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【発明の名称】プランター 【特許権者】 【識別番号】510223520 【氏名又は名称】中安 一夫 【住所又は居所】静岡県浜松市浜北区寺島1066−5番地 【代理人】 【識別番号】100136674 【弁理士】 【氏名又は名称】居藤 洋之 【発明者】 【氏名】中安 一夫 【住所又は居所】静岡県浜松市浜北区寺島1066−5番地 【参考文献】 【文献】特開2003−180167(JP,A) 【文献】特開2002−360072(JP,A) 【文献】特開昭55−91315(JP,A) (58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名) A01G 9/00 【要約】 【課題】栽培している植物の根が排水用の溝内に到達し難くして溝内の排水性を長期間維持できるとともに根腐れを防止して植物を健全に育成することができるプランターを提供する。 【解決手段】プランター100は、土収容部101を備えている。土収容部101は、植物Pを植える土Sを下方から支持する土支持底部102の外周部に側壁104が起立した状態で設けられて構成されている。土支持底部102の中央部には、土支持底部102の互いに対向する端部間に亘って帯状に開口しつつ下方に向かって有底状に張り出した排水溝110が形成されている。この排水溝110の深さD2は、土収容部101の深さD1よりも深く形成されている。また、土支持底部102の外周部には、側壁104と連続した状態で排水溝110の下端部よりも下方まで延びる側板105a,105bが形成されている。 【選択図】 図5 【特許請求の範囲】 【請求項1】 植物を栽培するための土を支持する土支持底部および同土支持底部の周囲を起立した状態で囲む側壁をそれぞれ有して前記土を上方が開放した状態で収容する土収容部と、 前記土支持底部の一部に帯状に開口しつつ同土支持底部から下方に張り出した有底状の排水溝とを備え、 前記排水溝は、 前記土収容部の深さより深い深さに形成されていることを特徴とするプランター。 【請求項2】 請求項1に記載したプランターにおいて、さらに、 前記側壁に繋がった状態で前記土支持底部より下方に板状に延びる側板を備え、 前記側板は、 前記排水溝の下端よりも下方に延びて前記土支持底部を前記プランターの設置面上で支持することを特徴とするプランター。 【請求項3】 請求項2に記載したプランターにおいて、 前記側板は、 前記排水溝における底部が延びる方向上に設けられており、 前記排水溝は、 同排水溝における底部が延びる方向における両端部が前記側板にそれぞれ連結されていることを特徴とするプランター。 【請求項4】 請求項2または請求項3に記載したプランターにおいて、 前記側板は、 前記土支持底部の下方の領域である下方空間に連通する通気孔がそれぞれ形成されていることを特徴とするプランター。 【請求項5】 請求項4に記載したプランターにおいて、さらに、 前記通気孔を介して前記下方空間に設けられて同下方空間内を冷却または加熱するための冷温配管が設けられていることを特徴とするプランター。 【請求項6】 請求項2ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載したプランターにおいて、 前記側板は、 前記土支持底部の外周部よりも外側に形成されていることを特徴とするプランター。 【請求項7】 請求項2ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載したプランターにおいて、 前記土収容部、前記排水溝および前記側板は、それぞれ黒色で形成されていることを特徴とするプランター。 【請求項8】 請求項2ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載したプランターにおいて、 前記排水溝は、 前記側板を貫通して外部に露出する筒状の排液管を備えていることを特徴とするプランター。 【請求項9】 請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載したプランターにおいて、 前記排水溝は、 前記土支持底部の中央部に形成されており、 前記土支持底部は、 前記排水溝における開口部分に向かって下り傾斜して形成されていることを特徴とするプランター。 【請求項10】 請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載したプランターにおいて、 前記排水溝は、 底部が下方に向かって湾曲する円弧状に形成されていることを特徴とするプランター。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、植物を栽培するためのプランターに関する。 【背景技術】 【0002】 従来から、植物を栽培するための土を収容する土収容部を有したプランターが知られている。例えば、下記特許文献1には、植物を栽培するための土を収容する容器基体の底部に格子状に排水用の溝となる排水用傾斜溝が形成された栽培容器が開示されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】特開平6−125664号公報 【0004】 しかしながら、上記特許文献1に記載された栽培容器においては、排水用傾斜溝の深さが浅いため溝内に栽培する植物の根が到達し易く排水性が損なわれるとともに、根によっ て滞留した水や液肥によって根腐れが生じるという問題があった。 【0005】 本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、栽培している植物の根が排水用の溝内に到達し難くして溝内の排水性を長期間維持できるとともに根腐れを防止して植物を健全に育成することができるプランターを提供することにある。 【発明の概要】 【0006】 上記目的を達成するため、本発明の特徴は、植物を栽培するための土を支持する土支持底部および同土支持底部の周囲を起立した状態で囲む側壁をそれぞれ有して土を上方が開放した状態で収容する土収容部と、土支持底部の一部に帯状に開口しつつ同土支持底部から下方に張り出した有底状の排水溝とを備え、排水溝は、土収容部の深さより深い深さに形成されていることにある。 【0007】 このように構成した本発明の特徴によれば、プランターは、土収容部の土支持底部に帯状に開口した状態で排水溝を有するとともに、この排水溝の深さが土収容部の深さより深く形成されているため、土収容部内の水や液肥を効率的に排水溝に導きつつ土収容部で栽培している植物の根が排水溝の底部に到達し難くなる。これにより、本発明に係るプランターは、排水溝内の排水性を長期間維持できるとともに根腐れを防止して植物を健全に育成することができる。 【0008】 この場合、プランターは、土支持底部における排水溝の開口部分の開口幅を狭くする、または同開口部分に液体を透過させつつ土を透過させない袋体やフィルタを介して土収容部内に土を収容することで排水溝内への土の流出を防止できる。この場合、フィルタとしては、樹脂製、金属製または植物繊維製の網状体や多孔質体で構成することができる。なお、本発明に係るプランターで栽培する植物としては、根が収穫物とならない植物(所謂根菜など)、具体的には、アブラナ、キャベツ、コマツナ、チンゲンサイ、ニラ、ニンニク、ネギ、ハクサイ、ホウレンソウ、ミズナまたはレタスなどの所謂葉物野菜や草花が好適である。 【0009】 また、本発明の他の特徴は、前記プランターにおいて、さらに、側壁に繋がった状態で土支持底部より下方に板状に延びる側板を備え、側板は、排水溝の下端よりも下方に延びて土支持底部をプランターの設置面上で支持することにある。 【0010】 このように構成した本発明の他の特徴によれば、プランターは、土支持底部の縁部から下方に板状に延びる側板を備えるとともに、この側板が排水溝の下端よりも下方に延びて形成されて土支持底部をプランターの設置面上で支持するため、土支持底部がプランターの設置面に対して排水溝の深さ以上の高さ位置に配置されるとともに設置面と土支持底部との間の空間が側板によって外側空間に対して仕切られる。これにより、本発明に係るプランターは、土収容部内の熱が土支持底部から直接設置面に奪われることが防止されるとともに土支持底部の下方空間の空気の流れを側板で規制して土収容部内の熱が底部から直接外気に奪われることを防止することができるため、土収容部内の温度低下を抑制して植物の育成を促進することができる。特に、冬季においては、側板を設けることは有効である。 【0011】 また、本発明の他の特徴は、前記プランターにおいて、側板は、排水溝における底部が延びる方向上に設けられており、排水溝は、同排水溝における底部が延びる方向における両端部が側板にそれぞれ連結されていることにある。 【0012】 このように構成した本発明の他の特徴によれば、プランターは、排水溝が延びる方向における排水溝の両端部が側板に連結されているため、土支持底部が支持する土の荷重を排水溝を介して側板によって支持できる。すなわち、プランターは、排水溝に土支持底部の補強機能を持たせることができるので、安定した状態で土を支持することができる。 【0013】 また、本発明の他の特徴は、前記プランターにおいて、側板は、土支持底部の下方の領域である下方空間に連通する通気孔がそれぞれ形成されていることにある。 【0014】 このように構成した本発明の他の特徴によれば、プランターは、土収容部の下方空間が側板に設けられた通気孔を介して外部と連通しているため通気性および採光性を確保して下方空間内の環境が悪化(空気の滞留、カビや害虫の発生)することを防止することができる。 【0015】 また、本発明の他の特徴は、前記プランターにおいて、さらに、通気孔を介して下方空間に設けられて同下方空間内を冷却または加熱するための冷温配管が設けられていることにある。この場合、冷温風管は、冷水、温水、冷風または温風を通すことができる樹脂材の管材(例えば、塩ビ管)のほか、樹脂材や布材を可撓性のある環状に形成したホース(柔らかい管)で構成することができる。また、冷温配管は、冷水、温水、冷風または温風を流通させるのみであってもよいし、配管側面に孔を設けておいてこの孔から下方空間内に冷水、温水、冷風または温風を流出させるように構成されていてもよい。 【0016】 このように構成した本発明の他の特徴によれば、プランターは、通気孔を介して下方空間に冷風または温風を供給するための冷温配管が設けられているため、下方空間内を冷却または加温することにより土収容部内の土の温度をコントロールして植物の育成を促進させることができる。 【0017】 また、本発明の他の特徴は、前記プランターにおいて、側板は、土支持底部の外周部よりも外側に形成されていることにある。 【0018】 このように構成した本発明の他の特徴によれば、プランターは、側板が土支持底部の外周部よりも外側の位置に突出して形成されているため、土や植物を支持する土収容部を安定的に支持することができる。 【0019】 また、本発明の他の特徴は、前記プランターにおいて、土収容部、排水溝および側板は、それぞれ黒色で形成されていることにある。 【0020】 このように構成した本発明の他の特徴によれば、プランターは、土収容部、排水溝および側板がそれぞれ黒色に構成されているため、排水溝内に光が導かれることが防止されて排水溝内に苔、藻または細菌の繁殖を抑制でき、排水溝内の衛生環境を良好に保つことができるとともに清掃負担を軽減することができる。 【0021】 また、本発明の他の特徴は、前記プランターにおいて、排水溝は、側板を貫通して外部に露出する筒状の排液管を備えていることにある。 【0022】 このように構成した本発明の他の特徴によれば、プランターは、排水溝が側板を貫通して外部に露出する筒状の排液管を備えているため、排水溝を介して導かれる水や液肥などの液体を回収し易く、プランターの周囲が汚れるのを防止できる。これにより、本発明に係るプランターは、室内に設置することもできる。また、さらに、本発明に係るプランターは、排液管を介して複数のプランター同士を互いに連結することができ、複数のプランターを使用して植物の大量栽培を行うことができる。 【0023】 また、本発明の他の特徴は、前記プランターにおいて、排水溝は、土支持底部の中央部に形成されており、土支持底部は、排水溝における開口部分に向かって下り傾斜して形成されていることにある。 【0024】 このように構成した本発明の他の特徴によれば、プランターは、排水溝が土支持底部の中央部に形成されているとともに、土支持底部が排水溝における開口部分に向かって下り傾斜して形成されているため、土収容部内の液体を効率的に排水溝に導いて土収容部内における根腐れを防止できる。また、前記フィルタを網状に形成した場合、プランターは、フィルタの幅を広く形成することで土支持底部上におけるフィルタの配置位置を上方に位置させることができ、土収容部内の土の量を調整することができる。 【0025】 また、本発明の他の特徴は、前記プランターにおいて、排水溝は、排水溝の底部が下方に向かって湾曲する円弧状に形成されていることにある。 【0026】 このように構成した本発明の他の特徴によれば、プランターは、排水溝の底部が下方に向かって湾曲する円弧状に形成されているため、排水溝の最深部に液体を集めて排水性を高めることができる。また、本発明に係るプランターによれば、排水溝の底部を方形に形成した場合に比べて角部に液体が滞留して苔、藻または細菌の繁殖を抑制でき、排水溝内の衛生環境を良好に保つことができるとともに清掃負担を軽減することができる。 【図面の簡単な説明】 【0027】 【図1】第1実施形態に係るプランターの斜視図である。 【図2】(a)は、図1(a)に示す矢印2a方向から見たプランターの正面図である。(b)は、図1(a)に示す矢印2b方向から見たプランターの右側面図である。 【図3】(a)は、図1(a)に示す矢印3a方向からから見たプランターの平面図である。(b)は、図1(a)に示す矢印3b方向から見たプランターの底面図である。 【図4】第1実施形態に係るプランターを複数連結した状態を示す側面図である。 【図5】図4に示す5−5線から見たプランターの使用状態を示す断面図である。 【図6】第2実施形態に係るプランターの側面図である。 【図7】図6に示す7−7線から見たプランターの断面図である。 【図8】図6に示す7−7線から見たプランターの使用状態を示す断面図である。 【図9】(a)、(b)は、流路形成部の変形例を示すプランターの断面図である。 【発明を実施するための形態】 【0028】 以下、本発明に係るプランターの実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係るプランター100の斜視図である。また、図2(a)は、図1に示すプランター100の正面図である。また、図2(b)は、図1に示すプランター100の右側面図である。また、図3(a)は、図1に示すプランター100の平面図である。また、図3(b)は、図1に示すプランター100の底面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。このプランター100は、葉物野菜からなる植物Pを土Sを用いて栽培するための容器である。 【0029】 (第1実施形態に係るプランター100の構成) プランター100は、土収容部101を備えている。土収容部101は、プランター100によって栽培する植物Pを植える土Sを収容する部分であり、上方が開口する方形の箱状に形成されている。具体的には、土収容部101は、平面視で長方形状に形成された板状の土支持底部102の外周部に4つの側壁104がそれぞれ起立した状態で形成されて構成されている。本実施形態においては、土収容部101は、後述するココナッツバッグCBの縦横が隙間なく収まりつつココナッツバッグCBの上側半分が露出する大きさに形成されている。 【0030】 土支持底部102は、土Sを下方から支持する部分であり、幅方向Wの中央部に長手方向Lに沿って開口する排水溝110の開口部111に向かって下り傾斜して形成されている。すなわち、土支持底部102は、排水溝110の両側にそれぞれ形成されている。また、土支持底部102の下面は、長手方向Lに複数配置された幅方向に延びるリブ103によって排水溝110の外表面および側板105aの内面にそれぞれ連結されている。 【0031】 4つの側壁104は、土収容部101内に収容される土Sを側方から支持するための部分であり、土支持底部102の最外周部から上方に向かって起立して延びる板状体で構成されている。この場合、4つの側壁104の高さ、すなわち、土収容部101の深さD1は、植物Pの栽培(植物Pの収穫まで)に必要な土Sの厚さを確保できる高さ(深さ)に形成されている。本実施形態においては、土収容部101の深さD1は、土支持底部102の最外周部の最も浅い箇所で6cmに形成されるとともに土支持底部102における開口部111の箇所で7cmに形成されている。 【0032】 4つの側壁104における土支持底部102より下方には、それぞれ側板105a,105bがそれぞれ繋がって形成されている。側板105a,105bは、プランター100の設置面G上で土収容部101を支持するとともに土支持底部102の下方空間を囲う部分であり、前記4つの側壁104がそれぞれ下方に延びて形成されている。この場合、4つの側板105a,105bは、最下端部が排水溝110の最下部よりも下方に位置する長さに形成されている。これにより、排水溝110の最下部は、設置面Gよりも若干浮いた状態で支持されている。 【0033】 また、4つの側板105a,105bのうち、土支持底部102の長手方向Lに沿って延びる2つの側板105aは、土支持底部102の下方位置で段部106を介して同土支持底部102の外側に張り出して形成されているとともに、各最下端部が更に外側にフランジ状に張り出して形成されている。つまり、2つの側板105aは、土支持底部102の幅よりも広い間隔を介して設けられている。また、4つの側板105a,105bのうち、土支持底部102の幅方向Wに沿って延びる2つの側板105bにおける土支持底部102の下方には、それぞれ2つずつの通気孔107が形成されている。 【0034】 通気孔107は、土支持底部102の下方空間UE内の通気および採光または下方空間UEに対して冷温配管108を通すための貫通孔であり、後述する排液管112の両側にそれぞれ形成されている。 【0035】 排水溝110は、土収容部101内に供給された水や液肥などの液体を土収容部101の外に導くための水路であり、土支持底部102の下方に延びて形成されている。より具体的には、排水溝110は、土支持底部102の幅方向Wの中央部の位置に長手方向Lの両端部間に亘って凹状に窪んで形成されている。この場合、排水溝110の深さD2、すなわち、土支持底部102に形成された開口部111から排水溝110の最深部の距離は、土収容部101の深さD1より深い深さで形成されている。本実施形態においては、排水溝110は、9cmに形成されている。 【0036】 また、排水溝110の底部は、断面形状において下方に向かって凸状に張り出す円弧状に形成されている。この排水溝110の長手方向Lの両端部は、側板105bにそれぞれ繋がって開口しており、この各開口部分に排液管112がそれぞれ設けられている。排液管112は、排水溝110内に導かれた液体を排水溝110の外に導くための管路であり、排水溝110の最深部に連通する円筒体で構成されている。 【0037】 (プランター100の製造方法) ここで、プランター100の製造方法について説明する。このプランター100は、溶融した樹脂材料を金型内に注入して成型する射出成形で成形することができる。この場合、プランター100は、プランター100全体を一体的に成形してもよいが、プランター100を部分的に成形して後加工によって完成させることもできる。 【0038】 具体的には、プランター100は、まず、土収容部101、側板105a,105bおよび排水溝110が射出成形により一体的に成形される。次いで、プランター100は、2つの側板105bにそれぞれ2つずつ通気孔107が切削加工により形成される。次いで、プランター100は、別工程で製作しておいた2つの排液管112を各側板105bにそれぞれ開口する排水溝110の両端部にそれぞれ溶着する。これにより、プランター100を完成させることができる。 【0039】 また、プランター100を構成する樹脂材料としては、例えば、硬質ポリエチレンや硬質プロピレンなど硬質の熱可塑性樹脂を使用することができる。また、プランター100は、少なくとも、土収容部101、側板105a,105bおよび排水溝110を黒色に形成することができる。本実施形態においては、プランター100は、全体が黒色に形成されている。また、プランター100は、樹脂材料以外の材料、例えば、金属材料や木材で構成することもできる。 【0040】 (プランター100の作動) 次に、このように構成したプランター100の作動について説明する。プランター100を用いて植物Pの栽培を行う作業者は、まず、プランター100を用意する。この場合、作業者は、プランター100を単体で使用することができるが、複数のプランター100を並べて使用することもできる。この場合、作業者は、例えば、図4に示すように、複数のプランター100を互いに長手方向Lに沿って配置するとともに、互いに隣接するプランター100同士を連結して使用することができる。 【0041】 具体的には、作業者は、互いに隣接して対向し合う排液管112同士を連結配管JPなどを用いて連結することができる。この場合、作業者は、連結配管JPとして可撓性を有しない金属製または樹脂製のパイプを用いて連結してもよいが、可撓性を有するゴムホースを用いて連結することにより設置面Gに凹凸や長手方向Tの高さに相違があってもプランター100同士を精度良く連結することができる。また、プランター100は、屋外に設置することもできるが、室内や温室ハウス内に配置することもできる。 【0042】 次に、作業者は、土Sおよび植物Pをそれぞれ用意する。この場合、作業者は、土Sとして、ココナッツバッグCBを用意することができる。ココナッツバッグは、ココナッツ殻から繊維質を取り除いた残存物であるココナッツダストを乾燥させてチップ状に圧縮成形したものを土Sとして樹脂製の袋内に詰めたものである。また、作業者は、植物Pとして、植物Pのタネまたは苗を用意することができる。 【0043】 次に、作業者は、土Sをプランター100内に収容する。具体的には、作業者は、ココナッツバッグCBを土収容部101内にセットする。この場合、作業者は、ココナッツバッグCBの底面にキリなどの道具を用いて水抜き用の貫通孔SHを複数個形成した上で土収容部101内に収容する。 【0044】 次に、作業者は、植物Pを土S内に植える。具体的には、作業者は、図5に示すように、ココナッツバッグCBの上面を刃物を用いて切って開口し土S内に植物Pの種または苗を植える。そして、作業者は、ココナッツバッグCB内の植物に水や肥料を適宜与えて栽培を開始する。 【0045】 この植物Pの栽培過程において、ココナッツバッグCB内に供給された水や液肥などの液体は、ココナッツバッグCBの底面に開けた貫通孔SHを介して土収容部101における底部02を介してまたは同貫通孔SHから直接排水溝110に導かれる。そして、排水溝110に導かれた液体は排水溝110の両端部にそれぞれ設けられた排液管112を介して排水溝110の外に排水される。 【0046】 また、植物Pの栽培過程においては、植物Pの根が伸びてココナッツバッグCBの底面に開けた貫通孔SHから抜け出ることがある。しかし、プランター100は、排水溝110が土支持底部102の一部にのみ形成されているため、植物Pの根の全てが排水溝110に到達し難くなっている。また、プランター100は、排水溝110の深さD2が土収容部101の深さD1より深い深さで形成されているため、植物Pの根が排水溝110の底部に到達し難くなっている。これにより、プランター100は、排水溝110内の排水性を長期間維持できるとともに植物Pの根腐れを防止することができる。 【0047】 また、この場合、植物Pは根の成長とともに葉や茎も成長する。したがって、プランター100は、植物Pの根が排水溝110の底部の最深部に到達する前に植物Pの一部または全部を収穫できる程度まで成長させることができる。これにより、プランター100は、植物Pを根腐れなく健全に育成することができる。 【0048】 また、作業者は、植物Pの栽培過程において、図4および図5にそれぞれ示すように、土支持底部102の下方空間UEに温風を供給する冷温配管108を設けることもできる。具体的には、作業者は、側板105bに形成した通気孔107を介して冷温配管108を設ける。この場合、冷温配管108は、塩ビ管で構成されるとともに、塩ビ管の壁面に温風を下方領域UE内に流出させるための流出孔108aが複数形成されている。 【0049】 そして、作業者は、冷温配管108が繋がれた図示しない温風発生器を作動させて冷温配管108を介して土支持底部102の下方空間UEに温風を供給する。これにより、プランター100は、土支持底部102の下方空間UEが側板105a,105bによって覆われているため、下方空間UE内の温度を上昇させて土Sの温度を上昇させることができ植物Pの育成を促進させることができる。この場合、プランター100は、下方空間UEに隣接して排水溝110が設けられているため、排水溝110内の液体の凍結を防止して排水性を確保することができる。 【0050】 なお、冷温配管108は、温風に代えて冷風、温水または冷水を供給するようにしてもよい。また、図4においては、冷温配管108を二点鎖線で示している。また、冷温配管108は、流出孔108aを省略して温風、冷風、温水または冷水を外部に流出させず流通させるのみでもよい。また、冷温配管108は、シート状のポリ塩化ビニル材を筒状に形成したホースで構成することもできる。 【0051】 上記作動説明からも理解できるように、上記第1実施形態によれば、プランター100は、土収容部101の土支持底部102に帯状に開口した状態で排水溝110を有するとともに、この排水溝110の深さD2が土収容部101の深さD1より深く形成されているため、土収容部101内の水や液肥を効率的に排水溝110に導きつつ土収容部101で栽培している植物Pの根が排水溝110の底部に到達し難くなる。これにより、本発明に係るプランター100は、排水溝110内の排水性を長期間維持できるとともに根腐れを防止して植物Pを健全に育成することができる。 【0052】 (第2実施形態) 次に、本発明に係るプランターの一実施形態である第2実施形態について図面を参照しながら説明する。この第2実施形態におけるプランター100は、図6〜図8にそれぞれ示すように、上記第1実施形態におけるプランター100に対して、主として、固定部120、蓋体130および配管支持体140を備えるとともに段部106を有しない点が異なる。したがって、この第2実施形態におけるプランター100においては、上記第1実施形態におけるプランター100と異なる部分を中心に説明して、両実施形態において共通する部分や対応する部分については適宜説明を省略する。 【0053】 固定部120は、プランター100を設置面Gに固定するための部分であり、側板105bの下端部における幅方向Wの両端部から外側に張り出してそれぞれ形成されている。これらの固定部120には、貫通孔121がそれぞれ形成されている。したがって、作業者は、貫通孔121に貫通した状態で釘状の杭122を打ち込むことでプランター100を設置面Gに固定することができる。 【0054】 蓋体130は、土収容部101の上面を覆う部品であり、樹脂材を板状に形成して構成されている。この蓋体130は、中央部に植物Pを貫通させるための貫通孔131が形成されるとともに、幅方向Wの両端部に側壁104の上端部に嵌め込むための嵌合片132が形成されている。一方、土収容部101を構成する側壁104の上端部には、外側に向かって水平に屈曲した水平部104aが形成されており、この水平部104aに前記嵌合片132が嵌合する嵌合孔104bが形成されている。 【0055】 したがって、作業者は、土収容部101の上面を覆いたい場合、例えば、土収容部101内に収容した土Sの飛散や害虫の侵入を防ぎたい場合などには、蓋体130の嵌合片132を嵌合孔104bに嵌め込むことで土収容部101の上面を覆うことができる。これにより、土収容部101内での苔、藻または細菌の繁殖を抑制でき、土収容部101内の衛生環境を良好に保つことができるとともに清掃負担を軽減することができる。なお、蓋体130は、嵌合孔104bから嵌合片132を抜くことで土収容部101上から取り外すこともできる。 【0056】 配管支持体140は、土収容部101内の土Sに水や液肥を供給するための配管である供給配管SPを支持するための部品であり、樹脂材を断面形状がL字状に延びるフレーム状に形成して構成されている。この配管支持体140の下端部には、側壁104の上端部に嵌め込むための嵌合片141が形成されている。一方、側壁104の上端部には、前記水平部104aの外縁部が更に下方に下垂して下垂部104cが形成されるとともに、この下垂部104cに嵌合孔104dが形成されている。嵌合孔104dは、後述する嵌合片141が嵌め込まれる貫通孔である。 【0057】 したがって、作業者は、土収容部101の周囲に供給配管SPを配置する場合には、配管支持体140における嵌合片141を側壁104における嵌合孔104dに嵌め込むことで供給配管SPを土収容部101の長手方向Lに沿って設けることができる。そして、作業者は、土収容部101に設けた配管支持体140上に供給配管SPを配置して、図示しない給水装置または液肥供給装置を作動させて供給配管SPを介して土収容部101内の植物Pに水や液肥を供給することができる。 【0058】 また、この第2実施形態においては、土収容部101内に土Sを収容している。この場合、作業者は、土収容部101内に開口する排水溝110の開口部111にフィルタ150を配置しておく。フィルタ150は、水や液肥などの液体を透過させつつ土Sを透過させない程度の網目を持つ樹脂製の板状体であり、開口部111を覆う大きさに形成されている。これにより、土収容部101内に収容した土Sが排水溝110に流出することを防ぐことができるとともに、植物Pの根が排水溝110内に進入することも防ぐことができる。 【0059】 また、フィルタ150は、幅方向Wの長さを長くすることにより、傾斜した土支持底部102上での高さ方向の配置を上昇させることができる。すなわち、フィルタ150は、土収容部101内に収容した土Sや植物Pの根が排水溝110に導かれることを防止しつつ土収容部101の深さD1を浅くすることができる。 【0060】 さらに、本発明の実施にあたっては、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、下記各変形例において、上記実施形態と同様の構成部分については同じ符号を付して、その説明を省略する。 【0061】 例えば、上記各実施形態においては、排水溝110は、土支持底部102における幅方向Wの中央部に形成した。しかし、排水溝110は、例えば、図9(a)に示すように、土支持底部102における幅方向Wの一端側に形成するようにしてもよい。この場合、図9(a)に示すように、4つの壁状の側壁104は、必ずしも土支持底部102の外周部から直接起立していなくてもよく、側板105a(または側板105b)にのみ繋がって形成されていてもよい。 【0062】 また、排水溝110は、例えば、図9(b)に示すように、土支持底部102における幅方向Wの両端部にそれぞれ形成するようにしてもよい。この場合、土支持底部102は、幅方向Wの中央部から両端部の排水溝110に向かってそれぞれ下降傾斜するように形成するとよい。これによれば、プランター100は、土支持底部102の両端部に設けられた2つの排水溝110に早期に液体を導くことができる。また、排水溝110は、土支持底部102の幅方向Wに亘って1列または複数列に形成してもよい。 【0063】 また、上記各実施形態においては、プランター100は、4つの側板105a,105bによって自立している。しかし、プランター100は、側板105a,105bを省略して構成することもできる。この場合、プランター100は、例えば、土支持底部102の四隅から下方に突出する脚を設けたり、別途、プランター100を支持する架台を用意しても良い。また、プランター100は、排水溝110の底部に水平方向に延びる足部を設けて排水溝110によって自立するように構成することもできる。また、プランター100は、側板105a,105bのうちのどちらか一方のみを備えて構成することもできる。 【0064】 また、上記各第実施形態においては、排水溝110は、土支持底部102における互いに対向する外縁部間に延びて形成されている。しかし、排水溝110は、土支持底部102における少なくとも一部に帯状に下方に向かって張り出して形成されていればよい。したがって、排水溝110は、例えば、土支持底部102における中央部に土支持底部102の両端部に横断または縦断することのない帯状に形成することができる。この場合、排水溝110は、土支持底部102の下方空間UE内で排液管112を備えるようにしてもよいし、上記各実施形態と同様に側板105bを貫通した状態で排液管112を備えるようにしてもよい。すなわち、排水溝110は、必ずしも側板105bに連結されている必要はない。 【0065】 また、上記各第実施形態においては、プランター100は、全体が黒色に形成されている。しかし、プランター100は、黒色以外の色、例えば、赤色、青色、緑色、茶色、紫色、白色または透明色で形成されていてもよい。 【0066】 また、上記各第実施形態においては、排水溝110は、底部の形状を円弧状に形成した。しかし、排水溝110は、底部の形状を円弧状以外の形状、例えば、V字状、W字状または方形状に形成することもできる。 【0067】 また、上記各第実施形態では、プランター100を平面視で長方形状に形成した。しかし、プランター100は、平面視で長方形状以外の形状、例えば、正方形状、円筒状または多角形状に形成することもできる。 【0068】 また、上記各第実施形態では、側板105aに段部106を形成して構成した。これにより、プランター100は、側板105aが土支持底部102の両端部の外側に形成されるため土収容部101を安定的に支持することができるとともに、段部106によって側板105aの剛性を高めることができる。しかし、側板105aは、段部106を省略して一直線状に形成してもよいし、下方に向かって広がる末広がりの形状に形成してもよい。 【0069】 また、上記各実施形態においては、排水溝110の深さD2を9cmに設定した。しかし、排水溝110の深さD2は、土収容部101の深さD1よりも深く形成されていればよい。この場合、土収容部101の深さD1は、植物Pを収穫可能な程度にまで育成するために必要な土Sの深さを確保できる深さに設定される。具体的には、土収容部101の深さD1は、例えば、植物Pが葉物野菜や草花である場合には、概ね5cm〜20cmが適当である。したがって、排水溝110の深さD2は、土収容部101の深さD1と同じ深さ以上、好ましくは、土収容部101の深さD1の1.2倍〜2.5倍、より好ましくは、土収容部101の深さD1の1.2倍〜1.5倍に設定するとよい。 【0070】 また、上記各実施形態においては、土収容部101の土支持底部102を開口部111に向かって下り傾斜とした。しかし、土収容部101の土支持底部102は、開口部111に水や液肥などの液体を導くことができればよく、例えば、水平に形成されていてもよい。 【0071】 また、上記第1実施形態においては、排水溝110の底部が延びる方向上に設けた2つの側板105bにそれぞれ2つずつの通気口107を形成した。しかし、通気口107は、1つの側板105bに少なくとも1つ設けられていればよい。また、通気口10は、例えば、図1の二点線で示すように、排水溝110に沿って延びる側板105aに設けることもできる。これによれば、下方領域UE内から温風、冷風、温水または冷水を流出させてプランター100が設置されている栽培ハウスなどの空間内の温度もコントロールすることができる。 【0072】 また、上記第1実施形態においては、通気孔107に冷温配管108を通した。しかし、プランター100は、必ずしも通気孔107に冷温配管108を通す必要はなく、冷温配管108を省略して構成することもできる。この場合、プランター100は、土収容部101の下方空間UEが側板105a,105bに設けられた通気孔107を介して外部と連通しているため通気性および採光性を確保して下方空間内の環境が悪化(空気の滞留、カビや害虫の発生)することを防止することができる。 【符号の説明】 【0073】 P…植物、S…土、UE…下方空間、JP…連続配管、CB…ココナッツバッグ、SH…貫通孔、SP…供給配管、L…長手方向、W…幅方向、D1…土収容部の深さ、D2…排水溝の深さ、G…設置面、 100…プランター、101…土収容部、102…土支持底部、103…リブ、104…側壁、104a…水平部、104b…嵌合孔、104c…下垂部、104d…嵌合孔、105a,105b…側板、106…段部、107…通気孔、108…冷温配管、108a…流出孔、 110…排水溝、111…開口部、112…排液管、 120…固定部、121…貫通孔、122…杭、 130…蓋体、131…貫通孔、132…嵌合片、 140…配管支持体、141…嵌合片、 150…フィルタ。 |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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【図6】 |
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【図7】 |
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【図8】 |
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【図9】 |
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