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農水産
 
【発明の名称】土壌改良用ブロック
【特許権者】
【識別番号】510337458
【氏名又は名称】有限会社ヤマテク
【住所又は居所】鳥取県八頭郡八頭町郡家559番地29
【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
【発明者】
【氏名】山口 勤
【住所又は居所】鳥取県鳥取市湯所町1丁目442−1
【参考文献】
【文献】特開昭64−056391(JP,A)
【文献】特開昭63−319283(JP,A)
【文献】特開平11−061120(JP,A)
【文献】特開2008−182932(JP,A)
【文献】実開昭63−191118(JP,U)
【文献】実公昭46−023943(JP,Y1)
【文献】実公昭40−022100(JP,Y1)
【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 17/00〜17/52
A01C 15/00〜23/02
C05B〜G
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を栽培するための土壌を改良する物質をブロックに成形した本体部と、該本体部の外周面から内部方向に向かって開口した切欠部と、を備えたものが水溶性の箱体に収納されてなることを特徴とする土壌改良用ブロック。
【請求項2】
前記土壌を改良する物質が、前記土壌に混合することで該土壌を腐植化する腐植であることを特徴とする請求項1記載の土壌改良用ブロック。
【請求項3】
前記ブロックが薄板状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の土壌改良用ブロック。
【請求項4】
前記ブロックが水溶性のバインダー材料によって固体化したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の土壌改良用ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を栽培するための土壌の改良を行うことができる土壌改良用ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
植物を栽培するための土壌の改良方法の一つとして、微生物を土壌に混合する方法が広く知られている。この方法は、腐植化と呼ばれており、化学肥料等を使用することなく土壌を改良できるので、自然にやさしい土壌の改良方法と言える。
【0003】
前記腐植化を効率よく行う方法としては、腐植を土壌と混合することが挙げられる。これによって、腐植に含まれる微生物が土壌内に広がり繁殖するので、腐植化が促進される。なお、前記腐植とは、微生物により落ち葉、植物のチップ等の有機物を含む土壌中で長時間かけて微生物を培養、増殖したものであり、当該微生物を多く含みそれが高活性化されたものである。ここで、特許文献1には、腐植を取扱いやすくするために、当該腐植に対して造粒剤を混合することにより粒状とした土壌改良剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−61120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される粒状の土壌改良剤を用いて土壌を腐植化するためには、当該土壌改良剤を植物の苗や種の近傍の土壌に散布して混合する必要がある。特に、大量に植物を栽培する農家等においては、植え付けを行う植物の苗や種が均質に育成するように、当該植物の苗や種毎に所定量の前記土壌改良剤を計り取り、その近傍の土壌に散布して混合する必要がある。このことは、農家等にとって大きな負担となる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであって、植え付けした植物の近傍の土壌に、腐植等の土壌改良物質を所定量供給することができ、当該土壌を改良できる土壌改良用ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の土壌改良用ブロックは、植物を栽培するための土壌を改良する物質をブロックに成形した本体部と、該本体部の外周面から内部方向に向かって開口した切欠部と、を備えたものが水溶性の箱体に収納されてなることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の土壌改良用ブロックは、前記土壌を改良する物質が、前記土壌に混合することで該土壌を腐植化する腐植であることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の土壌改良用ブロックは、前記ブロックが薄板状であることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の土壌改良用ブロックは、前記ブロックが水溶性のバインダー材料によって固体化したものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の土壌改良用ブロックは、植物を栽培するための土壌を改良する物質をブロックに成形した本体部と、該本体部の外周面から内部方向に向かって開口した切欠部とを有したものが水溶性の箱体に収納されてなる。これにより、本土壌改良用ブロックは、前記切欠部内に位置させた前記植物の周囲の土壌に、前記本体部より前記物質を供給し、当該土壌を改良することができる。又、本土壌改良用ブロックは、前記物質がブロックに成形されているので、計量することなく所定量の当該物質を植物に供給できる。そのため、本土壌改良用ブロックは、農家等の負担を低減することができる。さらに、本土壌改良用ブロックは、前記切欠部が開口したものであるので、植物の根元に対しその側面方向から近づけて、当該植物を当該切欠部内に位置させることができる。そのため、葉等が茂った植物に対しても使用することができる。加えて、本土壌改良用ブロックは、雨水や散水等により徐々に溶解して土壌に対し、それを改良する物質を供給することができる。
【0013】
請求項2に記載の土壌改良用ブロックは、ブロックを構成する土壌を改良する物質が腐植であるので、植物の周囲の土壌に腐植を供給して、当該土壌を腐植化することができる。
【0014】
請求項3に記載の土壌改良用ブロックは、ブロックが薄板状であるので、植物や土壌の状況に合わせて複数個重ねて使用することができる。
【0015】
請求項4に記載の土壌改良用ブロックは、ブロックが水溶性のバインダー材料によって固体化したものであるので、雨水や散水等により徐々に溶解して土壌に対し、それを改良する物質を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の土壌改良用ブロックの斜視図。
【図2】本発明の土壌改良用ブロックの使用状態を示す断面図であり、(a)は土壌に植え付けた植物の苗の根元に土壌改良用ブロックを配置した状態、(b)は切欠部内に植物の苗が位置するように土壌改良用ブロックを土壌に埋め込んだ状態。
【図3】他形状の土壌改良用ブロックの斜視図。
【図4】ケースを用いた土壌改良用ブロックの斜視図。
【図5】ケースの斜視図。
【図6】他形状のケースの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。本発明に係る土壌改良用ブロック1は、腐植2をブロックに成形したものであり、図1に示すように本体部3と、該本体部3に設けられた切欠部4とにより構成されるものである。
【0019】
前記腐植2は、上述のように、微生物により落ち葉、植物のチップ等の有機物を含む土壌中で長時間かけて微生物を培養、増殖したものであり、当該微生物を多く含みそれが高活性化されたものである。
【0020】
前記本体部3は、植え付ける植物の苗6や図外の種の周囲の土壌5を腐植化可能な量であり、当該土壌5の性質、当該植物の苗6等の種類、品種等により定まる所定量の腐植2を含んでいる。
【0021】
又、本体部3は、前記腐植2に対し、図外のバインダー材料を添加して撹拌後、図外の型枠等を用いて成形したものである。前記バインダー材料は、腐植2内の微生物を死滅させることがなく、土壌5に対しても悪影響を与えないものであり、かつ、腐植2を定型性を有し固体化できると共に、該固体化後に雨水や散水等水分を与えることで徐々に溶解して腐植2を土壌に供給することが可能なものである。例えば、バインダー材料としては、水溶性セルロース等を使用することができる。なお、本体部3は、薄板状である矩形のブロックに成形した場合を図示しているが、これに限定されず、種々の形状に成形してよい。例えば、本体部3は、その外周形状が円形、楕円形、三角形等の任意の形状のブロックに成形してよい。又、本体部3は、薄板形状の他、球状、太線状、ドーナツ状等のブロックに形成してよい。
【0022】
前記切欠部4は、前記本体部3の外周面から内部方向に向かって開口した切欠である。この切欠部4は、図2(b)に示すように、土壌改良用ブロック1を土壌5に埋めて使用する際に、植物の苗6の根元を入れ易くするために、本体部3の側面を開口してその内部に植物の苗6等を位置させることができるようにしている。なお、切欠部4は、本体部3を成形する際に前記図外の型枠を用いて設けてよく、又は本体部3を成形後にカットすること等により設けてもよい。又、切欠部4の形状は、略U字型とした場合を図示しているが、これに限定されず、例えば矩形等任意の形状としてよい。
【0023】
以上説明した土壌改良用ブロック1の使用方法について説明する。まず、土壌5に植物の苗6や種等を植え付ける。次に、土壌5に植え付けた植物の苗6の根元等の側面方向から土壌改良用ブロック1を近づける。そして、図2(a)に示すように、前記切欠部4の前記本体部3の側面に開口した部分を通過して、該切欠部4内に前記植物の苗6の根元等が位置するまで、土壌改良用ブロック1を移動させる。
【0024】
次に、図2(b)に示すように、土壌5を掘って、土壌改良用ブロック1を埋め込む。この際、土壌改良用ブロック1は、本体部3の上面が土壌5の地表レベルと同等又はそれ以下のレベルとなるように、当該土壌5に埋め込む。土壌改良用ブロック1の土壌5への埋め込み後は、一般的な農作業と同様に土壌5へ如露等により散水して水分を与える。この際の散水は、植物の苗6等の周囲の広範囲に行い、特に土壌改良用ブロック1に対して念入りに散水する。このようにすることで、土壌改良用ブロック1は、前記散水、又その後の散水や降雨等により、その形状が徐々に崩れて溶解して腐植2を土壌5に供給する。これにより、腐植2が土壌5に混合し、当該腐植2に含まれている高活性化された微生物が土壌5内に転移して増殖し、当該土壌5の改良が進む。
【0025】
又、植物の苗6等は、切欠部4内に位置していることにより、本体部3に周囲を取り囲まれている。そのため、育成に直接かかわる植物の苗6等の周囲の土壌5が腐植2を供給されることにより腐植化されるので、当該植物の苗6等の育成が向上する。また、本体部3には、所定量の腐植2が含まれているので、多量の植物の苗6等を育成する場合であっても、それらを均質に育成することができる。
【0026】
又、土壌改良用ブロック1は、切欠部4が本体部3の側面に開口していることにより、土壌5に植え付けられた植物の苗6の根元等の側面方向から近づけて、切欠部4内に当該植物の苗6等を位置させることができる。そのため、土壌改良用ブロック1は、葉等が茂った大きな植物の苗6等に対しても使用することができる。又、土壌改良用ブロック1は、土壌5や植物の苗6の状況に合わせて、複数個重ねて使用することも可能である。
【0027】
なお、土壌改良用ブロック1は、図3に示すように2つの本体部7、8により構成してもよい。この本体部7、8は、前記本体部3と同様に、腐植2に前記図外のバインダー材料を添加して撹拌後、前記図外の型枠等を用いて成形したものである。なお、本体部7、8は、夫々、薄板状である半円形のブロックに成形した場合を図示しているが、これに限定されず、種々の形状に成形してよい。例えば、本体部7、8は、その外周形状が矩形、楕円形、三角形等の任意の形状のブロックに成形してよい。又、本体部7、8は、薄板形状の他、球状、太線状、ドーナツ状等のブロックに形成してよい。
【0028】
又、前記本体部7、8に設けられる切欠部9、10は、当該本体部7、8の外周面から内部方向に向かって開口した切欠である。この切欠部9、10の開口方向が対向するように本体部7、8を配置することで、植物の苗6等を両側から挟むようにして、その内部に位置させることができる。なお、切欠部9、10は、夫々、略半円形とした場合を図示しているが、これに限定されず、本体部7、8と同様に矩形等任意の形状としてよい。
【0029】
以上説明した本体部7、8により構成される土壌改良用ブロック1の使用方法について説明する。まず、土壌5に植物の苗6等を植え付ける。次に、土壌5に植え付けた植物の苗6等に側面方向から本体部7、8を近づける。この際、本体部7に設けられている切欠部9の開口方向と、本体部8に設けられている切欠部10の開口方向とが植物の苗6の根元等を介して対向するように近づける。これにより、植物の苗6等は、切欠部9、10により形成される空間内に位置する。その後、本体部3により構成される土壌改良用ブロック1と同様に本体部7、8土壌5へ埋め込み散水する。以上のように使用することで、本体部7、8により構成される土壌改良用ブロック1においても、本体部3により構成される土壌改良用ブロック1と同様に、植物の苗6等の育成を向上させることができる。
【0030】
又、土壌改良用ブロック1は、図4、5に示すようなケース11を用いて構成してもよい。このケース11は、本体部3に相当する外観形状を有しており、図5に示すように、中空であり上面が開口し、切欠部12を有した腐植2を収納する下ケース11aと、該下ケース11aの上面の開口した部分を塞ぐ蓋である上ケース11bとにより構成される。このケース11は、腐植2内の微生物を死滅させることがなく、土壌5に対しても悪影響を与えないものであり、かつ、雨水や散水等水分を与えることで徐々に溶解する材料により構成される。
【0031】
又、土壌改良用ブロック1は、図6に示すようなケース13、14を用いて構成してもよい。このケース13、14は、本体部7、8に相当する外観形状を有しており、前記ケース11と同様の材料により構成され、又該ケース11と同様に腐植2を収納し、切欠部15、16を有する下ケース13a、14aと、蓋として使用される上ケース13b、14bとにより構成される。
【0032】
上記ケース11を使用した土壌改良用ブロック1、及びケース13、14を使用した土壌改良用ブロック1は、本体部3により構成される土壌改良用ブロック1、及び本体部7、8により構成される土壌改良用ブロック1と同様に使用することができる。
【0033】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。例えば、土壌改良用ブロック1は、腐植2の他に、植物を栽培するための土壌の改良に寄与する物質、例えば堆肥等の肥料を用いて構成することが可能である。この場合であっても、土壌改良用ブロック1は、植物の苗6等を切欠部内に位置させて本体部によりその周囲を取り囲み、土壌5を改良して当該植物の苗6等の育成を向上することができる。
【0034】
また、土壌改良用ブロック1を使用する際は、先に土壌改良用ブロック1を土壌5に埋め込み、その後当該土壌改良用ブロック1の切欠部内の土壌5に植物の苗6等を植え付けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る土壌改良用ブロック1は、腐植化を効率よく行うことができる土壌改良用ブロックとして利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 土壌改良用ブロック
2 腐植
3 本体部
4、9、10、12、15、16 切欠部
5 土壌
6 植物の苗
11 ケース(箱体)
13、14 ケース(箱体)
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の土壌改良用ブロックの斜視図。
【図2】本発明の土壌改良用ブロックの使用状態を示す断面図であり、(a)は土壌に植え付けた植物の苗の根元に土壌改良用ブロックを配置した状態、(b)は切欠部内に植物の苗が位置するように土壌改良用ブロックを土壌に埋め込んだ状態。
【図3】他形状の土壌改良用ブロックの斜視図。
【図4】ケースを用いた土壌改良用ブロックの斜視図。
【図5】ケースの斜視図。
【図6】他形状のケースの斜視図。
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
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