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スポーツ・娯楽
 
【発明の名称】電動釣竿
【出願人】
【識別番号】503116017
【氏名又は名称】斉藤 秀昭
【住所又は居所】青森県むつ市海老川町2−15
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100110537
【氏名又は名称】熊谷 繁
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100060427
【氏名又は名称】藤盛 道夫
【発明者】
【氏名】斉藤 秀昭
【住所又は居所】青森県むつ市小川町2−2−11
【要約】
【課題】
本発明は、釣り糸を巻き上げる時や繰り出し時に、釣り竿を上向きや下向きにすることなく釣り糸の巻き上げ繰り出しができ、且つ手動巻き上げ繰り出しもできる構造が簡単な電動釣竿を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明の電動釣竿は、内部に単3形乾電池(図示せず)とモータ1を内蔵した把手部2と、該把手部2先端の挿入筒3に挿脱自在に取り付けられる釣竿4とからなる。前記把手部2先端外側に、右端に手動用ギヤ7を固定し、左端に糸巻ローラ8を固定したローラ回転軸9を軸支し、前記把手部2内側に前記ローラ回転軸9に前記モータ1の回転を伝達する伝達機構を連結し、前記ローラ回転軸9には前記モータ1の回転駆動力を遮断する遮断機構を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿と、該釣竿を挿脱できる挿入筒を先端に備えた把手部と、該把手部を横断するように軸支されたローラ回転軸の左右端にそれぞれ固定された糸巻ローラ及び手動用ギヤと、前記把手部内に内蔵された乾電池及びモータと、前記把手部の表面に設け、前記モータを作動させる巻上スイッチと、前記モータから前記糸巻ローラを固定したローラ回転軸に回転を伝達する伝達機構と、前記把手部内の前記ローラ回転軸に設けられ、前記伝達機構からの回転を遮断する遮断機構とを具備してなる電動釣竿において、前記挿入筒は前記把手部の上下方向に固定された支承軸に有底側が支承され、前記糸巻ローラ方向へ水平回動可能に形成されてなることを特徴とする電動釣竿。
【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣竿の把手部内に内蔵された乾電池とモータにより、糸巻きローラを回転させて釣り糸を巻き上げるようにした電動釣竿に関する。
【従来の技術】
従来、電動釣竿として、モータの回転軸に直接クラッチを固着し、このクラッチと係脱する糸巻きローラを回転軸に遊嵌し、釣り糸を巻き上げる時は竿を上向きして糸巻きローラを滑らせてクラッチと噛み合わせ、繰り出し時には竿を下向きして糸巻きローラを滑らせてクラッチとの噛み合わせを外すようにしたものがあった。
しかし、従来技術は、モータの回転軸が長く、しかも外方へ突出しているため吊り糸が絡み易く、またモータ回転軸と糸巻きローラが同一回転速度のため巻き上げ速度が速すぎて一度に沢山の魚が掛かったときには引き上げられないなどの問題があった。
そのため、従来技術を改良した公知技術として、実開平3−83068号公報がある。
【特許文献】
前記実開平3−83068号公報は、図5に示すように、竿1と、この竿1に一体に連設された把手部2と、この把手部2内に収納された電池3及びモータ4と、前記把手部2の表面に設けられた前記モータ駆動用のスイッチ5と、前記把手部2から前記竿1と略平行に突設された前記モータ4の回転軸に略平行に把手部固定的に突設した固定軸6と、この固定軸6に回転自在に設けられたクラッチ9と、前記モータ4の回転軸6のプーリ10と前記クラッチ9の外周との間に掛け渡されたベルト12と、前記固定軸6の竿先側に回動自在かつ摺動自在に設けられると共に、この摺動によって前記クラッチ9と係脱する糸巻ローラ13とを具備してなる電動釣具である。
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記電動釣具は、クラッチと係脱する糸巻きローラとにより、釣り糸を巻き上げるときは竿を上向きして糸巻きローラを滑らせてクラッチと噛み合わせ、繰り出し時には竿を下向きして糸巻きローラを滑らせてクラッチとの噛み合わせを外すようにしたもので不便であった。
そこで、本発明は、釣り糸を巻き上げる時や繰り出し時に、釣り竿を上向きや下向きにすることなく釣り糸の巻き上げ繰り出しができ、且つ手動巻き上げ繰り出しもできる構造が簡単な電動釣竿を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明の電動釣竿は、釣竿と、該釣竿を挿脱できる挿入筒を先端に備えた把手部と、該把手部を横断するように軸支されたローラ回転軸の左右端にそれぞれ固定された糸巻ローラ及び手動用ギヤと、前記把手部内に内蔵された乾電池及びモータと、前記把手部の表面に設け、前記モータを作動させる巻上スイッチと、前記モータから前記糸巻ローラを固定したローラ回転軸に回転を伝達する伝達機構と、前記把手部内の前記ローラ回転軸に設けられ、前記伝達機構からの回転を遮断する遮断機構とを具備してなるものにおいて、前記挿入筒は前記把手部の上下方向に固定された支承軸に有底側が支承され、前記糸巻ローラ方向へ水平回動可能に形成されてなるものである。
【実施例】
以下、本発明の電動釣竿の一実施例を図面に基づいて説明するが、これに限定されるものではない。
図1、図2に示すように、本発明の電動釣竿は、内部に単3形乾電池(図示せず)とモータ1を内蔵した把手部2と、該把手部2先端の水平回動可能な挿入筒3に挿脱自在に取り付けられる釣竿4とからなる。
前記単3形乾電池(図示せず)は、前記把手部2の底部に設けられた電池カバー5内に1本内蔵されており、前記電池カバー5を左右回動させるとON/OFFするスイッチとなっており、前記モータ1の直接駆動は前記把手部2表面に形成した巻上スイッチ6を押すことにより行う。
また、図3に示すように、前記把手部2先端外側に、右端に手動用ギヤ7を固定し、左端に糸巻ローラ8を固定したローラ回転軸9を前記把手部2を左右横断するように軸支し、前記把手部2内側に前記ローラ回転軸9に前記モータ1の回転を伝達する、後述する伝達機構を連結し、前記ローラ回転軸9には前記モータ1の回転駆動力を遮断する、後述する遮断機構を設ける。
図4に示すように、前記把手部2先端に上下方向に固定された支承軸10が設けられ、該支承軸10に前記挿入筒3の有底側が支持され、前記挿入筒3は水平状態で図1に示す状態から左回動可能、すなわち図4に示す実線位置の前記糸巻ローラ8方向へ釣糸ガイド11の位置まで回動可能に形成される。
図1に示す状態では、前記糸巻ローラ8に巻回された釣糸12は、図2に示すように前記糸巻ローラ8の下部(図2では左側)から繰り出され、釣糸ガイド11に案内されて釣竿4の糸通し13を経て釣竿4先端から繰り出される。
前記モータ1に連結された伝達機構及び前記モータ1の回転駆動力を遮断する遮断機構を図面に基づいて説明する。
図3に示すように、前記伝達機構は、前記把手部2に内蔵されたモータ1の出力軸14に第1傘歯車15が固定され、該第1傘歯車15に第2傘歯車16が直角に噛み合わされ、該第2傘歯車16と一体に固定された小歯車17が前記把手部2に左右横断するように軸支された第1回転軸18に固定される。
さらに、前記小歯車17に大歯車19が噛み合わされ、該大歯車19と一体に固定された中歯車20が前記把手部2に左右横断するように軸支された第2回転軸21に固定される。
したがって、モータ1の回転は、出力軸14から第1傘歯車15→第2傘歯車16/小歯車17→大歯車19/中歯車20を介して伝達される。
一方、前記遮断機構は、前記ローラ回転軸9の軸方向溝に係合して摺動可能で且つ回転する平歯車22を設け、該平歯車22の左側面には前記把手部2に回動自在に上下方向に軸支された摺動レバー23が当接され、図4に示すように前記摺動レバー23を実線の位置から一点鎖線の位置へ移動させることにより前記摺動レバー23下部で前記平歯車22を右方向、すなわち図3に示すように実線の位置から一点鎖線の位置へ押出可能に構成し、さらに前記平歯車22の右側面と前記把手部2内面との間には前記ローラ回転軸9に巻回させた戻しバネ24を設け、前記平歯車22に常時左方向への付勢力を与えるように構成する。
なお、前記糸巻ローラ8と前記把手部2、前記手動用ギヤ7と前記把手部2との間に間隙を形成するように前記ローラ回転軸9を少し長く形成して前記平歯車22を固定し、前記摺動レバー23の回動で前記ローラ回転軸9全体、すなわち糸巻ローラ8、平歯車22、手動用ギヤ7を一体で移動させるように構成しても良い。
したがって、図4に示すように前記摺動レバー23を実線位置から一点鎖線位置に回動させることにより前記戻しバネ24を圧縮させて前記平歯車22を右方向に移動させることができ、前記摺動レバー23を実線位置に戻すことにより前記戻しバネ24の復元力により前記平歯車22を元の位置に戻すことができる。
そして、前記摺動レバー23の実線位置で前記第2回転軸21の前記中歯車20に前記ローラ回転軸9の前記平歯車22を噛み合わせるように構成する。
次に、本発明の電動釣竿の使用方法を図面に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、あらかじめワカサギ釣り用の釣竿4を挿入筒3に差し込み、把手部2と釣竿4とを結合し、釣糸12には錘や釣針などの仕掛けがすでに取り付けられて糸巻ローラ8に巻かれている。
錘が湖底に着地するまで釣糸12を繰り出すには、釣竿4、すなわち釣竿4が挿入された挿入筒3を図1の状態から図4の状態に回動させると、釣竿4がローラ回転軸9の軸方向に位置するので、釣糸12は釣糸ガイド11から外れ、前記糸巻ローラ8の円周縁端を螺旋回転しながら乗り越えて錘の重量により繰り出される。
何もしなければ、錘が湖底に着地するまで釣糸12が繰り出されるので、着地したら釣竿4を図1に示す位置へ戻すと釣糸12は通常の巻取り位置となり、それ以上の繰り出しは防止される。
タナを取りながら釣糸12を繰り出すには、図1に示す状態で摺動レバー23を図4に示す一点鎖線位置へ回動させると、図3に示すように前記摺動レバー23により平歯車22が一点鎖線位置へ滑動し、前記平歯車22と中歯車20との噛み合わせが外される。
すると、ローラ回転軸9は回転自由となり、錘の重量により前記ローラ回転軸9、すなわち糸巻ローラ8が回転して釣糸12が釣糸ガイド11に案内されて繰り出される。
中断するには、前記摺動レバー23を実線位置へ戻すと前記平歯車22と中歯車20とが噛み合い、前記ローラ回転軸9の回転が停止する。
釣糸12を巻き上げるには、あらかじめ電池カバー5のスイッチをON側に回転させておき、巻上スイッチ6を親指で押すことによりモータ1が駆動されて出力軸14から第1傘歯車15→第2傘歯車16/小歯車17→大歯車19/中歯車20を介して回転が伝達される。
さらに、前記中歯車20に噛み合っている平歯車22が回転してローラ回転軸9が回転されるので、前記ローラ回転軸9に固定されている糸巻ローラ8が回転する。
このようにして、糸巻ローラ8の回転で釣糸12が釣糸ガイド11に案内されて巻き上げられるが、巻上スイッチ6の親指を放すとモータ1の駆動が停止されて釣糸12の巻き上げがストップする。
もし、乾電池(図示せず)が消耗してモータ1が駆動されない場合には、図1に示すクランク状の手動レバー25の嵌合筒26を前記ローラ回転軸9の手動用ギヤ7へ嵌合して手動レバー25を利用可能にセットする。
なお、前記手動レバー25を常時手動用ギヤ7へ取り付けていても良いが、電動で利用する際には邪魔になるので外しておいた方がよい。
そして、図4に示すように前記摺動レバー23を実線位置から一点鎖線位置へ回動させて前記中歯車20と平歯車22との噛み合わせを外し、手動レバー25を廻して前記ローラ回転軸9を直接回転させて糸巻ローラ8を回転して釣糸12を釣糸ガイド11に案内させて巻き上げる。
なお、前記手動レバー25は、乾電池が消耗してモータ1が駆動されない場合以外でも、必要に応じて自由に使用可能である。
【効果】
以上述べた如く、本発明の電動釣竿は、釣糸を巻き上げる時や繰り出し時に、釣竿を上向きや下向きにすることなく釣糸の巻き上げ繰り出しができ、且つ手動による巻き上げ繰り出しもでき、しかも構造が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電動釣竿の平面図である。
【図2】本発明の電動釣竿の側面図である。
【図3】本発明の電動釣竿の要部拡大断面図である。
【図4】本発明の電動釣竿の繰り出し時の要部平面図である。
【図5】従来の電動釣具の説明図である。
【符号の説明】
1 モータ
2 把手部
3 挿入筒
4 釣竿
5 電池カバー
6 巻上スイッチ
7 手動用ギヤ
8 糸巻ローラ
9 ローラ回転軸
10 支承軸
11 釣糸ガイド
12 釣糸
13 糸通し
14 出力軸
15 第1傘歯車
16 第2傘歯車
17 小歯車
18 第1回転軸
19 大歯車
20 中歯車
21 第2回転軸
22 平歯車
23 摺動レバー
24 戻しバネ
25 手動レバー
26 嵌合筒
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4 
【図5】
図5 
試作写真
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