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農水産
 
【考案の名称】里芋分離装置
【実用新案権者】
【識別番号】507360025
【氏名又は名称】花輪 紀夫
【住所又は居所】山梨県甲斐市西八幡462番地
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100081547
【氏名又は名称】亀川 義示
【考案者】
【氏名】花輪 紀夫
【住所又は居所】山梨県甲斐市西八幡462番地
【要約】
【課題】
手軽で作業がし易く、かつ労力が軽減される上に作業能率がよく、しかも経済的に得ることができる里芋分離装置を提供する。
【解決手段】
塊状の里芋を分離する作業台部4と、分離後の里芋を収納するコンテナ5を支持する支持台部6を有する二輪台車状の装置本体1を有し、その作業台部4の下部に設けた脚部7の上端部に打解突部8が設けられている。この打解突部8に上記塊状の里芋を当てて里芋を親芋、子芋、孫芋に分離すると共に里芋に付着した土壌を線体24の間隙25から落下させる。分離後の里芋うち出荷用の里芋はコンテナ5に収納され、非出荷用の里芋は容器31に収納されて搬送される。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
塊状の里芋を分離する作業台部と分離後の里芋を収納する収納容器を支持する支持台部を有する二輪台車状の装置本体を備え、上記作業台部の下に脚部を設けると共にこの脚部の上端部に上記作業台部に臨ませて打解突部を設け、この打解突部に上記塊状の里芋を打ち当てることによって里芋を分離するようにしたことを特徴とする里芋分離装置。
【請求項2】
作業台部は分離後の里芋を転がして収納容器に導く斜面部を有する請求項1に記載の里芋分離装置。
【請求項3】
分離した里芋のうち出荷用の里芋を収納するコンテナを支持する支持台部を有する請求項1または2のいずれかに記載の里芋分離装置。
【請求項4】
作業台部の側部に、非出荷用の里芋を収納する容器を支持する支持部を設けた請求項1〜3のいずれかに記載の里芋分離装置。
【請求項5】
作業台部は、その台面を線体で形成し、この線体の並設によって塊状の里芋に付着する土壌の落下を許容する間隙を有する請求項1〜4のいずれかに記載の里芋分離装置。
【請求項6】
脚部は、内筒部と外筒部を有し、これらの連結部に複数の貫通孔を設けその所定の貫通孔にピンを挿入し支持することによって脚部の長さを調節するようにした請求項1〜5のいずれかに記載の里芋分離装置。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
本考案は、掘り起こした塊状の里芋を親芋、子芋、孫芋に分離し、その分離後の里芋を容器に収納して搬送することができる手軽で便利な里芋分離装置に関する。
【背景技術】
従来、農家において里芋を収穫する場合、先ず里芋の茎部を切断した後に里芋を掘り起こし、この土壌が付着した塊状の里芋を地面に落下させたり塊状の里芋どうしを叩いたりして土壌を落としながら塊状の里芋を親芋、子芋,孫芋等に分離し、その分離後の里芋を畑に載置したコンテナに収納し、移動時にはこのコンテナを持ち運んで収穫するという作業を行っている。そして、このような里芋の分離作業は、土壌が付着した重みのある里芋を腰を曲げた状態あるいはしゃがんだり地面に座ったりした状態で行う手作業であり、しかもコンテナの移動作業はその都度コンテナを持ち上げて移動しなければならず、かなりの重労働であり、これによって作業者の疲労が増大し、時には腰を痛めてしまうことがあった。そのために農家においては、上記コンテナを一輪車で運んでいる例があるが、一輪車では走行が不安定であるし、また上記里芋の分離作業は依然として軽減されるものではなかった。
また、上記作業を軽減するために、クローラ式の走行部を有し搬送を自動化すると共に、塊状の里芋に打撃アームの当て体を自動的に当てて分離するようにした装置(特許文献1)が提案されている。しかし、この装置は、構造が複雑であり、しかもコストのかかるものであって、特に小規模の農家や高齢化した農家では、到底受け入れ難いものであり、そのために低コストで使い易い手軽な装置の早期の製品化が強く望まれている。
【特許文献1】
特許第3227119号公報(段落0018から0020、0025〜0031、図1及び図5)
【考案の開示】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、上記のような従来の問題点を解消するものであって、手軽で作業がし易く、かつ労力が軽減され、作業能率がよく、しかも経済的に得ることができる里芋分離装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
本考案は、塊状の里芋を分離する作業台部と、分離後の里芋を収納する収納容器を支持する支持台部を有する二輪台車状の装置本体を備え、上記作業台部の下に設けた脚部の上端部に上記作業台部に臨ませて打解突部を設け、この打解突部に上記塊状の里芋を打ち当てて里芋を簡易に分離できるようにすると共に、分離後の里芋を収納容器に簡便に収納し搬送できるようにしたものである。
また、本考案は、作業台部に、分離後の里芋を転がして収納容器に導くための斜面部を設けたものである。
更に、本考案は、出荷用の里芋(規格品)を収納するコンテナを支持する支持台部を設けたものである。
また、本考案は、作業台部の側部に、非出荷用の里芋(規格外品)を収納する容器を支持する支持部を設けたものである。
更に、本考案は、作業台部の台面を線体で形成し、この線体の並設により形成される間隙から塊状の里芋に付着する土壌を落下させるようにしたものである。
また、本考案は、脚部の長さを調整可能に形成し作業台部の高さを調整するようにしたものである。
【考案の効果】
本考案は、作業台部上の脚部に設けた打解突部に塊状の里芋を打ち当てることによって、塊状の里芋に付着した土壌を作業台部の台面の間隙から地面に落下させながら里芋を親芋、子芋、孫芋に容易に分離することができ、分離後の出荷用の里芋を作業台部の斜面部に案内し転がしながらコンテナ等の容器に収納することができると共に作業台部上で選別された非出荷用の里芋を作業台部の側部に設けた容器に収納することができる。また、これらの作業を作業台部の近傍で一手に手際よく行うことができると共にその作業台部は上記脚部の長さの調整によりその高さを調節しほぼ水平状態に支持することができるので安定して作業をすることができる。更に、本装置は二輪台車状に形成されているので上記容器の移動や搬送の際に楽に効率よく行うことができ、しかも構造が簡素化されているので手軽でありかつ経済的に得ることができる。
【考案を実施するための最良の形態】
里芋分離装置本体1は、二つの車輪2を有する台車体3を有し、この台車体には、塊状の里芋34を分離する作業を行う作業台部4と、分離後の里芋を収納するコンテナ等の収納容器5を支持する支持台部6と、上記作業台部4の下部に固定した脚部7と、この脚部の上端部に固定した打解突部8が設けられている。
上記台車体3は、実施例では、丸パイプ材を用いて左右に縦フレーム9、10を設け、この両フレームの間に横フレーム11、12、13、14を渡し、その接続部を溶接する等して連結している。この場合、左右の縦フレーム9、10の先端部を三角形状のフレーム構造とし、その三角部15の上辺部から外方に車輪支持フレーム16を形成し、この車輪支持フレームと上記三角部15の下辺部に設けた軸受け17によって上記車輪2を支持している。なお、上記左右の縦フレーム9、10の手前側端部には、ハンドル18が設けられている。
作業台部4の下部には、上記脚部7が設けられ、この脚部の上端部に上記打解突部8が固定されている。この脚部と打解突部の取り付け方法を図6と図7を用いて説明する。打解突部8は上面に曲面19を有するようにほぼ半球殻状に形成されており、その打解突部の下部に筒状の取り付け具20が溶接等の手段によって固定されている。この取り付け具20には、切り欠け部21が形成され、この切り欠け部を上記作業台部4の横フレーム11,12の間に設けた支持フレーム22に跨らせ、その取り付け具の筒部23に下方より上記脚部7の先端部を挿入し、この接続部を溶接等して固定している。なお、上記作業台部4と脚部7の間には補強部材35が渡され脚部を安定に支持している。また、上記打解突部8の上面は、その頂部を平坦にしたり、やや曲面にしたり、いずれにしても里芋の表面を傷つけないような曲面にすることができる。その際、打解突部8をステンレス等の金属や硬質のプラスチック等で形成すると錆びることがなく長期間の使用に耐えることができる。
上記脚部7は、内筒部36と外筒部37を有し、この内筒部と外筒部の連結部38に複数の貫通孔39を設け、その内筒部と外筒部の貫通孔を適宜選択し、この貫通孔にピン40を挿入しそのピンの端部に形成した孔41に止め具42を挿入し仮止めすることによって脚部7の長さを調節することができるようになっている。なお、この例では、脚部7の内筒部36下端に座33が設けられているので、脚部7を畑に接地した際にこの座33によって脚部7の下部が畑中に埋入することがなく安定して作業をすることができるが、雨天後の畑のように極度に軟弱な接地面の場合には座33の下に適宜の長さの板をあてがい、この板に座33に形成した孔43に通した釘やねじ等の止め具によって固定するようにするとよい。
作業台部4の台面は、図示のように鋼線やステンレス線等の硬線(この例では約4mmの径のものであるがその他の径のものを用いることができる)による線体24で形成されており、この複数の線体を縦フレームの長手方向に沿うように並列することによってその線体間に間隙25を設け、この間隙より里芋から剥がれた土壌が落下するようにしている。なお、図示の例では、線体24を並列させて間隙25を形成するようにしているが、上記のように土壌が十分に落下できるものであれば網目状や格子状のものでもよい。
一方、上記里芋の収納容器(コンテナ)5を支持する支持台部6は、上記横フレーム14と、縦フレーム9,10の三角部15に一端を固定した支持フレーム26に、断面L字状のフレーム材で形成した枠体27を固定して形成しており、この枠体内に上記コンテナを安定に収めるようにしている。
上記装置本体1は、図1に示すように、作業時には脚部7で支持された状態となり、この状態において作業台部4の作業部28と支持台部6がほぼ水平になっているので里芋の分離作業がし易く、また一方では上記作業台部4の斜面部29が傾斜しているので分離後の里芋を転がしてコンテナ5に導くことができ作業能率が上がる。なお、図示の例では、作業台部4において里芋を分離している際に里芋が不要に斜面部29に移動して転がらないようにこれを阻止するために斜面部29にやや臨むように支持部材44が設けられている。
本装置を使用する際は、先ず作業場において脚部7の長さを調節して作業台部4がほぼ水平状態になるようにする。次に作業者が両ハンドル18の間に立ち、塊状の里芋を取り上げて作業台部4に臨んでいる打解突部8に当てると、里芋が親芋、子芋、孫芋に楽に分離すると共に、塊状の里芋に付着していた土壌が剥がれて線体24の間隙25から地面に落下する。その際、打解突部8は脚部7の上端部に設けられており、しかも装置全体が二つの車輪2と上記脚部7で三点支持する状態となるので、この脚部の支持作用とも相俟って分離作業を安定して確実に行うことができる。このようにして分離した里芋のうち、出荷用として適する里芋を作業台部4の斜面部29に置くと、里芋は斜面部上を転がりその先に設けられたガイド部材45に案内されて収納容器5に収納される。この場合、上記横フレーム13の下面に当部材47を介しビス48等で固定したカバー46(図示のものは、やや厚地のプラスチックフイルムで形成されているが、その他の材料のものでもよい)を設けているので、里芋から落下する土が収納容器5に入り込むことがない。また、出荷用として適さない里芋は、作業台部4の左右いずれかの側面に固定した支持フレーム30に支持される容器31に収納される。里芋の収穫を終えた後に上記脚部7の長さを短くしておくと、搬送時に脚部が邪魔にならず本装置の搬送がし易くなる。なお、この実施例では、上記容器31を網目状のものとしてその網目を掛け具32に引っ掛けて保持しているが、この容器31は他のタイプのものを用いたり、上記支持フレーム30を複数のものとしたり、平板状のものとしたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す斜面図である。
【図2】作業台部の拡大斜面図である。
【図3】塊状の里芋を分離する状態を示す斜面図である。
【図4】脚部を示す拡大斜面図である。
【図5】コンテナを支持する支持台部を示す拡大斜面図である。
【図6】脚部と打解突部の取り付け状態を示す拡大斜面図である。
【図7】脚部と打解突部の取り付け状態を示す一部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 里芋分離装置本体 2 車輪 4 作業台部 5 収納容器 6 支持台部 7 脚部 8 打解突部 18 ハンドル 24 線体 31 容器 32 掛け具
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
写真
メッセージ

 私の住む山梨県甲斐市西八幡は、昔から里芋の栽培が盛んで、他の産地と比べて「色が白くてキメが細かく、粘り気が強い美味しい里芋」と評判で、地域の名を冠した「やはたいも」と呼ばれており、地域ブランドにも指定されています。
 里芋は、栽培から収穫まで手間のかかる作物で、連作障害(毎年同じ畑での作付が不可能)もあり、ジャガイモのような大規模栽培が難しい作物ですので、作業の効率化が課題であります。
 しかし、現在市販されている里芋分離機は、動力を必要とする大規模で高額な機械ばかりです。
 このため、簡単かつ軽量な装置で、収穫時に手軽に畑を移動しながら、里芋を分離でき、規格品(出荷品)と規格外(出荷不可能品)に分けて回収できる「里芋分離装置」を考案しました。価格についても、小規模な機械なので、従来品に比べて安価にすることが可能です。
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