閉じる | ||
【発明の名称】摘果鋏 【出願人】 【識別番号】395006801 【氏名又は名称】飯島 和惠 【住所又は居所】長野県千曲市大字土口470−1 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100086623 【氏名又は名称】松田 宗久 【発明者】 【氏名】飯島 和惠 【住所又は居所】長野県千曲市大字土口470−1 【要約】 【課題】 同じ房に成った、幼果の付いた複数本の果柄を、その中心となる幼果の付いた1本の果柄を残して、切断、除去する摘果鋏を提供する。 【解決手段】 房に成った切断せずに残す1本の幼果の付いた果柄20を、摘果鋏の外側に湾曲する一方の鋏柄先端の外側部分に設けられた空間17に配置すると共に、それ以外の同じ房に成った幼果の付いた複数本の果柄20を、摘果鋏のほぼV字状に開かれた、上下2枚の鋏柄の先端内側空間15に配置する。次いで、そのほぼV字状に開かれた摘果鋏の上下2枚の鋏柄の先端11を閉じて、その上下2枚の鋏柄の先端内側に設けられた刃部12により、そのほぼV字状に開かれた摘果鋏の上下2枚の鋏柄の先端内側空間15に配置された、同じ房に成った幼果の付いた複数本の果柄20を、その中途部から一度に切断、除去する。 【特許請求の範囲】 【請求項1】 先端内側に刃部を持つ上下2枚の鋏柄が、そのほぼ中央部で回動自在に軸支されて、前記2枚の鋏柄の先端がほぼV字状に開かれたり互いに重ね合わせられたりして使用される鋏であって、 前記刃部を持つ上下2枚の鋏柄の先端が、その鋏柄が回動する平面内で、共に同じ一方の側にほぼ同一曲率で弧状に湾曲形成されて、その外側に湾曲する一方の鋏柄先端の外側部分に残す果柄を逃がす空間が設けられてなることを特徴とする摘果鋏。 【請求項2】 前記2枚の鋏柄先端内側の一方の刃部に、複数の凹部又は複数の縦溝が並べて設けられたことを特徴とする請求項1記載の摘果鋏。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 本発明は、先端に幼果の付いた複数本の果柄を果樹の枝に房状に付ける、リンゴ、ナシ、プルーン等の摘果作業に用いられる摘果鋏に関する。 【背景技術】 リンゴ、ナシ、プルーン等は、その成長過程において、図5に示したように、先端に幼果22の付いた複数本の果柄20を果樹の枝24に房状に成らせる。 その際には、その成長の良好な中心となる幼果22の付いた果柄20を1本残して、その他の同じ房に成った幼果の付いた複数本の果柄20を、その中途部から摘果鋏を用いて切断、除去している。この作業は、摘果作業と呼ばれる。 摘果作業は、その中心となる幼果22を大きく良好な果実に生育するためと、果樹勢保護のために行われる。 この摘果作業を行う摘果鋏には、一般に、水平鋏と呼ばれる鋏が用いられる。そして、その鋏を用いて、果樹の枝に房状に付いた複数本の果柄を、その中心となる幼果の付いた1本の果柄を残して、その中途部から1本ずつ切断、除去している。 しかしながら、果樹1本には、数百個の幼果が付くために、それらの幼果の付いた果柄を、その中心となる幼果の付いた果柄を残して、上記のようにして、水平鋏を用いて、1本ずつ切断、除去した場合には、多大な手数と労力を要した。特に、多数本の果樹が植えられた果樹園などにおいては、その摘果する幼果の付いた果柄の切断、除去数が、天文学的な大きな数値となってしまい、果樹栽培農家にとっては、摘果作業が、果樹栽培の合理化を妨げる最大のネックとなっていた。 このような難点を解消するものとしては、例えば、実開平05−55851号公報記載の摘果鋏、特開2005−58606号公報記載の鋏などが挙げられる。 【特許文献1】 実開平05−55851号公報 【特許文献2】 特開2005−58606号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記公報記載の摘果鋏や鋏は、いずれも、その使い勝手が悪かったり、その取り扱いが面倒であったりして、一般に広く利用されていない。 本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、誰でもが手軽に使用可能な、使い勝手が良く、取り扱いの容易な摘果鋏であって、果樹の枝に房状に成った、幼果の付いた複数本の果柄を、その成長の良好な中心となる幼果の付いた果柄を1本残して、その中途部から一度に切断、除去できる摘果鋏を提供することを目的としている。 【課題を解決するための手段】 このような目的を達成するために、本発明の摘果鋏は、先端内側に刃部を持つ上下2枚の鋏柄が、そのほぼ中央部で回動自在に軸支されて、前記2枚の鋏柄の先端がほぼV字状に開かれたり互いに重ね合わせられたりして使用される鋏において、 前記刃部を持つ上下2枚の鋏柄の先端が、その鋏柄が回動する平面内で、共に同じ一方の側にほぼ同一曲率で弧状に湾曲形成されて、その外側に湾曲する一方の鋏柄先端の外側部分に残す果柄を逃がす空間が設けられてなることを特徴としている。 摘果鋏を、このような構成とすることにより、前記のようにして、果樹の枝に房状に成った、幼果の付いた複数本の果柄を、成長の良好な中心となる幼果の付いた果柄を1本残して、その中途部から切断、除去する際には、その切断せずに残す1本の幼果の付いた果柄を、摘果鋏の外側に湾曲する一方の鋏柄先端の外側部分に設けられた空間に配置できる。それと共に、それ以外の切断、除去する同じ房に成った幼果の付いた複数本の果柄を、摘果鋏のほぼV字状に開かれた、刃部を持つ上下2枚の鋏柄の先端内側空間に配置できる。 次いで、そのほぼV字状に開かれた摘果鋏の刃部を持つ上下2枚の鋏柄の先端を互いに重ね合わせるように閉じることができる。そして、その上下2枚の鋏柄の先端内側に設けられた刃部により、そのほぼV字状に開かれた摘果鋏の上下2枚の鋏柄の先端内側空間に配置された、同じ房に成った幼果の付いた複数本の果柄を、その中途部から一度に切断、除去できる。 即ち、摘果を行う際には、残そうとする幼果の付いた1本の果柄を、摘果鋏の外側に湾曲する一方の鋏柄先端の外側部分に設けられた空間に配置すると共に、その他の同じ房に成った幼果の付いた複数本の果柄を、摘果鋏のほぼV字状に開かれた、上下2枚の鋏柄の先端内側空間に配置するだけで、同じ房に成った、幼果の付いた複数本の果柄を、その中心の幼果の付いた1本の果柄を残して、手数と時間を掛けずに、一度に容易かつ迅速に切断、除去できる。 さらに、鋏柄先端の刃部が湾曲していることで、遠くの果柄も、手を回すことなく、手前から容易に切断できる。 本発明の摘果鋏においては、前記2枚の鋏柄先端内側の一方の刃部に、複数の凹部又は複数の縦溝が並べて設けられた構造とすると良い。 そして、上記のようにして、果樹の枝に房に成った、幼果の付いた果柄のうちの、切断せずに残す中心となる幼果の付いた1本の果柄以外の、その他の同じ房に付いた複数本の果柄を、刃部の付いた2枚の鋏柄先端内側に挟み込んで一度に切断する際に、その2枚の鋏柄先端内側に挟み込んで切断する複数本の果柄を、鋏柄先端内側の刃部に設けられた複数の凹部又は複数の縦溝に引っかけた状態とすると良い。そして、その2枚の鋏柄先端内側に挟み込まれた複数本の果柄のうちの、1本乃至複数本の果柄が、鋏柄先端内側に備えられた刃部上をその先方へと滑って、上下2枚の鋏柄先端内側からその先方に抜け出てしまうのを、防ぐと良い。そして、その鋏柄先方に抜け出た果柄を、鋏柄先端内側に備えられた刃部により切断、除去できなくなるのを、防ぐと良い。 【発明の効果】 以上説明したように、本発明の摘果鋏によれば、同じ房に成った、幼果の付いた複数本の果柄を、その中心となる幼果の付いた1本の果柄を残して、手数と時間を掛けずに、一度に容易かつ迅速に切断、除去できる。 また、摘果を行う際には、その切断せずに残す幼果の付いた1本の果柄を、摘果鋏の外側に湾曲する一方の鋏柄先端の外側部分に設けられた空間に配置すると共に、その他の同じ房に成った幼果の付いた複数本の果柄を、摘果鋏のほぼV字状に開かれた、上下2枚の鋏柄の先端内側空間に配置するだけで良く、誰でもが手軽に使用でき、使い勝手が良く、取り扱いの容易な摘果鋏を提供可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 図1と図2は本発明の摘果鋏の好適な実施の形態を示し、図1はその鋏柄の先端を閉じた状態の平面図、図2はその鋏柄の先端を開いた状態の平面図である。以下に、この摘果鋏を説明する。 この摘果鋏は、先端内側に刃部12を持つ上下2枚の鋏柄10が、そのほぼ中央部14で、軸16により回動自在に軸支されている。上下2枚の鋏柄の後部18には、ほぼリング状をしたABS樹脂製の取手19が備えられている。そして、その取手19に手の指を絡ませて、取手の付いた上下2枚の鋏柄の後部18を閉じたり開いたりすることにより、その2枚の鋏柄の先端11が、上記軸16を中心に、ほぼV字状に開かれたり互いに重なり合わせられたりするように構成されている。そして、その2枚の鋏柄の先端内側に設けられた刃部12により、その2枚の鋏柄の先端内側空間15に配置された、幼果の付いた果柄が切断されるように構成されている。 以上の構成は、従来の水平鋏と同様であるが、図1と図2に示された摘果鋏においては、刃部を持つ上下2枚の鋏柄の先端11が、その鋏柄10が回動する平面内で、共に同じ一方の側(図1と図2では下側)にほぼ同一曲率で弧状に湾曲形成されている。そして、その外側に湾曲する一方の鋏柄先端の外側部分に、切断せずに残す中心となる幼果の付いた果柄を逃がす空間17が設けられている。 図1と図2に示された摘果鋏は、以上のように構成されていて、この摘果鋏を用いて摘果を行う際には、図3に示されたように、リンゴ、ナシ等の果樹の枝24に房状に成った、幼果22の付いた複数本の果柄20のうちの、切断せずに残す成長の良好な中心となる幼果の付いた1本の果柄20を、摘果鋏の外側に湾曲する一方の鋏柄先端の外側部分に設けられた空間17に配置する。それと共に、摘果鋏の上下2枚の取手の付いた鋏柄後部18を開いて、摘果鋏の上下2枚の鋏柄の先端11をほぼV字状に開いた状態とする。そして、そのほぼV字状に開かれた、刃部12を持つ上下2枚の鋏柄の先端内側空間15に、上記の切断せずに残す幼果の付いた果柄20以外の、その他の同じ房に成った幼果22の付いた複数本の果柄20を配置する。 次いで、摘果鋏の上下2枚の取手の付いた鋏柄後部18を閉じて、そのほぼV字状に開かれた摘果鋏の刃部12を持つ上下2枚の鋏柄先端11を互いに重ね合わせるように閉じる。そして、その上下2枚の鋏柄先端内側に設けられた刃部12により、そのほぼV字状に開かれた摘果鋏の上下2枚の鋏柄の先端内側空間15に配置された、同じ房に成った幼果の付いた複数本の果柄20を、その中途部から一度に切断、除去する。 そして、リンゴ、ナシ等の果樹の枝に房状に成った、幼果の付いた複数本の果柄20のうちの、その成長の良好な中心となる幼果22の付いた1本の果柄20を残して、それ以外の複数本の幼果の付いた果柄20を、その中途部から切断、除去する。 図1と図2に示された摘果鋏においては、図4に示されたように、その上下2枚の鋏柄先端内側の一方の刃部12に、複数の凹部13又は複数の縦溝(図4では凹部としている)を並べて設けると良い。 そして、果樹の枝24に房状に成った、幼果22の付いた複数本の果柄20のうちの、切断せずに残す幼果22の付いた中心となる1本の果柄20以外の、その他の同じ房に付いた複数本の果柄20を、刃部12の付いた2枚の鋏柄先端11内側に挟み込んで一度に切断する際に、その2枚の鋏柄先端11内側に挟み込まれた複数本の果柄20の中途部を、その鋏柄先端内側の刃部12に並べて設けられた、複数の凹部13又は複数の縦溝に引っかけた状態とすると良い。そして、その2枚の鋏柄先端11内側に挟み込まれた複数本の果柄20が、鋏柄先端内側に備えられた刃部12上をその先方へと滑って、上下2枚の鋏柄先端11内側からその先方に抜け出てしまうのを、防ぐと良い。そして、その鋏柄10先方に抜け出た果柄20を、鋏柄先端内側に備えられた刃部12により切断、除去できなくなるのを、防ぐと良い。 【産業上の利用可能性】 本発明の摘果鋏は、果樹の枝に房状に成った幼果の付いた複数本の果柄を、その中心となる幼果の付いた1本の果柄を残して、その中途部から手数と時間を掛けずに一度に切断、除去するための摘果作業に、広く利用可能である。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の摘果鋏の平面図である。 【図2】本発明の摘果鋏の平面図である。 【図3】本発明の摘果鋏の使用状態説明図である。 【図4】本発明の摘果鋏の使用状態説明図である。 【図5】果樹の枝に房状に成った幼果の付いた複数本の果柄の斜視図である。 【符号の説明】 10 鋏柄 11 鋏柄先端 12 刃部 13 凹部 14 鋏柄中央部 15 鋏柄先端内側空間 16 軸 17 鋏柄先端の外側部分に設けられた空間 18 鋏柄後部 19 取手 20 果柄 22 幼果 |
||
【図1】 |
||
【図2】 |
||
【図3】 |
||
【図4】 |
||
【図5】 |
||
ページtop へ |