒らす鳥獣に対し、畑等の上空における飛行による動きや飛翔音、あるいは光等の威嚇手段を用いて威嚇し、撃退できるものを提供することを目的とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記の目的を達成するために本考案の鳥獣害対策用の小型無人航空機は、動力手段と、同動力手段を動かす動力源と、同動力手段から動力を得る推進手段と、機体の動作を制御する遠隔操作手段あるいは自動制御手段とを有する本体部と、 前記本体部に設けられた、鳥獣を威嚇するための威嚇手段とを備える。 【0009】 ここで、小型無人航空機は、動力手段、動力源、推進手段を有する本体部を備えることによって飛行可能であり、その動きや飛翔音で鳥獣を威嚇することができる。 【0010】 また、小型無人航空機は、遠隔操作手段あるいは自動制御手段によって、機体の動きを手動あるいはプログラムによる自動制御によって操作することができる。 【0011】 更に、鳥獣を威嚇するための威嚇手段によって、前述の飛行による動きや飛翔音に加えて、威嚇手段でも鳥獣に刺激が与えられるので、撃退効果が向上する。加えて、機体の動きと威嚇手段が重畳することで、鳥獣が刺激に慣れにくくなることも期待される。 【0012】 鳥獣を威嚇するための威嚇手段としては、以下のような鳥獣の視覚あるいは聴覚を刺激するものが挙げられる。 なお、本明細書および本実用新案登録請求の範囲でいう鳥獣とは、田畑、果樹園等の農作物に食害を与える動物であり、例えば、スズメ、カラス、ヒヨドリ、ムクドリ等の鳥類、イノシシ、サル、シカ、タヌキ、ハクビシン、アナグマ等の獣類が挙げられる。 【0013】 威嚇手段が鳥獣の視覚を刺激するものである場合は、例えば、光沢、色彩あるいは模様、または部材の動き、またはこれらの組み合わせ等であって鳥が嫌うものを付加することによって、小型無人航空機の飛行による動きや飛翔音のみならず、視覚的な威嚇手段でも鳥獣に刺激が与えられるので、撃退効果が更に向上する。加えて、機体の動きと視覚的な威嚇手段が重畳することで、鳥獣が刺激に慣れてしまうことを防止することも期待される。 【0014】 威嚇手段が鳥獣の聴覚を刺激するものである場合は、例えば、破裂音、天敵の鳴き声、対象鳥獣が仲間に発する警戒音、鳥獣が苦手とする音域の音(好ましくは人間が聞き取れない音域)またはこれらの組み合わせ等であって鳥が嫌うものを発音することによって、小型無人航空機の飛行による動きや飛翔音のみならず、聴覚的な威嚇手段でも鳥獣に刺激が与えられるので、視覚的な威嚇手段のみの場合よりも撃退効果が更に向上する。加えて、機体の動きと聴覚的な威嚇手段が重畳することで、鳥獣が刺激に慣れてしまうことを防止することも期待される。 【0015】 前記推進手段が回転翼である場合は、垂直方向への立体的な機体動作が可能となるので、機体の動きのバリエーションが増え、ひいては、その動きでも鳥獣を威嚇することができ、かつ、機体の動きのバリエーションの豊富さゆえに、鳥獣が刺激に慣れてしまうことを防止することも期待される。また、垂直離着陸が可能になるので、離着陸のための場所が狭くて済む。 【0016】 前記本体部の自動制御手段が、自動離着陸機能と、高度設定機能と、飛行させる区域内の境界点座標値を設定することで飛行区域の位置情報を入手可能なGPS受信機能と有するものである場合は、例えば、自動離着陸機能の時間差設定機能を利用することで、定期的に小型無人航空機が飛行するので、人が常時監視する必要がなくなる。また、高度設定機能、GPS受信機能を有しているので、自動で離着陸した後の小型無人航空機を人が操作する必要がなくなる。 【0017】 上記の目的を達成するために本考案の鳥獣害対策用の小型無人航空機は、機体の同一平面上で十字を形成する腕部が延設された筐体の中に、モーターと、同モーターに電力を供給するバッテリーと、同腕部の各々の先端側に回転自在に取り付けられ、前記モーターから動力を得て回転する回転翼と、機体の動作が自動制御されるように、少なくとも、自動離着陸機能と、高度設定機能と、飛行させる区域内の境界点座標値を設定することで飛行区域の位置情報を入手可能なGPS受信機能と有する自動制御手段とが格納された本体部と、前記本体部の表面に形成され、光を反射する反射面と、前記本体部の前記腕部の下部に取着された帯状物であり、光を反射する反射テープと、前記本体部の下部に取着され、中央部に目玉模様が表されたシートとを備える。 【0018】 ここで、小型無人航空機は、モーター、バッテリーおよび回転翼を備えることにより、垂直離着陸を行うことができると共に、水平方向のみならず高さ方向への機体動作も可能となる。なお、動力手段がモーターであるため、静かに運用できる。 【0019】 また、小型無人航空機は、機体制御手段として、自動離着陸機能、高度設定機能を有しているので、設定された時間毎に自動運転されて鳥獣への威嚇行動を行うことができ、人が、鳥獣を常時観察し、小型無人航空機をその都度運用する必要が無くなる。 【0020】 加えて、小型無人航空機は、機体制御手段として、GPS受信機能を有しているので、境界点座標値を設定した範囲内(例えば、自分の所有する農地の上空のみ)での航路設定ができ、ナビゲーション機能を利用して自動運転で飛行させることもできるので、仮に小型無人航空機が落下しても、他人の身体や財産(例えば農作物や建物)に危害あるいは損害を与える可能性を低減することができる。 【0021】 反射面は、太陽光など受けた光を反射するものであり、鳥獣を視覚的に威嚇する。 反射テープは、光を反射して煌めき、また、はためくことで、鳥獣を視覚的に威嚇する。また、反射テープは、飛行時に風切り音を立てるので、鳥獣を聴覚的に威嚇する。 シートは、中央部に表された目玉模様により、特に機体下方にいる鳥獣を視覚的に威嚇する。 【考案の効果】 【0022】 本考案の鳥獣害対策用の小型無人航空機によれば、畑等を荒らす鳥獣について、畑等の上空における飛行による動きや飛翔音、あるいは光等の威嚇手段を用いて威嚇し、撃退できる。 【図面の簡単な説明】 【0023】 【図1】本考案に係る鳥獣害対策用の小型無人航空機の第1実施形態を示す斜視説明図である。 【図2】図1に示す鳥獣害対策用の小型無人航空機の変形例を示す斜め下方から見た斜視説明図である。 【図3】図2に示す鳥獣害対策用の小型無人航空機の高さ方向の動作の一例を示す使用状態説明図である。 【図4】図2に示す鳥獣害対策用の小型無人航空機の水平方向の動作の一例を示す使用状態説明図である。 【図5】本考案に係る鳥獣害対策用の小型無人航空機の第2実施形態を示す斜視説明図である。 【図6】本考案に係る鳥獣害対策用の小型無人航空機の第3実施形態を示す斜視説明図である。 【考案を実施するための形態】 【0024】 図1乃至図6を参照して、本考案の実施の形態を更に詳細に説明する。なお、各図における符号は、煩雑さを軽減し理解を容易にする範囲内で付している。また、以下で述べる用語「回転翼」「プロペラ」は先に述べた「推進手段」と、用語「反射面」「吊り下げ体」「吹き流し体」「スピーカー部」は先に述べた「威嚇手段」と、それぞれ同等の意味で使用している。 【0025】 〔第1実施形態〕 図1に示す鳥獣害対策用の小型無人航空機P1は、本体部10と、本体部10に設けられた反射面130とを備える。各部については、以下詳述する。 【0026】 本体部10は、軽量かつ剛性を有する樹脂(本実施形態ではグラスファイバーで強化されたABS樹脂)で中空に形成され、使用時において水平方向となる方向へ十字状の腕部が延設された筐体の中に、動力手段(本実施形態ではモーター、図示省略)と、動力手段を動かす動力源(本実施形態ではリチウムイオンポリマー二次電池、図示省略)と、機体の動作を制御する遠隔操作手段および自動制御手段(本実施形態では、プロセッサ、通信装置、GPS(Global Positioning System 全地球測位システム)、磁力計、ジャイロスコープ、加速度計、超音波高度センサー、気圧計等。図示省略)が格納されている。また、本体部10は、本体部下面に、下方に垂下し、かつ、間隔を開けて取り付けられた2本の脚部12を有している。 【0027】 回転翼11は、本体部10の先端側の各々に回転自在に取り付けられ(合計4つ)、動力手段から動力を得て、機体を飛行可能とする構造である。つまり、本実施形態における小型無人航空機P1は、複数の回転翼11を有する回転翼機(いわゆるマルチコプター)である。 【0028】 反射面130は、ホログラム加工のカッティングシートであり、本体部10の表面に貼り付けて形成してある。反射面130は、太陽光など受けた光を多色で強く反射するものであり、鳥獣の視覚を刺激する威嚇手段にあたる。 【0029】 なお、本体部10の下面側は陰となって太陽光が直接当たりにくいので、本体部10下面を照射するように配置したLEDライトを本体部10の下方に設けてもよい。この場合、小型無人航空機P1の下方にいる鳥獣についても、反射面130から生じる反射光による威嚇ができ、撃退効果が向上する。 【0030】 本実施の形態においては、本体部10の筐体部分の材質は、グラスファイバーで強化されたABS樹脂を採用しているが、これに限定するものではなく、例えば、他の種類の合成樹脂、炭素繊維、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の各種金属等、またはこれらの組み合わせであってもよく、軽量かつ剛性を有するものであることが好ましい。 【0031】 本実施の形態においては、本体部10の形状が十字状であるが、これに限定するものではなく、例えば、円盤形や、多角形の板状体または多角形の錐体等、様々な形状でつくることができる。また、本実施の形態においては、回転翼11は、4つ取り付けられているが、これに限定するものではなく、例えば、本体部の形状や要求される性能等に合わせて、数および配置を適宜設定することができる。 【0032】 本実施の形態においては、静粛性の観点から動力手段としてモーターを採用しているが、これに限定するものではなく、例えば、エンジン等の公知の動力手段を除外するものではない。また、本実施の形態においては、動力源はリチウムイオンポリマー二次電池であるが、これに限定するものではなく、例えば、他の種類のバッテリーであってもよく、前述のように動力手段がエンジンであれば、ラジコン燃料(メチルアルコール、潤滑油、ニトロメタンの混合燃料)、ガソリン等の液体燃料であってもよい。 【0033】 本実施の形態においては、鳥獣に対する威嚇手段として反射面130(鳥獣の視覚を刺激するもの)を採用しているが、これに限定するものではなく、例えば、本体部自体に反射効果がある塗料を塗布してもよいし、また、鳥獣が嫌う模様(例えば、タカやハヤブサの絵や羽の模様)や色彩を採用してもよい。また、本体部10のみならず、回転翼11にも鳥獣が嫌う模様や色彩を採用してもよい。更に、本体部や回転翼に、鳥獣の視覚を刺激すべく、点滅機能を有するLEDライト等の発光部を設けてもよい。 【0034】 (変形例) 図2に示す小型無人航空機P2は、第1実施形態の小型無人航空機P1の変形例であり、小型無人航空機P1と同様に、鳥獣の視覚を刺激する威嚇手段を採用したものである。 【0035】 小型無人航空機P2は、鳥獣に対する威嚇手段として、本体部10下面側に取り付けられた目玉状の吊り下げ体131、メタリックカラーの吹き流し体132を備えている。なお、吊り下げ体131と吹き流し体132を備えている点以外は、小型無人航空機P1と同様の構造であるため、説明を省略する。 【0036】 (作 用) 図3および図4を参照して、小型無人航空機P2の作用について説明する。なお、図3および図4で示す小型無人航空機P2は、その作用が吊り下げ体131と吹き流し体132によるもの以外は、小型無人航空機P1の作用と同じであるため、小型無人航空機P1の作用に関する説明は省略する。 【0037】 田畑等に小型無人航空機P2を持ち込み、田畑等の上空に飛ばして、作物を狙う鳥獣(例えば、カラス51、イノシシ52、猿53等)を撃退する。このとき、小型無人航空機P2は、無線送信機(プロポーショナルシステム)によって手動操作にもできるが、携帯端末にインストールされた機体操作アプリケーションを使用して、自動制御運転とすることもできる。小型無人航空機P2を自動制御運転にすることで、人が、鳥獣を常時観察し、小型無人航空機P2を操作する必要が無くなる。 【0038】 小型無人航空機P2は、マルチコプターであるため、垂直離着陸が可能であり、離着陸のための場所が狭くて済むと共に、飛行領域における上下方向(高低方向)への立体的な機体動作が可能となる(図3参照)。このため、一定高度を飛行するのみ可能なものよりも、機体の複雑な動作を行うことができ、これによって鳥獣への威嚇効果が高まる。 【0039】 小型無人航空機P2は、一般的なマルチコプターと同様に、本体部に設けた複数の回転翼を同時にバランスよく回転させることによって飛行し、上昇あるいは下降が回転翼の回転数の増減によって行われ、前進あるいは後進の水平方向への移動が回転翼の回転数の増減によって機体を傾けることで進むようになっている。なお、回転翼は、固定ピッチの物が採用されることが多く、右回りと左回りのものが交互に配置されることで、回転の反作用を打ち消しあっている。 【0040】 また、自動制御運転であれば、ジャイロスコープ、超音波高度センサー等の各種センサーと、プロセッサにインストールされた運転制御プログラムとが協働し、設定された、あるいは観測された情報に基づいて、所定の高度等の範囲内での立体的な機体動作が行われる。 【0041】 このとき、小型無人航空機P2は、その動きや飛翔音、風切り音で、鳥獣を視覚的、聴覚的に威嚇することができ、加えて、本体部10からの反射光、吊り下げ体131あるいは吹き流し体132の光、色や動きでも鳥獣に視覚的刺激が与えられ、特に、吊り下げ体131は、飛行時に風切り音が立って鳥獣に聴覚的刺激も与えられるので、機体からの反射光のみの場合よりも撃退効果が向上する。更に、機体の動きと威嚇手段が重畳することで、鳥獣が刺激に慣れにくくなることも期待される。 【0042】 加えて、小型無人航空機P2は、GPSを備えることで、境界点座標値を設定した範囲内(例えば、自分の所有する農地Fの上空のみ)での飛行を自動運転で行うこともできる(図4参照)。これにより、仮に小型無人航空機P2が落下しても、他人の身体や財産(例えば農作物や建物)に害を加える危険性を抑えることができる。 【0043】 更に、小型無人航空機P2は、自動制御手段における時間差設定機能を用いて、自動離着陸が可能であり、設定された時間毎に自動運転され、鳥獣への威嚇行動を行うことができるので、人が、鳥獣を常時観察し、小型無人航空機P2をその都度運用する必要が無くなる。 【0044】 〔第2実施形態〕 図5に示す小型無人航空機P3は、本考案の他の実施形態である。 小型無人航空機P3は、鳥獣に対する威嚇手段として、鳥獣の聴覚を刺激する音声データ(銃器の発砲音のような破裂音、天敵の鳴き声、対象鳥獣が仲間に発する警戒音等の複数の音声)を記録した音声記録部(図示省略)と、本体部10下面側に取り付けられ、音声記録部からの音声を出力するスピーカー部14と、を備えている。 【0045】 スピーカー部14は複数のスピーカーを有し、操縦者からの操作で、あるいは自動制御手段からの定期的なコマンドにより、鳥獣の聴覚を刺激する音を発する。 なお、小型無人航空機P3は、スピーカー部14を備えている点以外は、小型無人航空機P1と同様の構造であるため、その説明を省略する。 【0046】 小型無人航空機P3によれば、機体の動きや反射光等による視覚的な刺激に加え、スピーカー部14から出力される様々な音声によって、鳥獣に聴覚的な刺激が与えられ、視覚的な刺激のみが与えられる場合よりも、撃退効果が向上する。更に、機体の動きと音声による威嚇手段が重畳することで、鳥獣が刺激に慣れにくくなることも期待される。 【0047】 〔第3実施形態〕 図6に示す小型無人航空機P4は、固定翼機であり、その機体表面にホログラム加工のカッティングシートを貼り付けてなる反射面130aを有し、主翼、水平尾翼の先端に、吹き流し体132が取り付けられている。軽量かつ剛性を有する樹脂で中空に形成された機体の内部には、動力手段(本実施形態ではモーター、図示省略)と、動力手段を動かす動力源(本実施形態ではリチウムイオンポリマー二次電池、図示省略)と、機体の動作を制御する遠隔操作手段および自動制御手段(本実施形態では、プロセッサ、通信装置、GPS(Global Positioning System 全地球測位システム)、磁力計、ジャイロスコープ、加速度計、超音波高度センサー、気圧計等。図示省略)が格納されており、機体の上部にプロペラ110を1つ有している。 【0048】 この構成によれば、本実施形態における小型無人航空機P4では、小型無人航空機P1〜P3のような急激な立体的な機体動作は行いにくいが、プロペラ110が1つなので、バッテリー消費量が少なく、複数の回転翼を有するような機体と比較して長時間の運用が可能となる。 【0049】 また、小型無人航空機P4は、小型無人航空機P2と同様に、機体の動き、機体からの反射光および吹き流し体132による視覚的刺激、飛行時の風切り音による聴覚的刺激によって、鳥獣を視覚的、聴覚的に威嚇することができ、更に、機体の動きと威嚇手段が重畳することで、鳥獣が刺激に慣れにくくなることも期待される。 【0050】 なお、第1から第4の実施形態の小型無人航空機P1〜P4は、その翼端や機体に風切り音や笛鳴り現象を生じさせる部分を形成し、音による威嚇効果を高めるようにしてもよい。 【0051】 このように、第1実施形態(変形例を含む)から第3実施形態の小型無人航空機P1〜P4によれば、畑等を荒らす鳥獣51、52、53に対し、農地Fのような畑等の上空における飛行による動きや飛翔音、あるいは光、音の威嚇手段を用いて威嚇し、追い払うことができる。 【0052】 なお、本実用新案登録請求の範囲および本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本実用新案登録請求の範囲および本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本考案の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。 【符号の説明】 【0053】 P1、P2、P3、P4 小型無人航空機 10 本体部 11 回転翼 110 プロペラ 12 脚部 130、130a 反射面 131 吊り下げ体 132 吹き流し体 14 スピーカー部 51 カラス 52 イノシシ 53 猿 F 農地 【図面の簡単な説明】 【0023】 【図1】本考案に係る鳥獣害対策用の小型無人航空機の第1実施形態を示す斜視説明図である。 【図2】図1に示す鳥獣害対策用の小型無人航空機の変形例を示す斜め下方から見た斜視説明図である。 【図3】図2に示す鳥獣害対策用の小型無人航空機の高さ方向の動作の一例を示す使用状態説明図である。 【図4】図2に示す鳥獣害対策用の小型無人航空機の水平方向の動作の一例を示す使用状態説明図である。 【図5】本考案に係る鳥獣害対策用の小型無人航空機の第2実施形態を示す斜視説明図である。 【図6】本考案に係る鳥獣害対策用の小型無人航空機の第3実施形態を示す斜視説明図である。 |
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【図1】 |
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【図3】 |
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