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繊維・紙
 
【発明の名称】ワンショルダー型エプロン
【出願人】
【識別番号】319003437
【氏名又は名称】佐野 博子
【住所又は居所】大阪府大阪市大正区三軒家西1-16-10
【代理人】
【識別番号】100142114
【弁理士】
【氏名又は名称】小石川 由紀乃
【発明者】
【氏名】佐野 博子
【住所又は居所】大阪府大阪市大正区三軒家西1-16-10
【要約】
【課題】左右どちらの肩に紐を掛けるかを自由に選択できると共に、エプロンとしての機能や見栄えの良さを維持できるようにする。
【解決手段】エプロン本体1を、両側縁部と幅中央部との間の各々の上端縁を山状に変化させた形状の布部材10の両側縁部を互いに係脱可能に繋ぎ合わせた構成とし、このエプロン本体1の2つの山12,12の上端部の間に長さ調整が可能な紐部材を着脱可能に連結する。エプロン本体1を着用者の胴体の全周に沿わせると、2つの山12,12の上端部の一方が胴体の前面側に合わせられ、他方が胴体の背面側に合わせられる。これら上端部の位置は、紐部材を左右いずれの肩に掛けるかに応じて調整される。
【選択図】図2
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側縁部と幅中央部との間の各々の上端縁を山状に変化させた形の布部材またはシート部材の前記両側縁部が互いに係脱可能に繋ぎ合わせられて成るエプロン本体と、このエプロン本体の2つの山の各々の上端部の間に着脱可能に連結される長さ調整が可能な紐部材とを備える、ワンショルダー型エプロン。
【請求項2】
前記エプロン本体の上端縁は、各々の中央部付近を上端部とする2つの山を連続させた形状に設定される、請求項1に記載されたワンショルダー型エプロン。
【請求項3】
前記エプロン本体の上端縁は、各々の上端部の高さを同程度とする2つの山を連続させた形状に設定される、請求項1に記載されたワンショルダー型エプロン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右いずれか一方の肩のみに紐を掛け渡した状態で着用されるワンショルダー型のエプロンに関する。
【背景技術】
【0002】
左右一対の肩紐を有する一般的なエプロンには、2本の紐の間の間隔が着用者の肩幅に合っていない場合に、肩から紐がずり落ちたり、締め付けられた状態が続いて肩こりが生じる等の問題がある。
【0003】
上記の問題を解決するものとして、正方形状のエプロン本体の一辺の一角に紐の一端部が取り付けられ、前記の辺の他の角部に紐の挿通部が設けられ、紐が取り付けられた角部から延びる他の辺の中間位置に紐の自由端を留めるための係合手段が設けられた構成のワンショルダー型エプロンが考案されている(特許文献1を参照。)。このエプロンは、紐が取り付けられた角部を着用者の肩の近くに合わせ、紐の挿通部が設けられた角部を着用者の背部の腰の付近に合わせ、紐を肩から背部に廻して挿通部を挿通させて係合手段に係合させることによって、着用者の身体に装着された状態になる(特許文献1の図3および図4を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 実用新案登録第3084941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワンショルダー型エプロンの利便性を高めるには、着用者の利き腕や好み等に応じて左右いずれの肩に肩紐をかけるか選択できるようにする必要があるが、特許文献1にはそのような課題や当該課題の解決手段は全く示されていない。また、同文献に記載のエプロンは、単に正方形状の布を斜めにして身体に巻き付けただけのものであるため、両側縁の釣り合いがとれずに背部が大きく開いた状態になり、裾も斜めで不自然で、見栄えや着心地が悪い。
【0006】
本発明は上記の問題に着目してなされたもので、左右どちらの肩に紐を掛けるかを着用者が自由に選択することができると共に、対象とする肩のどの位置に肩に紐が合わせられてもエプロンとしての機能や見栄えの良さを維持することが可能なワンショルダー型エプロンを提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるワンショルダー型エプロンは、両側縁部と幅中央部との間の各々の上端縁を山状に変化させた形の布部材またはシート部材の前記両側縁部が互いに係脱可能に繋ぎ合わせられて成るエプロン本体と、当該エプロン本体の2つの山の各々の上端部の間に着脱可能に連結される長さ調整が可能な紐部材とを備えるものである。
【0008】
上記の構成のエプロン本体を、着用者と想定する人の胴体の全周を囲むのに適した幅長さにすれば、このエプロン本体の両側縁部を繋ぎ合わせて出来る輪の中に着用者の胴体を入れることによって、エプロン本体の各山の一方を胴体の前面側に配置し、他方の山を胴体の背面側に配置することができる。したがって、左右いずれの肩に紐部材を掛けるかに応じて各山の上端部の位置を調整し、これらの上端部に連結された紐部材を目的の肩に掛けることができる。また、紐部材の長さを調整することによって、当該紐部材を目的の肩にぴったり合わせてエプロン本体を支持することができる。
【0009】
エプロン本体の各山の各々の中央部付近に上端部を設定すれば、双方の上端部を同じ側の肩に合わせその肩に紐部材を掛けることができる。また、各山の上端部を各々の中央部に対して同じ方向に偏らせれば、各上端部をそれぞれ異なる肩に合わせ、紐部材を左右のいずれの肩にも掛けることが可能になる。各山の上端部の高さは同程度にしても良いし、それぞれ異なる高さにしてもよい。
【0010】
エプロン本体の両側縁部を係脱可能に繋ぎ合わせる手段として、スライドファスナーを採用すれば、両側縁部の主要部分を隙間なく繋ぎ合わせて連結を強固にすることができる。またエプロンの脱ぎ着が容易になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるワンショルダー型エプロンは、ユーザーが希望する側の肩に紐部材を掛けることができると共に、肩のどの位置に紐部材を合わせても、エプロン本体を胴体の全周に沿わせた状態で維持することができる。また、2つの山の高さを同程度にすれば、どちらの山を前にするかを気にすることなく、同じように着用することができる。
【0012】
よって、本発明によれば、美観、着心地、利便性の全てを良好にすることができる。また、2つの山を胸の位置まで届く高さにすることによって、腹回りだけでなく胸回りも保護することができ、エプロンとしての実用上の機能も十分にできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明が適用されたワンショルダー型エプロンの一実施形態の外観を表す正面図である。
【図2】展開状態のエプロン本体の構成を示す正面図である。
【図3】紐部材の全体構成およびエプロン本体への取付状態を表す正面図である。
【図4】左肩に紐部材を掛けてエプロンを着用した例を示す図である。
【図5】右肩に紐部材を掛けてエプロンを着用した例を示す図である。
【図6】他の実施例に係るエプロン本体の展開状態の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明が適用されたワンショルダー型エプロンEPの一実施形態の外観を表すものである。この実施例のエプロンEPは、エプロン本体1とこのエプロン本体1に着脱可能に連結される紐部材2とにより構成される。エプロン本体1は、1枚の布部材10の両側縁部をオープン型のスライドファスナー11を介して互いに係脱可能に繋ぎ合わせた構成のもので、スライドファスナー11を開くことによって、図2に示すような形状に展開される。なお、エプロン本体1の主材は布に限らず、不織布またはその他の合成樹脂製の
シートを主材としてもよい。あるいは、防水加工が施された紙シートを使用してもよい。また、複数枚の布またはシートを連結したものを使用してもよい。
【0015】
この実施例の布部材10は、着用者として想定した人の胴回りや胸回りよりやや大きい幅(両側縁部を繋いで出来る輪の中に着用者の胴体が無理なく入る大きさ)を有し、両側縁部と幅中央部との間の各々の上端縁を山状に変化させた形状に形成される。以下、エプロン本体1のスライドファスナー11により連結される両側縁部より高い部分(図2中符号12で示した部分)を「山」と呼ぶ。
【0016】
図2に示すように、この実施例のエプロン本体1における2つの山12,12は、当該山12の中央部付近を最も高くかつ台形状とし、その他の範囲を当該台形に連なるように緩やかに傾斜させた形状となっている。また2つの山12,12は、着用者の胸から鎖骨の付近までに対応させることを想定した高さに設定されると共に、エプロン本体1の幅中央部を境界として左右対称に近い形状となっている。
【0017】
各山12,12の台形状の部分には同形状の補強布13が縫い付けられると共に、鳩目金具15により保護された貫通穴14が形成されている。以下、この補強布13と貫通穴14が設けられた台形部分を山12の上端部という。
【0018】
布部材10の両側縁部には、スライドファスナー11を構成する務歯付きテープ11a,11bが一対一の関係をもって縫い合わせられている。これらのテープ11a,11bを噛み合わせることによって、両側縁部が互いに係脱可能に連結される。
【0019】
なお、この実施例のエプロン本体1を構成する布部材10は単色であるが、模様入りの布を使用してもよい。また、エプロン本体1の適所にポケットや飾りを付けることもできる。また、各山12の上端部の形状は台形に限らず、扇形状、三角形、流線形など、様々な形状にすることができる。
【0020】
図3は、一端部のみをエプロン本体1に連結した状態の紐部材2を示すものである。この実施例の紐部材2は、長さ調整用の移動カン22が設けられたベルト20の両端に角カン23を介してエプロン本体1への取付片21を連結した構成のものである。取付片21には長さ方向に沿って複数の通し穴24が連設されると共に、先端に通し穴24を通るサイズの細紐25が一体に設けられている。細紐25をエプロン本体1の山12の上端部の貫通穴14に通した後に半輪になるように曲げて2個以上の通し穴24に通し、通し穴24に対する緩みがなくなるように細紐25を締めることによって、紐部材2をエプロン本体1の上端部に着脱可能に連結することができる。この紐部材2は、移動カン22を動かすことによって長さを調整できるほか、細紐25を通す位置によっても長さの微調整を行うことができる。
【0021】
紐部材2の構成も上記の例に限定されるものではなく、たとえば取付片21をナスカンなどの取付金具に変更することができる。また、両端部に複数のボタンが連設された平紐を紐部材2とし、エプロン本体1の貫通穴14を前記のボタンを留めるためのボタン穴に変更してもよい。また、伸縮性を有する平紐をベルト20とすれば、移動カン22を設けなくとも、ベルト20の伸び縮みによって紐部材2の長さを調整することができる。
【0022】
図4および図5は、上記構成のワンショルダー型エプロンEPの着用例を示すものである。これらの図に示すとおり、本実施例のエプロンEPは、エプロン本体1を着用者の胴体にあてがい、ファスナー11を介して左右の側縁部を連結することによって、2つの山12,12の一方が着用者の胴体の前面側に配置され、他方が胴体の背面側に配置された状態にすることができる。このときの各山12,12の上端部は胴体を挟んで前後に対向
する状態となるので、前面側の山12の上端部を左肩SLの近くに合わせると、背面側の山12の上端部も左肩SLに近い場所に位置するようになり、両者に連結された紐部材2を左肩SLに掛けることができる(図4(a)(b)を参照。)。また前面側の山12の上端部を右肩SRの近くに合わせると、背面側の山12の上端部も右肩SRに近い場所に位置するようになり、両者に連結された紐部材2を右肩SRに掛けることができる(図5(a)(b)参照。)。
【0023】
このように、紐部材2を掛ける対象となる肩(左肩SLまたは右肩SR)の近くに各山12の上端部を合わせることによって、当該対象の肩に紐部材2を掛けて、エプロン本体1を所定の高さ位置で支持することができる。また紐部材2を掛ける肩に対する各山12の上端部の位置や紐部材2の長さを調整することによって、紐部材2を肩に馴染む位置に合わせることができる。
【0024】
2つの山12の形状や高さはほぼ同じであるので、どちらの山12が前面側に配置されても着用状態の外観に大きな差は生じない。また、各山12の上端部が胴体の周方向のどの位置にあっても、エプロン本体1は着用者の胴体の全周に沿う状態で維持され、紐部材2を左右いずれかの肩に掛けることで胴体の主要部分を被覆することができる。よって、エプロンとしての実用面での機能や見栄えの良さを確保することができ、着用者に快適な着心地を感じさせることができる。
【0025】
図4(c)および図5(c)に示すように、スライドファスナー11による連結部分は着用時には着用者の左脇または右脇の付近に位置するので、連結部分によって美観が損なわれるおそれもない。なお、連結部分がより目立たなくなるように、布部材の両側縁部の一方にファスナーを隠すためのマチ部を設けてもよい。
【0026】
エプロン本体1の両側縁部を係脱可能に繋ぎ合わせる手段は、スライドファスナー11に限らず、面ファスナーを使用してもよい。また、各両側縁部の上下方向の複数箇所をボタンやピン部材を介して連結してもよい。
【0027】
しかし、エプロン本体1の両側縁部のほぼ全長をスライドファスナー11により連結すれば、エプロン本体1の脱ぎ着が容易になる上に、着用中に激しく動いても両側縁部の係合が外れるのを防ぐことができ、着用者は安心して作業を行うことができる。
【0028】
胴回りや胸回りに余裕があれば、スライドファスナー11を閉じてエプロン本体1を輪の状態にしたままで脱ぎ着を行うことができ、さらに輪の状態のまま胴回りに沿ってエプロン本体1を動かす方法で各山12,12の位置を調整することができる。紐部材2も少し長めにしてあらかじめエプロン本体1に取り付けておけば、ベルト20による半輪の中に腕を通してからベルト20の長さを調整する方法により容易に紐部材2を肩に装着することができる。したがって、短時間で脱ぎ着を完了することができるので、頻繁にエプロンEPの脱ぎ着をする必要がある人の煩しさを軽減することができる。また、洗濯やアイロン掛けの際には、紐部材2をエプロン本体1から取り外し、スライドファスナー11を開放してエプロン本体1を展開することにより、作業を容易にできる。
【0029】
なお、上記実施例では、エプロン本体1の2つの山12,12を着用者の鎖骨の付近まで届く高さに設定したが、これに限らず、より低い位置を山12の上端部としてもよい。また、上記実施例では、エプロン本体1の2つの山12,12を左右対称に近い形状にしたが、これに限らず、各々の山12に対する上端部の相対位置に有意な差があってもよいし、各山12をそれぞれ異なる高さにしてもよい。また図6に示すように、各山12,12の上端部を同じ方向に偏らせた形状にしてもよい。
【0030】
図6に示すエプロン本体1では、それぞれ上端縁が山状に形成された2枚の布10a,10bを縫い合わせた構成の布部材10が使用されている。いずれの布10a,10bでも、山12の上端縁は幅中央部より向かって右側に偏った位置に設けられている。このエプロン本体1を着用者の胴体の全周に沿わせると、前面側の山12の上端部を右肩SRの近くに合わせたときは背面側の山12の上端部は左肩SLの近くに位置し、前面側の山12の上端部を左肩SLの近くに合わせたときは背面側の山の上端部は右肩SRの近くに位置するようになる。したがって、いずれの配置においても、前面側の上端部と背面側の上端部との間に連結される紐部材2の長さを適宜調整することによって、右肩SRにも左肩SLにも紐部材2を掛けることができる。
【符号の説明】
【0031】
EP ワンショルダー型エプロン
1 エプロン本体
2 紐部材
10 布部材
11 スライドファスナー
12 山
14 貫通穴
20 ベルト
21 取付片
24 通し穴
25 細紐
SL 左肩
SR 右肩
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5 
【図6】
図6 
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