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農水産
 
【考案の名称】切り花及び野菜の倒伏防止のために使用するパイプ支柱及び倒伏防止セット
【実用新案権者】
【識別番号】507063780
【氏名又は名称】末藤 巌
【住所又は居所】奈良県奈良市西登美ケ丘6丁目25−5
【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
【考案者】
【氏名】末藤 巌
【住所又は居所】奈良県奈良市西登美ヶ丘6丁目25−5
【要約】   (修正有)
【課題】切り花や野菜の栽培時の茎の倒伏防止のために繊維ネットとともに使用するためのパイプ支柱において簡単な構造でかつ生産者に多大な労働作業や高いコストを強いることのないパイプ支柱及びそれらパイプ支柱を用いた切り花や野菜の茎の倒伏防止セットを提供する。
【解決手段】切り花や野菜の栽培時の茎の倒伏防止のために繊維ネットとともに使用するパイプ支柱1であって、パイプ支柱が地中差し込み部2と地上部3からなり、地上部のパイプ支柱の側面に繊維ネットを引っ掛けるための切欠き部4を一定の高さピッチで設けたこと、及び切欠き部の上端の切断部分が切欠き部の正面から見て下方に斜め方向に切られて形成され、切欠き部の下端の切断部分が、切欠き部の正面から見て水平方向に切られて形成されているか、又は正面から見て下方に斜め方向に切られて形成されていることを特徴とする。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
切り花や野菜の栽培時の茎の倒伏防止のために繊維ネットとともに使用するパイプ支柱であって、パイプ支柱が地中差し込み部と地上部からなり、地上部のパイプ支柱の側面に繊維ネットを引っ掛けるための切欠き部を一定の高さピッチで設けたこと、及び切欠き部の上端の切断部分が切欠き部の正面から見て下方に斜め方向に切られて形成され、切欠き部の下端の切断部分が、切欠き部の正面から見て水平方向に切られて形成されているか、又は正面から見て下方に斜め方向に切られて形成されていることを特徴とするパイプ支柱。
【請求項2】
パイプ支柱が1000〜2500mmの全体長さ、200〜500mmの地中差し込み部長さ、10〜30mmの幅、及び100〜400mmの高さ方向の切欠き部ピッチを有することを特徴とする請求項1に記載のパイプ支柱。
【請求項3】
4本以上の請求項1又は2に記載のパイプ支柱と、これらのパイプ支柱の切欠き部に引っ掛けてパイプ支柱間に渡って張るための繊維ネットとからなることを特徴とする切り花や野菜の茎の倒伏防止セット。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、小菊、カーネーション等の切り花栽培やアスパラガス等の野菜栽培時に茎の倒伏を防止するための繊維ネットとともに使用するパイプ支柱、及びそのパイプ支柱とネットからなる倒伏防止セットに関する。
【背景技術】
【0002】
小菊、カーネーション等の切り花栽培では、花の茎が曲がらないように、その成長に合わせて、支柱パイプとともに設置された倒伏防止用繊維ネットを一々引き上げるというやっかいな作業がある。また、アスパラガス等の野菜栽培でも、茎が倒れると貯蔵根との連絡が絶たれ、翌年の収量減に繋がるので、支柱と繊維ネットを使って倒伏防止対策を行なっているのが現状で、切り花栽培と同様に繊維ネットを如何にして下がらないようするかについて様々な工夫が施されている。
【0003】
切り花栽培では、図1に示すように、従来から、苗木の植え付け(マルチシート施工)と同時に、畝幅600〜1000mmで、長さ30〜50mの繊維ネット(例えば網目100〜200mm角)を両端部のパイプ支柱に、木片の枠に切り込みを入れて、繊維ネットをはめ込み、作物の成長に合わせて両端部の木の枠を引き上げることを行なっている。
【0004】
パイプ支柱は、垂直に打ち込む場合もあるが、むしろ作物を挟んで逆八の字型に斜めに例えば深さ0.3〜0.5m打ち込まれる。作物が上記のネットの網目100〜200mmの升目の中で茎を曲げないように、ネットを弛まないように緊張させて張る。
【0005】
パイプ支柱は、両端部以外に、繊維ネットがずり落ちないように、約1.5〜4mピッチ(土地柄、環境に応じて異なる)に外径15〜25mm、長さ1.5m前後の中間支柱が一般的に使用されているが、畝の長さが30〜50mと長いために、強風や台風の際には繊維ネットがずり落ちることが多々発生する。繊維ネットがずり落ちると、網目が変形して茎が斜めに伸びることになり、商品としての価値が半減する。アスパラガス等の野菜に至っては、茎が倒れることにより来年の収穫に大きな影響を及ぼすので、特に深刻である。
【0006】
現在、各生産地でネット止め対策として、図2に示すようなカラー鋼管の表面に1mm前後の突起物を施した支柱(イボ竹と称される)が多く使われているが、1mm前後の突起なので強風には全くお手上げの状態である。生産者は、パイプ支柱と繊維ネットをストッパーバンドや、マイカー線で括ったり(図3参照)、パッカーと呼ばれる治具でパイプ支柱と繊維ネットを挟みこんだり(図4参照)、各種各様の工夫が施されている。
【0007】
しかしながら、生産者は、作物の成長に合わせて、設置された多数の支柱に対して繊維ネットを一々引き上げるという大変な作業を行なわなければならない。そのとき、繊維ネットのずり落ちを防止するために支柱と繊維ネットを括る作業も必要であり、またその際のストッパーバンドやパッカー及びマイカー線等の副資材の費用も膨大である。
【0008】
さらに、作物の収穫後は、支柱と繊維ネットを抜き取り、繊維ネットに括りつけたマイカー線やパッカーを外す作業も必要である。これらも大変な作業である。そして来春は畑に肥料を施して耕し、例年の如く苗の植え付けから支柱の打ち込み、更には繊維ネット掛けと、毎年毎年生産者はこの多大な作業の繰り返しを行なってきたのが現状である。
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0009】
本考案は、かかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、上述のような切り花や野菜の栽培時の茎の倒伏防止のために繊維ネットとともに使用するためのパイプ支柱において簡単な構造でかつ生産者に多大な労働作業や高いコストを強いることのないものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本考案者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、地上部を形成するパイプ支柱の側面に繊維ネットを引っ掛けるための切欠き部を特定の上端及び下端の切断部分形状で一定の高さピッチで設けることにより、特別な別部品を使用せずにネットのずり落ちを確実に防止しながら、ネットの固定及び除去を容易に行なえることを見出し、本考案の完成に至った。
【0011】
即ち、本考案は、以下の(1)〜(3)の構成を有するものである。
(1)切り花や野菜の栽培時の茎の倒伏防止のために繊維ネットとともに使用するパイプ支柱であって、パイプ支柱が地中差し込み部と地上部からなり、地上部のパイプ支柱の側面に繊維ネットを引っ掛けるための切欠き部を一定の高さピッチで設けたこと、及び切欠き部の上端の切断部分が切欠き部の正面から見て下方に斜め方向に切られて形成され、切欠き部の下端の切断部分が、切欠き部の正面から見て水平方向に切られて形成されているか、又は正面から見て下方に斜め方向に切られて形成されていることを特徴とするパイプ支柱。
(2)パイプ支柱が1000〜2500mmの全体長さ、200〜500mmの地中差し込み部長さ、10〜30mmの幅、及び100〜400mmの高さ方向の切欠き部ピッチを有することを特徴とする(1)に記載のパイプ支柱。
(3)4本以上の(1)又は(2)に記載のパイプ支柱と、これらのパイプ支柱の切欠き部に引っ掛けてパイプ支柱間に渡って張るための繊維ネットとからなることを特徴とする切り花や野菜の茎の倒伏防止セット。
【考案の効果】
【0012】
本考案のパイプ支柱は、繊維ネットの固定を行なうための引っ掛け部としてパイプ支柱の地上部に切欠き部を一定の高さピッチで設けただけであるので、別部品を必要とせずに簡単な構造でネットの固定及び除去を容易に行なうことができる。また、本考案のパイプ支柱は、繊維ネットを引っ掛けるための切欠き部の上端及び下端の切断部分を特定の形状としているので、繊維ネットの上方の切欠き部への移動及び繊維ネットの下方へのずり落ちの防止が容易に達成される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、従来からの切り花栽培時の茎の倒伏防止の方法を示す写真である。
【図2】図2は、従来のいわゆるイボ竹と称されるパイプ支柱を使用した例を示す写真である。
【図3】図3は、従来のマイカー線を使用してパイプ支柱とネットを括った例を示す写真である。
【図4】図4は、従来のパッカーを使用してパイプ支柱とネットを挟みこんだ例を示す写真である。
【図5】図5は、本考案のパイプ支柱の概略図を示し、(a)は切欠き部を正面から見た図、(b)は切欠き部を側面から見た図である。
【図6】図6は、本考案のパイプ支柱を地中に差し込み、切欠き部に繊維ネットを引っ掛けた状態を示す写真である。
【図7】図7は、本考案のパイプ支柱を地中に差し込み、切欠き部に繊維ネットを引っ掛けた状態を示す別の写真である。
【考案を実施するための形態】
【0014】
本考案のパイプ支柱は、小菊、カーネーション等の切り花やアスパラガス等の野菜の栽培時に茎が倒伏したり曲がったりするのを防止するために支える繊維ネットを固定するために使用するものである。
【0015】
本考案のパイプ支柱の典型例を図5に示す。図5からわかるように、本考案のパイプ支柱1は、地中に差し込まれてパイプ支柱を安定させるための地中差し込み部2と、地上で繊維ネットと係合するための地上部3からなる。パイプ支柱1の全体長さは、1000〜2500mmが好ましく、地中差し込み部2の長さは、200〜500mmが好ましく、幅が10〜30mmであることが好ましい。パイプ支柱1の全体長さや地上部3の長さは、栽培する作物の成長高さによって適宜変更すればよい。
【0016】
本考案のパイプ支柱1では、地上部3のパイプ支柱の側面にネットを引っ掛けるための切欠き部4が一定の高さピッチで設けられ、切欠き部4が特定の形状を有していることが特徴である。この切欠き部4は、図5に示すように、その上端の切断部分5とその下端の切断部分6からなり、上端の切断部分5は、切欠き部4の正面から見て下方に斜め方向に切られて形成されており、下端の切断部分6は、切欠き部4の正面から見て水平方向に切られて形成されているか、又は正面から見て下方に斜め方向に切られて形成されている。ここで斜め方向は、必ずしも直線である必要はなく、曲がっていてもよい。切欠き部4は、パイプ支柱1の地中差し込み部2の先端部より250〜450mmの箇所から高さ方向に100〜400mmのピッチで5〜15個程度設けられることが好ましい。また、切欠き部4の切込みの深さは、パイプ支柱の幅にもよるが、5〜12mm程度が一般的である。
【0017】
切欠き部4の上端の切断部分5を上記のように形成したのは、ネットを上の高さの切欠き部4に上げるのを容易にするためであり、下端の切断部分5を上記のように形成したのは、ネットの引っ掛けを容易にしながら、ネットが下方にずり落ちるのを確実に防止するためである。
【0018】
本考案のパイプ支柱としては、従来公知の金属製や木製のものが適宜採用されることができるが、耐腐食性や耐久性を考慮すると、金属製のパイプの表面に亜鉛めっきを厚く施したものや焼き付け塗装を厚く施したものを使用することが好ましい。本考案のパイプ支柱は、円形の断面のものだけでなく、C形の断面のものも対象である。
【0019】
本考案では、4本以上、好ましくは数十本以上のパイプ支柱を用意し、さらにこれらのパイプ支柱の切欠き部に引っ掛けてパイプ支柱間に渡って張るための繊維ネットを用意して、切り花や野菜の茎の倒伏防止セットを構成することができる。繊維ネットとしては、従来から茎の倒伏防止に使用されているものをそのまま使用することができ、例えば網目が50〜250mm角、好ましくは100〜200mm角の合成繊維製ネットを使用することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本考案のパイプ支柱及び倒伏防止セットは、切り花や野菜の茎の倒伏防止のために伴なう労働作業を大幅に軽減するとともに、構造が簡単でコスト的にも安価であるので、切り花や野菜の生産者にとって極めて有用である。
【符号の説明】
【0021】
1 パイプ支柱
2 地中差し込み部
3 地上部
4 切欠き部
5 切欠き部の上端の切断部分
6 切欠き部の下端の切断部分
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5 
【図6】
図6 
【図7】
図7 
試作写真1  試作写真2 
発明者からのメッセージ
パイプの切り込み部にネットをワンタッチ!!
作業の効率が倍増!!


小菊、カーネーション等の切花栽培では、茎が曲がらないように繊維ネットを水平に張り、茎が真っ直ぐ伸びるように支柱とネットをマイカー線や紐でくくったり、パッカーで固定し作物の成長に合わせて、いちいち引き上げると言う大変な作業があります。
ネットストッパーは、ネットを切り込み部にワンタッチではめ込むだけ、くくる手間を省きました。
一反当りの支柱の本数は約500〜900本、1町〜2町の生産者にとっては重労働、ネットストッパーは作業時間と労力を大幅に削減したうえに余分な副資材の面でもコストダウンを図りました。
切花栽培の他、アスパラガス、キュウリ、エンドウ等の蔓物野菜、更には枝豆用黒豆の倒れ防止にも最適です。作物の品種に応じて切り込みを入れ、生育に合わせてネット以外に、紐や針金等を簡単に引っ掛ける事が可能なので用途は広範囲にわたります。
The Net Stopper for Cut Flower cultivation
Cut flower cultivation for chrysanthemum and carnation, it is needed to put them up horizontally with fiber nets, so that their stems are not bent. In order for the stem to grow straight, it is also needed to tie strings to a prop and nets, and fix it by packer, lifting it up gradually adjusting to the growth speed of those flowers. Those things may be troublesome for most people. The “Net Stopper” makes you omit the tiresome procedures of tying them up. The “Net Stopper” only requires the insertion of it to the cut part of a net.
The numbers of props are about 500-900 in 1000 m2 basis, so for the farmers who work in lager field (about 10000m2-20000m2), the tying up processes would be a heavy burden. The Net Stopper can cut all these burdens, and save energy for famers. It also helps to reduce the individual’s working hours and the cost which would supposedly come along with. The sub-materials used for tying up process can also be cut to some extent. The Net Stopper can be used for other plants or crops, such as asparagus, cucumber, pea and beans to fix them not to fall. Make some cuts onto the flowers or crops depending on their species, and then you can easily hook a string or wire on it adjusting it with the growth of flowers or crops. This Net Stopper can be used in various situations.
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