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事務用品
 
【発明の名称】粘着テープカッタ
【特許権者】
【識別番号】505249528
【氏名又は名称】竹井 美津男
【住所又は居所】東京都清瀬市野塩5−232
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100097216
【氏名又は名称】泉 和人
【発明者】
【氏名】竹井 美津男
【住所又は居所】東京都清瀬市野塩5−232
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着テープを巻き付けてなる粘着テープロールが装着されるカッタケースと、
前記粘着テープを巻き付けてなる粘着テープロールと、
前記粘着テープロールを回転可能に保持する第1の回転部材と、
前記粘着テープロールから引き出された前記粘着テープを切断するカッタ刃と、
剥離層が形成されている剥離テープを巻いてなる剥離テープロールと、
前記粘着テープロールの回転を前記剥離テープロールに伝達する回転伝達機構と、
を備え、
前記剥離テープロールを保持する第2の回転部材と前記剥離テープロールを巻き取る第3の回転部材とは回転可能に係合され、それぞれ剥離テープ用ケース内に収納されており、
該剥離テープ用ケースは前記カッタケース内に着脱可能になっており、
前記剥離テープ用ケースが前記カッタケース内に装着されるときに、前記第2の回転部材が前記回転伝達機構によって前記第1の回転部材に機械的に結合されるように構成され、
前記粘着テープが前記粘着テープロールから引き出されるときに、前記回転伝達機構によって前記剥離テープが前記剥離テープロールから引き出され、
前記粘着テープロールから引き出された前記粘着テープを前記カッタ刃で切断するときに、前記剥離テープの前記剥離層が前記粘着テープにおける切断部分の粘着面に転写されることを特徴とする粘着テープカッタ。
【請求項2】
粘着テープを巻き付けてなる粘着テープロールが装着されるカッタケースと、
前記粘着テープロールを回転可能に保持する第1の回転部材と、
前記カッタケースの粘着テープ受部に固定されて、前記粘着テープロールから引き出された前記粘着テープを切断するカッタ刃と、
剥離層が形成されている剥離テープを巻いてなる剥離テープロールを保持する第2の回転部材と、
前記第2の回転部材と回転可能に係合され、前記剥離テープを巻き取る第3の回転部材と、
前記第1の回転部材の回転を前記第2の回転部材に伝達する回転伝達機構と、
前記カッタ刃の近傍に配置されている剥離テープ用受台と、
を備え、
前記粘着テープが前記粘着テープロールから引き出されるときに、前記回転伝達機構によって前記第2の回転部材及び前記第3の回転部材が回転することにより、前記剥離テープが前記剥離テープロールから前記剥離テープ用受台を通して引き出され、
前記粘着テープロールから引き出された前記粘着テープを前記カッタ刃で切断するときに、前記剥離テープ用受台上の前記剥離テープの前記剥離層が前記粘着テープの粘着面に転写され、前記剥離層が剥離された基材テープを前記第3の回転部材が巻き取ることを特徴とする粘着テープカッタ。
【請求項3】
粘着テープを巻き付けてなる粘着テープロールが装着されるカッタケースと、
粘着テープの粘着テープロールを回転可能に保持する第1の回転部材と、
前記カッタケースの粘着テープ受部に固定されて、前記粘着テープロールから引き出された前記粘着テープを切断するカッタ刃と、
剥離層が形成されている剥離テープを巻いてなる剥離テープロールを保持する第2の回転部材と、
前記剥離テープを巻き取る第3の回転部材と、
前記第1の回転部材の回転を前記第3の回転部材に伝達する回転伝達機構と、
前記カッタ刃の近傍に配置されている剥離テープ用受台と、
を備え、
前記粘着テープが前記粘着テープロールから引き出されるときに、前記回転伝達機構によって前記第3の回転部材が回転し、これに伴い前記第3の回転部材が回転することにより、前記剥離テープが前記剥離テープロールから前記剥離テープ用受台を通して引き出され、
前記粘着テープロールから引き出された前記粘着テープを前記カッタ刃で切断するときに、前記剥離テープ用受台上の前記剥離テープの前記剥離層が前記粘着テープの粘着面に転写され、前記剥離層が剥離された基材テープを前記第3の回転部材が巻き取ることを特徴とする粘着テープカッタ。
【請求項4】
請求項2又は請求項3において、
前記剥離テープロールと前記第2の回転部材と前記第3の回転部材とは剥離テープ用ケース内に収納されており、
該剥離テープ用ケースは前記カッタケース内に着脱可能になっており、
前記剥離テープ用ケースが前記カッタケース内に装着されるときに、前記第2の回転部材又は前記第3の回転部材が前記回転伝達機構によって前記第1の回転部材に機械的に結合されるようになっていることを特徴とする粘着テープカッタ。
【請求項5】
請求項2又は請求項3において、
前記第2の回転部材は、前記剥離テープロールを着脱可能に保持し、
前記第3の回転部材は、前記剥離テープの基材テープを巻き取る巻取り部材を着脱可能に保持し、又は備えており、
前記剥離テープを交換するときには、新たな前記剥離テープロールを前記第2の回転部材に装着すると共に、前記基材テープを前記巻取り部材と一緒に、又は前記巻取り部材から外して前記基材テープだけを前記カッタケースから除去することを特徴とする粘着テープカッタ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかにおいて、
前記第2の回転部材又は前記第3の回転部材は内側部材と外側部材とを有し、巻き取られる前記剥離テープに設定値以上のテンション(張力)がかかるときに前記内側部材と外側部材との間でスリップするトルクリミッタ機能を有することを特徴とする粘着テープカッタ。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかにおいて、
前記剥離テープは、前記粘着テープと同方向に引き出されることを特徴とする粘着テープカッタ。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかにおいて、
前記回転伝達機構は、回転方向変更手段を備え、該回転方向変更手段によって前記剥離テープは、前記粘着テープと直交する方向に引き出されることを特徴とする粘着テープカッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、粘着テープロールから所望の長さの粘着テープを切り取るときにその粘着面に非接着部分を自動的に形成することができる粘着テープカッタに関する。
【背景技術】
一般に、粘着テープは布、紙、合成樹脂など種々の材料からなるテープ状の基材に粘着剤を形成したものからなり、ロール状に巻かれて粘着テープロールとして広く市販されている。このような粘着テープロールは、例えば各種の封筒又は各種の材料からなる箱体の蓋などを封緘するのに、所定の長さだけ粘着テープロールから引き出し切断して用いられている。これら封筒又は箱体の蓋などの封緘は、爾後に粘着テープを引き剥がす必要性のあることが多く、この場合に粘着テープ全体が封緘部分に接着していると引き剥がし難い。したがって、粘着テープの切断箇所近傍、つまり切断された粘着テープの一方の端部に非接着部分を形成するという考え方が以前からある。この考え方を実現する発明が幾つか既に提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。これら発明はいずれも粘着テープの切断箇所を粘着面側に折り曲げて非接着部分を形成するものである。
【特許文献1】
特開2003−011081公報
【特許文献2】
特開2004−315203公報
【特許文献3】
特開2005−015112公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
前掲の特許文献1〜3に開示されている発明においては、粘着テープの一方の側部に非接着部分を形成するカッタ構造であるので、テープカッタに、粘着テープの一方の側部に粘着面を内側にした折り曲げ部を形成する折り曲げ手段と、折り曲げ部を形成する折り曲げ手段と、折り曲げ部の寸法を規制する寸法規制手段と、折り曲げ部において対向する粘着面同士を互いに押しつける押付け手段などを特別に備えなければならず、種々のテープ幅、種々の材質の粘着テープに対応して適切に折り曲げるのは非常に難しく、また、テープカッタの構造が複雑になるので、テープカッタ全体が大型化し、かつコストが高くなるなどの問題がある。
本発明はこのような問題点を解決するために、粘着テープの他に剥離層を有する剥離テープを用い、粘着テープを引き出すときに一緒に剥離テープも引き出され、粘着テープの切断時に粘着テープの粘着面に剥離層を付着させ、残存、つまり転写させることにより、粘着テープの粘着面の終端部に非接着部を自動的に形成し得る粘着テープカッタを提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、前記課題を解決するために、粘着テープを巻き付けてなる粘着テープロールが装着されるカッタケースと、前記粘着テープを巻き付けてなる粘着テープロールと、前記粘着テープロールを回転可能に保持する第1の回転部材と、前記粘着テープロールから引き出された前記粘着テープを切断するカッタ刃と、剥離層が形成されている剥離テープを巻いてなる剥離テープロールと、前記粘着テープロールの回転を前記剥離テープロールに伝達する回転伝達機構と、を備え、前記剥離テープロールを保持する第2の回転部材と前記剥離テープロールを巻き取る第3の回転部材とは回転可能に係合され、それぞれ剥離テープ用ケース内に収納されており、該剥離テープ用ケースは前記カッタケース内に着脱可能になっており、前記剥離テープ用ケースが前記カッタケース内に装着されるときに、前記第2の回転部材が前記回転伝達機構によって前記第1の回転部材に機械的に結合されるように構成され、前記粘着テープが前記粘着テープロールから引き出されるときに、前記回転伝達機構によって前記剥離テープが前記剥離テープロールから引き出され、前記粘着テープロールから引き出された前記粘着テープを前記カッタ刃で切断するときに、前記剥離テープの前記剥離層が前記粘着テープにおける切断部分の粘着面に転写されることを特徴とする粘着テープカッタを提供する。
第2の発明は、前記課題を解決するために、粘着テープを巻き付けてなる粘着テープロールが装着されるカッタケースと、前記粘着テープロールを回転可能に保持する第1の回転部材と、前記カッタケースの粘着テープ受部に固定されて、前記粘着テープロールから引き出された前記粘着テープを切断するカッタ刃と、剥離層が形成されている剥離テープを巻いてなる剥離テープロールを保持する第2の回転部材と、前記第2の回転部材と回転可能に係合され、前記剥離テープを巻き取る第3の回転部材と、前記第1の回転部材の回転を前記第2の回転部材に伝達する回転伝達機構と、前記カッタ刃の近傍に配置されている剥離テープ用受台とを備え、前記粘着テープが前記粘着テープロールから引き出されるときに、前記回転伝達機構によって前記第2の回転部材及び前記第3の回転部材が回転することにより、前記剥離テープが前記剥離テープロールから前記剥離テープ用受台を通して引き出され、前記粘着テープロールから引き出された前記粘着テープを前記カッタ刃で切断するときに、前記剥離テープ用受台上の前記剥離テープの前記剥離層が前記粘着テープの粘着面に転写され、前記剥離層が剥離された基材テープを前記第3の回転部材が巻き取ることを特徴とする粘着テープカッタを提供する。
第3の発明は、前記課題を解決するために、粘着テープを巻き付けてなる粘着テープロールが装着されるカッタケースと、粘着テープの粘着テープロールを回転可能に保持する第1の回転部材と、前記カッタケースの粘着テープ受部に固定されて、前記粘着テープロールから引き出された前記粘着テープを切断するカッタ刃と、剥離層が形成されている剥離テープを巻いてなる剥離テープロールを保持する第2の回転部材と、前記剥離テープを巻き取る第3の回転部材と、前記第1の回転部材の回転を前記第3の回転部材に伝達する回転伝達機構と、前記カッタ刃の近傍に配置されている剥離テープ用受台とを備え、前記粘着テープが前記粘着テープロールから引き出されるときに、前記回転伝達機構によって前記第3の回転部材が回転し、これに伴い前記第3の回転部材が回転することにより、前記剥離テープが前記剥離テープロールから前記剥離テープ用受台を通して引き出され、前記粘着テープロールから引き出された前記粘着テープを前記カッタ刃で切断するときに、前記剥離テープ用受台上の前記剥離テープの前記剥離層が前記粘着テープの粘着面に転写され、前記剥離層が剥離された基材テープを前記第3の回転部材が巻き取ることを特徴とする粘着テープカッタを提供する。
第4の発明は、前記第2の発明又は前記第3の発明において、前記剥離テープロールと前記第2の回転部材と前記第3の回転部材とは剥離テープ用ケース内に収納されており、該剥離テープ用ケースは前記カッタケース内に着脱可能になっており、前記剥離テープ用ケースが前記カッタケース内に装着されるときに、前記第2の回転部材又は前記第3の回転部材が前記回転伝達機構によって前記第1の回転部材に機械的に結合されるようになっていることを特徴とする粘着テープカッタを提供する。
第5の発明は、前記第2の発明又は前記第3の発明において、前記第2の回転部材は、前記剥離テープロールを着脱可能に保持し、前記第3の回転部材は、前記剥離テープの基材テープを巻き取る巻取り部材を着脱可能に保持し、又は備えており、前記剥離テープを交換するときには、新たな前記剥離テープロールを前記第2の回転部材に装着すると共に、前記基材テープを前記巻取り部材と一緒に、又は前記巻取り部材から外して前記基材テープだけを前記カッタケースから除去することを特徴とする粘着テープカッタを提供する。
第6の発明は、前記第1の発明ないし前記第5の発明のいずれかにおいて、前記第2の回転部材又は前記第3の回転部材は内側部材と外側部材とを有し、巻き取られる前記剥離テープに設定値以上のテンション(張力)がかかるときに前記内側部材と外側部材との間でスリップするトルクリミッタ機能を有することを特徴とする粘着テープカッタを提供する。
第7の発明は、前記第1の発明ないし前記第6の発明のいずれかにおいて、前記剥離テープは、前記粘着テープと同方向に引き出されることを特徴とする粘着テープカッタを提供する。
第8の発明は、前記第1の発明ないし前記第7の発明のいずれかにおいて、前記回転伝達機構は、回転方向変更手段を備え、該回転方向変更手段によって前記剥離テープは、前記粘着テープと直交する方向に引き出されることを特徴とする粘着テープカッタを提供する。
【発明の効果】
第1、第2の発明によれば、粘着テープの他に剥離層を有する剥離テープを用い、粘着テープを引き出すときに一緒に剥離テープも引き出され、粘着テープの切断時に粘着テープの粘着面に剥離層を付着させ、残存、つまり転写させるので、簡単で小型の構成で粘着テープの切断近傍部に自動的に非接着部を形成できる経済性に優れた剥離テープ付の粘着テープカッタを得ることができる。
第3の発明によれば、前記第1、第2の発明で得られる効果の他に、より一層簡潔な構造にできるので、更に経済性に優れた剥離テープ付の粘着テープカッタを得ることができる。
第4の発明によれば、前記第2又は第3の発明で得られる効果の他に、剥離テープロールなどの装着、取り外しが簡単な剥離テープ付の粘着テープカッタを得ることができる。
第5の発明によれば、前記第2又は第3の発明で得られる効果の他に、剥離テープロールと基材テープとを一緒に取り外すだけであるので、極めて経済性に優れている。
第6の発明によれば、前記第1〜第5の発明で得られる効果の他に、剥離テープに設定以上の力が加わらないので、剥離テープが破損することが無く、しかも常にほぼ一定のテンションを剥離テープに加えておくことができるので、正確かつ確実に剥離層を粘着テープの粘着面に転写することができる。
第7の発明によれば、前記第1〜第6の発明で得られる効果の他に、幅が比較的小さな粘着テープに適した、前記効果が得られる剥離テープ付の粘着テープカッタを得ることができる。
第8の発明によれば、前記第1〜第6の発明で得られる効果の他に、幅が比較的大きな粘着テープに適した、前記効果が得られる剥離テープ付の粘着テープカッタを得ることができる。また、粘着テープの引き出し長さにかかわらず、一定の幅の非接着層を粘着テープの粘着面に付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
[実施形態1]
図1ないし図8によって本発明を実施するための実施形態1について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る粘着テープカッタ100を説明するための概略図であり、図2は剥離テープ用ケースのカッタケースへの取り付け構造の一例を示す図である。図3は粘着テープカッタ100のカッタケースに剥離テープ用ケースを取り付けた状態の構造を示す図である。図4は剥離テープ用ケースをより安定に保持するための構造の一例を示す図である。図5は基材テープを巻き取る巻取り部材の一例を示す図であり、図6は剥離テープを説明するための図である。図7は粘着テープ用受部と剥離テープ用受台とを上面から見た図面である。図8はこのカッタで粘着テープを切断したときの非接触部を示す図である。
図1において、カッタケース1は正面壁部1Aと、図示していないが、正面壁部1Aと対になる同様な形状の裏面壁部と、底壁部1Bと、後で詳述する粘着テープ受部1Cと、正面壁部1Aと不図示の前記裏面壁部との間を結合する側壁部1D、1Eとからなる。このカッタケース1の外観は粘着テープ受部1Cを除き、通常のものとほとんど同様であるが、前記裏面壁部は一部分又は全部が開くようになっている。また、裏面壁部は省略することもできる。図1では、分かり易くするために正面壁部1Aの裏面側に位置する各部材を鎖線で示さずに実線で示している。正面壁部1Aには、第1の回転軸2が回転自在に支承、つまり片持ちで枢軸されている。第1の回転軸2には第1の回転部材4が固定されているか、又は第1の回転部材4が第1の回転軸2と一体的に形成されている。したがって、第1の回転部材4は粘着テープTが巻かれた粘着テープロール3を回転自在に保持し得る。なお、第1の回転軸2はカッタケース1の正面壁部1Aと一体的に形成された固定軸であってもよく、この場合には、第1の回転部材4はその固定軸に対して回転自在に取り付けられている。第1の回転部材4は、市販されているテープカッタの粘着テープロール保持部材と同様なものでもよく、粘着テープロール3を容易に装着・取り外し、つまり着脱できるような構造になっている。また、第1の回転軸2には、第1の歯車5が正面壁部1Aと第1の回転部材4とに挟まれるように、第1の回転部材4と同軸に取り付けられている。図面では分かり易くするために第1の回転部材4の面域に対応する部分を鎖線で示さずに、実線で示している。
カッタケース1の正面壁部1Aにける第1の回転軸2から離れた位置に、第2の回転軸6が回転可能に枢軸的に支承されている。第2の回転軸6には第2の歯車7が固定されており、第2の歯車7は可撓性の合成樹脂などからなるチェーンベルトのような回転伝達ベルト8によって第1の歯車5とリンクされている。また、カッタケース1の正面壁部1Aには、図2(A)に示すように3本の固定用軸部材9、10、11が図示しない前記裏面壁部方向に延びている。3本の固定用軸部材9、10、11は安定に剥離テープ用ケース12を安定に保持するために2等辺3角形上にある。後述する本発明の大切な構成要件である剥離テープ用ケース12の一対の側壁部12A、12Bには、3本の固定用軸部材9、10、11を受け入れる貫通孔H1、H2、H3が前記2等辺3角形と同じ2等辺3角形上に形成されている。固定用軸部材9、10、11の先端部分には、図2(B)に示すようなケース抜け止め用の弾性構造部50が必要に応じて備えられている。弾性構造部50は固定用軸部材9、10、11それぞれの先端部分に設けられた凹所50Aと凹所50Aに係止された波状の板バネ50Bとからなり、剥離テープ用ケース12が所定位置に装着されると、板バネ50Bの弾性力によって剥離テープ用ケース12がその位置に保持されるようになっている。また、3本の固定用軸部材9、10、11を利用して剥離テープ用ケース12をカッタケース1に装着したときに、剥離テープ用ケース12をより安定に保持するために、図示しないが、カッタケース1の正面壁部1Aから固定用軸部材9、10、11と同方向に延びる2枚の板バネで剥離テープ用ケース12の他の一対の側壁部を両側から挟むようにしても勿論よい。
剥離テープ用ケース12の上壁部12Cには、剥離テープtを引き出し、剥離テープtから剥離層t2が除去された基材テープt1を引き込むための開口部12Hが形成されている。剥離テープ用ケース12から開口部12Hを通して引き出された剥離テープtは、図1及び図7に示す剥離テープ用受台13の上面で剥離層t2が剥離されて、基材テープt1が開口部12Hから剥離テープ用ケース12内に引き込まれる。剥離テープ用ケース12の側壁部12Aの外側には回転伝達機構の一部分を構成する歯車14が備えられている。なお、剥離テープ用ケース12はカッタケース1内に装着されて使用されるものであるので、実施形態1における剥離テープ用ケース12は6面の一部面が開いている直方体状のものでもよい。
3本の固定用軸部材9、10、11が貫通孔H1、H2、H3を挿通するように不図示裏面壁部側から剥離テープ用ケース12を軽く押し込むことによって、剥離テープ用ケース12がカッタケース1内に装着される。図3を用いて、剥離テープ用ケース12をカッタケース1内に装着した状態について説明すると、剥離テープ用ケース12が3本の固定用軸部材9、10、11に取り付けられるとき、剥離テープ用ケース12の側壁部12Aの外側に設けられている歯車14が、第2の回転軸6に第2の歯車7と同軸で固定されている歯車15に直接歯合する。剥離テープ用ケース12には、歯車14の他に回転軸16、歯車17〜19、回転軸20、剥離テープロール21、回転軸22及び巻取り部材23が備えられている。歯車14は回転軸16に固定されており、剥離テープ用ケース12内で歯車17が回転軸16に固定されている。回転軸16は剥離テープ用ケース12の側壁部12A、12Bに枢軸的に支承されている。したがって、歯車14が回転するときには歯車17も一緒に回転する。そして、剥離テープ用ケース12内において、歯車17に歯車18と歯車19とが直接歯合している。歯車18は、剥離テープ用ケース12の側壁部12A、12Bに枢軸的に支承されている回転軸20に固定されており、回転部材として働く回転軸20には剥離テープtが巻かれた剥離テープロール21が固定されている。剥離テープtについては後述する。
他方、歯車19は、剥離テープ用ケース12の側壁部12A、12Bに枢軸的に支承されている回転軸22に固定されており、回転軸22には剥離テープtから剥離層t2が剥離された基材テープt1を巻き取る巻取り部材23が固定されている。この巻取り部材23は回転軸22と一体的に形成された直径の大きな部分であってもよく、回転軸22と巻取り部材23とは基材テープt1を巻き取る回転部材を構成する。したがって、第3の伝達補助歯車17が回転すると、歯車18と歯車19とは互いに同方向に回転し、一緒に剥離テープロール21と巻取り部材23とが互いに同方向に回転する。ここで、図1に示した歯車5、回転伝達ベルト8、回転軸6、歯車7、図3に示した歯車14、歯車15、回転軸16及び歯車17〜歯車19は互いに組み合わさって、粘着テープロール3の回転を剥離テープロール21及び巻取り部材23に伝達する回転伝達機構を構成する。また、剥離テープ用ケース12を安定に保持するために、図4に示すように、回転軸20の先端部分を先細り部20Aにして剥離テープ用ケース12の側壁部12Aから突出させておき、他方では回転軸6の先端部分に回転軸20の先細り部20Aを受け入れる円錐台形状の凹所6Bを形成しておき、剥離テープ用ケース12が前述のようにしてカッタケース1内に装着されたとき、回転軸6の凹所6Bが回転軸20の先細り部20Aを受け入れるようになっていてもよい。回転軸6と回転軸20は同方向に回転するので、軽く接触している程度では、回転軸6の凹所6Bと回転軸20の先細り部20Aとはそれぞれの回転に悪影響を与えずに、カッタケース1と剥離テープ用ケース12とは互いに安定に保持し合う。
好ましい構造の巻取り部材23について図5を用いて説明すると、巻取り部材23は回転軸22に固定された内側部材23Aとその外側に位置する外側部材23Bとからなる。内側部材23Aと外側部材23Bとは、内側部材23Aと外側部材23Bとの間に設定トルク以上の力が働いたときに滑る境界面Gを有する。この境界面Gは、内側部材23Aの円筒状外面と外側部材23Bの円筒状内面とがほぼ全面で接触する構造になっているもの、あるいは境界面Gに形成された複数個の突起とそれと係合する凹凸とを有する構造、又は市販されているトルクリミッタの構造を有するものであってもよい。巻取り部材23がこのようなトルクリミッタ機能を有することによって、巻取り部材23により巻取られる基材テープt1に所定値以上のテンション(張力)がかかったときに、内側部材23Aと外側部材23Bとの境界面Gで滑りが生じるので、動作上の不都合が生じない。また、剥離テープtに常にある一定のテンションをかけておくことができるので、剥離テープtの動作を安定なものにすることができる。なお、巻取り部材23の外形は巻き取った基材テープt1が外れたり、ずれないように基材テープt1の両端をガイドするような一般的なテープホルダ構造のものが好ましい。
次に、図6により剥離テープtについて説明すると、剥離テープtは基材テープt1とこの基材テープt1に形成されている剥離層t2とからなる。基材テープt1は紙又は合成樹脂などからなる薄い適当な幅の一般的なテープであり、剥離層t2は基材テープt1の片面又は両面に形成された塗料又は紙などからなる。剥離層t2として塗料を用いた剥離テープtとしては、石灰粉末をペースト状にして基材テープt1に塗布して乾燥させたもの、あるいは所望の色の粉末状体質顔料を適度の量だけバインダー樹脂に混練してなる塗料を基材テープt1に塗布し、乾燥させたものなどが考えられる。
この際、基材テープt1に対する剥離層t2の剥離を容易なものにするためには、粒径の比較的大きな粉末状の体質顔料を用いることが好ましい。そして、基材テープt1から剥離層t2を剥離するのに要する剥離力P1は、粘着テープTの粘着面と剥離層t2との間の粘着力P2よりも小さくなければならないが、剥離テープtが引き出されるときに基材テープt1から剥離層t2が剥がれない程度以上の力で互いに接着していなければならない。また、紙など薄いテープ状のものを用いる場合には、基材テープt1に適度の粘性をもたせ、適当な長さで、例えば数mm毎に切れ目を設けたテープを基材テープt1に貼り合わせたような剥離テープであってもよい。剥離テープはこれらに限ることはなく、例えば市販されている修正用のテープのようなものなど種々のものを用いることができる。実施形態1では、剥離テープtは粘着テープTとほぼ同等な幅であるのが好ましい。特に、剥離層t2の幅が粘着テープTの幅とほぼ等しいのが好ましい。なお、剥離層としては、水に濡れても溶けにくい性質、可撓性に優れていて任意の箇所で切れやすい性質、皮膚など人体に影響を与えない性質、一般の粘着テープの粘着面に接着しやすい性質などを有するのが好ましい。
説明を元に戻すと、カッタケース1の正面壁部1Aと直交する底壁部1Bに対向する側には、引き出された粘着テープTを受ける粘着テープ受部1Cが位置する。粘着テープ受部1Cは、図7に示すようにコの字の形状の粘着テープ用受台24を備え、そのコの字の空間部Sに剥離テープtを受けるための剥離テープ用受台13が設けられている。粘着テープ用受台24がコの字状になっているのは、剥離テープtの装着作業を容易にするためであり、必ずしもこの形状にする必要はない。剥離テープ用受台13の上面Uは、図7(B)に示すように、粘着テープ用受台24の上面Vに比べて高くなっている。その高さはカッタ刃25の高さにもよるが、1ないし数ミリメートル程度が好ましい。カッタ刃25は粘着テープTの幅よりも当然大きい幅を有し、粘着テープTをカッタ刃25で切断するときに、粘着テープTが必ず剥離テープ用受台13上の剥離テープtを適当な力で加圧するか、あるいは少なくとも接触するように、剥離テープ用受台13の上面Uの高さや、カッタ刃25の位置は決められている。
粘着テープTの引き出し長さは平均すると4〜5cmが一般的であり、例えば、粘着テープTの粘着面に粘着する剥離層t2がおよそ10mmとなるように、各歯車の歯数が決められる。このように決めることによって、粘着テープTが5cm引き出されるとき、剥離テープtは10mm引き出される。したがって、この状態で粘着テープTが5cmずつ引き出されれば、粘着テープTの先端部分に10mmの剥離層t2が接着することになる。このことから、剥離テープ用受台13の剥離テープtの引き出し方向の長さLは、10mm程度、つまり粘着テープTの先端部分に接着させたい剥離層t2の寸法と同等程度でよい。なお、粘着テープTが引き出される長さによって、剥離テープtが引き出される長さも異なるが、特に問題になることはない。
次に、この粘着テープカッタの動作説明を行う。まず、剥離テープ用ケース12を装着する前に、剥離テープ用ケース12の開口部12Hから剥離テープtを適当な長さ引き出し、剥離テープ用受台13上を通るように剥離テープtをセットしながら、剥離テープ用ケース12を装着する。剥離テープ用ケース12の装着作業は、前述したように、剥離テープ用ケース12の壁部12A、12Bに形成された貫通孔H1、H2、H3にカッタケース1の正面壁部1Aの3本の固定用軸部材9、10、11を挿通させ、不図示の裏面壁部側から剥離テープ用ケース12を軽く押し込むことによって行われる。なお、剥離テープ用ケース12をカッタケース1に装着する際に、回転軸22を剥離テープ用ケース12の外側から回して剥離テープtのテンションを調節してもよい。このとき以上述べた各歯車同士が互いに歯合しているが、巻取り部材23のトルクリミッタ機能が有効に働くので、回転軸22を支障なく回転させることができる。なお、この場合には、図示しないが、回転軸22のいずれかの先端面に−又は+のドライバ溝を設けておき、剥離テープ用ケース12の壁部12A、12Bから容易に回転軸22を回転させることができるようにしておくと便利である。また、図示しないが、前記開口部12Hは二つの開口からなって、一方の開口から剥離テープtが引き出されており、他方の開口から剥離テープtが剥離テープ用ケース12内に引き込まれていてもよい。この場合、開口と開口との間では剥離テープtが剥離テープ用ケース12の外面にあるので、剥離テープtを剥離テープ用受台13上にセットする際に好都合である。
剥離テープ用ケース12を所定位置に装着すると、歯車14が歯車15に歯合する。歯車14又は歯車15は、図示していないが、剥離テープ用ケース12を装着するときに向き合う側の直径が幾分小さくなるように造られているのが好ましく、歯車14と歯車15とが互いに歯合し易くなっている。この段階で剥離テープ用ケース12の開口部12Hから引き出されている剥離テープtを剥離テープ用受台13上にセットしても勿論よい。このようにして剥離テープ用ケース12と剥離テープtとの装着作業が終了した後に粘着テープTを引き出す。粘着テープTを引き出すのに伴って、回転軸2、回転部材4及び歯車5が時計方向に回転する。この回転は、エンドレス(無端状)の回転伝達ベルト8によって歯車7に伝達され、回転軸6を回転させる(図1)。これに伴い、回転軸6に固定されている歯車15が回転し、歯車15に歯合している剥離テープ用ケース12側の歯車14が回転する。剥離テープ用ケース12における歯車14の回転に伴い回転軸16が回転し、回転軸16に固定されている歯車17も一緒に回転する。歯車17が回転すると、歯車17に歯合している歯車18と19とが互いに同方向に回転する。これに伴って、剥離テープロール21と巻取り部材23とが互いに同方向に回転し、剥離テープロール21は剥離テープtを送り出し、巻取り部材23は剥離テープロール21から送り出された剥離テープtを引っ張り、基材テープt1を巻き取る。
したがって、粘着テープTを引き出すと、剥離テープtが自動的に剥離テープロール21から送り出され、剥離テープtは剥離テープ用受台13上を通過する。このとき、剥離テープtの剥離層t2が上側で基材テープt1が下側である。粘着テープTを引き出しているときには、通常、粘着テープTがカッタ刃25に接触することがないように引き出すので、粘着テープTの粘着面である下面は粘着テープ用受台24の上面Vには接触せず、また同様に剥離テープ用受台13上の剥離テープtにも接触しない。しかし、粘着テープTを所定長引き出して切断するときには、必ず粘着テープTをカッタ刃25に押し当て、下側に引っ張るようにして切断するので、このときには必ず粘着テープTの粘着面は剥離テープ用受台13上の剥離テープtに当接し、粘着テープTの粘着面に剥離テープtの剥離層t2が接着する。
このような状態で、粘着テープTがカッタ刃25で切断されると、粘着テープ用受台24上に残存する粘着テープTの先端部分Taは図7(B)においてカッタ刃25の左側にあり、剥離テープ用受台13上にも位置するから、その先端部分Taには剥離テープtの剥離層t2が接着されている。そして、次に粘着テープTの先端部分Taを摘んで引き出すと、当然に剥離テープtも粘着テープTの引き出し方向に引っ張られるが、歯車5、回転伝達ベルト8、歯車7、歯車14、歯車15、歯車17、歯車18、歯車19などからなる前記回転伝達機構の機械的な動作が遅れるので、剥離テープtにテンション(張力)がかかる。そして、その張力はすべて基材テープt1と剥離層t2とにかかるので、粘着テープTに接着して残存していた剥離層t2は基材テープt1から剥離し、粘着テープTに転写される。つまり、引き出された粘着テープTの先端部分Taには剥離層t2が付着しており、この剥離層t2が非接着部分を形成する。この剥離層t2は前述したように粉末状の着色顔料などの粉末をバインダー樹脂に含有させたものであるので、引っ張り力を受けると容易に裂けるものであり、したがって、図8に示すように、所望寸法前後の剥離層t2が粘着テープTの先端部分Taに容易に転写される。剥離層t2は顔料の色によって所望の色にすることができる。
ここで、剥離テープロール21と巻取り部材23との関係について簡単に触れておく。剥離テープロール21は未使用の状態が最も直径が大きく、剥離テープtが引き出されて使用されるほど直径が小さくなる。他方、逆に巻取り部材23が基材テープt1を巻き取るにつれて、巻取り部材23に巻取った基材テープt1の巻取り済部分26の直径が大きくなる。したがって、剥離テープロール21が未使用の状態で、巻取り部材23が基材テープt1を巻き取っていない状態を初期状態とすると、初期状態で剥離テープロール21と巻取り部材23との周速度がほぼ同じになるように、又は巻取り部材23の周速度が剥離テープロール21の周速度に比べて幾分大きくなるように、巻取り部材23の直径、及び前記回転伝達機構の各歯車の歯数が設定されているのが好ましい。このように設定しておくことにより、粘着テープTを引き出して使用するとき、前述のような機械的な動作遅れによることなく、初期から剥離テープtにテンション(張力)がかかるので、安定かつ確実に剥離層t2を粘着テープTの粘着面に転写することができる。
そして、粘着テープTが引き出されて使用されるのに伴い、剥離テープロール21の直径は徐々に小さくなり、逆に巻取り部材23が基材テープt1を巻き取るにつれて、巻取り済部分26の直径が大きくなり、互いの回転角度は変化しないので、剥離テープロール21の周速度は小さくなり、逆に巻取り済部分26の周速度は大きくなる。したがって、剥離テープtにテンション(張力)がかかるが、そのテンション(張力)がある値(設定値)以上になると、既に図5を用いて説明したように、巻取り部材23の内側部材23Aと外側部材23Bとの間でスリップ(すべり)が生じるので、正常に動作を行うことができ、また、剥離テープtに設定値を越えるテンション(張力)がかかることがない。巻取り部材23の内側部材23Aと外側部材23Bとの間でスリップが開始する設定トルクは、粘着テープTを引き出す力、剥離テープtの剥離層t2が基材テープt1から剥離するのに要する力などを考慮して設定される。したがって、粘着テープTを引き出す力をなるべく軽くするためには、巻取り部材23の内側部材23Aと外側部材23Bとの間でスリップが開始する設定トルクを、剥離テープtの剥離層t2が基材テープt1から剥離して粘着テープTに転写されるのに要する力とほぼ同等ないしはそれよりもさほど大きくない値に制限するのが好ましい。このようにして、粘着テープTを引き出して切断するときに、その切断部分に剥離層が転写され、粘着テープTの粘着面に自動的に非接着部分が形成される。そして、剥離テープロール21の剥離テープtが使用されて無くなったら、剥離テープ用ケース12を固定用軸部材9〜11から抜き取って、別の新しい剥離テープ用ケース12に交換する。
[実施形態2]
図9を用いて本発明の他の実施形態2に係る第2の粘着テープカッタ200について説明する。図9において、図1ないし図8で用いた記号と同一の記号は同じ名称の部材を示すものとする。第2の粘着テープカッタ200が第1の粘着テープカッタ100と異なる主な点は回転伝達機構であるので、回転伝達機構について主に説明する。図1で示したように、歯車7は歯車5の回転運動を伝達する回転伝達ベルト8によって回転する。歯車7は回転軸6によって自在に回転でき、歯車7の側部に位置する係止部7Aに係止凹所7Bを有するところに特徴がある。また、剥離テープ用ケース12の壁部12Aからは回転軸20の先端部に一体的に形成された突起状係止部27を備える。係止凹所7Bは突起状係止部27を受け入れ、歯車7の回転が係止凹所7Bと突起状係止部27との機械的結合を通して回転軸20に確実に伝達されるように互いに係止し合う。突起状係止部27は容易に係止凹所7Bに受け入れられるように、先端部が幾分先細りの断面台形状になっており、回転方向に対してほぼ垂直に延びる多数の凸状部とこれらにより形成される多数の浅溝を有する。また、係止凹所7Bは突起状係止部27の前記多数の凸状部とこれらにより形成される多数の浅溝に係合する多数の溝と凸状部とを有する。つまり、図示していないが、図9における表裏での突起状係止部27の断面構造は正の歯車状であり、係止凹所7Bはその歯車状構造と全周又は一部で歯合する負の歯車状になっている。しかし、このような係止凹所7B及び突起状係止部27の形状は一例であり、例えば互いに係合し易い断面台形状の8角形など多角形のものでもよい。
したがって、図2に示したような固定用軸部材9〜11を利用して剥離テープ用ケース12をカッタケース1に装着するとき、突起状係止部27は容易に係止凹所7Bに挿入され、互いに容易に係止し合う。このような係止状態で、粘着テープTを引き出すと、回転軸2、回転部材4及び歯車5が時計方向に回転し、この回転は、回転伝達ベルト8によって歯車7に伝達される(図1)。これに伴い、歯車7の係止部7Aに係止されている突起状係止部27を介して回転軸20が回転する。回転軸20に固定されている歯車18が回転し、歯車18に歯合している歯車17が回転し、更に歯車17に歯合している歯車19が回転する。したがって、回転軸20に固定されている剥離テープロール21と回転軸22に固定されている巻取り部材23とが同方向に回転し、剥離テープロール21は剥離テープtを送り出し、回転部材である巻取り部材23は剥離テープロール21から送り出された剥離テープtを引っ張り、基材テープt1を巻き取る。そして、剥離テープロール21の剥離テープtが使用されて無くなったら、剥離テープ用ケース12を固定用軸部材9〜11から抜き取って、新しい剥離テープ用ケース12に交換する。この実施形態では、粘着テープロール3の回転を剥離テープロール21と巻取り部材23とに伝達する回転伝達機構の構造を簡潔にすることができ、より一層コストダウンできるだけでなく、信頼性を向上させることができる。
なお、第2の粘着テープカッタ200から回転軸16と歯車17とを削除し、歯車18と歯車19とを直接歯合させてもよい。この場合には、剥離テープロール21と巻取り部材23との回転方向が逆になるが全く支障はない。回転軸16と歯車17とを削除することによって更にコストダウンが可能になる。また、固定用軸部材9〜11を利用して剥離テープ用ケース12をカッタケース1に装着せずに、図10に示すように、ガイド機構と板バネとで安定に装着することもできる。図10において、カッタケース1の底壁部1Bには図面の裏面側から正面壁部1Aに延びるガイド部29、30が形成されている。また、カッタケース1の正面壁部1Aには2本の板バネ31、32がほぼ垂直に延びている。ガイド部29とガイド部30との間隔は剥離テープ用ケース12の幅12Wよりも幾分大きくなっており、板バネ31、32の先端部分を図面上側に押し上げた状態で、ガイド部29、30によって剥離テープ用ケース12を図面裏側から表側に向けて最奥まで押し込み、板バネ31、32を放すことによって、ガイド部29、30と板バネ31、32との働きで剥離テープ用ケース12を所定位置に安定に保持することができる。板バネ31、32が剥離テープ用ケース12を押さえる位置は、図3において剥離テープ用ケース12の開口部12Hを外れていることが好ましい。図10では他の部材を図示するのを省略しているが、前述のようにして剥離テープ用ケース12が装着された状態では、図3では剥離テープ用ケース12の歯車14がカッタケース1側の歯車15に歯合し、また、図9では係止凹所7Bと突起状係止部27とが互いに係止し合う。なお、係合構造が互いに逆になっても勿論よい。
[実施形態3]
図11、図12を用いて本発明の他の実施形態3に係る粘着テープカッタについて説明する。図11、図12において、図1ないし図10で用いた記号と同一の記号は同じ名称の部材を示すものとする。図11は実施形態1、2における剥離テープロール21と巻取り部材23の回転方向を90度変える回転方向変更手段を説明するための図である。図12はカッタケース1における粘着テープ受部1Cと、剥離テープ用受台13とを示す図である。実施形態3の粘着テープカッタは、基本的には前述した実施形態1、2の粘着テープカッタと同じであり、ガムテープなどのように幅広の粘着テープ用に適している。この粘着テープカッタは、粘着テープTに対して剥離テープtを直交させるところに特徴があり、幅広の粘着テープに対しても例えば10mm程度の幅を有する前述のような剥離テープtでも粘着テープT全体に10mm程度の幅の剥離層を形成することができる。主として実施形態1、2の粘着テープカッタと異なる点について以下に説明する。
この実施形態3の粘着テープカッタは、図1及び図2などに示された第2の回転軸6及び第2の歯車7の回転方向を粘着テープTの引き出し方向に対して直交するようにほぼ90度変える回転方向変更手段33を備える。つまり、回転方向変更手段33は、粘着テープロール3の回転方向に対して剥離テープロール21と巻取り部材23との回転方向を90度変更して、粘着テープTの引き出し方向に対して剥離テープtの引き出し方向をほぼ直角にする。回転方向変更手段33は、粘着テープカッタ100又は200におけるカッタケース1側の回転軸6及び歯車7と同様な構造になっている回転軸6に歯車7と同軸で固定されている傘歯車34とこれと歯合する傘歯車35とからなる。図11では分かり易くするために、回転軸6は図1におけるカッタケース1の表面壁部1Aと対向する不図示の裏面壁部に回転可能に支承されている。傘歯車35は、剥離テープ用ケース12の側壁部12Aと12Bとに枢軸的に支承されている回転軸20に固定又は回転軸20と一体的に形成され、剥離テープ用ケース12の外部に配置されている。傘歯車35は、図3で示した歯車14に対応し、実施形態1で説明したように、剥離テープ用ケース12がカッタケース1に装着されたときに、前記回転伝達機構の一部分として作用すると共に、傘歯車34と共働して剥離テープtの方向を90度変更する。なお、回転軸20に固定されている剥離テープロール21、回転軸22に固定されている巻取り部材23については前述したものと同一であるので説明を省略する。また、他の部材については実施形態1又は実施形態2と同じであるので図示するのを省略している。
実施形態3の第3の粘着テープカッタ300では、図1において、カッタケース1の側壁部1E(図面右側)が開くようになっており、側壁部1Eを開いて剥離テープ用ケース12を装着、又は取り外すようになっている。この粘着テープカッタ300では、剥離テープ用ケース12が図10に示した装着構造と基本的には同じガイド構造とバネ構造とによって、簡便に装着、又は取り外しできるようになっている。このような装着構造を利用して、図11に示すように剥離テープ用ケース12を側壁部1E側から他方の側壁部1D(図1)方向に押し込んでカッタケース1に装着すると、傘歯車35が傘歯車34に歯合する。この状態で、粘着テープTが図面左から右方向に引き出され、回転伝達ベルト8が矢印R方向に回転すると、歯車7、回転軸6及び傘歯車34が時計方向に回転する。これに伴い、傘歯車35が図面の表裏方向に回転するので、剥離テープ用ケース12における回転軸20、歯車18、剥離テープロール21も図面表裏方向に回転する。歯車18に歯合している歯車19は、歯車18とは逆方向の図面表裏方向に回転し、一緒に巻取り部材23も回転する。したがって、粘着テープTが図面左から右方向に引き出されるのに対して剥離テープtは図面表裏方向に引き出され、剥離テープtが粘着テープTに直交するのが分かる。
この実施形態3の粘着テープカッタのカッタケース1における粘着テープTを受ける粘着テープ受部1Cの粘着テープ用受台24は、図12おいて矢印Xで示すように、粘着テープTを引き出す方向の寸法が小さく、粘着テープTの幅方向の寸法が大きな矩形上の窓部36を有する。窓部36における粘着テープTの引き出し方向の後端近傍に実施形態1で述べたようなカッタ刃25が備えられている。ただし、このカッタ刃25は粘着テープTの幅よりも長い。そして、剥離テープ用受台13が窓部36の中央に位置している。剥離テープ用受台13の長さは粘着テープTの幅Wにほぼ等しい。前述したように、剥離テープロール21から引き出された剥離テープtは、図12において窓部36の手前下方向から剥離テープ用受台13上を矢印Y方向に引き出され、また窓部36の向こう側下方向に降りて巻取り部材23に巻き取られる。つまり、剥離テープtは剥離テープ用受台13上で粘着テープTとほぼ直交する。したがって、粘着テープTを引き出してカッタ刃25で切断するとき、粘着テープTの切断近傍部の粘着面には剥離テープ用受台13上を矢印Y方向に延びている剥離テープtの剥離層t2(図6)がほぼ長さWだけ接着し、転写される。これによって、粘着テープTの切断近傍部の粘着面には剥離テープtの幅に等しい剥離層t2が接着され、非接着部分を形成する。なお、粘着テープTの使用長さの平均値に対して、剥離テープtが粘着テープTの幅Wにほぼ等しい長さが引き出されるように、歯車5、歯車7、歯車18の歯数が設定される。
以上述べたようにこの実施形態3の粘着テープカッタによれば、図1に示したように、粘着テープTを引き出すと、歯車5、回転伝達ベルト8、歯車7、回転方向変更手段33、歯車18、19などによって構成される回転伝達機構によって、粘着テープTを引き出すときの粘着テープロール3の回転が回転方向変更手段33によって90度回転方向が変更されて剥離テープロール21と巻取り部材23とに伝達される。したがって、粘着テープTの引き出し方向Xとは直交する方向Yに剥離テープtが引き出され、剥離テープ用受台13上で粘着テープTの切断近傍部の粘着面と剥離テープtの剥離層t2とが直交した状態で重なり、剥離層t2が粘着テープTの切断近傍部の粘着面に転写される。実施形態3の粘着テープカッタ300によれば、粘着テープTの幅の大小に関係なく一定幅、例えばほぼ1cm程度の幅の剥離テープtを用いることができるので、多種類の幅の剥離テープtを巻いた剥離テープロールを用意する必要が無い。特に、この粘着テープカッタ300はガムテープなど幅の広い粘着テープTの場合に有効である。なお、巻取り部材23は図5に示したようなトルクリミッタ機能を有するものが好ましい。なお、窓部36に対する剥離テープ用受台13の大きさとカッタケース1のスペースとの関係で、剥離テープtを剥離テープ用受台13にセットするのが難しい場合には、粘着テープ受部1Cと剥離テープ用受台13とがカッタケース1に対して、図12の手前又は向こう側、あるいは右側に開くようになっているのが好ましい。この場合には、ヒンジなど通常の手段で片側に開くようになっていればよい。また、粘着テープ受部1Cと剥離テープ用受台13とがカッタケース1に対して容易に着脱できるようになっていてもよい。さらに粘着テープ受部1Cだけが前述のように片側に開くか、あるいはカッタケース1に対して容易に着脱できるようになっていてもよい。粘着テープ受部1Cと剥離テープ用受台13とが開く場合には、その開いた状態で剥離テープ用ケース12をカッタケース1に装着する構造としても勿論よい。
[実施形態4]
以上の実施形態1〜3では、剥離テープが使用されて無くなったら剥離テープ用ケース12ごと新たなものに交換したが、実施形態4の第4の粘着テープカッタ400は剥離テープロールと前記巻取り部材だけを交換するものであり、図13と図14を用いて説明する。第4の粘着テープカッタ400は、実施形態1〜3で用いた剥離テープ用ケース12を用いない。図13及び図14において、図1ないし図12で用いた記号と同一の記号は同じ名称の部材を示すものとする。実施形態1、2と同様に、回転軸6がカッタケース1の正面壁部1Aに枢軸的に支承されており、図1で示したように回転伝達ベルト8によって粘着テープ側の歯車5にリンクされている歯車7がその回転軸6に固定されている。さらに回転軸6には歯車7と同軸的に歯車15が固定されており、その先に剥離テープロール21が装着されている。回転軸6の先端部分は、剥離テープロール21を取り付ける回転部材として他よりも直径の大きな大径部6Aとなっている。大径部6Aは、短円筒状の剥離テープロール21を容易に装着、取り外しできるように、剥離テープロール21の内径に適する大きさになっており、例えば8角形など多角形状である。
歯車15に歯合する歯車37が回転軸38に固定されている。回転軸38はカッタケース1の正面壁部1Aに枢軸的に支承されている。回転軸38の先端部分は、巻取り部材23を取り付ける回転部材として他よりも直径の大きな大径部38Aとなっている。大径部38Aは、短円筒状の巻取り部材23を容易に装着、取り外しできるように、巻取り部材23の内径に適する大きさを有し、例えば8角形など多角形状になっている。この実施形態では、剥離テープロール21と巻取り部材23とは1組になっており、剥離テープtの先端部分は予め巻取り部材23に固定されている。したがって、剥離テープロール21と巻取り部材23とをそれぞれ大径部6A、大径部38Aに装着し、図14に示すように剥離テープtを剥離テープ用受台13にかけることによって装着作業は終了する。
この粘着テープカッタ400においても、図1に示したように粘着テープTが引き出されることによって、粘着テープロール3、回転部材4、回転軸2、歯車5が回転し、粘着テープロール3の回転が回転伝達ベルト8によって歯車7に伝達され、歯車7が回転する。これによって、回転軸6が回転し、歯車15及び剥離テープロール21が回転すると同時に、歯車15に歯合している歯車37が回転し、回転軸38及び巻取り部材23が回転する。ここで剥離テープロール21と巻取り部材23とは逆方向に回転するが、全く問題は無く、前述したのと同様に、粘着テープTが引き出されることによって、剥離テープtは剥離テープ用受台13上に順次送り出され、粘着テープTを切断するときに剥離テープtの剥離層t2(図6)が粘着テープTの粘着面に転写される。そして、剥離層t2がほとんど除去された基材テープt1(図6)は巻取り部材23によって巻き取られる。なお、鎖線で示す補強板39は回転軸6と回転軸38とをより安定に保持するために、表面壁部1Aと共働して両持ちで回転軸6と回転軸38とを枢軸的に支承している。補強板39はカッタケース1の底壁部1Bと一体的に形成、又は底壁部1Bに対して垂直に固定されている。しかし、補強板39は必ずしも必要でない。この実施形態はより簡単な構造になっており、剥離テープロール21と巻取り部材23とを交換するだけでよいので、更に経済性に優れている。なお、この実施形態においても、回転部材として他よりも直径の大きな大径部38Aが図5に示したようなトルクリミッタ機能を有するのが好ましい。
[実施形態5]
図15、図16を用いて本発明の他の実施形態5に係る粘着テープカッタ500について説明する。図15、図16において、図1ないし図14で用いた記号と同一の記号は同じ名称の部材を示すものとする。第5の粘着テープカッタ500の基本的な構造は粘着テープカッタ400と同じであるが、第2の歯車7と粘着テープロール3の回転を巻取り部材23に伝達して剥離テープtを引き出し、剥離テープロール21は一定のトルクをもって従動回転するところが実施形態4の粘着テープカッタ400と異なる。主に粘着テープカッタ400と異なる部分だけについて説明する。
粘着テープカッタ500では、回転軸6に歯車7が固定され、回転軸6の先端部分が他部分よりも直径の大きな大径部6Aとなっているのは実施形態4と同じであるが、その直径は巻取り部材23の内径に適した大きさと形状になっており、例えば8角形など多角形状になっているのが着脱の面から好ましい。大径部6Aには巻取り部材23が装着される。また、カッタケース1の正面壁部1Aには、正面壁部1Aに垂直になるよう回転しない固定軸40が固定されている。固定軸40の先端部分にはトルクリミッタ機能を有する回転部材41が備えられている。回転部材41は外面がほぼ円筒状の内側部材41Aと内面がほぼ円筒状の外側部材41Bとからなっている。内側部材41Aは固定軸40に固定されており、回転しない。外側部材41Bは、内側部材41Aと外側部材41Bとの間に設定値以上の回転力が加わったときに、内側部材41Aとの境界面Hですべりが生じて、内側部材41Aに対して回転できるようになっている。境界面Hにグリースのような潤滑剤が存在すれば更に好ましい。
つまり、回転部材41はトルクリミッタ機能を有している。なお、トルクリミッタは玩具などに使用されている簡単な構造で安価なものからプリンタ、ロボットなど民生用、産業用に使用されているものまで多種雑多であるが、ここで使用するトルクリミッタ構造は簡単な小型の構造で安価なものが好ましい。回転部材41の外側部材41Bの外面は、短円筒状の剥離テープロール21を容易に装着、取り外しできるように、剥離テープロール21の内径に適する大きさと形状になっており、例えば8角形など多角形状であることが着脱の面から好ましい。回転部材41には剥離テープロール21が装着される。
この粘着テープカッタ500では、図1に示したように粘着テープTが引き出されることによって、粘着テープロール3、回転部材4、回転軸2、歯車5が回転し、回転伝達ベルト8によって歯車7が回転する。これによって、回転軸6が回転し、巻取り部材23が回転することにより、基材テープt1を巻き取るので、粘着テープTが引っ張られ、剥離テープロール21が回転して剥離テープtを送り出す。つまり、剥離テープロール21は巻取り部材23の回転に従動する。粘着テープTが引き出され使用されるのに伴い、巻取り部材23が基材テープt1を巻き取る量も増えるので、巻取り済部分26の外径も大きくなり、また、回転軸6及び歯車7の回転量は粘着テープTの引き出し長に比例するから、巻取り済部分26の外径が大きくなるのに伴い剥離テープtの引き出し長が大きくなってしまう。したがって、この粘着テープカッタ500では、最初に粘着テープTが5cm程度引き出されるとき、巻取り部材23の円筒状外面が10mm程度動くように設定されているが、剥離テープロール21に比べて巻取り部材23の外径を大きくしており、基材テープt1の巻取りに伴う巻取り済部分26の外径の増大を小さくしている。また、使用する基材テープt1の厚みを薄くすることにより、巻取り済部分26の厚みを薄く抑えることができ、粘着テープTの使用初期から残りわずかな終盤までの全期間にわたって、引き出される粘着テープTの長さに対する剥離テープtの引き出される長さの変化を支障のない程度に抑制することができる。
したがって、粘着テープTが引き出されるのに伴い、歯車7、回転軸6などからなる回転伝達機構によって巻取り部材23が回転する。巻取り部材23が回転することにより、基材テープt1が巻取り部材23によって巻き取られ、剥離テープtが引っ張られるので、剥離テープロール21は回転する。この剥離テープロール21の回転は、剥離テープtが設定以上の力で引っ張られるときに、回転部材41の内側部材41Aと外側部材41Bとの境界面Hですべりが生じ、外側部材41Bが内側部材41Aとの境界面Hですべり摩擦を生じながら回転することになる。したがって、剥離テープtには常にほぼ一定のテンション(張力)がかかっており、粘着テープTの切断時に剥離テープ用受台13上の剥離テープtから剥離層t2が粘着テープTに転写されるのを確実なものにすると共に、粘着テープカッタ500の正常な動作を妨げない。この実施形態では構造がより簡潔の粘着テープカッタを得ることができる。なお、この粘着テープカッタ500でも、図13に示した補強板39を用いることによって、更に一層安定な動作を確保することができる。
以上述べた実施形態を組み合わせることもできる。例えば、図11に示す構造と図13又は図15に示す構造とを組み合わせて、剥離テープ用ケース12を用いずに剥離テープtを剥離テープ用受台13上で粘着テープTに直交させる粘着テープカッタを得ることができる。例えば、図11に示す構造と図13に示す構造とを組み合わせる場合には、図11における剥離テープ用ケース12の側壁部12Aに代えて、図13に示した補強板39を用い、その補強板に回転軸20及び回転軸22を枢軸的に支承させる構造とする。そして、歯車18を歯車7と歯車15とに代え、歯車19を歯車37に代えるとともに、剥離テープ用ケース12の側壁部12Bを削除し、剥離テープロール21と巻取り部材23との図面右側にカッタケース1の側壁部1Eが位置するようにすればよい。また、剥離テープロール21と巻取り部材23、それらを装着する回転部材は図13に示したようなものを用いるのがよい。また、図15に示した構造を図3又は図9に示した剥離テープ用ケース12内に納めてもよい。
以上述べた各実施形態の粘着テープカッタの全体的な構造、外観は図1に示したものに限られることは無く、例えば、図1において粘着テープロール3及びその関連部材と剥離テープロール21及びその関連部材の位置関係は反対になっても良い。また、カッタ刃については、粘着テープの引き出し方向における剥離テープ受台の図面右側に配置したが、カッタ刃の高さの調節などを行うことによって、図面左側に配置することも可能である。この場合には、粘着テープの切断後端部に剥離層が接着する。さらに、剥離テープが引き出される長さは、粘着テープの引き出し長にかかわらずにほぼ一定であることが望ましい。さらにまた、前記実施形態で述べた回転軸は固定軸であっても良いものがある。この場合には、固定軸に対して一部分の歯車が回転するようになっていてもよい。さらにまた、回転伝達ベルトは1個又は複数個の歯車に代えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る粘着テープカッタ100全体の概略構成を説明するための図である。
【図2】粘着テープカッタ100のカッタケースに剥離テープ用ケースを装着する構造の一例を示す図である。
【図3】粘着テープカッタ100における剥離テープの駆動構造などを説明するための図である。
【図4】剥離テープ用ケースなどをより安定に保持する構造の一例を示す図である。
【図5】粘着テープカッタ100における剥離テープの巻取り構造の一例を説明するための図である。
【図6】粘着テープカッタ100に用いられる剥離テープを説明するための図である。
【図7】粘着テープカッタ100における粘着テープ受部を説明するための図である。
【図8】粘着テープカッタ100で切断された粘着テープの切断近傍部を示す図である。
【図9】本発明の実施形態2に係る粘着テープカッタ200における剥離テープの駆動機構を説明するための図である。
【図10】粘着テープカッタ200における剥離テープ用ケースの装着構造の一例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態3に係る粘着テープカッタ300における剥離テープの駆動機構を説明するための図である。
【図12】実施形態3の粘着テープカッタ300における粘着テープ受部を説明するための図である。
【図13】本発明の実施形態4に係る粘着テープカッタ400における剥離テープの駆動機構を示す図である。
【図14】本発明の実施形態4に係る粘着テープカッタ400における剥離テープの駆動を説明するための図である。
【図15】本発明の実施形態5に係る粘着テープカッタ500における剥離テープの駆動機構を示す図である。
【図16】本発明の実施形態5に係る粘着テープカッタ500における剥離テープの駆動を説明するための図である。
【符号の説明】
1・・・カッタケース
1A・・・カッタケース1の正面壁部
1B・・・カッタケース1の底部
1C・・・カッタケース1の粘着テープ受部
1D、1E・・・カッタケース1の側壁部
2・・・第1の回転軸(又は固定軸)
3・・・粘着テープロール
4・・・第1の回転部材
5・・・第1の歯車
6・・・第2の回転軸
7・・・第2の歯車
7A・・・係止部
7B・・・係止凹所
8・・・回転伝達ベルト
9、10、11・・・固定用軸部材
12・・・剥離テープ用ケース
13・・・剥離テープ用受台
14、15・・・歯車
16・・・回転軸
17、18、19・・・歯車
20・・・回転軸
21・・・剥離テープロール
22・・・回転軸
23・・・巻取り部材
23A・・・巻取り部材23の内側部材
23B・・・巻取り部材23の外側部材
24・・・粘着テープ用受台
25・・・カッタ刃
26・・・基材テープt1の巻取り済部分
27・・・突起状係止部
29、30・・・ガイド部
31、32・・・板バネ
33・・・回転方向変更手段
34、35・・・傘歯車
36・・・粘着テープ受部1Cの窓部
37・・・歯車
38・・・回転軸
39・・・補強板
40・・・固定軸
41・・・回転部材
41A・・・内側部材
41B・・・外側部材
50・・・弾性構造部
50A・・・弾性構造部50の凹所
50B・・・弾性構造部50のバネ部材
100・・・第1の粘着テープカッタ
200・・・第2の粘着テープカッタ
300・・・第3の粘着テープカッタ
400・・・第4の粘着テープカッタ
500・・・第5の粘着テープカッタ
T・・・粘着テープ
Ta・・・粘着テープの先端部分
t・・・剥離テープ
t1・・・基材テープ
t2・・・剥離層
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
【図10】
図10
【図11】
図11
【図12】
図12
【図13】
図13
【図14】
図14
【図15】
図15
【図16】
図16
リーフレット
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