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農水産
 
【考案の名称】栽培物の保護用シート
【実用新案権者】
【識別番号】522256303
【氏名又は名称】門屋 倭文子
【住所又は居所】愛媛県松山市本町6丁目11-1 プレジデント松山603
【代理人】
【識別番号】100151390
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 淨宗
【考案者】
【氏名】門屋 倭文子
【住所又は居所】愛媛県松山市本町6丁目11-1 プレジデント松山603
【要約】 (修正有)
【課題】 栽培物の上部を被覆してこれを保護するための栽培物の保護用シートに関し、該栽培物に風雨が直接当たったり、該栽培物が植えられている土壌に雨が直接降りかかったりしにくい通水風孔を設けるとともに、適宜その設置枚数やその設置態様を変化させられる栽培物の保護用シートを提供する。
【解決手段】 栽培物の保護用シート1は風雨が当たる側の外面2と、栽培物Aに対向する側の内面3とを有している。栽培物の保護用シート1には外面2上に重なるようにして平面的に延出する延出部4が畝状に設けられており、延出部4には外面2側から内面3側へと風雨を通過させる通水風口5が外面2方向に開口している。さらに、栽培物の保護用シート1には、これを栽培物Aの上部に被覆するために支持する支持具Cに取り付けるための支持具取付部材Dを連結する支持具取付部材連結部6が設けられている。
【選択図】 図5
選択図
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
栽培物の上部を被覆してこれを保護するための栽培物の保護用シートであって、防水性および柔軟性を有するシート状部材によって形成されており、該栽培物の保護用シートは風雨が当たる側の外面と、該栽培物に対向する側の内面とを有しており、該栽培物の保護用シートには該外面上に重なるようにして平面的に延出する延出部が畝状に設けられており、該延出部には該外面側から該内面側へと風雨を通過させる通水風口が設けられており、該通水風口は該外面方向に開口していることを特徴とする栽培物の保護用シート。
【請求項2】
請求項1に記載した栽培物の保護用シートであって、前記延出部はその延出する方向に該栽培物の保護用シートを折り重ねることにより形成されていることを特徴とする栽培物の保護用シート。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した栽培物の保護用シートであって、該栽培物の保護用シートを栽培物の上部に被覆するために支持する支持具に取り付けるための支持具取付部材を連結する支持具取付部材連結部が設けられていることを特徴とする栽培物の保護用シート。
【請求項4】
請求項3に記載した栽培物の保護用シートであって、前記支持具取付部材が紐状部材であって、前記支持具取付部材連結部が該支持具取付部材を挿通させてこれを連結する孔部であることを特徴とする栽培物の保護用シート。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願考案は、農作物や花などの栽培物を雨や風などから保護すべく、該栽培物の上部を被覆してこれを保護するための栽培物の保護用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
本願考案に係る栽培物の保護用シートは上記のような栽培物を保護すべく幅広く用いることができるが、本願では特にトマトの実を保護すべく該栽培物の保護用シートを用いる場合を例にして説明する。
【0003】
トマトの実が割れてしまう(裂開する)原因にはさまざまな事情が考えられるが、その原因の一つとして、トマトの実に風雨が直接当たったり、晴天が続いた後に強雨に見舞われるなどしてトマトの木が土壌から大量の水を吸い上げたりして、トマトの実が水分を含んで膨張することなどが考えられる。当然のことながら、裂開したトマトの実は、そうでないトマトの実に比べると、味が落ちるとともに見た目もよくない。
【0004】
そこで、トマトの実の裂開を防止すべく、トマトの実に風雨が直接当たらないようにするとともに、トマトの木が植えられている土壌に雨が直接降りかからないようにすべく、図9にその一例を図示するような通水孔ないし通気孔を穿設したシート状の部材でトマトの木の上部を被覆することが行われている。従来、そのような栽培物の保護用シートとして、具体的には次のような提案がなされている。
【0005】
まず、合成樹脂製のフィルムをラミネート加工して防水性を施した布状物をシート状に形成した物において、その下端部にはシャフト結着ハトメよりも口径の大きなハトメで垂下棒との結着機能と雨水通排機能とを兼ねた垂下棒結着ハトメを任意に取り付けて、該垂下棒結着ハトメの各位置より上方に向かってシートの長さの10分の1の範囲内に該垂下棒結着ハトメと同じ大きさの通排孔を千鳥足状に設けたことを特徴とする農業用保護シートが提案されている(例えば、下記の特許文献1を参照。)。
【0006】
また、透明な合成樹脂フィルムによって形成されており、その全体にわたってその孔径が0.03ないし0.3mmの通気孔が均等に穿孔されており、この穿孔された通気孔の総面積が該透明な合成樹脂フィルム1平方メートルあたり800ないし8000平方ミリメートルの割合となる通気孔数で穿設されてなることを特徴とする桜桃ハウス用フィルム材が提案されている(例えば、下記の特許文献2を参照。)。
【0007】
さらに、所要直径の円形の防水シートにおいて、シート本体の周縁に所要の数のハトメを配設するとともに、その全面に所要の通気孔を貫設し、周縁の一部に標識札を垂下して構成される保護カバーであって、ハトメの孔に通した紐で庭木の枝に結んで固着させることを特徴とする庭木の保護カバーが提案されている(例えば、下記の特許文献3を参照。)。
【0008】
上記のような従来技術に係る栽培物の保護用シートによれば、栽培物の上部を被覆することにより、該栽培物に風雨が直接当たったり、該栽培物が植えられている土壌に雨が直接降りかかったりするのを防止することができる(例えば、下記の特許文献1ないし3を参照。)。その結果、トマトの実などの果実が水分を含んで膨張することによる裂開を防止することができる。
【0009】
一方、このような栽培物の保護用シートが、風雨を完全に通過させないようにすると、その上面に雨水が溜まってその重みで破損したり、強い風が吹いた際は風で吹き飛ばされたりするおそれがある。そこで、上記のような従来技術に係る栽培物の保護用シートによれば、適宜孔部が設けられていることから、風雨を通過させることにより、そのおそれを低減している(例えば、下記の特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実登1383952号公報
【特許文献2】 特開平10−210870号公報
【特許文献3】実登3131165号公報
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記の従来技術に係る栽培物の保護用シートは、図9にその一例を図示するように、平面的なシート状の部材に通水孔ないし通気孔が平面視正円状に設けられているなどして面的な広がりをもって設けられているところ(例えば、上記の特許文献1ないし3を参照。)、図10に図示するように、風雨がそこを直接的に通過して、該栽培物に風雨が直接当たったり、該栽培物が植えられている土壌に雨が直接降りかかったりするおそれがある。その結果、前記の従来技術に係る栽培物の保護用シートは、トマトのような果実の裂開を招来し、裂開に伴って果実の味が落ちたり見た目が悪くなったりしてしまうおそれがある。そこで、本願考案が解決しようとする第1の課題は、栽培物の上部を被覆してこれを保護するための栽培物の保護用シートに関し、該栽培物に風雨が直接当たったり、該栽培物が植えられている土壌に雨が直接降りかかったりしにくい通水風口を設けた栽培物の保護用シートを提供することにある。
【0012】
また、栽培物を植える場所には広狭あるところ、前記の従来技術に係る栽培物の保護用シートは、その設置を所望する場所の広さに合わせて適宜その設置する枚数を調節することは想定されていなかった(例えば、上記の特許文献1ないし3を参照。)。また、栽培物の大きさやそれを植える場所の性状などによっては、栽培物の保護用シートを水平に設置したり、傾斜させて設置したり、アーチ状に設置したりするなど、さまざまな態様でこれを設置することが所望されるところ、適宜その態様を変化させて設置することは想定されていなかった(例えば、上記の特許文献1ないし3を参照。)。そこで、本願考案の解決しようとする第2の課題は、栽培物の上部を被覆してこれを保護するための栽培物の保護用シートに関し、適宜その設置枚数を変更したり、その設置態様を変化させたりすることができる栽培物の保護用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願考案は、上記の各課題を解決するために提案されたものであり、以下の構成を有するものである。以下では、本願考案の構成を理解するのを補助するため、本願に添付した図面に表示した番号及び符号をあわせて記載する。
【0014】
請求項1に係る栽培物の保護用シート(1)は、栽培物(A)の上部を被覆してこれを保護するための栽培物の保護用シートであって、防水性および柔軟性を有するシート状部材によって形成されており、栽培物の保護用シート(1)は風雨が当たる側の外面(2)と、栽培物(A)に対向する側の内面(3)とを有している。栽培物の保護用シート(1)には外面(2)上に重なるようにして平面的に延出する延出部(4)が畝状に設けられており、延出部(4)には外面(2)側から内面(3)側へと風雨を通過させる通水風口(5)が設けられている。通水風口(5)は外面(2)方向に開口している。
【0015】
請求項2に係る栽培物の保護用シート(1)は、請求項1に記載した栽培物の保護用シートであって、延出部(4)はその延出する方向に栽培物の保護用シート(1)を折り重ねることにより形成されている。
【0016】
請求項3に係る栽培物の保護用シート(1)は、請求項1又は2に記載した栽培物の保護用シートであって、これを栽培物(A)の上部に被覆するために支持する支持具(C)に取り付けるための支持具取付部材(D)を連結する支持具取付部材連結部(6)が設けられている。
【0017】
請求項4に係る栽培物の保護用シート(1)は、請求項3に記載した栽培物の保護用シートであって、支持具取付部材(D)が紐状部材であって、支持具取付部材連結部(6)が支持具取付部材(D)を挿通させてこれを連結する孔部である。
【考案の効果】
【0018】
本願考案に係る栽培物の保護用シート(1)は、上記の通りの構成であるから、以下のような効果を奏することができる。
【0019】
まず、請求項1に係る栽培物の保護用シート(1)は、延出部(4)に外面(2)側から内面(3)側へと風雨を通過させる通水風口(5)が設けられているから、通水風口(5)に風雨を通過させることにより、外面(2)上に雨水が溜まってその重みで栽培物の保護用シート(1)が破損したり、強い風が吹いた際も風で栽培物の保護用シート(1)が吹き飛ばされたりするおそれを低減している。一方、請求項1に係る栽培物の保護用シート(1)は、延出部(4)が外面(2)上に重なるようにして平面的に延出する畝状に設けられており、外面(2)方向に開口する通水風口(5)が延出部(4)に設けられている。すなわち、請求項1に係る栽培物の保護用シート(1)は、前記の従来技術に係る栽培物の保護用シートとは異なり、上記の通り通水風口(5)が栽培物の保護用シート(1)において面的な広がりをもって設けられていないところ、風雨が通水風口(5)を直接的に通過して、栽培物(A)に風雨が直接当たったり、栽培物(A)が植えられている土壌(B)に雨が直接降りかかったりするおそれを低減している。その結果、請求項1に係る栽培物の保護用シート(1)は、トマトのような果実の裂開を防止することができ、裂開に伴って果実の味が落ちたり見た目が悪くなったりすることを防止することができるのである。したがって、本願考案に係る栽培物の保護用シートは、栽培物の上部を被覆してこれを保護するための栽培物の保護用シートに関し、該栽培物に風雨が直接当たったり、該栽培物が植えられている土壌に雨が直接降りかかったりしにくい通水風口を設けた栽培物の保護用シートを提供するという本願考案が解決しようとする第1の課題を解決することができる。
【0020】
特に、請求項2に係る栽培物の保護用シート(1)は、延出部(4)がその延出する方向に栽培物の保護用シート(1)を折り重ねて形成されているところ、このような手段によれば延出部(4)を簡便に形成することができるため、前記の本願考案が解決しようとする第1の課題を解決するのに好適である。
【0021】
次に、請求項3に係る栽培物の保護用シート(1)は、これを栽培物(A)の上部に被覆するために支持する支持具(C)に取り付けるための支持具取付部材(D)を連結する支持具取付部材連結部(6)が設けられているところ、栽培物の保護用シート(1)を支持具取付部材連結部(6)に連結した支持具取付部材(D)を介して支持具(C)に取り付けることにより、栽培物の保護用シート(1)の枚数をその設置場所の広さに対応させて適宜調節したり、栽培物の保護用シート(1)を支持具(C)に取り付ける態様を栽培物(A)の大きさやそれを植える場所の性状などにあわせて適宜変化させたりすることができる。したがって、本願考案に係る栽培物の保護用シート(1)は、栽培物の上部を被覆してこれを保護するための栽培物の保護用シートに関し、適宜その設置枚数を変更したり、その設置態様を変化させたりすることができる栽培物の保護用シートを提供するという本願考案が解決しようとする第2の課題を解決することができる。
【0022】
特に、請求項4に係る栽培物の保護用シート(1)は、支持具取付部材(D)が紐状部材であって、支持具取付部材連結部(6)が紐状部材である支持具取付部材(D)を挿通させてこれを連結するための孔部であるところ、支持具取付部材(D)を介して栽培物の保護用シート(1)を支持具(C)に簡便に着脱することができるため、前記の本願考案が解決しようとする第2の課題を解決するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本願考案の一実施形態に係る栽培物の保護用シートを示した平面図である。
【図2】本願考案の一実施形態に係る栽培物の保護用シートを示した断面図である。
【図3】本願考案の一実施形態に係る栽培物の保護用シートの作用効果説明図である。
【図4】図3の参考端面図である。
【図5】本願考案の一実施形態に係る栽培物の保護用シートにつき、これを使用する状態を示した使用状態説明図である。
【図6】本願考案の一実施形態に係る栽培物の保護用シートにつき、これを複数枚使用する状態を示した使用状態説明図である。
【図7】図5とは別の使用する状態を示した使用状態説明図である。
【図8】図5及び7とは別の使用する状態を示した使用状態説明図である。
【図9】従来技術に係る栽培物の保護用シートの一例を示した平面図である。
【図10】従来技術に係る栽培物の保護用シートを使用した際の問題点を示した参考図である。
【考案を実施するための形態】
【0024】
以下に、本願考案の一実施形態に係る栽培物の保護用シート(1)の構造について添付図面に基づいて説明する。
【0025】
本願考案の一実施形態に係る栽培物の保護用シート(1)は、図1ないし8に図示するように、栽培物(A)の上部を被覆してこれを保護するための栽培物の保護用シートであって、防水性および柔軟性を有するシート状部材によって形成されている。栽培物の保護用シート(1)は、風雨が当たる側の外面(2)と、栽培物(A)に対向する側の内面(3)とを有している。
【0026】
栽培物の保護用シート(1)は、具体的には各種公知の合成樹脂で形成されたシート状部材を用いて形成することができる。もっとも、栽培物の保護用シート(1)は、栽培物(A)の生育を考慮すると日光にこれを照らす必要があるから透明性を有するとともに、屋外に設置されるものであるから日光に照らされるなどしても劣化などがしにくい耐候性を有するとともに、風雨が当たっても容易に破損しない耐久性を有する素材で形成されたシート状部材を用いるのが好適である。具体的には、厚手のポリ塩化ビニル製のシート状部材を用いて栽培物の保護用シート(1)を形成することができる。このような素材で形成された栽培物の保護用シート(1)は、繰り返し使用することができるから、経済的であるとともに、資源の節約にもつながる。図では、栽培物の保護用シート(1)は、平面視矩形のシート状部材を用いているが、特にこの形状に限定されるものではない。また、本願考案の考案者は、平面視横120センチメートル、縦150センチメートルの大きさを有するシート状部材を用いて栽培物の保護用シート(1)を形成したが、特にこの大きさに限定されるものではない。
【0027】
栽培物の保護用シート(1)には、図1ないし8に図示するように、外面(2)上に重なるようにして平面的に延出する延出部(4)が畝状に設けられている。図では、延出部(4)は栽培物の保護用シート(1)において外面(2)を4分割するように平面視十字状に設けられており、縦横それぞれの端から端までをつなぐようにして設けられているが、特にこのような態様に限定されるものではない。本願考案の考案者は、前記の大きさを有するシート状部材を用いて栽培物の保護用シート(1)を形成した際、延出部(4)が延出する長さを約5ミリメートルにしたが、特にその長さに限定されるものではない。
【0028】
延出部(4)は、その延出する方向に栽培物の保護用シート(1)を折り重ねることにより形成することができる。このような手段によれば簡便に延出部(4)を形成することができ、好適である。具体的には、本願考案の考案者は、栽培物の保護用シート(1)をその縦横の中心線に沿って外面(2)上に突出するように山折りにするとともに、その頂部から5ミリメートル離れた箇所を頂部に沿って栽培物の保護用シート(1)を縫い合わせ、これを外面(2)上に重なるように横臥させて延出部(4)を形成した。もっとも、延出部(4)を形成する手段は、このような手段に限定されるものではない。
【0029】
延出部(4)には、図1ないし8に図示するように、外面(2)側から内面(3)側へと風雨を通過させる通水風口(5)が設けられており、通水風口(5)は外面(2)方向に開口している。具体的には、本願考案の考案者は、通水風口(5)として、前記の大きさを有するシート状部材を用いて前記のような延出部(4)を有する栽培物の保護用シート(1)を形成した際、延出部(4)にその頂部より2〜3ミリメートルの深さを有するとともに、頂部に沿って3〜5センチメートルの長さを有する切り欠きを設けた。もっとも、通水風口(5)を形成する手法は、このような手法に限定されるものではない。また、図では、通水風口(5)は栽培物の保護用シート(1)における中心とそこから十字状に配置されるように計五ヵ所設けられているが、その位置と個数は特に限定されるものではない。
【0030】
栽培物の保護用シート(1)は、図1ないし8に図示するように、これを栽培物(A)の上部に被覆するために支持する支持具(C)に取り付けるための支持具取付部材(D)を連結する支持具取付部材連結部(6)が設けられている。支持具取付部材連結部(6)は、図では栽培物の保護用シート(1)の四隅にそれぞれ一ヵ所ずつ設けられているが、支持具取付部材(D)の本数などに応じて調節することができるため、その位置と個数は特に限定されるものではない。具体的には、支持具(C)としては各種公知の園芸用の支柱を用いることができるとともに、支持具取付部材(D)としては各種公知の園芸用の紐といった紐状部材を用いることができる。図では、支持具取付部材(D)として、支持具取付部材連結部(6)一ヵ所につき二本の紐状部材を連結しているが、特にその本数は限定されない。また、栽培物の保護用シート(1)は、支持具取付部材連結部(6)に支持具取付部材(D)を連結した状態で提供することもできるが、これを連結していない状態で提供することもできる。
【0031】
支持具取付部材連結部(6)は、具体的には紐状部材である支持具取付部材(D)を挿通させてこれを連結するための孔部である。栽培物の保護用シート(1)は、支持具取付部材(D)が紐状部材であって、支持具取付部材連結部(6)が紐状部材である支持具取付部材(D)を挿通させてこれを連結するための孔部であると、支持具取付部材(D)を介して栽培物の保護用シート(1)を支持具(C)に簡便に着脱することができるため、好適である。また、支持具取付部材(D)が風で引っ張られるなどすると、これを連結している支持具取付部材連結部(6)から栽培物の保護用シート(1)が裂けてしまうおそれがあるため、支持具取付部材連結部(6)にはハトメを取り付けたり、栽培物の保護用シート(1)における支持具取付部材連結部(6)の周囲に別個のシート状部材を貼付したりして、支持具取付部材連結部(6)ないしその周囲の栽培物の保護用シート(1)を補強しておくのが好適である。
【0032】
以上が、本願考案の一実施形態に係る栽培物の保護用シート(1)の構造についての説明である。以下に、本願考案の一実施形態に係る栽培物の保護用シート(1)の使用態様について添付図面に基づいて説明する。
【0033】
まず、図5に図示するように、栽培物の保護用シート(1)による保護の対象となる栽培物(A)が植えられている土壌(B)の周囲に支持具(C)として各種公知の園芸用の支柱を立設する。そして、支持具(C)の頂部と支持具取付部材連結部(D)とを紐状部材である支持具取付部材(D)で結び付けて、支持具(C)に栽培用の保護シート(1)を取り付け、トマトの木などの栽培物(A)の上部に栽培物の保護用シート(1)を被覆する。なお、図では、栽培物の保護用シート(1)は2本の栽培物(A)を被覆しているが、栽培物の保護用シート(1)で被覆する栽培物(A)の本数は特に限定されない。
【0034】
ここで、栽培物(A)を植える場所の広さには広狭あるところ、その場所が広い場合には、図6に図示するように、さらに支持具(C)を立設し、栽培物の保護用シート(1)の枚数を増やして、さらに広い範囲を被覆できるようにして、栽培物の保護用シート(1)の枚数をその設置場所の広さに対応させて適宜調節することができる。また、栽培物(A)の大きさやそれを植える場所の性状などによっては、栽培物の保護用シート(1)をさまざまな態様で設置することが所望されるところ、栽培物の保護用シート(1)は、支持具(C)の位置や高さを調節したり、支持具(C)にこれを取り付ける位置を調節したりして、図5に図示するようにこれを水平に設置したり、図7に図示するように傾斜をつけて設置したり、図8に図示するようにアーチ状に設置したりするなど、栽培物の保護用シート(1)の設置態様を適宜変化させることができる。
【0035】
上記のようにして設置された栽培物の保護用シート(1)に風雨が当たっても、延出部(4)に外面(2)側から内面(3)側へと風雨を通過させる通水風口(5)が設けられているから、通水風口(5)に風雨を通過させることにより、外面(2)上に雨水が溜まってその重みで栽培物の保護用シート(1)が破損したり、強い風が吹いた際も風で栽培物の保護用シート(1)が吹き飛ばされたりするおそれが低減されている。一方、栽培物の保護用シート(1)は、外面(2)上に重なるようにして平面的に延出する延出部(4)が畝状に設けられており、外面(2)方向に開口する通水風口(5)が延出部(4)に設けられている。すなわち、請求項1に係る栽培物の保護用シート(1)は、通水風口(5)が栽培物の保護用シート(1)において面的な広がりをもって設けられていないところ、図3及び4に図示するように、栽培物の保護用シート(1)に風雨が当たっても、風雨が通水風口(5)を直接的に通過して、栽培物(A)に風雨が直接当たったり、栽培物(A)が植えられている土壌に雨が直接降りかかったりするおそれが低減されている。
【0036】
そうすると、栽培物の保護用シート(1)が栽培物(A)の上部を被覆してこれを保護することにより、栽培物(A)に風雨が直接当たらないようにするとともに、栽培物(A)が植えられている土壌(B)に雨が直接降りかからないようにすることができる。その結果、栽培物の保護用シート(1)は、トマトのような果実の裂開を防止することができ、裂開に伴って果実の味が落ちたり見た目が悪くなったりすることを防止することができるのである。
【符号の説明】
【0037】
1 栽培物の保護用シート
2 外面
3 内面
4 延出部
5 通水風口
6 支持具取付部材連結部
A 栽培物
B 土壌
C 支持具
D 支持具取付部材
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
【図10】
図10
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