閉じる
繊維・紙
 
【考案の名称】布団カバー
【実用新案権者】
【識別番号】521264578
【氏名又は名称】鈴木 慰子
【住所又は居所】長野県茅野市宮川6630番地27
【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき国際特許業務法人
【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
【考案者】
【氏名】鈴木 慰子
【住所又は居所】長野県茅野市宮川6630番地27
【要約】
【課題】表生地及び裏生地を裏返すことによって、色や柄の変化を楽しむことが可能であり、縫製作業が容易であり、かつ、裏返しても縫製部の見栄えが良い布団カバーを提供すること。
【解決手段】表生地10と裏生地11とを重ね合わせて外周縁端部12a〜12dが縫製された袋状の布団カバー1であって、表生地10及び裏生地11の両方又は一方が、表層10a,11aと裏層10b,11bとで色又は柄が異なる多重織物の生地からなり、表生地10の中央部には、布団13を出し入れすることが可能で、かつ、表生地10及び裏生地11の表層10a,11aと裏層10b,11bとを裏返すことが可能な開口部14を有している。
【選択図】図3
選択図
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
表生地と裏生地とを重ね合わせて外周縁端部が縫製された袋状の布団カバーであって、
前記表生地及び前記裏生地の両方又は一方が、表層と裏層とで色や柄が異なる多重織物の生地からなり、
前記表生地の中央部には、布団を出し入れすることが可能で、かつ、前記表生地及び前記裏生地の表層と裏層とを裏返すことが可能な開口部を有している、
ことを特徴とする布団カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の布団カバーにおいて、
前記表生地及び前記裏生地は、それぞれが表層と裏層とで色や柄が異なるように組み合わせることが可能である、
ことを特徴とする布団カバー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の布団カバーにおいて、
前記外周縁端部には、前記表生地と前記裏生地との間に側端部が差し込まれたパイピングテープが縫い合わされ、
前記表生地、前記裏生地及び前記パイピングテープが縫い合わされた位置に、前記表生地、前記裏生地及び前記パイピングテープの外側から前記外周縁端部を挟み込んで縫い付けられた第1バイアステープを有している、
ことを特徴とする布団カバー。
【請求項4】
請求項3に記載の布団カバーにおいて、
前記第1バイアステープは、幅方向両側に折返し部が作られ、前記折返し部を内側にして縫い合わされている、
ことを特徴とする布団カバー。
【請求項5】
請求項1に記載の布団カバーにおいて、
前記開口部の内周縁端部は、幅方向両側に折返し部が作られた第2バイアステープを有し、
前記第2バイアステープは、前記折返し部を内側にして前記表生地を挟み込み縫い合わされている、
ことを特徴とする布団カバー。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、布団カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
掛布団、敷布団、炬燵布団などの布団類には、汚れを防ぎ良好な衛生状態を保つために、布団カバーが用いられる。一般に、布団カバーは、表生地と裏生地とを重ね合わせて外周の4辺(3辺の場合もある)を縫製して袋状にするものが多い。布団カバーには開口部が設けられていて、この開口部から布団の出し入れすることができるようになっている。古くから一般に使用されている布団カバーの生地は無地のものが多く、布団の使用時に表生地の表面側が決められていて、表生地の裏面を裏返して表面側として使用すること、すなわち、リバーシブルに使用することはできなかった。
【0003】
しかし、近年、リバーシブルに使用可能な布団カバーが提案されている。リバーシブルに使用できる布団カバーとしては、表生地と裏生地とを重ね合わせたうえで、外周縁端の1辺を縫い合わせ、ファスナーによって他の3辺を開口できるようにしているものがある
。この布団カバーは、3辺のファスナーを開け表生地と裏生地とを裏返すことによって、表生地の両面及び裏生地の両面の4面を使用することができるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、他の布団カバーにおいては、表生地と裏生地の両方又は一方に幾何柄からなる先染織物を使用し、表生地と裏生地とを重ね合わせたうえで、4辺のうちの1辺に開口部を設け、開口部を除いた他の3辺を縫製している。この布団カバーは、開口部を利用して表生地と裏生地とを裏返すことによって、表生地の両面及び裏生地の両面の4面を使用することができるようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開平10−113270号公報
【特許文献2】 特開2004−194723号公報
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の布団カバーは、表生地と裏生地とが平織りの生地であることから、表生地の両面及び裏生地の両面のそれぞれは同じ色であり、表生地と裏生地を裏返しても表面側に現れる色の変化を楽しむことはできないという課題がある。また、外周の縁端部の縫い合わせは、表生地及び裏生地の縁を内側に折返し部を作り縫い合わせた後に、さらに表生地及び裏生地を裏返して縫い合わせる二重縫製のため、縫製作業に手間がかかってしまうという課題がある。一方、ファスナーの取り付けは、ファスナーの布部分の両端縁の表裏を巻くように表生地及び裏生地の縁を折り返して縫い合わせるため、ファスナーの縫製作業に手間と熟練の縫製技術を要するという課題がある。
【0007】
特許文献2の布団カバーは、表面生地と裏面生地の両方又は一方に先染織物を使用している。先染織物は、表裏に同じ柄が現れることになることから、表生地と裏生地を裏返しても表面に現れる色の変化を楽しむことができないという課題がある。また、この布団カバーの外周縁端部の縫い合わせは、特許文献1の布団カバーと同様に表生地及び裏生地の縁を内側に折り返し部を作り縫い合わせた後に、さらに表生地及び裏生地を裏返して縫い合わせる二重縫製のため、縫製作業に手間がかかってしまうという課題がある。
【0008】
また、上記特許文献1及び特許文献2の布団カバーは、表面生地と裏面生地との外周縁端部を二重縫製によって縫い合わせているが、裏返した際の縫い合わせ部の見栄えが必ずしも良いとは言えないという課題もある。
【0009】
本考案は、このような課題を解決するためになされたもので、表生地及び裏生地を裏返すことによって、色や柄の変化を楽しむことが可能であり、縫製作業が容易であり、かつ、裏返しても縫製部の見栄えが良い布団カバーを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1]本考案の布団カバーは、表生地と裏生地とを重ね合わせて外周縁端部が縫製された袋状の布団カバーであって、前記表生地及び前記裏生地の両方又は一方が、表層と裏層とで色や柄が異なる多重織物の生地からなり、前記表生地の中央部には、布団を出し入れすることが可能で、かつ、前記表生地及び前記裏生地の表層と裏層とを裏返すことが可能な開口部を有していることを特徴とする。
【0011】
[2]本考案の布団カバーにおいては、前記表生地及び前記裏生地は、それぞれが表層と裏層とで色や柄が異なるように組み合わせることが可能であることが好ましい。
【0012】
[3]本考案の布団カバーにおいては、前記外周縁端部には、前記表生地と前記裏生地との間に側端部が差し込まれたパイピングテープが縫い合わされ、前記表生地、前記裏生地及び前記パイピングテープが縫い合わされた位置に、前記表生地、前記裏生地及び前記パイピングテープの外側から前記外周縁端部を挟み込んで縫い付けられた第1バイアステープを有していることが好ましい。
【0013】
[4]本考案の布団カバーにおいては、前記第1バイアステープは、幅方向両側に折返し部が作られ、前記折返し部を内側にして縫い合わされていることが好ましい。
【0014】
[5]本考案の布団カバーにおいては、前記開口部の内周縁端部は、幅方向両側に折返し部が作られた第2バイアステープを有し、前記第2バイアステープは、前記折返し部を内側にして前記表生地を挟み込み縫い合わされていることが好ましい。
【0015】
なお、多重織物の生地とは、単位織組織を複数層備え、各層の単位織組織が経糸や緯糸を任意の位置で表裏交替して接結された織物である。すなわち、表層の単位織組織と裏層の単位織組織とで、色や柄を変えることが可能な織物である。また、表生地は布団使用時に上方側(見える側)になる生地であり、裏生地は布団の裏側(床側)になる生地である。また、表層は見える側の面、裏層は布団に接する側の面と定義する。なお、上記布団には、掛布団、敷布団、座布団、マットレスなどの寝具、及び炬燵掛布団などが含まれる。また、以降の説明において、裏返すとは、例えば、表生地及び裏生地の内側の裏層を外側に出すことである。
【考案の効果】
【0016】
本考案の布団カバーは、表生地に開口部を設けていることから、この開口部を利用して表面と裏面とを裏返すことができる。布団カバーは、表生地及び裏生地に多重織物の生地を使用しているために、表生地と裏生地とを裏返せば表面に現れる色や柄の変化を得ることが可能となる。すなわち、この布団カバーは、リバーシブルに使用することが可能となる。
【0017】
表生地及び裏生地の外周縁端は、パイピングテープ及び第1バイアステープによって縫い合わされる。この縫製部は、例えば、表面をだすときにはバイアステープ側が見え、裏面をだすときにはパイピングテープ側が見えるようになり、表裏両方で縫製部の見栄えが良くなる。なお、パイピングテープを縫い合わせてから、表生地と裏生地とを裏返さなくてもバイアステープを縫い合わせることができる。
【0018】
以上のことから、本考案によれば、表生地及び裏生地を裏返すことによって、色や柄の変化を楽しむことが可能であり、縫製作業が容易であり、かつ、裏返しても縫製部の見栄えが良い布団カバーを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】掛布団及び敷布団に使用する布団カバー1の1例を示す平面図である。
【図2】布団13に被せて使用するときの布団カバーを示す断面図であり、図1のA−A切断線で切断した断面図である。
【図3】図2の点線Bで囲んだ領域を拡大して示す断面図である。
【図4】裏返したときの布団カバー1の外周縁端部12を拡大して示す断面図である。
【図5】布団カバー1の縫製方法を示す説明図である。
【図6】開口部14の内周縁端部17の縫製方法を示す断面図である。
【図7】布団カバー2を炬燵布団30に使用する例を示す断面図である。
【考案を実施するための形態】
【0020】
以下、本考案の実施の形態に係る布団カバー1,2について、図1〜図7を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各図は、各部位の形状及びサイズを簡略化して示す模式図であり、布団カバー1,2を構成する各生地及びテープ類の厚みを誇張して表している。
【0021】
図1は、掛布団及び敷布団に使用する布団カバー1の1例を示す平面図である。図2は、布団13に被せて使用するときの布団カバー1を示す断面図であり、図1のA−A切断線で切断した断面図である。布団カバー1は、同じ大きさの長方形の表生地10と裏生地11とを重ね合わせ、外周縁端部12a〜12dが縫製された袋状の形態を有している。表生地10の中央部には、布団13(図2参照)を出し入れすることが可能な開口部14が設けられている。開口部14は、布団13の出し入れが可能で、かつ、使用時に布団13から外れない大きさ及び形状に任意に形成することが可能である。
【0022】
表生地10と裏生地11とは、外周縁端部12a〜12dで内側がパイピングテープ15で縫製され、外側が第1バイアステープ16で縫製されている。また、開口部14の内周縁端部17は、第2バイアステープ18で縁取りされている。第1バイアステープ16と第2バイアステープ18は、同じ色としても異なる色にしてもよく、共通に使用することも可能である。
【0023】
図2に示す布団13は掛布団の例である。掛布団に布団カバー1を使用する場合には、図2に示すように、開口部14が表側になり、表生地10が表側、裏生地11が裏側(床側)になる。敷布団に使用する際には、開口部14を裏側(床側)にするため、表生地10が裏側、裏生地11が表側になる。掛布団用及び敷布団用の布団カバー1は、サイズや縦横比が異なるものの、同じ構成及び同じ縫製方法によって作ることができる。なお、座布団用には、サイズや縦横比が異なるものの敷布団カバーと同様な構成にすることによって座布団用の布団カバー1とすることが可能である。続いて、布団カバー1の外周縁端部12a〜12d及び開口部14の内周縁端部17の詳しい構成及び縫製方法について図3〜図6を参照して説明する。
【0024】
図3は、図2の点線Bで囲んだ領域を拡大して示す断面図である。なお、外周縁端部12a〜12dは、同じ構成で縫製されるため、外周縁端部12a〜12dを総称して外周縁端部12と記載し説明する。パイピングテープ15は、パイピング芯材20にテープ21が巻回されたものであって、側端部22が表生地10と裏生地11との間に挟み込まれ、第1縫製部23において表生地10及び裏生地11に外周縁端部12が挿入された状態で縫い合わされている。テープ21にはバイアステープなどが使用できる。本例においては、パイピングテープ15は、布団カバー1の全周にわたって連続した1本構成としているが、各外周縁端部で分割したものであってもよい。パイピング芯材20は柔軟性を有していることから、布団カバー1を自在に折り畳むことができる。
【0025】
外周縁端部12は、第1バイアステープ16で縁取りされる。図3に示すように、第1バイアステープ16は、パイピングテープ15を縫い合わせたときの状態(裏返す前の状態)で表生地10及び裏生地11を挟んで第2縫製部24で縫い付けられる。第1バイアステープ16は、幅方向両側に折返し部25,26が作られていて、この折返し部25,26を内側にして外周縁端部12に縁取りするように縫い付けられることによって良好な見栄えを実現している。
【0026】
表生地10は多重織物の生地であって、表層10aと裏層10bとが異なる織組織を有している。一方、本例は裏生地11も多重織物の生地であって、表層11aと裏層11bとが異なる織組織を有している。なお、異なる織組織の具体的な例としては、色や柄、経
糸及び緯糸の材質や構成など様々な種類がある。図2に示す掛布団の場合には、表生地10の表層10aが外側面であり、裏生地11の表層11aが内側面となる。
【0027】
図4は、裏返したときの布団カバー1の外周縁端部12を拡大して示す断面図である。図4は、図3に示す位置と同じ位置を表している。布団カバー1は、図1及び図2で示す開口部14から手を入れて裏生地11を掴んで引っ張り出すことによって裏返すことができる。すると、パイピングテープ15が外周縁端部12の外側に出て、第1バイアステープ16が外周縁端部12の内側になる。パイピングテープ15が外側になることによって、外周縁端部12付近は良好な見栄を実現できる。
【0028】
外周縁端部12において、裏返したときの布団カバー1は、表生地10が第1バイアステープ16の折返し部26に沿い、裏生地11は折返し部25に沿うように折り返される。その際、表生地10は、裏層10bが外側面となり、表層10aが内側面となる。一方、裏生地11は、裏層11bが外側面となり、表層11aが内側面となる。表生地10及び裏生地11は多重織物の生地であって、表層10aと裏層10bとを異なる織組織にしていることから、裏返し前と裏返し後とで、色や柄を変えることができる。このことから、リバーシブルに使用しても見栄えがよく、色や柄の変化を楽しむことができる布団カバー1を実現できる。
【0029】
掛布団の場合には、開口部14を表側(天井側)に向けるため、裏生地11は裏側(床側)に向くことになる。このことから、掛布団使用時には直接裏生地11を見る機会は少ないため、裏生地11は表層11aと裏層11bとを異なる織組織にしても、同じ織組織にしてもよく、平織りのシーツ生地などにしてもよい。
【0030】
また、敷布団の場合には、開口部14を床側に向けるため、裏生地11が表側(天井側)になる。そこで、裏生地11が多重織物の生地であって、表層11aと裏層11bとを異なる織組織にすることによって、裏返し前と裏返し後とで、色や柄を変えることができる。このことから、敷布団であっても、リバーシブルに使用することが可能であり、色や柄の変化を楽しむことができる。
【0031】
なお、敷布団の場合は、開口部14を床側に向けるため、表生地10は床側に向けることになる。このことから、使用時には直接表生地10を見る機会は少ないため、表生地10は表層10aと裏層10bとを異なる織組織としても、同じ織組織にしてもよく、平織りのシーツ生地などにしてもよい。座布団など、人の下に敷いて使用する布団、或いはマットレスなどは、敷布団と同様な考え方の布団カバーとする。続いて、布団カバー1の縫製方法について図5を参照して説明する。
【0032】
図5は、布団カバー1の縫製方法を示す説明図である。まず、図5(a)に示すようにパーツ類を準備する。表生地10及び裏生地11は、それぞれ好みの色又は柄の表層10a,11a又は裏層10b,11bを選んで重ね合わせ、外周縁端部12a〜12dの位置を合わせておく。この位置合わせは、目視レベルでよい。そして、パイピングテープ15を準備する。パイピングテープ15は、テープ21の側端部22を表生地10及び裏生地11の外周縁端部12a〜12dに向ける。第1バイアステープ16は、幅方向両側に折返し部25,26を作っておく。折返し部25,26は、第1バイアステープ16の裁断面16a、16bが内側になるように折り返される。なお、図5は、各パーツを幾何学的に図示しているが、各々が柔らかな布であるため、実際には不定形となる。但し、第1バイアステープ16の折返し部25,26は、折り目をしっかり付けておくことが好ましい。
【0033】
続いて、図5(b)に示すように、パイピングテープ15のテープ21の側端部22を
表生地10及び裏生地11の外周縁端部12a〜12dの位置に揃え、第1縫製部23でパイピングテープ15を表生地10及び裏生地11の間に縫い付ける。第1縫製部23の位置は、縫製可能な範囲でパイピング芯材20に近づけることによって表生地10及び裏生地11を裏返したときの見栄えが良くなる。次いで、図5(c)に示すように、折返し部25,26が作られている第1バイアステープ16を第1縫製部23まで包み込むようにセットし、図5(d)に示すように、第1バイアステープ16を縫い合わせる。第1バイアステープ16は、第1縫製部23で縫い合わされた表生地10及び裏生地11を縁取りするように第2縫製部24で縫い付けられる。
【0034】
図6は、開口部14の内周縁端部17の縫製方法を示す断面図である。第2バイアステープ18は、第1バイアステープ16と同じように幅方向両側の裁断面18a,18bが内側になるように折返し部27,28を作っておく。そして、表生地10の内周縁端部17に第2バイアステープ18を縫い合わせる。第2バイアステープ18は、折返し部27,28を内側にして第3縫製部29で縫い付けられる。そのことによって、第2バイアステープ18の裁断面18a,18b及び表生地10の裁断面10cを隠すことが可能となり、さらに、内周縁端部17を補強することができる。なお、図6に示すように、第2バイアステープ18は、表生地10の裁断面10cに内面10dが接触するまで送り込んだ位置で縫い付けられても構わない。なお、第1バイアステープ16と第2バイアステープ18は共通に使用することが可能であり、色違いのものであってもよい。
【0035】
図7は、炬燵布団30に使用する布団カバー2の例を示す断面図である。なお、図7は、布団カバー1と同様に説明できる部分には図1及び図2と同じ符号を付している。炬燵布団30の使用方法としては、炬燵櫓31を覆うように布団カバー2を掛け、布団カバー2の上方には炬燵天板32を置くことが一般的である。炬燵布団30は、既述した掛布団や敷布団に比べてサイズ、形状及び厚みなどが異なるものの、布団カバー1と同じ構成、同じ縫製方法で作ることができる。布団カバー2の開口部14は、炬燵天板32より小さくすれば上方から開口部14は見えなくなる。さらに、開口部14を下方側(炬燵櫓31側)にして使用することも可能であり、開口部14を炬燵櫓の天板部33よりも小さくすれば、炬燵天板32に開口部14の周囲が接するため炬燵布団30が炬燵天板32に強く擦れることが少なく、炬燵布団30を保護することが可能となる。
【0036】
布団カバー2は、表生地10及び裏生地11を多重織物とし、それぞれの表層10a、11a及び裏層10b、11bの色や柄を変えることによって、開口部14を上下逆にしたり、裏返したりすることによって色又は柄を4通りに変えることが可能となる。
【0037】
以上説明した布団カバー1,2は、表生地10及び裏生地11の両方又は一方が、表層10a,11aと裏層10b,11bとで色又は柄が異なる多重織物の生地からなる。表生地10の中央部には、布団13や炬燵布団30を出し入れすることが可能で、かつ、表生地10及び裏生地11の表層11a,11aと裏層10b,11bとを裏返すことが可能な開口部14を有している。
【0038】
布団カバー1,2は、表生地10に開口部14を設けていることから、この開口部14を利用して表層10a,11aと裏層10b,11bとを裏返すことができる。布団カバー1,2は、表生地10及び裏生地11に多重織物の生地を使用しているために、表生地10の表層10aと裏層10b、裏生地11の表層11aと裏層11bとを裏返せば、表面側に現れる色や柄を変えることが可能となる。すなわち、この布団カバー1,2は、リバーシブルに使用することが可能となる。多重織物は保温性がよく、柔らかで肌触りがよいものが多いため、布団カバー1,2の生地として好適である。
【0039】
また、表生地10及び裏生地11は、それぞれが表層10a,11aと裏層10b、1
1bとで色又は柄が異なるように組み合わせることが可能である。炬燵布団用の布団カバー2は、開口部14を炬燵天板32側に向けて使用すること、開口部14を炬燵櫓31の天板部33に向けて使用することができる。このことから、炬燵布団用の布団カバー2は、裏返し前及び裏返し後において4通りの色や柄を変えることが可能となる。
【0040】
また、布団カバー1,2の外周縁端部12a〜12dには、表生地10と裏生地11との間に側端部22が差し込まれたパイピングテープ15が縫い合わされている。そして、布団カバー1,2は、表生地10、裏生地11及びパイピングテープ15が縫い合わされた位置に、表生地10、裏生地11及びパイピングテープ15の外側から外周縁端部12a〜12dを挟み込んで縫い付けた第1バイアステープ16を有している。布団カバー1,2をこのように縫製することによって、裏返し前では第1バイアステープ16が見え、裏返し後ではパイピングテープ15が見えるため、見栄えがよい外周縁端部12a〜12dを実現できる。また、外周縁端部12a〜12dは、第1縫製部23及び第2縫製部24で2重に縫製するため、見栄えを保ちながら多数回の裏返しにも耐え得る縫製強度が得られる。
【0041】
また、第1バイアステープ16は、幅方向両側に折返し部25,26が作られ、折返し部25,26を内側にして縫い合わされている。このようにすることによって、第1バイアステープ16の裁断面16a,16bが外側に現れないため、良好な見栄えを実現できる。
【0042】
また、開口部14の内周縁端部17は、幅方向両側に折返し部27,28が作られた第2バイアステープ18で、折返し部27,28を内側にして表生地10を挟み込み縫い合わされている。このようにすることによって、第2バイアステープ18の裁断面18a,18b及び表生地10の裁断面10cが外側に現れないため、良好な見栄えを実現できると共に、裏返しを繰り返すことに対して補強することが可能となる。
【0043】
以上説明したように、表生地10及び裏生地11を裏返すことによって、2通り又は4通りの色や柄の変化を楽しむことが可能であり、縫製作業が容易で、かつ、裏返しても縫製部の見栄えが良い布団カバー1,2を提供することが可能となる。
【0044】
なお、布団カバー1,2は、多重織物を使用することによって、表生地10の表層10a及び裏層10b、裏生地11の表層11a及び裏層11bそれぞれの材質や手触りの質感を変えることが可能であり、季節や使用シーンに対応して適宜組合せることが可能となる。また、多重織物としては、2重織、4重織は勿論、6重織などを使用することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1,2…布団カバー、10…表生地、10a,11a…表層、10b,11b…裏層、10c…裁断面、10d…内面、11…裏生地、12,12a〜12d…外周縁端部、13…布団、14…開口部、15…パイピングテープ、16…第1バイアステープ、17…内周縁端部、18…第2バイアステープ、20…パイピング芯材、21…テープ、22…側端部、23…第1縫製部、24…第2縫製部、25,26,27,28…折返し部、29…第3縫製部、30…炬燵布団、31…炬燵櫓、32…炬燵天板、33…天板部。
【図1】
図1 
【図2】
図2 
【図3】
図3 
【図4】
図4 
【図5】
図5 
【図6】
図6 
【図7】
図7 
ページtop へ