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スポーツ・娯楽
 
 【発明の名称】スポーツ用ポーチ具
【国際特許分類】
A45C 11/00 (2006.01)
【FI】
A45C 11/00    H    
【特許権者】
【識別番号】523428419
【氏名又は名称】幸崎 裕子
【住所又は居所】東京都江東区南砂2-3-1-1012
【代理人】
【識別番号】110004174
【氏名又は名称】弁理士法人エピファニー特許事務所
【発明者】
【氏名】幸崎 裕子
【住所又は居所】東京都江東区南砂2-3-1-1012
【要約】
【課題】
軽く、身につけたときにスポーツの激しい動きの妨げになりにくく、収容物にアクセスし易いスポーツ用ポーチ具を提供することを目的とする。
【解決手段】
スポーツ用ポーチ具は、内部が視認できるスポーツ用ポーチ具であって、メッシュ状の布地を縫製して形成された袋体と、袋体の開口部に取り付けられ、開口部の2箇所から延びる紐と、を備え、袋体は、当該袋体の側面を構成する筒部と、筒部に接続された底部と、を備え、底部は、少なくとも2つの縫い目により補強されている。
【選択図】図7
選択図
試作図1 
試作図2 
試作図3 
メッセージ

軽くてだれでもすぐに使えるスポーツポシェット(ポケットの代役)
「特徴」
「軽い」「邪魔にならない」「小さく折畳める」「ボールが見えるポリエステルの生地」
「ゴムヒモのため、子供は切って使える」「ポケットの代用」
「経緯」
卓球の教室や体育館等で練習しています。
サーブ時や仲間と練習中、ボールは、カゴの中にありますが台の中央に設置することが多く、又、カゴも無い時もあります。 その際、皆あたりまえのように、各自のズボンのポケットの中に何個か入れては練習している状況です。
ある日のこと、帰宅のため教室を出ようとしたところ、ポケットのハンカチと、まぎれて、ボールが1個残っていることに気がつきまして、
「もしかして、持ち帰ると犯罪」?と「ハット」して、あわてて返却しました。
そこで、「ポケットに代る物を作りたい」と考え作成致しました。
又、皆様にも、是非使っていただきたいと思います。
気軽によろしくお願い致します。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が視認できるスポーツ用ポーチ具であって、
メッシュ状の布地から形成された袋体と、
前記袋体の開口部に取り付けられ、前記開口部の2箇所から延びる紐と、を備え、
前記袋体は、
当該袋体の側面を構成する筒部と、
前記筒部に接続された底部と、を備え、
前記筒部は、
内側に折り込んで形成された一対の折込部を有し、
前記一対の折込部が形成されることにより、前記開口部から前記底部に向かうにしたがって一方の前記折込部から他方の前記折込部に向かう方向の幅が小さくなっており、
前記底部は、
使用状態の断面構造において、前記筒部と一体の布地をM字形状に折り畳んだ構造を有し、少なくとも2つの縫い目により補強され、
前記M字形状に折り畳んだ構造の中央部の2つの傾斜線に相当する部分である第1折り返し部と、前記M字形状に折り畳んだ構造の両端に位置する2つの縦線に相当する部分である第2折り返し部とを有し、
前記第1折り返し部は、
前記第2折り返し部との接続部の近傍に前記2つの傾斜線に相当する部分同士を縫い合わせた第1の縫い目を有し、
前記第2折り返し部は、
一端が前記筒部と接続されており、
前記筒部との接続部の近傍において、間に前記第1折り返し部を挟んだ状態で重ねて縫い合わせた第2の縫い目を有し、
前記折込部は、
少なくとも前記第1の縫い目により前記第1折り返し部に固定されている、
スポーツ用ポーチ具。
【請求項2】
前記袋体は、
前記開口部が2つの部分からなり、当該袋体を身につけたときに身体側に位置する内側部と、身体から離れた側に位置する外側部と、を備え、
前記内側部は、
前記外側部に対し剛性が高い、請求項1に記載のスポーツ用ポーチ具。
【請求項3】
前記外側部及び前記内側部は、
前記筒部を構成するメッシュ状の布地の端部を折り返して形成された折り返し部と、前記筒部の側面と、を縫い合わせて形成された構造を備え、
前記内側部は、
前記紐と前記折り返し部と補強部材とを互いに縫い合わせた構造を更に備える、請求項2に記載のスポーツ用ポーチ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小物を収納するポーチ具であって、スポーツを行うときに身につけるポーチ具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、身につけて小物を収納でき、外部から収容物が視認できるポーチ具が知られている。ポーチ具は、内部に財布、パスポートなどを収納し、面ファスナ又はファスナにより閉塞され、収容物が容易に外部に飛び出さないように構成されている。また、ポーチ具は、フック手段などの留め具を衣類に取り付けることにより、身につけることが可能である(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 実用新案登録第3048218号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているポーチ具は、物を収納する袋体から離れた位置に留め具が取り付けられている。したがって、身につけたときに開口部周辺を含めた袋体が身体から離れることが可能な構造になっており、ポーチ具を身に着けながらスポーツをした場合に、袋体が大きく揺れ動きプレイの妨げになる、という課題があった。
【0005】
また、特許文献1に開示されているポーチ具は、袋体が身体から離れやすい構造になっていることから、開口を塞ぐファスナなどが必要となっている。このことから、ポーチ具は、重量が重くなるとともに、袋体の内側の収容物を取り出すのに手間が掛かる、という課題があった。
【0006】
本発明の課題は、軽く、身につけたときにスポーツの激しい動きの妨げになりにくく、収容物にアクセスし易いスポーツ用ポーチ具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るスポーツ用ポーチ具は、内部が視認できるスポーツ用ポーチ具であって、メッシュ状の布地を縫製して形成された袋体と、前記袋体の開口部に取り付けられ、前記開口部の2箇所から延びる紐と、を備え、前記袋体は、当該袋体の側面を構成する筒部と、前記筒部に接続された底部と、を備え、前記底部は、少なくとも2つの縫い目により補強されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、袋体がメッシュ状の布地で構成されているため軽く、身につけたときに開口部が身体に沿って位置することにより、スポーツ時の激しい動きを妨げにくく、かつ収容物が飛び出しにくい、スポーツ用ポーチ具が得られる。また、袋体に球などを複数収納でき、必要に応じて開口部から容易に手を袋体に挿入可能になっており、例えば卓球をプレイしながら収納された球を容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係るスポーツ用ポーチ具100を示す外観図である。
【図2】図1のA−A部の断面構造の模式図である。
【図3】図1のB−B部の断面構造の模式図である。
【図4】実施の形態1に係るスポーツ用ポーチ具100の第1底部12周辺の拡大図である。
【図5】実施の形態1に係るスポーツ用ポーチ具100の使用状態を示す斜視図である。
【図6】実施の形態1に係るスポーツ用ポーチ具200を示す外観図である。
【図7】図6に示すスポーツ用ポーチ具200を模式的に表したものである。
【図8】図7のC−C部の断面構造の模式図である。
【図9】図7のD−D部の断面構造の模式図である。
【図10】図6に示すスポーツ用ポーチ具200の袋体10の製造工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明のスポーツ用ポーチ具100の好ましい実施の形態が図面を参照して詳しく説明されている。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0011】
実施の形態1.
(スポーツ用ポーチ具100の構成)
図1は、実施の形態1に係るスポーツ用ポーチ具100を示す外観図である。図1に示されるスポーツ用ポーチ具100は、主にスポーツをプレイしている最中に身体に取り付けて使用するものであり、例えば袋体10の内部に球などを収容し、好きなときに取り出せるものである。
【0012】
スポーツ用ポーチ具100は、袋体10と、袋体10の開口部14に取り付けられた紐20a及び20bとから構成されている。袋体10は、メッシュ状の布地を縫製して形成され、袋体10の内部が外部から視認できるように構成されている。メッシュ状の布地は、例えば洗濯用ネットに用いられるポリエチレン又はポリエステル等の材料で構成され網目を有する布地である。網目の大きさは、内側に収納する物が視認できる程度であれば良い。
【0013】
紐20a及び20bは、身体の一部に巻き付け、縛ることにより、スポーツ用ポーチ具100を身体に固定するためのものである。紐20a及び20bは、例えば人の胴体、腰に巻きつけられ、それぞれの先端を互いに結び合わせて固定される。なお、2本の紐20a及び20bは、結んで固定されるものに限定されず、例えば互いに固定するためのコードストッパーなどの部品が設けられていても良い。
【0014】
(袋体10の構造)
図2は、図1のA−A部の断面構造の模式図である。図3は、図1のB−B部の断面構造の模式図である。図2及び図3に示す太い実線は、袋体10を構成するメッシュ状の布地の断面を模式的に表示するものである。袋体10は、筒状に形成された布地の一方の端部(図2においてZ2側の端部)を縫い合わせて塞ぎ、他方の端部(図2においてZ1側の端部)に開口部14を形成して構成されている。
【0015】
袋体10の側面を構成する筒部11は、開口部14から第1底部12まで延びる筒状であり、メッシュ状の布地で形成されている。袋体10のZ2側の端部は、縫い目16において縫い合わされて塞がれ、袋の第1底部12が形成されている。第1底部12は、筒状に形成された布地の一方の端(図2においてZ2側の端部)を互いに縫い合わせて塞ぐことにより形成されたものである。
【0016】
(袋体10の底部の構造)
袋体10の内部には、第1底部12に沿って第2底部13が設けられている。第2底部13は、第1底部12に対し開口部14側(Z1側)に位置し、第1底部12と当接できる程度の位置に設けられている。第2底部13は、袋体10の筒部11とは別体のメッシュ状の布地により構成され、筒部11の下端(Z2側の端)において、外縁を筒部11の内周面に縫い目15において縫い合わされて固定されている。第2底部13の外縁は、筒部11の内面に沿って位置し、全周に亘って筒部11に縫い合わされている。
【0017】
第1底部12と第2底部13とは、それぞれメッシュ状の布地により構成されており、変形することにより互いに当接できる程度に配置されている。例えば、袋体10に開口部14から手が挿入され、収容物を取り出す際に、第1底部12と第2底部13とに手からZ2側に向かって荷重が掛かる。このような場合、手から第2底部13に荷重が掛かり、第2底部13が第1底部12に当接することにより第1底部12にも荷重が掛かる。すると、第2底部13を筒部11に固定する縫い目15及び第1底部12の中央部に形成されている縫い目16とに荷重が掛かるが、荷重は、縫い目15及び縫い目16に分散されるため、縫い目が破損しにくい、という利点がある。例えば、図2において、第2底部13が設けられていなかった場合を想定すると、手から掛かる荷重は、第1底部12の中央部に設けられた縫い目16に直接作用する。実施の形態1に係る袋体10は、メッシュ状の布地であり、布地自体の強度も低く、縫い目16の強度も低いため、このような場合縫い目から破損が生じ易い。しかし、実施の形態1に係る袋体10は、2重の底部を設け、縫い目15及び16のように縫い目を組み合わせて、比較的長い縫い目により荷重を支持できるため、破損を抑制することができる。また、袋体10は、破損を抑制しながらも、メッシュ状の布地のみから構成されているため、軽量でスポーツ時に身に着けていても動きの妨げになりにくい。
【0018】
図4は、実施の形態1に係るスポーツ用ポーチ具100の第1底部12周辺の拡大図である。実施の形態1に係るスポーツ用ポーチ具100は、底部もメッシュ状の布地で形成されている。スポーツ用ポーチ具100は、身体に固定される開口部14から離れた先端である袋体10の底部もメッシュ状の布地で構成されているため軽く、運動時の身体の動きを阻害しない。また、袋体10の底部は、収容物の重量及び挿入された手から荷重を受けるが、2重の布地で構成されており、破損の起点となりうる布地の境目である縫い目15及び16が分散して配置されているため、強度も十分確保できている。なお、第1底部12の中央部に設けられている縫い目16は、布地を折り返して重ねた上で縫い合わせられていても良い。このように構成することで、スポーツ用ポーチ具100は、メッシュ状の布地を使用しつつ縫い目16の強度を向上できる。
【0019】
(開口部14の構造)
袋体10の開口部14は、筒部11の一端に設けられた開放された部分である。開口部14は、図3に示す袋体10の収容部90の断面形状と概ね同じ大きさに形成されている。紐20a及び20bは開口部14に固定されており、図1に示すように、開口部14を2つに分割した端部から紐20a及び20bがそれぞれ延びている。
【0020】
図1及び図5に示すように、袋体10は、紐20a及び20bが設けられており、紐20a及び20bを身体に巻き付けて使用される。そのため、開口部14は、紐20a及び20bが突出している開口部14の端部14c及び14dを両端とする幅方向(図1のX方向)に広くなるように形成されている。
【0021】
紐20a及び20bは、開口部14からX方向に突出しているが、一本の紐20で構成されている。一本の紐20の両端部が開口部14からX方向に突出して紐20a及び20bとなっており、中央部20cは、筒部11を形成しているメッシュ状の布地の上端(図2のZ1方向の端)に縫い付けられて袋体10に固定されている。
【0022】
筒部11は、メッシュ状の布地から形成されており、そのままでは開口部14が強度的に使用に耐えられない。そのため、図2に示すようにメッシュ状の布地で形成された筒部11の端部(Z1側の端部)に折り返し部11b及び11cを設け、折り返し部11b及び11cを筒状体11aに縫い付けることにより強度を確保している。なお、筒状体11aとは、筒部11のZ方向の中央部分であって、収容部90の主要な部分を構成している。
【0023】
また、紐20の中央部20cは、開口部14の内側部14aにおいて折り返した布地とともに筒状体11aに縫い付けられ、開口部14の内側部14aの強度を向上させている。さらに、紐20の中央部20cと重なるように補強部材21が配置され、筒状体11aに固定されている。補強部材21は、袋体10の筒部11を形成するメッシュ状の布地よりも強度が高い材料を使用することが望ましく、例えば伸縮性のある布地又はゴム材料などにより構成されている。紐20及び補強部材21は、筒状体11aの端部に縫い付けられ、さらに筒状体11aの端部の折り返し部11bとも縫い付けられている。図2に示すように、例えば、紐20及び補強部材21は、縫い目19によって筒状体11aに縫い付けられて袋体10に一体化され、さらに折り返し部11bと縫い目17によって縫い付けられ、開口部14の内側部14aの強度に寄与している。
【0024】
開口部14の内側部14aは、開口部14としての強度は必要だが、使用時に身体に接触しつつ開口部14から手が挿入されるため、容易に開くように柔軟性を持たせてある。紐20も伸縮性のある材料で構成されていることが望ましく、実施の形態1においては、例えば開口部14の内側部14aが容易に撓むようにゴム状の紐が使用されている。また、補強部材21も例えば被服で使用されるゴムバンドのような伸縮性のある材料で構成されていることが望ましい。
【0025】
開口部14の外側部14bは、折り返し部11cと筒状体11aと縫い目18によって縫い合わせて形成されている。図2においては、筒状体11aの端部を一回折り返して縫い合わせているが、複数回折り返してメッシュ状の布地が複数枚重なるように構成されていても良い。または、折り返し部11cの内側に補強部材21を追加しても良い。ただし、開口部14の内側部14aは、紐20が内蔵されている分だけ外側部14bよりも剛性が高くなっている。
【0026】
以上のように、開口部14は、内側部14aと外側部14bとで剛性、可撓性に差をつけることにより、比較的剛性の低い外側部14bをたわませて運動時に開口部14を視認せずとも手を容易に挿入できる。
【0027】
図5は、実施の形態1に係るスポーツ用ポーチ具100の使用状態を示す斜視図である。スポーツ用ポーチ具100は、内部に卓球に使用する球を内容物80として収納されており、取り付け状態においては、開口部14が閉塞された状態で身体にフィットしている。これにより、ユーザーが激しく動いたとしても、内容物80が外に飛び出すことがない。また、紐20は身体に巻きつけられ、結ぶ事によりスポーツ用ポーチ具100を身体に装着できる。紐20は、伸縮性があるため、ユーザーが袋体10を操作すると身体から離すこともでき、開口部14を開くスペースも確保できる。
【0028】
図1及び図5に示すように、スポーツ用ポーチ具100は、袋体10全体がメッシュ状の布地により構成されているため、全体的に軽く、袋体10の先端側(底部)に至るまで軽量かつ柔らかい。そのため、スポーツ用ポーチ具100は、装着した状態であってもユーザーの動きを阻害しにくいという利点を有しながら、内容物80を取り出す際に底部の荷重に対しても耐えられる。特に、スポーツ用ポーチ具100は、内容物80として比較的軽いものを収容することを想定しているため、適度な強度を有しながら軽量に構成されている。
【0029】
スポーツ用ポーチ具100は、軽量かつ底部の強度を確保するため、第1底部12を中央部の縫い目16を縫う第1糸を比較的太いものとしてある。第2底部13の外縁と筒部11とを接続する縫い目15を縫う第2糸と第1糸とを比較したときに、第1糸は少なくとも第2糸よりも太い。例えば、第2糸は、通常ミシンで使用される糸のように細い糸であり、第1糸は、木綿糸のような比較的太くて強度の高いものを使用すると良い。これは、第1糸が使用される縫い目16は、第1底部12の中央部に形成されるため、ユーザーの手による荷重を受けやすく、強度の高い糸であるほうが有利であるからである。また、第2糸が使用される縫い目16は、第2底部13の外縁にあるため、ユーザーの手による荷重を外縁全体で受けるため荷重を分散し易いからである。
【0030】
実施の形態2.
実施の形態2に係るスポーツ用ポーチ具200は、実施の形態1に係るスポーツ用ポーチ具100の底部及び開口部14の構造を変更したものである。実施の形態2においては、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0031】
(スポーツ用ポーチ具200の構造)
図6は、実施の形態1に係るスポーツ用ポーチ具200を示す外観図である。図7は、図6に示すスポーツ用ポーチ具200を模式的に表したものである。スポーツ用ポーチ具200は、実施の形態1に係るスポーツ用ポーチ具100と同様に、袋体10と、袋体10の開口部14に取り付けられた紐20a及び20bとから構成されている。また、袋体10は、メッシュ状の布地を縫製して形成され、袋体10の内部が外部から視認できるように構成されている。さらに、スポーツ用ポーチ具200の袋体10は、X方向の両端が内側に折り込まれた状態で固定されており、袋のマチを有している。なお、図7において、細い二点鎖線は、縫い目を示しており、破線は、内側に隠れた部分を示している。また、細い二点鎖線で示された縫い目215、216及び223は、図7の状態においては袋体10の表側には現れていない。
【0032】
(袋体10の構造)
図8は、図7のC−C部の断面構造の模式図である。図8に示す太い実線は、袋体10を構成するメッシュ状の布地の断面を模式的に表示するものである。袋体10は、袋状に形成された布地の底部を縫い合わせることにより強度を確保し、かつ外部に布地の余った部分を突出させないように構成されている。図8に示す断面構造において、底部250は、布地がM字形状に折り重ねられて、縫い合わされた突出部Mを有する。突出部Mは、M字形状の下端部240(袋体10の下端部でもある)において筒部11と接続されている。突出部Mは、使用状態において袋体10の内側に突出している。なお、図8においては、突出部Mは、間隙をもって折り重ねられているが、実際にはM字形状の各部は密着していても良い。
【0033】
図9は、図7のD−D部の断面構造の模式図である。図9に示す太い実線は、袋体10を構成するメッシュ状の布地の断面を模式的に表示するものである。図9に示すように、袋体10のX方向の端部は、袋体10の内側に織り込まれている。図6及び図7にも表されているように、折込部Sは、袋体10の下端(Z2側)から上端(Z1側)に向かって徐々にX方向の幅が少なくなるように構成され、袋体10を正面から見たとき(図6及び図7に示す状態)に三角形になっている。
【0034】
折込部Sは、下端部が底部250に形成された突出部Mに固定されており、使用状態において外側に引き出されないように構成されている。折込部Sは、図9に示されているように、下端部以外が折られた構造になっているため、収容部90が広がったときに伸び、内容物を収めたときに収容部90の容積を大きくできる。
【0035】
図10は、図6に示すスポーツ用ポーチ具200の袋体10の製造工程の説明図である。スポーツ用ポーチ具200の袋体10は、1枚の矩形のメッシュ状の布地から構成されている。図10(a)に示すように、まず、矩形の布地fは、中央部で2つに折られ、矩形の頂点同士を合わせられる。矩形の布地fは、頂点g1、g2、g3及びg4を有しており、頂点g1と頂点g2、頂点g3と頂点g4をそれぞれ重なるように折られる。矩形の布地fの中央部には、折り目hができる。折り重ねた布地fは、折り目hの一端h1と頂点g1及びg2のそれぞれとを結ぶ辺k1に沿って、また、折り目hの他端h2と頂点g3及びg4のそれぞれとを結ぶ辺k2に沿って、縫い合わされる。このようにして、矩形の布地fは、袋状に形成され、開口214を上にしたときの水平方向の両端部には上下方向に延びる縫い代n1及びn2が形成される。
【0036】
図10(a)に示す袋状の布地fは、内面Qが外側に来るように裏返される。つまり、図10(b)に示すように、内面Qが外側、外面Pが内側に来るように布地fは裏返される。布地fが裏返された状態においては、縫い代n1及びn2は、袋状の布地fの内側に突出している。
【0037】
図10(b)の状態において、袋状の布地fは縫い代n1、n2及び縫い目223を袋の内側に押し込むようにして折り込む。すると、袋状の布地fは、図10(c)に示すような略台形になる。縫い代n1、n2及び縫い目223を内側に折り込んで形成された折込部Sは、袋状の底が幅広で、開口214に向かうに従い狭くなる略三角形に形成される。
【0038】
図10(c)に示すように、台形に形成された袋状の布地fは、先端241の近傍で、先端241に沿って縫い合わされ第1折り返し部213が形成される。縫い目215は、袋体10の正面と背面とを構成する布地F1及びF2と折込部Sとを重ね合わせた状態でそれらを縫い合わせ、かつ端部においては折込部Sを袋の内側に折り込んだ状態で固定する。
【0039】
図10(d)に示す状態は、図10(c)の状態の袋状の布地fを、さらに裏返した状態である。図10(d)においては、布地fの外面P及び内面Qが図10(a)と同じ状態になっている。
【0040】
図10(d)の状態においては、図10(c)で形成された先端241が袋状の布地fの内側に突出した状態になっている。縫い目215から先端241の部分は、図10(c)の状態のままだと、スポーツ用ポーチ具200の使用時に収容部90から突出した状態になっており見栄えも悪く、使用される布地もメッシュ状であるため収容部90の底部の強度が弱い。そこで、図10(d)の状態で、袋の先端230の近傍が縫い合わされる。縫い目216は、布地F1、F2及び第1折り返し部213が重なった部分に形成され、それらを縫い合わせる。縫い目216から袋の先端230の間の部分であって、図10(d)の状態において表側に位置する布地は、図8に示す第2折り返し部212に相当する。
【0041】
図10(d)の状態から袋状の布地fを裏返すと図6〜図8に示すスポーツ用ポーチ具200の使用状態における袋体10になる。図10(a)〜(d)の順に布地fを折り、縫い合わせることで、袋体10の底部250の内側に突出部Mができるため、袋体10は、外観に余分な部分が形成されず、かつ底部250の強度が向上する。また、図6及び図7に示すように、袋体10の側部にある折込部Sによっていわゆる袋のマチを形成する場合には、折込部Sが突出部Mに固定されることによって袋のマチの形が崩れず、袋体10は安定した形状を保つことができる。また、袋体10は、メッシュ状の布地により構成されるため布地自体の強度が低いが、荷重が掛かりやすい底部に布地を重ね合わせて縫い合わされた構造を備えることにより、強度が向上し、耐久性が高くなる。
【0042】
(開口部14の構造)
実施の形態2に係る袋体10の開口部14は、図10のように形成された袋状の布地f(図10(d)の状態の内面Qを外側にひっくり返した袋状の布地f)は、開口214が外側に折り返され、筒状体11aと縫い合わされる。その縫い合わせた部分225に紐20が固定される。開口214を折り返して縫い合わせた部分225を覆うように補強部材221が配置され、筒状体11aに縫い合わせて固定される。
【0043】
補強部材221は、内側部14a側を覆う部材と外側部14b側を覆う部材とに分かれており、まず外側部14b側が縫い目217により固定され、次いで内側部14a側が縫い目217により固定される。補強部材221は、開口部14の全周に亘って配置されており、スポーツ用ポーチ具200を正面から見たとき(図6の状態)の端部に継ぎ目があり、そこから紐20が外に導出されている。
【0044】
補強部材221は、丈夫で見栄えの良いリボン生地で構成されても良い。リボン生地の場合、強度も高く見栄えが良い。また、リボン生地は、表面がなめらかで滑りやすいため、手を挿入するときにも都合が良い。ただし、実施の形態1に示したように、補強部材221として伸縮性があって丈夫なゴムバンドを使用することもできる。また、実施の形態2に示した開口部14の構造は、実施の形態1に係るスポーツ用ポーチ具100に適用することも可能である。
【0045】
以上に本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施の形態の構成のみに限定されるものではない。例えば、スポーツ用ポーチ具100及び200の寸法は、ユーザーの動きを阻害しない範囲で適宜変更できる。また、スポーツ用ポーチ具は、外観形状も適宜変更でき、例えば装飾を施しても良い。要するに、いわゆる当業者が必要に応じてなす種々なる変更、応用、利用の範囲をも本発明の要旨(技術的範囲)に含むことを念のため申し添える。
【0046】
また、上記に説明したスポーツ用ポーチ具100及び200は、以下の付記1〜9に示す各特徴の組み合わせも含み得るものである。その組み合わせについて下記に示す。
【0047】
[付記1]
内部が視認できるスポーツ用ポーチ具であって、
メッシュ状の布地を縫製して形成された袋体と、
前記袋体の開口部に取り付けられ、前記開口部の2箇所から延びる紐と、を備え、
前記袋体は、
当該袋体の側面を構成する筒部と、
前記筒部に接続された底部と、を備え、
前記底部は、
少なくとも2つの縫い目により補強されている、スポーツ用ポーチ具。
[付記2]
前記袋体は、
矩形のメッシュ状の布地を、頂点同士を合わせるように折り、布地の中央部に形成された折り目の両端のそれぞれから頂点をつなぐ辺に沿って側部を縫製して袋状に形成されたものであって、
前記底部は、
使用状態の断面構造において、前記筒部と一体の布地をM字形状に折り畳んだ構造を有し、
M字形状の中央部の2つの傾斜線に相当する部分をそれぞれ第1折り返し部、M字形状の両端に位置する2つの縦線に相当する部分をそれぞれ第2折り返し部、としたときに、
前記第1折り返し部は、
前記第2折り返し部との接続部の近傍において縫い合わされ、
前記第2折り返し部は、
一端が前記筒部と接続されており、
前記筒部との接続部の近傍において、間に前記第1折り返し部を挟んだ状態で重ねて縫い合わされている、付記1に記載のスポーツ用ポーチ具。
[付記3]
前記袋体は、
前記側部を内側に折り込んで袋のマチとなる折込部を形成し、
前記折込部は、
折り込まれた状態を維持できるように、前記底部において前記第1折り返し部及び前記第2折り返し部に縫い合わされ固定されている、付記2に記載のスポーツ用ポーチ具。
[付記4]
前記底部は、
前記筒部と一体のメッシュ状の布地により形成された第1底部と、
当該袋体の内側において前記第1底部に対し前記開口部側に位置する第2底部と、を備え、
前記第1底部と前記第2底部とは、
前記開口部側から見たときにメッシュ状の布地が重なるように構成された、付記1に記載のスポーツ用ポーチ具。
[付記5]
前記袋体は、
メッシュ状の布地から形成された筒状体と、前記第2底部を構成するメッシュ状の布地と、を縫い合わせて構成され、
前記第2底部は、
前記筒状体の内周面に外縁が縫い合わせられ、前記筒状体の内部を2つに区切るようにして固定されたものであり、
前記第1底部は、
前記筒状体の両端に形成された2つの開口のうち一方を縫って塞ぐようにして形成されたものであり、
前記筒部は、
前記筒状体の側面により構成された、付記4に記載のスポーツ用ポーチ具。
[付記6]
前記第2底部は、
前記第1底部の中央部に形成されている縫い目と当接可能な位置に配置された、付記4又は5に記載のスポーツ用ポーチ具。
[付記7]
前記第1底部の中央部に形成された縫い目は、
第1糸により縫い合わせられ、
前記第2底部の外縁と前記筒部とは、
第2糸により縫い合わせられ、
前記第1糸は、前記第2糸よりも太い糸で構成されている、付記6に記載のスポーツ用ポーチ具。
[付記8]
前記袋体は、
前記開口部が2つの部分からなり、当該袋体を身につけたときに身体側に位置する内側部と、身体から離れた側に位置する外側部と、を備え、
前記内側部は、
前記外側部に対し剛性が高い、付記1、2又は4に記載のスポーツ用ポーチ具。
[付記9]
前記外側部及び前記内側部は、
前記筒部を構成するメッシュ状の布地の端部を折り返して形成された折返し部と、前記筒部の側面と、を縫い合わせて形成され、
前記内側部は、
前記紐と前記折返し部と補強部材とを互いに縫い合わせて構成された、付記8に記載のスポーツ用ポーチ具。
【符号の説明】
【0048】
10 袋体、11 筒部、11a 筒状体、11b 折り返し部、11c 折り返し部、12 第1底部、13 第2底部、14 開口部、14a 内側部、14b 外側部、14c 端部、15 縫い目、16 縫い目、17 縫い目、18 縫い目、19 縫い目、20 紐、20a 紐、20c 中央部、21 補強部材、80 内容物、90 収容部、100 スポーツ用ポーチ具、200 スポーツ用ポーチ具、212 第2折り返し部、213 第1折り返し部、214 開口、215 縫い目、216 縫い目、217 縫い目、221 補強部材、223 縫い目、225 部分、230 袋の先端、240 下端部、241 先端、250 底部、F1 布地、F2 布地、M 突出部、P 外面、Q 内面、S 折込部、f 布地、g1 頂点、g2 頂点、g3 頂点、g4 頂点、h 折り目、h1 一端、h2 他端、k1 辺、k2 辺、n1 縫い代、n2 縫い代。
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
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【図6】
図6
【図7】
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【図8】
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【図9】
図9
【図10】
図10
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