閉じる
スポーツ・娯楽
 
【発明の名称】ペットハウス
【出願人】
【識別番号】518255330
【氏名又は名称】島野 洋一
【住所又は居所】埼玉県熊谷市桜木町2丁目86番地
【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
【発明者】
【氏名】島野 洋一
【住所又は居所】埼玉県熊谷市桜木町2丁目86番地
【要約】 (修正有)
【課題】製品価格や維持費を低減しながらも、ペットが出入りする空間を効率よく温度調整することができるペットハウスを提供する。
【解決手段】ペットハウスは、対向配置される一対の側壁10C,10Dを少なくとも含むハウス本体と、ハウス本体の上部に支持されて、上下に貫通する開口32を有する仕切り部材30と、仕切り部材30の開口32に着脱自在に挿通保持され、開口32を介して仕切り部材30の下部空間16に露出する、冷却又は加熱用の熱源を収容可能な凹部41を有するセラミック製の収容部と、を有し、下部空間16にペットが出入り可能である。
【選択図】図7
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置される一対の側壁を少なくとも含むハウス本体と、
前記ハウス本体の上部に支持されて、上下に貫通する開口を有する仕切り部材と、
前記仕切り部材の前記開口に着脱自在に挿通保持され、前記開口を介して前記仕切り部材の下部空間に露出する、冷却又は加熱用の熱源を収容可能な凹部を有するセラミック製の収容部と、
を有し、
前記下部空間にペットが出入り可能なペットハウス。
【請求項2】
請求項1において、
前記収容部の前記凹部を覆うセラミック製の蓋体をさらに有し、前記蓋体上に前記ペットが出入り可能なペットハウス。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記ハウス本体の前記下部空間に、水平かつ着脱自在に支持されるセラミック製の床壁をさらに有するペットハウス。
【請求項4】
請求項3において、
前記床壁の下方の空間に着脱自在に配置され、冷却又は加熱用の熱源を収容可能な断熱容器をさらに有するペットハウス。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、
前記ハウス本体の上端部を覆って前記上端部に着脱自在な座部をさらに有するペットハウス。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、
前記ハウス本体は、前記一対の側壁に加えて、表面壁と裏面壁とをさらに含み、前記ハウス本体の前記表面壁に、前記ペットが出入り可能な出入口が形成されているペットハウス。
【請求項7】
請求項4において、
前記ハウス本体は、前記一対の側壁に加えて、表面壁と裏面壁とをさらに含み、前記ハウス本体の前記表面壁に、前記ペットが出入り可能な第1出入口が形成され、前記ハウス本体の前記表面壁及び前記裏面壁の一方に、前記断熱容器を出入り可能にする第2出入口が形成されているペットハウス。
【請求項8】
請求項6または7において、
前記仕切り部材は前記ハウス本体に着脱自在に支持され、前記ハウス本体は展開状態では筒体となり、かつ、前記ハウス本体の対向内面が接近するように折り畳み可能であるペットハウス。
【請求項9】
請求項8において、
前記ハウス本体は底壁をさらに含み、前記ハウス本体の折り畳み時に前記側壁が変形または屈曲可能であるペットハウス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却又は加熱用の熱源を配置することができる、猫や犬などのペットのためのペットハウスに関する。
【背景技術】
【0002】
ペットの熱中症対策等のためのペットハウスが提供されている。特許文献1では、ペットが出入りする出入口を備えたペットハウス本体の上部に、保冷剤を備えたクールボックスを配置している。ペットハウス本体とクールボックスとの境界には吸気孔とファンとが配置される。ファンによる循環経路に沿って、ペットハウス本体内の暖気が吸気孔を介してクールボックスに導入され、熱交換された空気がファンを介してペットハウス本体に送出される。
【0003】
特許文献2は、下から上に、ペット出入口を有しペット居住場所を形成するペット居住引出と、内部に保冷剤が載置された保冷剤収納引出と、を有するペット小屋を開示している。保冷剤収納引出は通気性のある底板を有する。
【0004】
特許文献3は、ペット出入口を有するハウスの屋根側に蓄冷材を収容可能な収容室を設け、収容室の底部にハウスの内部と連通する通気孔を設けたペットハウスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2017−127235号公報
【特許文献2】 特開2013−143914号公報
【特許文献3】 特開2005−118012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3は、ペット出入口を有するハウス本体(ペット居住引出、ハウス)の上部に保冷剤を収容するクールボックス(保冷剤収納引出、収容室)を備えることとで共通する。特許文献1は、クールボックスで冷却された空気は、ファンによってペット収容空間に送出されるため、製品価格も維持費も高くなる。
【0007】
特許文献2,3では、ハウス本体(ペット居住引出、ハウス)とクールボックス(保冷剤収納引出、収容室)との境界に通気孔のみを形成している点で共通する。しかし、通気孔では、クールボックス(保冷剤収納引出、収容室)内の冷気をその下方のハウス本体(ペット居住引出、ハウス)に効率よく送出させることができない。
【0008】
本発明は、製品価格や維持費を低減しながらも、ペットが出入りする空間を効率よく温度調整することができるペットハウスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の一態様は、
対向配置される一対の側壁を少なくとも含むハウス本体と、
前記ハウス本体の上部に支持されて、上下に貫通する開口を有する仕切り部材と、
前記仕切り部材の前記開口に着脱自在に挿通保持され、前記開口を介して前記仕切り部材の下部空間に露出する、冷却又は加熱用の熱源を収容可能な凹部を有するセラミック製の収容部と、
を有し、
前記下部空間に小動物が出入り可能なペットハウスに関する。
【0010】
本発明の一態様によれば、ハウス本体の上部に支持される仕切り部材に上下に貫通して設けられた開口に、冷却又は加熱用の熱源を収容可能な凹部を有するセラミック製の収容
部が挿通されて保持される。つまり、熱源によって冷却又は加熱されるセラミック製の収容部が、仕切り部材の下方のペットハウス空間に突出して直接露出している。それにより、通気孔を必ずしも要せずにペットハウス空間を直接冷却又は加熱することができる。特にセラミック製の収容部は比較的熱容量が大きいので、保冷または保温効果が高まる。さらに、セラミック製の収容部は、液体である水や氷水等の冷媒を直接収容した場合や、結露が生じた場合には、気化熱の利用によってペットハウス空間を冷却でき、冷却効果を高めることができる。
【0011】
(2)本発明の一態様(1)では、前記収容部の前記凹部を覆うセラミック製の蓋体をさらに有し、前記蓋体上に前記ペットを出入り可能とすることができる。こうすると、仕切り部材の下方のペットハウス空間でなく、蓋体の上方空間もペットハウス空間として、蓋体に乗ったペットを冷却又は加熱することができる。
【0012】
(3)本発明の一態様(1)または(2)では、前記ハウス本体の前記下部空間に、水平かつ着脱自在に支持されるセラミック製の床壁をさらに有することができる。こうすると、熱容量が比較的大きなセラミック製の床壁により、床壁上のペットの保冷または保温効果を高めることができる。
【0013】
(4)本発明の一態様(3)では、前記床壁の下方の空間に着脱自在に配置され、冷却又は加熱用の熱源を収容可能な断熱容器をさらに有することができる。こうすると、断熱容器に収容された熱源によっても床壁が冷却又は加熱されるので、床壁上のペットの保冷または保温効果をさらに高めることができる。
【0014】
(5)本発明の一態様(1)乃至(4)のいずれかでは、前記ハウス本体の上端部を覆って前記上端部に着脱自在な座部をさらに有することができる。こうすると、ペットハウスを椅子として兼用し、ペットと人間とが身近に触れ合う機会を提供することができる。
【0015】
(6)本発明の一態様(1)乃至(5)のいずれかでは、前記ハウス本体は、前記一対の側壁に加えて、表面壁と裏面壁とをさらに含み、前記ハウス本体の前記表面壁に、前記ペットが出入り可能な出入口が形成されても良い。こうすると、四面を有するペットハウス本体によりペットハウス空間が外界と仕切られるので、ペットの保冷または保温効果をさらに高めることができる。
【0016】
(7)本発明の一態様(4)では、前記ハウス本体は、前記一対の側壁に加えて、表面壁と裏面壁とをさらに含み、前記ハウス本体の前記表面壁に、前記ペットが出入り可能な第1出入口が形成され、前記ハウス本体の前記表面壁及び前記裏面壁の一方に、前記断熱容器を出入り可能にする第2出入口が形成されても良い。こうすると、上記態様(6)での作用効果に加えて、ハウス本体に対する断熱容器の出し入れが容易となり、断熱容器に収容される熱源の交換作業等が簡易となる。
【0017】
(8)本発明の一態様(6)または(7)では、前記仕切り部材は前記ハウス本体に着脱自在に支持され、前記ハウス本体は展開状態では筒体となり、かつ、前記ハウス本体の対向内面が接近するように折り畳み可能にすることができる。こうすると、仕切り部材、収容部、床壁、断熱容器、座部等をハウス本体から取り外した後に、ハウス本体を折り畳むことで、ペットハウスの不使用時の収容スペースが小さくなり、あるいはペットハウスの運搬性が向上する。
【0018】
(9)本発明の一態様(8)では、前記ハウス本体は底壁をさらに含み、前記ハウス本体の折り畳み時に前記側壁が変形または屈曲可能となる。こうすると、底壁の存在によりハウス本体が補強される一方で、ハウス本体の折り畳みを妨げることもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るペットハウスの概略斜視図である。
【図2】図2(A)〜図2(D)は、図1に示すペットハウスの正面図、平面図、底面図、側面図である。
【図3】図1に示すペットハウスの内部を透視した透視図である。
【図4】図3から蓋体を外した透視図である。
【図5】図4から収容部を外した透視図である。
【図6】仕切り部材を支える構造を示す斜視図である。
【図7】図1に示すペットハウスの上部領域の断面図である。
【図8】図1に示すペットハウスの断面図である。
【図9】引出し型の断熱容器を示す図である。
【図10】ペットハウス本体の折り畳みを説明するための図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るペットハウスの収容部を上部冷却装置とした機能させた時の、上部冷却装置の底面温度、室温及び庫内温度との関係を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るペットハウスの収容部を上部冷却装置とした機能させた時の、上部冷却装置の底面温度と底面湿度と室温との関係を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係るペットハウスの収容部を上部冷却装置とした機能させた時の、上部冷却装置の上面温度と室温との関係を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に係るペットハウスの断熱容器を下部冷却装置とした機能させた時の、下部冷却装置の上面温度、庫内温度及び室温との関係を示す図である。
【図15】収容部に代えて電気ヒーターを配置した本発明の応用例を示す図である。
【図16】図15に示す電気ヒーターの周囲に防寒具を配置した使用例を示す図である。
【図17】ペットハウスの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0021】
1.ペットハウス
図1と図2(A)〜図2(D)は、本発明の一実施形態に係るペットハウス1を示している。ペットハウス1はハウス本体10を含む。ペットハウス1は、必要により、ハウス本体10の上部端部を覆ってハウス本体10に着脱自在に保持される座部20を設け、椅子として兼用できる。こうすると、人間が着座するペットハウス1の内部空間をペットの空間とすることができ、ペットと人間とが身近に触れ合う機会を提供することができる。座部20はなくても良いし、座部20を取り外した状態でペットハウス1を利用しても良い。
【0022】
ハウス本体10は、本実施形態では例えば四面に壁部を有する筒状体とすることができ、つまり、正面壁10A、裏面壁10B及び一対の側壁10C,10Dを有することができる。この場合、正面壁10Aにはペットのための例えば円形の第1出入口12を設けることができる。また、本実施形態では、正面壁10Aの第1出入口12の下方に第2出入口14を形成している。この第2出入口14は、後述する断熱容器50(図3参照)の前面パネル52で塞がれている。前面パネル52には、その前面より突出するつまみ54が設けられている。
【0023】
ハウス本体10は、底壁10Eをさらに有していても良い。底壁10Eは、例えば布材等の変形可能な材質で形成するか、あるいは壁部10A〜10Dの一つに対して例えば90°に屈曲可能に構成することが好ましい。ペットハウスの省スペースでの保管性や携帯
性を確保するために、図10に示すように例えば一対の側壁10C,10Dを、例えば予め形成された折り曲げ線に沿って例えばM字状に折り曲げて、ハウス本体10を折り畳めることが好ましい。その際に、変形又は屈曲する底壁10Eが折り畳みの障害とはならないことが好ましい。ただし、ハウス本体10が折り畳み不要の場合には、底壁10Eは剛体で形成することができる。
【0024】
なお、ハウス本体10の最小構成要素は一対の側壁10C,10Dである。一対の側壁10C,10Dが対向配置されるように、後述する仕切り部材30や枠組み体等により保形性が確保されれば、正面壁10A、裏面壁10B及び底壁10Eは必ずしも必要ではない。一対の側壁10C,10Dだけのハウス本体10は、正面又は裏面からペットの出入りが確保される。
【0025】
次に、図3〜図9を用いて、ペットハウス1の内部構造について説明する。図3〜図8に示すように、ペットハウス1は、ハウス本体10の上部に例えば水平に支持される、例えば板状の仕切り部材30を有する。本実施形態では、仕切り部材30は、ハウス本体10の上端部よりも低い位置にて、ハウス本体10に例えば着脱自在に支持されて、ハウス本体10内を上下で仕切っている。仕切り部材30は、上下に貫通する例えば円形の開口32を有する。
【0026】
仕切り部材30には、着脱自在にセラミック製の収容部40が保持される。収容部40は例えば素焼きの陶器で形成することができる。収容部40は、底壁40Aと、底壁40Aに向かうに従い縮径するテーパー状の周壁40Bと、周壁40Bの上端部に設けられたフランジ40Cとを含むことができ、底壁40Aと周壁40Bとに囲まれる凹部41が形成される。この凹部41に、冷却又は加熱用の熱源が収容される。図4では、冷媒の一例である氷水2が凹部41に収容をされている。
【0027】
ここで、収容部40は、仕切り部材30の開口32に着脱自在に挿通保持される。図7では、収容部40のテーパー状の周壁40Bが開口32に支持されている。この場合、開口32と周壁40Bの断面とは相似形(本実施形態では円)となる。これとは異なり、フランジ40Cが仕切り部材30の上面と当接されることで、収容部40が仕切り部材30に保持されても良い。この場合、開口32と周壁40Bの断面とは非相似形でも良い。いずれの場合でも、開口32を介して仕切り部材30の下部空間16に、収容部40の底壁40A及び周壁40Bが直接露出される。それにより、特許文献1のようにファンを要せずに、あるいは特許文献2,3のように通気孔を必ずしも要せずに、ペットハウス空間である下部空間16を直接冷却又は加熱することができる。特にセラミック製の収容部40は比較的熱容量が大きいので、保冷または保温効果が高まる。さらに、図4に示すように、セラミック製の収容部40に液体である水や氷水等の冷媒2を直接収容すると、液体が気化されることで奪われる気化熱によって下部空間16を冷却でき、冷却効果を高めることができる。あるいは、セラミック製の収容部40に生ずる結露が気化されることで奪われる気化熱によっても、下部空間16を冷却することができる。
【0028】
本実施形態では、収容部40の凹部41を覆うセラミック製の蓋体42をさらに設けている。こうして、座部20を取り外した状態では、蓋体42上にもペットを出入り可能とすることができる。こうすると、仕切り部材30の下方の下部空間16でなく、蓋体42の上方空間もペットハウス空間として、蓋体42に乗ったペットを冷却又は加熱することができる。それにより、一つの熱源を二匹のペットで共用することができる。また、蓋体42には、凹部42Aを設けることができる。こうすると、ペット例えば猫が蓋体42上に乗った時に凹部42A内に収まりやすくなる。また、図7に示すように、蓋体42に形成された凹部42Aにより、蓋体42の一部が収容部40内に嵌まり込むので、蓋体42がずれることがない。
【0029】
本実施形態では、ハウス本体10内で仕切り部材30を例えば水平に保持するための保持機構として、複数例えば2本の支持バー33を用いている。この2本の支持バー33の自由端部33A,33Bは屈曲されて垂下される。一対の側壁10C,10Dには、支持バー33の自由端部33A,33Bが挿入される垂直管を有する支持具34A,34Bが設けられる。両側の支持具34A,34Bにより、2本の支持バー33は水平に、かつ、着脱自在に保持される。仕切り部材30を着脱自在に保持する保持機構は、既知又は周知の種々の構造を採用できる。
【0030】
本実施形態では、ハウス本体10の下部空間16に、水平かつ着脱自在に支持されるセラミック製の床壁35さらに有することができる。こうすると、出入口12から侵入したペットは、床壁35上に載せられることになる。それにより、熱容量が比較的大きなセラミック製の床壁35により、床壁35上のペットの保冷または保温効果を高めることができる。
【0031】
本実施形態では、床壁35の下方に着脱自在に配置され、冷却又は加熱用の熱源を収容可能な断熱容器50をさらに有することができる。断熱容器50は例えば発砲材料等の断熱材で形成される。断熱容器50は、例えば図9に示すように、仕切り壁51により複数例えば2つに仕切られた収容部の各々に選択的に熱源(保冷剤や発熱剤等)を収容できる。断熱容器50に収容された熱源(保冷剤や発熱剤等)によっても床壁35が冷却又は加熱されるので、床壁35上のペットの保冷または保温効果をさらに高めることができる。
【0032】
この断熱容器50は、上述した通り、前面パネル52に設けられたつまみ54を把持することで、例えば正面壁10Aに形成された出入口14を介して、ハウス本体10の内外に出し入れすることができる。よって、熱源の交換作業などが簡易となる。また本実施形態では、床壁35を水平に保持する保持機構とし、断熱容器50が兼用されている。つまり、断熱容器50の上面に床壁35が載置される。断熱容器50を引き出した時でも、断熱容器50の一部がハウス本体10内に止まっていれば、床壁35を保持することができる。断熱容器50が配置されない場合や、断熱容器50を保持機構として兼用しない場合には、床壁35を保持する保持機構として、仕切り部材30を保持する保持機構と同様な構造を採用することができる。なお、断熱容器50が配置されない場合や、断熱容器50を引き出し可能にしない場合には、正面壁10Aまたは裏面壁10Bに出入口14を設ける必要はない。
【0033】
2.ペットハウスの評価
図11〜図14は、ペットハウス1について評価した特性データを示す。なお、以下の説明において、収容部40に冷媒を収容したものを上部冷却装置とも称し、断熱容器50に保冷剤を収容したものを下部冷却装置とも称する。
【0034】
図11は、収容部40に水を収容して測定したデータを示す。図11に示すように、気温が低い(およそ25℃以下)場合は、上部冷却装置を構成する収容部40の底壁40Aは湿度が高い状態が続いているが、気温が高くなるにつれて、収容部40の素焼きの表面から気化熱が発生して冷やし始めた。このペットハウス1は、水のみを上部冷却装置に長期間入れておくだけでも、自然の力でハウス本体10の庫内を過度に冷やすことなく、動物にとって快適な温度を長期にわたり提供することができる。
【0035】
図12は、凍った保冷材1kgを収容部40に収容して測定されたデータを示す。図12に示すように、凍った保冷材1kgを入れた上部冷却装置は急速に冷やすことが可能である。しかも、収容部40の素焼きの陶器の蓄熱効果と、この時生ずる結露が気化した時の気化熱とを利用して、従来の保冷材を使用したものよりも長時間冷却を継続でき、10
時間以上も20℃以下の温度を保持できた。
【0036】
図13は、図12と同じ条件で測定された上部冷却装置の上面温度(蓋体42の温度)を示すデータである。図13に示すように、上部冷却装置の中の保冷材が内部の空気を間接的に冷やし、また底部を直接冷やし、蓋体42の上面の表面温度も長時間にわたり冷やすことが可能である。この日は36.7℃まで室温が上がったが、27〜27.8℃と約10℃も表面温度が室温よりも低い。このペットハウス1では、直接小動物の皮膚が蓋体42と接触し、例えば猫の平均体温38℃より10度以上低いので快適が保たれている。
【0037】
図14は、底部冷却装置としての断熱容器50に保冷剤を収容して測定されたデータを示す。図14に示すように、猫(小動物)が直接接する床壁35を断熱容器50中の保冷材により長時間冷やし続けることができる。
【0038】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【0039】
図15及び図16は、収容部40の代わりに電気ヒーター60を配置した本発明の応用例である。収容部40の凹部41に発熱剤等を収容して上部加熱装置としても良いが、図15及び図16のように、収容部40を取外し、代わりにケーブル61を有する電気ヒーター60を仕切り部材30上に配置しても良い。図16に示すうに、電気ヒーター60の周囲に布材等の防寒用具を配置しても良い。
【0040】
図17は、図1のペットハウス1とは異なる形状のペットハウス1Aを示す。このペットハウス1Aは、一対の側壁11A,11Bを有するハウス本体11を含む。ハウス本体11は、さらに底壁11Cを有することができる。本実施形態では、ハウス本体11の上部例えば上端部に支持される仕切り部材31が設けられる。ハウス本体11は、一対の側壁11A,11Bに仕切り部材31を固定することで保形性が維持される。よって、底壁11Cは設けても設けなくても良い。本実施形態では、一対の側壁11A,11B、底壁11C及び仕切り部材31は、木材、金属、合成樹脂等で形成することができる。
【0041】
仕切り部材31は、図5に示す仕切り部材30の開口32と同様にして開口が形成され、その開口に図4に示す収容部40が保持される。収容部40には図7に示す蓋体42が配置される。それにより、仕切り部材31の下方の下部空間16Aと、蓋体42の上方空間とを、ペットのための温調空間として、収容部40内の熱源を二匹のペットで共用することができる。
【0042】
本実施形態においても、ハウス本体11の下部空間16Aに、水平に支持されるセラミック製の床壁35Aさらに有することができる。さらに、床壁35Aの下方に着脱自在に配置され、冷却又は加熱用の熱源を収容可能な断熱容器50Aをさらに有することができる。断熱容器50Aは、前面パネル52Aに設けられたつまみ54Aを把持することで、ハウス本体11の内外に出し入れすることができる。なお、なお、断熱容器50Aは、内部の発砲材料等を省略して図示している。また、床壁35Aは、一対の側壁11A,11Bに支持されても良く、あるいは断熱容器50Aの上に載置されることで支持されても良い。
【符号の説明】
【0043】
1,1A…ペットハウス、10,11…ハウス本体、10A…正面壁、10B…裏面壁、10C,10D,11A,11B…一対の側壁、10E…底壁、12…出入口(第1出入口)、14…第2出入口、16,16A…下部空間、20…座部、30…仕切り部材、
32…開口、33…支持バー、35,35A…床壁、40…収容部、40A…底壁、40B…周壁、40C…フランジ、41…凹部、42…蓋体、42A…凹部、50,50A…断熱容器、52,52A…前面パネル、54,54A…つまみ、60…電気ヒーター
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
【図10】
図10
【図11】
図11
【図12】
図12
【図13】
図13
【図14】
図14
【図15】
図15
【図16】
図16
【図17】
図17
ページtop へ