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繊維・紙
 
【発明の名称】汗取りパッド
【出願人】
【識別番号】520071836
【氏名又は名称】佐藤 育子
【住所又は居所】富山県高岡市伏木古府元町9-13
【代理人】
【識別番号】100181881
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 俊一
【発明者】
【氏名】佐藤 育子
【住所又は居所】富山県高岡市伏木古府元町9-13
【要約】
【課題】 吸汗と同時に内外の通気作用及び蒸散作用を連続的に機能させることができ、且つ人体の軟かく動きの激しい部位や、外気と接し難い閉所的な部位に装着したとしても不快感の生じない汗取りパッドの提供。
【解決手段】 オープンセル構造の内層1及び当該内層1の肌側に重ね合わされた吸湿性を有する吸汗層2を備えた複層構造シートと、前記内層1の衣服側を覆う断湿層3を備える汗取りパッドであって、前記内層1は、相互に連通した気室を維持しつつ加圧に伴う収縮性及び加圧解除に伴う復元性を備え、前記内層1への加圧及び加圧解除に伴い前記吸汗層2と遮湿層3に挟まれた空間の吸排気を促す汗取りパッド。
【選択図】 図1
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オープンセル構造の内層及び当該内層の肌側に重ね合わされた吸湿性を有する吸汗層を備えた複層構造シートと、前記内層の衣服側を覆う断湿層を備える汗取りパッドであって、
前記内層は、相互に連通した気室を維持しつつ加圧に伴う収縮性及び加圧解除に伴う復元性を備え、
前記内層への加圧及び加圧解除に伴い前記吸汗層と遮湿層に挟まれた空間の吸排気を促すことを特徴とする汗取りパッド。
【請求項2】
前記内層と断湿層との間に吸湿性を有する吸汗層を備えることを特徴とする請求項1に記載の汗取りパッド。
構成を採ることができる。
【請求項3】
前記内層は、表裏メッシュ生地の間に、気室を維持しつつ加圧に伴う収縮性及び加圧解除に伴う復元性を備えた気室部材が充填され、且つ前記表裏メッシュ生地はキルト状に縫合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の汗取りパッド。
【請求項4】
前記内層の衣服側が当該内層より短い寸法の遮湿層に覆われ、当該内層の衣服側への湾曲による空隙を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の汗取りパッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、腋の下等に装着する汗取りパッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体は、激しい運動をし、又は炎天下で長く歩行を続けると発汗機能が働くが、その汗が衣服に浸透すると、衣服のベタツキによる気持ち悪さや、衣服の汗痕が現れることによる体裁の悪化が生じる。また、それが度重なると衣服のシミや劣化を促進することともなる。
殊に、腋の下や背中などは、人体において最も前記発汗に伴う悪影響が露見する部位で有り、発汗から早期に乾燥するような手立てが望まれる。
衣服によっては、メッシュ生地や早期乾燥を促す生地で出来たものも存在するが、すべての衣服にそれを採用することは極めて困難である。
【0003】
そこで、従来、吸水性の高い汗取りパッドが種々紹介されている(例えば下記特許文献1参照)。
中には、帽子の形態を利用して、吸汗と同時に一方で蒸散させることが連続的に実施でき、さらに長時間の着帽にも、従来のように汗ばむことも無ければ蒸れ感もなく不快感を生じることのない帽体も提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2014−91886号公報
【特許文献2】 特開2000−212820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、通気性の悪い閉所的な部位は、吸湿性は働くものの、内外の通気や蒸散性は極めて悪く汗溜りが生じ易いため、前記特許文献1に記載の技術では不快感は到底取り除くことはできないという問題がある。
一方、前記特許文献2に記載の技術では、該布帛状物の裏面側に、ハニカム構造等が形作られた大きな空気層を持った構成を採用することにより、汗の蒸散量を大きく拡大させる手法が採られている。しかしながら、人体のなかの軟かく動きの激しい部位や、外気と接し難い閉所的な部位では、前記ハニカム構造等は肌との干渉などで不快感を招来し実用に不向きであるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、吸汗と同時に内外の通気作用及び蒸散作用を連続的に機能させることができ、且つ人体の軟かく動きの激しい部位や、外気と接し難い閉所的な部位に装着したとしても不快感の生じない汗取りパッドの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明による汗取りパッドは、オープンセル構造の内層及び当該内層の肌側に重ね合わされた吸湿性を有する吸汗層を備えた複層構造シートと、前記内層の衣服側を覆う断湿層を備える汗取りパッドであって、前記内層は、相互に連通した気室を維持しつつ加圧に伴う収縮性及び加圧解除に伴う復元性を備え、前記内層への加圧及び加圧解除に伴い前記吸汗層と遮湿層に挟まれた空間の吸排気を促すことを特徴とする。
【0008】
前記内層と断湿層との間に吸湿性を有する吸汗層を備える構成を採ることもできる。
前記内層は、表裏メッシュ生地の間に、気室を維持しつつ加圧に伴う収縮性及び加圧解除に伴う復元性を備えた気室部材が充填され、且つ前記表裏メッシュ生地はキルト状に縫合されている構成を採ることができる。
【0009】
また、前記内層の衣服側が当該内層より短い寸法の遮湿層で覆われ、当該内層の衣服側への湾曲による空隙を備える構成を採ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明による汗取りパッドを使用すれば、オープンセル構造の内層及び当該内層の肌側に重ね合わされた吸湿性を有する吸汗層を備えた複層構造シートと、前記内層の衣服側に被着された断湿層を備えることによって、前記吸汗層が肌から好適に汗を吸い込むことはもとより、当該吸汗層の裏面に通気性の高い内層が配置されることで、吸汗層の速乾性が助長され膨大な湿気を人体から吸収できることとなる。
【0011】
また、吸汗層の表面が肌に密着し、前記吸汗層と前記断湿層との間に相互に連通した気室を維持しつつ加圧に伴う収縮性及び加圧解除に伴う復元性を持つ内層を備え、内層の衣服側には遮湿層を備える構成により、例えば、腋の下などの激しく運動する箇所に用いれば、筋肉の動きその他の加圧に伴い、吸汗層に吸収された湿気をパッドの外部へ誘導するポンプとしての機能や、吸汗層に吸収された湿気を換気により気化させる気流を発生させる鞴(ふいご)としての機能も奏するため、高効率で長時間の汗取りが可能となる。
【0012】
更に、前記内層と断湿層との間に吸湿性を有する吸汗層を備える構成を採れば、内層を挟む肌から遠い位置において肌側の吸汗層の汗取り能力を補うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による汗取りパッドの一例を示す(A):背面図、(B):図2(A)のb−b矢視断面図及び(C):正面図である。
【図2】図1に示す汗取りパッドの(A):平面図、(B):図2(A)のa−a矢視断面図、(C):右側面図及び(D):底面図である。
【図3】本発明による汗取りパッドの一例を示す(A):背面図、(B):図4(A)のd−d矢視断面図及び(C):正面図である。
【図4】図3に示す汗取りパッドの(A):平面図、(B):図4(A)のc−c矢視断面図、(C):右側面図及び(D):底面図である。
【図5】本発明による汗取りパッドの一例を示す(A):背面図、(B):図6(A)のf−f矢視断面図及び(C):正面図である。
【図6】図5に示す汗取りパッドの(A):平面図、(B):図6(A)のe−e矢視断面図、(C):右側面図及び(D):底面図である。
【図7】本発明による汗取りパッドの部位構成の例を示す平面図である。
【図8】本発明による汗取りパッドの装着時の一例を示す説明図である。
【図9】本発明による汗取りパッドの一例を示す平面図である。
【図10】図9に示す汗取りパッドの底面図である。
【図11】図9に示す汗取りパッドの(A):背面図、(B):正面図及び(C):側面図である。
【図12】図9に示す汗取りパッドの(A):展開状態及び(B):屈曲状態におけるg−g矢視断面図である(復元時)。
【図13】図9に示す汗取りパッドの(A):展開状態及び(B):屈曲状態におけるg−g矢視断面図である(加圧時)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による汗取りパッドの実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1乃至図6及び図9乃至図13は、本発明による汗取りパッドを腋窩の発汗吸収に用いる汗取りパッドとして具体化した例を示したものである。
これらの汗取りパッドは、オープンセル構造の内層1及び当該内層1の肌側に重ね合わされた吸湿性を有する吸汗層2を備えた複層構造シートと、前記内層1の衣服側を覆う断湿層3を備える汗取りパッドである。
ここでオープンセル構造とは、相互に連通した気室を持つ構造である。例えば、多孔質の気孔構造であって、スポンジのように泡構造の枠部分(Cell edge)だけが残った構造(定型構造)、又はその欠片(不定形構造)によるなどである。ちなみに、クローズドセル構造は、コルク等のように泡構造の膜面(Cell face) が残った通気性を確保できない構造である。
【0015】
前記内層1は、前記吸汗層2と前記断湿層3との間に介在し、前記内層1の相互に連通した気室を維持しつつ加圧に伴う収縮性及び加圧解除に伴う復元性を備える。当該内層1への加圧及び加圧解除に伴い前記吸汗層2と遮湿層3に挟まれた空間の吸排気を促す。
前記内層1は、例えば、ポリエチレン等の弾性モノフィラメントを目の粗い弾性・柔軟構造に編成又は不織布化してなる弾性シート若しくは空間率50%以上の多孔性シート、又は前記弾性シートを欠片状に裁断した弾性片若しくは多孔性シートを欠片状に裁断した多孔質片、若しくは同素材からなる細繊維を丸めた弾性繊維球(以下これら欠片状若しくは球状の部材を「気室部材4」という)のいずれかを内層1の伸縮空間(以下「気室空間α」という)に封入することによって形成される。
【0016】
この例の前記気室空間αは、前記弾性シート又は多孔性シートを採用する場合は、それらのシート単体で構成でき、前記気室部材4を採用する場合は、通気性を持つ表裏(肌側と衣服側)の生地(通気性カバー)及びそれらに挟まれた領域に形成される。
後者における通気性カバーは、表裏共にメッシュ生地7を採用することができる。
その他の構成として、肌側は前記吸汗層2又は吸汗層2及びメッシュ生地7の双方を採用し、衣服側はメッシュ生地7を採用することができる(図1及び図2参照)。
尚、メッシュ生地7とは、通気性を確保すべく、表裏を貫通する孔が沢山開いている生地である。例えば、ナイロン等のフィラメントを柔軟に編成した生地などが好ましい。
【0017】
前記内層1は、細かく裁断された気室部材4を充填する構成(不定形構造)を採用すれば、一連の多孔質シート等を採用する構成(定型構造)に比べて変形の方向や量が規制され難く、軟かく動きのある人体部位の凹凸に好適にフィットし、汗の吸収効率を高めることができる。加えて、装着時における違和感を取り除くことができ、複雑な形状を持つ胸部や股間との密着性も改善されることとなる。
【0018】
前記吸汗層2は、綿等の天然繊維や、ポリエチレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維からなる不織布や多孔性プラスチックシートであって、素材の性状に応じて内層1を形作る素材の凹凸を顕著に感じさせない程度の十分な厚みを持ち、且つ前記内層1の通気効率に応じて十分な速乾性が得られる程度の厚みを持つものである。更には、前記気室部材4からなる内層1による複雑な変形への追従を許容し着用者の身体の凹凸になじむよう、伸縮性を持った素材であることが望ましい。
【0019】
前記断湿層3は、オレフィン系の樹脂などを素材とし、シートの遮水性又は内層1からの距離を維持する構造を有することによって、発汗部位から流れた水分が衣服に付着することを回避・抑制する機能が与えられた層である。
前記複層構造体は、前記内層1の衣服側に断湿層3を直接被覆する構成の他、前記断湿層3の内側に、前記吸汗層2として不織布等を積層した構造等、前記内層1と断湿層3との間に吸湿性を備えた吸汗層2を備える構成を採用することができる。
また、前記断湿層3の表面(衣服側)に、肌着の内面に定着するための粘着層(図示省略)を設け、使用される時が来るまでの間、当該粘着層の機能を封じる剥離紙が被着されている構成を採用することもできる。
【0020】
前記吸汗層2、内層1及び遮湿層3、又は前記吸汗層2、内層1、吸汗層2及び遮湿層3は、腋窩やその他装着する人体部位の形態に合わせた略等しい形状に裁断され、その際、前記吸汗層2及び内層1からなる複層構造シートの周縁部は、縫合、ヒート接合、超音波接合又は接着剤による接合が施される。
前記複層構造シートの外形は、使用時において肌着から剥がれ難い滑らかな曲線、円弧又は楕円弧を採用するのが好ましい。これにより、当該汗取りパッドの周縁と肌との干渉が緩和され、装着感を損なうことを回避することができる。
【0021】
前記複層構造シートと遮湿層3は、縫合、ヒート接合、超音波接合又は接着剤により、各々の周縁部が間欠的に接合されている。
上記の如く間欠的に接合された構造は、前記内層1の気室と外部との通気が遮断された閉鎖部βと、前記接合が回避され前記気室空間αと外部との通気が確保された開放部γを備える構造を形作る。
当該複層構造シートの内層1の気室空間α、及び当該内層1と遮湿層3に挟まれた空隙(以下「内空部6」という)と、当該複層構造体の外部との通気は、隣接する閉鎖部β(接合部分)に挟まれた開放部γにより確保される。
【0022】
前記吸汗層2及び内層1は、当該内層1の気室を維持しつつ升目状(縦横)の縫い目が形成される様に縫い合わされ、且つそれらの側縁部が接合されることによって複層構造シートとして一体化され、前記内層1の構成部材として充填された前記気室部材4は、位置ずれなく常に略一定の配置となる(図1乃至図6、図9乃至図11参照)。
更に、衣服側を前記遮湿層3で覆うことによって、前記複層構造シートから漏れ出た汗が衣服に付着することを回避する構成を採る。
前記内空部6を比較的広く恒常的に確保する構成として、前記遮湿層3,8を前記複層
構造シートより短い長さに裁断し、当該複層構造シートに恒常的な撓みを与える構成を採ってもよい(図1乃至図4参照)。
【0023】
前記複層構造体は、腋窩部の開閉に伴って好適に屈曲が行えるように、上腕部の裏に接する部分(腕部)と胸部側面に接する部分(胴部)とを分ける境界線に沿って、前記内層1の気室又は前記内空部6を維持しつつ、前記キルト状の複層構造シートの升目状の縫い目と同様の縫い目10が形成された構成を採ることができる(図2、図4、図6及び図9乃至図13参照)。
その際、当該汗取りパッドの縫合線を挟む両側に、前記間欠的な閉鎖部βを設け、隣接する閉鎖部β,βの間に、開放部γ等の通気口を適宜散設する構成を採ることによって、当該汗取りパッドの部位に関わらず、前記内層1の気室及び前記内空部6の換気効果及び湿気の蒸散効果を万遍無く得ることができる。
【実施例1】
【0024】
図1及び図2に示す例は、気室を維持しつつ加圧に伴う収縮性及び加圧解除に伴う復元性を備えた比較的大きめの気室部材4を採用し、表裏メッシュ生地7,7の間に前記気室部材4を充填したものである。
この例の内層1は、前記表裏メッシュ生地7,7が前記吸汗層2と共にキルト状に縫合され、当該キルト状の縫い目によって分割された気室空間αの各部屋に弾性を持った気室部材4を一つずつ装填することで、伸縮自在な気室空間αが確保されている。
【0025】
前記遮湿層8は、前記複層構造シートより短い長さに裁断され、且つ中央に腕側から胴側へ延びる補強テープ11が定着されている。この様な構成を採ることで、当該複層構造シートに恒常的な撓みが与えられ、前記内空部6が確保されている。
当該汗取りパッドは、前記複合構造シートの腕側側縁部の略全域と胴側側縁部の中央部に、閉鎖部βとなるパッチ9が前記閉鎖部βを形成する部材として縫着されている。
【実施例2】
【0026】
図3及び図4に示す例は、前記実施例1の気室部材4より比較的小さい気室部材4を採用したものである。
この例の内層1は、前記表裏メッシュ生地7,7が前記吸汗層2と共にキルト状に縫合され、当該キルト状の縫い目によって分割された気室空間αの各部屋に弾性を持った複数の気室部材4を装填することで、伸縮自在な気室空間αが確保されている。
この例の遮湿層3は、前記複合構造体の側縁部の全域に、縫合部5が略均等に散設されている。
この例の前記遮湿層3は、遮水性を持ったシートであって、前記遮湿層3が前記複層構造シートより短い長さに裁断されることで、前記内空部6を確保する構成が採られ、当該複層構造シートに恒常的な撓みが与えられている。
【実施例3】
【0027】
図5及び図6に示す例は、前記実施例2の前記遮湿層3を前記複層構造シートと略等しい長さに裁断することで前記内空部6を喪失する代わりに、前記内層1を若干厚くした構成を採用したものである。
【0028】
以上の如く構成された汗取りパッドは、例えば、前記遮湿層3の衣服側に粘着層が形成され、使用するまでの間、当該粘着層に剥離紙が被着されている場合には、先ず、前記剥離紙を剥がし、肌着の裏側の腋窩部分に粘着層を貼着する。
前記汗取りパッドが貼着された肌着を着用すると、当該汗取りパッドの吸汗層2の前記腕部と胴部が着用者の腋窩に屈曲した状態又は湾曲した状態で配置され(図12(B)、図13(B)及び図8参照)、前記吸汗層2は着用者の腋窩に密着し着用者の肌から発汗
した汗を吸収する。
【0029】
前記汗取りパッドが装着された衣服の着用者は、通常の生活において様々な動きを行うが、その際、前記内層1及びそこへ充填された気室部材4、及び前記内層1と遮湿層3との間の内空部6に対する加圧と加圧の解除を繰り返す。
前記吸汗層2は、上腕下面の皮膚に覆われて汗を吸い通気性が損なわれているため、その身体の動きに伴い、前記内層1の気室空間α及び内空部6は、加圧に伴う収縮と、加圧解除に伴う復元を、内層1において相互に連通した気室を維持しつつ繰り返す。
【0030】
上記作用により、汗を含んだ吸汗層2と遮湿層3に挟まれた気室空間αを持つ汗取りパッドは、前記複層構造シートと遮湿層3と閉鎖部βに挟まれた伸縮自在な気室空間αを備え、且つその伸縮によって開放部γ等の調整された通気口を介して吸排気が行われるポンプ又は鞴としての作用を果たし、前記内層1の気室を換気し、気室の湿気の排出を促進する作用を果たす。
かかる機能は、発汗の少ない部位に開放部γが向けられることによって、発汗が多い部位と発汗が少ない部位との雰囲気を交換する機能を果たす効果もある。
【符号の説明】
【0031】
α 気室空間,β 閉鎖部,γ 開放部,
1 内層,2 吸汗層,3 断湿層,
4 気室部材,5 縫合部,6 内空部,7 メッシュ生地,
8 断湿層(メッシュ生地),
9 パッチ,10 縫い目,11 テープ,
【図1】
図1 
【図2】
図2 
【図3】
図3 
【図4】
図4 
【図5】
図5 
【図6】
図6 
【図7】
図7 
【図8】
図8 
【図9】
図9 
【図10】
図10 
【図11】
図11 
【図12】
図12 
【図13】
図13 
 

昨今の吸湿速乾生地・素材の進歩目覚ましいのですが、汗取りパッドとしては、腋臭の発する範囲外へ、例えば首や脇腹まで伝わってしまうことに違和感を覚えていました。これは 高性能でありながらあくまでも一度は湿ってから乾くという性能なので他の部分に伝わらせない工夫と、十分な蒸散空間を付与することが必要と思われました。
吸湿速乾機能を持つ汗取りパッドが、腋臭の発する範囲内で、できるだけ機能を最高度に発揮できる構造を模索しました。腋窩という体構造とそれが肩の動きと共に開閉を繰り返すことに注目しました。肩が閉じたときは汗取りパッドはつぶれますが、肩の動きと共に広がるときに表地や範囲外に伝わらないよう、汗取りパッド周囲に防水の工夫を付与し、且つ蒸散空間を保持できるよう、体へ負担なく或る程度のコシのあるメッシュをコアとして一体化した構造体とします。吸湿速乾生地は腋窩に添うように膨らませ、メッシュと密着しないよう一体縫製し周囲に防水機能をも付与したものを考案しました。表地とも密着しないよう縫合することで、腋窩が鞴(ふいご)のように開閉を繰り返す毎に最高度に吸湿速乾機能が発揮されます。

Although the development of moisture-absorbing dried cloths and materials has been remarkable, I have been aware of odd feelings that sweat pads do not prevent underarm odor from going anywhere, for instance, neck and flank. It occurs to me to think that there must be some space for evaporation and measures to prevent odor from spreading due to the traits of sweat pads which are high quality but only gives effect in the process of being moisturized for once and dried.
I have strived for finding the structure where seat pads with the function of moisture-absorbing can take as much effect as possible within the range of underarm odor occurrence.
I notice that the body structure called axilla repetitively makes a movement of opening and closing in correspondence with shoulder movement. A sweat pad will be crushed when the shoulder is closed, but with the measure of adding waterproof elements around the sweat pad so that odor would not spread along with the movement of shoulder giving it more space for evaporation, and that makes the united structure sustained by the core made of durable mesh which are designed not to give much burden to human body. I have invented the one installing waterproof function by sewing as one not to be so close to mesh, inflaming the moisture-absorbing dry cloth along with axilla. Due to not sew it being attached to the surface cloth, the effect of water-absorbing dry function would take effect at its best for each time axilla repetitively open and close like bellow.
試作品写真1 
試作品写真2 
試作品写真3 
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