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農水産
 
【考案の名称】日本蜜蜂用巣礎
【実用新案権者】
【識別番号】506049415
【氏名又は名称】徳永 進
【住所又は居所】愛媛県喜多郡内子町南山1294番地
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100071892
【氏名又は名称】河野 隆一
【考案者】
【氏名】徳永 進
【住所又は居所】愛媛県喜多郡内子町南山1294番地
【要約】
【課題】
日本蜜蜂の蝋に混合物を含有しないで巣礎材料とし、ハニカム構造の巣礎の六角形の巣房の一辺から対辺までの距離を自然に近い状態にすることで、日本蜜蜂のオスの割合を多からず少なからず制御し、働き蜂が巣礎の上に作る巣を常に均一に盛り上げることを可能とする。
【解決手段】
日本蜜蜂の純粋な蝋をフッ素病の予防のために160℃で熱処理した材料を用いて六角形の巣房を形成した巣礎の一辺から対辺までの距離を約4.9ミリとすることを特徴とする日本蜜蜂用巣礎は、西洋蜜蜂に比べてやや小さい日本蜜蜂の体型に似合っており、日本蜜蜂の巣の実測に基づいて割り出される平均の数値を巣房の直径にしたことにより、日本蜜蜂のオスの割合を制御して働き蜂の巣作りの盛り上がりが均一になる。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
日本蜜蜂の純粋な蝋を高温で熱処理した材料を用いてハニカム構造の六角形の巣礎を形成し、巣礎の六角形の巣房の一辺から対辺までの距離が約4.9ミリであることを特徴とする日本蜜蜂用巣礎。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
本考案は、日本蜜蜂の巣作りの盛り上げが均一な巣礎に関するものである。
【背景技術】
日本蜜蜂用巣礎、西洋蜜蜂用巣礎は、蜜蜂の働き蜂の体の大きさの違いから、日本蜜蜂用の六角形巣礎の大きさは西洋蜜蜂用巣礎に比べてやや小さく形成される必要がある。西洋蜜蜂用の巣礎の六角形の一辺から対辺までの距離は5.3ミリ(mm)ないし5.5ミリが一般的に使用されている。西洋蜜蜂の体型に比べると、蜜蜂の体型がやや小さい日本蜜蜂用の巣礎は、巣礎の六角形の一辺から対辺までの距離が4.7ミリが日本蜜蜂用巣礎として実用に共されている。
実用の巣礎は、蝋にパラフィン、ステアリン、セレシン等を混合している材料を使用する(非特許文献3)。このために集蜜の過程で蜂蜜にパラフィン、ステアリン、セレシン等が接触することを避けられない。特許文献1は小型六角巣房蜜、特許文献2は、ミツバチ用紙製巣脾、特許文献3は養蜂人口空巣脾が公開されている。
しかし、このように日本蜜蜂にとっては、西洋蜜蜂用の巣礎では大きくなるので日本蜜蜂の体型に親密性がなく、西洋蜜蜂用の5.4ミリ〜5.5ミリの巣礎を日本蜜蜂の巣箱に設置した場合は日本蜜蜂の働き蜂よりやや大きいオスの割合が多く誕生することになる。その結果オスは働き蜂に代わり蜜を集めることができないので蜜蜂の巣は消滅することになる。従来の日本蜜蜂用の4.7ミリの巣礎は平均して巣を盛り上げなかったり、日本蜜蜂の巣作りにむらができ均一な巣の盛り上がりができないという欠点があった。
日本蜜蜂が巣を作るための巣礎の用途において、この欠点は日本蜜蜂の親密な巣作りに関して大きな障害である。具体的には、巣作りは均一にならず貯蜜量が低下したり、王台から誕生する女王蜂がオスを引き連れて分蜂を早めたり、巣礎に混合されている物質に蜜が接触するなどの問題があった。
この改善策として、日本蜜蜂の蝋を採取して純粋に前記パラフィン等の物質を混入させないで巣礎の原料とする。そして、日本蜜蜂の生態中で作られた巣を測定して平均的な数値を算出して、それを巣礎の製作に応用し、巣の盛り上がりが平均して貯密量が多くなる巣礎を提供しようとするものである。これにより採密中の蜂蜜は巣礎に混合された物質に接触することがなくなり不純物として混入していないので日本蜜蜂の純粋な密を生産供給することが可能になる。非特許文献1〜2は、ハチ及び膜翅目の欄に、人間生活にとってなくてはならない有益な蜜蜂、日本蜜蜂、西洋蜜蜂に関する詳しい説明がある。
【特許文献1】
登録実用新案第3024953号公報
【特許文献1】
特開2005−058028号公報
【特許文献1】
特開平06−046707号公報
【特許文献1】
登録実用新案第3024953号公報
【非特許文献1】
講談社 「世界科学大事典」 編集 講談社出版研究所 昭和54年11月27日第3刷発行 第14巻294〜295頁 ハチ
【非特許文献2】
講談社 「世界科学大事典」 編集 講談社出版研究所 昭和54年11月27日第3刷発行 第17巻1〜8頁 膜翅目
【非特許文献3】
アヅミ書房 「新版 これからの養蜂」 井上 丹治著 昭和60年8月15日第五版発行 113頁蜜蜂の種類、137頁 第2巣礎の製造法
【非特許文献4】
日本養蜂振興会 「近代養蜂」 著者 渡辺 寛 渡辺 孝共著 平成12年6月1日改定第5版発行 16頁 二 ミツバチの住家に巣房、巣脾(スヒ)、巣礎、の意義について記載がある。
【考案の開示】
【考案が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、日本蜜蜂の蝋に混合物を混合しないで用いて、巣礎の六角形の巣房の一辺から対辺までの距離を、日本蜜蜂により造られている巣脾の六角形の巣房に近似させて作ることで、日本蜜蜂が巣礎の上に作る巣を常に均一に盛り上げることを可能とする。
【課題を解決するための手段】
本考案は、日本蜜蜂の純粋な蝋を高温で(160℃)で熱処理した材料を用いて六角形の巣礎を複数並べて形成し、六角形の巣礎の一辺から対辺までの距離(図2 L)を約4.9ミリとすることを最も主要な特徴とする。
【考案の効果】
本考案の日本蜜蜂用巣礎は、西洋蜜蜂に比べてやや小さい日本蜜蜂の体型に合った巣房を作るため、日本蜜蜂の巣の実測に基づいて、割り出される平均の数値に近い値を六角形の直径にしたことにより、日本蜜蜂の巣作りの盛り上がりが均一になるという利点がある。
【考案を実施するための最良の形態】
巣礎の上に日本蜜蜂が巣房を均一に巣作りするという目的を、日本蜜蜂の巣の実測値から推定される理想的な直径約4.9ミリの六角形のハニカム構造で日本蜜蜂の純粋な蝋を材料にして巣礎を作ることにより、巣礎の上に日本蜜蜂が作る巣の厚みを損なわず均一になる巣礎を実現した。
【実施例1】
図1は、本考案装置の1実施例の正面図であって、図2はそのA−A線断面図である。また、図3は実施例1の巣礎を90度回転して方向を変えて示した正面図であり、図4はそのB−B線断面図である。1は、ハニカム構造の巣礎全体、2,3,4はハニカム構造の巣礎を構成している複数の巣房、5a,5b,5c,5dはハニカム構造の巣礎を構成している複数の巣房、6a,6b,6c,6dは巣礎の六角形の中心、7a,7b,7c,7dは巣礎の六角形の一辺、 8は巣礎を取り付ける巣礎枠、 9は巣礎枠に張られている金属線でそこに取付けた巣礎を支持する。Lは、六角形の巣房の一辺から対辺までの距離(これを直径Lという。)を示す。
巣礎1は日本蜜蜂の蝋を使用して作成しており、直径L約4.9ミリの六角形の巣房をハニカム構造に形成している。ハニカム構造を有する巣礎1は、巣房2,3,4等を形成する。直径Lを日本蜜蜂の体型に合わせて形成しており、例えば図1,2に示す7cから7dまでの距離(図2に示すL)が約4.9ミリの長さを有し、巣礎の六角形の中心6a,6b,6c,6dを巣房の中心として盛り上がりのある壁を作りながら均一な巣作りをする。本考案の主体は直径Lが約4.9ミリの六角形で形成される巣房を有する巣礎のハニカム構造にある。
一般に日本蜜蜂の蝋は、図6に示す工程によって作られる。その作り方について説明すれば、蜂密を搾った後の巣を集め、それを麻布袋に入れて熱湯の中に入れることで、蝋が溶ける。溶蝋の適温は74℃〜77℃である(非特許文献3、第137頁)。湯面に浮いた蝋をたも網で掬い取り、蝋を水の中に入れて冷却して固形化する。固形化した蝋を集めて釜に入れ、水を多めに入れ熱湯で沸かして冷却して、蝋の底面に付着しているごみを削って除去し、この工程を繰り返して、純粋蝋に加工する。この工程で160℃の高温で熱処理し消毒する。熱処理によりフッ素病の病原菌は140℃で死滅する。
下記の表1に日本蜜蜂の巣脾の実測値の例を示す。日本蜜蜂の巣脾の大きさを測定しセンチメートル(cm)で表示した。その巣脾の幅の中に在る巣房の個数で巣脾の大きさの欄に記載の数値を除することにより、1単位巣房の大きさの値を算出しミリ(ミリメートル、mm)で示した。
【表1】
表1
上記の表に示した数値に基づいて、日本蜜蜂の実際の巣脾は1単位巣房の大きさの平均値を求めれば約4.86ミリである。これによりハニカムの六角形の巣房の直径が4.9ミリ前後の値に集中している。前記の平均値により、巣礎のハニカム構造の六角形の直径が約4.9ミリにすることが、日本蜜蜂の体型にあった大きさであることが推定される。
西洋蜜蜂用の巣礎は一般的に5.3ミリ〜5.5ミリのものであるので、西洋蜜蜂の巣礎を日本蜜蜂の巣箱の中に入れた場合には巣礎が大きすぎることが言える。このことは、西洋蜜蜂用の巣礎を巣箱に入れて日本蜜蜂を飼育した場合、日本蜜蜂にとってはその体型に合わない巣礎の上に巣作りをしなければならないことになるので、日本蜜蜂の働き蜂よりやや大きいオスの誕生が多くなって働き蜂の巣作りの上手下手が巣の盛り上がりのむらになって現れることになる。本考案の巣礎は、標準的な大きさで、縦19.5センチ、幅40センチ、厚さ1ミリである。巣房の厚さ(六角形の壁の厚さ)は、約1ミリ弱である。巣箱の大きさと飼育する日本蜜蜂の数により、巣礎の大きさ、巣礎の厚さは変更される場合がある。
図6に示す蝋の作り方で、日本蜜蜂の巣から作られる混合物を含有していない純粋な蝋を材料にして日本蜜蜂用の巣礎を作るために、ハニカム構造の六角形の直径Lが約4.9ミリを採用したので、日本蜜蜂の体型的な親密性を損なうことがなくなり、女王蜂はオスの誕生を多からず少なからず制御することができることになり、巣の盛り上がりが不均一になる不具合を解消することができる。蝋の製造工程でパラフィン等の混合物を入れないで作られた純粋な蝋を巣礎の材料にすることにより混合物に接触しない採蜜をすることもできる。従って、均一な巣脾からの採蜜量が増加し、採蜜された蜂蜜の不純物を低減する効果がある。
【産業上の利用可能性】
ハニカム構造の六角形の直径が約4.9ミリを採用した本考案の巣礎を巣礎枠に取付けて養蜂用巣箱に入れることによって、女王蜂は日本蜜蜂の体型に合った巣礎によりオスの割合をバランスよく維持して、働き蜂の巣作りを維持して巣の盛り上がりにむらがなく採蜜量も増加できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】巣礎の正面の実施方法を示した説明図である。(実施例1)
【図2】巣礎の正面(図1)のA−A線断面図である。(実施例1)
【図3】巣礎の正面(図1)の方向を45度回転して実施方法を示した説明図である。(実施例1)
【図4】巣礎の正面方向を45度回転して実施方法を示したB−B線断面図である。(実施例1)
【図5】巣礎を巣礎枠に取付けてある実施方法を示した説明図である。(実施例1)
【図6】日本蜜蜂の蝋の作り方工程を示したフロー図である。
【符号の説明】
1 巣礎全体
2,3.4 六角形巣礎の巣房
5a,5b,5c,5d 巣礎の六角形の一辺から対辺までの距離
6a,6b,6c,6d 巣礎の六角形の中心
7a,7b,7c,7d 巣礎の六角形の一辺
8 巣礎を取り付ける巣礎枠
9 巣礎枠に張った巣礎を支持する金属線
L 六角形の巣房の一辺から対辺までの距離
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
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