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【考案の名称】既存農耕機を用いた除雪装置 【実用新案権者】 【識別番号】504415359 【氏名又は名称】須田 光俊 【住所又は居所】千葉県千葉市若葉区若松町196−15 【考案者】 【氏名】須田 光俊 【住所又は居所】千葉県千葉市若葉区若松台三丁目45番6号 【要約】 【課題】降雪地域における農耕機は冬季には遊休となるが、これに除雪装置をつけて除雪機として有効活用した除雪装置を提供する。 |
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(積雪18cm、除雪幅50cm) | ||
(積雪13cm、除雪幅50cm) | ||
1,冬、遊休となる農家の農耕機を除雪機に機能変えし、機械の有効利用を図る。 2,農耕機は、ハンドガイド式でエンジン出力5〜6PSが適す。選定した機に除雪装置を取り付けるための小改造を施す。この改造は以後そのままとする。 3,冬先に農耕機先端に除雪装置を装着する。(1時間程度) 4,性能は、最大除雪幅50cm、同幅対応積雪20cm、最大対応積雪25cm、最大投雪は放雪口から正面放雪で6〜8m、シュートから左右3〜4m、民家町並みでは1〜2に制限。 5,春先に再び農耕機に戻す。(1時間程度) 【施した安全対策】 6,オーガホィールの無負荷回転を防ぐため、動力を切ると同時に作動するオーガブレーキを設けた。これにより、エンジンを停止せずに詰まり解除作業等が可能となった。 7,民家町並みでの放雪トラブルを無くすため、シュート先端に制飛機構を設け放雪を1〜2mに制限した。 8,オーガを可能な限りケーシングで覆い、外部からの接触を防いだ。 【指導】 9,小改造については、こちらから提案し、お客様より承諾をいただきます。 |
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TEL 043−228−5175 |
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【解決手段】除雪装置01は、既存農耕機エンジン出力軸に取り付けられる2条のVベルトプーリ29wと、これを伝える動力手段と、円筒形ケーシングに軸着されたオーガ軸1に複数条の螺旋状に形成し積雪をブロワー側に掻き寄せる翼と掻き寄せた積雪を外周に集めこれを分離掻き出す適宜高さの掻き出し羽根数枚と、農耕機02に対し除雪装置を分離、装置自在にする装着ブラケット32を備え、農耕機02の走行に合わせオーガ軸を回転させながら積雪を案内シュート5を介し外部に放出することを特徴とする既存農耕機02を用いた除雪装置01である。 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 既存農耕機エンジン出力軸に交換取り付けられる複数条溝を有するVプーリと、このVプーリにVベルトを巻き掛けVプーリ及びVベルトによる動力手段を経由して農耕機からの動力を受けるオーガ軸と、このオーガ軸には積雪を切り進み切り込んだ雪を掻き寄せる螺旋状の掻き寄せ翼と、この掻き寄せ翼で掻き寄せた積雪を掻き出す複数の掻き出し羽根とを有し、前記オーガ軸を軸着し前記掻き寄せ翼と前記掻き出し翼とを覆う円筒形ケーシングと、この円筒形ケーシングと前記掻き出し羽根とで形成したブロワーと、農耕機に対し前記動力手段、前記オーガ軸、前記掻き寄せ翼、前記ブロワー、前記円筒形ケーシングとで構成した除雪機構を分離装着を自在にする装着台座とによって除雪装置を構成し、農耕機走行に合わせ前記オーガ軸を回転させながら積雪をブロワーから放出方向を制御して外部へ放出することを特徴とする既存農耕機を用いた除雪装置。 【考案の詳細な説明】 【技術分野】 本考案は、既存農耕機を用いた除雪装置に関する。 【背景技術】 降雪地域において、農業者の保有する既存の農耕機は冬季には遊休となる機械で、その一方、農業者は自宅及びその周辺の除雪の必要性から除雪機を保有している。この現状に発案されるのが、遊休となっている農耕機を除雪機として冬季有効活用できないかである。 ここで云う農耕機は、人力で容易に操作できるハンドガイド式の出力4.5kw程度の小形農耕機であり、また、除雪機は同じようにハンドガイド式の出力4.5Kw程度の小形除雪機で両機とも構造、性能的には近似した機械である。従って、農耕機に僅かの改装を加えれば除雪装置を取り付けて除雪機として活用できる可能性がある。そこで、この発案に基づいた実施例をIPDIにおいて調査した。しかし、除雪機の夏季活用の事例はあったが(特許文献1)、農耕機を除雪機に活用した例は見当たらない。 この実施例の見当たらない背景を考えると、小形農耕機は作業の性質から走行駆動体の後部に作業装置を有し(非特許文献1)、小形除雪機は作業の性質から走行駆動体の前部に作業装置を有する(非特許文献2)。従って、作業装置を別の装置に交換する場合、いずれも作業装置の位置で交換すればベースマシンからの動力取り出しが容易なため装置の交換も比較的容易にできる。特許文献1はこの例である。しかし、本発案の場合には、作業装置を走行駆動体後部に装備する農耕機のその前部に除雪装置を装着するので動力の取り出しが困難という技術的概念から実施されていないものと推測される。 【考案の概要】 【考案が解決しようとする課題】 しかし、農業分野にもコスト縮減が求められているが、農業の機械化と共に農業者の保有する機械も増え負担する機械経費も大きくこの軽減が今後の農業に求められる。このような状況において農耕機、除雪機は類似した機械であり工夫すれば他の作業装置を取り付けて別の作業をできるものもある。本考案はその1例であるが以下に述べるように、既存農耕機に除雪装置を取り付け除雪機として冬季有効活用することを可能とした。 【課題を解決するための手段】 本考案の除雪装置は、既存農耕機エンジン出力軸に取り付けられる2条のVベルトプーリと、これを伝える動力手段と、円筒形ケーシングに軸着されたオーガ軸に複数条の螺旋状に形成し積雪をブロワー側に掻き寄せる翼と掻き寄せた積雪を外周に集めこれを分離掻き出す適宜高さの掻き出し羽根数枚と、農耕機に対し除雪装置を分離、装置自在にする装着ブラケットを備え、農耕機の走行に合わせオーガ軸を回転させながら積雪を案内シュートを介し外部に放出することを特徴とする既存農耕機を用いた除雪装置である。 【考案の効果】 本発明で期待される効果は、 1 冬季遊休となる農耕機を除雪機として有効活用できる。 2 既存除雪専用機の代替機となる。 3 農業者の機械保有台数を減らし機械経費軽減に寄与する。 【考案を実施するための最良の形態】 まず、一般市場には農耕機は農耕専用機として製造販売されておりそのため除雪装置アタチメントは市販されていない。従って、最初に除雪装置を新しく開発する必要がある。次に、開発した除雪装置を取り付けるための農耕機の部分的な改装を行う。以下にその実施例を記す。 1.除雪装置の開発 開発方針 1 農耕機の前端部に容易に取り付け可能な構造とする。 2 除雪機構は、装置が簡易となる掻き込み用オーガと放雪用ブロワーを同軸上に配する型式とする。 3 除雪作業は、農耕機の前進1速において行い能力を最大に発揮するよう設定する。 4 放雪は、人家や施設の近接場所での作業となることから数メートルの短距離投雪とする。 上記の開発方針に沿って図1及び2に示す除雪装置を開発した。以下に開発した除雪装置の構造機能を図1〜図5に基づいて説明する。 図1において、1は掻き寄せ翼、2はオーガ軸、3はブロワーで1及び3は共にオーガ軸2の同軸上に配置されており4は円筒形をしたケーシングで、1〜4が本除雪装置の基本構成要素である。農耕機エンジンからVベルト動力手段で回転駆動されるオーガ軸2は、左方向捩れの2条の掻き寄せ翼を有し積雪を切り進み切り込んだ雪を左端のブロワー3に送る。ブロワー3は送られた雪を受けその回転力と掻き出し羽根3A、3Bとで放出力を与え案内シュート5を介して外部に放出する。 以下に、特に工夫した点について記述する。 1 ブロワー羽根の増設: 本除雪装置は寸法上の制約からオーガの外径が300mmと小さくそのためブロワーの放出力が小さい。これを補うためオーガの回転を上げると共に、ブロワーの掻き出し羽根をオーガ掻き寄せ翼1条に1枚が一般的であるのに対し本機ではこれを2枚としブロワー全体としては4枚として実用的な放出力を得ることを可能とした。以下にその構造、機能を図2,3に基づき説明する。 図3は図2の部分拡大図で、掻き寄せ翼1からブロワー3に送り込まれた雪は、先ず掻き出し羽根3Aに入るがこの羽根3Aの高さを0.5hとし、次の増設する羽根3Bの高さを1hとする。これにより羽根3Aに入る雪の1/2がブロワー3の回転力で羽根3Aを越流して羽根3Bに流れ込む。 そして羽根3A,3Bに分散された雪はブロワー3の回転に伴って羽根先端へと移動する。羽根先端は回転周速度が最大で放出力も最大となる位置であり、この位置にある雪が1枚羽根の場合の2倍となると同時に放出口4Aから分離放出される放雪量も増加してブロワー全体の雪の平均放出量及び放出力は強められた。 2 動力伝達の簡素化: 図1に対応する図4及び図2に対応する図5に基づいて説明する。 オーガ軸2はプーリ6D、6C、中間軸6B及びプーリ6Aを経由してVベルトでエンジンVプーリ29w(溝2条)から動力を受ける。農耕機の推進速度とオーガ軸2の回転速度との比は除雪性能に直接関係し、その最適比の設定は本機の場合はプーリ6D、6C及びプーリ6A、29wのプーリ組み合わせ比による。これにより最適点は1点のみとなるが、反面、動力の取り出し伝達機構がVベルト及びVプーリのみに簡素化して除雪装置の農耕機への取り付けが容易となり、除雪装置装着台座7を農耕機装着ブラケット32に挿入しボルト締結することで可能となった。 II.次に、除雪装置を農耕機に取り付けるための農耕機の一部改装について説明する。 選定した農耕機は、一般市場で市販されている農耕機の中から選定しその概観を図6に示した。 カタログ上での出力は3.7kw(5ps)の耕うん機であるが、本書での呼びは“農耕機”に統一する。 農耕機の一部改装: 図6及び図7に基づいて説明する。選定した農耕機において1)作業装置である耕うんロータリ21を外す(次の夏期まで保管する)。 その跡に、2)ロータリ駆動軸22を支持中心として除雪ウエイト支持枠31(別途製作)を設ける。3)フロントウエイト28を外して支持枠31内に移設すると共に、調節ウエイト37(砂又は小石を詰めた袋)を追加する。次に、4)フロントウエイト28の跡に除雪装置を取り付けるための4本の植え込みボルトを有する装着ブラケット32(別途製作)をシャシーフレーム先端にボルト固定する。5)ハンドル26全幅に亘ってある農耕機の主クラッチレバー27を2分割し、右半分を除雪装置への除雪クラッチレバー34に加工する。6)除雪装置への動力断続用のテンションローラによる除雪クラッチ機構33(別途製作)を装着ブラケット32の上部にボルト締結する。7)除雪クラッチレバー34とクラッチ機構33とをワイヤー35で繋いでクラッチ系統を機能化する。8)最後に、エンジンに止められたVプーリ29をVベルト2条溝のVプーリ29wに取り変える(取り替え加工)。 本改装は軽微ではあるが製作部品及び加工工作が含まれるため除雪装置製作と合わせて行うことが望ましく、また、この改装は一度行えば以降は必要ない。また、多数台で農耕機工場対応となる場合には、出荷時に除雪装置装着可能型とし改装を済ませ、かつ、必要部品も用意しておくことで市場への対応は可能と考える。 除雪装置を取り付け除雪機とする: 改装の終えた農耕機に除雪装置を取り付ける。先ず人操作で、除雪装置装着台座7に対面して農耕機装着ブラケット32を向けて位置し、農耕機を微調整接近して装着ブラケット32のボルトを装着台座7のボルト穴に挿入しナットで固く締結する。次に、Vベルト10をVプーリ6Aと29wに掛けるが、このVプーリ29wの1条は除雪装置を駆動し、1条は本来の農耕機駆動用Vベルトで除雪機のときは機の推進力を発生する。最後に、ベルトの張り、クラッチレバーの効き具合等を調整し除雪機として完成する。 夏期には再び農耕機へ: 冬季シーズンを終えた除雪機03はシーズンオフの清掃、整備をして除雪装置01と農耕機02とを装着ブラケット32において分離し、除雪装置01は適切な場所に保管する。農耕機02には作業装置21を元の位置に戻して農耕作業のできる状態に戻す。 以上の除雪装置の着脱作業は、農業者一人で十分に可能である。 【図面の簡単な説明】 【図1】開発した除雪装置の平面図 【図2】開発した除雪装置の立面ブロワー部断面図 【図3】開発した除雪装置のブロワー羽根作用拡大図 【図4】農耕機前端部の改装平面図(図1に対応) 【図5】農耕機前端部の改装立面図(図2に対応) 【図6】除雪機ベースマシに選定した農耕機 【図7】農耕機をベースマシンとし完成した除雪機 【符号の説明】 1 オーガ掻き寄せ翼 2 オーガ軸 3 ブロワー 3A、3B ブロワー掻き出し羽根 4 円筒形のケーシング 5 案内シュート 7 除雪装置の装着台座 動力手段 6B 中間シャフト 6A、6C、6D Vプーリ 10、11 Vベルト 29 農耕機エンジンに本来取り付けられている1条溝のVプーリ 29w 1条溝Vプーリ29に替え新たに取り付けた2条溝のVプーリ 32 農耕機前端に取り付けられる装着ブラケット。 |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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【図6】 |
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【図7】 |
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